1. 万引き家族
《ネタバレ》 種々の映画評でも前半があまり良くないのは、前半の主人公達の生活ぶりがあまりに普通の道徳観から離れていて共感できない、感情移入できないからだと思います。 これ多分監督の狙い通りで、前半はとにかく暗めの画面設定になっているのもそのせいでしょう。ところが一家で海に行く場面あたりから場面が急に明るくなって、さらに死んだ「ばあちゃん」を埋めちゃうあたりで「付いて行けないピーク」に達してから、その後警察に捕まってからの展開は普通の人達にも理解可能になり、病院や留置場での画面設定が明るめになっている。後半徐々に家族の謎が明らかにされて行く段階で、やっと観客が少し感情移入できる状況になって、前半の非道徳的ないろいろが「一方的な道徳や倫理観で仕切れない所もあるよね」と考えさせるという作り方なのでしょう。監督としても万引き家族的生き方を「良い」と推奨する気はさらさらなく、「決まりきった道徳観に一石投じる」という作りに映画の専門家達が好む要素を含んでいたのかもと思いました。私としてはあまり好きな映画ではないかな。 [DVD(邦画)] 5点(2019-11-01 23:47:56) |
2. 七つの会議
《ネタバレ》 キリスト教などの一神教文化では、倫理的善悪の基準は神との契約に反するかどうかで決まります。しかし日本の社会では倫理的善悪の基準は自分が属する集団の利益になるかどうかで決まり、その集団の範囲は家族、地域、会社など組織、日本全体、人類全体と状況によって変わります。この集団の範囲をどこで線引きするかで善悪の結論が変わってくることが多くあり、葛藤に悩まされます。これがこの映画のテーマですが、査問委員会の席で最後に八角氏が述べている様に「人の命を第一に考えて結論を出す」事を基本にすれば、反社会的な結果に悩むこともなく、日本の社会全体がもっと良くなる、はその通りと私も思いました。その結論にこの点数で。 [DVD(邦画)] 8点(2019-11-01 23:03:05) |
3. 九月の恋と出会うまで
《ネタバレ》 エアコンの換気口取り付け口から1年先の主人公の声が聞こえるタイムスリップという漫画的なありえない設定で物語が始まります。何となく結果も予想されるのですが、どのような展開でハッピーエンドになるのか、一応SF作品として未来からの指示で過去を変えるという筋書きの「つじつま」をどう合わせるのか、が焦点です。見終わってみると俳優陣の爽やかな演技のせいもあり、何か納得できる良い作品だと思いました。そもそも1年前の時点に遡って何で主人公がヒロインに平野氏に付きまとうよう指示したのか、という疑問も最後に答えていて男子的には「まあそうだよな。」と納得できた点もマル。 [DVD(邦画)] 7点(2019-10-21 17:26:52) |
4. ある戦争
《ネタバレ》 前半の臨場感のあるリアルな戦場のシーンと後半の裁判のシーンの対比が見事で観客は主人公の指揮官クラウスと同じ感覚を共有し、共感して行きます。部下を救うため、敵がいると思われる方向への空爆を指示し、後に敵の確認を怠った事を理由に爆撃で市民11名が亡くなった責任を軍事法廷で問われます。誤爆(本当にタリバンがいたとも思える)で市民が亡くなった事自体は意図した物ではなく「事故」なのですが、事故の責任をシステム(アフガン紛争にデンマークという国家が軍の派遣という形で参画する事、地元に根ざしたタリバンの掃討に一時的派遣でしかない軍のパトロールという手法を用いる事)の不備を問う事なく個人の過失を問う事で済まそうとする欺瞞に、本人、部下、法廷の皆も気付いていて疑惑に満ちた「私は敵の発砲を見た」という部下の後付け証言で幕引きとなります。本当は映画の題名であるこの「Kreig」自体が問題だよね、という制作者の主張が見終わった後にじわりと迫ってくる秀逸な作品と思いました。集団的自衛権を論ずる全ての日本人必見の作品ということでこの点数で。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-06-12 09:22:29) |
