シンドラーのリスト の ぞふぃ さんのクチコミ・感想

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シンドラーのリスト の ぞふぃ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 シンドラーのリスト
製作国
上映時間195分
劇場公開日 1994-02-26
ジャンルドラマ,戦争もの,モノクロ映画,歴史もの,実話もの,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 私はこの映画を戦時における美談モノとしては価値を見出していない。それよりも「非常時において普通の人間はどのように変貌し得るか」というテーマを描いたものとしてみるときにこそこの映画は輝いて見えるような気がするのだ。
実業家オスカー・シンドラーと収容所長アモン・ゲート。二人はこのような非常時でなければ多分極普通の人間としてその生を全うしたのかもしれない。むしろ怪しげな山師的性格のシンドラーよりもゲートのほうがきっと真面目で世間により認められる人間になったとしてもそれは別におかしくもなんともないことだったろう。
だが、この狂気の時代にゲートはその気分で人間をあやめても平気な悪魔になり、山師シンドラーはその財(もともとユダヤ人を助ける羽目になったそもそもの目的)すらも投げ打ってユダヤ人を助けるのに奔走するようになる。この展開は本人すら思ってもみなかったことであったろうに。
悪魔のようなゲートにすら良心の呵責がまるでなかったわけでもなかろう。確かゲートがシンドラーにこんなふうに尋ねるシーンがあった。
「どうして君はそんなに満ち足りていられるのか?」
「それは赦しているからだよ、君にも出来るだろう?」
・・・君にも出来るだろう?だがそれを実行しようとゲートは試みるも、挫折し、またも些細な失敗をした囚人を虫けらのように殺してしまう。結局はその「赦している自分」に「今更そんなことをしたところで遅い」という悪魔の声がささやいたのかもしれない。今更!オレはもうとりかえしのつかないところまできてしまっているというのに!そんなことをしてどうなるというのだ?!と・・・
狂気の時代は、平凡な人生を送るはずだった人々を悪魔のような大悪人にもし、その反対に信じられないような善行を積むきっかけを与えたりする。もしも、もしも私がそのような時代に不運にも生きなければならないことになったら、そしてもしも普通の凡人の道を踏み外さねばならない事態になったとしたら、どうか悪のほうではなく善のほうに足を踏み出せるように・・・その勇気がひとかけらでも私の中にありますように・・・と、そんなことを考えさせてくれたのがこの映画。偽善的・あからさまな賞狙いなどいろいろな批判もある中、確かに私にとってはそれ以上のものがあったと、私自身は確信している作品である。
ぞふぃさん [映画館(字幕)] 7点(2007-10-15 17:23:05)(良:4票)
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投稿日付邦題コメント平均点
2020-02-12パラサイト 半地下の家族4レビュー6.77点
2019-09-22アド・アストラ3レビュー4.39点
2019-03-05グリーンブック8レビュー7.97点
2018-11-15ボヘミアン・ラプソディ8レビュー7.38点
2017-12-21スター・ウォーズ/最後のジェダイ3レビュー5.79点
2017-02-27ラ・ラ・ランド4レビュー6.58点
2016-12-15箱入り息子の恋7レビュー6.40点
2016-11-24ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅3レビュー5.56点
2016-10-24スター・トレック/BEYOND4レビュー4.77点
2016-08-10シン・ゴジラ8レビュー7.25点
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