1561. 緑の光線
ただひたすら自立性のない主人公のうじうじああだこうだを延々と聞かされる作品。会話の長回しを見ていると、これだけの台詞を覚えた役者の記憶力は凄いと思うが、ただそれだけです。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2018-09-19 00:29:19) |
1562. きっと、星のせいじゃない。
《ネタバレ》 導入部は、ありがちボーイ・ミーツ・ガール系で凡庸な雰囲気が漂っているのだが、作家との対面シーンで一気にドラマが動き出す(やはり、デフォー先生の引き締め力は凄い。1人で場の芝居も全部コントロールしている)。それを受けた後半では、変な感傷や情緒を排して、迫り来る「死」を語り、向き合い、受け容れようとしているのが良い。だから、母親も「娘亡き後の自分」を、当の娘に堂々と語れるようになっている。難点は、男優の彼の方がどう頑張っても存在感弱すぎなところかな・・・。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2018-09-18 00:24:42)(良:1票) |
1563. 悪の花園
《ネタバレ》 前半はほとんど「ただ移動しているだけ」で、峠道の迫力を除けば、さして見所はありません。旅程を重ねるうちに、訳ありそうな各登場人物(ヒロイン含む)の思惑の重なりが・・・なんて要素も考慮されてないし。で、中盤で夫が救出され、こいつがいきなり予想外に嫌な奴なのが生きて(笑)、そこから心理の綾が生まれてきます。と思ったら、順当に下の方から退場していって、せっかくの物語も膨らみませんでした。あと、音楽がとにかくどのシーンでもしつこいなあと思っていたら、バーナード・ハーマンですか。こんな気品のないこともやっていたのね。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-09-11 01:16:19) |
1564. セッションズ
《ネタバレ》 ポリオも四肢麻痺もそれは前置きでしかなくって、あくまでもメインテーマは、セックスを通じた主人公(と周辺人物)の変化。そこに明確に照準が絞られているのが素晴らしい。あれこれ考えが先走って、原始的な喜びを忘れているかのような導入部の主人公は、裏からの現代社会への風刺のようにも感じる。●ヘレン・ハントという絶妙なキャスティングが、作品をさらに意義あるものにしました。知性と優しさを同時に感じさせ、プロとしてのセックスセラピストの技術と誇りも同時に表現し、さらにヌード(この作品では当然ながら欠かせない必須の要素)も、整いすぎず崩れすぎず、いかにも身の回りにいそうなバランスある肢体。名演に拍手です。●ヘレンが最初に脱ぐときに全身ショットで仕草をきちんと収め、トイレのくだりで突然主人公が興奮する、など、性的思考のプロセスの一つ一つをきちんと押さえているのも、テーマに向き合った制作者の真摯な姿勢を感じる。●モーテルの受付の彼だけ、登場の意味がよく分からなかったかな・・・。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2018-09-10 01:24:47) |
1565. 恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム
《ネタバレ》 30年前に悲恋ロマンスがあって、そこから輪廻転生を経て現在のロマンスが、なんて、その設定だけで一級品のインド映画になりそうな予感。はたして、(1)最初の30分で話がちっとも前に進まない、(2)そこから2人のああだこうだだけでさらに30分、(3)そこから突然怒濤の展開、と正しくボリウッドのお作法を踏んでいる。後半は、敵に対する復讐プランがメインになってて、輪廻のあれこれはどこかに行ってしまうのだが(大体、あれだったら、後半のヒロインはただの瓜二つってだけで、輪廻も何もないやん!)、クライマックスのあの1曲のパワーはもの凄い。仮面舞踏会風のボリウッド・ダンス(!)に乗せて、敵ボスへの告発ソングを延々熱唱するシャー・ルク、それに重なるオペラコーラス。ここにたどり着くためのそれまでの2時間半でした。●ところで、作中で主人公が演じていた「ラブラブマン」、それはそれで1つの作品として見てみたい、と思った人は、結構いるのではないかと思うが。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2018-09-10 01:22:16) |
1566. 家族の四季 -愛すれど遠く離れて-
