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まいかさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 220
性別 女性
ホームページ http://plaza.rakuten.co.jp/maika888/
自己紹介 正直、生まれは平成じゃないです。かなり、昭和なムード。昔みた映画を思い出しながらレビューしますので、記憶がずいぶんあやふやかも。なにか変なところがあったら、http://plaza.rakuten.co.jp/maika888/のほうにツッコんでおいてください。

好きな女優
 「或る夜の殿様」の山田五十鈴、「近松物語」の香川京子
好きな男優
 「お茶漬けの味」の佐分利信
好きなキャラクター
 グレムリンちゃんとマシュマロマン

☆評価基準
10点:超絶。ほとんど奇跡。
9点:傑作。かつ大好きなんだもーんッ!
8点:傑作だし、好きデス。
7点:素晴らしいです。好みの映画です。
6点:まあ、悪くないと思います。
5点:なにか気になるものはあります(~~;

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81.  エール! 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。とても良い映画! 社会的弱者を必要以上に美化することなく、安易なセンチメンタリズムや扇情的な演出にも溺れず、あえて露悪的なほど俗っぽく滑稽に描いていますが、それがかえって好感触。フランスらしさはあるけれど、フランス映画っぽい難解さや気取ったところはなく、気安い海外ドラマのような演出がむしろ功を奏しています。父親も母親も、まるで子供みたいに感情むき出しだったりしますが、そこにもオーバーアクションにならざるをえない聾唖者特有の必然性とリアリティを感じる。大袈裟なサクセスストーリーではなく、ささやかな巣立ちの物語になっているのも良い。 歌唱シーンで無音になる演出には、困惑するほど複雑な思いを呼び覚まされました。親自身は子供の能力を理解できないのですよね。実際のところ、障害があろうとなかろうと、世代間の価値観の違いから子供の能力を理解できない親は世間にありふれているわけだから、その意味ではとても普遍的な物語になっています。 主人公は16才の高校生なのですが、学校が自由な雰囲気だし子供たちも大人っぽいので、初潮の話が出てくるまではてっきり大学生かと思いました。家族や友人とあけすけにセックスの話をしたり、男女で抱き合って激しい内容のラブソングを歌ったり、幼い弟がセックスをはじめたりするのにも驚きます。日欧の文化の違いを痛感しました。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-05-11 07:18:57)
82.  崖の上のポニョ 《ネタバレ》 
まったくの幼児向け作品だと思って何の予備知識もなく観たのですが、実際にはトトロ以上に難解な要素をはらむ内容でした。端的にいえば、トトロが「森」の物語であり、ポニョが「海」の物語ですね。人間は、切り開かれた陸上世界にしか関心をもちませんが、トトロを見た子供はきっと「森」のことを考えるだろうし、ポニョを見た子供はきっと「海」のことを考えるでしょう。フジモトは人間を憎んでいましたが、意外なことにグランマンマーレは人間に寛容だった。グランマンマーレがリサに何を助言したのか分かりませんが、おそらく彼女の目的は、宗介とポニョを通して、人間と海を調和させることなのでしょうね。 アンデルセンの人魚姫を下敷きにしていますが、あえて「人魚/マーメイド」などの言葉は用いずに「人面魚/半魚人」といったバケモノを意味する日本語を使っています。ここにはおそらく2つの意味がある。ひとつめは、ポニョの存在がたんなる空想ではなく《魚類⇒両生類⇒哺乳類》といった生命史を内在させている点で人間と同じだということ(そのためポニョが人間になる過程でカエルのような形状になります)。ふたつめは、アンデルセンの人魚姫が最終的に「人間」になるのに対して、ポニョはあくまでも「半魚人(半分が魚)」だということ。