1. i 新聞記者ドキュメント
《ネタバレ》 権力と物理的に戦う森達也を見たかった。官邸前を警備するお巡りさんとのやりとりには一触即発の緊張感が無く、森達也につっかかっていく市民も見当たらなかった。『311』で遺体収容現場にカメラを向けて、遺族の方から木っ端を投げつけられた森。『A2』でオウム真理教追い出しデモ行進に参加する市民に不躾な質問して「あんたオウム真理教の人?」と怒られた森。こういうのを見たかった。 願わくば、総理官邸に入りたいとお願いする森に「転び公妨」する警察官と、死んだふりする森達也、まさに『A』での伝説のあのシーンを自分の身を捧げて再現してほしかった。 さすがにそれができないならば、せめてあのアニメーションで転び公妨する警察官を描いてくれれば、往年の森達也ファンは手を叩いて笑っていただろう。 [映画館(邦画)] 7点(2020-03-30 15:26:37) |
2. 楽園(2019)
《ネタバレ》 忘れてはならないポイントがある。この映画3つのチャプター構成になっていて、それぞれ「罪」「罰」「人」とサブタイトルが付されている。ゼゼ監督が生涯をかけて言いたいこと伝えたいことって、まさにこの3つなんだと言っても過言ではない(と思う)。実は楽園は、ヘヴンズストーリー縮刷版だ。 なぜそこに人がいるのか必然性が全くない、あのY字路のシーン。柄本明と杉咲花の会話。この映画は、あそこに尽きる。閉塞と絶望と喪失が充填しているこの世界で、杉咲花が立て看板を引っこ抜いて叫ぶあのセリフこそ、希望(折り合い)であり赦し(諦め)である。罪と罰をなんとかして生きていかなければならない人の肯定である。こんな力強い映画は無二だ。 だからこそ、あのシーンをもっと丁寧に、印象的に、分かりやすく「俺が言いたいことはこれだー」という感じに撮って欲しかった。そこがちょっと残念。 [映画館(邦画)] 8点(2020-03-30 15:24:43) |
3. ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
《ネタバレ》 特に、タランティーノはこれまで、暴力と殺人をアイテムとして映画を撮っているわけで、これはジレンマだったのかもしれない。(風立ちぬにおける、戦争反対と思いつつ完璧な戦闘機を設計するジレンマみたいな) 実際、武器をもってやってくるヒッピー達は、車の中でこんんなことを語り合う「人殺しを演じて稼ぐ連中を、殺すぞー」これまさにタランティーノが自分に向けて書いたセリフと言わざるを得ない。 それに対するタランティーノの回答、それは、実行犯らをレオ様邸に間違えて侵入させ、観客の全幅の信頼をがっちりつかむブラピのこぶしで、監督が大得意なバイオレンス描写を遺憾なく発揮し、実行犯たちをこれでもかというくらいにフルボッコ。レオ様はというと()。 観客の爆笑によって歓迎されるこれらのバイオレンスを添えて、私達(この私達とは、監督、出演者、すべてのアメリカ映画屋、そしてこの映画を映画館で観る我々全員)は50年前の悲劇に回答を示した。すなわち、復讐。 シャロンテートは、何も知らず無事。 しかしそれで終わらないのがこの映画の素晴らしいところ。事件がおちつき、何も知らないシャロンの声が、インターホンのマイクから聴こえてくる。「みんな無事なの?」これがもう、不幸にも命を奪われた実在のシャロンの声そのものに聴こえてならない。天国からこっちを心配してるかのような。 からの、玄関先でレオ様とシャロンとの、挨拶の抱擁。それを高いところから見下ろすように撮るタランティーノのまなざし! 復讐は暴力である。何も生まない。復讐は復讐を呼ぶ。しかしラストのこのショットは、復讐でも暴力でもなく、ただひたすら安らかな祈りと言える。映画が映画としてできることを、タランティーノはこのようにやってみせた。素晴らしい! [映画館(字幕)] 9点(2020-03-30 15:21:02)(良:2票) |
