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1.  オデッセイ(2015) 《ネタバレ》 
中国が米を助けると言うメッセージを勘違いしている人が多い。あれはアメリカの子分の日本が助けても意味がない。いがみあっている米と中国だからこそ意味がある。人が人を救うのは理屈じゃないというのが最大のメッセージです。だから嫉妬はやめておけ。また、原作ではたかが植物学者1人救うのに何十億の血税を使う気かよとワトニー本人が自虐的に言っていますが、それも「中国」のエピソードと同じで、人間の善意を完全肯定しているのが本作品の特徴だと気が付いてください。この物語の最大の魅力は、主役の描写が素晴らしいこと。そして彼の性格の描写はNASAとのやりとりによってはじめて浮き彫りにされていく。残念なことに映画では両者の喧嘩シーンが大幅にカットされている。NASAが主人公を飼い馴らすことができず、逆切れして「うぬぼれるなよ!」と吐き捨てるシーンや、「君の発言は全世界に生中継されているので気を付けろ」と恫喝した後に、すかさずワトニーが「おっぱい!」と返信するシーン。この反骨精神こそ、マーク・ワトニーの本質です。おっぱいは女性差別でカットされたらしいですが、それだったら「ちんぽ」でも良い。まさか男性差別にならないだろ。大事なシーンだったのでカットしてほしくなかった。ここでユーモアのなかに見え隠れするワトニーの強烈な自我が理解できるのです。強大な組織や、強大な自然にもまったく動じない彼の性格に全世界が共感し、応援できたのだと思います。さらに無人島と同じようなシュチエーションを描きながら、全世界から見られているというアイデアは抜群に新鮮。原作の楽しさは例えば「ワトニーあぶない、そっちに行くのをやめろ!まさか・・ワトニーでかした!君は天才だ!」というふうに、驕り高ぶったNASAが一喜一憂するシーンがメチャクチャ痛快で楽しいのです。この物語はもともとネット小説。ネットにはくだらない小説がクソのように存在する。そのクソのなかで3万回以上もダウンロードされて読まれたのだからちょっと普通を通り越している。原作は7ソルかけて読み終えました。この物語の最大のポイントは、世界各国の人々がマーク・ワトニーのことを、アメリカ人ではなく、地球人として見ていたことです。宇宙という存在は、人種や国家の概念を変えるほどの力はあると思います。人種や宗教や国家は違えども、同じ同胞である地球人を助けるために多くの人々が手を差し伸べたのです。そこを理解できないと、ピントのずれた不満だけが残るのでしょう。
[DVD(字幕)] 9点(2016-08-16 13:45:44)(良:3票)
2.  メイズ・ランナー 《ネタバレ》 
まず良かった点は4つあります。 ①3部作なので1では脱出できないと思っていましたが、ちゃんと脱出できたこと。現代社会はストレス社会です。われわれは脱出願望が非常に強い。迷路からの脱出は現実逃避のメタファーと見ることができる。現実からの脱出を映画のなかで体験しカタルシスを得ることができます。 ②この映画は15少年漂流記やロストとよく似ています。監禁状態は無人島と同じです。閉じ込められた人間集団は派閥を作ります。そしてミニ社会が形成されます。だからこういう映画はドロドロになりがちですが、思いのほかサラサラ系に仕上がっています。その理由は、脇役の韓国系俳優の存在が非常に大きかったと個人的に思います。トラブルメーカーを1人に抑えたこともよかったです。 ③シュチエーションが好みです。迷路のなかにいる謎の生物の正体が機械だったことも一層謎が深まってアイデアとしては良かったと思います。なによりも敵の正体が最後の最後まで分からない点が良い。これはキューブと同じ設定ですが、敵が何を考えているか分からずに翻弄される登場人物たちの描写がきちんと描かれています。 ④3話完結ですがちゃんと1話で完結している点は高く評価されて良いと思います。「迷路から脱出したら世界は滅びていた」というオチは悪くないと思います。たしかバイオハザード1も同じだったと思います。こういうのは好きです。 では悪かった点。 ①主人公が馬の骨だったこと。これは予算の問題もあると思います。しかしこいつは陰気くさくて共感できません。主人公が助かってほしいとは思えませんでした。 ②学園ドラマっぽいのはマイナス要素です。しかも男臭い。男は非常に臭い。全体を通してむさくるしい。窒息させる気か。 しかしあまり悪い点が見当たりません。全体的には合格の8点です。2も観たいですね。
[DVD(字幕)] 8点(2015-10-12 19:31:59)
3.  マレフィセント 《ネタバレ》 
