1. トランスフォーマー/リベンジ
「本作は、ふんだんにお金と時間をかけて職人に作りこませた超迫力のCGと音響のみに集中していただきたいという熱い思いから、それ以外のゴチャゴチャした余計な要素を一切カットしてお送りさせていただいております」という映画。 よって本作は「これはロボットのCGクリップ集じゃないんだよ!」とギリギリのところで言い訳できる程度のストーリーや構成、人物描写しか持ち合わせておらず、そのあたりに期待している人にはまったくオススメできない。ただしそのぶんCGと音響に関しては、期待を圧倒的に超えるレベルで提供してくれる。 前作は残念ながら劇場に足を運べず自宅の21型のテレビで観たのだが、変身するロボットがなんかガチャガチャやってて、おっぱいの大きい女の子と主人公が走り回るだけのとんでもないクソ映画。正直なところ、「マイケルベイのアホボケナス!マイケルベイに期待した俺のアホボケナス!」と思った。 しかしIMAXで観たコレは(ショボイと言われている川崎だったにも関わらず)、その「ガチャガチャ」のレベルが天井知らずのクオリティ。やはりおっぱいの大きい女の子と主人公が走り回るだけの映画なのだが、「ガチャガチャ」の一点押しで150分間持っていかれてしまった。これはすごい。アホすぎる。こういう映画を作ってみようと思うやつは並のアホだと思うが、実際につくってみんなに見せてしまうやつは、並大抵じゃないアホだと思う。狂ってる。ここまでやれることに敬意を表します。 というわけで久々の9点。ただしIMAX限定。ふつうの劇場で観たら6~7点、DVDで観たら4~5点くらいだと思われる。それくらい、いい環境で観ないとミもフタもないある意味、画期的な映画。 売店で買ったバターのたっぷりかかったポップコーンをポカーンとあいたクチにひたすら押し込み、延々と繰り広げられるドンチャカ騒ぎを前のめり・後ろのめりを繰り返しながら享受するのが正しい鑑賞方法であります。 [映画館(字幕)] 9点(2009-07-06 11:39:49) |
2. アメリカン・ビューティー
皆さんのレビューはすべて読まさせていただきました。そのうえで、ただ一言だけ言わせてください。 アカデミー賞にふさわしいか否かという論点でしかレビューできない方、ただ単に笑ったとか下品だったとしか感じなかった方、何のおもしろみも見出せなかった方、あなた方はとても幸せだと思います。いつまでも何も疑うことなく、既存の「幸せ」のなかで暮らしていってください。でも自分にとっては、そういう方があまりに多かったことにかるい絶望を覚えました。だからと言って、ここでくたばってしまうわけにはいかんのですがね。俺はどう生きるのか。どう戦っていくのか。そんなことを考えるのはしんどさの極みですが、もはやここから逃げることはできません。この作品はアメリカだけの話じゃない。俺の話でもあり、あなたの話でもあるんですよ。 あー、とても一言じゃ終わりませんね。とりあえず、いろんな意味で正月早々に見る映画じゃないことだけは確かです。とまぁキリがないので、これにて失礼させていただきます。 [DVD(字幕)] 9点(2006-01-02 04:53:06)(良:1票) |
3. MIND GAME マインド・ゲーム(2004)
「すべては自分の脳みそが作り上げた幻想にすぎない」。そこを出発点に、ぶっとんだお話が繰り広げられます。 この点数を付けた理由は、はっきり言って単純に「ひいき」でしかないです。それ以外になんの理由もありません。好きなんですよ。大阪弁とか吉本とか、センスのいい映像もそうやしテーマもそう。ぜんぶが自分のなかにパシーっときてるんです。なんかもう、いろいろ言葉で飾っても足りんくらいに。いままで観た映画のなかでいちばん好きかもしれません。きっと監督は才能のない俺のかわりにこの作品を作ってくれたんでしょう。もしくは、俺のために作ってくれたんでしょう。そう思える作品って、なかなかございませんよ。そもそもこんなレビューを他人に読ませようってこと自体が間違ってるんです。でもそれでも俺はええんやー! 冷静に観ると、短編を映像のアイデアで無理矢理に引き延ばしているようなところが見受けられて、やや冗長です。中盤のテンポも決して良いとは言えません。そのへんが減点ポイント。たぶん過大評価してるんでしょうが、それは自覚してます。でもいいんです。「恋は盲目」って言うじゃーありませんかー。「いまの俺は、こんな子が大好きですー!」っていう、ただそれが分かってもらえたらいいです。 というわけで、9点です。これだけ言って10点をつけない理由は、前述の通り。ま、そのへんはご愛敬ということで。デキのわるい子のほうがかわいいですよね。価値観変えたい方はぜひ観てください。 【追記】あ、ちなみに俺も、ラジオ持ってまーす。 [DVD(吹替)] 9点(2005-11-13 01:53:29) |
4. パッチギ!