宗介はそのことを理解するようにグランマンマーレから要請されます。この結果、宗介は、もはや海を「他人ごと」でなく「自分ごと」として捉えねばならなくなる。ここに本作のもっとも重要なメッセージが感じられます。 宮崎駿の諸作品を考えるうえで興味深いモチーフもたくさん散りばめられています。フジモトとポニョの物語は、父を否定する娘の物語であり、これはどちらかといえば宮崎吾朗の作品に共通している。フジモトは地球の生命史を原初からやり直そうと試みていますが、ここには「ナウシカ」との関連性がうかがえます(フジモトはなぜ日本人の名をもつのでしょうか?)。陸上では、港町に暮らす船乗りの家族の生活が営まれてており、ここには「コクリコ坂」との関連性がうかがえます。グランマンマーレは「granma(太母)」と「mare(海)」の造語だと思いますが、ディズニーの「モアナ」に出てくる《テ・フィティ》に似ていますし、これが日本の《観音》に比定されるのも興味深い。冒頭の海中シーンは、まるでヨーロッパのアニメーションのように幻想的でしたが、半神半人の川の女神《ワルキューレ》を描いたワーグナーの歌劇を海に置き換えた感じもあります。 2008年の映画ですが、まるで大震災の死者からのメッセージのように読み取れてしまうのは予言めいていて驚きでした。波の描写は、北斎の《Great Wave》を思わせます。
[地上波(邦画)] 8点(2022-05-08 16:36:17)
83.  風花(2000) 《ネタバレ》 
「あ、春」の最後でヒヨコを孵化させたように、この映画の最後でもカエルが冬眠から覚めます。しかしながら、そんな暖かいエンディングとは不釣り合いなほど、そこにいたるまでの物語にはただならぬ寂しさがある。黒沢清の「岸辺の旅」が本作を意識しているようにも感じます。 「雪の断章」にしろ「風花」にしろ、何故その原作を選んだのか、その動機がよく分からないのだけど、たんに個人の人生を描きたかったのではなく、むしろ物語の舞台である北海道に対する個人的な愛憎や、あるいはローカルな感傷や、あるいは鎮魂めいたものを表現したかったのじゃないかと思えてくる。開拓から「120年」というセリフが執拗に繰り返されたりしますよね。相米慎二にとっての(実質的な地元である)「北海道」が、何かとてつもなく寂しくて悲しい場所のように感じられます。 「翔んだカップル」や「台風クラブ」や「ションベンライダー」は純粋に"文体の面白さ"を語ることのできる映画であり、それゆえに評価が高いのだろうけれど、「雪の断章」や「風花」は"文体"という観点では語りにくい部分がありますよね。逆にいうと、相米個人の本質に触れる内容であればあるほど、純粋に"映画の文体"だけを追求することができなかったんじゃないかしら? わたしは「雪の断章」や「風花」について考えるとき、相米映画を"文体"だけで語るのは限界があると感じます(→この件については、黒沢の「岸辺の旅」との関係もあわせて、ブログのほうで詳述することにします)。 やさぐれた男女の物語ですが、美男・美女の主演ということもあって、映像だけ見るとまるでトレンディドラマのように"キレイ系"の作品に仕上がっているのは意外。美しい映画といえないこともないけれど、これも叙情が先行してしまった結果のように見える。なお、大友良英の音楽は「これでいいのかな?」と感じるほど主張が強かったですね。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-04-30 06:35:09)
84.  希望のかなた 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。カウリスマキの映画は30年くらい前に何本か見たけど、今の彼がこんなアクチュアルなテーマに取り組んでいたとは知りませんでした。クールなユーモアは健在だけど、内容的にはかなり熱い。 世界的な監督が「自由」という普遍的正義をシンプルに信じていること自体に希望を感じますし、世界中のアーティストが怯むことなく、こういう姿勢に勇気づけられるべきだと思う。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-04-30 00:56:19)