5. 5デイズ
《ネタバレ》 なかなか描かれない題材や地域、迫力ある戦闘シーンという面では貴重な作品ですが、実際の戦争の様相を伝えるジャーナリストを描いた割には都合よく助かりすぎ、ロシアが一方的に悪く描き過ぎです。サーカシビリ大統領が「ジョージア(グルジア)の自由と独立が守られた」と最後演説してましたが、南オセチアの自由を認めていたらそもそも紛争にならなかったのでは?という視点が欠如。これではジャーナリズムと言えません。否定されてはいますが、ジョージア政府から金一封が出ていたという説も。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-04-09 22:52:20) |
6. 帰ってきたヒトラー
《ネタバレ》 この映画の見所は「本物のヒトラーがタイムスリップした」という設定で映画(フィクション)を作っているという設定のドキュメンタリーに一部仕立てている所で、本物のドイツネオナチ政党の党首や右派政党の党首と政治談義対決をしている所と思います。「本物という設定」でオリバー・マスッチがヒトラー節をまくしたてるのでネオナチの党首もタジタジであり、インタビュアーの「あなたは彼の命令に従いますか?」の問いに「カメラを止めろ・・、彼が本物ならば従うね。」と返す所などが秀逸。 一番印象に残った場面は、初めてテレビに出演した時に1分以上も沈黙を守って聴衆を惹き付けておいてからテレビ局が作ったユダヤ人を揶揄した台詞などを破り捨てて「このような低俗な番組に意味はない・・現在のドイツの様はどうだ・・」と大衆を煽動する一流の演説で聴衆を虜にしてしまう場面でしょうか。「君たち(国民)が私を総統に選んだのだよ。」という後の台詞の重さが生きて来ると思いました。ただどこまでが制作なのかやや解り難いのでこの点で。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-03-27 00:23:35) |
7. レンタネコ
《ネタバレ》 「世界猫歩き」のような猫の自然体を観察するでもなく、ハリーとトントのように猫に翻弄される主人公を描いた物語でもありません。猫(の親分)的な生活をする女性の物語と考えると解り易いです。主人公は猫の親分として子分達を連れて(リヤカーに入れて)毎日土手堀をパトロールし、寂しそうな人が猫をレンタルしてくれないか探しています。飼い主の「心の穴を埋める」ために猫をレンタルしているのですが、主人公の心の穴は飼い主的存在であった祖母が亡くなってしまった事です。その心の穴は「結婚する」事で埋めようと決めているのですがうまく行きません。主人公はどこでお金を稼いでいるのか(野良猫にどこでご飯もらってるの?と聞く感じ)と毎回レンタ主から聞かれますが適当に答えます(野良猫のご飯は大抵何とかなっている)。主人公が車を運転する場面では「車の運転」という人間的社会性を強く表現した場面に違和感を感じました。その頃には主人公を猫と見ていたからかも知れません。終わりに幼なじみの放浪猫(泥棒猫)に出会うのですが、ツンデレしている間にどこかに行ってしまいます。そしてまた猫的生活が始まる予感でエピローグですが、「猫になりたい」と思っている人にはお勧めかも知れません。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2018-03-12 21:56:38) |
8. フューリー(2014)
