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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1249
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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401.  きさらぎ駅 《ネタバレ》 
今どきまた「きさらぎ駅」など持ち出して来たかと思ったが、話によれば今でも人気の都市伝説として扱われているとのことで、舞台とされた遠州鉄道でも迷惑がらず営業に生かしているらしい。郊外の撮影は別の鉄道会社の駅を使ったそうだが(上田電鉄別所線八木沢駅)、遠州鉄道に関しては政令指定都市の都市内交通の印象を出していて、新浜松駅近くの超高層ビルも見えていた。  もともと単純な話なので、この映画でも原話の各種要素をほとんど取り入れた上で登場人物も増やしている。それでも単純すぎて映画にならないので、後半を探求心旺盛な大学生による実地検証パートにしてサイズを倍加している。都市伝説の真否を探るなど民俗学でやることかと思うが、「異世界エレベーター」という別の話と組み合わせての解釈は、民俗学というより都市伝説自体の愛好者だからこその発想と思われる。実際そういう学生も多いだろうという気はする。 物語としては、最後に少し捻ったところはあるが軽い感じで、エンドロール後の追加場面も含めてあまり深みは感じない。しかし難解ならいいわけでもないので、劇場公開映画として多くの人々が楽しめるようまとめたのは制作側の見識と思われる。 なお原話のイメージと全く違うのは現地がほとんど昼間だったことだが、これはどうせ異世界だからどうでもいいということなのか。一回目は映像を青くしてお手軽な異界感を出していたが、二回目になるとそれはなく、一方で場面ごとに天気が全く違ったりして、これは同じような風景を二度見せないこだわりがあったのだと思っておく。  キャストに関して、恒松祐里という人は今どきこんな映画で映画初主演だそうで、「くちびるに歌を」(2015)などは主演でなかったのかと改めて思った(本当の主演が誰だか忘れた)。本田望結という人は個人的には久しぶりに見たが、2004年生まれなので原話の発祥と同年ということになる。また「牛首村」(2021)で見た莉子という人も出演していたが、あまり可愛く見える場面がないのは残念だ(地は可愛い人だ)。 永江監督に関しては、「真・鮫島事件」(2020)に続くネット発祥怪談の映画であり、本当にこういうのが好きでやっているように見える。ちなみに助監督は「廣瀬萌恵里」といういかにも若そうな名前の人で、主人公と似たような趣味だから手伝ったのかと勝手に思ったら違うようだった。美大を出て少し経ったくらいの人らしい。
[インターネット(邦画)] 5点(2023-01-07 13:37:38)
402.  金門島にかける橋 《ネタバレ》 
1958年の「金門砲戦」を題材にして、当時国交のあった中華民国の映画会社と日活が共同製作した映画である。 ちょっと深刻味のある恋愛ドラマ程度かと思って見ていたが、「中華民國國軍」が協力しただけあって意外に戦闘場面の扱いが大きい。高雄から金門島に向かう艦船は結構な大艦隊のように見えたが、そこへ中共軍の砲撃や航空攻撃があって、やたらに水柱が立ったりして登場人物が危険にさらされていた。ちなみに5隻くらいいた背負い式の単装砲の戦闘艦は、アメリカに貸与されたベンソン級かグリーヴス級の駆逐艦かと思った。 本筋の恋愛物語については微妙だったというしかない。日本側ヒロイン役の芦川いづみという人は個人的に馴染みがなかったが、笑顔の口元に可愛らしさのある人だと思った。中華民国側ヒロインは怖い顔の場面が多かったが、脚がすらりとしてきれいなのはさすがと思った。  当時の国際情勢を背景にした映画のため、当然ながら現在とは世界観が違っている。中華民国側の人物が日本語を話すのは日本統治時代の影響かと思えばそうでもなく、ヒロインの養父は戦時中に日本と戦った大陸出身者だった。また島の人々が自分らを「中国人」と言う場面があったのは、中華民国=中国だったので当然としても、現在のような台湾アイデンティティとは無縁な世界と思わせる。それは金門島という場所柄(台湾省でなく福建省)からしても当然か。 戦って故郷を取り返したいと願う人物に対し、戦争以外の方法は考えられないのか、と主人公が言ったのは戦後日本的な平和主義だろうが、実際はその後年数を経て両岸の往来も容易になったので、結果的に主人公の願いが実現したとはいえる。しかし現実問題として平和を願えば平和になるわけでもなく、次にまた何かあった時は日本も他人事としては見ていられないという気にはなる。  その他の事項として、劇中出た「そうじゅうせつ」とは重要行事らしいが何なのかと思ったら、中華民国の建国記念日である「双十節」だとわかったのは少し勉強になった。 またこの映画とは別に少し前、日本の高校のマーチングバンドが台湾に招かれて大歓迎されたという記事をネットメディアで見た気がしていたが、これも実はこの記念日のゲストとして参加したのだそうで(2022/10/10)、日本と台湾の友情のかけ橋として期待されていたらしい。何か大昔の映画を見たような気がしていたが、現在にちゃんとつながったのが意外で少し感動した。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-12-03 12:00:47)
403.  牛首村 《ネタバレ》 
