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 > 田吾作 さんのレビュー一覧
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プロフィール
コメント数 270
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 歳をとるごとに趣味と呼べるものがだんだん少なくなり、今では多忙ななか映画を鑑賞することがひとときの楽しみとなっています。
無数の作品の中から良作を探し出すツールとして、本サイトのお世話になっています。

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1.  スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け 《ネタバレ》 
感無量のなかで2度鑑賞。 J・J・エイブラムス監督は、世界中で熱狂的なファンを抱えるサーガ最終作のメガホンを取る、という誰もやりたがらない仕事を手がけ、ともかくもキャッチフレーズどおり「すべて、終わらせる」仕事をしてくれたことに感謝したい。 EP6以後のルーク、ハン、レイアの物語や、新世代のレイやフィン、ポーの出自と成長、カイロ・レンの改心、シスの終焉を示してくれた。  前作でのレイアの「手は打ってあります」の意味が、本作のクライマックスで明らかになるのもいい。  全編を通して描かれているテーマは「希望」であり「連帯」であり、出自がどうあれ、血統がどうあれ「人は変われる」というテーマだったのではないだろうか。  そして、ラストではっきりと示される「ライズ・オブ・スカイウォーカー」の意味。  恐らくは、レイを中心に新世代のジェダイ・オーダーが再建され(そこにはフィンや前作ラストシーンの少年もいるに違いない)、新たな銀河の平和が築かれていくだろう。 エピソード全編を俯瞰してみると、全時代を通して暗躍していたダース・シディアスを倒し、フォースにバランスをもたらしたのは、「スカイウォーカー」だったことに気づく。その意味では、EP1で「選ばれし者」アナキンを見いだしたクワイ=ガン・ジンの判断は正しかったのだ。(唯一アナキンの父はわからずじまいだったが)  改めて思うのは、小学生の時にEP4を劇場で観て衝撃を受けてからの41年間、私の人生はスターウォーズと「共にあった」ということだ。 ラストシーンからエンドタイトルの時間、これまで胸を躍らせた思い出が走馬燈のようによみがえり、涙が止まらなかった。 この時代に生きていて本当に良かったと思う。この「遠い昔、はるか銀河系の彼方で」の冒険を見せてくれたジョージ・ルーカスや、素晴らしいスコアを書いてくれたジョン・ウィリアムズ、そして全ての関係者に心から感謝したい。
[映画館(字幕)] 10点(2019-12-27 13:56:07)(良:4票)
2.  テルマエ・ロマエ 《ネタバレ》 
原作マンガは未読だが、マンガが元なだけに、「内心の声」や場面展開などがマンガ的画作りになっているのは「のだめ」と共通のノリであり、日本人には心地よいリズムだ。古代ローマの登場人物(皇帝など)に「顔の濃い」日本人俳優を配し日本語をしゃべらせるなど、演劇のような表現がユニーク。ルシウス役の阿部寛の大まじめなボケぶりと、要所要所でぶち込まれる小ネタの数々に久しぶりに家族で声をあげて笑えた映画だった。古代ローマ人が現代の日本にタイムスリップするというだけでも面白そうなプロットが成り立ちそうだが、「風呂」という共通の文化を軸にした設定の妙が前半の軽快な滑稽さに期待どおり生かされている。後半の歴史劇展開での失速加減は他の方の指摘どおりだが、イタリア・チネチッタのオープンセットでの大がかりなロケや大人数の現地エキストラを起用するなど、この辺を安っぽいCG処理でごまかさなかったことは多いに評価できるし、家族や友人と安心して笑って楽しめる日本映画として十分及第点をつけられる。
[ブルーレイ(邦画)] 7点(2012-11-19 12:11:31)(良:3票)