4. ジョーカー
《ネタバレ》 アーサー、詐病説を僕は支持する。故意に笑ってるんじゃないか。 [映画館(字幕)] 8点(2020-03-30 15:18:36) |
5. PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1 罪と罰
《ネタバレ》 正義の味方は、自分たちのことを正義の味方とは言いません。踊る大捜査線で和久さんがおっしゃってたでしょう「正義なんて言葉は口にするな、心に留めておけ」 それに、正義の味方を自称するなら、その場で射殺せず、せめて裁判くらい受けさせてあげなさい。全然だめ。やり直し。 [映画館(邦画)] 1点(2020-03-30 15:17:03) |
6. 劇場版 響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ
《ネタバレ》 なんでリズと青い鳥を演奏するんだろ、と疑問だったが、実はリズと青い鳥のアナザーサイドストーリーだと後から知ってびっくりした。副題が口にするのが恥ずかしい日本語。誓いのフィナーレ。。。 [映画館(邦画)] 8点(2020-03-30 15:14:55) |
7. 主戦場
《ネタバレ》 完全に拗れて修復不可能な問題を、論理的に解きほぐし、両論併記の様相を呈しつつ、徐々に右派の綻び、いい加減さが露呈しはじめ、逆に左派のまともさ、優しさ、誠実さが浮かび上がる構成は見事。両サイドの主張を2時間聞かされた最後、元慰安婦のおばあさんの会見の映像を見せるのも完璧。 杉田水脈におかれましては、助演女優賞を授けたい。次回作は団鬼六花と蛇の主演をぜひ。なんの落ち度もない令嬢が、親の不始末のために慰安婦にされ徹底的に糞尿凌辱されるバージョンがいいな。 [映画館(字幕)] 9点(2020-03-30 15:12:08) |
8. バースデー・ワンダーランド
原恵一は、もっとニンゲンが嫌いだったはずだ。だからあのいじめっ子たちは制裁を受けるべき。物足りなかった。 [映画館(邦画)] 5点(2020-03-30 15:06:30) |
9. アルキメデスの大戦
《ネタバレ》 冒頭のヤマト撃沈シーンは、『プライベートライアン』をほうふつとさせるくらい、まるで自分もヤマトに乗っているような、まるで自分もヤマトに爆弾落としているような臨場感。これをオープニングに叩きつけたうえで始まる、海軍のおっさんたちの闘い。 会議室での口汚いののしり合いと櫂の数学トークが混ざり合い、スリリングでさながら『12人の怒れる男』のようでもあった。 映画ラスト、山本によるヤマト論には大いに頷かせられた。確かに山本の使命感のおかげで、今僕はこうしてのほほんとフェースブックやれている。それもこれもヤマトの撃沈のおかげなのだろうか。うーん、ちょっと後出しじゃんけんにも思えるが、美しい後出しじゃんけんだ。 そう思うと、山本の「それがどうした」のあとの弁解も、やっぱり後出しじゃんけんに聞こえてくる。フィクションだから構わないけど。 重要なことは、彼らの思惑は80年前の古いものではなく、まったくもって現代の私たちにも当てはまるということだ。言うまでもなく、ヤマトは東京2020大会のメタファである。 人は過ちを繰り返す。しかし繰り返さないようにいろいろ頑張ることはできる。私たちはこの映画をはじめ、いろいろなコンテンツで歴史を学ぶことができる。さて私たちはヤマトから何を学ぶのか。 [映画館(邦画)] 8点(2020-03-30 15:03:16) |
10. ハウス・ジャック・ビルト
ラースフォントリアー自身がカメオ出演で、最後の「ハウス」の柱のひとつになっててほしい。その牙を、自分自身に向けよ。 [映画館(字幕)] 8点(2020-03-30 15:00:45) |
11. トイ・ストーリー4
ひっさびさに奥さんと二人で映画館に行ったんだけど、「トイストーリーってこういう映画だっけ?」と首傾げながら出てきた。ちょっと残念。 [映画館(吹替)] 6点(2020-03-30 14:56:11) |
