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レビュー情報
社会派の話題作とは聞いていたが、予想以上に社会問題とエンターテイメント性を高次元でバランスさせた佳作だった。本来はマスコミがもっと取り上げるべきテーマを、あえて高いコストをかけて映画にするというリスクを選択した製作者に敬意を表したい。前の方が言っていたようにレオのような人気俳優が主演でなければ、観客動員は期待できなかったかもしれない。そのレオの演技も光っている。展開が早く、冒頭から作品世界に一気に引き込まれる。そして何よりもこのエンターテイメント性に埋もれることなく、(たとえ作品がフィクションであっても)この作品が訴えようとしている「真実」はしっかりと伝わってくる。象牙であれ、金であれ、ダイヤモンドであれ、我々が目にするそれには目には見えない血がベットリと着いている(かもしれない)という真実。耳を澄ませばそこから罪なき家族の悲鳴が聞こえてくるという真実。いつの頃からか人間が命以上のものを欲しがるようになって以来この悲劇が繰り返されてきたという真実。私は妻に贈って以来ほとんどフタを開けたこともない(これからも恐らくほとんど開けることのない)いわゆる給料の3ケ月分の婚約指輪がわが家にあることを、こんなに恥ずかしく思ったことはない。私たちは現代社会に生きるものの努めとして(過去の無数の血と悲鳴の歴史の果てに生きるものの努めとして)この映画が訴えようとしていることは知らなければならないと思った。
【田吾作】さん [映画館(字幕)] 8点(2007-05-01 18:29:37)(良:2票)
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