「恐怖の村シリーズ第3弾」である。 今回は「坪野鉱泉」と「牛首トンネル」という2つの心霊スポットを取り上げているが、題名のとおり牛首関係の方が中心で、廃ホテルとはエレベータなど“落ちる”場面で本筋とのつながりをつけている。「村」に関しては実在の地区名があるようだが(江戸時代は牛首村)、八坂神社(祇園社)の祭神である牛頭天王に由来するのであれば別に呪われた地名などではない。ほかに牛首つながりとしては“そんな怖い話は誰も聞いたことがない”という「牛の首」説話とか、予言獣「件」(くだん)とかいうネタを出しており、また「七つまでは神のうち」など各種要素を積極的に(やたらに)取り込んでいるのが特徴的ともいえる。 この映画に何かまともなテーマがあるとすれば牛というより双子に関することのようで、昔あった「畜生腹」という言葉と、具体的な動物としての牛を無理やり結び付けた形かと思われる。現代日本で双子を忌み嫌う風潮などはさすがにないだろうが、それでも多胎児家庭は虐待リスクが高まるため支援が必要という声もあり、また世界的にはなぜか多胎児の多い地域があるようで(食物の関係?)、それが人権問題につながっている場所や時代もあったのかも知れないが、そういう社会的な問題提起のようなものがこんな映画に込められているわけもなかろうという気はする。 以上に関して無理にいえば、関連性の曖昧な各種要素を逐次投入して観客を眩惑させておき、最終的に真のテーマに導く意図だったと取れなくもないが、単にまとまりがないだけのようでもある。さらに今回は邦画ホラーらしい怖さも特になく、適度にふざけた部分もないので真面目に見えるが面白味がない、というのが素直な感想だった。  ほか今回は地元PRにも気を使っていたようで、Aクラスの蜃気楼が出た時は実際に魚津市役所がアナウンスするとの噂もある。映像面では魚津駅の大雨が印象的だった。 登場人物に関しては、芋生悠という人が全く可愛くない役だったのは残念だ(本人がよければいいが)。またレギュラー化した突撃ユーチューバーが「オカルト特集第3弾!」と言っていたので、この人が犬鳴村と樹海村から無事に生還できた世界での話かも知れない。せっかくなので、この人のYouTubeチャンネル「アッキーナTV」で定番だった「ハロー!アイムアッキーナ!世界の皆さんこんにちは〜!ども、アキナです!」をフルバージョンでやってもらいたかったがそうでもなかった。同行のミツキちゃん(演・莉子)も愛嬌があって可愛いので、次の機会にまた生き返って出てもらうのもいい。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-07-23 09:44:01)(良:2票)
404.  サーチン・フォー・マイ・フューチャー 《ネタバレ》 
同じ監督の「七子の妖気」(2012)に続けて見た。今回は山形県の庄内地域を中心に撮影しており、地元の地方銀行が支援する形になっていたらしい。ちなみに田園に孤立するタワーマンションは庄内ではなく内陸地方の上山市にあるが、山形駅からわざわざここに行くのは「ミクに近づいた」どころかかえって遠くなっている。 上記「七子…」はいかにもマイナー映画だったが、今回は時間も少し長く、2015年の第9回「田辺・弁慶映画祭」で受賞もしたとのことである。その映画祭自体がマイナーなようでもあるが、“インディペンデント映画の登竜門”として扱われていたのは間違いなく、一つ前の第8回では「ひとまずすすめ」「天使の欲望」「独裁者、古賀。」「ファンタズム」といった、見たことのある映画が多く出品されていたことに改めて気づいた。第10回の「ポエトリーエンジェル」も見たことがある。  物語としては、要は主人公の男が同行者に引率されて元彼女を探す話だが、同姓同名の人物がいたりして少し意外感のある展開ではある。主人公には全く共感できないが、それまでの閉塞状態から抜けて視界が一気に開けたところまでで終わりになり、取ってつけたようなハッピーエンドでなかったのは悪くない。主人公が探していた元彼女の名前が題名と関係づけられていたことは、エンドクレジットの漢字を見るとわかる。 劇中で主人公が見た単館系映画というのは上記「七子…」だったようで、それを「お客様」の目からすればクソ映画だと主人公がけなしていたのは、そういいたくなることの意味はわかる。しかしそこで同行者が、そういうことしか言えないのはつまらない奴だ(意訳)と主人公を評していたのには共感した。映画限定の話とすれば内輪ネタのようでもあるが、悪いところでなくいいところに目をつけろというのは、人間の生き方全般に広げて考えてもその通りだと思うものはある。  登場人物としては、主人公の男はどうでもいいとして(見なくていい)、同行者の劇中監督(演・山本真由美)の方は、視界が一気に開けたところで目に入った人物として非常に魅力的に見えた(少々わざとらしいが)。また個人的には、百間堀端とナイトスポット白ばらにいた「もう一人のミク」(演・近藤奈保妃)も好きだ(少し惚れた)。ほかエンドクレジットの「スペシャルサポーター」として、上記「七子…」に妖怪役で出演していたユウコさん(チャンベビユウコ)の名前が見えたのは嬉しい。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-03-19 09:57:02)
405.  8日で死んだ怪獣の12日の物語 劇場版 《ネタバレ》 
電通案件といわれたワニと同類かと思わせる題名が事前の印象を悪くしている。 全体としては新型コロナウイルス感染症の脅威のもとで、映画業界と映画好きの人々を和ませ元気づける映画のようではある。当時の世相を反映した面もあるだろうが、登場人物とは生活環境が違っていたので(田舎住まいで普通に通勤)個人的に共感できるものはない。ただ医療関係者への感謝の言葉が出たのは特徴的だった。また当時は確かに、先に治療薬が普及してやがてワクチンが開発されるものだと思っていた。 元になったのが樋口真嗣氏の「カプセル怪獣計画」とのことで、昭和怪獣ネタが多いのはわかるが楽しめるというより煩わしい。要はアマビエと同じようなノリだったのだろうが、一般向け映画の体裁で得々と怪獣話をするのは大人気なく見える。 しかし屋外で怪獣が浮遊していたり踊ったりする映像は、意味不明だが悪くなかった。夜の路上を進んで行って、人知れず踊っていた連中にたまたま出会った感じの場面は好きだ。  物語的には、カプセル怪獣は結局人類の味方だったようで、意外に素朴で良心的な作りではあったらしい。しかしその後の現実の世界を見ていると、この機に乗じて社会不安と不満と不信を煽る連中だらけで人の良心など信じられなくなってしまい、みんながヒーローというメッセージが今となっては白々しく感じられる。