12. ヤクザと憲法
《ネタバレ》 ヤクザもんを排除する社会よりも、ヤクザもんと共生する社会のほうが好きだと思う、憲法は。 [映画館(邦画)] 6点(2020-03-30 14:53:53) |
13. ドラゴンクエスト ユア・ストーリー
《ネタバレ》 CG映画が、ポリゴンの塊であることは、誰もが知っている。そもそも映画とは、暗い部屋に投影される光と音にすぎない。そもそも小説は文字の順列にすぎない。ミッキーマウスは労働者の着ぐるみ。人間とは血と骨と臓器のうまい具合の絡まりにすぎない。そんなことは言われなくてもわかっている。みんな知っている。なにもかも虚構であり、物理で記述可能なのだ。そんなことはもうとっくのとうに『新世紀エバンゲリオン』で味わっている(特に、世界の中心でアイを叫んだけもの)。だから「それがどうした。」なのである。そして、こういうメタ認知構造を突き付けてくる作品は、僕は嫌いじゃない。 だいだいだなあ笑い男よ、僕たちはね、ぼうけんのしょが消えるという、我が実存そのものを全消去されるショックを耐え抜いて今を生きているのだ。なぜって、勇者だからさ。 僕たち人間のスゲエところは、上記のような「現象」でしかないものに「価値」を見出すことができるということ。そしてその「価値」は、いかなるものからも傷一つつけられることはない。そう、あのラスボスであってもだ。(ぼうけんのしょが消えたときはかなり傷ついた) ここは意見が分かれるところだと思うが、僕は、あのラスボスは何も破壊できていないと思っている。だってミルドラースのバグですよ、そりゃ弱いでしょ。 しかもこの映画、ちゃんと笑い男に打ち勝ってるではないか。そのときの武器がアレなのも大いに共感できる。てんくうのつるぎは、僕(=ゲームの主人公)には装備できなかった。でもアレは、僕にも装備できる。なぜって、勇者だからさ。そしてエンディングが「そして伝説へ」。 それに中盤、ところどころにラスボスシーンの必然性(ピンクの聖水のトリップ反応、クエストというセリフ、設定というセリフ、雑な端折り)が仕込まれていたので、丁寧な仕上がりとなっていると言える。轢かれた猫のような衝撃はそれなりに緩衝できるように作られている。 でもさすがにラスボスに負けていたら、今頃ボロカスに書いていただろう。 ガキの頃ドラクエと出会い、ドラクエで言葉や計算を学び、ドラクエで人付き合いが増えた。20歳くらいになるとDSとかプレステとかでリメイクされ、ドラクエと再会した。最近ではユーテューブでプレイ動画(ありえねえ裏技があってびっくり!)見る。そして今、CGで映画としてよみがえりしドラクエだが、僕にとってのドラクエは最初から今まで一貫して変わらぬ存在。これが「価値」だ。しょせんゲームで、しょせんドラクエだ。「時間の無駄」と言われれば何も言い返せない。それでも、今でも僕が僕であるための支えの一つである。これはきっと多くの元少年も思いを同じにするところだろう。 要するに、つうこんのいちげきと捉える人が多いけれど、僕にとってはかいしんのいちげきな映画だった。僕は支持する。感動した。ありがとうドラクエ。 [映画館(邦画)] 8点(2020-03-27 14:39:13) |
14. 二ノ国
ずっとこの映画をどのように称賛すればいいかを考えていたんだけど、なかなか難しい。ゲド戦記やデビルマンほどの伝説的クソ映画とも思えないし、でもドラゴンクエストユアストーリーを下回るのも確かである。逆にドラクエ映画が良く作られていることに気付かされた。 芝居でも小論文でも、いったん書き終わったときに、もう一度最初から冷静に読み返すことは大事である。ニノ国もいったん脚本書き終わったときに、もう一度最初から冷静に読み返しておいたほうがよかったと思う。あるいはシナリオドクターを雇って読んでもらうのも一つの手。