961. 君が生きた証
《ネタバレ》 レビュワーの皆さん、ネタバレ投稿でも、途中からの展開の内容については触れませんね。ですから自分も、マナー上触れないことにします。歌を通して、亡くなった息子の気持ちを探るように歌うお父さんの気持ち、自分も考えさせられました。生きているうちに親に孝行せねば! [DVD(字幕)] 8点(2017-05-21 00:00:10) |
962. セトウツミ
《ネタバレ》 二人の高校生のいつもの場所でのいつもの会話という、それだけの話で映画を一本創っちゃうなんて、面白い。会話のテンポも二人のやり取りも絶妙!Hシーンの多い映画に起用されているイメージが自分の中で強い池松壮亮くんが、この映画では根拠のない自信で満ち溢れたユニークなキャラクターをいい味出して演じてる。この映画での妙に落ち着いてるお坊ちゃん高校生から発する独特のオーラが、池松くんにピッタリだった。 [DVD(邦画)] 7点(2017-05-20 17:40:55) |
963. 引き裂かれたカーテン
《ネタバレ》 007をショーンコネリーがやるんだから、男ポールニューマンも負けてはいられないとスパイ映画。しかしヒッチコックらしい、ゆる~いスパイもの。前半はらしさがないものの、後半一気に加速する。特に東ドイツ(古!)からの脱出劇からヒッチコック演出のオンパレード。偽装バスが本物バスに追いつかれそうになったり、絶体絶命の劇場からの脱出や、保証人になってくれとせがむ老婦人とか、とても普通のスパイ映画じゃ見られないような展開。ヒッチコック映画は疲れているときとかも、気軽に観られるのでいいね。最近の映画は集中力を求められるので、気楽に観られないし・・。それにしてもジュリーアンドリュース、素敵です。美人ものでも知られるヒッチコック。ここでも手腕を発揮、彼女らしさを損なうことなく、安心して観てられました。時たまジュリークリスティとごっちゃになってしまう小生ですが・・。 [ビデオ(字幕)] 6点(2017-05-05 00:23:11) |
964. わすれな歌
《ネタバレ》 微笑みの国、タイですら、ここまで人生が過酷とは・・。やはり未熟な経済システムの下では、芸能事務所はこんなにヤクザなものになってしまうんだろうなぁ。痛い映画だった。 [DVD(字幕)] 7点(2017-05-03 00:19:05) |
965. 不思議惑星キン・ザ・ザ
《ネタバレ》 一見、失笑物の映画である。がしかし、これはロシアという国を考えるうえで重要な映画かもしれない。長い映画だったが、こんな状況の中で、どう生き残るか?とばかり自分は考えていた。でもロシア人は(極寒のシベリアのような土地ですら)とにかく情を大事にすれば、道が開けることもあるかもしれないという哲学があるんじゃないのか?自分だけ助かろうという気持ちは本当にないのだ。ただただ出会った人種(異星人でも)に対して、丁寧に義理を尽くして生きていくうちに道が開けるのを身をもって知っているんじゃないのか?アメリカ映画とは、また違うテイストだ。国際関係を考える上でヒントになるような映画だった。日本にいて平和ボケの自分は、劇中何度も地球に帰れるチャンスがあるのに、仲間(?)のことを考えて、それを棒にふる主人公たちに対して、恥ずかしながら「い~じゃん、あんな連中ほっといて」と何度も考えた。でも主人公たちはそうしない。ただいつでも人として大切なものを失うことなく誇りを持って生きていき、そしてあきらめる中ででも前向きに頭を使って幸せをつかんでいく。この大陸的な人間の大らかさに、ちょっと自分のセコさを恥じた。 [DVD(字幕)] 7点(2017-04-30 00:18:37) |
966. サムライ(1967)
