1. 大統領の執事の涙
《ネタバレ》 フォレストガンプの構造をそのまま黒人社会と優秀な執事に当てはめたとような映画で、黒人運動とそのターニングポイントを大統領の変遷とともに描いている。当然足早になり結果としてそれらが薄く印象付けられることになるのかと思いきや、軽妙すぎず重厚すぎず適度な語り口でその点は見事。しかし、主人公の描き方が人畜無害な好人物に偏りすぎたきらいがあり、そこがもう一歩物語に深みを持たせられていないように感じた。黒人大統領誕生という苦難の歴史の一つの終着点を迎えたこの運動のある種の祭典として大目に見るとともにその活動に敬意を表することに苦はないが、映画の質としては佳作の部類としての評価に止める。 [インターネット(字幕)] 6点(2016-06-29 15:11:46) |
2. グリーン・インフェルノ(2013)
《ネタバレ》 えらく上品な所で留まっているなという第一印象はその手の映画ファンのものであって、その手の映画映画ファン以外にはやはりハードな作品だろうう。つまりは極端に振れるべき題材を程良く料理しているといったところでそれがその手のファンには物足らない。しかしやはりここまで抑制の効いた作品として完結させている点を評価したい。また、いわゆる意識が高い系について基本的に良い感情を持っていないので彼らの薄っぺらい独善的な正義感を痛烈に批判している点も面白い。リメイクとはいえ良い挑戦であると思う。 [DVD(字幕)] 7点(2016-06-27 18:25:19)(良:1票) |
3. フォックスキャッチャー
《ネタバレ》 富める者がその気になれば人間だって買えてしまう。恐ろしいのは買われる者だけでなく、富む側もまた何かを失うという点。 冷静な視線を評価します。富貴な者の孤独を表す丁寧で繊細な描写。静けさに溢れるシーンにもどこかしら破滅を予兆させるような印象を受けて飽きがきません。上質な映画ですね。 [DVD(字幕)] 6点(2016-06-27 17:21:07) |
4. ジョン・ウィック
《ネタバレ》 キアヌがかっこいいだけの映画。 ストーリーは至極簡単で大事な犬を殺されたので、マフィアを壊滅させる。というだけ。 アクションは最近のアクション映画を観まくって、使えそうな部分をまとめただけですが、 これで映画としてそこそこのクオリティを保てている点が恐ろしい。 多分、二流の俳優をキャスティングすれば大変酷いことになったのだろうが、 キアヌの説得力が半端なく、これでいいんだ。いやこれがいいんだったか。 とぐいぐい引き込まれていく、また主人公の強さが常識的でどうやっても無理なものは無理なあたりの抑制もよい。 まあ相手マフィアがもう少しちゃんとやれていれば壊滅まではしていないと思うけど、 爽快感があり暑苦しくない無双映画。 特に工夫無くそれなりにオリジナリティが出せている点を評価します。 [DVD(字幕)] 6点(2016-05-20 18:50:25) |
5. シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
《ネタバレ》 それなりに面白い娯楽大作。 物語はどう考えてもアベンジャーズだがキャプテンアメリカ。おそらく今回超パワー二体も欠席しているところから観ると、 もう一回は内輪もめをアベンジャーズでするのでしょうね。 特段、ファンでもないので悲壮な物語も気にせず楽しめたが、 所詮はアベンジャーズの次回作のためのつなぎであるという感は否めない。 いろいろいて、それが楽しい映画なのだけれども、どうしても個々の力の差が大きくて、 普通の人間の延長線上にいるようなキャラクタは自分のことをどう考えているのかと不安になった。 いわゆるデートムービー・ファミリー映画なので、 あえて文句を言うにはあたらないだろう。 [映画館(字幕)] 5点(2016-05-20 17:02:35)(笑:1票) |
6. ダイバージェント
