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民朗さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1317
性別 男性
ホームページ http://minrou.seesaa.net/
年齢 36歳
メールアドレス baker221b@live.jp
自己紹介 全体的に甘めの評価になりがちです。
当然映画のジャンルによって評価にバラつきがあります。以下参考までに……。

評価が高くなりやすいジャンル:ミュージカル、B級アクション、ロマコメ、バカコメディ
評価が低くなりやすいジャンル:ミステリー、サスペンス、ラブロマンス

基本的に過激な映画が好きです。暴力的な意味でも、性描写的にも、人間性の描き方でも
どれだけ感動的な映画であっても尖った所が無い映画より、過激な表現がある映画の方を評価しています。

13.4.27(追記)……TOHOシネマズが6月1日から高校生料金を1,000円にするとのこと。
今は若い方が映画館に少ない状態なので大変素晴らしいと思います。
(日本の料金はそもそも海外に比べて高すぎる。価格も一律で決められているから劇場間の競合も生まれにくい)
でももうちょっとシネコン自体が上映する映画のラインナップを改めた方が良いのでは。
客が集まる邦画をバンバンかけるのは経営としては正しいけれど、いつか必ずしっぺ返しが来るのは判り切っていることなのに。

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41.  アメリカン・スナイパー 《ネタバレ》 
オープニングの緊張感溢れるシークエンスから惹き込まれます。眼光鋭く友軍の通行場所を見張る主人公。対戦車グレネードを懐から取り出したイラクの少年を照準に定め殺すか殺さないか、という所で場面が急転換し初めての鹿狩りのシーンへ。その後にオープニングのシーンに戻り主人公は少年を射殺する。ここは主人公が狩りとして人を殺してしまったということなのでしょう。そこから彼は戦場という死が蔓延している世界に蝕まれていく。家に帰っても心休まる場所は無く、あらゆる場面でヒステリックな反応をしてしまう。戦争(に限りませんが)という異常な状況が人間性を破壊してしまい、その結果生じる孤独を抱えて苦悩する一人の男を丁寧に描いた良作だったと思いました。それでも終盤には退役兵としてPTSDにかかった兵士のリハビリに係ったり、家族との関係性も上手くいったと思った所で、主人公が殺害されてしまったのは本当に悲しかったです。
[映画館(字幕)] 8点(2015-03-01 21:59:49)(良:1票)
42.  マエストロ! 《ネタバレ》 
まずクラシックという一般的には敷居が高いであろう題材を描くにあたっての大変な努力の跡は伝わってきました。実際に劇中で鳴っている音はちゃんとしたオケの音ですし、主演を務めた松坂桃李さんも1年間ヴァイオリンを練習しただけあって一応ちゃんと音は出ています(ヴァイオリンはフレットレス楽器なので初心者には大変難しい)。但し、この音楽についても、劇中で流れるベートーヴェンの『運命』は所謂私たち一般人が思い浮かべる『運命』であり、本来破天荒な指揮者という設定の天道が振った音にしては「あれだけ奏者に文句言っててコレでいいの?」と思いました。実際に指揮をした佐渡裕さんは恐らくですが無難な感じで振ったのではないでしょうか。 また脚本がスカスカでいたる所に綻びが生じてしまっています。しかも数々の綻びを一切処理せずに終わるので、観終わった後の感想としては只々不細工な印象を受けました。例を挙げますと、最低の指揮者として登場する天道(演奏者を平気で罵倒する&オーボエのリードを踏みつける)が成長するシーンがありません。よって本来なら演奏者との関係は最後まで悪いままの筈ですが、いつの間にか解散から再び集結するシーンで解決してしまっている。