261. 続・座頭市物語
《ネタバレ》 第1作があまりにも良かったので、期待が大きかったからか、ちょっと残念。 エピソードが散漫すぎて、ラストへの収束感が足りない。 なので、ドラマチックではない。 が、第1作への愛が強い人なら、平手造酒への市の思いや、 飯岡の相変わらずのワルぶりにキュンと来ると思います。 今回の決闘の相手は、実の兄貴。 こんな中途半端なストーリーでこんな逸材を使ってしまうのは 惜しいなと思いました。 [ビデオ(邦画)] 6点(2019-12-14 15:27:22) |
262. 座頭市血煙り街道
《ネタバレ》 三隈研次の座頭市。 今度は、子連れの旅である。 股旅もので子連れは、寅さんでもお馴染みだが、 とにかく股旅は、子どもにモテる。 自分のボロボロの草鞋はさておいて、子どもに新品の草鞋を買ってやる。 無敵の市の情がホロリと来る。 ラストの子どもとの別れ、眼の見えぬ座頭市の目に涙。 剣豪の公儀隠密が、カタギを守ろうとする市の必死の姿に 「俺の負けだ」と手配中の絵かき親子を逃がしてやるとこもグッときます。 [DVD(邦画)] 8点(2019-12-14 15:26:44) |
263. 座頭市千両首
《ネタバレ》 ちょっと話が散漫でしたか・・ 国定忠治との絡みを全編活かせれば、もっと面白い話に なったと思いますけど・・ 思うに、座頭市が何かに巻き込まれ、最後剣客と勝負する。 そのパターンでシリーズを創っているようですね。 第1作の「座頭市物語」の構造に色々付け加えたのが、 座頭市シリーズみたいです。 良きワンパターンという作りですね。 まぁでもレビュー読んでて、お薦めの座頭市があれば、 今後も観ていくつもりです。 [DVD(邦画)] 6点(2019-12-14 15:25:50) |
264. 海は見ていた
《ネタバレ》 吉岡君と永瀬君の二人が出ている時代劇は「隠し剣」の前にもあったんですね。 むしろ「隠し剣」は山田洋二監督が吉岡君の汚名挽回に創ったのでは、と思ってしまうくらいです。 この映画、自分は好きです。 黒澤さんの創りたかった映画なんですね。 自分には描けぬ世界はないと悔しがったからかもしれませんね。 それほど女郎たちの見てる世界はドラマ性に長けているんだと思います。 監督が熊井啓だというのも話題性をもちます。 なんで、熊井監督なんだろう?というのが正直な気持ちでしたが・・ [ビデオ(邦画)] 7点(2019-12-14 12:58:10) |
265. 座頭市物語
《ネタバレ》 面白い! この頃の勝新太郎は、見事にカッコいい。 しかもこの話の座頭市は、見事すぎる。 なんといっても平手造酒との友情、そして斬り合い。 この一戦、まったくダラダラした斬り合いじゃないので、ビシッと来る。 むぅ、なんと「平手造酒」という彼のみを描いた映画も、地元の図書館にあった。 観ねばなるまいな・・ 冬の夜の鑑賞にピッタシなのであった。 鑑賞後、酒を買いに行く自分にヒロイズムを感じる夜だった。 [DVD(邦画)] 9点(2019-12-05 21:01:38) |
266. わらびのこう 蕨野行
《ネタバレ》 強いものが試される試練の道かと思いきや、 実は死への片道切符のわらびのこう。 つまり「楢山節考」の続編みたいなものである。 現世のおつとめを最期まできちんと生き抜く。 教えられることの多い映画だった。 [インターネット(邦画)] 7点(2019-12-01 02:30:02) |
267. 笛吹川
《ネタバレ》 武田信玄の領土の農民。 息子たちが武士になっていく。 次男は長篠の戦で、信玄側の武将がいっぱい死に、 自分らにも出世のチャンスが来たとばかりに武士になる。 が、武田側の凋落に敵側に寝返りするものが続出する中、 兄弟全員、追い詰められて、死んでしまう。 木下恵介の戦争反対の論調も確かだが、何より彼の戦時中の「陸軍」を思い出させる。 「陸軍」では田中絹代が日本軍の行進の中に息子の姿を見て、追いかける短いシーンがある。 そこがこの映画では、武士の進軍の中、母親が息子に追いすがり、行くなと訴えるシーンが 長く展開する。木下恵介は時代を変えて、この場面を描き直したかったのではないか? そんな気がした。 [DVD(邦画)] 7点(2019-11-30 18:43:22) |
