1. 大脱走
スクリーンで観ることができる機会に恵まれ、このチャンスを逃すものか!と映画館に乗り込んだ。いつも行くシネコンとは全く違う客層で平均年齢をこのワタシが下げているくらいのおじ様おば様に囲まれ鑑賞。幼い頃からTVでもう数えきれないほど観たこの作品だけど、自分が歩んできた歳月が映画により深い味わいを与えていたのです。バーンスタインの音楽はより軽快で勇壮、マックィーンのチャーミングさに微笑んで、アッテンボローの男気に感銘し、コバーンのおおらかさに癒され、ブロンソンのワイルドな中に潜む憂いさに感じ入る。マックィーンが鉄条網から手を伸ばしたその先には限りなく雄大な自然が広がり、何よりも求めた自由を奪われた時の切なさ。そして男たちが迎えた現実に涙と安堵と…大きなスクリーンから流れる音と映像は、記憶していたものより深く心に飛び込んでくるものでした。マックィーンのコミカルな演技におば様から幾度となくあがる嬉しそうな笑い声。「そうそう、彼ってこんな表情をしてたのよ。」とそんな気持ちが伝わってくるような。今はお手軽にどこでも映画が愉しめる時代。でも、スクリーンを前にさまざまな人々と共に映像と音楽と空間を共有し、その息遣いやぬくもりに囲まれて鑑賞する。きっとこれが映画の正しい観方なのかな、と。そろそろいい年になったワタシに少しづつわかってきたことの一つだったりする。 [映画館(字幕)] 10点(2005-06-17 00:00:01)(良:5票) |
2. マッハ!!!!!!!!
凄いですね、筋肉が。純朴な田舎モノ風情と筋肉のコントラストが最高です。アクションシーンの動き一つ一つをスローモーションで次から次へと魅せてくれます。美しい。神聖な域に達しています、思わず合掌です。タイのタクシートゥク・トゥクでのカーチェイスなんて、すごいんだか安っぽいんだか訳分からないですが迫力です、楽しめます。ムエタイの試合前に荒縄を腕に巻き付けるシーンなんてウハウハです、鳥肌が立ちました。ほこりっぽい黄味がかった画面がまた荒削りな感じで言うことなしです。すいません、全く飽きないです。あとはトニー・ジャーがやたらと製作費をかけた超大作の垢にまみれないように祈るだけです。 10点(2004-07-29 13:59:41)(笑:1票) |
3. プリシラ(1994)
《ネタバレ》 “自由を求めた、思うままに生きた、その代償は大きかったの。 パラダイスには行ったけれど、本当の私には会えなかったのよ・・・“ とシャーリーンの切ない歌そのままに、ミッチの想いが語られるオープニング。 売れ残りのペンキで塗られたバス、プリシラ号は、彼女達(彼等)の生き方をあっけらかんと見せつける自由なピンク、そして弱く傷つきやすいピンク。 大自然の中で三人が感じたものは、ありのままの姿で生きるべきという事?自分たちの抱える傷はちっぽけだということ?個性や見てくれや性別が違っても結局この世で生きているものには大した違いなんか無いということ? そんな三人をとりまく人々には優しさのフィルターがかけてあり、騒がしくも穏やかにストーリーは進み、自分たちのあるべき姿を捜し求める、男からも女からもかけ離れたように思える彼女達に自然と感情移入してしまった。 そしてエンディングにかかるバネッサの歌、 “太陽が月の周りを回ることだってある、 チャンスはもうないって思ったとき、あなたは手を差し伸べてくれた” 思いもよらぬことが起きるもの、誰にでも小さな奇跡が起こるのよ、とミッチの熱のこもった口パクに、ちょっと感動、ちょっと泪。 私だって自分だけの小さな奇跡を見つけられるという気持ちにさせてくれた作品です。 10点(2004-06-17 00:03:02)(良:2票) |
4. スティング
