801. わたしは、ダニエル・ブレイク
《ネタバレ》 貧困に喘ぎながらも必死に生きる、イギリスの労働者階級の人々を淡々と描いた社会派ドラマ。長年大工として真面目に働いてきたものの心臓に疾患が見つかり失業者となってしまった主人公ダニエル・ブレイクと、二人の幼い子供を育てるためにぎりぎりの生活を余儀なくされているシングルマザーの交流を通していまだ格差の残るイギリス社会の現実が炙りだされていきます。また、本来は社会的弱者を救う立場にいるはずの役所の人間が、日々の業務に忙殺されていかに非人間的な対応を行っているかを告発する内容でもあります。この監督の作品は今回初めて見ましたが、正直辛気臭いお話ですね、これ。なんだか観れば観るほど気分がげんなりしてきて、残念ながら僕には合わなかったです。それにこの作品の根底に流れる左翼思想――労働者階級は富裕層に搾取され続ける可哀そうな人々で、彼らを救うためには根本的な社会システムを変えなければならない。そのためにはまず権力の手先である役所をみんなで攻撃しよう――が個人的に好きになれないので全く共感できませんでした。 [DVD(字幕)] 3点(2018-09-19 23:18:09) |
802. ミッション:インポッシブル/フォールアウト
《ネタバレ》 久々に映画館で観て大正解でした。ストーリーなんてあってなきが如し、潔いまでに拘ったそのアクションシーンの数々は最後まで出色の出来。エンタメ映画として充分大満足でありました。にしても、トム・クルーズ元気良すぎ! [映画館(字幕)] 8点(2018-09-17 00:25:47) |
803. 皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ
《ネタバレ》 イタリア版『キックアス』のようなリアルヒーロー誕生もの。物語の重要なカギとなる鋼鉄ジーグとは、イタリアでもかつて放送されていた永井豪原作のロボットヒーローアニメのこと。うーん、ごめんなさい、僕は全然嵌まりませんでした、これ。まず主人公に全く魅力を感じなかったのが残念ポイントその1。だって普通のおっさんですやん。ヒットガールのように主人公をヒーローへと導く天真爛漫ヒロインキャラにも全く魅力を感じなかったのが残念ポイントその2。だってぶちゃいくですやん。脚本のところどころに破綻があるのがその3。イタリアの警察無能すぎるっしょ。そもそも超絶パワーを得るきっかけが安直すぎるのがその4。川に飛び込んだらそこに放射能入りの液体が混ざっていたからって…。じゃあ、その川に飛び込んだ人はみんな超人になれるやん!てか、そこに生息している魚はみんな無敵になって生態系が無茶苦茶になるんじゃない?そして、そんな得体の知れない物質で汚染された魚が海洋へと進出して漁師の網に引っ掛かり人々の食卓へと提供されでもしたら…。主人公、ヒーローになるうんぬんよりもまず保健所へと通報しましょう。と、そこらへんが気になってどうにものめり込めず。映像的にもそんなにセンスを感じませんでした。日本の偉大なる漫画作家、永井豪へのリスペクト姿勢に+1点。 [DVD(字幕)] 4点(2018-09-16 23:25:37) |
804. エイリアン:コヴェナント
《ネタバレ》 SFホラーの金字塔『エイリアン』の前日譚をリドリー・スコット自らが描いたシリーズ第二弾。前作の内容をほぼ覚えていないまま今回鑑賞してみたのですが、まあだからと言って改めて観返すほどでもないかなぁというのが正直な感想。って言うか、スコット監督ってやっぱり根っからの映像作家なんだなって改めて思いました。粘着力のある映像美は他の追随を許さないほど素晴らしいのですが、その脚本によって作品の質は毎回大いに変わります。今回は正直微妙かな。その映像美に6点で。 [DVD(字幕)] 6点(2018-09-16 23:10:45) |
805. ビリー・リンの永遠の一日
