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《ネタバレ》 神の預言とか神の信託とかがキリスト教圏を舞台にした映画にはよく出てくる。ジャンヌ・ダルクは中世フランスの女闘士というぐらいの認識しかなかったが、神の啓示を受けたと国王にアプローチしたのは知らなかった。神の啓示を受けたと主張する現代のカルト宗教家にダブる。こういうタイプの人間にはどうも胡散臭いものを感じてしまう。
ジョヴォビッチは凛々しくて魅力的だが、狂信的でヒステリックな主人公には魅力を感じない。人を殺したことがないと言いながら、結果的に戦いを先導して多くの人を死なせている。言動に矛盾がある。 結局「神の徴」も自分が見たいものを見て、いいように解釈していただけ。冷めた視点でジャンヌを問い詰める神の化身(ダスティン・ホフマン)が、宗教と人間のリスクを浮き彫りにしてくれる。 教祖となって人を動かすことができるのは、たとえ間違っていたとしても確固たる信念(というよりも思い込み)と、それに基づくブルドーザーのような行動力を持つ人物だろう。カルト教祖も自分が心底神の使いだとか生まれ変わりだと信じているから、それに洗脳される者が出てくる。それにしても、19歳の田舎娘の妄想のような直言がああも簡単に受け入れたのは、迷信がはびこるような時代だったからか。ジャンヌによほどのカリスマ性があったのかもしれないが、この映画からはそれが感じられなかった。 身も蓋もなく言ってしまえば、思い込みの激しい痛い女に振り回されたお話。でも、ジャンヌ・ダルクを悲劇の英雄として祀り上げるよりは、こうした人物像に描いたほうが現実的で良かった。 【飛鳥】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-09-17 01:50:17)
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