これは「ウィキッド」でしょう。ウィキッドは、誰も知らない、もう一つのオズの物語です。そして本作は誰も知らない、もう1つの眠れる森の美女です。どちらも共通するのは、歴史的に有名な悪女はじつは悪女ではなかったという点です。正直に告白すると、私はこの映画を観る前に結末を確かめました。もし、マレフィセントが死に、オーロラ姫が助かってメデタシメデタシというラストだったら私は観るつもりはなかった。それを私は心の底から恐れていた。しかし結末は完全無欠の予定調和だと知って、私は激しく安堵した。さすがディズニー。予定調和を嫌う観客もいるが、ハッピーエンドで何が悪い?リアルティが好きなら、映画を見ずに新聞でも読んでいろ。そう言いたくなってくる。映画は常にハッピーエンドであるべきだ。映画は希望だ、これが私の持論です。とは言っても、世間では罪には罰を与えよ!という意見があることも重々承知だ。つまりいくら悪人が更生しても悪人は最後にくたばってもらう。そして観客は悪人マレフィセントの死にざまに涙を流せという押し売り型の物語もよくある。私は断じてそのようなストーリーを受け入れるつもりはない。この映画のなかで悪役として登場するのはマレフィセントではなく王様だが、彼もマレフィセントを殺せるのに殺さなかった。生粋の悪ではないと思う。そういう何気ない描写も印象に残る。そしてマレフィセントの人物描写を決定づけるシーンはやはり憎むべきオーロラ姫をけっきょく愛してしまった描写だろう。オーロラ姫を憎みたいと思いつつ、どうしても憎めない。オーロラ姫は美人とは言えないまでも、どこまでも無垢な女性だ。彼女の心には悪も善も受け入れることができる純粋さがある。虚無に陥ったマレフィセントはオーロラ姫を救うことによって、自分自身が救われるという人生の1つの真実がそこに描かれている。つまり、人は人を救うことによって自分自身が救われるのだ。いずれにせよ、現実はもっと厳しいと思う人には向かない映画でしょう。いま、心が傷ついている人、将来に対する不安を抱えている人、失恋した人、優しい心を求めているすべての人に鑑賞してもらいたい。これぞファンタジー映画の王道です。久しぶりに泣きました。また、このような映画を泣ける自分の純粋さに満足しました。中年になっても私の感性はなかなかのものだ。いやぁ、映画って本当にいいもんですね。
[DVD(字幕)] 10点(2015-08-16 20:32:14)(良:3票)
4.  ブルージャスミン 《ネタバレ》 
セレブな姉の生き方と、幸薄な妹の生き方が対比されて描かれており、当然のことながら、貧乏な妹を幸せそうに見せています。つまり監督はこう言いたいのです→女性たちよ、背伸びして男を選ぶなかれ、妥協して男を選び、平凡なあなたの、平凡な人生を受け入れよ!というわけです。当の監督さんは凡人ではなく天才です。ですから彼は何度も女を捨てて再婚し、しまいには自分の養女にまで手を出して再婚してしまった。最近は子供の性的虐待も暴露されている。こんな監督に女性の本質は描けない。鑑賞前から私にはこのような先入観があったことを素直に認めましょう。それはさておき、この映画、身分の高いところから落ちた女性を描くことが主眼の1つですが、その描き方が実にうまい。社会の底辺をさまよう男2人組の演技が素晴らしいからです。ヒロインがテイヘン男に触られて穢された!ということが激しく実感できます。しかもK・ブランシェットと言えば、エリザベス女王のあの女優です。比喩的な表現として、このクソ2人に触れられるたびに女王様はどんどん汚されて壊れていきます。しかしよく考えてください。悪いのは元夫です。彼女は犯罪者ではありません。いったい彼女に何の罪があるのでしょうか?なぜ自業自得なのでしょうか?他人の不幸は蜜の味と言いますが、この女性の悲劇を、笑いのセンスがすごい!と、のたまいながら観られる人間にはなりたくありません。私は心が痛すぎてどうしても笑えませんでした。彼女の始めた勉強は、他人に依存しない生き方を模索しようとした一環だと考えます。失敗はしたがそれでも立ち直ろうとしていました。この映画は失恋して激しく女性を憎むようになった男が笑いながらざまあみろというための映画だと断言します。では謹んで0点を献上させて頂きます。
[DVD(字幕)] 0点(2015-06-25 19:13:30)(良:1票)
5.  ゴーン・ガール 《ネタバレ》 
夫に同情ができない。従って女性が悪女に見えない。この夫、例えば失業中ゲームに夢中、妻に暴力、挙句の果てに不倫、こんな自涜の習慣を持つ夫は当然法律で処罰されるべきです。もちろん離婚すれば問題解決ではない。女性の人生を台無しにした。やはり罪に対して罰は必要だ。しかし今の法律では夫を罰することができない。だから妻は悩んだあげくに不合法な方法で夫に罪を与えようとした。果たしてこの行為は悪なのか?それとも正当な報復なのか?非常に判断が難しいでしょう。1つ言えることは今の世の中、妻を傷つける夫が多すぎる。この真実に対する反論→「そんな男を選んだ女にも問題がある」→見事な責任転換です。こんな詭弁でなんの罪もない女性を悪女にするのですか?女性がDV夫に殺されるたびにこの詭弁が罷り通る。この作品のテーマは「怒り」です。男社会から虐げられてきた女性の声を代弁し、偉大なる「レンチシン」を持った1人の女性が、男社会に立ち向かう。