3.  俺は、君のためにこそ死ににいく 《ネタバレ》 
「かつてはこんなに美しかった日本人~靖国神社で会おう!」が本当のタイトルではないかと思えるような内容。いくつか挿入される各特攻隊員のエピソードの一つ一つに背景などの深みがなく感情移入が困難だった反面、やたらと「英霊」賛美と「靖国」崇拝が鼻について仕方なかった。映画作品として割り切ってみれば、空襲や特攻場面が従来の日本映画よりリアルな仕上がりになっていることは評価できる。例えば、米艦隊の激しい弾幕の中を飛行し、標的に体当たりすることがいかに困難だったかなどはよく伝わってくる。このいわば映像資料にないビジュアルを再現し、観客に見せることの意義は大いにあると思う。逆に言えばそれ以外は全て中途半端な印象は否めない。強いて言えばエンドタイトルに出てくる当時の写真が、歴史の事実を雄弁に語り、一番胸に迫ってきたくらいだ。以下は個人的見解であることをあらかじめお断りしておく。「特攻」という世界に類例のない狂気的ともいえる作戦が生まれ、遂行できた背景のひとつに、国家神道をベースにした「七生報国」思想があり「神風神話」があり「靖国思想」があったことは否定できない。現代においても「靖国神社」に「英霊」が居るという思想を多くの人が信じているようであるが、良くも悪くもそれもひとつの「宗教」であり、あの時代の日本を支配した「宗教」と底流を同じくしていると私は考える。したがって私はこの作品が静かに主張していると思われる「靖国」賛美には、到底くみすることはできないし、近年の世界情勢のなかで自信と誇りをなくしつつある多くの日本人が、そのような思想に民族的アイデンティティーを求めだすことを危惧している一人である。私がこの作品を観て思ったことは、二度と、生命より国家を重んじるという、あのような時代をつくらない、という固い意志と行動こそが、かの数千名の愛すべき若者達(先輩たち)とそれを支えた人たちに報いる道だということである。「そのためにこそ」このような映画もつくられるべきだと思う。
[映画館(邦画)] 5点(2007-05-27 02:10:31)(良:3票)
4.  コンテイジョン 《ネタバレ》 
もし近い将来に強毒性で感染力の強い、未知の新ウィルス感染が発生したと仮定した場合(これはリアルにありうるが)グローバル化でボーダーレスになったこの世界でどのような事態が発生するのか?この映画はそのことに特化して企画されたといっても過言ではないだろう。従って、派手な演出や特殊効果はなく、エンタテイメント性を犠牲にしてもリアルで実際に起こりうるであろう淡々とした群像劇が展開される。そのため、もし本作に無名な俳優が起用されたとしたら、完全なるB級映画になってしまっただろうし、あまり話題にもならなかっただろう。その意味で本作は近未来に起こりうる恐怖を多くの人に知ってもらい、その恐怖が起こらないよう、もし起こってもこの映画よりもましな対策が講じられるよう、世界の人々に啓発したい意図もあったのではないだろうか。本作の豪華なキャスティングは、その意味ではきちんとした理由があったと感じた。最初の感染発生からたった数週間で社会システムが麻痺し、略奪や破壊が行われうる私たちの社会は、実はとっても脆いシステムだということに改めて気づかされたし、「背に腹は代えられない」という人間心理を自分自身にも突きつけられる思いがした。自分だったら「レンギョウ」を買い求めるために並ばないと言い切れるだろうか?と自問自答しながら苦々しく鑑賞。そういった意味でラストを月並みなハッピーエンドでお茶を濁すのではなく、少々後味悪い形で終わったのは監督の警告ととらえてよいだろう。
[DVD(字幕)] 7点(2012-03-02 14:11:21)(良:3票)
5.  ブラックホーク・ダウン