そもそも主人公に設定されている問題が何かがハッキリしていない。コンマスとしての苦労を描きたいのか、父親の様な音が出せないから悩んでいるのか、一流のオケで演奏出来ないから不満なのか、おそらくはそれら全てか。それが天道の過去が描かれるシーンで何となく“イメージ”だけで解決した様に見えてしまう。これは観客を誤魔化しているだけだと私は思います。 あと今時、自転車二人乗りで急いで病院に行くって描写は前時代的過ぎますね。ストーリー上仕方が無いとはいえ、病院でヴァイオリンを弾く主人公も如何かと思います。変なコメディ演出(ヤクザ撃退)とシリアスな演出(震災風景)をごちゃまぜにするのも作品のノイズになっていると思いました。
[映画館(邦画)] 4点(2015-02-02 22:26:40)(良:1票)
43.  エクソダス:神と王 《ネタバレ》 
とにかく壮大でド派手な歴史スペクタクル。マイケル・ベイやローランド・エメリッヒの様な「取り敢えず派手なCGの物量を増やせばいいや」という作りではなく(そういう作品もバカバカしくて良いですが)、前半溜めて溜めての、神による“10の災い”。大河が血に染まり、蛙・虻・蝗が沸き返り、雹が降り注ぐ場面は圧巻でした。そしてモーセ最大の見せ場と言えば海割りですが、水が引き、また津波として流れ込んでくるシーンは、この映画のクライマックスに相応しい迫力でした。というかヤハウェはホント鬼畜だなぁ。「ファラオ(ラムセス二世)が頭下げるまで厄災止めないからね」とか鬼の所業。神を怒らせるとマジで怖いと思いました。 ストーリーとしてはまあ出エジプト記を上手く2時間半という短い上映時間(!)に纏めたなーと感心しました。しかし改めて映画で見るとモーセがホント気の毒な話ですね。いきなりヤハウェに「同胞救え」って言われるし、ファラオからは逆恨みを買うし、ヘブライ人からも「この人を信じて大丈夫か」って疑いの目を向けられるし。いつも苦労人を演じているクリスチャン・ベールはピッタリでした。 あと一番の不満点は予告編で10の災いからモーセの海割りまで全てビジュアルを見せてしまっている所です。出来れば初見で本編を味わいたかったです。
[映画館(字幕)] 6点(2015-01-31 09:50:15)
44.  ANNIE/アニー(2014) 《ネタバレ》 
そもそも82年版の『アニー』はかなり歪な作品であったので、今回の再映画化は結構期待していました。また、監督が『Easy A』や『ステイ・フレンズ』のウィル・グラックなので、現代的なコメディ映画が出来上がるのではないか?と思っていたのですが、その予想は半分当たって半分外れてたといった感じでした。 現代ならではのtwitterやネットニュースサイトを、アニーが大衆の人気を得ていく過程に入れたのは、良いアレンジだと思います。またキャメロン・ディアスが自分の現在の価値を分かっている様な汚れ役を演じた勇気を讃えたい。スタックスに売春婦と間違えられるシーンはかなり笑ってしまいました。オリジナルのミュージカルがロングラン作品ですから、楽曲が良いのは勿論ですが、それにストンプ(足を踏み鳴らしてリズムを取る音楽)を取り入れたり、音楽のアレンジも良いと思います。 次に不満点を述べます。先ず、劇中の殆どギャグは基本的に、食べ物を吐き出したりする様な子ども向け。子ども向けが悪いとは言わないけれど、大人が楽しめる毒っ気もある程度は欲しいです。あと、映画のテーマが歌にも堂々と歌われている通り、「今日が最悪でも、明日はいいことあるかもね!」という話に綺麗にまとまり過ぎている気もします。楽しく観れて楽しく劇場を後に出来る映画だったと思いますが、もう少しパンチ力のある何かが欲しかったです。ちょっと贅沢な要求ですが。
[映画館(字幕)] 6点(2015-01-25 23:13:11)
45.  福福荘の福ちゃん 《ネタバレ》 