ラストの痛快などんでん返しに負けないくらいに私の好きなシーンはゴンドルフがロネガンを最初にひっかける、シカゴ行きの列車の中でのポーカー賭博。非情なギャングのボスに対してのやりたい放題の下品なゴンドルフ最高!ニューマンは知的でちょっと下がり気味の目じりがクールなんだけど、人をおちょくったようなふざけた表情がよく似合う。一方潔癖で隙のないロバート・ショウ=ロネガンはもぉひんむいた目がギョロギョロ!テカテカギラギラ怒りを必死で押さえてる様は迫力はあるというより余裕なさ過ぎ、あぁもうニヤニヤ笑いが止まらない。もうこの時点ですっかりニューマン=ゴンドルフに押さえ込まれて勝負ありですね。ここで、ただの売春宿にかくまわれているヒモ同然のゴンドルフが、ただ者ではないっ!と突然華やかなオーラを発し始め、アレ?って感じで私達も見事な手さばきですっかりやられてしまう。そりゃ最後までまんまとだまされちゃうってもんですよ。それから詐欺師協同組合でもあるのか?ってなくらいにあちこちから名うての詐欺師が集うってとこも良いな。ここに描かれている彼らは自分の技術に誇りをもって楽しそうだ。かたぎの仕事に見きりをつけてゴンドルフと落ち合う時のなんと堂々たる生き生きとした表情!それに売春宿のおかみでゴンドルフの愛人、アイリーン・ブレナンってゴッツイ感じのおばちゃんなんだけど、女が憧れるイカす姐御だ!今見なおしてみれば、ニューマン&レッドフォード以外美男美女は出演してるのか?平均年齢の高いキャストだなって感じだけど、そこがまたしっかりとまとまった粋な映画といういい味わいをだしていて、私の幸せなニヤニヤ笑いは止まらないのです。 10点(2004-05-23 00:48:59)(良:5票) |
5. キル・ビル Vol.2
《ネタバレ》 ビルの部屋に踏み込んだブライド。そして…!「Bang、Bang!ママ!」愛らしく成長したBB!!!“ぅおお~おのれビル~!アタシの手でたたっ斬ってやる~(私の心の声です)”娘とのひととき。そしてビルとの対決。五点掌爆心拳が決まる!ブライドを見つめ、5歩歩み去り崩れ落ちるビル。“ぅわ~~ん、さすがアタシが惚れた男だよ~ビルかっこいいよ~(私の声です)”あぁ、Vol.1観た時はちょっとひきぎみだった私のバカバカバカ!こみ上げる泪、エンドロールで溢れ出す泪泪泪…号泣。タランティーノよ「恨み節」にわざわざ日本語の歌詞テロップをつけてくれてありがとう。アタシは日本人なのに女なのにアンタの一割もこの唄の意味がわかってなかったよ。この映画は恨んで恨んで恨みぬいて、その裏で育てて育てて育て続けた「愛」と対峙して「愛」を勝ち獲った女の物語、まさにラブストーリーだった!!! 10点(2004-05-20 00:51:31)(良:1票) |
6. チアーズ!
思い切りHAPPYになれて元気がでるものってイイ!ノリのいいサントラにあわせて飛んで跳ねてどころでなく、アクロバティックな技もガンガンみせてくれて、チアリーディングにすっかり魅了されてしまったよ♪かわいいおねーちゃんのニコニコ笑顔と見事な腹筋の線には、複雑な心理描写も巧妙なトリックも迫力満点なCGもふっとんだわ!これでいーのよ!単純な映画バンザイ! 10点(2004-05-11 17:19:19) |
7. ドラムライン
大学生時代ゼミの新歓コンパで、学生服を着用した先輩が新入り男子を一人づつ呼び出し「俺の所属部をあててみろ、ヒントは体育会系だ」と答えがはずれるごとに日本酒を飲ませ、全員がバッタバタと倒れていく中で最後に「わはは俺はブラスバンド部員だ!」と言っていたのを思い出した。まさしく「ドラムライン」はハードな体育会系青春ドラマ!筋書きは単純。「One Band!One Sound!」「ドラムは脈だ!生命だ!これが止まると死んでしまう!」「リードすることよりも従うことを覚えろ!」という台詞も目新しくはないかもしれないが、音符もよめなきゃ筋肉もない文系の私は素直に感動してしまった。南部スタイルという演奏しながらのダンス!マーチング・バンドのハーフタイムショウだけでも圧巻なのに、これまたドラムラインのバトルは鳥肌ザワザワ立ちっぱなし!是非映画館のスクリーンでの鑑賞をオススメ!主人公デヴォン役ニック・キャノンもいい男。これ以上言うことない!前後の見境なく惜しみない10点献上!<追記>EW&Fって古くさいのね。そりゃそうだね・・・泪 10点(2004-04-20 15:24:54)(良:1票) |
8. 浮雲(1955)