《ネタバレ》 グロテスクなシーンや無抵抗の捕虜を殺害するシーンを加える事を戦争のリアリズムの表現と勘違いする傾向が何故か21世紀に入ってからのアメリカ映画に多い。戦争が始まって4年経っているのに新兵が「戦場で人は殺せません」などという事を言うはずがない。米国でも新兵はそれなりの覚悟をして戦場に来るものです。新兵ノーマンはさしずめ現在の戦争と関係のない観客達を戦場に強制的に連れ込んだときに感情移入しやすいように設定された役柄とは思いますが、敢えて捕虜を殺すことをリアリズムと正当化する手法は現在米国が中東で行っている所業を「仕方の無い事」と映画を通して一般人に思わせる意図があるのかも知れません。米軍人をBC級戦犯として裁く人はいないからリアリズムで片付けて良いのだという気の弛みが今の米国人にはあるのでしょう。プライベートライアン以降、映画における戦闘シーンのリアルさ(実はclear viewの度合い-実際の戦場は何が起こっているのか煙や埃でよく見えないというのが本当と思う)は凄い出来だと思います。皆さんが指摘するようにストーリー展開にもリアルさを入れてくれればより卓越した戦争映画になり得たものをと残念に思います。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-01-04 13:11:29) |
9. 百円の恋
自堕落な生活で喜怒哀楽のうち怒と哀(無感動に近いけど)のみで生活している32歳の女性が家を出て生活を始め、100円コンビニで働くようになったのをきっかけにささやかな恋の喜びとボクシングに夢中になる楽しみを知るようになり、最後必死に練習して出た初試合で完敗して「悔しさ」を知るというエピソード。皆さん指摘しておられるように主演の安藤サクラの名演が光りますが、喜怒哀楽を知って最後に「悔しい・ビエーン」と女子っぽく泣くシーンは一子の後ろ姿と彼氏のツーショットだけで主人公の表情を一切出さないまま終わります。観客は一子の前半無表情の死んだ目と試合に挑む生き生きとした野獣のような目の印象、負けて真っ白になった目の印象だけで多分最後に普通の女子になった目を見せない(観客に想像させる)というのは憎い演出だと思いました。この後彼氏とどうなるか、またボクシングをやるのか、は問題ではなくて、きっと今後は「怒と哀だけの生活」ではなくなると思わせることで観客に清涼感を持たせる清々しさを感じさせる良い日本映画だと思いました。前半は少し冗長だったかも知れないのでこの点で。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-09-23 17:49:42)(良:2票) |
10. セッション
「この演奏が好き」という場合、ミュージシャンの人柄や人生とは関係なく「演奏自体が良い」というのが聴く人の本音だと思います。そこが絵画や小説のようにある程度作者の人間観と共鳴する部分を持つ芸術と音楽の違いでしょう。だから「究極の良い演奏」を追求するには奏者の日常生活や感情を切って捨てて音楽そのものに全身全霊のめり込む必要がある、というのがフレッチャーの思想なのではないかと思います。音と譜を極限まで追求して指揮する者と演奏する者の時空が完全に共有されて初めて満足のゆく演奏に至るという考えなのでしょう。フレッチャーの悪い点は「こいつは行ける」と見込んだ相手をとことん追いつめて潰してしまう所です。主人公のアンドリューも追いつめられながらも必死に反発して答えようとして遂に壊れてしまいます。多くのカリスマ的ジャズミュージシャンが薬などに溺れて短命であるのはそういった純粋さから来るものかも知れません。米国のジャズ奏者は即興部分を徹底的に練習してから演奏する(もはや即興とはいえない)と言われていますが、一見自由に演奏しているように見えるジャズもそういった厳しさがあるから素晴らしい演奏に繫がるのだろうと思います。仕事への情熱や厳しさを改めて見直してみるという気持ちにさせる映画でもあります。その点音色が複雑な管や弦でなくあえてドラムスを主題とした事で訴えかける内容が解りやすくなったと思います。しかし最後の演奏は周りのミュージシャンも含めて鬼気迫る名演と思いました。 [DVD(吹替)] 8点(2016-06-07 00:44:11) |
11. ドローン・オブ・ウォー