女芸人トリオ・森三中のメンバーである大島美幸さんが、モテない中年男を演じるっていうことだけ聞くと、あまり面白そうじゃないと思っていたのですが……大変面白かったです。 水川あさみさん演じる美女に、オッサンが惚れられるという、現実には「ありえねーだろ」と言わざるを得ないストーリーなのですが、大島美幸さんの笑顔が本当に魅力的に映るので、その有り得ない展開にも説得力がある。また、ヒロインも最初は一貫して恋愛感情など抱いていないので、そこも無理なくストーリーが進んでくれる。 一部の役者さんがちょっと棒読みだったり、少し気になる点もありますが、最初から最後まで多幸感に溢れた作品でした。
[映画館(邦画)] 8点(2015-01-25 22:46:08)
46.  グラディエーター 《ネタバレ》 
超大作と言う言葉がピッタリの作品。さながら21世紀の『ベン・ハー』と言ったところでしょうか。但し、金を掛けたら良いものが出来る訳では勿論無く、本作はリドリー・スコット監督の映像美と様式美が詰まっているからこその、この堂々たる出来だったと思います。実直な軍人が奴隷に身を落とし、そこから始まる復讐劇という、誰でも感情移入できる直球のドラマ故に、最初から最後まで存分に楽しめました。 主演のラッセル・クロウのカリスマ性も素晴らしいですが、それよりも凄いと思ったのが、悪役であるコンモドゥスを演じるホアキン・フェニックス。小心者・卑怯・シスコン・親不孝者、と女々しさを体現したようなキャラクターで、それを実に見事に演じていました。可哀そうですが実にはまり役。
[DVD(字幕)] 8点(2015-01-25 22:20:09)
47.  誰よりも狙われた男 《ネタバレ》 
まずジョン・ル・カレが作り出したストーリーに惹きつけられます。スパイ物でよくある(実際にル・カレも良く書いている)米ソ冷戦の対立構造を使用するのではなく、現代の対テロ戦を想定した情報戦はスリリング。テロとは良く“見えない脅威との戦い”と比喩されますが、本作でもそれは同じ。主人公であるバッハマンはどう見ても有能な男ですが、彼は確証がないままに捜査を強引に進めます。イッサが本当に過激な思想を持っているかは分からない段階で(結局持っていなかった)周りの人間を掌握し、アブドゥラ博士が本当に資金援助に協力しているか確証がないままに彼の拘束を決める。テロという言葉の元々の意味は「terror」=「脅(おびや)かす」ということ。安全保障上の彼の行動も一種のテロと言えるのではないのか?と観客に突きつけている様に思えました。しかも最後の彼の叫び「Fuck!!」に現れている通り、彼はどう見ても正義の信念を持ち(世界平和を望んだ)、イッサを結果として助けようと行動し(滞在証を発行した)、アブドゥラ博士も味方に引き込むことで強制的な危害を加える気は無かった。それに対しあのやるせないラスト。そして同僚のイルナから「無茶をし過ぎだ」と警告された上での非難の眼差し。本当の正義とは?と問いかける重厚なスパイサスペンスでした。 しかし作品としては聊か凡庸な部分があったことは否めません。ル・カレの小説の映画化と言えば数年前に『裏切りのサーカス』というトーマス・アルフレッドソン監督による傑作がありまして、それと比べてしまうと、その実力には大きく差があると言わざるを得ません。 本作は静かなトーンで作っているのだから態々無理に“動”のシーンを入れなくても良い気がしました。例えばイッサとアナベルが逃走のシーン。電車と車のチェイスは『フレンチ・コネクション』に代表される定番ですが、ド素人のアナベル達が本職のスパイを巻いてしまうのはあり得ないと思えるし、巻くならそれ相応の演出上の工夫が欲しい。最終的にクラブに紛れ込んでバッハマンの追跡を逃れますが、あれではバッハマンのおなかが人ごみにつっかえて逃げられたようにしか見えない。 但し、名優フィリップ・シーモア・ホフマンの最後の演技を観る価値は絶対にあるかと思います。エンドロール前の献呈を観た瞬間、もう彼をスクリーンで見れないことを実感し、本当に惜しい人を亡くしたと思いました。