だからどうしろともいえないのでいい方を変えると、この頃の月単位の期間限定で何とか成り立ち得た映画とはいえるかも知れないが、しかしそもそもこの当時でも「あなたのマスクも実はカプセル怪獣かもしれません」と言われれば失笑するしかなかったのではないか(メイドインどこの怪獣なのか、あるいはアベノ怪獣とでもいうつもりか)。 個人的には、東日本大震災後の原発事故の不安を扱った「青いソラ白い雲」(2011、金子修介監督)に匹敵する映画かと期待して見たわけだが、残念ながらそうでもなかった。見たタイミングも悪かったが。  ちなみに、あえて現時点の感覚で皮肉な見方をすると、この映画の「ペロリンガ」が昔のTV番組に出たペロリンガ星人と同じだとすれば、その善意を簡単に信じていいとは全く思えない。特定個人に利益供与して自陣営に取り込んだり、ワクチン提供で懐柔したりしていたようだが、実はもうすぐそこまで侵略軍が迫っていたと思うべきではないか。ネット通販で簡単に買えたというのもかなり怪しいが、そういう疑念を生じさせる意図まであったとすれば侮れない映画ではある(違うだろうが)。
[ブルーレイ(邦画)] 5点(2021-07-24 08:06:37)
406.  真・鮫島事件 《ネタバレ》 
今どき鮫島事件かとは思ったが、永江監督の映画では「2ちゃんねるの呪い 劇場版」(2011)でも同じ題材を扱っていたので本人的には馴染みがあるものらしい。 今回は新型コロナウイルス感染症流行の時節柄ということでリモート飲み会の場を設定し、また呪いの拡散が「被害者が加害者に」なる点でウイルスと同様だという理屈を語っている。しかしそれをいえば吸血鬼とかゾンビも同じであって、実際に感染症映画兼ゾンビ映画というのもある(「デッド・シティ」(2019)など)ので独創的な発想ともいえないが、まあ今の世相を反映した映画ではある。 鮫島事件の話自体は昔からある「牛の首」のようなもので、この映画も“そんな怖い話は誰も聞いたことがない”系のオチかと思ったが、さすがにそれでは映画にならないということか、実体のある話を作っていたのは前作と同様である。空虚な言説が恐怖を拡散するというなら「コンテイジョン」(2011)のようになるかと思ったが、それよりはホラー映画としての娯楽性を優先した形かも知れない。  ホラーとしては、この監督らしく低予算ながら一定水準を確保した映画ができている。終始webカメラだったかのようなこだわりはなく、普通に変化のある映像を作っているが、邦画ホラー恒例の現場突撃を別人にやらせておいて、主人公はリモートで見ているという形で特徴は出していた。最初に違うところから入っても、結局同じところに行きついたというのは絶望感の表現になっている。 ちなみに「誰か来たようだ」は笑った(ギャグか)。またどうでもいいことだが現場の窓に「傲慢」と書かれていたのは、よくそんな字が手で書けるものだと感心した。よほど漢字の得意な奴だったか、あるいは片手にスマホを持って見ながら書いたと思われる。  出演者に関しては、リモートという設定もあって女優(女性俳優)の顔をでっかく映す映画である。今回主演の武田玲奈さんは、序盤は大映しすぎて粗が見えるようだったが、後半の怖い場面ではちゃんと可愛い顔を見せている(全身像も当然ある)。ちなみに妹の言うなりに使われるお兄ちゃんはひたすら気の毒だった。妹が可愛いと兄も優しいらしい。 ほか「カメラを止めるな!」(2017)で知られた しゅはまはるみという人も出ていたが、ラストの場面でこの人の肌を舐めるように映していたのはどういう趣味か。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-07-17 09:10:10)(良:1票)
407.  樹海村 《ネタバレ》 
樹海とコトリバコを題材にした映画だそうだが、後者に関しては前作もそうかと思っていたら今回が本番だったらしい。ちなみに他の映画としては「fuji_jukai.mov」(2016)や「ことりばこ」<OV>(2011)を見たことがある。 樹海とコトリバコの相性がいいとは思えないが、そこはいろいろ小理屈をつけて無理やりつないでいる。その上で、昔から今まで社会に排除されてきた人々の怨みと、「神の森」の怒りが一体になって復讐する話にしたようでもあるが、変に込み入ってしまってわかりにくい。 またコトリバコは本来、特定の家系を断つため女性と子どもに害を及ぼすものとされているが、この映画では何で主人公宅の物置に置かれていたのか不明なのは困る。しかし最終的には依然として危険ながらも、呪うのではなく女性と子どもを守護するため女系に伝えられる形にしたとすれば、一応のハッピーエンドと取れなくはない。なお琴音~鳴・響~音々という、音にちなんだ名前自体に意味があるかはわからなかった。  ホラーとしては特に怖くないがそれほどふざけた場面もなく、主に前半はいわばスタンダードな邦画ホラーを真面目に作ったようで悪くない。主人公姉が喪服のまま茶の間で寝てしまった場面は往年の「呪怨2」(2003)を思わせる。そのうちに、どこかで見たような場面(「自殺サークル」(2002)など)が出て来るとか、終盤は諸星大二郎風の異世界ファンタジーのようになったりして統一感がない気もしたが、現地に多数ある苔玉のようなものを死者に見立てたらしいのや、保護室の場面などは印象に残った。 また面白かったのは、現代ではいわゆる霊感を精神病と決めつけたがる風潮があるのを、要は自分が怖いと思うものを否定したいだけではないのか、と皮肉ったように見える場面だった。また修学旅行を嫌がるという話も、数日前にネット上で見たばかりだったので今風に感じた。  出演者としては山田杏奈さんが主演と思ったら、姉役の山口まゆという人もW主演として同等以上の存在感を出している。また大谷凜香という人が前作と同じ役名で出ており、これは時空間に遍在する突撃ユーチューバーなのかと思ったが、次回作もあるのなら活躍を期待したい。山田杏奈さんとは「ミスミソウ」(2017)以来の夢の共演かと思ったが一緒に映る場面はないのだった。 ほか黒沢あすかという人はホラー映画でも時々見るので、正直またこの人かとも思ったが、すりガラスの向こうの顔はこの役者向きの趣向だった。
[ブルーレイ(邦画)] 5点(2021-07-03 09:46:41)(良:1票)
408.  村八分 《ネタバレ》 