268. 阿弥陀堂だより
《ネタバレ》 年齢を50超えたくらいから、こんな静かな映画もいいものだと 素直に思えるようになった。 何より自然が雄弁だ。 樋口可南子のきれいな容姿が雄弁だ。 [ビデオ(邦画)] 8点(2019-11-23 23:24:36) |
269. 宮本武蔵 巌流島の決斗
《ネタバレ》 宮本武蔵、ここに完結! 人間を成長させるために、剣の道を極めた武蔵であったが、 矛盾だらけの人生に、小次郎との戦いの後に吐き捨てるように言う。 「しょせん剣は武器か!?」 武蔵の自己矛盾に悩むとこも深堀りしてほしかった。 お通の言ってることも興味深い。 「非情なのは、剣じゃなく、あなただ」 う~ん、この時代にあって、情けは人のためならず、は通用したのか? 武蔵の姉は?ジョー太郎ちゃんは?話の収集もきれいではないし・・・ いずれにせよ、見ごたえある五部作だった。 日本映画の長いシリーズも挑み甲斐があるね。 [DVD(邦画)] 7点(2019-11-17 00:34:23) |
270. 宮本武蔵 一乗寺の決斗
《ネタバレ》 唸る。 武士の風上におけないような敵の出方。 それに対して、武蔵も必死である。 たとえ子どもとはいえ、大将なら斬らねばならぬ。 闘いの後、第1作のような自問自答の孤独な戦いに戻る。 そしていよいよ最強の佐々木小次郎との対決が次作で待っている。 世間からも悪評高い男となり、いよいよ孤独な武蔵に待ち受けている 結論とは? 待て!完結編へ! [DVD(邦画)] 8点(2019-11-16 18:12:58) |
271. 血槍富士
《ネタバレ》 主君の敵にと下郎に討たれた侍の処分。 下郎の手柄は主君の手柄。 そんな立場の人間であるから、侍は常に厳しい立場にある。 よって下郎に討たれるような侍はおらぬ、とのお上の判断。 そんな結末を、ラスト30分くらいで見せる。 それまでは町人、侍交えての朗らかな人間悲喜劇模様が描かれる。 朗らかな後に、10分くらいの血なまぐさい殺し合いが描かれる。 伊藤大輔の味であろう。 人間として、下郎の立場を見つめ続けた彼の真骨頂時代劇である。 [ビデオ(邦画)] 7点(2019-11-14 22:33:36) |
272. 浪人街(1990)
《ネタバレ》 風紀取り締まりに夜鷹たちを斬って捨てる役人たちに対して 浪人たちが立ち上がる。 もうそれだけで泣ける話なのだが、この映画は赤牛と言う従来の 時代劇では取り扱わないような人物を配することで、厚みが出てる。 その情けない汚れ役を勝新太郎が、あの座頭市の勝新が演じているのだから、 これは凄い作品。 原田芳雄のダメっぷりがラスト効いてくる。 石橋蓮司に関しては、こんなカッコいい役、初めて見たよ~ 田中邦衛もいつもながらにイイ。 3人ともお疲れさまでした。 [ビデオ(邦画)] 8点(2019-11-07 01:49:00) |
273. 宮本武蔵 二刀流開眼
《ネタバレ》 第3部。 ついに吉岡清十郎を倒した武蔵。 しかし佐々木小次郎との激闘の前触れでもあったのだ。 武蔵の剣はどこを目指すのか? 石舟斎が圧巻の存在感。 第5部作中盤。このあたりの描写は漫画「バガボンド」のほうが 面白かったが、映画ならではの空間演出で、臨場感はかなりのもの。 終盤への期待が膨らみます。 [DVD(邦画)] 7点(2019-11-04 02:58:12) |
274. 宮本武蔵 般若坂の決斗
《ネタバレ》 第2部! タケゾウからムサシへ。 いよいよ剣の道を進みだす旅の始まり。 因縁の吉岡一門。そして一癖も二癖もある仏門の爺さん、日観。 この坊さんが上とつながりのある人で、浪人掃除に 武蔵の剣を利用する。まったく油断ならぬ世が世である。 さぁ人として生きる武蔵はこの展開に憤慨して、第3部へ。 まったく面白いシリーズだなぁ(笑) [DVD(邦画)] 8点(2019-11-03 03:54:26) |