[映画館(字幕)] 7点(2015-01-18 06:54:02)
48.  天才スピヴェット 《ネタバレ》 
ジャン=ピエール・ジュネの美的感覚が只管に心地よい作品でした。大陸横断で見せる大自然の風景の美しさ、田舎ののどかな風景の美しさ、その後に出てくるゴミゴミしたシカゴの大都市すらも美しく見えるから不思議。 後半にちょっとだけテレビ局の傲慢さも描かれていて、それも面白かったです。150年生まれるのが遅かったとスピヴェットに指摘されたお父さんが、あのムカつくインタビュワーにパンチをくれてやった瞬間はスカッとしました。ラストも家族それぞれがあるべき型に収まって良かったですね。
[映画館(字幕)] 7点(2015-01-13 20:25:15)
49.  シン・シティ 復讐の女神 《ネタバレ》 
エロいねーちゃんが沢山出て、男たちはカッコいいポーズを取って、戦闘で血がドバドバ出まくる、ザ・男子中学生用映画って感じでしょうか。でもこの頭の悪さは嫌いじゃないです。フランク・ミラーの作品の映画化としては前作に引き続き正しい手法だと思うものの、何年も開いてしまうと既にその手法も斬新に見えなくなっているのがやや残念でしょうか。 見所はヱヴァ・グリーンの体の張り方。今までも散々お色気要因として悪女を演じていましたが、本作ほどに激しい露出は初めてだったのではないでしょうか。その女優根性に拍手でした。
[映画館(字幕)] 7点(2015-01-13 20:07:40)
50.  網走番外地(1965) 《ネタバレ》 
素晴らしい。任侠映画の極北だと思います。母親の死に目に立ち会いたいと願う主人公。しかし一匹狼故にトラブルを周りから起こされてしまい、中々その機会に恵まれない。自分を良くしてくれるお偉いさんはいて、恩を感じているものの、自分のせいではないとはいえ、その奥さんを傷つけてしまう。さて、こんな絶望の主人公はどうなってしまうのか!?と思わせておいて、最後は人情の極を味あわせてくれる。繰り返しますが素晴らしいです。 ヤクザ映画では定番となっている田中邦衛の阿呆さや、錠を鉄道で切ろうとする時の一悶着等々、笑えるシーンが多々あり、刑務所ものでありながら清涼感があるのも面白いです。あと実は鬼寅だったおじいさんの迫力が凄いですね。演技の凄い説得力。
[映画館(邦画)] 8点(2015-01-11 21:50:40)
51.  トランスフォーマー/ロストエイジ 《ネタバレ》 
辛辣で申し訳ありませんが、個人的な感想としては粗大ゴミですな。私はホントに如何でもいい様な内容の映画、所謂ゴミ映画自体は嫌いではないのですが、それはちょっと食べて、「まあやっぱ不味かったな。ちゃっちゃと食べ終わってゴミ箱に捨てよ」位な感覚で済むからなんです。そういう意味では本シリーズのバカバカしさも決して嫌いな訳ではない。本シリーズに本当に本当に腹が立つのは、言葉通り無駄に長く、毎回焼き直しの様な展開の脚本を使うこと。これじゃ、食べても「これ前に食った味だよ」となるし、捨てるには粗大ゴミとして出さなければいけない程に面倒だ(時間が長い)。 それに加えて、マイケル・ベイの演出は、毎度のことですが、「よくアクション映画の監督として食えてるな」と思うほどに杜撰です。序盤、主人公の家でのバトルから、いきなり市街地に場面が移るし、オプティマスと主人公の逃走が別々に描かれているのに、全く有効に働いていない。「こういう場面が撮りたいんだ!」という欲求があるのは分かりますが、せめてシーンとシーンの繋がりに整合性を持たせて欲しいです。 あと露骨な企業の宣伝が酷いですね。金を集めるためなら、観客にどれだけ企業のCMを無理矢理見せようがマイケル・ベイは気にならない訳だ。こんな監督に二度と映画館代金を払うかと決めて、今回はDVDでの鑑賞にしましたが、それで大正解と思える出来でした。粗大ゴミを金払って買うほど暇じゃないのでね。
[DVD(字幕)] 2点(2015-01-11 21:07:56)(良:1票)