《ネタバレ》 邦題は意味不明で作品の内容をあまり現していないと思います。原題の意味は狙った獲物に命中した時の”Good Kill !”というかけ声と「善良なる殺人(good or evilの対比)」の両方の意味合いが込められていて、無人機を米国内で操りながらアフガニスタンのテロリストと思われるターゲットを殺害する任務の非人間性を良く現していると言えます。無人機のカメラから見たターゲットは「神の目線で生身の人間の生殺与奪の権限を握る」に等しい感覚です。銃を持った兵士はいざ知らず、客観的に見てこのドローンによる「容疑者」殺害は明らかに戦争犯罪であり、逆にイスラム諸国が米国内で同じ事を行えば欧米諸国は許さないでしょう。兵士達が倫理的な呵責に苛まれながらもこれが止まらない仕組みは、指示を出すCIA職員、命令する軍の上官、命令を実行する兵士、全ての人が「法的には適法」であるところにあります。ある意味戦争犯罪が起こるカラクリを説明した映画とも言えます。彼らが雑談中話し合っているようにこの「ドローンによる殺害をいくら行っても戦争は終わらない」事は既に結論として理解されているところにテロとの戦争の無情さがあります。映画全体を流れる暗さ、笑顔を見せない主人公の無機質さは、米国が行っている戦争の実態を良く表現しているように感じました。 [映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2015-10-23 19:40:37) |
12. アメリカン・スナイパー
《ネタバレ》 (娯楽)作品として良くできた映画だと感心したのが第一印象でした。好戦的映画か反戦映画かという議論も(どちらかと言えば戦争礼賛的だけど)結論は出せないというのが本音です。描き方としては「おとぎ話と真実」ということだと思います。終了間際までは「悪いオオカミであるテロリストから無辜な羊である米国民を守るために牧羊犬たる主人公が正義の見方としてイラクに赴く」という2003年のイラク戦争開戦時の米国の掲げた大義名分に則ってストーリーが描かれます。人間的な葛藤はあるもののクリスは西部劇のヒーローであり、悪い奴をバンバンやっつけるダーティーハリーと同じです。主人公の戦争神経症も軽く克服し、傷痍軍人の描き方も比較的明るい。勧善懲悪という前提であれば、殺人も戦争もOKというのが監督の信条ですからその描き方で良いのです。主人公も自分の戦いが家族を守ることにつながっていることに疑問を持っておらず、ありえないことですが戦闘中にも妻と電話で話をします。きっと純朴な主人公に監督自体も好意を持っていて、政府への批判とか政治的メッセージを主人公を通して描くことを「良し」としなかったのだと思います。 しかし最後の場面で圧倒的な真実を観客につきつけて映画が終わります。皆さんが評しておられるようにこのアンビバレントな状態を敢えて監督は残していったのだろうと思います。現在中東はぐちゃぐちゃであり、出口戦略とアジアへのピボット戦略で、イラク戦争開戦時の大義名分など政府の誰も口にしません。だから西部劇の勧善懲悪として(殆どを)描いた作品を米国99%の大衆の視点からはアカデミー賞として支持したけど、米国中枢としては2015年におけるアカデミー賞としては「勘弁してくれ」だったのかなと勘ぐりたくなります。 [映画館(字幕)] 7点(2015-05-10 19:20:35) |
13. アルゴ
《ネタバレ》 ややスペクタクルに作り過ぎで現実から離れているという指摘もありますが、実話を元に映画を面白くする演出として許せる範囲と思います。ベン・アフレックはグッドウイルハンティングでも金をかけずに良い映画を作る才能を見せてくれましたが、このアルゴでは「人を殺さずにイスラム相手に手に汗握るスペクタクル作品を作る」見本を示してくれたと思います。テンポも良く飽きさせない映画でした。 [DVD(字幕)] 8点(2013-10-15 13:24:00) |
14. ゼロ・ダーク・サーティ