監督の代表作「ドラゴンタトゥーの女」と共通しています。男社会には「女のくせに」という無意識の蔑視が存在します。ダメ夫はこう言う。「俺は女から批判されるのが一番むかつく!」これが女をモノ扱いにしてきた男の正体だ。「女のくせに」怖いな。「女のくせに」賢いな。黙れ、クソ野郎が。お前のようなクソ男が女性をいつも傷つけるのだ。お前こそ男社会の象徴だ。お前こそ無知の象徴だ、このような悪に対し、罰を与えようとした彼女の行動には正当性が感じられる。よって多くの観客は彼女に共感し、映像も艱難辛苦を乗り越え復讐を成し遂げようとする彼女に寄り添うものになっている。ストーカー男が殺されてかわいそう?それは男尊主義者の詭弁である。ではなぜ彼女は偉大なる目的を放棄し、夫の元に戻ったのか?それは夫を愛していたからだ。彼女が夫に正当な罰を与えようとした真の理由は、彼が己の罪を自覚していなかったからだ。しかし夫はその罪を認めた。その様子を食い入るようにTVで見守る彼女の表情は、まさに愛する女性の表情だった。それに対し、夫はまたしても妻を裏切る。くれぐれも世の中の夫たちは、妻に好かれていると勘違いしてはいけない。男社会が存在する以上、女たちのジハードは終わらない。男たちが女性から殺されない理由は、殺人の成功率の低さから生じる諦念によるものである。もし、確実に殺すことが可能ならばその権利はいずれ行使されるでしょう。
[DVD(字幕)] 10点(2015-06-25 19:09:43)
6.  トランスフォーマー/ロストエイジ 《ネタバレ》 
これだけ長いのに主要な登場人物の名前をさっぱり覚えることができないという恐ろしい映画でした。母親が離婚したことや、娘が思春期であることや、父娘の葛藤など、ロボット映画にヒューマンドラマを合体させることにより、私の予想を遥かに凌駕するバカ映画に仕上がっています。とくにバカ娘が恋人に対して「例のやつをやって」と言って、車でビルからダイビングするシーン。いつもデート中にやっているそうですが迷惑すぎます。こんなバカカップルのほうが人類の敵だ。お前らロボットの下敷きになれ。一番納得できないのは、何のために衆議院を解散したのか理解できない安部政権のように、なんのためにロボットが戦っているのか理解できないことです。ハゲの社長の行動も意味不明。殺意すら覚えるほど低俗なギャグを連発してイライラしていましたが、いつのまにか善人キャラになっている。私にとってこの社長の存在がバカの象徴でした。ちなみに人間の脳細胞は1日に10万個減少、多いときで14万個も減少すると言います。この映画の鑑賞後は15万個減少すると思います。今まで監督のことをバカだと思っていましたが、本当にバカでした。ここまでブレないバカを追求した監督に敬意を表し、この映画をきっかけに、マイケルバカと改名してもらいたい。  
[DVD(字幕)] 1点(2015-01-04 17:02:13)(良:1票)
7.  シュガー・ラッシュ 《ネタバレ》 
 どうせアニメ、たかがアニメ、人はそう言う。しかしシュガーラッシュは大人も号泣できるヒューマンドラマだ。一度は自己嫌悪で苦しんだ観客ならば、「悪役」を職業とする主人公の苦悩に否が応でも共感してしまうだろう。しかも、誰からも愛されたことがないラルフが、図らずも逃げ込んだシュガーラッシュで、1人の少女から頼りにされてしまうという設定が神だ(泣) 嫌われ者というのは、本音では誰かに頼りにされたい。そのツボをジャストフィットしてくれた。終始、号泣だった。人生に疎外感を感じて生きている人間は絶対に観ろ。1番のミソは少女だ、もし彼女がウザイだけのクソガキだったら映画として成り立たない。しかし彼女は壊れかけたキャラなのに、恐ろしいほどかわいい。いや、壊れかけだからこそ、果かなさを感じる。本当に守ってあげたくなる。ディズニーの人物設定は、あんがい十字架を背負ったような重いキャラが多いが、それがレベルの高いヒューマニズムを生んでいる。ラルフの心理描写も抜群だ。みんなから愛されるヒーローになるために飛び出したのに、しだいに1人の少女だけのヒーローであり続けることにこだわりを見せ始める。あの手作りのバッチだけでも私は号泣できた。愛してくれる存在に気が付いたとき、ラルフは悪役である自分を肯定できるようになる。たしかにそうだ、自分を肯定できるきっかけとは結局こういうことなのだ。もはや宮崎監督にファンタジーの世界を生み出す神通力がなくなった現在では、アナと雪の女王しかり、ディズニーのファンタジーこそが日本人の心を鷲掴みにするのは自然の理である。昔、ドラえもん映画で、畳をめくるとそこは別世界という映画があったが、ファンタジーとは、現実と夢のギャップが大きいほど魅力がある。ハリーポッターでいえばダーズリー一家(現実)と魔法学校(夢)。つまりラルフの世界(現実)を厳しく描くのは意図したものなので、あまり住民の冷たさを責めてもしかたない。現実とシュガーラッシュのギャップこそが、ファンタジーの魅力なのだ。それと最近のゲームは主人公がリアルになった。体から血も流れる。しかしどんなに時代が進歩してもアニメのトリアージ(優先順位)はリアルとは別な方向にある。本作品のように最新のCG技術を駆使し、レトロなキャラを描く意味はそこにある。 
