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《ネタバレ》 「かつてはこんなに美しかった日本人~靖国神社で会おう!」が本当のタイトルではないかと思えるような内容。いくつか挿入される各特攻隊員のエピソードの一つ一つに背景などの深みがなく感情移入が困難だった反面、やたらと「英霊」賛美と「靖国」崇拝が鼻について仕方なかった。映画作品として割り切ってみれば、空襲や特攻場面が従来の日本映画よりリアルな仕上がりになっていることは評価できる。例えば、米艦隊の激しい弾幕の中を飛行し、標的に体当たりすることがいかに困難だったかなどはよく伝わってくる。このいわば映像資料にないビジュアルを再現し、観客に見せることの意義は大いにあると思う。逆に言えばそれ以外は全て中途半端な印象は否めない。強いて言えばエンドタイトルに出てくる当時の写真が、歴史の事実を雄弁に語り、一番胸に迫ってきたくらいだ。以下は個人的見解であることをあらかじめお断りしておく。「特攻」という世界に類例のない狂気的ともいえる作戦が生まれ、遂行できた背景のひとつに、国家神道をベースにした「七生報国」思想があり「神風神話」があり「靖国思想」があったことは否定できない。現代においても「靖国神社」に「英霊」が居るという思想を多くの人が信じているようであるが、良くも悪くもそれもひとつの「宗教」であり、あの時代の日本を支配した「宗教」と底流を同じくしていると私は考える。したがって私はこの作品が静かに主張していると思われる「靖国」賛美には、到底くみすることはできないし、近年の世界情勢のなかで自信と誇りをなくしつつある多くの日本人が、そのような思想に民族的アイデンティティーを求めだすことを危惧している一人である。私がこの作品を観て思ったことは、二度と、生命より国家を重んじるという、あのような時代をつくらない、という固い意志と行動こそが、かの数千名の愛すべき若者達(先輩たち)とそれを支えた人たちに報いる道だということである。「そのためにこそ」このような映画もつくられるべきだと思う。
【田吾作】さん [映画館(邦画)] 5点(2007-05-27 02:10:31)(良:3票)
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