管理社会ものとして設定は斬新。 斬新さだけであることが非常に残念。 アクションシーン特にクライマックスは多分それなりの演出だったのではないかと思うが、 その頃にはうんざりしているのでどっちらけである。 本来であれば心理戦ですすめられるような設定なのだが、 そこまでの脚本ができずにこんな結果だったのだろう。 とりあえず次回作はつくらないでもっと別なことにチャレンジしてほしい。 [DVD(字幕)] 4点(2016-04-27 17:44:47) |
7. 猫侍
北村さんの演技を愉しむ映画。 おばかコメディではあるが、なかなか殺陣など見られるシーンが多く、 評価に値する映画だと思う。時代劇がいつのまにやらたそがれ路線に落ち着いてしまい、 良くも悪くも清貧ばかりが目に付くこのご時世、 こうした変りだまで勝負してくること自体に価値を感じるし、 のんびり安心しながらみられる作品が稀有なためなかなか存在感のある映画だと思う。 他の皆様の評価が低いのがちょっと残念。 [地上波(邦画)] 6点(2016-03-16 18:37:34)(良:1票) |
8. 神聖ローマ、運命の日 オスマン帝国の進撃
拡大するアジアの脅威(イスラム)に対して共同歩調がとれないキリスト教圏。 なんというかこのご時勢に映画にするにはなかなか対象にされそうで恐ろしい気もするが、 内容がそれほど踏み込んだものでなく、かなり中途半端な映画。 あえて映画にするのであればもっと時代に応じたつくりも出来るだろうに、 そうするわけでもなく能天気に作りきったさまはある意味お見事。 大スペクタクルはないし、盛り上がりにも欠けるが、 歴史映画が少ない昨今がんばってつくったことを評価して一応、及第点とします。 [DVD(字幕)] 5点(2016-03-16 18:30:04) |
9. 喰女-クイメ-
とにもかくにもつまらない作品。 現実の世界とお芝居がリンクしてその境界があやふやになって・・・ となにやら上手いアイデアの気がしたけれど全くはねない。 登場人物に魅力が無く、ストーリーには下敷きがあるので展開にも期待ができず、 物語が進みだすまでにも時間がかかるので正直言ってだるい。 短い時間でもこれだけテンポが悪いと辛い。 三池監督なら途中で気づいたろうになんでこのままになったのか。 [インターネット(字幕)] 4点(2016-03-16 18:13:46) |
10. オデッセイ(2015)
《ネタバレ》 とにもかくにも生き残る執念の映画。知的な『パピヨン』。 ここまで勇敢な主人公はかつて観た事がなく、その精神力に圧倒されているうちに映画が終わった。 とにもかくにも厳しく、甘えの許されない状況で過酷な生存を強いられる主人公ですが、 もちまえの能力を駆使して敢然と運命に立ち向かう姿が好ましい。 『人間賛歌』的な映画ではあるがその実『超人主義』の映画であって、 普通の優秀な ラストの救出劇にはちょっとご都合主義的な部分があり、 ここまでの頑張りはなんだったのかとクビをかしげたくなるが、 もうここまで頑張ったんだからまあいいかなと納得できなくもない。 とにもかくにもサバイバル映画として非常に品質が高い映画といえる。 [映画館(字幕)] 7点(2016-03-15 12:23:23) |
11. ミッシング ID
導入から前半の間はテンポが非常によくてなかなかよい出来だと思う。 主人公が覚悟を決めてから、つまり本編がすべりだしてから、非常に凡な作品になる。 主人公の成長(というよりも覚醒)を待つかのように敵グループは序盤まぬけな失敗を繰り返し、 調度主人公がクリアできる範囲の攻撃を繰り返す。 後半になれば主人公は中堅スパイ並みの能力をもった存在になり、 私はこれが主人公補正というやつか。と最近覚えた新語の意味を解釈するのである。 ハードボイルドっぽい起。あれなんだそれという承。そんなとこにむかうんかい。という転。 そして問題の解決どころかそれいじょうの結。 ああ多分ライトノベルなのね。 [インターネット(字幕)] 5点(2016-01-02 20:37:04) |
