161. ゴッドファーザー PART Ⅱ
《ネタバレ》 現在のパートが妙に緊張感に欠けるなあと思っていたのですが、キューバのシーンや公聴会のシーンは、もう少し刈り込むべきでしたね。ロスとの対決も、終わりそうで終わらない割に締め方は妙に乱暴です。他方、過去のパートは、引き締まってはいますが、不遇時代に重点が置かれすぎで、ビトーが「のし上がっていく過程」をもう少し見たかった。ただし、いずれについても、入国のシーンにせよお祭りのシーンにせよ、ちょっとしたところでもきちんとセットやエキストラにこだわっているところは素晴らしく、作品に重厚感を与えることに貢献しています。 [DVD(字幕)] 6点(2008-04-07 01:19:24)(良:1票) |
162. 復讐するは我にあり
《ネタバレ》 前半の緊張感は文句なし。特に、最初の2人の殺害で、1回ではすぐに殺害に至らずに抵抗され、必死になってもみ合う描写が、生々しい現実感を与えている。緒形拳の演技は、殺人者と詐欺師の両方の性質を持ち合わせている主人公を全力で表現していて、彼のキャリアの中でも出色だと思う。なんだけど、途中から延々と浜松のシークエンスが続き、緊張が薄れてしまいました。実際の事件では、浜松の後にもいろいろと起きているし、何よりもこの事件で劇的なのは、熊本で11歳の少女に正体を見破られて逮捕される部分でしょうに。そこを改変してどうするの。それが一番残念です。 [DVD(邦画)] 6点(2008-03-20 05:24:48)(良:1票) |
163. 鬼畜
《ネタバレ》 東京タワーのシーンで、最後の一瞬で良子が振り返って目が合い、その瞬間に扉が閉まる。その後はまったく良子は登場しない。この容赦なさには痺れましたが、他方、利一については、砂の器の使い回しみたいな感じで父子旅が延々と続いて、中延びしてしまいました。最後も、なんか親子の絆みたいな方向に話が向いてしまって拍子抜け(ラストは利一のアップだし・・・)。それよりも、タイトルがこうである以上、主人公夫妻の人間としての堕落ぶりと崩壊ぶりをもっと見たかったし、岩下が終盤でほとんどいなくなるのも不満。本来、父子関係よりも夫婦関係の方が中心であるべき設定ではないだろうか。 [DVD(邦画)] 6点(2008-02-17 01:55:18) |
164. 青幻記 遠い日の母は美しく
《ネタバレ》 沖永良部島を舞台に、主人公の少年時代の母親との日々を回想する作品。前半はあまりにもばたばたと進みすぎで、何が主題なのかを捉え難いが、母親が存在感を増してくる後半の印象はなかなかである。特に、クライマックスの、満潮の海での離別のシーンのインパクトは強烈。難点は、現在のシーンが次から次へと出しゃばってくること(全体を通じて、現在:過去が4:6くらいなのでは?)。回想がブツ切りになって、浸れなくなってしまいます。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2008-02-01 03:27:33) |
165. さらば青春の光
《ネタバレ》 これって、単に主人公の自堕落なウダウダした生活をそのまま追ってるだけでは・・・と前半は思っていました。同じようなシーンが繰り返されているのも気になりました。しかし、それでも、ホテルの入口に昔の悪仲間を発見するシーンがもたらす虚しさから始まるラストへのシークエンスは、なかなかの味わいがあって見所ありです。 [DVD(字幕)] 6点(2008-01-11 03:49:13) |
166. エイリアン
《ネタバレ》 音楽はほとんどなし、効果音も必要最小限。じっと息をひそめて自らも船内に潜んでいるかのような描写。このような手法が、奇妙な地に足の着いた生々しさを醸し出しています。また、最も印象的だったのは、最後、生き残ったリプリーが孤独のままに飛び続けるところ。生還してみんなで大喜びとか、通信が復活して希望が甦るとか、そういう陳腐な盛り上がりのない気怠さと疲労感に満ちた締め方が、何ともいえない余韻を残しています(2への絶妙なつなぎにもなったわけですが)。 [DVD(字幕)] 6点(2007-12-31 00:57:12) |
