1. 8 1/2
難しいジャンルである幻想譚を見事に映像化した監督の手腕と、芸術性の高さは十二分に感じられた。だけど、それだけの作品だという印象。 象徴的な表現の数々も説明不足で、受け手が楽しんで解釈する、というよりは迎合することが前提であるかのような傲慢さが端々で目に付いた。 密度の高いこの作品には「余白」がなく、それが唯一にして最大の欠点に思えた。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-03-03 01:20:18) |
2. カリフォルニア・トレジャー
序盤はすごく嫌な予感がしてたけど、終わってみれば意外と良かった。という好きなタイプの作品。良い意味ですごく映画らしい。 しんみりとした場面では全然しんみりできなかったけど温かい気持ちになれたし、 ダメ人間だとか、正しいとか正しくないだとかは二の次で、大切な人は大切なんだ、という家族の結びつきの特別さに心地よさを感じた。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-02-12 20:14:54) |
3. LOOK
題材にすごく興味をひかれたが、可もなく不可もなくといったところだった。 カメラが人々の秘密を映し出す場面もあれば、犯罪捜査に役立っている場面もあり、 休みなく映像を撮り続ける無数の監視カメラの是非を問う、というよりは「これを見てどうですか?」と各々に委ねているような印象を受けた。 さらに言ってしまえば無数の映像のジャンルから、鑑賞者が食いつきそうな話題をいくつかピックアップして関連性を持たせてみただけなんじゃないかとまで思ってしまう。 [DVD(字幕)] 5点(2010-02-12 12:17:15) |
4. グアンタナモ、僕達が見た真実
長期に渡って行われる拷問や、不当でアナログな取調べ。あのやり方では最後まで認めないことができる人なんていないだろうし、心身ともに疲弊させて発させた言葉を、事実として扱う軍に恐ろしさを感じる。 と同時に、危険な土地に行くときは、十分な予備知識を持ち常に警戒しておくぐらいじゃないといけないと学んだ。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-02-12 12:07:11) |
5. 猟奇的な彼女
電車で注意する場面があったけど、大声で喋るのも同じくらい迷惑なような・・・それはさておき、なかなかおもしろかった。 ラストはすごくきれいな締め方で、添えられたナレーションも心に染みた。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-02-03 20:26:58) |
6. カリートの道
裏の世界の厳しさがひしひしと伝わってきて、息を呑む展開の連続で面白かった。 アル・パチーノ、ショーン・ペン共素晴らしい演技だったが、 クラインフェルドが主人公を食ってしまいそうなほどよく練られた素晴らしいキャラで、 後半、展開の一つ一つに噛みだしてからより一層引き込まれた。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-02-03 20:17:17) |
7. ザ・ハリケーン(1999)
差別や陰謀に屈しないハリケーンの強さと、危険を省みず彼を救おうとする仲間の姿に感動した。 ボクサーとしてではなく、一人の人間としての彼の人間性や哲学が繊細に描写されている。 ボブディランの曲も良く、彼が何故万人から愛されるのかわかった気がした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-01-31 20:57:54) |
8. まだらキンセンカにあらわれるガンマ線の影響
感情を抑制できない、まさにガンマ線のように強烈な母と二人の娘の日常を描いた問題作。 気が強く奔放な姉と違い、大人しい妹は母に感情をぶつけることもできず、日々黙々と科学の勉強に励む姿に悲哀や孤独を感じる。 この母親がほんとに良いとこなしで、ひどさだけが目に付き気分が悪くなる。さらに過去に見た数々の作品の中でもトップクラスの後味の悪さ。 ただ、こんな話を思いつくこと自体はすごいと思うし、テンポも良くストーリーもしっかり練られていたので評価が難しいところ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-01-31 20:42:51) |
9. I SHOT ANDY WARHOL
主人公のインパクトはすごかったけど、もう一人の重要人物であるウォーホルの描写があまりにも浅薄。熱量は伝わってくるが、それを向ける対象がぼんやりしていたので見ていて困惑してしまった。 ストーリー性にも乏しく、楽しみどころが主人公の暴走だけだった。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-01-23 12:43:59) |
10. ブロウ
《ネタバレ》 派手に悪事を働いた挙句派手に散っていく、といった内容を予想していたのだが良い意味で裏切られた。 度重なる逮捕、さらに仲間にも裏切られ心身ともに疲弊していくさまが、時系列を正確に追い、順序だてて説明されていたので分かりやすかった。 娘の父として自らの望む姿で余生を過ごそうとするが、やはり過去の因果は断ち切れず、なしくずしに全てを失っていき果てに娘の幻を見る。 大物感が全く感じられないのは残念だったが、一人の人間としての悲しみはよく伝わってきた。 主人公の父親が良い親なのかそうじゃないのかは難しいところ。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-01-23 12:28:37) |
11. チェンジリング(2008)