52.  ホビット/決戦のゆくえ 《ネタバレ》 
遂に完結したホビット三部作の最終作。元々は二部作の予定だっただけあって、延々とクライマックスの様な戦闘が続く構成になっています。予定通り二部作だったなら、恐らくスマウグの根城を目指すところから後編の始まりだったのでしょうね。今回の作りですと、やはり最強のドラゴンであるスマウグがあっけない感は否めません。事実、それがオープニングですし。 但し、『指輪物語』『ホビット』を愛してやまないピーター・ジャクソンが作っていることもあって、一本の映画として何とか成り立つように様々な工夫を凝らしていると思います。トーリンが我を失ってしまうが、黄金の間に冠を投げ捨て、再び戦士として立ち上がる時の高揚感は素晴らしい。キーリとタウリエルの恋愛話も単調になりがちな戦闘シーンの連続の中で上手く機能している。原作には登場しないレゴラスを大活躍させることでマクロな視点のアクションシーンに限らず、一対一のアクションも面白く魅せている。本来、『指輪物語』とは違い、単純なストーリー構成をしている『ホビット』を映画化した作品として、ここは評価出来るのではないでしょうか。 しかしこの映画が合わない人がいるのも良く分かる。繰り返される遠景カットは人によってはピーター・ジャクソンの悪癖に見えるでしょう。でもやっぱり原作の『指輪物語』に慣れ親しんでいる身からすると、あの作品世界を映像化しているだけで満足してしまうのですよね。だから複雑な構成を持っている『指輪物語』はともかく、前述の通りの構成の『ホビット』は本来大衆向けではなく、完全にマニアのために作られている作品というのが本質だと思います。
[映画館(字幕)] 8点(2014-12-31 08:55:21)(良:1票)
53.  ミラーズ・クロッシング 《ネタバレ》 
やはりコーエン兄弟、銃撃描写の拘りは素晴らしいです。銃から一発一発出る轟音に重みがある。話は非常に硬派な作りのハードボイルド物。主人公の思惑が観客に完全に示されないので、主人公が単にヘマを踏んでいるのか、それとも先を見越しての行動なのかが判断できず、最後まで目を離せない作りになっています。とは言いつつも、個人的にハードボイルド物が苦手ということもあるのですが、割とやり手な感じで登場した主人公が結構ボコボコにされて反撃までできないというのは少しフラストレーションでした。ハードボイルドの主人公はヨレヨレだから良いんでしょうけども。 上手いなぁと思ったのは、キャスパーの片腕の用心棒がゲイという設定。それまでどんな男も手玉に取っていたヴァーナの色仕掛けが通じない相手ということで、話がうまく展開していたと思います。 あと凄かったのはキャスパーの刺客をレオが一人で皆殺しにしてしまうところですかね。有能なボスはイカス。
[映画館(字幕)] 7点(2014-12-31 08:38:21)
54.  プロミスト・ランド(2012) 《ネタバレ》 
明らかに地方の田舎モノからしたら悪党のマット・デイモン、彼が最終的に会社の余りに非道な方針にNOを突きつけるラストがとにかく痛快。かと言って大企業を打っ潰すような無理な内容に行くのではなく、単に今までのツケを払いクビになるという結論も良い。 カラオケがド下手なフランシス・マクドーマンドがやるせない空気の映画の清涼剤になっていて面白かった。
[映画館(字幕)] 7点(2014-12-23 22:49:02)
55.  ベイマックス 《ネタバレ》 