《ネタバレ》 2004年、イラクの戦場で偶然撮られた一本の短い動画。そこには名もない兵士が危険を顧みず身を挺して仲間を助ける姿が映されていた。兵士の名はビリー・リン、何処にでもいるような一人の若者だった。だが、この映像が全米のテレビで流れたことによって、彼は一夜にして英雄へと祭り上げられてしまう――。そのことを知った軍上層部の命令によって彼とその仲間たちは一時本国へと呼び戻され、戦意高揚とイメージアップのために全米各地を廻らされることに。何処に行っても拍手で迎えられたビリー・リンは、再び戦場へと戻ることにいつしか疑問を抱き始めるのだった。最後の日、アメリカンフットボールの試合会場でのハーフタイムショーへと駆り出された彼は、そこでイラクの戦場とは全く違う煌びやかだけど薄っぺらい世界を目にすることになってしまう…。本作は、そんな一夜にして英雄となってしまったビリー・リンの目を通してアメリカ社会の矛盾や歪みを問う社会派ドラマだ。監督はこれまで数々の賞に輝くハリウッドの名匠アン・リー。僕の大好きな監督の最新作だったので今回鑑賞してみたのだが、正直期待が高すぎたのかも知れない。確かにベテランらしく手堅く纏められた作品に仕上がっていたのだが、何かこうもう一つ深みが足らない印象。テーマの掘り下げ方が若干浅いように感じてしまったのだ。この監督の前作が、神と人間というとても哲学的で深淵なテーマをちゃんとエンタメ映画の枠内で描くという離れ業をやってのけた傑作だっただけに少々物足りなさを覚えてしまった。また、華やかなハーフタイムショーの対比として描かれるイラクの戦場描写も生々しさに欠けており、どんな映像を撮ってもそこにある種の気品のようなものを感じさせるアン・リー監督の美質が裏目に出てしまったように思う。とはいえ、煌びやかでド派手なのに何故か空虚さをも漂わせるハーフタイムショーの一連の映像は、どこか東洋的な無常観を感じさせ一見の価値はある。監督のファンならそこだけでも観て損はないだろう。 [DVD(字幕)] 6点(2018-09-06 02:57:25) |
806. キングスマン: ゴールデン・サークル
《ネタバレ》 世界を密かに?救ってきた謎の英国紳士たちのぶっ飛び大活躍を、お下品&エログロアウトぎりぎりのセンス溢れる映像で描いたスパイ・アクション第2弾。いやー、相変わらず面白かったです!ほんとにこのおバカな世界観をひたすら真面目に追及するマシュー・ボーンのキレッキレの演出力は今回も冴え渡ってましたね~。ただ、さすがに前作のインパクトが強烈だっただけに、今回はそこまでの衝撃はなかったですかね。悪役のジュリアン・ムーアがいまいち弾けきれてないないような?まあ普通に面白かったですけど、前作ほどではなかったってことで7点! [DVD(字幕)] 7点(2018-09-03 23:40:24) |
807. パトリオット・デイ
《ネタバレ》 ピーター・バーグ監督&マーク・ウォールバーグ主演コンビがおくる毎度おなじみ実話を基にしたアクション作品。今回の題材は、記憶に新しいボストン・マラソンを狙ったテロ事件です。いやー、相変わらずの底の浅ーいアメリカ万歳映画でしたね、これ。最後の方で、「テロに打ち勝つのは僕たちの愛だ」みたいな臭い台詞が飛び出した日にゃ苦笑するしかなかったです。まあ事実の重みと手堅く撮られたアクション・シーンの迫力に6点で。 [DVD(字幕)] 6点(2018-09-02 02:00:52) |
808. ライフ(2017)
《ネタバレ》 火星から持ち帰った単細胞生物が瞬く間に進化し、舞台となる宇宙コロニー内に居る人間たちを次々と襲い始めるというSFホラー。まあエイリアンもどきのB級ホラーなんですけど、何気に役者陣が豪華だったので今回鑑賞してみました。うーん、正直微妙な出来でしたね、これ。ドラマの見せ方が恐ろしく雑なせいもあって、最後までいまいちサスペンスが盛り上がりません。肝心のモンスターの造形も最初こそあのクリオネみたいな繊細な見た目に「おお」と期待を持たせるものの、あれよあれよという間に単なるタコの化け物になっちゃったし(笑)。最後のオチも酷い代物。正直観る価値はなかったかな。 [DVD(字幕)] 4点(2018-08-26 00:07:47) |
809. LION/ライオン 〜25年目のただいま〜
《ネタバレ》 子供のころに迷子となり、その後オーストラリアの裕福な家庭で養子として育てられた青年が、微かな記憶とグーグルアースだけを頼りに家族を捜し出したという奇跡のような実話を描いたヒューマン・ドラマ。実話を基にしているため結末が分かってしまっているのに、肝心の物語が時系列通りに進行していくためドラマとして見れば少々退屈。もう少しドラマチックな見せ方にしてほしかった。スタッフや役者たちの実話に対する誠実で真摯な姿勢には好感が持てたんですけどね。 [DVD(字幕)] 6点(2018-08-24 21:32:19) |