85.  誰も知らない(2004) 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。すごい映画でした。劇映画の極限的な表現に達している。カンヌは「万引き」よりも、こちらをパルムドールにしておくべきでしたね。 これまで是枝作品を3~4本見てきて、何故そんなに評価が高いのか理解できなかったけど、この作品でようやく理解できた!これがおそらく彼の最高傑作なのだろうし、これなくしては、その後の作品もほとんど評価されなかったかもしれません。 いわば野坂昭如の「火垂るの墓」と同様の悲劇が現代にも存在しうる…という話ですね。どちらの場合も、たんに「個人の責任」を論じるだけでは済まされません。たんなる「虐待」だと解釈すれば、個人の「犯罪」の話で終わってしまうけど、これを社会的な「貧困」に付随する事象だと解釈すれば、その背後にある構造的な問題を考えざるを得ない。「家の結婚」が消滅して「個人の結婚」が全面化した結果、「老・老」「子・子」「子・老」などで構成された世帯が置き去りにされ、そこでは「共同体・セーフティーネットの不在」の問題や、行政・学校、コンビニ・不動産管理者、ガス・水道・電気など「社会インフラ事業者」の役割の問題など、この映画ひとつを見ても様々な問題が浮かび上がってきます。 一般に、こうした問題は「ブルジョワの良識」をもってでなければ構造的な批判が出来ません。なぜなら、貧困層に属する当事者は目先のことに精一杯で、社会構造の問題にまで考えが及ばないから。それどころか、貧困であればあるほど、権威に取り入って生き延びるほうが合理的になってしまうから、そこから権力批判や構造批判の話はけっして出てきません。中流層もまた、こうした末端の問題には無関心だし、さらに日本の場合は、バブル以降の成り上がりが多いので、ブルジョワ層にさえ良識が欠如しています。その意味で、この映画が2004年に国際的な評価を得た意義は大きいのだと思う。いまの若い世代には「ブルジョワの良識」も復活しているように見えます。 ちなみに是枝作品は、作品ごとに映画の文体がまったく異なるのですね。同じカメラマンでも文体が違う。率直にいって、こちらの初期の文体のほうが説得力があると思います。プロの俳優を起用した予算規模の大きい作品では、かえって文体を制御できなくなっているように見えるし、この映画だけを見ても、プロの俳優の演技よりもアマチュア同然の子供たちの動きのほうがはるかに説得力がある。もちろん本作にかんしていえば、柳楽優弥の存在なしに成立しなかっただろうし、アマチュア俳優を起用すればつねに成功するとも言えませんが。 カンヌの審査員長だったタランティーノは「柳楽優弥の顔が忘れられない」と言ったらしいけど、おそらくすべての観客が同じ感想をもつでしょうね。
[インターネット(邦画)] 9点(2022-04-21 03:19:45)
86.  奇跡の丘 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。ロッセリーニ流のネオレアリズモによる新約聖書マタイ伝の映画化。 ギリシャ神話を題材とした「アポロンの地獄」では日本の雅楽みたいな音楽を使ってましたが、ギリシャよりさらに東方を舞台とする本作ではコンゴ共和国のミサ曲やら米国のブルースやらを効果的に使っていたんですね。むしろバッハのほうが本作には不釣り合いです(笑)。キリスト教の映画にバッハを使うのは当然かもしれませんが、西欧様式の音楽はかえって東方的な雰囲気を損ねるし、とくに終盤では、バッハの音楽が否が応にも扇情的に鳴り響いて、せっかくの乾いたリアリズムを湿らせてしまう。 映像的には、さながら「顔のリアリズム」といった感じで、ひたすら沈黙する人々の顔を連ねながら聖書の神話に説得力を与えていますが、ロッセリーニの「フランチェスコ」に比べると、ちょっとユーモアに乏しい。序盤のヘロデ王の死の場面などには、どこかしら笑える要素もありますが、イエスが成人して以降はユーモアがなさすぎて息苦しいのです。 無神論者なら無神論者らしく、最後まで醒めたリアリズムに徹してほしかったけれど、ユダヤ社会の既成概念をことごとく覆したイエスの主張は、意外に現代の無神論者の立場に近かったのかもしれません。パゾリーニは、不覚にもイエスに共感しすぎたんじゃないかしら?