167. 時計じかけのオレンジ
内容的には、インパクトを狙いすぎてて頭が痛くなる場面も多々あるのですが、カメラワークと色彩感覚、小道具関係のセンスは今見ても絶品。映画としての重量感みたいなものを感じます。 [DVD(字幕)] 6点(2007-12-25 01:55:30) |
168. カッコーの巣の上で
《ネタバレ》 中盤まではずっと、単純なやりとりを単調に流しているだけで、患者たちの個性もあまりあるように見えなくて、面白味に欠けると思っていたのです。しかし、びっくりしたのは、どんちゃん騒ぎの後に現場に赴いた際のルイーズ・フレッチャーの一連の演技。滅茶苦茶になっている(部外者までいる)現場を見て、これはさぞかし婦長激怒かと思いきや、彼女は、噛みしめるように、一言一言、3人の看護士に向かって冷静で的確な指示を出す。無表情の影で頭が超高速回転をしているのがよく分かる。しかし、そんな彼女も、唐突に発生した患者の自殺という事態には耐えきれず動揺し、「言ってはいけない」一言をつい発してしまい、自らの生命の危機を招く(このときの失神しかかっている表情も凄い)。その後のシーンで、少し穏やかで愛想もなくはない様子が描写されているが、あの首のコルセットは、これから彼女が背負い続ける十字架の象徴なんだろう。それと、パーティの最後の、数秒間続くニコルソンのアップは、何とも意味深。彼は、自分が脱走という大事の実行など実はできない人間であることを知っていたのではないだろうか。婦長に襲いかかった彼の行動には、自分に対する怒りも含まれていたのではないだろうか。 [DVD(字幕)] 6点(2007-12-17 02:08:42) |
169. ロッキー
一番良いのは、前半のぱっとしないチンピラ生活を、しっかりと時間をかけて描いているところ。それによって、メインの試合が、単なる晴れ舞台を超えた人生の重要な一場面として機能している。まわりの人も、そんなに格好良くない不器用そうな人たちばかりであるのも良い。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-06-09 23:09:57)(良:2票) |
170. ブラザー・サン シスター・ムーン
《ネタバレ》 最初の15分くらいは何の話なのかさっぱり分からなかったし、途中でも眠くなるところは数か所あるのだが、やはり、内なる真理に目覚めて冨を捨て去り野に出て行くシークエンスの緊張感、そしてラストの謁見の場面の力強さは強烈。こういうところでポイントをしっかり押さえられると低い点はつけられない。映像も美しいです。 [DVD(字幕)] 6点(2007-05-25 02:42:38)(良:1票) |
171. 激突!<TVM>
《ネタバレ》 カメラワークの教科書のような作品だと思います。ただ2台の車が走っているだけなのに、アップ/ミドル/ロングを使い分け、また車の中から/前から/横から/ミラー越しなど自然に視点を移動させることだけで、大きな緊張感を作り出しています。最後の転落後の、少しずつ各部品の動きが止まっていくところを嘗めるように撮っていくカットも印象的ですね。背景の説明ほとんどなしなのも、潔くて良い。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-12-31 00:19:25)(良:1票) |
172. タクシードライバー(1976)
ストーリーは一歩誤ったら破綻しそうなほど危なっかしくて適当なのだが、それを凌駕しているのは、夜のNYを舐めるように上から下から取り尽くした映像と、それにかぶさる気だるく破滅的なサックスの音色。まるで、スコセッシ監督とNYの街の2時間に及ぶ壮絶なセックスを見せつけられた気分である。見ている方もぐったりするしかない。ところで、ジョディの出番が意外に少なかったのは、演技を見た監督が焦って登場部分を縮めたからではないのかな。デニーロも食われかけてるよ。 [DVD(字幕)] 6点(2006-12-19 01:47:03) |
173. 天国から来たチャンピオン