1952年の参院補欠選挙に関連して起きた「静岡県上野村村八分事件」を題材にした映画である。劇中の悪玉はムラ社会と保守政治家、対する善玉は「朝陽新聞」(架空?)や教員その他の労働組合、「進歩的な政党」と日弁連であって、そういう人々が古い社会をぶち壊して進撃していく見通しを示していたらしい。 音楽関係では、冒頭と中盤と終幕場面の3回出る陰気な曲はロシア歌謡「仕事の歌」(Дубинушка ドゥビヌシカ)で、当時は革命歌として受け取られていたと思われる。また映像的には最後の場面で、民衆の力が岩をも動かしたことが表現されていたのが目につくが、毎年耕作している畑にでかい岩が残されているという想定は無理があった。 ほか役者としては、乙羽信子という人が若いのに目を引かれた(当時まだ20代)。  DVDには「あなたはどう考える」と書いてあるがわざわざ考えるまでもなく、民主主義の根幹を揺るがす選挙不正は絶対悪である。また現代人の感覚で住みづらいと感じるムラ社会なら住民が去って滅んでいくのも当然であり、その意味で、主人公の父親が言った「引っ越す」は妥当な考えである。 一方で、具体的な行動として主人公がどうすべきだったのかは何ともいえない。本人がこれで納得していたならそれでいいともいえるが、個人的な感覚としては、学校で意見が割れていた状態に近いというのが正直なところである。しかし当然ながらこの映画の立場としては何が正しいのかを決めてしまっており、見る側に考える余地を与えないのはムラ社会と同じである。 村八分に関していえば、そういう習俗自体は前近代の遺風というしかないが、同調圧力ということなら田舎に限らず、今も全国の近隣社会や学校内そのほか日本社会に広く存在すると思われる。しかしそれだけでもなく、インターネットメディアが地球規模で発達した今日、人々の考えの自由を縛り異見を圧殺しようとする力は世界のあらゆる場所に作用していると思わなければならないのであって、劇中の出来事を日本限りの悪弊と捉える限り、この映画も視野の狭かった昔の映画としか見られないことになる。  なお劇中で事件後に警察や法務局が出て来ていたのを見ると、日本社会は普通にまともだと思わされる。現代でも世界的には国家ぐるみで選挙を有名無実化している国もあり、また人権侵害どころか人間の尊厳そのものを踏みにじる非道な国もあるわけで、そのような面でも、視野を国内だけにとどめてはいられない時代になっている。
[DVD(邦画)] 5点(2021-06-19 08:54:13)
409.  最上の命医 2017<TVM> 《ネタバレ》 
同名漫画を原作とする連続TVドラマ(2011年、10回)の後に、単発のドラマスペシャルとして2016、2017、2019の3回放送されたものの一つである。天才的な発想と技術を持った若手の小児外科医が主人公になっている。 深刻なドラマながら安っぽい展開やマンガ的人物も見えるのはTVドラマなので仕方ない。子ども相手なことや昨今の風潮もあり、失敗すれば身の破滅ということから「最上の命医は地獄に堕ちる」という言葉が真に迫る雰囲気は出ていた。  全体的には2話分をあわせて二部構成にしたように見える。第一部はTVドラマ「14才の母」(2006)のような話だが、低年齢出産と同時に致命的な病気への対応を迫られて、その上に悪天候で防災ヘリも飛べず、医療機器も不足する中で何とか乗り切るといった離れ業を見せており、これはさすがに話を作り過ぎに見えた。その場で手伝わされた地元住民の男は、血を見ると気絶するタイプでなくて幸いだった。 第二部は、全体テーマだったらしい「無限の樹形図」を強く印象づける話になっている。これからまだ多くの子どもを救えるはずの58歳の医師を助けようとする展開であり、見ている自分などは今さら何の役にも立たないので助けられるまでもなく死ねばいい的に皮肉な受け取り方をしてしまったが、まあ若い人ならこれを見てその気になって、自分も生きているうちに誰かに何かを伝えたいと思ってもらいたい。今回のエピソードに出たとおり必ずしも医療分野に限定されることではないはずである。 ちなみに、そもそも全盲の人はスマホを使えるのかと思ったが、サポート機能で使えるようユニバーサルデザイン的に作ってあるらしい。  キャストとしては、比嘉愛未さんは以前からのつなぎ的な登場だったようで、序盤で出て来たときは見とれてしまったが、あとはほとんど出番がなかったのは残念だ。 第一部の主役は若手(当時16歳くらい)の桃果という人で、賢そうだがきつい顔や皮肉な表情と、終盤の柔らかい笑顔の対比を見せている。とにかく第一部はこの人の熱演が印象的だった。 第二部では志田未来さんが重要人物である。「14才の母」(主演・志田未来)との関係で出たのかと思ったが、別に本人が出産する役でもなく、第一部の主人公を側面支援しているかのような印象だった。この人の演じる人物が自分の人生を肯定してみせる場面は感動的だったが、それにしても可愛い人だ。 そのようなことで、個人的には豪華キャストのドラマだった。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-05-29 10:22:35)
410.  ゴジラの逆襲 《ネタバレ》 
全体的に大阪と北海道の二部構成のようなのは少し変な印象がある。それ自体はいいとしても、最初に怪獣がいた場所は空撮映像からすると伊豆諸島の利島近くの鵜渡根島に見えたが(設定上は紀伊半島沖などか)、そこからわざわざ主人公の会社のある大阪に怪獣が来て、さらに支社のある北海道にまで来たのは、登場人物を怪獣が追いかけているようでかなり変だった。 また細かいことだが、料亭「弥生」での宴会の場面は必然性が弱い気がする。元同僚と主人公の顔合わせのためだとしても、主人公の婚約者が所在なさげにしているのは気の毒だと思ったが、同時開催の会社の宴会も酌婦がいたりして女性には居心地が悪そうだった。そこへ漁船沈没の急報が来ていたが、酒を飲んでしまっては飛行機を飛ばせないではないか…と思ったら結局は翌朝から出ていた。 なお大阪の警察が府警でなく市警だったのは、自衛隊を防衛隊というような架空の組織の意味かと思ったが、実際に昭和30年までは市の警察というのがあったらしい。制服に大阪市のみおつくしマークがついていた。  怪獣の出る場面では、せっかくのゴジラも前回のような得体の知れない恐ろしさが感じられず、やはり今回は怪獣バトルの方で見せる趣向だったと思うしかない。