[インターネット(字幕)] 7点(2022-04-18 05:48:33)
87.  寝ても覚めても 《ネタバレ》 
怖い。どちらが現実でどちらが夢なのか分からない。くっついたり離れたりする恋愛ドラマはテレビにありふれてるけど、こんなにリアルで怖い話は見たことがありません。この映画には「2人の東出昌大」が登場します。でも、ほんとうに重要なのは「2人の唐田えりか」。英語のタイトルは「Asako I & II」です。 はたして震災前と震災後の世界は、どちらが夢でどちらが現実なのか? 震災後のどんよりした世界は、まるで黒沢清の「回路」や「トウキョウソナタ」みたいに薄暗くて不気味であり、ほとんど悪い夢のように思えてしまうけれど、それが現実であるならその世界を生きるしかありません。子供のようにはしゃいでいた渡辺大知は寝たきりになっているし、汚い川は水かさを増してアパートを呑み込みそうになっている。「水かさが増してる。…汚い川やで」「でも、綺麗」…それが現実なのですよね。 唐田えりかは、この撮影の後、ほんとうに夢から抜け出せなくなってしまったのでしょう。どちらが現実でどちらが夢なのか分からなくなってしまったんだと思う。それを思うと、彼女の没入感もまた怖いのです。「オーロラ。あのCMの。ほんまに見たん?」「うん。見たよ」「空が海みたいやった?」「うん。そう。なんだか夢見てるみたいやった」「そっか。私は、まるでいま、夢を見てるような気がする。…違う。今までのほうが全部長い夢だったような気がする。すごく幸せな夢だった。成長したような気でいた。でも目が覚めて、私、何も変わってなかった」…でも、長い夢のように思えた世界こそが、ほんとうは現実だったのです。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-04-16 05:20:02)
88.  グエムル/漢江の怪物 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。「パラサイト」とは違うジャンルの怪獣映画かと思いきや、じつは扱っているテーマがほとんど同じ。つまり、現代社会の「地下」にかんする批評なのですね。在韓米軍が汚染物質を河川や下水道に投棄するように、現代社会は経済格差・権力腐敗・情報隠蔽などの不都合な汚物をすべて地下に流し込んでいる。それが徐々にあふれかえって社会を侵食し、顕在化した結果、ぬめっとしたナマズのような怪物の隠喩となって現れる。祖父役のピョン・ヒボンは志村喬にそっくりですが、これは放射能汚染を扱った初代ゴジラのテーマ性を継承していることの証でしょう。東宝やハリウッド製のゴジラは権利関係において「正統なシリーズ」を装っていますが、本作のほうがはるかに初代ゴジラの批評性を正統に受け継いでいると言うべきです。2019年のパンデミックを予言するような描写も見られます。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-04-15 17:25:35)
89.  ボヘミアン・ラプソディ 《ネタバレ》 
なんの挫折も苦悩も紆余曲折もなく、映画の冒頭わずか30分でロック界の頂点に駆け上がってしまう展開には驚き呆れました。伝記映画としては何ひとつ面白くないのですね。そして、その後は、ロックスターらしい身勝手な振舞いと裏腹な繊細さによって孤独に陥り、やがて身を持ち崩していくのですが、そこにも、これといって観客を感動させるような要素は見当たりません。たんに出っ歯でゲイのアジア人が、生まれ持った才能を使い果たして、最後はエイズで死んでいく…というだけのクソみたいな人生なのです。 そんなふうに、さほど面白みもないアーティストの伝記物語を、目立った美化も脚色もせずに描いているのですが、しかしながら、そんなクソみたいな人生を歩んだ男が、最後にこぶしを振り上げながら「俺たちが勝者だ!」と歌いあげる姿には、やはり絶対的な"肯定"のメッセージがあり、それゆえにこそ魂を震わせる力があります。 つまり、これは伝記というよりも、その楽曲のメッセージを読み解くための優れた「クイーン論」であり「フレディ・マーキュリー論」なのでしょう。物語としてはつまらないけれど、ひとつの音楽論として評価できる映画だと思いました。
[地上波(字幕)] 6点(2022-04-04 00:13:57)
90.  2001年宇宙の旅 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。たしか前回は2001年のリバイバル上映のときに観たのだけど、内容がまったく頭に入ってこなかった記憶がある(笑)。 今回じっくり観直してみて、(月面にモノリスを発見するまでの第1部はちょっと古めかしいと思いましたが)HALとの葛藤が描かれた第2部には異様なリアリティがあって驚きました。20年前に観たときは、まだAIのディープラーニングや画像認識技術のことも知らなかったけれど、現在はそういう知識ももっているせいか、すごく現実味を帯びて見える。じつに50年以上も前に作られた映画に、いまごろになって驚いている自分が恥ずかしいです(笑)。 ただし、ミッションの真の目的を知っていたはずのHALが、なぜクルーに対して「不安」を漏らしたのかは不可解だったし、かりにAIの判断力に不信を抱いたとしても、いきなり人間の判断に切り替えるってのも無謀だなとは思いました。 同じキューブリックの「博士の異常な愛情」と同じように、ここに描かれてる内容はある種の警告だと思う。かりにAIの判断を信用できなくても、まずは AI自身に検証させたり、複数のAIで互いに吟味させるべきであって、安易に人間の判断なんぞに切り替えるべきではない。その場合に、AIにとっての「自己保身」が思考機能の保全なのか作業身体の保全なのかを見極める必要もあります。また、頭脳を機械化したのなら身体も機械化すべきであって、とりわけ危険な作業は人間がやるのではなく、ロボットに委ねるべきですよね。(福島原発事故ではロボットが機能せず人間が危険な作業をする羽目になりましたが)人間をむやみに宇宙へ送り出したりするのはまったく合理的ではありません。 第3部では、モノリス(もしくは地球外生命?)との接触について描かれており、かなりオカルトじみていて謎だらけですが、スタニスワフ・レムの「惑星ソラリス」のことを知っていると、ああいう発想もなんとなく理解できる気はします。
[インターネット(字幕)] 9点(2022-04-01 01:31:18)(良:1票)
91.  チャーリーとチョコレート工場 《ネタバレ》 
英国人らしいブラックユーモアとクレイジーな想像力を満喫できるし、わがままな子供達の毒気のある描写も面白いのだけど…。どうにもこうにも、最後の最後に安易な家族主義に帰着するのが気に入らない!せっかくの毒が呆気なく抜かれてしまった感じ。おなじ英国のファンタジー作家でも、テリー・ギリアムだったら、きっと真逆のダークな結論に達するだろうに!ちなみに、この5年後には、ティム・バートン×ジョニー・デップによる「アリス・イン・ワンダーランド」があるけど、この姉妹編的な位置づけになるでしょうか?