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-09 00:15:10)
8.  それでも夜は明ける 《ネタバレ》 
黒人のレブロンジェームズがキングと呼ばれ、同じく黒人のペレが王様と言われている現代ではにわかに信じられない事実ですが、白人の女性は奴隷の黒人の前では、自宅で平気で裸になったと言います。つまり、動物に裸を見せて恥ずかしがる女性はいなかった。過去の黒人は動物という認識だったのです。中には黒人に理解を示す白人もいたが、それは人間が犬に対して愛情を持つのとなんら変わらない。私は問いたい。「この映画を観て、黒人を痛めつける白人を残酷だという観客は、なぜそう思うのか?」答えが簡単です。我々はすでに黒人を動物ではなく、人間として認めているからです。だから私たちの感覚で、昔の白人はケシカランと結論付けるのは早計なのです。人は相手が動物の場合、今でも平気で自由を奪っている。たとえばロープにつるされたままの主役の黒人に驚くことなく、まわりの白人たちは淡々と日常生活を行っているシーンは、まさに動物に対する人間の態度なのです。ただしこの黒人はほかの黒人と違って自我を持っていた。黒人を動物と考える白人は、その黒人の自我に敏感に反応し、脅威を感じ、そして敵とみなした。いつしか黒人は韜晦したふりをして、生きる術を身に着けた。→「ワタシはニンゲンではなく、ドウブツです。」多くの黒人は動物のふりをし、白人はその態度に安堵した。そういう時代だったのです。人間は昔も今も残酷だ。ハンティングと言って、動物を殺すことを楽しむスポーツがある。過去も、現代も、そして未来も人間は常に動物と認めた生き物に対しては絶対的な差別を行っている。黒人は単に動物から人間に格上げされたに過ぎない。私は許さない。主役の黒人俳優は素晴らしい。同じ黒人俳優のデンゼルやスミスなどにはこういう演技は無理(かっこよすぎるから)艱難辛苦を他力で乗り越えるところは事実だから仕方ない。運命の波に翻弄されながらいつの間にか砂浜にたどり着いた人間の姿、その姿には正義も悪も、勝利も敗北もクソもありません。正当なヒューマンドラマとは、かくあるべきです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-05 19:49:11)
9.  ノア 約束の舟 《ネタバレ》 
人間視点で見るとノアが狂人に見える。しかし、ノアは神の代理人として、人類をリセットする役目を担っていただけなのです。岩巨人の種族は滅びました。しかし観客は誰1人そんなことは気に留めません。艱難辛苦を乗り越えて、人類は愛によって救われた!という点だけが人間にとって大切なことなのです。これが人間視点です。この映画は、人間は悪なのか、正義なのか?という問いかけがあり、「やっぱり善だよ。だって愛は人間の特権だろ」と結論付け、それに上乗せするかのように、ハーマイオニーが「ノアさん。あんた、神の代理人だろ?あんたが人間を滅ぼさないと決めたのならば、それは神の意志と同じなんだぜ」と歪曲し、最後に人間万歳!と強引にハッピーエンドにもって行った。このように観客に過剰なカタルシスを与えることで、かえって娯楽作品に成り下がるケースは多い。ノアは廉恥心を持った人間でした。従って人類を滅ぼすことに意義を求めた。しかし世の中の多くの人間は廉恥心どころか、羞恥心すら失っている。実に嘆かわしい。この世の中に絶滅した生物は星の数ほど存在しますが、いかに人間はそれに関わってきたでしょうか。エサを求め、命をかけて下山したイノシシやクマを、人間は山に帰れと当然のように言いますが、言い換えるならば「おまえたちは山から下りず餓死して死ね」と言っているようなものです。しかしクマだって親なのです。お腹を空かした子クマのために命をかけて下山するのです。地球は一体誰の物でしょうか?害獣だと言ってたくさん駆除し、数が少なくなったら今度は手のひらを返したように天然記念物にして、人間のやさしさを見せつけようとする。とんだ茶番だ。動物を射殺する狩猟(ハンティング)だってスポーツである。動物をゲームのように殺して楽しいのか?冗談じゃない。人間は凶暴、残忍、非道の三拍子がそろっている。それでばつが悪いからと言って、人間自らが神や仏を創り出したのです。神は常に沈黙しているから、赦しを乞う人間たちにとっては都合良く解釈できる。ハーマイオニーが神の意志を都合よく解釈したのと同じです─。アーメン。
[DVD(字幕)] 7点(2014-09-28 16:31:41)
10.  ビザンチウム 《ネタバレ》 