怪獣の動きが素早いのは撮影速度を間違えたからだとの話が伝わっているが、劇中の説明で「甚だ敏捷」と言っていたのとは整合しており、かえって新鮮な印象だった。日本では10年ぶりくらいの灯火管制で大都会が息をひそめたところで、夜空に照明弾が浮く映像は少し印象的だった。 怪獣映画としてはあまり取り柄もないようだが、人情ドラマの方を少し見てやるかという気にはなる。水産会社の社長が、缶詰工場を失って打ちひしがれるでもなく「必ず立ち直ってみせる」と言っていたのは頼もしい。戦後復興を担ってきた企業人はさすがと思わせる。また「花婿さん」に関してベタに泣かせようとする展開は今どきちょっとまともに受け取る気にはならなかったが、この男がプレゼントの相談をした時に、主人公の婚約者が見せた表情は非常に印象的だった。「金持ちのお嬢さん」にしても嫌味のない人物で、これから主人公とともに会社を盛り立てていってもらいたいと素直に思った。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-05-22 09:25:17)(良:1票)
411.  人狼ゲーム デスゲームの運営人 《ネタバレ》 
今回は運営組織が代わったらしい。撮影場所も、以前は小山町フィルムコミッションの関連施設(静岡県小山町)だったが今回は自動車労組のセミナーハウス(静岡県御殿場市)を借りている。 背景設定としては、運営側の主人公がやっていた個人事業が買収されて本式の殺人ゲームをするようになったとのことで、出資者も顧客も外国の富裕層ではないのかと思った。運営の粗雑さが低コスト化や社会の劣化を思わせるものもあり、荒唐無稽なはずの殺人ゲームが妙に現実感を増してきているようなのは気分が悪い。  今作では運営側を前面に出して、ゲーム自体というより全体的なサスペンス展開で見せている。それほど悲惨な場面はなく、緊迫感に欠けるところもあるが意外な結末ではあった。しかしいくら観客側が配役を知っているからとはいえ、人狼があまりに饒舌なのは怪しすぎる。こんなのの言辞に惑わされず直感的に投票していれば、可哀想な予言者が死ぬこともなかったはずだ。 初めのうちは殺人ゲームの運営/参加を平然とやる連中ばかりのようで暗澹とさせられるが、それだけではないところも見せている。人間にとって、実は他人の人命などそれほど重大事でもないのが本音であり、“いのちは何より大切!”的な主張などは偽善に思えることもあるだろうが、しかし何としても守りたい特定個人がいるというのも人間である。誰しも本当に大事に思う人間がいて、そこに共感する他者もいて、そのような関係が広がれば人命尊重という共通認識の基盤もできていくはずと解されなくもない話だった。 なお今回はかなり特例的なエピソードのため、このままシリーズがまた続いていくような気は全くしない。次はどうするつもりなのか。  登場人物に関しては、「可愛い子」が多い理由を運営側が一応説明していたが、実際に今回はそういう印象が強い。参加者側の主人公役は「ビブリア古書堂の事件手帖」(2018)で栞子さんの妹役だった桃果という人で、今回は賢明で芯の強いちゃんとした人物らしい顔を見せている(守りたくなる)。今後の活躍を期待したい。 また人狼役の朝倉ふゆなという人は「くちびるに歌を」(2014)にも出ていたようで、今回はイヤ~な人物像を芸達者な感じで演じている。ほか個人的には運営側チーフのお気に入り(演・山之内すず)もわからなくはないが、何より可哀想な予言者(演・森山晃帆)が早々に退場してしまったのが残念だった。
[DVD(邦画)] 5点(2021-05-15 09:13:04)(良:1票)
412.  人狼 JIN-ROH 《ネタバレ》 
最初に延々と解説が入るのは面倒くさい。登場人物の台詞も説明口調で聞きづらいところがある。 映像的には昭和30年代頃の雰囲気を出していたようで、見た目としてはとにかく茶色っぽい印象のアニメだった。今の感覚ではイケメンともいえない男が主人公なのも昔くさい。ほかの登場人物もみな基本的に昭和日本人風だが、赤ずきんちゃんだけはなぜかスカートが短めなのが昔らしくない。過激派は紳士的ではないだろうから、扇情的に見えると簡単に暴行されてしまうのではないか。  内容的には、とにかく共感できない人物ばかりで困る。まず過激派連中は何のために戦っているのか全くわからない。これは人間が無意味に戦いたがるという普遍的真理の表われか、あるいは劇中の戦いが無意味なこと自体を表現しているのか。また主人公が狼扱いされるのも意味不明だと思ったが、これは逆に本来何もない男であって、自分が狼とも思っていないのを周囲に言われていただけかも知れない。 最後の決断も、明らかに迷っていながら結局腰砕けに終わってしまうので落胆させられる。その辺の連中を皆殺しにして逃げようとするなら自分が「猟師」になれたわけで、それで結果的に殺されたとしても人として死ねたはずだ。しかし、そもそも主体的に生きようとする意志のない奴だったため、ここで死んでいいのかどうかも自分で決められなかったのではないか。結局は狼のように、群れの掟に従うしかない悲しい生き物だったということらしい。君には失望した。 どうも無理やり人か狼か選ばせるシチュエーションを作ったようで素直に納得しかねるところもあるが、要は題名の「人狼」とは、ファシズムとかコミュニズムその他の全体主義なり集団主義に適合した人間のことなのかという気はした。流されたり乗せられたり取り込まれたりせず、まずはしっかり個を確立しろというメッセージだとすれば、現代にも通じるところのある映画かも知れない…何か大昔の映画でも見せられたような気分でいたが、必ずしもそうでもなかったか。  ちなみにこの映画を見て、狼というのは孤高の英雄には向かない生物だと改めて認識させられた。それよりは、獅子にせよ虎にせよネコ科動物の方が雄々しいキャラクターに向いている(何気にネコ派アピール)。
[DVD(邦画)] 5点(2021-05-15 09:13:01)
413.  パンダ・コパンダ 雨ふりサーカスの巻 《ネタバレ》 