在日の問題に問題意識がないどころか、興味関心すらない現代っ子の俺なので、これを観て在日がどうとかこうとか言うつもりは毛頭ございません。ただ井筒監督は「在日の問題みさらせー!」というよりは、彼らがもつわけのわからんパワーというかパッションをうまく映画に持ち込めたんだと思います。計算して作ったっていうよりは、なんかよくわからんけど化学反応がおきて爆発さしたった!みたいな。そんな不器用で無骨な感じが、この作品の魅力になっています。男の映画じゃないでしょうか。 てなわけで、そのギラギラした熱さを受けとって、劇場でボロ泣きしてきました。「とてもやりきれない」という歌詞を聴きながら、こらえようにもこらえきれない涙がこぼれ落ちてきた。男ひとり号泣ですよ。劇場であれほど熱い涙を流したのは初めてじゃないでしょうか。 ただちょっと気になったのは、前半から中盤にかけての井筒監督らしいぐだぐだ感と、おもっきり写りこんでたSTEPの青い看板です。とくに看板はなぁ。あの前をよく通ってただけに・・・。どうせやるなら、そこまでしっかり仕事してほしかったです。 とまぁちょっと苦言を呈しましたが、それもこの映画への愛ゆえに、ということで!9点から看板ぶんの1点をひいて、でも愛着のある京都が舞台ということで1点プラスして、9点に返り咲きです。ちょっと贔屓してます。 [映画館(吹替)] 9点(2005-11-02 04:48:01)(良:1票) |
5. 時計じかけのオレンジ
この映画を観て「気分が悪い」といった類の感想をもつのは当然であって、それこそ監督の狙ったところではないでしょうか。そう思ってしまった時点で、監督からすれば10点満点の観客だと思うのですがどうでしょう。 なので、その「気分が悪い」の理由を考えず、ただ単に「気分が悪いのはダメなもの」と解釈して放り出して0点をつけてしまうのは、思考停止に過ぎないし、あまりにもったいない気がします。娯楽性のみを求めてこの作品を観たのならばなおさらもったいない。まぁそういった意味でも、この映画を前にしてしまっては、0から10の11段階の点数をつけるなんていうのはあまり意味を持たない気もします。あの「第九」へのイメージを180度変えさせられてしまった時点で見事に術中にハマってるんですからね。 「おもしろい」というのはなにも、腹をかかえてゲラゲラ笑うことだけを意味するのではなく、こういう衝撃も「おもしろい」という感情の部類に入るのだな、と実感させてくれる映画でした。この衝撃をうまく言葉に変換する能力がないのが残念です。知恵熱でそう。というわけで、9点です。マイナス1点は、観せたい人を選んでしまうから、という理由です。作品としては10点。もっと多くの映画や本を消化して成長してから、またこの狂気に触れたいと思います。 【追記】余談ですが、主人公が他人を殴ろうとすると吐き気をもよおすシーンを観て、力石徹戦後の矢吹丈を思い出しました。おっつぁん・・・テンプルに打ち込めねぇ・・・。 [DVD(吹替)] 9点(2005-11-02 04:28:01)(笑:2票) (良:2票) |
6. 秒速5センチメートル(2007)
どうしようもなく切なくなるからあえて自分から遠ざけていた青臭さと、実写よりはるかにリアルな繊細な映像美に、たった1時間で心をかき乱だされる良作。このテのテーマを直球勝負で語られることに拒絶反応を示す人は必ず存在しますので、賛否が大きく分かれるのであれば、それはこの作品の完成度の高さを裏付けているのではないでしょうか。その真偽は、レビューではなく一度作品を観ることで判断してください。 [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2008-03-08 22:23:22)(良:2票) |
7. ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔
さて、全3部作の2作目です。1作目のあまりにも凡庸な出来に辟易して、この作品は映画館に足を運ばずにDVDで観た。のだが、結論から言うとこの判断は間違っていました。なぜならこの作品が3つのなかで最もおもしろいからです。3作目のひどいオチを観てしまうと、さらにそう断言できます。 ちょっと長いしツッコミどころも多いので、作品の出来自体はこの点数には及びませんが、エントの力技による爽快感がストレスをほとんど発散させてくれます。とにかくエント。エントに尽きる。作品の出来云々はおいといて、「2がこんなんやったら、3はめちゃくちゃおもろいんちゃうーん!」と、ココロオドル期待感を持たせてくれるという意味で、奮発してこの点数をつけたいと思います。まぁこの期待感は、いい意味でも悪い意味でも裏切られることはないのだが・・・。それはつぎのレビューにて。 というわけで、8点です。そのほとんどをエントに捧げます。魔法使いのじいさんはそろそろ魔法を使いなさい。 【追記】決壊したダムの水で頭の火を消しているエントの姿に大注目。 [DVD(字幕)] 8点(2005-12-11 16:57:58) |
8. スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐
この作品は「祭」です。それに参加するために、決して最高におもしろいとは言い難いいままでの作品を、未見のものやアニメ作品も含めて1週間でぜんぶ見返したかいがありました。いつものオープニングが始まったとたん、感極まって思わず泣きそうに。この祭の会場はまちがいなく映画館であり、自宅のDVDなんかじゃありません。そんなもんは、祭を撮影したVTRに過ぎない。魅力が半減するのは致し方ないことです。 とにかくオープニングに頭をやられてそのまま思考停止に陥った俺は、アホみたいに簡単にやられるジェダイ達や、納得しないままあっさり暗黒面に落ちてしまったアナキン、いちいちイライラさせられるその嫁はん、屁っぴり腰のヨーダなど、ツッコミどころ満載なうえにオチまで知ってる予定調和なこの祭を、自分でも引くくらい思う存分に楽しむことができました。 せっかくリアルタイムでスターウォーズを観ることができるのに、それを楽しむことができないなんて損してるとは思いませんか?俺は思います。感動のラストシーンを観ながら、そう確信しました。そこまでスターウォーズに思い入れのない方には、こういった盲信的な人間にある種の嫌悪感を持つかもしれませんが、んなこたー知ったことじゃない。とにかくもう、楽しんだもん勝ち、と言わせていただきます。吉本新喜劇みたいなもんや。パチパチパンチがでたら笑って拍手しときゃーいい。 というわけで、8点です。おいおい、こんだけ言うて8点かよ。という気もしますが、作品としての詰めの甘さは否めないので。でもこのテンションの高さは、まちがいなく10点満点でっせー! [映画館(字幕)] 8点(2005-12-09 08:00:41)(良:1票) |
9. ラブ・アクチュアリー
《ネタバレ》 上映当時、学校帰りにひとりで観にいった記憶があります。たしか平日の夕方で、館内はガラガラでした。期待値はそこまで高くはなかったのですが、とてもよかった。観おわったあと、強烈にピースフルな気分になると同時に、猛烈に彼女が欲しくなりました。 とにかくこのピースな愛のバイブスでポジティブな感じを誰かに伝えようと、片っ端から女友達に電話をかけました。が、あいにく誰も出てくれず、いたたまれない気持ちになってとうとう母親にまで電話をかけてしまいました。それくらいピースで幸せな気分になれる映画です。 調子にのってDVDまで買っちゃったんですが、いまだにふたり以上で観ていません。でもひとりで何度か観て気付きました。これ、2回目以降は6点くらいの映画ですよね。そこまで深くはないですよ。結婚式のビデオを見られてしまうシーンと、某月9ドラマがパクっていた紙芝居のシーンは好きでたまにそこだけ観ちゃいますけど。 というわけで、8点。2回目以降は6点です。ブリティッシュなギネスでも飲みながら、肩の力を入れずにさらっと大切な人と観てください。 [映画館(字幕)] 8点(2005-11-13 02:47:39) |
10. チーム★アメリカ ワールドポリス