275. 利休
《ネタバレ》 細部までこだわった、某局の大河ドラマといったとこか・・ 話のクライマックスが見えづらく、ただ歴史通には面白い会話が続く。 山上宗二の打ち首がひとつのポイントである。 まぁ秀吉は利休にコンプレックスを抱いていて、かつ生き死にの局面を迎える侍たちには 利休のしたり顔が面白くなかったのも、分からないでもない。 利休の伝記といった感じの映画である。 利休がなぜ秀吉に許しをこわなかったか?そこに肉薄しているのは 熊井啓監督の映画「本覺坊遺文 千利休」である。 [DVD(邦画)] 7点(2019-10-29 13:55:28) |
276. 一人息子
《ネタバレ》 小津トーキー第1作。 会話の内容が実にはっきりしていて、聞きやすく、味わい深い。 飯田蝶子の話す演技が実に際立っていい。 トーキー第1作にして、小津は自分の映画文法を確立したかのようである。 それにしても戦前の東京でもう都会に人が流れる様が描かれている。 それから80年間(途中戦争があるが)、東京に人が流れていったのだから、一極集中は当たり前だね。 [ビデオ(邦画)] 7点(2019-10-29 13:47:37) |
277. 宮本武蔵(1961)
《ネタバレ》 内田吐夢監督、宮本武蔵第1部。 内田監督は「飢餓海峡」しか観てなかったが、幸運なことに 近所にできた某レンタル屋に内田監督の宮本武蔵5部作ほとんどが揃ってることに気がついた。 (この第1部が別の店にあった。残りは全部、その某レンタル屋に揃ってたのだ!分かった時の歓喜ぶり!?) ついに内田吐夢版宮本武蔵とがっぷりよつを組むぞ! 漫画の「バガボンド」を途中まで読んでいるので、大筋は知っているが、 内田監督のは武蔵が人間としてどこまで成長できるかを描いているようだ。 もののふとはいたわること、と第1部ではタケゾーが言ってのけるが、 この後に血で血を争う争いが待ち受けてることを知ってるので、 これからどこまで自分との激しい闘いが待ち受けてるか、気の毒でもある。 ひょうひょうとした錦之助がむきだしの演技で迫るので、見ごたえある5部作だと思う。 [DVD(邦画)] 7点(2019-10-28 00:51:19) |
278. 千利休 本覺坊遺文
《ネタバレ》 勅使河原監督の「利休」を先に観ると、話の流れが見えやすい。 利休、古田織部、山上宗二の三人の茶室でのやり取り。 そこから始まり、利休の切腹のときの気持ち。 なぜ秀吉の許しをこわなかったか? このミステリーが死者をももてなす茶室でのやりとりで語られる。 熊井啓、渾身の一作。 [ビデオ(邦画)] 9点(2019-10-26 23:01:12) |
279. 剣鬼
《ネタバレ》 三隅、雷蔵コンビの剣3部作。 どれも傑作だった。本作も好きだ。 犬の子と馬鹿にされ、花を愛する青年。 しかし剣の天分があり、藩に逆らう剣士の刺客となる。 藩主が人望薄く、雷蔵演じる青年は藩命で、藩を変えようとする仲間すら斬っていく。 花を愛する青年、その裏の面が妖剣を扱う孤高の剣客。 実に面白い。 しかし藩主の突然の死に、事態は一変する。 仲間と壮絶な戦いの末、心許した女性が悲しむ中、身を消していく。 もうね、この3部作で市川雷蔵の魅力を絞り出してる。 これは是非、三隅監督の眠狂四郎も拝見せねばなるまいぞ。 [DVD(邦画)] 8点(2019-10-26 18:53:51) |
280. 母と子(1938)
《ネタバレ》 タイトルほど簡単な話ではなかった。 妾とその娘の話である。 妾を囲ってる男が完全にマヒしてて、 その女性が亡くなった時も仕事が忙しいからとか言う感じである。 妾の娘も強引に他につきあってる女性のいる社員とくっつけようとする男だった。 最後、その男の会社の業績発表の場で終わる。 戦前の映画だが、組織の非人間性が現れてきている。 妾の娘を若き田中絹代が活き活きと演じていたのが救いだった。 [ビデオ(邦画)] 7点(2019-10-22 12:13:50) |