時間が短いので前作に続けて見た。新作なので新キャラを出さなくては済まないらしく、今回はサーカスを呼んで他の動物の出番も作ってある。ママ友同士でなめ合うのは悪くなかったが、自宅のネコとはやらない方が無難である。 ある程度の知能を持った(言葉を話す)生物をサーカスで使役するのでは、奴隷労働のような印象が出てしまうのでまずいことになる(というか家内労働のイメージか)。トラの子が人の言葉を解するのに母親が話さなかったのは、やはりケモノであるから檻に閉じ込めるのも自然と見せる都合があったからか。あるいは「魔女の宅急便」(1989)での魔女さんと黒ネコの関係のようなものかとも思ったが、それにしても前作の状況とは矛盾することになる。 そのように基本設定がいい加減な上に、いつまで経っても祖母が帰って来ないというのも限界があり、さすがにこの延長上でシリーズ化するのも厳しかったかも知れない。また今回はクライマックス部分が単純に笑っていられない状況で(大惨事の予感)、ラストにもそれほど意外性がなく、最後になんでみんなが盛り上がっているのかも納得できなかった。  なお今回目についたのは、家の周辺一帯を海のようにしてしまう非日常の演出であり、これは後の「千と千尋の神隠し」(2001)などの先駆けかとも思った。水の透明度が高く、水中から家と空を見上げる場面は当時としては斬新だったのではないか。手に持った食物に小魚がすかさず群がるなども後の映画で見たかも知れない。 また少し笑ったのは、子トラから来た手紙を「読んで読んで」とせがまれたがとても読めそうなものではなかったのを、パパが難なく読んでしまったことだった。確かに「助けて助けてトラ」くらいならわかるかも知れない。表意文字だ。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-05-01 08:50:39)
414.  私がモテてどうすんだ 《ネタバレ》 
富田望生さんは「ソロモンの偽証」で役作りのためにわざと太ったという話だったので、この映画でも本人が太ったりやせたりするのかと思ったら違っていた。騙すつもりはなかったかも知れないが騙された気分だ。 同じ人物が太ったやせたで周囲の扱いが全く違うなど、いまの厳しい情勢下で問題にされたりしないのかと思うが(公開時点ではまだそれほどでもなかったかも知れないが)、一応は劇中演劇のテーマでもあった通り、人の真価は見た目の良さだけで決まらないというのが本意と思われる。しかし見た目の効用も否定していなかったようなのは価値基準の多元性も表現している…そもそもイケメンに価値がないなどといってしまうとこの話自体が成り立たなくなる。 それにしてもせっかく富田さんがやっているのだから、現体型のままで思い切り美少女に見せることもできたのではと思うがそれほどでもない(場面による)。自分としては、もしかしてこの人が青春ラブストーリーの主人公にふさわしい演技をする場面もありうるかと期待していたわけだが、結局ないまま終わったのは残念だ。 「激ヤセ後」の演者は知らなかったがE-girlsの人だったようで、要所でキレのいいダンスを見せている。また真正美女(雷鳴の美女)役は優希美青さんが務めていたが、親友役の上原実矩さんもクセの強い可笑しいキャラになっていた。  序盤では荒唐無稽な展開に呆れながらも、これはこういう設定なのだからと耐えて黙って見ているのが非常につらい(アヒージョというものは食ったことがないが東京では人気なのか)。かろうじてミュージカルっぽい場面が楽しめるのと、中盤の演劇以降は別の面白味が出て来る。男連中のボーイズラブに登場人物が転げ回って喜ぶのにつられて大笑いしたり、また劇中演劇の代役が誰かというオチにも失笑させられた。 物語の面では意外にも、ラブストーリーとしての決着をつける気はなかったらしい。いずれ変わっていく予感はあるにせよ、外圧で無理に変化を迫るのでなく、とりあえず今この時は自分が本当に望むことをして、自分なりの青春を謳歌していいのだという青春賛歌のようでもある(言い過ぎか)。4人のうち1人だけ、最初から彼女をちゃんと見ていた男がいたのはこういう役割だったのかと納得した。 ラストはよくある全員参加のステージで、富田さんも含めたダンスで盛り上がる。事前の期待感は全くなかったが、最終的には結構悪くない映画だった。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-04-10 11:24:37)
415.  今日も嫌がらせ弁当 《ネタバレ》 
高校生のために弁当を作り続ける映画は「パパのお弁当は世界一」(2017)も見たので、個人的にはまたこれかという印象だった。しかしこの映画も原作者に当たる人物の体験をもとにしており、映画としては二番煎じでも全く別の話ということになる。劇中に出ていた弁当を本当に一生懸命作っていた人がいたというだけで和まされるものがあり、嫌がらせというよりも、ふざけたことを大真面目にやってみせるのが好きな人物が娘にじゃれついていたようでもある。ちなみにこの後に「461個のおべんとう」(2020)というのもあったようで、なぜか弁当映画が乱立している。 八丈島は実際に原作者の居住地とのことで、彩度が高めの明るい色調で島の風景を見せている。特に説明はなかったが、結構しつこく八丈小島(今は無人島)を映しており、また「八丈島のキョン」(特定外来生物)らしきものも出ていた。船は主に東海汽船の「橘丸」が見えていたが、ほか何気に青ヶ島行きの「あおがしま丸」も映っていた。  ストーリー的なことは実はよくわからなかった。キャラ弁なるものに関して否定と肯定が繰り返される展開に見えたが、弁当だけでは本当に嫌がらせになってしまいそうなところ、それとは別に心を通わせる機会を持ったことで真意が伝わったと思えばいいか。 またシングルファーザーの存在も半端な気がした。途中段階では一人親が孤独に頑張ることの限界を語っていたようだったが、その上でのご対面は、この先母親が助言者からパートナーの立場に発展していく予感の表現か、または人生まだまだ何が起こるかわからないという程度の緩い期待感か(なぜか娘の就職先の近所にいた)、あるいは単なるサービスカットのようなものか。少々困惑するラストだった。 特に絶賛する気にはならなかったが、実物をもとにしたという独創的な弁当を見て笑っているだけでも一定の面白さがある映画ではあった。なおネット上に原作者の顔写真も出ていたが、なるほどこういう感じの人がやっていたのかと納得した。  出演者に関して、芳根京子という人は今どき高校生役かとは思ったが、もともと可憐なタイプなので高校生に見えなくもない。また友人筆頭役の山谷花純さんは、「劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」(2018)で頭を丸刈りにしてから、少し髪が伸びてベリーショートの状態だったのがなかなかキュートで面白かった。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-04-03 10:50:45)