物語の本質は、共依存の母娘です。野蛮な男たちに虐待されて生きてきた母親は、自涜の習慣(娼婦)から抜けられません。彼女の自涜の念が我が娘には同じ道を歩ませたくないという強い思いにつながっているのだと思います。しかし娘を守るつもりが、逆に娘を精神的な牢獄に閉じ込めていることに気が付きません。従って娘の最大の親友は母親であり、母親だけが人間関係のすべてであり、母親以外には他人を愛する選択肢がありません。母親のほうは「私がいないと、この子は生きていけない」と妄念妄想にとりつかれています。ラストで母親が娘を手放したのは、母親自身が、娘から自立できたことを意味します。このラストシーンに未来の燈芯を感じます。また、この映画の吸血鬼は、己の力を誇示する生物として描かれているのではなく、あくまでもマイノリティとして、虐げられる存在として描かれています。悪の存在ではありませんが、人間を殺さないと生きていけないというジレンマがあります。そのために死を望んだ人間からのみ血を吸うという清貧な吸血鬼娘、遠慮せずにじゃんじゃん吸えよ。人間なんて、同族以外の生き物を殺しても、器物破損にするようなバカな連中なのだから情けをかけなくて良い。そういうわけで生きているだけで罪を感じている彼女の存在そのものが果かないです。その果かない存在と、美しい映像が見事に諧和しています。間違っても十字架が弱点の吸血鬼バトル映画だとは思わないでください。私は心が癒されました。弱者に救いの道が開かれる物語はやはり心があたたかくなりますね。
[DVD(字幕)] 8点(2014-09-14 23:53:29)(良:1票)
11.  ファミリー・ツリー 《ネタバレ》 
家庭を顧みないクルーニーパパが、妻の死を悟ってようやく改心する内容。こんな夫に愛想をつかした妻は、本当に愛する男性と一緒になろうとした。しかし自業自得であるはずの夫が、死のうとしている妻に突然逆切れ!われわれ観客からすると、夫の八つ当たりが不思議に見えます。この夫は、妻のことを「所有物」としか見ていなかったのだと思います。だから自分のモノが他人のモノになろうとしたから激怒した。浮気された原因は、自分の責任だと考えていない。自分勝手な男です。妻のお父さんが怒る気持ちも分かります。女性を幸せにできなかった男には罪が存在し、その全責任を負う必要があるのです。娘たちがやばいです。子供を妻におしつけて放置したから当然の報いですが、このダメオヤジは妻が死なないと子供と向き合えないのでしょうか?娘の彼氏なんてドラッグ漬けで相当やばい奴です、俺の娘に手を出すなと言ってぶん殴るのが父親の役目じゃないですか。性格がいい?冗談じゃありませんよ。私が親だったらコイツは絶対に娘に近づけない。あげくのはてにこの夫、妻が死ぬ時「さよなら、わが妻、わが親友」というキザなセリフ。これで世の中のダメオヤジたちは、自分の奥さんがこん睡状態になったら同じセリフを言ってやろうと喜んで妄想しているに違いない。困ったものだ。死人に口なしと言いますが、もし妻が喋ることができたら、この自分勝手な夫になんと言うでしょうか?「あなたを赦してあげるわ」そう言うでしょうね。そうすると夫はまた激怒するでしょう。だってやっぱり、この夫、自分が悪いと思っていないから。許してやるという感情はそれほど傲慢なのです。じゃあ私もこの映画を許してやるとするか。 
[DVD(字幕)] 5点(2014-08-20 19:49:51)(良:1票)
12.  ウルヴァリン:SAMURAI 《ネタバレ》 
この映画は監督の諧謔心を笑い飛ばせるかどうかで評価が異なる。タイトルは狙い過ぎのサムライ。日本では野球選手もサッカー選手もすべてサムライにさせられる。今の日本、弱いくせにサムライが多すぎる。また、ウルヴァリンが逃避行の女性と突然セックスするが、どうしても恋愛に見えない。やはり日本=女性は従軍慰安婦扱いにしたいのだろう。ラブホテル火星探検は、世界最高レベルの日本のアダルト産業を暗示させている。日本人がいかにイマジネーションに富んだ変態なのかハリウッドが証明してくれた。さらに日本は女性軽視の国だ。従軍慰安婦、痴漢映像、レイプ映像、アダルト漫画など、日本男性独特の「変態」に反感を持っている外国人は非常に多い。赤パンツの法務大臣は日本の政治家の象徴だ。こういう奴が国会で女性にヤジを飛ばし、世界に恥を晒すのだ。極めつけは世界から異質の目で見られているパチンコのシーンだ。ギャンブルは必ず負けるが、負けると分かって戦うのが日本人の美学らしい。殺されると分かっていながら、真田が不死身の主人公に睥睨しながら向かっていく切ない姿はその象徴だ。こうやって1つ1つのシーンを紐解いていくと、犀利な洞察力を持った監督の視点から見た日本観が見えてくる。褒めているのか貶しているのか微妙なところだ。それから日本で起きる殺人の5割以上が家族内殺人である。監督はその統計をちゃんと考慮している。ヒロインは父親から命を狙われ、ラスボスの祖父はヒロインに爽快に殺される。いずれにせよ、この映画では日本の男は全員人間のクズなので、死ぬ価値は充分ある。さらに原爆の投下後のシーン。アメリカ人が原爆を落とす→そのアメリカ人から日本人が助けられる→涙を流して感謝する日本人。アメリカンジョーク、ここに極まれり!そして助けてもらったのに、義理人情の欠片もなく裏切る極悪非道な日本男児─。出てくる日本男児は悪人と変態のオンパレード。しかし私は日本人に媚びない監督の日本観が気に入った。しかも肝心な点は日本の真実を捉えていた。