《ネタバレ》 親が反対する相手と結婚しようとした息子が、親から勘当され、そして和解する。いや、本当にたったそれだけです。よくもこのベタでシンプルな内容で3時間半も引っ張れるものです。話がさっぱり前に進まないのはインド映画の美徳ですが、さすがにこれは水増し感が漂っています。しかも後半はそれぞれの弟妹の方に完全に焦点が移っていて、本来のカップルは添え物状態だし・・・。●それにしても、あの大スター、シャー・ルクも、バッチャンの前に立てばまるで子供なのが凄い(いや、もちろん子という設定なのですが)。「この人とサシで芝居ができて嬉しい」というミーハー的雰囲気すら漂っています。 [DVD(字幕)] 6点(2018-09-08 01:56:10) |
1567. DON(ドン) 過去を消された男
《ネタバレ》 悪の親玉、ドンの身代わりとして、瓜二つであるその辺の青年であるヴィシャイを送り込む(シャー・ルクの二役)・・・という、ハリウッドにもありそうとはいえそれなりに凝ったストーリーなのですが、そうだとすると、いろんな心理の綾とかすれ違いとか細かい表現が要求される。そうすると、いかにもボリウッド~にしようとしている作り方とは、合わないのです。歌の入れ方とかも、かなり無理矢理ですし。オチもまあ、ひねっていると言えば言えますけど、ほかに手法がなくなってひねりのためにひねっただけのような・・・。 [DVD(字幕)] 4点(2018-09-05 23:29:34) |
1568. マクリントック
ウエスタンの皮を被ったホームドラマでした。喧嘩やら討ち入りやらで一触即発っぽい雰囲気になっても、まあまあみたいな感じで平和に流される。それはそれでよいのですが、一つ一つのシーンに丁寧さがないため、全体がただの継ぎ接ぎになっています。あと、笑わせようとしているかのような場面でも、全然笑えなかったな・・・。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2018-09-05 23:23:36) |
1569. ホワイトナイツ/白夜
亡命した一流ダンサーが不時着で故国に戻る羽目になったなんて、凄く面白いことになりそうな設定なのに、やってることというか作品の作り方は青春王道系そのまんまなんです。おまけに、挿入曲はベタベタの80'sUSミュージック丸出し。バレエシーンの入れ方はかなり強引。このミスマッチぶりがたまりません。素材の方向性に反して、重たさが足りなすぎるんですよね。ソ連人が100%一方的な悪役というのも、時代を感じさせます。 [DVD(字幕)] 5点(2018-09-04 02:13:26) |
1570. ホンドー
《ネタバレ》 前半はなかなか期待させるのです。ジョン・ウェインとジェラルディン・ペイジの感情のゆらめきはいい感じだし、ウェインの手作業のいろいろを丁寧に撮っているのも効果的です(しかもそれをしながらの会話の長回しという小技も)。ところが、中盤以降がものすごく適当なのです。アパッチの長が子供に敬意を持って接するのも、その後に全然生かされていない(どころか、最後は一言で切り捨てられている)。で、襲ってきたのを撃退してそれで終了って、どうみても脚本が息切れしてるんですけど、いくらなんでも諦め速すぎでしょ。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-09-01 01:21:17) |
1571. ブラジルから来た少年
70年代後半サスペンス特有の、じわじわ~っと危機が迫ってくるような雰囲気は悪くないのですが・・・ミステリーとして見た場合のウラはともかく、登場人物の行動に変化やドラマがないので、映画を見ているというよりも、よくできた小説の映像再現版を見ているような気になるのです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-08-28 23:49:54) |
1572. アシュラ(1993)
《ネタバレ》 インドの映画制作者の場合、「さー虐げられた美しいヒロインの復讐ものを作るぞ!まず、ヒロインをあんな目にもこんな目にも遭わせて・・・」と無駄に気合が入る→そこだけで完成版1.8本分くらいのボリュームを撮ってしまう→「あ!ここから復讐しないといけないんだった!えーい、超特急で撮ってしまうぞ!」みたいな作り方をしているんでしょうか・・・。だって、2時間50分のうち2時間10分くらい、延々とヒロインが理不尽な目に遭わされ続けるのですから。そこから待ってましたの復讐に入るのですが、これが何ともあっという間で、むしろ復讐としてちゃんとしているのは最初の所長くらいです。というわけで、見る側には、終盤までを耐え抜く精神力と、エンディングで「あれだけやられてこれだけかい!」と憤らない心の広さが必要。 [DVD(字幕)] 4点(2018-08-27 01:25:52) |
1573. たとえ明日が来なくても
インドの大作の場合、話がちっとも前に進まないというのは一つの美徳なのだが、この作品はこれが裏目に出ちゃってるなあ。ほとんどは主要登場人物3人の間だけで、結局締めの部分まで延々とほとんど前に進まなくなってますから。父親がどうのこうのというのも中途半端であまり機能してないし、いっそそれなら、医師プリヤが絡む綾とか、少女ジアの出番を増やすとか(この子が登場すると、割と画面が面白くなっている)でもっと脱線していった方がよかったかも。 [DVD(字幕)] 5点(2018-08-25 23:43:03) |