《ネタバレ》 面白い!「恐るべき子どもたち」の監督か。う~む・・女性を描ける人がハードボイルドを描くと、こんなに上質な作品になるとは、一つの発見だったなぁ・・。警察があくどいので、黒幕と警察がごっちゃになりそうだったが、これも演出だったとすら思わされてしまう。この監督、メルヴィル、恐るべし。もっとこの監督作品を観てみたくなったぞ。映画とはこれなんです!という雰囲気と品格を最後まで失わない、この上質さ、癖になりそう(笑)。クールな一匹狼の殺し屋をアランドロンが好演。そして出てくる女性たちがみな自分を失わない。このアランドロンを見守る若い女性は、姑息な警察に一歩も退かない。そして黒幕の愛人であるこのピアニストも大したタマで、銃を向けられても平然とピアノを弾いてる。そしてあのラスト。しかしアランドロンの銃には弾が入ってなかった。もうこうなることを覚悟してたということに、あの愛人は何を思うのか。結局、女性にモテモテのアランドロンは、黒幕の女性の心すらわしづかみにして、この世を去る。モテモテで一生を貫くとは、大変なんだなぁ・・(泣)。 [DVD(字幕)] 8点(2017-04-29 21:11:33) |
967. デルス・ウザーラ
《ネタバレ》 文明論的大作。地味な展開を飽きさせずに観せるとこが、さすが黒澤明。シベリアの厳しい自然がスペクタルに描かれる。この頃、日本映画界では黒沢明は名作を発表するが厳しい状況に置かれており(自殺未遂までした!)、ロシアからの資金援助で実現した作品。黒沢明の映画人生を語る上では外せない作品。 [DVD(字幕)] 8点(2017-04-24 11:41:17) |
968. 山河ノスタルジア
《ネタバレ》 中国映画で近未来を描いた映画は初めて観た。鬼才ジャジャンクーならではだ。経済成長で伸びていく中国。変わっていく中国を、静かに映画に落とし込んできた監督は、今度は過去・現在・未来を描くことで、中国が失っていくものを描いた。ダンスが象徴するかのように、自由主義の文化に喜び、身を任せた若者たちは、我々日本人も既に経験済みのアイデンティティの危機を、逃れることもできずに経験し、主人公たちの家族は崩壊していく。そして舞台は未来の国外での中国人居住区。主人公たちの子どもが自分のアイデンティティを探し求めていく様を描いている。そして最後はまた冒頭のダンスを老いた、かつての若者であった主人公の女性が躍るとこで終わる。何やら希望などないラストだ。中国国内も今の繁栄に疑問を抱く人々もいるようだ。 [DVD(字幕)] 7点(2017-04-22 17:51:50) |
969. ハドソン川の奇跡
《ネタバレ》 旅客機が無事着水、死亡者ゼロなどという偉業をなしとげてしまうのは、やはり大リーグのプレイなんかを見ていると、納得感があるから不思議だ。アメリカという国は問題も多いが、仕事に就いている人たちは大リーグ並みのファインプレイを日々しているんだろうなと思う。短編ではあるが、面白かった。美女のハグがあったり、女性のお偉方が、公の場で個人的な意見を言って、賛辞を示したり、アメリカの女性もまた日本とは違うなぁと思った。 [DVD(字幕)] 7点(2017-04-09 08:44:40) |
970. シング・ストリート 未来へのうた
《ネタバレ》 ジョンカーニーは、今一番、僕の中で新作を楽しみにしている監督です。今までの「ONCEダブリン」「はじまりのうた」、どれもすごく好きです。この映画も最高!何度も観ることになる作品がまたできたよん♪ [DVD(字幕)] 10点(2017-04-09 08:35:40) |
971. 花とアリス〈劇場版〉
《ネタバレ》 ぶったまげた。何かすごい映画を観たいって言われたら、この映画を奨めようと思った。桜の季節なので、何かそれにあった映画を、と手にとって観たら、もうタマゲタ。これを観ずして岩井俊二を語るな!っていう程のインパクトがあった。僕の知ってる「ピクニック」でも「スワロウテイル」でも「リリィシュシュ」でもない、やはり岩井俊二は少女を撮らせたら、稀有な存在だったと思い知らされた。そして蒼井優もこの映画が間違いなく彼女の代表作だと言える作品だ。何ていうか、女性映画というと、自分を見失うことない側面が強調されがちだが、この映画は少女の小悪魔的なとこをとらえつつ、少女のもつ狂気みたいなとこも見事に商業映画化してみせた、驚くべき作品だ。洋画でもこんなの観たことがない。平成の日本には岩井俊二がいたんだと喜びでいっぱいである。 [ビデオ(邦画)] 10点(2017-04-07 01:48:51) |