416.  耳を腐らせるほどの愛 《ネタバレ》 
吉本興業のコメディ+サスペンス映画である。ジャンルに「ロマンス」が入っているが無視して構わない。 無人島の宿泊施設で起きた殺人事件の謎を解いていくミステリー調の展開で、ありがちな結末かと思わせておいて実は…という意外性はなくもないがそれほど感心もしない。なお東京湾で唯一の無人島とは、横須賀にある猿島(戦艦三笠から見える)がモデルのようで、空撮場面もこの島の映像がもとになっている。撮影場所はほとんど屋内で、個人的に馴染みのある「人狼ゲーム」シリーズのようだった。  コメディといっても終始笑いっぱなしでもなく、予告編に出ていたように、鈴木鈴吉という名前を「鈴木の二乗」と表現するあたりでレベルが察せられる。そもそも自分としては芸人の笑いというのをあまり面白く感じないので(ノリの悪い観客)、かろうじて「ゲストなしの回」のところで笑わされたのと、「何となくです」「180のサイズ」がかすかに可笑しいくらいのものだった。高速度撮影でないスローモーションの場面などは笑えるかどうか。 独自性があったのは「たとえ話サークル」という設定で、言っていること自体は大して面白くもなく早口で何だかわからなかったが、現実にこういう活動を真面目にやっていれば発想の自由度が高まって頭の回転も速くなるかとは思った。芸人らしい趣向かも知れない。 個人的にはクサい演出ばかりが鼻についてあまり満足感はなかったが、初めから「見終わった後に何も残らない映画」を作ろうとしたとのことだったので、それを信じて気楽に見るなら楽しめるかも知れない。題名の意味は何だったかなど考えなくても問題ない。  登場人物としては、脚本段階で意図したという通りそれぞれに見どころが作ってある。森川葵さんが可愛い女の子(あざとい系)だったのは大変結構なことで、この人のこういう役は好きだ。また山谷花純さんは序盤で芸人風のかけ合いをしていたのが特徴的だった。長井短という人は知らなかったが、本当にこういう感じの人物らしい。
[DVD(邦画)] 5点(2021-03-27 11:34:10)
417.  ビブリア古書堂の事件手帖 《ネタバレ》 
原作は読んだことがあるが、作中に出る本を読みたくさせる小説として有名らしい。ちなみに自分としては「たんぽぽ娘」は読んだ(いかにも自分好み)。 場所設定としては原作・映画とも北鎌倉が中心で、加えてこの映画では鎌倉らしさの表現として切通しを見せている。ただエンドロールの撮影協力に常陸太田市と伊豆ばかりが見えたのは、地元の皆さんには申し訳ないが落胆要因だった。  物語としては原作1巻の1話から4話に直接つながる形で構成しており、原作が軽めに流していく感じなのをじっくり掘り下げたようではあるが、個人的には微妙な印象だった。昭和のメロドラマと平成の恋物語を並行させる形になっているが、本と引き合わせてくれた人との出会いという点が共通するだけで、話の性質は違っているので連関があるようにも感じない。太宰治を気取る「駄目な男」にも、太宰の言葉にかこつけて開き直る異常者にも当然ながら全く共感できない。 ただ意味的な面では、350万円で売れる本よりも、本を大事にする人を大事に思う人の心を大事にしたい、という結末だったらしいのは悪くない。平成の主人公男女が関係を深化させる過程も原作とは変えており、ラストで一気に「あなたが必要です」というのは唐突だったが、要はトラウマを解消させてくれた人物だったから、という理屈をつけたようではあった。 ほかメロドラマの男が長身なのは見た通りとして、主人公の母親役(神野三鈴)も意外に168cmとのことで、何気に遺伝的なつながりを表現していたらしい。また映画独自の点として、主人公の男が店を手伝う条件にしたのが読み聞かせだったのと、店でも絵本ばかり読んでいたらしいのは、子ども時代からやり直そうとしたという意味かも知れない。  登場人物に関して、原作の栞子さんは小柄でカワイイ系で巨乳気味の美女というアニメ向きキャラだが、この映画の黒木華という人は、演技でカバーしている(口元をかわいく見せている)とはいえ外見的に合っているかは何ともいえない。しかし原作ではライトノベル風のイラストに騙されていただけで、実物がいるとすれば本当はこんな人だったりするかも知れないとは思った。快活でなれなれしい妹(演・桃果)もいい感じだった。 また特に今回は(今回も)夏帆が見せる素朴な可愛さには見入ってしまったので、いろいろあるだろうが今後とも末永く活躍してもらいたい。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-01-30 14:28:17)
418.  グーグーだって猫である 《ネタバレ》 
原作も少し読んだ。題名の由来は、最近見た映画「ビブリア古書堂の事件手帖」(2018)で夏目漱石が出て来たところで初めて気づいた(遅い)。 映画は原作とかなり雰囲気が違っており、序盤ではネコと主人公が中心の世界に見えたが、特に小豆島の男が出て来てからはネコが脇に追いやられたようになる。芸人を入れてのギャグやドタバタが煩わしく、またスポンサーの宣伝や変な外国人など、何かと気の散る要素が多い映画になっている。 なお主人公は架空の名前だが、劇中の著作名を見れば原作者がモデルなのは明らかである。大病で手術したのは事実とはいえ、実在の人物をこのように扱った映画をみて原作者がどう思ったかは気になった。本人が納得していれば別にいいわけだが。  内容的には、まず序盤で前任のネコが口を半開きにして死んでいたのが悲しい。このネコは15歳まで生きたとのことで、終盤で出た人間体も15歳の演者(大後寿々花さん、1993年生まれ)にしたのは安易な発想かと思った。