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《ネタバレ》 第1作から順に観てきて、初鑑賞となる第11作。
今回のマドンナ「リリー」はこれまでとは一線を画す異色のキャラクターだが、その分印象深い回となっている。 場末のキャバレーを巡業する歌手で、煙草も吸えば酒も飲む。 当時はこうした女性が世に増えてきた時代だったと思う。 網走の船着き場で寅さんと出会い、お互いの境遇を語り合う、その目の前では、母子が父の出漁を見送る。 自由奔放ながらそれぞれの寂しさを抱える二人が共鳴する名シーンだと思う。 また、リリーが実の母から金を無心され暴言を言い放つシーン、寅さんがリリーの住んでいたアパートを訪ねるシーンなど、多くを語らずとも情感を物語ってくれる名シーンが多い。 結局は歌手をやめ、新しく世帯をもった旦那にも「一番好きなのは寅さんだった」と言って憚らないリリー。それをとまどいながら聞くさくらの表情も印象的。 リリーは今後の回にも度々登場するようなので、楽しみにしたい。 全編通して自分自身が幼少期だったの頃の記憶と、ところどころに映る街の背景が重なり、なんともいえない懐かしさがこみ上げてくる作品だった。 【田吾作】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2020-06-15 14:01:20)
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