[DVD(吹替)] 7点(2014-07-28 20:37:17)
13.  スノーピアサー 《ネタバレ》 
超のつく氷河期のため、外では誰も生きられない設定で、無理やり「人類」を、列車の中に詰め込んでしまうという大変イマジネーションに富んだ作品です。この映画を新聞の広告で知って、久しぶりに映画を鑑賞しようと思いました。最大の見どころは世界観の構築です。列車の扉を開けるたびに、新たな敵と、新たな世界が観客の視界に飛び込んでくる。奇抜な水族館、名勝庭園、なぜか寿司屋、それに学校、そして授業を受ける洗脳されたクソ生意気な生徒たち、次の扉を開けると、どんな世界が現れるだろうかと思わせてくれる。私は豪華客船や、豪華列車に興味がある。それは乗り物というよりも1つの居住空間であり、1つの世界だからです。そんな私の欲求をこの映画は満たしてくれる。同じ人がいたら是非この映画を観るべし。惜しむらくは、ラストが饒舌すぎる点です。親切に説明をするから、揚げ足を取る観客が増えやがるのだ。いっそのこと、こうしたらどうか?「なぜ列車に食料があるのか?」「なぜ武器があるのか?」「なぜ列車は壊れないのか?」「列車を動かす真の理由は?」と、主人公に言わせる。そのうち、観客も一緒になってその謎を考えるようになるだろう。そして、いよいよ主人公が最後の扉を開ける瞬間、エンドクレジットを流してやれ。最後の扉を半分開いたところで映画を終わらせるのだ。支配者も当然のことながら謎のままにしておく。観客ごとき、甘やかさずに、放置するのも1つの手である。過去にそういう映画があった─。ご存じの人もいると思うが、あのカナダ映画です。ただ、実際には、饒舌すぎる支配者が、延々と、主人公と、われわれ観客に、意味不明な演説をぶつわけだ。しかし、列車の中の身分制度のアイデアは世界観を構築するうえで重要だった。列車の中にちゃんと首相まで存在する。もしかして大臣もいたかもしれない。つまり列車の中に「国家」があり、そして「社会」が存在する。このように細かい個所までしっかり描くことで、より一層、この列車は、「人類を詰め込んで走っている」というファンタジックな感覚を、観客は味わうことができるのである。私はこの映画の映像美的センスを買う。
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-09 22:57:26)(良:1票)
14.  アナと雪の女王 《ネタバレ》 
Let it Goは「解放」を意味します。唐突ですが性同一性障害であることを隠す人々。障害と言われるがそれは本当に悪いことなのだろうか?エルサの魔力は悪いのか?世間は彼らを許さない。しかし悪いわけがない。それは生まれ持っての性質なのだ。だったら明かしてしまおう!カミングアウトしよう!この曲を聴くことにより、世間の声に縛られたマイノリティたちは解放され、しがらみから解放されるのです。カミングアウトした彼女の「生き方」に、私は激しく共感できる。私も同じ気持ちだ。それがこの映画と曲が愛される最大の理由だと思います。Let it Go・・乱暴に翻訳すると、「世間の声なんて気にしない。私は私は肯定することにした!」です。もう周りの目を気にするのはやめよう、自分の好きなことをやろう、自分の本当の姿を隠すのはやめよう、隠すことをやめ、真の自分の姿をさらけ出したエルサの生きざまと、Let it Goにスタンディングオベーションは必死です。中世の世界観も良い。そしてもう1人のヒロインの妹─。雪のお城のドアをノックするのをためらう彼女は、子供時代から姉の部屋をノックして拒絶され、トラウマになっていた。妹のカラダを傷つけたくない幸薄女王は、妹のココロを傷つけてきたことに気が付かない。ダメだ・・もうこの時点で号泣だった。愛しているという妹の叫びと、愛さないでほしいと叫ぶ姉・・・。「わたしは孤独。しかし自由よ」と嘘ぶく幸薄女王。彼女がだんだんダークサイドに堕ちていく展開に年甲斐もなくハラハラドキドキした。そしてラストシーン・・。泣いた。妹はキスをすれば命が助かるというありきたりな設定。しかし目の前には殺されかけた幸薄女王が!自分の命か、それとも姉の命かという究極の二者選択。妹はなんの躊躇もなく姉を助けて凍死。姉に対する無償の愛だった。愛されてはいけないと思い込んで生きてきた幸薄女王が、ようやく愛を受け入れた時、氷は解けた。鼻水が出るほど泣ける。字幕で観るか、吹き替えで観るか悩んでいるならば、今回は字幕で観てください。
[映画館(字幕)] 10点(2014-03-29 08:50:23)(笑:1票) (良:1票)