972. イカとクジラ
《ネタバレ》 離婚大国、アメリカ。離婚する過程を描いた映画は「クレイマークレイマー」の時代から、色んな風に描かれてきた。しかし、親が離婚する子どもたちのナイーブな心境を主に描いたアメリカ映画は、初めて観たような気がする。監督のノアバームバックは粗っぽいアメリカにいて、多感な人たちのデリケートな心情を描いた映画を発表し続けてる、有望な映画監督だ。 [DVD(字幕)] 7点(2017-04-05 12:04:29) |
973. 虹をつかむ男 南国奮斗篇
《ネタバレ》 バブル弾けた後の不況の中での日本映画。映画館オデオン座も閉館、閉塞感のありそうな状況の中、カっちゃんの底抜けの明るさで全編盛り上げる。しかし「男はつらいよ」シリーズと違うところがヒロイン松坂慶子を持ってきて決定的になる。寅さんの時は、ヒロインの松坂慶子が同じ部屋に寝ていて、誘ってきているのに、寅さんは逃げる。しかしここでは同じ松坂慶子をヒロインに持ってきて、カっちゃんは人妻と分かっていて手を出す。その辺がもうシリーズ不可であることを決定づけており、その後、山田洋次は学校シリーズ、藤沢周平シリーズへと作品を展開させていく。渥美清がいかに傑出した力量の俳優であったことを山田監督も痛感したのかもしれない。でも西田敏行のキャラクターも存分に活かされており、さすがは「釣りバカ」での扱いなれた山田監督の料理技だった。山田監督に駄作無し。本当にそう思わせる。 [ビデオ(邦画)] 7点(2017-04-02 23:29:13) |
974. 虹をつかむ男(1996)
《ネタバレ》 素晴らしき哉、映画!ってな感じですね。渥美さんが亡くなられて、山田監督は映画監督はもうできないと思ったのでしょうか?自分への映画への想いをこれでもか!ってスクリーンに叩き込んでます。もしこれが『「男はつらいよ」を送る映画』ではなく、一本の独立した映画だったなら、最後に流れる映画は「カサブランカ」だったはずなんですね。「男はつらいよ番外編」みたくなってるのが、勿体ないとも思いますし、山田監督らしいとも思います。山田監督はきちんとした人で、2010年代の今は、もう自分の映画人生を「送る」映画を立て続けに撮ってらっしゃる。そこが彼らしく、2時間のなかできちんと物事をおさめる手法を自分の人生にまで当てはめていらっしゃる。でも彼の後にも山田洋次に振り回された作家がいるはずで、余韻も残しておいてほしいなぁと思う、この頃です。寂しいです。あまりきちんと完結されると・・。 [DVD(邦画)] 8点(2017-04-02 19:18:03) |
975. 冬の旅
《ネタバレ》 「さすらう女」でビデオを購入して鑑賞。女性映画監督のつくる作品としては、かなり作家性の強い作品。社会からドロップアウトして自由を求め、一人旅をする女性。当然、色々なことが起こり、強いままではいられなくなり、最後冬の空の下、野垂れ死にする話。キャリアもあり、簡単に自堕落になる女性ではないが、それでも段々とやけくそ気味になり、親切にしてくれる人にこそ素直に荒れてしまう。段々と風貌も汚くなり、「あっち行け」と言われるまでになる、その姿は他人ごとではないなと観ていて、怖くなった。落ちこぼれの末路は、こうも無残なものか。どこの国も同じだなと思う。 [ビデオ(字幕)] 7点(2017-03-31 16:23:18) |
976. 愛は危険な香り
《ネタバレ》 ふとワケあって、女性映画監督の作品ってどんなんだろう?と興味を持ち、とりあえずセレクトした映画。当時、まだその言葉もなかったストーカーの映画。もう女性が徹底的に生理的に嫌いな男性をこれでもかってくらい描いている。でも行き過ぎ!こんな男、いるのかね?男にも社会があるので、こういうタイプは、まず同性から叩きのめされます。そこが描かれてない(笑)。でも日本をあれだけ戦争で痛めた国だから、案外アメリカにはこの手の男もいるのかもしれんないですね。怖!また、この映画はダイアンレインが「リトルロマンス」から大人の女性へと変わろうとしてる時に撮られた映画。彼女の僕のベストは「ストリートオブファイアー」だけど、僕の知らないダイアンレインの表情が見られた。それは十何年たっての映画「運命の女」に近い。そういう映画にも出演するキャリアだってことが、この映画で分かった。 [ビデオ(字幕)] 6点(2017-03-30 23:30:27) |