12. メイズ・ランナー
《ネタバレ》 光るものは感じたので6点献上。 ですが、どうも、展開に驚きが無くて、肩透かしを食らった気分。 迷路をとくという作業をどのようにみせるのか興味があったのですが、 まさか解けているとは・・・ 設定も必然性に欠けていてなるほどと思わせてくれるようなところが無く、 (もしかしたら今後の作品でそうなるのかもしれないのですが) できれば一作品でもある程度の完結はして欲しい私としては、 これで終りでいいのか。とクビをかしげるばかりでした。 設定は確かに奇抜ですが、もうちょっとバランスがとれていないと 何でもありになってしまいます。 どのように暮らしているのかどんな工夫があるのかなどの、 細部にもう少しこだわりがあればはねると思います。 [DVD(字幕)] 6点(2016-01-02 20:03:16) |
13. モンスターズ/地球外生命体
素晴らしいアイデアの詰った映画である事は確かな作品。 それはそうなんだけど、どうだろう。やはりもう少し面白くして欲しかった。 生活に密着した怪物は新しく、徐々に侵食される地球。 攻撃すればするほど、殲滅より程遠くなっていくさまはいろいろと考えさせられる、 となかなか深みのある映画。監督も細心を重ねて作っている事がよくわかる。 ただコレという面白さがなかった。普通の町並みに化け物の巣があったり、 いきなり襲われたりどれも、身を乗り出したくなるほど興味が惹かれるのに、 消化不良のまま物語が進んでしまい、とかく残念。 もっと予算があれば、と思わせるには十分な技術を見せていただきましたが、 次はきっちりとカタルシスを与えていただきたい。 [DVD(字幕)] 5点(2015-12-26 15:04:38) |
14. さらば愛しの大統領
とりあえず、言うときますけど、こんなんちゃいますよ。な映画。 大阪=笑いとか人情とか本まに止めてほしい。 アホやったらあかんのですよ。大阪でも。それでも愛されるかもしれませんけど、 アホ=素晴らしいっちゅうことではないんです。 この人らは仕事やさかいにこんな事平気で言いますけど、 全国の皆さんに誤解がうまれるわ、このアホ。 とにかくアホやったらええんとちゃう。おもろないとあかんねん。ボケ。 映画のコンセプトをアホにおくのは面白いけれど、 作り手は細心の注意を払い隅々まで計算して作ってください。神戸の映画館は極寒でしたよ。 とかいうとアホになられへんやつはかっこ悪いんですって。胸糞わるい。 ジャリズム時代から20年ファンですが、渡辺さん二度と映画は作らないでね。 [映画館(邦画)] 3点(2015-12-25 12:54:33) |
15. THE DAY ザ・デイ
全くアイデアがないSFアクションパニック映画。 普通では考えられないほどのオリジナリティのなさには逆に脱帽。 本来ならばこれでは評価に値しないのですが、 内容がそれなりに観れてしまうところがこの作品の凄さ。 設定にアイデアがない分、アクション、画面作りで勝負しています。 脚本はたぶん映画ファンなら二人に一人がこれ以上か同等のものを書けるのではないか と訝るべきクオリティですが、編集と撮影でここまでにはもっていけるということですね。 痩せ型で色白の人々がとぼとぼあるいて、廃屋の罠にいって襲われる。 しかし罠を仕掛けたというほどの罠はなくて、ただ強引に襲ってくる。 武器も持ってないのでそこそこ戦える。双方の代償が大きすぎて生活の手段に見えない。 この生存競争を繰り返していたら、そらもうすぐ滅亡でしょうね。脚本ゼロ点です。 それでも観れる作品という事で職人監督として有望な方かもしれません。 [DVD(字幕)] 5点(2015-12-25 12:00:22) |
16. シグナル