1574. カプリコン・1
《ネタバレ》 いや、この設定からして、でっち上げがあれこればれそうになるのを何とか3人で頑張ってごまかす、みたいなドタバタ系コメディを勝手に想像していたんですよ。ところがどんどんシビアな雰囲気になってきて、逃走開始以降はさらにハードになってきて。この辺でやっと、「えっ?そういう作品?」と気づきました。しかし、特に記者側の見せ方はなかなか巧くて、一番しびれたのは、奥様のわずかな表情の変化から違和感を追究し始めるくだり。それと、友人の部屋入れ替わりのところで、背景や結果をまったく説明しないことによる、情報の欠落がもたらす静かな恐怖。ただ逆に、3人組の方は進行するにつれて単調になってしまいましたし、最後の方はちょっと都合良すぎでした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-08-21 02:47:12) |
1575. チェーン・リアクション(1996)
内容的にはまったくどうということもない作品。せっかくマニアックな科学者という設定なんだから、もっと頭脳戦を強調する手もあったと思うのですが。レイチェル・ワイズの自然な可愛らしさに4点。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2018-08-19 23:49:58) |
1576. 華麗なる激情
システィナ大聖堂を(絵の制作過程も含めて)ここまで再現してみせた執念はさすがですが、やっぱり、「再現」にはなっていてもそれ以上のドラマにはなってないんですね。ほとんどは、教皇の「速く作れ!」とミケランジェロの「まだできん!」のやりとりの構造だけで済まされています。どうも、制作の意図としては、この教皇とミケランジェロの確執だったり共感だったりをテーマにしたかったっぽいのですが、人格的な突っ込みが表層部分にとどまっているので、結果、登場人物が動いていません。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-08-17 01:06:55) |
1577. コンフィデンス
《ネタバレ》 レイチェル・ワイズの美しさに+1点、と思ったけど、オチがあまりにも下らないので-1点。ガルシアの一人勝ちであとはみんな負けでした、というラストの方がずっとよかったと思うけど。 [DVD(字幕)] 4点(2018-08-15 00:10:53) |
1578. マイネーム・イズ・ハーン
《ネタバレ》 いくつかの先例作品のエッセンスは容易に感じさせるが、その模倣に陥ることなく、さらに剛直な芯で一本が貫かれている。特に、「前」と「後」、すなわち入口の2人の結びつきの部分と、釈放された後の部分をきっちり描いているのが、作品に厚みを増している。主人公がやりたかったことのすべてをたった一言で凝縮したタイトルも秀逸。●気になったのは、密告を完全に「良いこと」として位置づけていること(それってマッカーシズムと同じ発想だし、そもそも、あの会話だけでは逮捕理由にはならないのでは?)。それと、最後の一言は、大統領に二人称で言わせるのではなく、あくまでも主人公の口で言ってほしかった。 [DVD(字幕)] 7点(2018-08-14 01:45:47) |
1579. トレマーズ
《ネタバレ》 導入部は平坦な上にごちゃごちゃしていて今ひとつなのだが、いざ戦いが始まってから充実感が急上昇する。「岩場には登れない」とか「音や振動にしか反応しない」という素朴なルールをフルに駆使した、シンプルさが生み出す瑞々しさ。みんながそれぞれの建物で屋根に登っているシュールな構図。お姉ちゃんのズボンを無意味に脱がすアホらしさ(素晴らしさ?)。余計な要素がないからこそ、制作者のセンスがそのまま具体化されています。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-08-09 01:14:59) |
1580. トランボ/ハリウッドに最も嫌われた男
映画史に名を残すこの人を、あえて映画で表現しようとした時点で、かなりの覚悟が窺えますし、実際に緊張感も窺えるのですが・・・それは制作側としての緊張であって、映像としての緊張ではないのです。むしろ、萎縮してます。実際にトランボが関わった作品やその関連の映像を惜しみなく提供する一方で、それ以外の登場人物の動きの部分は、一つ一つのシーンの突っ込みや引っ張りが甘く、驚くほど単調です。家族描写のところもありきたりで、あれならあの辺はむしろカットした方がよかったかも。結局、一番強力だったのは、ヘレン・ミレンの怪演でした。 [DVD(字幕)] 5点(2018-08-08 01:46:45) |