810. ザ・マミー/呪われた砂漠の王女
《ネタバレ》 現代に甦ったミイラの恐怖を新しい視点で描いた、ダークユニバースシリーズ第一弾。主演はハリウッドのトップ俳優トム・クルーズとラッセル・クロウ。あまりいい評判を聞かなかった本作、あまり期待せずにこの度鑑賞したのですが、それでもやっぱり酷い出来でしたね、これ。最大の欠点は、この薄っぺらいくせにあまりにも取っ散らかった脚本でしょう。正直退屈極まりないです。まあ映像はぼちぼち迫力あったので+1点かな。あと余談ですけど、DVDの特典映像に収録されている監督や俳優たちのコメンタリーで、こんな酷い作品を撮った彼らが和気藹々と自画自賛しまっくてるのは聞いてて超腹立ちました(笑)。 [DVD(字幕)] 4点(2018-08-20 02:37:47) |
811. この世界の片隅に(2016)
《ネタバレ》 素晴らしいの一言に尽きる。あの時、あの時代を生きた市井の人々のささやかな幸せが圧倒的な暴力の前に無残に崩れ去る。平凡な人々が胸に抱いたであろう静かな怒りに胸が震えました。すずを演じたのんの嵌まり方も良かった。またいつか観てみようと思います。 [DVD(邦画)] 9点(2018-08-11 03:35:57) |
812. パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊
《ネタバレ》 カリブの海賊シリーズ第五弾。前作よりもマシとはいえ、観終わった感想はまあボチボチってところですかね。安定感は抜群だけど、一週間もすれば内容をきれいに忘れてしまいそうな感じです。ジャックのギロチンぐるんぐるんのシーンはけっこう面白かったけどね。 [DVD(字幕)] 6点(2018-08-05 09:05:09) |
813. タンジェリン
《ネタバレ》 LAに生きるいわゆるゲイの方たちの日常をスピーディ&ポップに描いたスラップスティックなコメディ。かなり低予算――なんたって全編スマートフォンで撮影された作品なんですけど、そんなこと気にならないくらい映像センスが素晴らしかったです。もう画面の隅々にまで監督の色彩豊かな拘りが漲っていてもう冒頭から一気に惹き込まれ、最後まで駆け足で突っ走ってしまいました。ノリのいい音楽もサイコー。主要登場人物はもちろん、ほんのちょっと出てくるだけの脇役にいたるまでみなキャラが立っていて誰もが魅力的なのも良かった。うん、この監督、将来要注目ですね。 [DVD(字幕)] 7点(2018-07-28 17:19:30) |
814. ウィッチ
《ネタバレ》 何、これ??なんか中世の魔女伝説誕生の秘話を森に追放された一家族の視点から描いた作品みたいなのですが、こんなにもキリスト教べったりなお話だとは思いもよりませんでした。内容暗いし展開たるいし主人公家族は全員鬱陶しいし、正直さっぱり面白くありませんでした。3点! [DVD(字幕)] 3点(2018-07-24 18:07:18) |
815. キング・アーサー(2017)
《ネタバレ》 アーサー王伝説を基にして描かれる荒唐無稽なファンタジー・アクション。いかにもガイ・リッチーらしいスタイリッシュな演出が随所に施されているものの、それが面白さに繋がっているかと問われれば正直微妙。なんか全体的にごちゃごちゃしてていまいち楽しめなかったです。まぁ映像はそれなりに迫力があったので、ぎりぎり5点って感じ。 [DVD(字幕)] 5点(2018-07-23 21:15:50) |
816. マンチェスター・バイ・ザ・シー
《ネタバレ》 過去に起きた悲しい出来事から誰に対しても心を閉ざしてしまった孤独な男。そして、病気で父を失ってしまったショックから鬱屈した毎日を送る青年。さまざまな巡り合わせにより、静かな港町マンチェスターでともに過ごすことになったそんな二人の葛藤と悲しみの日々を淡々と綴ったヒューマン・ドラマ。物凄く淡々としていますが、非常に見応えのある質の高い良品でした。幾つものアカデミー賞ノミネートも納得の出来です。特に主演男優賞を受賞したケイシー・アフレックの抑えた演技にはとても惹き込まれました。彼が後半、別れた奥さんから伝えられる言葉には涙が止まりません。〝哀しみは人生の親戚〟。そんな何処かの老作家の言葉を思い起こさせる、悲哀に満ちた人間ドラマの秀作。ぜひ多くの方に観てもらいたいですね。 [DVD(字幕)] 8点(2018-07-22 23:30:43) |