親から聞かされていた“お人形さんのように可愛いでこちゃん”のあの汚れっぷり。あの時代にあの美貌、あのスタイル。コケティッシュで美しすぎるのにねっとりとまとわりついてくるような湿度感、悲壮感。重い、重すぎる。富岡の気持ちもよく分かる。しかし富岡という男もひどい、ひどすぎる。ゆき子のあのみすぼらしいバラックで彼女の気持ちと今の生活を知っていながら「幸せそうだなぁ」(うろ覚えですが)「女はのん気でいいなぁ」と平気で言う。びっくりだ。そういうシーンが何度もある。ラストでは「女なんてどこにでもいるからな」なんて病床のゆき子に向かって言う。なんていう男だ。そんな風にあしらわれてもゆき子は心の底から怒っているように思えない。本当にびっくりした。ワタシはゆき子のような恋愛はしないなと確実に思う反面、二人がそういう成り行きになってしまう気持ちが痛いようにわかってしまう自分に、またびっくりした。これが成瀬巳喜男の技なのか?あまりの退廃的なムードに鑑賞後「・・・・・・」という気持ちになりながら“カルマ=業・・・行為は必ずその結果をもたらし、また現在の事態は必ずそれを生む行為を過去に持っている”という言葉を思い出す。誰のせいでもなく、そういう時代だったからというだけでなく、なるべくしてこうなった、と。そうか、これがどうすることもできない「やるせなさ」なのか。すごいな、成瀬巳喜男。 [映画館(字幕)] 9点(2005-11-24 17:10:47)(良:1票) |
9. 宇宙戦争(2005)
国や政府や軍隊やどこかの特殊機関に関わる要人でない、ただの小市民が主人公で、国家レベルのうんたらかんたらはなし、ただただ自分と家族の命を守るべく逃げ惑う主人公。何がなんだか分からないまま攻撃され、レイが見て聴いたことだけしかこちらにも知らされない。すごい映像、音響、大迫力!コワかったコワかった、あーコワかった。なんとか子ども達の身を守りぬくも、そもそもダメオヤジなレイは、なかなか子どもたちの精神的な支えになってあげられない。泣かせるじゃないですか、トムオヤジ。いい表情していたよ。今まで彼が演じた中で一番共感を持てるキャラクターだな。非常にシンプルなプロットで、トムオヤジの見せ場はあるけど、戦い続け勝ちとったというラストではない。逃げ切った、というだけ。でも生き抜いた、ということは素晴らしいことではないですか。それが無力な私たちにできる唯一の戦い方なのだろう。ガンバロウ中年。 [映画館(字幕)] 9点(2005-06-30 13:33:50)(良:3票) |
10. 父の祈りを
若さというエネルギーは時にどこまでも人を愚かにしてしまう。老いは不器用さばかりを際立たせてしまう。親がどれだけの想いをこめても子は賢明な生き方を歩むとは限らず、ただ深い慈愛と忍耐をもって受け入れるしかない哀しい責務が親にはある。親と子の対峙には、相手の中に自分の限界を自覚せずにはいられない何かを否応なくつきつけられることがあり、血の濃さ・血の繋がりは窮屈で息苦しく逃げ場がない。でも最後に辿り着くところはやはりそこである。実話・冤罪ものは胸がつぶれるほど辛い思いにさせられるが、ポスルスウェイトの真実と正義を見据えたまなざしが救い。守るべきものがあればどんな辛酸をもなめることができる、失って初めて気付く、というテーマは語り尽くされているが、肉体は失っても父の執念・魂は確実に息子の血の中に生きている。気付くことが遅すぎてもいい、そうやって子は受け継いでいけばいいと思う。 9点(2004-09-15 08:56:13)(良:3票) |
11. レザボア・ドッグス
男に生まれ変わって役者になったら、ぜひこの映画に出てみたい!爽やかな微笑みにキラキラ輝く白い歯っていう、絵に描いた二枚目役者で超大作の主役になれなくてもいい。若くなくても、多少腹がでてても、歯並び悪くても、こんな映画の役をもらえるような役者になりたいもんだ。オープニングは最高にカッコいいね。ティム・ロスの瀕死の苦痛に歪む顔がセクシーだったなぁ。 9点(2004-07-05 14:49:07) |
12. ムーラン・ルージュ(2001)
ゴージャスを通り越したゴテゴテの装飾過多、電飾チカチカ目はチカチカ、ピカピカギラギラの金銀メッキが施された猥雑な世界に気持ちもギラギラ、音楽はガンガン頭もガンガン、一夜の享楽に酔いしれての乱痴気騒ぎで目はグルグル。その中で生まれた真実のはかない愛の物語。バズ・ラーマンの描く“The Love”とか“The Truth”って毎度のことながらはまってしまうわ。R-15指定にしたい物語。お子様には観せられないっていう意味じゃなくて、大人のおとぎ話として楽しみたい、シャクだからおこちゃまには観せてはあげないからね~っ、世間の垢にまみれてから観においで~っていう気分になった作品です。 9点(2004-05-25 15:09:42)(笑:1票) (良:1票) |
13. オー・ブラザー!