977. フランシス・ハ
《ネタバレ》 イイ♪女の子の気持ちを大事にしてる映画。女性の相方の友情とか、オシャレなライフスタイルに憧れて一人暮らしをするものの金がないとことか、女性たちの共感を得そうですね。女性監督が創ると何故かこうはなりにくい。ここが映画の面白いとこ。ただし日本の女性監督はこういうとこ掬い取るのが上手い。(井口奈己とか。でも日本って女の子映画の秀作が多いよね。日本の方が女性の気持ちを大事にする文化なのかもしれないですね。)場所が芸術家たちの集まる街、ニューヨーク。当然、ゲイのカップルもいるかと思えば、案外とみな、女性の恋人もいたりする。等身大の芸術家の卵たちってこんな感じかもね。イイです。何度も観たくなる映画。 [DVD(字幕)] 8点(2017-03-29 00:37:52) |
978. ダーティハリー5
《ネタバレ》 なんか現実に疲れたときは、キャラハン刑事の無敵っぷりを見ると、スカッとしますね。でもここでの犯人は、悪趣味映画の自己嫌悪オタクだったとは・・。映画を観るのにもバランス良く、と自分を戒めしるのにもいい映画かな(失笑)。でも短い尺のなかでエピソードてんこ盛り。お腹いっぱいになります。でもこれでこの無敵キャラハン刑事シリーズもラストなんだよなぁ。この頃のアメリカ人は強かった。この後は愚痴を言いまくる不運のマクラーレン刑事に交代ですね。アメリカも徐々に変わりつつある。それにしても原題が「デッドプール」なんだね。人気アメコミヒーローの名前の意味が「死亡予測」だったとは・・。勉強になりました。 [ビデオ(字幕)] 6点(2017-03-27 00:47:07) |
979. 舞台恐怖症
《ネタバレ》 ヒッチコックは失敗作だと言ってたけど、面白かったですよ。確かにサスペンス色は薄かったけど・・。それは、あのマレーネデートリッヒを相手に友だちを守るためにあれこれ動き回る主役のジェーンワイマンがあまりにも健康的な女優なので、ラブコメみたいな映画に感じてしまうから。クスクス笑ってしまう場面が多く、愛すべき作品だと思います。中でも女中になりすましてデートリッヒ宅にもぐりこみ、そこに恋人のスミスが来てしまうとこなんか、サスペンスというよりラブコメのそれであり、ハラハラドキドキといった感じではないですもんね。どこか三谷幸喜を思い出した。彼もこの作品からインスピレーション受けてるんじゃないかな?それにヒッチコックも楽しく創ったんじゃないかな?て感じがして、失敗作というのは、愛すべき子供をうちの子ダメなんですよ、という親心からかもしれないですね。でもヒッチコックてありとあらゆる女優を自分の映画に出して、ちゃんとヒッチコックの映画にしてしまうんだからスゴイよね。 [ビデオ(字幕)] 7点(2017-03-26 10:20:42) |
980. ディストラクション・ベイビーズ
《ネタバレ》 この映画の柳楽くんのオーラは、昔の織田裕二に似てるね。しかし点数高いね~。やはり現実に喘いでいる人たちにあまり関心持たないまま、現実を何食わぬ顔で泳いで行ってる人たちって問題あるよね。親がいない子どもの心象をあまり理解せず、ほったらかすってのもなぁ。柳楽くんの気持ちに寄り添う人って、一緒に住んでる弟分の人だけだもんね。そういう冷たい現実に対して、敢然と喧嘩を売る存在ってカッコいいよね。しかし、やってることはテロだからね(笑)。組んだ相手が悪かったね。昔の映画なら必ずこういう柳楽くんみたいな男に寄り添う女性がいたもんだけど(「愛と誠」みたいに・・古い!)、今の時代ってそういう女性いないのかな?なんか気持ちが殺伐としたまま、終わってしまったなぁ。でもあれだね、今の若者にこういう柳楽くんを支持する層があるってうなづけるよ。 [DVD(邦画)] 7点(2017-03-25 22:33:21) |