サウスパーク大好きっ子の俺としては、これは見とかなあかんやろう。 ということで、念願叶って池袋で見てきました。 予告編が終わってさぁ本編!ってとこでしばらくスクリーンに何も写らなくなるハプニング。これも演出か!と思ってしまうくらい期待値は上がりまくりでした。いやー期待を裏切らないアホっぷりを発揮してくれてます。もうどうしようもないです。もうちょっと行ききってもよかったけど。 とにかくものすごいゲロ映画。あのゲロっぷりは、漫画太郎級です。映画館で久々に爆笑してしまった。ゲロで爆笑する23歳。どうなんかなぁ。でも、ゲロとかうんことか、いくつになってもおもろいです。あと、ラストのdickとpussyとass holeの関係が、うまいことオチつけよるわー、と感心してしまいました。感心するとこか?まぁええわ。あんまり分からんネタもありますが、パロディ精神も満開です。 ただ、この内容で1800円(学生は1500円)はどうも高いと思う。まったくもって無意味な内容に、上映時間が90分。でも。 下ネタ大好きで、頭ゆるゆるのくるくるパーな人は見てください。そうじゃない人は、頭のネジを3本くらい外して、DVDを見ましょう。 映画史上最強とも言えるあのゲロシーンを観るために借りるだけの価値はあります。あんのか?というわけで、テンション上がりきってるので、8点です。【追記】むぁっとでぇもんさん、ご結婚おめでとうございます。 [映画館(字幕)] 8点(2005-10-31 12:53:41) |
11. 生きる
いよいよ学生卒業を控え、サラリーマン化が目と鼻の先に迫ってきた俺ですが、そんなモラトリアム終了の時期にこの映画を観れてよかったです。 自分は「いまを生きよう」というめっぽうポジティヴな言葉を、笑顔でのたまう人間に偽善的なものを感じる人間です。でもこの映画は、要するに、そういうことじゃないでしょうか。 自分の「死」を目前にしてやっと自分の「生」の空っぽさに気付く。それが愚かとかどうとか言うつもりはない。そんなもんなんです。それは葬式後の市役所のシーンにも表現されてるいると思います。運良く気付いたとしても、やっぱり日常に埋没してしまい持続することは困難です。それでも「生きる」という平凡な営みは、何をしなくても、逆に言えば何をしても続いていきます。それは特別なことでも何でもない。 この映画を観て「いまを生きよう」と思うのは勝手です。が、1時間、1日、1週間、1ヶ月、1年と時が経ったときに果たしてその気持ちは持続しているでしょうか。してるわけない。この映画の記憶も曖昧になっているでしょう。いま見えている景色は、自分次第で美しくも醜くも見える、ということは分かってはいても、なかなか変えられないんです。 この映画が伝えたいことは、「人間なんかそんなもんや」という絶望を知りながらも、決して腐らず、決して投げずに、生きていく。そして人生の区切り区切りに改めてそのことを再認識して、自分がいま抱えている問題が何なのかをはっきりさせること、ではないでしょうか。これは薄っぺらい「いまを生きよう!」なんかより、もっと静かで深くて強い衝動です。 そしてこの映画は「生」と「死」という究極の相対するものを軸にして、さまざまな「明」と「暗」を描いています。その「暗」から目を背けることなく、かつ「明」への希望も捨ててはならない。モラトリアムの最後の夏の自分は、この映画を観てそう感じました。 またいつか、どこかの節目で必ず観ようと思います。 ちなみに志村喬さんの声はめちゃくちゃ聞き取りにくいですが、DVDで借りると字幕モードに切り替えられます。助かった。演技はえらく仰々しいし、テンポも遅くて少しイライラしますが、是非観てください。あと、これを観てから「キッズリターン」(北野武)を観ると、ずいぶんと見方が変わるんじゃないでしょうか。というわけで、8点。 [DVD(字幕)] 8点(2005-10-31 12:47:28)(良:1票) |
12. ハッピーフライト(2008)