ただのドタバタコメディでなく、どこか宗教的な教えも含まれた(コーエン兄弟の皮肉なのかな?)とても印象深い作品。クロスロードのエピソードもいいっすね。悪魔に魂売ってカントリーっていいぞ。音楽最高、何回聴いたかな。映像も美しい。で、ホリー・ハンター演じる嫁、エヴェレットとの子どもをあんなにパカスカ産んでおきながらそんなにダンナのこと毛嫌いしなくてもよいじゃないですか。ま、それだけ女はしたたかということですかね。でも愛すべきダメ男達総出演って感じで大好きな映画だぁ。 9点(2004-04-09 23:50:53) |
14. グッバイガール
《ネタバレ》 恋愛モノはほとんど観ない。はいそうです、弱っていた時観ました。主人公の二人、まったくもって普通っぽいというか、多少クセのある男と女でした。結構ダメ人間なのもよかったし、あぁいがみあっていたあの二人がバスルームでイイ感じになって、”だめよ、だめよ”なんてリアルでした。いろんなコト想い出しました。最後は超がつくようなハッピーエンドですよね?素直に良いエンディングだと思いました。音楽もなかなか泣けました。あれ?恋愛モノって自分の経験なんかを重ねて楽しむもんですかね?知らなかったよ、なめていました恋愛モノ。 9点(2004-03-28 01:49:25)(良:1票) |
15. スタンド・バイ・ミー
キングの作品では、理想的な親子像とはいえない親子の関係が描かれる事が多い。この作品では、ゴーディの両親は優秀なスポーツマンである兄を亡くした事をあからさまに嘆き、テディの父親は戦争の英雄であるのに頭がおかしいといわれ、クリスは自分の家庭は悪いから自分はろくな大人にならないと冷静に判断するような環境である。しかし胸がしめつけられるのはそんな両親でも子どもにとってはかけがえのない家族だということ。憎んでいても子どもにとっては自分から切り離す事のできない親。虐待を加えられても愛してやまない存在。ゴーディの哀しさも両親を愛すればこその痛みだと思う。この作品は友情を描いているけれども、少年達を結びつけていたのは、どうにもならない家族に対する切ない想いがあったからではないかと思う。ちっぽけな世界しか知らない無知で無力な子どもにとっては広い世界や知識や強い力をもっているはずの大人であっても、実は不完全な弱い人間であることに何の変わりもなく、自由にできるお金や知識や地位でそれを埋め合わせているに過ぎないのではないだろうか。子どもというのは純粋でかわいくて天使のような存在だとは思わない。冷静で鋭く賢い。ゴーディの父親は残された息子に対しとても残酷なことを言うが、それを言わしめたのは彼の思慮深さや人間的な奥行きがあったからではないか。そんな態度に直面させられた子どもは大変な責め苦を負わされる事になるが、実際ゴーディは素晴らしい友人との親交や様々な経験で少しづつ満たされない想いを埋め合わせていったのではないかと思う。冒険から帰ってきた朝、世界の全てだった街がちっぽけに見えたその時から、大きな存在であった大人達もちっぽけに感じはじめたのではないだろうか。そのようにして少年・少女時代の無邪気な淡い夢は終わりを告げるのかもしれない。 9点(2004-03-09 01:06:13)(良:3票) |
16. 評決
大好きで大好きで、透明な下敷きの中に切抜きまでいれていたポール・ニューマンをスクリーンで初めて見たのがこの映画だった。この頃○カイラインや○レンディのCMに出演していたので知名度も高く、彼の映画をいっしょに見に行ける友達ともやっと巡り合うことができわくわくして出かけたけど、映画館で浮きまくった女子高生の二人組。ちっともスマートでない老けて落ちぶれたニューマンが大写し。映画は重く静かに進行し、あぁこれはきゃぁきゃぁ言いながら見る映画ではないな…と思ったのもつかの間、どんどんストーリーに引き込まれていった。初めて役者としての彼を素晴らしいと意識したのがこの映画だった。オスカーと相思相愛になれないドル箱スターといわれていたっけな… 9点(2004-02-14 00:55:42)(笑:1票) (良:2票) |
17. Mr.&Mrs. スミス
