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《ネタバレ》 原作は未読で鑑賞。ある意味非常に評価が難しい作品と感じた。単純に面白いわけでもなく、主人公達に感情移入しやすく作っているわけでもなく(二郎と菜穂子の出会いの場面で、あの時代に外国語を交わし合うといった情景は私達の住む世界と最初から違うと感じたし、感情の起伏に乏しい庵野の声も観客に「慣れ」を要求している)、学ぶべきメッセージもよく見えない(あったとしても既に既視感があり陳腐化している)。だが、大正から昭和という日本に暗雲が立ち込めつつある時代はアニメ作品の舞台としては特異であるものの、しっかりと描写されているし、最愛の人と切ない想いを慈しみあった経験がある人は、二郎と菜穂子のなにげないやりとりに心の琴線を揺り動かされるだろう。劇中、二郎の夢の場面がポイントとして幾度も挿入されるが、もしかしたら全編がこれ宮崎監督の夢なのではないかとも思えてくる。だからこそ物語は美しい飛行機と美しい菜穂子にフォーカスされ、他のディティールは省略されているのかもしれない。 そして主題歌の「ひこうき雲」はエンドタイトルとして珠玉の光彩を放っており、深い余韻を残すことに成功している。
【田吾作】さん [映画館(邦画)] 7点(2013-08-01 13:52:52)
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