驚きました。幾多のオタク向け映画の要素を詰め込んでも、土台がしっかりしていれば素晴らしいエンターテイメントに昇華できるんだと。そういう意味ではタランティーノに近いかも知れません。 舞台は架空の都市、サンフランソーキョー。名前から一発で判る通りサンフランシスコと東京をごちゃまぜにしたような都市で、横浜の中華街とか新橋とか道頓堀辺りの外観があたかもアメリカに溶け込んだ様なビジュアルは実にユニークです。 日本の外観を輸入しているだけあってか、明らかに日本アニメから影響を受けてるであろう箇所も多いです。ベイマックスのロケットパンチは当然『マジンガーZ』、マイクロボットの動きは『AKIRA』、ハニーレモンは名前からして『キューティーハニー』。ベイマックスの見栄の切り方もいかにも日本のロボットアニメらしい格好良さ。『パシフィック・リム』の時もそうでしたが、やっぱり日本文化の一つであるアニメにリスペクトされている映画を観るのは楽しいし、嬉しいです。 あとはオタク映画からの引用が目白押し。ゴー・ゴーのブレードを使ったアクションは『TRON』、怪獣オタクのフレッドのビジュアルはコーマンのZ級映画怪獣チック(変に格好いい怪獣にしないのが抜群に良い!)、ベイマックスへの技のダウンロードは『マトリックス』、……いかん、書き切れない! そもそもベイマックスの見た目がとても魅力的。戦闘ロボットとして活躍するのに本質はケアロボットでつい抱きしめたくなるような、まん丸な可愛い見た目。最初はケアロボットとして身体的な傷が無ければ任務終了、肉親を亡くした心の傷を「思春期ですね」と診断(ここは爆笑しちゃった)していた彼が、最後にヒロを心から気遣ったラストは素晴らしかった。ヒロの成長は勿論ですが、ベイマックスもケアロボットとして成長していたのだと思います。 少し気になったのは、お兄さんが火事で亡くなるまでの所謂お話の前提部分の描き方が性急過ぎると思えたことでしょうか。とにかく土台となる設定を積み上げている様で、システマティック故の違和感を感じてしまいました。例えば、お兄さんが火に飛び込んだ途端に爆発してブラックアウト→葬儀シーン→いじけるヒロ、という描写なんかは急ぎ過ぎじゃないでしょうか。脚本としては良い仕事なのでしょうけど、矛盾している様ですがもっとアドリブ的な無駄が欲しかった。
[映画館(吹替)] 8点(2014-12-23 10:03:28)
56.  アバウト・タイム 愛おしい時間について 《ネタバレ》 
タイム・トラベル物では所謂「セワシ君問題」が常に付き纏います。タイム・トラベル物の代名詞、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズの二作目では主人公の軽率な干渉により未来が大きく捻じ曲がる。本作ではティムはとにかく自分の意中の女の子を自分のものにすべく過去を改変していく。具体的には彼女からチャラ男を遠ざける。チャラ男と付き合っているメアリーも幸せそうだったけどな!初エッチを何度も繰り返す。初エッチってそういうものか?もっと別に良いものがあると思うんだけど。つーか普通に彼女に失礼だろ。個人的には人生って後悔とか苦難があってこそだと思っているので、自分の欲望のままに行動するティムにこの時点から結構ムカついていました。 決定的だったのが過去を変えたことで自分の娘が息子に変わってしまっていたことに驚く場面。その後、ティムは過去を元のシナリオに戻し、娘が無事で良かった良かったと済ませているのですが、改変したことで生まれた男の子はどうなるんだよ!こいつ本質的に自分の息子を殺してます。 前述した『バック~2』だって、もしビフとお母さんの間に出来た赤ちゃんが画面に映ってたらエンタメとして綺麗じゃないと思うんです。マーティーが未来を元に戻したら、その赤ちゃんは存在が消えちゃうわけで。そういう所が本作はホント無神経だと思う。 また腹が立つのが、そういう無神経さに関わらず、最終的には「タイムトラベルなんかせずその日その時を真剣に生きるんだ」という結論に行くんですが、それなら自分の息子の存在を消しちゃったときに後悔して気付いてくれよと。 あと、もう一つだけ文句言わせて下さい。タイム・トラベルが出来るようになったら普通何をしますか?私利私欲の為に使いますよね。男なら助平なことに使うに違いない(しかし本作では女性が引くような生々しさは排除されている、素晴らしいね)。でも、いずれ人助けに使えることに気付く筈。ニュースでは消防車が遅れて焼け死んだ人や、親からアビューズされて亡くなった子どもや、ストーカーに殺された女性の話題に事欠かない。別にヒーローじゃないんだから身を挺して守れとは言わんけど、消防署や警察署に電話くらいできるでしょ。偽善ですらない。頼むから人を助けてくれ。自分のことばかり考えないで。