《ネタバレ》 キャスリン・ビグロー監督は「反米だ」と映画界を追放されない程度に「アメリカは酷い事するね」という映画を作るのに長けていると感じます。この映画もCIAの女性捜査官の活躍を描きながらアメリカがやっているナチス顔負けの拷問や、911から数年でアルカイダやビンラディン追求に国家として興味がなくなった事、ビンラディン殺害ミッションも国益にはならず、成り行きで行った事など実に正直に描いていると思いました。「本当にビンラディン?」という問題も死体が誰であれこれは彼だと言わざるを得ない状況に至っていたことをよく描いていました。国益(米国を豊かにする)のためにこれだけ酷い事をして、今やシリアではアルカイダが参加する反政府組織を米国は支援、政府機関は一部閉鎖、国家予算が足りなくて債務危機まで叫ばれている状態。テロとの戦争で誰が得をしたのかを米国民が問い直すには良い映画だと思いました。 [DVD(字幕)] 7点(2013-10-15 13:17:01)(良:1票) |
15. スター・トレック/イントゥ・ダークネス
《ネタバレ》 スタートレッックはCGのでき具合ではなく、ストーリーに夢があるかで決まります。未知なるものへの畏怖の感じられないスタートレックほどつまらないものはありません。結局人間の邪心、煩悩がもたらした障害と戦うストーリーでは西部劇と変わらないのでは?もう少し格調の高いスタートレックが見たいものです。 [映画館(字幕)] 3点(2013-09-18 22:17:33)(良:3票) |
16. TIME/タイム
《ネタバレ》 設定はとても面白く、寿命(time)をクレジットカードのように出し入れしながら毎日を生きるというもの。現実世界のマネーは輪転機でいくらでも刷れる(または電子的に増やせる)のですが、この世界のtimeは有限なのか誰かが自由に創造できるのかは不明なままでした。主人公達がマネーに相当するtimeを貧しい人達にばらまく行為を「秩序を乱す」と批難し、「秩序を乱しても結果は同じなのに」と評するところはこの世界に至る様々な歴史の存在、或は現在の拝金主義経済への寓意を多く含みます。しかし今後の展開について含みを持たせた終わり方は現実世界に対しても良い展開への夢を持たせたかったのだろう、ということでこの点数で。 [DVD(字幕)] 7点(2013-09-18 22:03:23)(良:1票) |
17. グリーン・ゾーン
《ネタバレ》 作品中では詳しく描かれませんでしたが、イラクの将軍は米政府と組んでサダムフセインの後を継ごうとしていた訳で、米政府は将軍から大量破壊兵器はないと知らされていながらそれを口実に開戦に踏み切った。どちらが悪かと言えば悪代官と三河屋のようなもので「両方悪」としか言いようがない。主人公のミラーは軍、CIA(将軍を生かす方)どちらに組みしても「悪に組みする」ことになる。それを現地人のフレディの最後の一発で知らされるという「落ち」は物語として理解するにはやや難解かも。政府の欺瞞をマスコミへの告発で正そうとするのは、現在のアメリカマスコミ事情を考えると劇中度々出てきた言葉で言えば『ナイーブ』すぎる希望的結末ではないかと思います。採算度外視で1億ドルかけて作った意気込みにこの点数で。 [DVD(字幕)] 7点(2013-08-06 11:16:25) |
18. 世界侵略:ロサンゼルス決戦
《ネタバレ》 アメリカの軍人達は本当はこういう戦争をしたいんだよ!という本音を語った作品。つまり「アメリカの国土と国民を守るため」に、海兵隊の不屈の魂で命を掛けて戦う、という夢を描いたもの。普通のアメリカ人にはどこにあるかさえ知らない土地で戦争の遂行目的も戦う相手も解らないまま国民の実生活と関係ない戦争させられているのが現実。戦争で得をしているのは軍産複合体だけというのが解ってしまったアメリカでは、こういう夢の戦争映画しか作れないということでしょうか。Cイーストウッドは硫黄島二部作でアメリカと日本の兵士にとっての戦う意味を皮肉をこめて「旗」と「手紙」に象徴させましたが、この映画ではまさに「家族への手紙」をさりげなくシナリオに入れることで戦う意味を表していました。そんなメッセージを感じながら、力の入った演技とシーンにこの点数で。 [DVD(字幕)] 6点(2012-07-16 15:39:07) |