とんでも映画を面白く観ることにかけては自信があるのですが、 なぜ賛否が分かれるかがよくわからないくらいに面白さを感じませんでした。 果たしてこれはとんでも映画なのでしょうか、 私見ではこれはただの長ったらしいSF映画という感想。 アイデアとしてみるべきものが本当にあったのか、 だいぶこちらが前のめりに理解しようとしないわからない面白さだったのではないかと思います。 いや難解というよりは空白・間を入れすぎなような・・・ 足の変化だけがポイントであと新鮮なものは感じなかった。 [DVD(字幕)] 4点(2015-12-25 11:36:27) |
17. まほろ駅前狂騒曲
《ネタバレ》 主演二人の絶妙な空気感だけで2時間持たせた映画。 前作では彼らとそれをとりまく街の人物紹介をベースにしており、 かなりまとまった作品であり、今回は二作目ということでそれらを省略してより物語が大きく飛躍する。 もんだと思っていましたらそこまでのダイナミズムはありませんでした。 ゆるい空気のなかそれでも懸命な人々を描く、 面白いんだけどどこか全体に物足りなさを感じてしまいます。 またストーリーもいびつでまとまりに欠けており、 つぎはぎな印象を受ける。例えば預かっている女の子がバスのなかでは何もしない。 この映画の一番の事件で何もしないのならば、 最初からいらないはずで、どうもエピソードを上手く混ぜられていない。 とってつけたようなラストのメッセージは噴飯モノで、 映画とあんまり関係がない。 とにかくラストにそれっぽいメッセージを主役にしゃべらせるシステムを、 どうにかしないととてもじゃないが邦画のレベルは上がらない。 [DVD(邦画)] 5点(2015-12-22 19:05:20) |
18. ドラキュラZERO
凡庸極まりない作品。 序盤の殺陣が秀逸で歴史モノ映画として面白そうな雰囲気でしたが、 闇の力を手に入れてからはどんどんパワーダウンしていき、 ラストに至っては非常に貧弱な内容。ドラキュラじゃなければ面白かったのに。 主人公から全てのキャストまでかなりよい演技でセットなども趣があって、 設定にのめり込みたいのにそうはさせじとどうしょうもない脚本に突き放されました。 ホンが悪いと全部が輝きませんね。 見せ場の点では、こうもりなんかがそれなりに目新しいけれども、 それだけでは『ZERO』を名乗るのはちょっと・・・ 既存の原作準拠ではないヒーロー映画を作りたかったのでしょうが、 もう少し思い切った設定にしないと勝負ができないのではないかと思います。 [DVD(字幕)] 5点(2015-12-22 16:26:26) |
19. アイアン・ドアーズ
ソリッドなワンシチュエーション映画。最近山ほど作られているワンアイデアで勝負の映画。 低予算での映画作成にはうってつけでキューブのナタリ監督に続けとばかりなんでしょうが、 キューブはシチュエーションの凝り方、アイデアなど確かに素晴らしかったですが、 むしろそれらを支える人物描写や罠のおそろしさなどの演出が際立っていたのに対して、 例えばこの作品では、一つの状況の中で起こる出来事に規則や意図がなく、 ただ無限の力で人が押し込められる姿を傍観することを強いられる。 ただなぜかそう。というだけで、そこにアイデアや工夫が感じられない。 結果としてやたらと冗長で理不尽な思いをしながら見ることしか出来ない。 ラストも可能性を感じさせるものとは言いがたく、投げやりな印象を受ける。 [DVD(字幕)] 4点(2015-12-20 13:02:56) |
20. サンブンノイチ
個人的には監督があまり好きではないが、悔しいことにこの監督は今まで そつなく、及第点以上の映画を撮り続けて来たといえる。 よく映画を観ているし、それ以上にその経験を巧く扱えている。 小杉さんの演技はややあやしかったが、全体として派手なキャラクターが出るので、 そこまでおかしな印象派受けなかったし、監督の精神安定剤として仲間がいないとダメなのだろう。 脚本がイマイチというか練りすぎているわりには、上手くこなれておらず、 どこか取ってつけた内容になっており、後半から終盤まではもはや蛇足の域。 それでも邦画では貴重なまともな映画。 [DVD(邦画)] 6点(2015-12-19 16:51:15) |