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人生を歩む一歩一歩は、歩いているその時には何も自分に変化をもたらさないように見える。が、振り返ってみると、二度と戻れないその道程は遥かである、まるで水滴が岩を穿つように。映画を観ながら己の人生を振り返らなかったものはいないに違いない。誰にとっても宝石のように甘美な輝きを持つ大切なものとして心のうちに秘められている物、それを「さあ、それを脇に置いて先へ進もう」とやさしく観る者に語りかける。観客が「脇に置いておく」ように勧められるのは他ならぬロッキーをも含む。年齢的な意味でこの映画のストライクゾーンはスタローン実年齢60歳前後ではなく、実は40~50代であろう。人生を振り返りながらそこで過去の数少ない栄光、良い思い出にすがって生きるか、それを振り切って新しく良い思い出を作っていこうとするかの選択をする時期である。苦しい選択になろうとも前に進むとのスタローンの意欲に勇気付けられる。「思い出は美しすぎて、それは悲しいほどに」と表現したくなるような熱くセンチメンタルな「ロッキー」の締めくくり、カッコよすぎです。
【小鮒】さん [映画館(字幕)] 10点(2007-05-02 23:54:48)
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