設定だけで面白くなるのが見えてきそうな話なのですが、最後の方の展開がかなり強引なのと、いろいろなネタを整理し切れていないのが難点。脚本は素直に別の人に書かせればよかったのに。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-10-18 09:37:44) |
174. 恐怖のメロディ
《ネタバレ》 「危険な情事」の元ネタはこんなところにあったんですね。前半は、初監督とは思えないほどの堂々とした進行で、特に、野原でいちゃつく2人からカメラが上後方に移動すると、林の中からイブリンがじっと2人を見ているショットなんて、ぞくっとします。しかし、一度イブリンが拘束された後、特に無意味に長いラブシーンあたりから急に手抜きっぽくなってきたのは、何だったんでしょうね。 [DVD(字幕)] 6点(2005-07-24 15:52:37) |
175. ローズ
ベット・ミドラーの熱唱・熱演は見事だし、エキストラの動員やバックステージの描写など、ステージシーンをきっちりと作り込んでいるのも好感が持てる。もっとも、全体の比重はその歌唱部分に大きく寄りかかっており、それ以外のシーンはみんなが好き勝手に騒いでいるだけという気がしないでもない。 [DVD(字幕)] 6点(2005-06-15 02:11:18) |
176. フレンチ・コネクション
カーアクションもなかなかだったが、それよりも駅での乗ったり降りたりとか、車を解体して麻薬を調べるとかいうような単純な設定を引っ張っての緊迫感の方が印象的だった。全体的に、無駄な装飾を一切排したことで、逆に制作者のテンションの高さを感じることができる。ラストのあっけなさも潔い。 [DVD(字幕)] 6点(2005-06-04 03:20:04) |
177. 幸福の黄色いハンカチ
《ネタバレ》 一番素晴らしいのは、現在の倍賞千恵子を最後まで見せないという演出。それと、最初は新品のファミリアが、段々と汚れていくところ(登場人物の成長を象徴している)。武田鉄矢は、演技は素人同然だが、必死さと懸命さは伝わってくる(この映画の時点で、彼は、「『母に捧げるバラード』で一発当てて即座に消えただけの一発屋兄ちゃん」にすぎず、生活はアマバン時代よりも悲惨だったのです)。桃井かおりは、前半は変に力が入っていて鬱陶しいだけ、後半は良い。あと、全体的に、方言の統一がまるでなされていないのが難点。 [DVD(邦画)] 6点(2005-04-15 23:44:08)(良:1票) |
178. ハンガリアン
第二次大戦中にドイツに出稼ぎに行ったハンガリー人たちの話なのですが、そんな不利で過酷な状況でも平然と自我を保っているハンガリアンの誇りの高さが素晴らしい。製作年代も手伝って、作品全体にプリミティブな民族パワーが溢れています。ところどころ、不必要と思われるシーンはありますが・・・。 [DVD(字幕)] 6点(2004-12-04 15:00:17) |
179. ダーティハリー
《ネタバレ》 よくまとまった刑事物なのだが、犯人を明確に発見していながら出口も封鎖せずにあっさり取り逃がしたりとか、身代金の要求に即座に屈したりなど、捜査機関そのものがまったくオマヌケであるのがどうにも気になった(なので、せっかくの悪役が光っていません)。ただし、今に至るまで語り継がれる主人公のキャラクターに関する創造力については、称賛されるべき。 [DVD(字幕)] 6点(2004-11-22 02:44:41) |
180. コンフィデンス/信頼(1979)
ナチ占領下のハンガリーでの話なのですが、主人公の環境と同様に何の背景的説明もなく展開される前半の緊迫感は素晴らしいです。中盤の主人公の心の動きもなかなかよく描写されていますが、その後が何か妙に落ち着いた雰囲気になってしまいました。ほとんどのシーンが、まるで舞台劇のように隠れ家の中だけで行われていますので、外の光景をもっと取り入れて、対比をきちんとしてほしかったと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2004-11-11 02:35:19)(良:1票) |