《ネタバレ》 悲しい話だけど希望に満ちていて、すごく良い作品だった。 権力を盾にした警察の欺瞞に立ち向かう勇気と、その原動力である母の愛情が、全編に渡って伝わってくる。 この話では警察側にも立派な人がいて、そこから進展した捜査がきっかけとなり裁判で勝ちを得ることができたのだが、それは稀なケースだろうし、実際に絶望的な力で押し潰されて歴史に埋もれてしまった人もたくさんいるのだと思うと、いたたまれない気持ちになった。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2010-01-20 21:02:39) |
12. ジェイコブス・ラダー(1990)
虚構と現実が交錯する構造、病的なシーンの数々のセンスの良さには目を見張るものがあった。 ただ肝心のストーリーがつまらなく、惜しい作品という印象。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-01-20 20:52:27) |
13. カンバセーション・・・盗聴・・・
《ネタバレ》 前半は普通。しかしラスト30分で強烈すぎるほどのインパクトを残してくれた作品。ヘタなホラー映画よりよっぽど怖かった。 罪悪感に苛まれ、次第に心が病んでいく過程がよく伝わってきたし、テープの巻き戻し音や同じ台詞を心の中で何度も繰り返す等、「盗聴」が題材なだけあって「音」にこだわった演出も非常に効果的で、病的な雰囲気を増幅させている。 オチのどんでん返しと、ラストの強烈なしっぺ返しも監督の妥協の無さが伝わってきて好みだ。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-01-16 21:18:36) |
14. ファーストフード・ネイション
《ネタバレ》 部分的に見れば悪くないシーンがそれなりにあったが、とにかくまとまりに欠けていた。 ファーストフード店から精肉工場までの経緯はテーマに従っているが、そこからはもうほとんどの場面が横道にそれたものだった。 描きたいことが多すぎるのかどっちつかずな状態が続き、そのいずれもがまとまらないまま不可解なラストに至っていて、勉強にはなったがかなりがっかり。 屠畜場の映像はショッキングなものだったけど、糞の混入の原因は工場のシステムにあり、悲しい家畜を映し出すことでは冒頭で提示した問題の答えになっていない。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-01-15 21:54:30) |
15. 息子の部屋
終始悲しい雰囲気に包まれながらも、穏やかな風景のカットが繊細に配置してあったり、人の温かさを感じられるシーンが随所に見られたりと、温かい気持ちで見ることができる。 ただそれが味といえば味なんだけど、あまりに起伏がなく緩慢な展開に何度も飽きそうになってしまった。診察のシーンは大事だと思うけど、果たしてあそこまで多く入れる必要があったのかな。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-01-14 21:09:32) |
16. バンク・ジョブ
《ネタバレ》 構成がしっかりしていてとても分かりやすく、スリルとスピード感溢れる展開は見事だった。 過去かなりの数の映画やテレビ作品で使われている題材なだけに斬新さは感じなかったが、これが実話を基にしていることが分かってほんとびっくり。 この事件以降偉い人たちの宝物の隠し場所も変わったんじゃないだろうか。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-01-13 21:19:53) |
17. マイ・プライベート・アイダホ
後半盛り返したが全体を通じて退屈で、連続した静止画を重ねたり早回しした風景をところどころ入れてくる演出は、こだわりを感じるが好みではなかった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-01-13 21:05:07) |
18. レオン(1994)
《ネタバレ》 屋上からの射撃練習などのいくつかの場面と、刑事のキャラがちょっとアホらしかったのが残念。 それを除けば最後まで楽しんで見ることができた。 短い時間にうまくまとめてられていたので、どう違うのか完全版も見てみたくなった。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-01-12 22:17:20) |
19. アバウト・シュミット
中年男が踏んだり蹴ったりな余生を過ごす様子が終始コミカルに描かれていて、 うわぁ・・・って思うシーンが多いのに何故だかそれが心地よかった。 [地上波(字幕)] 6点(2010-01-12 22:09:52) |
20. ユナイテッド93
これまでテレビや本で知った事実が、熱を持ち急速に揺れ動き、悲しみがこの作品の臨場感に伴って著しく増幅した。 四機のうち一機が墜落した国防総省だけダメージが少ない、実はアメリカ側の自演で、テロリストに支払った小切手が見つかった等、その真相を疑問視される9.11事件において、この作品も、事実を知る軍の人間が名前付きで証言した内容から、各所でプロパガンダだと揶揄されたのだが、大多数が納得するような明確な答えはいつまでたっても出ず、調査の結果、結局そんな人間は存在しなかったとも言われている。 プロパガンダか否か、その判断は不可能なほどに困難だが、知識を追い求め真相に近づくことは決して無意味ではない。 とはいってもこういったドキュメンタリー作品一つ一つで作品外の知識を求めようとすると、骨が折れるどころの騒ぎではない。だからプロパガンダ云々はまず置いといて、純粋に史実としてこの作品を受け止める必要が見る側の人にはあるのだと思う。 真実は藪の中でも、実際に亡くなった人がたくさんいることには違いないのだから。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-01-08 23:53:07) |