[映画館(字幕)] 2点(2014-12-22 19:24:25)(良:2票)
57.  ゴーン・ガール 《ネタバレ》 
この映画のエイミーは、現代に蘇った『イヴの総て』のイヴさながらである。全てに於いて計算高く、浮気をした夫を安全圏から追い詰めていく。自業自得とは雖も、周囲の人間に、エイミーがモデルとなった本のファンに、そして全国の視聴者に監視され、批判されていくニックの姿は自分の身に置き換えると、迚も耐えられるものではないだろうと思わせる程の物でした。その追い詰められる男を演じるのが、ジェニファー・ロペスとの熱愛報道で散々世間の的になっていた(&大多数から嫌われていた)、ベン・アフレックというキャスティングの妙です。色んな場面をスッピン(ですよね?)で演じ切っていたロザムンド・パイクの女優根性も称賛に値します。 ミステリーとしても中盤までは主人公を含め誰が本当のことを言っているのか分からないので良く出来ています。ここは原作が優れているのかも知れませんが、それを自分色のサスペンスに落とし込むデヴィッド・フィンチャーは素晴らしい。 ニックの不幸っぷりばかり目につく本作ですが、良く考えるとエイミーにとっても悲劇と言える。幼いころから“完璧なエイミー”と自分を比較して卑屈になっていた彼女にとって、何かの役柄を演じるということは非常な苦痛であった筈。だから彼女は完璧な妻を演じてきたが、遂に失踪し、偽名を使って新たな自分、束縛されない自分になろうとした。でもスカンピンになって仕方なく頼った先の男に、再び完璧なエイミーを演じることを強要される。結局彼を殺して、元鞘に収まって、ニックをコントロールしていると思っても、結局彼女はマスコミ等からの報道のために完璧なエイミーを演じざるを得ない。人生を賭けてまで行った彼女の行動は果たしてその値打ちのあるものだったのか。 にしてもエンドロールを観た瞬間おそろしーい気分に襲われる映画でした。あたかも動物の顔を撮影しているかの様なロザムンド・パイクの顔のラストカット。最愛の人の頭の中は一体どうなっているのだろうか。それを知ることは誰も出来ない。もしかしたら今夜にでも自分を殺そうとしているのかも……なんてね。
[映画館(字幕)] 9点(2014-12-12 21:58:44)(良:3票)
58.  フューリー(2014) 《ネタバレ》 
凄い映画だと思うけれど、同時に凄い不快な気分も味わい、この感情をどうしたらいいか迷ってしまっています。実際のティーガーⅠを動かす等、本物の戦争風景に近づけようとする気概は強く感じます。戦車の中をノーマンが掃除しようとしたら、床に肉片が落ちているシーンなど嫌にリアルです。だから従来の戦争映画では何となく仲良くやっている「仲間同士の絆」も、この映画の中では、敵兵士の死によって成り立っているとされる。そしてその仲間同士で何をするかというと、解放した他国の女を輪姦したりする。こりゃウォー・ダディ率いる部隊を応援し辛い。だって戦争が起きてない現在の価値観からするとやっぱり彼らの振る舞いはクソと思えてしまいますから。 クライマックスは武装SS300人との戦車での籠城戦となる訳ですが、前述した理由により一人一人散っていく仲間たちの死も余り憐れむことが如何しても出来ませんでした。 一夜を共に過ごした女がドイツ軍の爆撃を喰らい死んだのを切欠にナチを心底憎んでしまったノーマンを、ドイツ軍の兵士(少年兵?)が見逃すのが唯一の救いでした。 ともあれ、通過儀礼と託けて無抵抗の敵兵をノーマンに無理矢理殺させるブラピ演じるウォー・ダディは死刑!まあ、その位のメンタリティじゃないと戦場ではやっていけないんでしょうね。凄い映画とは思いますが、好きな映画にはなれない作品でした。