フツーの夫婦を演じているジョンとジェーンでいる間は、たいした会話も反応もないまましらーっと過ごしてるのに、本来の任務についた途端、ものすごいアクションとリアクションの応酬がはじまり、二人とも感情むき出しで生き生きとしてくる。殺し合いしてるのに、会話だけ聞くとフツーの夫婦のそれだという、大変にシニカルな内容になっております。それと、オトコはオンナの過去の経験をやっぱり気にする、と。で、数で負けると卑屈になるってのは普遍なんですね。この二人の場合は殺した人数ですが。この映画って、何も考えずに観られるという方は幸せで、実は、配偶者のことをすご~く考えさせられ、すご~く共感を覚えてしまった人って結構いるんじゃない?“もっとやれー!手加減するなー!”と内心ヒーットアップしてる奥様旦那様がわんさかいるよ、きっと。で、ラストにあーすっきりしたー、フフッ♪と笑えず、なんだよ、あの終わり方!とリアリティの欠如を感じるご夫婦は、ちとヤバイかな、と。 [映画館(字幕)] 8点(2005-12-08 16:13:07)(良:2票) |
18. Ray/レイ
偉大なミュージシャンは己の生きざまを語る時「まずは俺の歌を聴け!」と言える訳で。シビれますよね、カッコイイ。全編に渡ってお馴染みの彼のナンバーに彩られていたお陰で、暗く悲惨なエピソードも私にはそれほど説教臭く感じられなかったのがよかった。なにより彼はいくらロクデナシなことをやっても、憎めない。あの表情、あのプレイ。ジェイミー・フォックス渾身の演技、ピアノ、歌に拍手。偉大なるレイに拍手、そして合掌。彼の歌を聴け! 8点(2005-02-03 16:42:14)(良:2票) |
19. ダンシング・ヒーロー
この監督が描きだす世界はかなり好き。派手な色彩、チカチカキラキラと飾り立ててカモフラージュしてはいるものの、その陰には結構不器用に生きているフツーの人間の姿があったりして。バズ・ラーマンってどの作品でも電飾の使い方がうまいなぁと思うのだけど、享楽と俗っぽさとともに、夜が明けたとき、心が浮かれ立つ喧噪が終わったときに味わうもの悲しさまで感じられてしまう。この作品では、屋上でコ○・コーラの鮮やかなネオン・サインをバックにダンスのレッスンをする二人のシーンがとてもキレイで印象的。この後に続く彼の作品に比べたらこの映画は平凡な人間の生活感が一番あらわれているし、制作費もきっと比べものにならないくらいに低いのだろうけど、誰でも目にしたことのあるあのコーラの赤いネオン・サインが、それはそれは夢のようにロマンチックに輝いていたのでした。 8点(2004-12-09 15:24:58) |
20. connie & carla コニー&カーラ
《ネタバレ》 しょっぱなから始まるコニーとカーラの野暮ったーい、アホっぽーい、だっさーいステージ。目の下にも頬のラインにも年齢が隠せないような状態になっちゃってても、いまだにショウビジネスの世界で成功したいという夢を持っている二人。ここんところが、男はいつまでも夢を見ている少年で通っちゃうのに、女だと頭の中身がなさそーな安っぽいイタイ女になってしまうので、全く損だわーと思うわけですね。でも、同じ女としても正直、哀れだーと思ってしまうのですよ。で、ある事件に巻き込まれ逃亡した先で、ドラッグクイーンになりすまし、ステージに立つのですが、そうすると口パクで売ってるオカマさんの中では生で歌える二人は当然目立つわけで、人気者になっていく。本当は弱い部分を隠しながら虚勢をはっている本物のドラッグクイーンと、ウソという弱みを逆手にとって図太く夢を叶えている二人が親交を深める、というこのなんとも対照的な関係。最初は田舎っぽい年増のバカ女(?)二人組だったのが、ド派手なオカマメイクと衣装に身を包みどんどん自信もつけてキレイになっていくなんて面白いですよ。ステージも楽しませてくれます。それから、悪玉の手下の粗野で強面な男がコニーとカーラを探すためのステージ巡りをするうちに、ミュージカルにはまってしまって・・・なんてエピソードも良いです。コニーとカーラは大口開けて笑っててほんとにキレイ、ハッピーな気分で人生を存分に楽しんでいる姿っつーのを観るのはいいもんです。 8点(2004-12-09 13:54:35)(良:1票) |