817. ジェーン・ドウの解剖
《ネタバレ》 一家惨殺事件が起きた一軒家の地下から発見された一体の遺体。一糸まとわぬその美しい女性の遺体には身元の特定につながるものは一切なく、また外傷さえないため死因の特定すら難しかった――。事件を担当する保安官は、死体の正体を探るため、親子で検死官を務める古くからの友人の元へと送り届けることに。さっそく仕事に取り掛かった親子だが、その美しい〝ジェーン・ドゥ〟の身体を開いてみると驚愕の事実が次々と明らかとなるのだった…。いったい彼女の身に何が起こったのか?謎に満ちた彼女の本当の正体とは?そして、解剖を担当することになった検死官親子は無事に死因を特定することが出来るのか?一体の美しい死体を巡って、死体安置所で繰り広げられるそんな恐怖の一夜を描いた新感覚ミステリー・ホラー。いやー、久々にこんなにも怖くて、しかもちゃんと面白い映画を観てしまいましたわ~。もう最初からどんどんと惹き込まれ、あれよあれよといういう間の充実した80分。物凄く完成度が高いです、これ。何より、物語の重要な要となる〝ジェーン・ドゥ〟の死体が驚くほど美しい!この役を演じた女優さん、ずっと全裸で死体安置所に寝転がってるだけで一切台詞がないのに、この存在感は凄いですね。もう、このお方のフェティッシュかつグロテスクな魅力だけで1点追加ですわ。なんたってヌードどころか身体の中身まで晒しちゃってますからね(笑)。監督は過去に快作『トロール・ハンター』を撮った、アンドレ・ウーヴレダル。その前作もフェイク・ドキュメンタリーという体裁を取りながら、それを逆手に取ったユーモラスな作風でなかなかセンスを感じたけど、こちらもまた違うセンスをビシバシ感じました。うん、今から次作が楽しみな今後大注目の監督の一人となりました。 [DVD(字幕)] 9点(2018-07-21 22:11:51)(良:2票) |
818. ジャッキー ファーストレディ 最後の使命
《ネタバレ》 ケネディ大統領暗殺直後のドラマを妻の視点から描いた作品。ジャッキーの愛称で親しまれたケネディ夫人役にはナタリー・ポートマン。なんか実話を基にした映画のダメな部分が前面に出た作品でしたね、これ。実話というのは得てして面白くないもので、映画はそれを如何に面白く見せるかが監督の腕の見せ所なのにこれがさっぱり面白くなってない。時間軸をバラバラにするという工夫が凝らされているものの、これが全然効果を発揮していない。それに暗殺直後の頭を吹き飛ばされたケネディ大統領をうつすとこなんて悪趣味さの方が際立ってしまってます。うーん、4点。 [DVD(字幕)] 4点(2018-07-13 23:11:55) |
819. ラスト・フェイス
《ネタバレ》 アフリカ各地で勃発する悲惨な内戦に翻弄された一組の男女の愛の物語。国境なき医師団に所属し、過酷な現実の中で互いに惹かれ合う男性医師と女性医師をそれぞれハビエル・バルデムとシャーリーズ・セロンが演じており、監督は前作に引き続きアフリカ内戦をテーマにした人気俳優のショーン・ペン。うーん、物語の横軸とも言うべきアフリカ内戦の悲惨な現実を徹底的に見つめるという視点は悪くはないのだが、肝心の物語の縦軸とも言うべき主人公たちの恋愛物語が正直薄っぺらい。この二つの物語が作品の中で全く乖離してしまっているのが本作の致命傷。最後に主人公の演説で締めるのもなんだか説教臭く感じて好きじゃない。世界の片隅で誰にも知られることなく苦しみ続けている社会的弱者たちの声を多くの人々に知ってもらいたいという監督の姿勢は共感できるだけに残念だ。 [DVD(字幕)] 5点(2018-07-08 22:14:39) |
820. グレートウォール(2016)
《ネタバレ》 万里の長城を舞台に、中国の兵士が何故か大量の怪物たちとひたすら戦うだけの映画。なのに何故か主人公はマット・デイモン演じるウィリアムという名の西洋人(笑)。なんか、恐ろしいほど内容のない作品でしたね、これ。映像とアクションを楽しむだけの映画なんでしょうけど、『ロード・オブ・ザ・リング』やら『スターシップ・トゥルーパーズ』やらの既存作品をちょっと中国風にアレンジしたってだけで目新しくもなんともない。 [DVD(字幕)] 4点(2018-07-05 03:33:05) |