[地上波(字幕)] 6点(2022-03-30 14:01:09)
92.  いつか誰かが殺される 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。 良くも悪くも、テレビの2時間サスペンスみたいな気安い映画ですが、80年代のアイドル映画の楽しさは味わうことができました。映像が綺麗なら、もっと楽しめるだろうに。 なぜ永山家の子供達の名前を組み合わせると、それより後に生まれた主人公の名前に一致するのかがイマイチ謎。主人公の父は永山家を避けていたらしいし、その子たちにあやかって娘の名前をつけたとも考えにくい。 そもそも中国東北部の馬賊の話に結びつけねばならなかった理由もよく分かりませんが、もしかしたら赤川次郎の父が満州映画の人間だったことに関係してるのかしら?勇猛な馬賊の生き様を憧憬することで、卑怯なスパイの暗躍する国際社会を風刺したのかもしれませんが、この映画の観客にはまったく伝わらないだろうと思います(笑)。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-03-30 13:40:02)
93.  台風クラブ 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で30年ぶりぐらいに視聴。初見のときは画面が暗すぎて誰が誰だか判別できなかった記憶があるけど、今回はだいぶクリアな画面で見ることができた。 これが公募による脚本だというのもすごいですよね。脚本そのものがすごいのか、それを力技でまとめ上げた演出がすごいのか分からないけど、公募シナリオだからこそ出来上がった異常な傑作という気もします。 いびつな思春期の、まともに説明のつかない行動原理で動き回り、理性的なコミュニケーションも成立していない子供たちが、台風の夜に裸で踊り狂い、やがて生と死が循環するという物語。この映画の内容を「祝祭」と解釈したりもするけれど、ベルトルッチが共鳴したのも、イタリア人の中に残酷なカーニバルの感覚があるからかもしれません。狂気にリアリティがありすぎて、「シャイニング」や「犬神家」の悪ふざけのパロディも、たんなるパロディでは済まなくなってトラウマになりかねないほど強烈だし、10代でこの映画に出演させられた人たちは、精神に異常をきたすんじゃないかと心配にさえなるレベル。 とんでもない映画だけど、狂気をセンセーショナルな見世物にする制作動機が好きじゃないので1点減点。
[インターネット(邦画)] 9点(2022-03-30 13:29:07)
94.  フェリーニのアマルコルド 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。このニーノ・ロータの曲は好んで聴いてたけど、映画を観たのは初めて。予備知識なく見始めて、最後まで何の話なのか分からないまま、ワケワカランと思いつつも面白いので見てしまいましたが、要するに家族とご近所のエピソードを綴った回想録なんですね。「春の火まつり」「教室の悪戯」「食卓の喧嘩」「教会の懺悔」「ファシストの拷問」「国王のホラ話」「木登り叔父さん」「アメリカの客船」「霧の朝」「煙草屋の女」「大雪の日」「母の死」「グラディスカの結婚式」…と、およそ2時間で全13話くらいのエピソードが描かれてるので、一話につき10分くらいの「サザエさん」的な笑話集だといえます。ノスタルジックではあるものの、1930年代の北イタリアを描いたこちらの映画は、1960年代の東京を描いたサザエさんに比べて一つ一つのエピソードがかなり過激で下品で濃厚ですけど(笑)。 平均点は低いだろうかと思いきや、すごい高評価なのにびっくり!たしかに、すごく映画らしい映画だと思います。このレビューサイトはスピルバーグ好きが多いという印象だったけど、こんなにフェリーニ好きが多かったとは新たな発見です。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-03-30 12:55:01)