矢口監督らしい、マニアックに下支えされたゆるい作品。 「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」と比較すると、全体的に単調で起伏に富まず、特に音楽は驚くほど印象に残らない。あくまで1機の飛行機を飛ばすために働いているスタッフたちのゆるい群像劇である。雰囲気だけでなく、内容までゆるくなってしまったのが若干の心残りか。 しかしドラマが展開される舞台は極めてリアルかつマニアック。航空業界のことなど知らないはずなのに、なぜかニヤリとしてしまう小ネタが押し付けがましくなくテンポよく盛り込まれており、そのあたりの見せ方はさすが。航空業界を志す大学1年生くらいが観れば勉強になるのではないかと思う。 他がゆるいだけにちょっとしたハプニングが大きく見えるわけで、良いのか悪いのかよく分からないが、そのたびに「どうやってANAを説得して公開に漕ぎ着けたのだろう」と気にしながら鑑賞することができた。これを許せるANAはきっとおおらかな社風なのだろうと思ったが、「ウォーターボーイズ」を撮った監督がこの程度で収まってしまうのが不思議で、ANAのせいでこんなに窮屈な映画になってしまったのでは、と勘繰った。 というわけで、週末の仕事帰りの晩酌のおともに1本いかが、というこの作品。6点、綾瀬はるかがかわいいので1点プラスで7点献上。 【追記】綾瀬はるかはやっぱり、シャクれてる女の子のなかでいちばんかわいいと思います。 [映画館(字幕)] 7点(2009-07-06 19:15:12) |
13. ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
《ネタバレ》 過去にリリースされたテレビや劇場版の「エヴァ」は、「ヤマアラシのジレンマ」という言葉にに象徴される「登場人物たちのギリギリのところで保たれる関係性」が見所のひとつだった。しかし新劇場版は登場人物たちが一歩二歩と互いに歩み寄り、その関係性を濃くすることに成功している。その結果、いくぶんかの希望が見える。これはエヴァンゲリオンという作品が当時エヴァに熱狂したいわゆる「エヴァ世代」の成長と歩調を合わせて進化した結果のように感じられる。過去のエヴァとは異なり、劇中に見られる登場人物たちの能動的な行動がそれを証明しているのではないだろうか。これはおそらく次回作以降への大きな複線だと思われる。よってこの作品は単体で評価されるべきものではないだろうし、あとから見直すことで異なる評価や見方ができると思う。そういった意味では、この作品は単なる中継ぎではなく、全体を通して計算された大いなる野望作だと感じた。 しかしエヴァの魅力のひとつだった「孤独感」や「緊張感」に端を発した「危うさ」が緩和されたことにより、そこに大きな物足りなさを感じたことは否定できない。これはまぎれもなく「エヴァ」だが、同時に「ヱヴァ」であり、「エヴァ」とは同質ではない。深夜にアナログテレビにかじりついて見た「俺のエヴァ」ではないのだ。「いつまでも友達でいよう」「翼をください」と、本来、アニメ的な描写により表現すべき主題を歌に託した演出は、かなり説明的で野暮ったく、おおよそ「エヴァ」らしい繊細な表現にかなわなかった。CGを駆使した尋常ではないクオリティは強烈な説得力を持ち、新しく構築されていく「ヱヴァ」の世界には大いに興奮させられたが、なぜそれを生かすことができなかったのか。どこまでいっても「エヴァ」とは袂を分けた「ヱヴァ」であることに違和感があった。しかし同時に、この違和感をうまく吸収し順応することを強いる作品としての「エヴァ」の影響力の大きさは偉大だと思った。 というわけでいまのところ7点。過去にエヴァを経験していなければ価値はぐっと下がると思います。次回作までに8点、9点がつけられるようになりたいです。 [映画館(邦画)] 7点(2009-07-06 16:14:17)(良:3票) |
14. スラムドッグ$ミリオネア
《ネタバレ》 ミリオネアの問題って、あんなに簡単でいいんでしょうか?スラム育ちの少年とは一見何の関連もない問題が出題され、エピソードによって明らかになり回答に至る、という流れにまとまりがありすぎて無難だなぁという印象を受けました。 彼の生い立ちとはかけ離れた問題が出題され、それを想像もつかない意外なエピソードが埋める、って流れを強調してほしかった。それでこそはじめて観客はワクワクすると思うんやけどなぁ・・・、とまぁこれは本作の本質ではないのかもしれません。自分の好みですね。 何にしても、「インドのスラムでの悲惨な経験がミリオネアのてっぺんを獲らせた」って筋書きを思いついて、いい音楽と演出で味付けして器用につくった印象が拭えず、ある種の「突き抜けた作品」であるとは思えません。あくまでラストは歌って踊って終わるいわゆる「インド映画」なのに、そういうノリで観させることを許さない独特の雰囲気が、この映画のとっつきにくさを生み出しているのかもしれません。 というわけで、7点。日本ではミリオネアのレギュラー番組が終了済みということもありやや公開時期を逸した感もありますが、ああだこうだ言ってもさすがはアカデミー賞を総なめにした作品です。映画が好きな人から高い評価を得る作品ではないでしょうか。 【追記】うんこは世界のみんなから愛されている、そんなことをこの映画は教えてくれました。 [映画館(字幕)] 7点(2009-04-20 12:34:44) |
15. ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還
《ネタバレ》 いよいよレビュー3部作も最終レビューをむかえました。2作目で上がりまくったテンションをこの作品にぶつけるべく、いざ映画館へ!よっしゃー!と、いちばん楽しかったのは上映直前まででした。 物語は淡々と、しかしハデに進んでいきますが、いまいち「オチを知ってる人が作った映画を見せつけられてる感」が強くて感情移入ができません。終始冷静な俺。ヤク中みたいな顔になってる主人公はいつ元気になってバリバリ働いてくれるのだろう、と思ったら、最後までぐだぐだっぷりを発揮して、あげくの果てにケンカ中に指輪をぽろっと落としてだらだらとハッピーエンドというエンディング。うわーこれはどうなんやろう。友情や信頼を描くなら、指輪を捨てたという結果をもって訴えかけるのではなく、フロドを立ち直らせることによって訴えかけてほしかった。原作がどうなってるのかは分かりませんが、もし原作通りなんだとしてもここはベタに感動させてほしかったです。 おもしろくなかったとは言いません。少なからずともわくわくしたの事実です。が、上映前のテンションが高かっただけに、その期待に良い意味で応えてくれなかったのはもちろん、悪い意味でも裏切ってくれなかった超優等生的な作品です。まぁでも、映画館で観ないことには始まらない映画ですよね。リアルタイムでこういった作品が観れたことには感謝しています。というわけで、7点。誰かのように2作目であまりテンションをあげすぎないようにしてください。 では、6点→8点→7点と続けてきたレビュー3部作をここに終わります。 [映画館(字幕)] 7点(2005-12-11 17:25:03) |
16. ドラえもん のび太と鉄人兵団
この作品の対象年齢を考慮すると、この点数は妥当もしくはやや低評価だと思います。それくらい心洗われる快作ですねーこれは。古さも感じさせないですし。このあたりのドラえもんは、えらくおもしろいです。幼いころに見せられて、未だに心に残ってる作品が多いですし。やっぱりドラえもんは、この声にあのオープニングじゃないとなぁ・・・としみじみ思った20代男性でした。というわけで、7点。お子様に是非見せてあげてください。 [DVD(吹替)] 7点(2005-12-09 08:44:45) |
17. ディナーラッシュ
おもろい映画でした。いい意味で完全に裏切られました。こういう映画、けっこういけるクチです。 脱線、というかサブストーリーがけっこう多いのでどれが本線か分からず、後半まで何がしたい映画なのかさっぱり分かりませんでしたが、オチでぜんぶ解消しました。そこに至るまではややだらっとした印象はあるものの、スタイリッシュにテンポ良く観せようという気遣いがみられます。その意図に反して退屈さを感じるかもしれませんが、とりあえず我慢して観てください。そしたら「あ、あれもこれも伏線やったんやな!」という見方で2周目もいけるんじゃないでしょうか。 というわけで、7点。完全に騙されてたので8点あげてもいいかも。でも、ややインパクトに欠けるのでこの点数です。この映画の舞台はニューヨークですが、少し前に行ったバルセロナのレストランを思い出しながら観ていました。あーうまいもん喰いたいなぁ。 【追記】しかし汚い顔のババアやなぁ、あのヅラのオバハン。 [DVD(字幕)] 7点(2005-12-09 04:55:33)(良:1票) |
18. ハウルの動く城