15.  ゼロ・ダーク・サーティ 《ネタバレ》 
アメリカの報復行為に関して私は断固としてアメリカを支持したい。復讐は意味がない、憎しみは憎しみしか生まないなんてありきたりな言葉で、アメリカを批判するほうがむしろ滑稽だ。拷問シーンを見てもCIAを批判するつもりはない。むしろ、「早く吐きやがれクソ野郎」とCIAを応援していた。法律を無視するテロリストに、法律で対抗するのは限界があるのだ。法律を超越するCIAのような機関が日本にあっても良い。最近は元CIA職員によって、CIAの法律無視ぶりが露見されているが、今回この映画を観てCIAを見直した人も多いだろう。日本を代表して私がCIAをぜんぶ赦す。テロの怖さは姿が見えないことだ。たまたまビンラディンが「ラスボス」という扱いにされたが、実際に彼にそれほどのリーダーシップがあったかどうか疑問を感じる。女性CIAはドラゴンクエストのようにラスボスを倒したら、とたんに敵がいなくなり、世界が平和になると思い込んでいた。しかしラストシーンの彼女の涙の意味、ラスボスを倒しても、「世界」は昨日と変わらないという現実─。喜びがないという悲しさからの涙だった。しかし私自身、それがむなしいとは思わない。ビンラディンを殺害した瞬間、ネイビーシールズを褒めたい気持ちになったし、気分が高揚した。日本人の私ですらそう思うのだから、アメリカ人の場合は特にそうだろう。ビンラディン急襲作戦は批判されるべきではないし、これはアメリカバンザイ映画でもない。またその逆の反戦映画でもない。右の映画でもないし左の映画でもない。アメリカ人の、アメリカ人による、アメリカ人のための映画だと感じました。なお、映画の視点は必ずしも多方向である必要はありません。私は主観的映像を肯定します。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-16 14:32:45)(良:2票)
16.  ジャンゴ 繋がれざる者 《ネタバレ》 
アカデミー賞関連の映画ということで鑑賞したが、やはり意味のない暴力描写が多い。クジラの潮吹きのように飛び出る血や、指で目をつぶす描写などに目を背ける正常な人間とは反対に、興奮して「面白い!」「カッコいい!」「センスのいい音楽と人殺しの組み合わせは最高!」と絶賛する病んだ人々がいる。私はこの映画を観て、病んだ現代人は減っておらず、むしろ増え続けていることを確信した。ゲームの中でモンスターを殺すことに粘着したり、レイプアダルトを見ている病んだ人間たちの深層心理は到底理解できないが、そんな人間が多いからこそ、犬に人間が食われる意味のない映画を観て狂喜できるのだろうと思う。つまり、病んだ人間が増えれば増えるほど、タランティーノは商売繁盛となるわけだ。私はこの映画に映画愛のかけらも感じられなかった。彼は実は映画を憎んでいるのではないだろうか?こんな監督に「差別はいけませんね」なんて言われる筋合いはない。しかし人間というのは、残虐なシーンを見て喜んでいる自分を隠そうとする。だから差別問題をカモフラージュにして血しぶきを見せる。そうすれば観客たちは安堵するのだ。戦争の悲惨さや、差別の根深さを知るためにもっと血を流しましょうか。満足ですか?え?血の量が足りない?差別問題はもっと奥深いからもっとクールな殺し方を見せてほしい?あぁ怖い。映画の内容が怖いのではなく、この手の映画に需要があることが怖い。センスのいい音楽を聴きながら、センスがいい殺され方だと絶賛する病んだ現代人が怖い。
[DVD(字幕)] 0点(2014-03-16 14:26:33)(良:1票)
17.  クラウド アトラス 《ネタバレ》 
黒人の奴隷解放に命をかけた夫婦が、輪廻転生を繰り返し、ネオソウルの未来では、再び、恋愛関係になり、クローン解放に命を捧げる。男女が落した命はしょせん大海の一滴、しかしその一滴がやがて大海となると言ったメッセージは、私には強烈に印象に残りました。マイノリティの奴隷黒人、ゲイの音楽家、病院に監禁されていたクソじじいたち、みんな負け組ですが、彼らは権力者や支配者たちに果敢に戦いを挑みました。ソンミも同じ。どの時代も弱肉強食です。弱者たちの負け戦が繰り広げられ、殺されたり自殺したり切ない。ですが、彼らは活きていました。けっきょく、この映画で一番感じたことは、来世のことや転生のことではなく、自分らしく、今を活きることの大切さでした。ソンミが他人との接触で、人形から、心を持った人間に生まれ変わった瞬間こそ、真の転生なのです。ただ、不細工なメキシコおばはんが、輪廻転生して、超美人のソンミちゃんになったことには驚いた。今、ブサイクな男女は絶望するな。来世まで少し持て。トムハンクスの輪廻転生は因果応報もへったくれもない。悪→悪→善→悪→善と転生している。特に、悪党の医者として黒人と殺し合いの喧嘩をしていますが、その黒人が生き残って、生まれた子供がハルベリー娘。けっきょく、トムハンクスはその娘と転生を繰り返して結婚というオチも見事。哲学的と言われますがやはり娯楽作です。あっという間の3時間でした。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-27 22:56:21)