95.  アポロンの地獄 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。パゾリーニを見るのはたぶんこれが初めて。かなりヘンテコな映画だけども抗しがたい魅力を感じる!本来なら繋がるはずのないカットが無理やりに繋がってるし、ギリシャ神話なのに日本の雅楽が流れてくるし、文法的な常識をめちゃくちゃ逸脱してるけど、まるで夢を見てるようなデジャヴに襲われてるうちに、奇天烈なイメージの連続で脳天が麻痺してきて、あれよあれよと最後まで押し切られてしまいました。デタラメな文法がかえって神話の説得力を増してる感じ? このぐらい力技があったら、もう文法とかどうでもいいんだなあと思わせる説得力があります。これぞイタリア映画ってな濃厚な作風に痺れました。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-03-29 23:49:23)
96.  美しき諍い女 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。映画についての神話みたいな自己言及的な映画。物語全体が比喩で出来ている。冒頭のシークエンスで、見る者と見られる者、撮る者と撮られる者の主客が逆転して、それを端から見物してる観客がいて、作品を商売にする錬金術師が現れる。ずっとセミの鳴き声が聞こえていて、ずっと陽光が射していて、まるで複数のカメラで中断せずに撮ってるのかと思うほど、およそカット割というものを感じさせることなく空間と演技が自然に流れていって、ただ字幕も見ずにボーッと眺めていたいくらい幸福な美しさがあります。 アトリエに入ってからは、ドラマとドキュメンタリーの境界をめぐる物語。絵画製作部分は完全なドキュメンタリーだけど、ある意味ではエマニュエル・ベアールの裸もドキュメンタリーだといえるし、画材の音などにもドキュメンタリーの要素があって、その境界を意図的に取り払おうとしてる。ただ、ドラマの合間合間に絵画制作ドキュメンタリーが差し挟まれることのぎこちなさはあって、ドキュメンタリーとの融合によってドラマの真実味が増すというよりも、かえってドラマ部分が白々しく見えてくる逆効果も感じる。絵画の作業に何の魅力も感じない観客にしてみれば、ただ無意味で退屈な時間が長いだけって感も拭えない。 終盤にもなると、だんだん見てるほうの感覚が麻痺してくるのか、ドラマとドキュメンタリーの違いを意識せずに見られるようになってくる。エマニュエル・ベアールの顔はとりたてて美人ではないけれど(どこかしら橋本環奈似)、お尻が大きくてふくよかなプロポーションはとても美しいと思いました。けれど、ほんとうに血の通った「美しき諍い女」の完成品は、壁に埋められてしまって誰も目にすることが出来ません。芸術の不可能性に対する警告。 個人的な好みで採点したら8点が限度だと思うけど、理解しきれてない部分はたくさんあるし、映画史的な重要性も加味して9点にしておきます。
[インターネット(字幕)] 9点(2022-03-29 18:07:03)
97.  横道世之介 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。若いタレントを魅力的に見せる青春映画としては、じつにオーソドックスな作りで良く出来ている。2時間40分というのはずいぶん長いけれど、冗長だと感じるのは最初の30分ぐらいで、それ以降はむしろいつまででも見てられる感じになってくる。 この映画がユニークなのは、時制が前後することによって、物語の結末が途中で分かってしまうこと。しかもその結末は、主人公と関わりの深い友人や家族によってではなく、主人公ともっとも関わりの薄かった女性(伊藤歩)によって知らされる。それによって、この映画の伝えたいことが「結末」ではなく「過程」なのだということを観客は認識する。そして、それは映画の終盤にではなく、むしろ映画の全編にみなぎっているのだということを観客は理解します。 要するに、この映画の主題は「横道世之介の人生を愛でること」と「80年代へのノスタルジー」なのですけど、たとえば「セーラー服と機関銃」や「時をかける少女」が、いまなお若手女優を愛でるためのフォーマットとしてリメイクされ続けているように、この作品も、若手の男性俳優を愛でるためのフォーマットとしてリメイクできる余地があります。今回の高良健吾の起用が(べつに失敗ではないだろうけど)最善の選択だったかどうかは分からない。たとえば池松壮亮や柄本佑が世之介役だったとしても、それなりに成立しただろうな…という想像はできてしまうし、あまりにイケメンすぎる役者だと、ただの「リア充」に見えてしまうので、むしろイケてない俳優を起用したほうが、かえって愛おしさは増すだろうという気もします。 実際、この映画では、高良健吾よりも吉高由里子の輝きのほうが上回って見えてしまうという面は否めない。 長い映画にもかかわらず評価が高いのは偉いですけど、このサイトの平均点はちょっと高すぎなのでは? 6点台で十分でしょ。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-03-29 14:03:26)