やっぱりクリエイターたるもの、何度も何度もブラッシュアップして、曇りひとつないピッカピカのものを追求したいはずだ。なのでぜひもう一度脚本を読み返し、リビルド版ニノ国を完成させてほしい。(ていうか再提出) イチの国とニノ国とが一対一の対応関係があり、命が連動しているという物語の設定は、ガロア理論の基本定理を思い出さずにはいられなかったんだけど、この設定がいまいち活かし切れていないのと、徹底されていないなと感じた。 たとえばこういう悲しい運命が映画後半やってくる。 二ノ国で殺害されそうになっているお姫様 ⇔ イチの国では悪性の腫瘍で余命数ヶ月のJK このお姫様とJKが対応してるらしいんだけど、死因は関係ない。腫瘍で余命数ヶ月はある意味その子の宿命、寿命とも言える。なのに二ノ国ではそうではない。 あるいはこんなこともおきる。 二ノ国で戦争、沢山の兵士が死んでいく ⇔ イチの国ではホテルの火災で数十人死亡 因果関係がよくわからない。どっちが先?たまたま同じ日にそのホテルに宿泊した数十人は、なぜニノ国では兵士として同一のグループなのか。 お姫様が治療のために聖なる池で身を清めるシーン、ださい水着だが、せっかく夜なんだからシルエットだけで表現できるんだから、一糸まとわぬ姿になってくださればよかったな。非実在青少年だから児童ポルノ的にアウトになるのか。じゃあだめだ。 申し訳ありません、ぼくにはいい感想書けないです。 [映画館(邦画)] 2点(2020-03-27 14:35:17) |
15. ヘレディタリー 継承
《ネタバレ》 悪魔崇拝だの超常現象だのありますが、一番の地獄は、家族。 [DVD(字幕)] 9点(2020-03-27 14:33:16) |
16. 太陽の王子 ホルスの大冒険
我が国のアニメ映画のご始祖様として、未来永劫古典として敬われ続ける作品だろう。 [DVD(邦画)] 8点(2020-03-27 14:30:09) |
17. ブロブ/宇宙からの不明物体
《ネタバレ》 ずーっと昔に12チャンネルの午後のロードショウで見たんだけど、いまだに記憶にのこっています。印象的だったんでしょう。なんだかよくわからない物体を、なんだかよくわからないままにしておく恐怖。 【2020追記】 再見した。ラスト、雪が降ってきたとき、泣いた。 [DVD(字幕)] 8点(2020-03-27 14:27:16) |
18. グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
彼のような数学の天才が、数学で活躍できないで終わってしまうのが悔しい。なんでもいいからひとつでいいから『ウィルの定理』を残したまえ。 【2020年再見 追記】 ↑昔僕はあんなこと書いていたけれど、再見してみて、感想が変わった。ウィルの定理を欲する気持ちは、全体主義だ。全体の利益のためならば、個人の尊厳は制限を受けても構わないっていうイデオロギー。今の僕は、こういうイデオロギーを否定する。まあ確かにウィルの定理が永遠に失われたのは社会にとっての損失かもしれない。けれど、その損失など、ひとりのニンゲンの尊厳の前では、なんでもない。ラストシーンの長い長いハイウェイが、ウィルの解放を表現している。 [DVD(吹替)] 8点(2020-03-27 14:25:50) |
19. ラヂオの時間
千本のっこが最後「おかえりなさい」と言ったのは、プロだからなのだろうか。だとしたら、さいしょからプロとしての自覚をもち、しっかりやれ。でも面白い映画だった。トラック運転手のエピソードはいらない。すべてスタジオ内だけで完結してほしかった。 [DVD(邦画)] 7点(2020-03-27 14:20:12) |
20. タイタンズを忘れない
試合前のヘンテコダンスがあんまりよろしくない。けれど、人種差別を乗り越えるのは、黒人ではなく白人のほうで、差別は差別する側の問題。 [DVD(字幕)] 7点(2020-03-27 14:16:58) |