18.  ゼロ・グラビティ 《ネタバレ》 
アバターのキャッチコピー「観るのではない。そこにいるのだ」←この思想こそが、3D映画の原点だと考えます。3D映画の最大の魅力は、「奥行き」という技術によって、観客にその場にいるように疑似体験させることです。ゼログラは観客に宇宙を疑似体験させることに成功した。そのために物語性を排除し、登場人物を2人に絞り、主観映像にこだわった。そのアイデアを高く評価したい。そしてたった2人の主観的視点から映し出される宇宙映像、その表現力が素晴らしい。まるで美術館で絵画を鑑賞するような感覚でした。宇宙旅行を疑似体験したいならば、なにを差し置いても3Dで観てください。宇宙酔いでゲロを吐いても3Dで観てください。テレビは無論のこと、2Dで観てもまったく意味がありません。なぜならば、3D技術の奥行き効果が、宇宙の深さと恐怖を演出しているからです。そしてこれはストーリーを楽しむための従来型の映画ではありません。その点を見誤ると、不満しか残らず、自己満足な低得点をつけて終わりになってしまいます。最近は自己破産した俳優でも宇宙旅行がいける世の中だ。しかし、さすがに宇宙漂流は体験できない。主観的な視点を通したプチ漂流は、レベルの高い拷問を受けているような恐怖でしたが、貴重な体験でした。まさに観るのではなく、わたしは宇宙にいました。映画館から出て、太陽の光を浴びたら、自分が宇宙から帰還したように感じます。やっぱり地球は素晴らしい。太陽ばんざい。人知れず、映画館を出てから感動しました。
[映画館(吹替)] 9点(2014-01-05 10:53:10)(良:3票)
19.  世界にひとつのプレイブック 《ネタバレ》 
人生は長い。だからいつ、どこで、誰に、心を傷つけられるか分かったものじゃない。主役の男女のことを精神病という偏見で観ると本質が見えなくなる。2人は我々と違う人種ではありません。2人の身に起きたことは誰にでも起こりうることなのです。男は妻を失い、心を傷つけられ、妻は夫を失い、心を傷つけられた。人を本気で愛したことがありますか?傷の浅い人間は、傷の深い人のことを変人と呼んだり、共感できないとほざくのです。今の世の中は健常者のふりをして、傷ついて心が壊れた人間に変人というレッテルを貼って嘲笑する連中があまりにも多すぎる。2人が精神安定剤の話題で盛り上がるシーンは笑えますがこの映画を象徴する印象的なシーンでした。男は自分が傷ついて心が壊れていることに気が付いていなかった。だから女を見て「お前と一緒にしないでくれ」と言った。反対に女は心の傷を自覚していた。だから同じ心に傷を持った男の痛みを理解できた。この世の中は、心が傷ついた人間に対して厳しい。「お前ら弱者なんて理解できない。変人ヤロウ、イライラする!」そう言って0点をつけるそんな世の中だ。しかし心の痛みを持った人間は同じ痛みを持った人間に対してやさしい。女は無意識に男を救おうと考えていた。この時点では愛はなかった。しかし男を救ったことで、女は自分自身を救うことにつながった。男と女が必死に努力した結果は5点だった。それでいいと思う。人生は5点ぐらいがちょうどいい。そう考えたら楽になれる。2人は幸せに生きていけると思います。 しかしこの映画は10点でした。
[DVD(字幕)] 10点(2013-09-22 12:02:28)(良:2票)
20.  リンカーン 《ネタバレ》 
誤解を恐れずに言うとリンカーンと小泉元総理は似ている。お互いに抵抗勢力と戦ってきた政治家だ。「奴隷解放」と「郵政民営化」はスケールが違うかもしれないが、この映画を観ていると2人の政治家がやったことはやはり似ている。映画を観ていて一番印象に残ったのは、誰がリンカーンの敵なのか?という点である。味方の中に敵がいる。敵の中に味方を作る。そんな感じだが全体的に大統領は孤立無援だった。しかし国民が味方だった。小泉さんもそんな感じだった。自民党の党首なのに自民党の中に大勢の敵がいた。リンカーンも共和党の党首なのに同じ共和党のトミーリージョーンズとなぜか敵同士みたいな関係で描かれている。このへんは複雑だ。2人は同じ奴隷解放という目的を持っていながら急進派と現実派という違いがある。また共和党の中には、黒人という財産を手放すのが惜しい政治家も多い。いわば既得権益だ。郵政民営化を阻止しようとした連中も同じく既得権益を手放したくなかった。リンカーンも小泉さんもこんな腐った抵抗勢力たちと戦ったのだから偉いものだ。誰か郵政民営化を映画化してほしい。けっこうおもしろいと思う。政敵は亀井静香で。
[DVD(字幕)] 7点(2013-09-16 19:39:17)(良:1票)
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