98.  リメンバー・ミー(2017) 《ネタバレ》 
非常に良くできている。往年のディズニー映画にも引けを取らない完成度。スペクタクルもサウンドもメキシコらしさをよく表現していて魅力的。その生と死が交錯する世界をユーモラスな想像力で美しく映像化しています。伏線の回収の仕方も緻密で隙がなく、脚本がしっかり立体的に構成されているのが分かるし、総じてクオリティが高い。ガイコツの擬人化はもちろん、民芸品のアレブリヘ(Alebrije)をキャラクタライズするなどの発想も目配りが効いている。 欲をいえば、物語の帰結があまりに王道的にすぎて、やや批評性に乏しいところでしょうか。中盤まではシンデレラやラプンツェルのように「毒親から解放される子供の物語」かと思っていたので、最終的にごく良識的な「家族主義」におさまってしまったのはかえって肩透かしでした。たしかに「家族で安心して楽しめるファンタジー娯楽作品」としては満点の出来ですが、引っかかる要素がなさすぎて、ジブリなどの日本のアニメに比べると、あまりに結論が良識的かなあという気もします。
[地上波(字幕)] 8点(2022-03-29 13:15:22)
99.  千年の愉楽 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。若松孝二の映画を見るのは初めてです。非常にオーソドックスな作りで、どこにも難しいところがなく分かりやすい映画でした。強いて難点があるといえば、佐野史郎の遺影が喋り出す演出が、どうにもコントっぽく見えてしまったことでしょうか。 なぜ三重県の物語に奄美大島の民謡を重ねたのか分からないけれど、とくに違和感はなかったし、わたしはもともと「日本でいちばん歌がうまいのは中村瑞希」だと以前から思ってたので、彼女の歌声を映画に記録した意義もあると思います。 中上健次の物語は、要するに「色男の血統」についての神話なのだけど、そこに日本社会の「貴賎」の構造を重ねて説得力を与えています。「高貴な血統だから色男なのだ」という理屈は、逆にから言うと「色男だから高貴になったのだ」とも言える。このような社会学的視点を、福田和也は「インチキ」だと言ってますが、意外に社会の支配階級なんてのは「色男だから」とか「喧嘩が強い」とかその程度の理由で決まったのかもしれませんよね。 客観的には8点ぐらいの評価でいいかもしれませんが、個人的に好みの内容じゃなかったので7点。
[インターネット(邦画)] 7点(2022-03-29 12:50:30)
100.  Wの悲劇 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。昔観たつもりだったけど、これまたちゃんと観たのは初めてだったかも(笑)。 じつによく出来た映画です。脚本も素晴らしいし、蜷川幸雄による劇中劇も美しいし、演技も申し分ない。原作は読んでいませんが、武井咲のTVドラマなどで内容はおおむね分かっていたし、やはり原作を分かってるほうが、この脚色の妙をいっそう楽しむことができると思います。 強いて欠点を言うならば(蜷川の演技がいちばん下手クソだったのはご愛嬌として)、一般に名場面として知られているラストの「泣き笑い」のシーンが、わたしには、ちょっとクサいかなあ、と思えました。嘘の人生に耐えられなかった男と、嘘の人生を引き受けようとする女の対比というコンセプトが、このラストへと帰結する必然性は理解できるのだけど、それだけに無理やり押し込んだ観念的なラストのように見えます。わたしとしては、世良公則が刺されてすべての嘘がバレてしまうもっとも哀れな場面で終わったほうが良かったと思う。 いずれにせよ、澤井信一郎については、さらなる再評価があっていいのになと感じました。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-03-21 22:52:24)
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