[映画館(字幕)] 5点(2014-12-07 21:36:33)
59.  寄生獣 《ネタバレ》 
それなりの原作ファンと自負しておりますが、原作の必要不可欠な要素を2時間弱に収めるその構成力・脚本力の手腕の高さは大変素晴らしかったと思います。新一の家族構成から父親を排し、シングルマザーの家庭とすることで、主人公にとっての母親の喪失感をより強く出すことに成功している。寄生生物の一匹であるAが母親の脳を奪う個体と変更されている点も、新一とAとの対決とリンクさせることで、物語の展開がスムーズになり、タイトに仕上がる要素となっていたと思います。 またミギーが序盤で剣道部や弓道部の練習風景を何気なく眺めることで、他の寄生生物との戦いにおける斬り合いや、終盤の弓に変形する展開に、説得力を持たせることに成功している点など、実にクレバーに思えます。 個人的には山崎貴監督は大仰な演出が多く、好きになれない監督の筆頭だったのですが、本作では何度も心動かされるシーンがありました。特に新一が母親を失って「夢じゃなかったのか……」とひとりごちる場面は、唯一の肉親を失ってしまった悲しい人生の幕開けにも関わらず、外からは明るい朝焼けか夕焼けの光が差し込んでいて、彼の悲劇性をより引き立てていると感じました。このシーンは主演の染谷将太君の慟哭する演技の凄まじさも相まって、胸に迫るものがありました。 人体破壊描写をPG12作品と言う枠の中で出来るだけ限界に挑戦しているであろう気概も良いです。ヌルイとそれは最早『寄生獣』では無くなってしまうと思うので。 大傑作漫画の実写映画化ということで、高いハードルだったと思いますが、監督からはそのハードルを乗り越えようとする意志を感じますし、前編を観た時点でなら十分にその力はあると思います。問題は完結編で全ての要素を綺麗に回収することが出来るのか。田宮良子の結末、広川剛志の結末、後藤との戦い、どれも普通の映画であればクライマックスに出来るだけの素材のため、完結編で変に間延びした(クライマックスが何度もある)作品にならないことを期待しています。
[映画館(邦画)] 8点(2014-12-01 00:44:18)(良:2票)
60.  グレート・ビューティー/追憶のローマ 《ネタバレ》 
こんな映画を撮ってしまった以上、パオロ・ソレンティーノは次回作で何を撮ろうというのだろう。そんな凄まじい映画でした。 目指そうとした作品はハッキリしていて、多分巨匠フェリーニの『8 1/2』でしょう。同作はどんな映画を撮っていいのか分からない主人公(明らかにフェリーニの分身)が悩み続け幻想の世界に足を踏み入れていくという内容ですが、本作の場合は主人公が作家に変更されているだけで、大筋は殆ど一緒です。 次作が書けない主人公は執筆の題材の為に、只管に美を探し求める。それは古代ローマの彫像から、現代アート、大自然の美、宗教的な美、女性像の美にまで及んでいく。尚、個人的には普段から現代アートの良さが全く分からず、主人公が「こんなん美じゃないよね」って感じで現代アートを鑑賞するのには少し胸のすくような気持ちでした。 いくら美を追い求めても主人公には究極の美は見つからない。徹底的に画面構成の美しさ、映像美を凝らした本作を撮っているソレンティーノも恐らく同じことを考えているのだろう。最終的に主人公は究極の美など自分の手に余ると、諦観して映画はプッツリと終わってしまう。今までもどこか気の抜けたような飄々とした作品を作り続けて来たソレンティーノらしい幕切れです。 とどのつまりプラトン的に言えば、究極の美、即ち美のイデアなど、矮小な人間が見つけだすことが出来る訳が無いということでしょう。それでも表現者は自己の中に思い描く究極の美を求めて作品を作り続ける。そんなあらゆる表現者の業を感じる作品でした。
[映画館(字幕)] 9点(2014-12-01 00:25:15)
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