おもしろかったです。個人的に宮崎駿の映画が好き!ってわけではないので、贔屓目で観てたわけではなく。おもろいですよ、少なからずともどきどきわくわくしてる自分がいました。画もキレイですしね、キムタクもよかった。倍賞千恵子さんはどう考えてもミスキャストですが。いやーこの先どうなるのか、と期待しながら観てました。ラストまでは・・・。 と言うのも、ラストへの収束の仕方がハンパじゃなく投げやりなんです。「じゃ、戦争やめちゃおっかー」という軽いノリがすべてを物語ってます。なんで戦争したんか分からんし、なんでふたりが惚れ合ったんか分からんし、なんでカカシがでてきたんか分からんし、まぁさすがにソフィーが老いたり若返ったりした理由は分かりますが、とにかく説明をぜんぶ省略したのが監督の意図であるかのような作品に仕上がっております。なのでノリは軽いのですが、さすがに大人は考えますよねぇ。説明を放棄すればいいというハナシではないのです。ちゃんと詰めたうえでさらっと流していかんと。全体的に考えさせる映画にしたかったのか、魔法使いのおとぎ話にしたかったのか、どちつかずの散漫な映画になった気がしてならないです。 しかしまぁ、アニメって大変だと思います。とくにジブリは。ちょっと考えさせる映画にしようとすると監督の意図は抜きにして、観客から「子供向けにもっと夢と希望を!」という声でてくるわけで。そこまで考えること自体が考えすぎな気もしないでもないですが、やっぱりこれはいただけなかったです。おもろかったのですが・・・。どっちやねん。というわけで、甘め甘めの7点です。あまーい。 [DVD(吹替)] 7点(2005-12-07 17:31:01) |
19. ロスト・イン・トランスレーション
旅先で出会った人と・・・というシチュエーションは、ひとりで海外を旅したことがある方なら、理解できる方もいるのではないでしょうか。かく言う自分も、この映画で描かれているような出来事を冬のヨーロッパで経験したことがあります。孤独を感じさせる薄暗く寒い冬のヨーロッパと、「砂漠」とも唄われる殺伐とした花の都・大東京。両者にはどこか通じるところがあって、この映画に自分を重ねて感情移入しながら観ることができました。というわけで、この点数です。 そこまで感情移入できたのに、なぜこんな中途半端な点数なのか。ということについてですが。いや、べつに日本人の描写が間違っているとかそんな野暮なことを言うつもりはないです。そう表現したなら、そう見えたんやろう。それは責めるべきことじゃないし、仕方ない、というくらいにしか感じません。ただ、その表現に計算が見え隠れして若干の悪意を感じたところに問題があります。病院のシーン然り、マシュー然り。本当になくてはならないシーンだったんでしょうか。あんたそれ分かっててやってるやろう、という。分かってるなら、もっといいシーンを入れてほしかったです。 そのへんをもうちょい詰めれば、もっといい映画になると思います。というわけで、7点。これ以上はつけられないし、自信を持って人に薦めることもできませんが、心の内に大切にしまっておきたい作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2005-11-30 02:58:46) |
20. ベスト・キッド(1984)
「ワックス掛け」と「鶴の型」だけでも、この映画には存在価値があると思います。ミヤギさんなんか胡散臭さの権化みたいな存在じゃないですか。これはあくまでマンガなんですよね。 現実にはぜったいに有り得ない「かめはめ波」や「元気玉」と、「ワックス掛け」や「鶴の型」は同じ類です。「小学校のときかめはめ波の練習をしてた」っていうギャグと同じように、「小学校のとき鶴の型の練習をしてた」と言える。それだけでいいんです。実際のところ、俺も鶴の型のマネをして強くなった気になってましたから。漠然とした「強くなりたい」という男の子の夢を叶えてくれる、夢のある映画だと思います。なので、ドラマというよりはコメディ、コメディというよりはマンガとして観るのが正解だと思います。 というわけで、7点。個人的に思い入れの強い映画です。いま観る気にならないのが玉に瑕ですが・・・。 【追記】パットモリタさんのご冥福をお祈りします。 [地上波(吹替)] 7点(2005-11-13 03:31:51) |