しかしネコと人は同じ時間を生きているわけではなく、ネコが先に年上になるというのは面白い表現で、そう言われてみると15歳の演者も年齢不詳のように見えて来た。 物語に関しては、避妊手術の罪悪感が根底にあるように見える。あからさまに書きにくいが、主人公は年齢的に最後というあたりで新しい出会いがあったと思って期待していたところ、突然の手術で望みが断たれてしまい、自分がネコにした仕打ちを改めて思わされたのではないか。しかし前任ネコが夢に出て、恨み言をいうでもなく、以前のように心を癒してくれたので安心できたと思われる。主人公がもう終わりだと思ったその先へ、背中を押してくれる形になったらしい。 結果的には題名のネコより前任ネコの存在感が大きかったが、ほかに原作者の「8月に生まれる子供」という著作も重要だったらしい。自分にはよくわからないが、題名の原作を超えて作家の作品世界を表現する意図があったようではある。  そのほか吉祥寺の街の紹介が変にしつこいので、それ自体が製作目的の一部だったと思うしかない。「ネコの街」といわれた台東区谷中とは別に、吉祥寺では「人と猫が共生する街」として、2011年から毎年「吉祥寺ねこ祭り」というイベントをやっているらしい。別にこの映画が発端というわけでもないようだが、2015年の「吉祥寺にゃんこ映画祭」では当然のようにこの映画も上映されたようだった。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-01-30 14:28:13)
419.  パプリカ(2006) 《ネタバレ》 
パプリカといえば現時点ではNHKの「2020応援ソング」が有名かと思われる。映画の前に原作を読んだところ、帯に「ヤバい方のパプリカ」と書いてあったのは上記ソングがヤバくないという判断らしいが、しかしネット上で“可愛くない”とか“気持ち悪い”といわれていたのを見たことがあり、大して変わらないのではないかと思っている。 原作では、第一部は科学技術の開発に関わる現世的な話だったが、第二部に入ると時空間の制約を越えた奔放な展開になってアニメ向きの印象だった。映画では、登場人物を集約した上で第一部も踏まえ、派手でリアルに気色悪い現代風アニメを作っている。  原作のパプリカは、オタク気質の肥満の男も50がらみの大人のオジサマも惚れさせ、かつ惚れてくれる点で魅力的なキャラクターであり、かなり男に都合のいい女性像という感じだった。このアニメでは千葉敦子とパプリカが別人格という印象を強め、現実世界の千葉敦子はオタク(一応若い)に取れられてしまったが、オジサマ連中は夢の世界のパプリカちゃんに自分の夢を託す、という形で整理をつけたらしい。その過程で「夢」に関して、本来の精神活動としての夢→将来の希望としての夢→映画などによる架空世界の夢、という形で意味を発展させ、最終的には夢の世界を創ることの意義まで訴えていたように見えた。 またその「映画」というものに関して、原作でも短編長編のたとえ話までは出ていたが、このアニメではこれを膨らませて映画志望だったオジサマの物語を作っており、最終的に夢と現実を統合させていたのはなかなか感動的だった。原作も一応は問題解決だが物寂しさも残す終幕だったのに対し、このアニメは娯楽映画らしく通俗的だが文句なしのハッピーエンドになっている。ここは大変結構でした。 ただし問題なのはキャラクターデザインであって、千葉敦子/パプリカからしてあまり可愛気を感じないが、その他の人物もみな顔が気色悪いので親近感が湧きにくく、これが最初から映画の印象を悪くしていたと思われる。もう一つ、このアニメではパプリカが忙しすぎて、途中からオジサマがパプリカ抜きで勝手にトラウマ解消をやってしまったというのが不十分な活躍ぶりではあった。
[ブルーレイ(邦画)] 5点(2021-01-16 09:29:27)
420.  AKIRA(1988) 《ネタバレ》 
2020年オリンピック関連で話題になっていたので改めて見た。最初に見たのは90年代のTVと思うが、その時点で印象的だったのはいわゆる「金田のバイク」と、臓器のようなのが膨れる場面だった。いま見てさすがに斬新だとまでは思わないが、1988年の時点で先進的だったろうということは否定しない。音響面でも面白いところがある(救急車のサイレンかと思ったら背景音楽だったなど)。 前提として、近未来は当時の現実の延長上にある、という考えなのは堅実な印象だが、実際に2019年を経験した立場からすれば、「貯金は××銀行へ」という看板とか紙がやたらに多いのは未来描写として外している。不良少年の仲間意識で泣かせようとするのも前世紀っぽいが、そのほか特にヘルメットに覆面の連中が火炎瓶を投げるなど、1988年ならまだ記憶に新しかっただろうが2019年では失笑モノである。一方で軍事衛星からの光線兵器であれば、実際どこかが作っていそうなので怖い。 ちなみにネオ東京というのは1980年のTVアニメ「未来警察ウラシマン」でも出て来ていたが(ネオトキオ、2050年想定)、東京湾に新都市という発想自体は昔からあったらしい(ネオ・トウキョウ・プラン、1959年)。  ストーリーとしては幼馴染の2人の自立と新たな出発という感じのようで、最終的にはこの世界と別の宇宙で新しい未来を自ら作る、という壮大なセカイ系の物語になっていたらしい。当時の若者はともかく今の自分として特に共感できるものでもないが、劇中事物に即していえば、あんな連中に宇宙創造を任せていいのかとは思った。 ほか今回見て思い出したのは、登場人物の中でわりと普通に見えるいたいけな少女の最期が衝撃的だったということだが、今の感覚で見れば、こんな男にどこまでも執着するのが悪いと切り捨てて終わりだった(結局男と一緒にあっちの世界へ行ったのか?)。好きになれる人物が誰もいない殺伐とした世界だったが(主人公の男は単純バカ)、あっちに行ってしまった連中はまあいいとして、残った連中はこれからこっちの世界をまたそれなりに作っていくのだろうとは思った。悪役っぽい強面の大佐はけっこう実直な人物だったらしい。
[DVD(邦画)] 5点(2021-01-16 09:29:24)
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