ソマリア内戦への米国(国連)の介入、という比較的新しい戦争の実話を題材にしていることもあり、リアルな戦争描写が印象的。何らかの政治的意図をもって製作されたというよりも、ひたすらリアルで凄惨な戦争の現場を観客に見せることに撤した感がある。そういった意味では「プラトーン」や「プライベート・ライアン」よりもストレートだ。 強いて言えばジョシュ演じる理想主義的傾向をもつマットが戦闘で部下を失う中で「本当にここで戦うことがソマリアの民衆のためになるのか」という心の葛藤を底流に感じた。この心情は近年のアフガンやイラク戦争にも通じ、他国への干渉(ましてや戦争行為)が、いかに大義を掲げようが、その実現には困難を極めるというテーマにもつながっていくだろうが、この作品はそういった難しいことではなく、その「戦争」にいかなる大義があろうと、そこに身をおく兵士にとっては「自分が生き残るため」そしてある種異常な時間を共有する生死を超えた「仲間のため」に、敵を殺すしかない、という凄惨な現実を、「良い」「悪い」の善悪論をはるかに超越した次元で観客に提示することが主題であったと思う。その意味で私には決して「おもしろい」などという感情は湧かなかった。だけど点数は低くしたくない作品。 観終わった後、ちょうど静岡県警のヘリ墜落!のニュースが飛び込んできて、なんだか作品とオーバーラップしてしまった。 
[DVD(字幕)] 8点(2005-05-03 19:10:57)(良:3票)
6.  男はつらいよ お帰り 寅さん 《ネタバレ》 
某BS局で昨年から放映された全作品をコンプリートした後に鑑賞。 まさに50周年だからこそ企画製作された作品だろう。  他のレビューアーもご指摘のとおり、内容については気になる点は少なくない(ゴクミの棒読み、泉の父役の改変など)が、諏訪家とそれを取り巻く人々の「その後」を見たい、懐かしい寅さんの映像も見たい、という欲求にはきちんと応えてくれたと思う。 スター・ウォーズのジョージ・ルーカスではないが、多くのファンをもつ作品ほど、皆が納得できる続編を作るのは難しい。 でも、これは他でもない山田組による続編なのだからと納得するしかない……  「男はつらいよ」は、極端に一言にまとめてしまうと、フーテンの寅さんが故郷・柴又にふらりと帰ってくるお話だ。 なぜか間の悪いタイミングで帰ってくる寅さんに、とらやの面々はいつも慌てふためいてしまい、なかなか普通に「お帰り」と迎えることができなかった。  だから、今回は観客も含め、みんなで「お帰り、寅さん」と迎えてやろうじゃないか、というのが本作の魂ではないだろうか。 その時、寅さんの横にはきっと「女房」が伴われているに違いない。さくらはどれほど嬉し泣きをするだろうか……  ラスト、歴代マドンナの回想シーンが流れ、合間にあの懐かしい寅さんの笑顔が挿入される。 そうしているうちに、あのテーマ曲が聴こえてきて、渥美清さんの歌声と共にエンドクレジットが流れる。  私はこれでやっとこのシリーズが完結したのだと、瞼を熱くしながら思った。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2021-03-23 11:20:59)(良:3票)
7.  300 <スリーハンドレッド> 《ネタバレ》 
スパルタやテルモピュレーの戦い等の史実は詳しく知らずに鑑賞。冒頭スパルタで男子がいかに徹底して訓練され「戦士」に育っていくか、との説明的描写から始まるが、これが最後まで生きている。精悍なレオニダス王、美しくも賢い王妃、見事に腹筋が割れたスパルタ戦士達、その重さまで伝わってくる動物たち、妖艶なペルシャ王(声はダースベイダーみたいでイメージギャップあり)、見事な殺陣と、血しぶきがストップモーションで飛び散る戦場シーンなど、圧倒的に美しい映像にグロさもスポイルされ、2時間のあいだ作品世界に酔いしれることができた。特にレオニダス王役の「目ぢから」は迫真の一言。この監督は「目」の演技を特に重視していることが伝わってくる。もちろん創作部分も多いであろうが、腐敗した聖職者と悪徳政治家が結託して国を陥れるという構図は近代まで普遍のパターンであったろう。気になったのは、スパルタ軍が「自由」「正義」「法による秩序」を旗印に戦っていたこと。その魂が今のアメリカに受け継がれていると言わんばかりに感じたのは私だけではなかっただろう。全編を通してのテーマの一つは「物語」だ。勇敢なスパルタ王と300人の戦士の戦いを一人の生き残り戦士が必死に伝え、やがてギリシャ全土に語り継がれるにいたる。そして「物語」は(むろん伝える側に都合よく脚色されていくものだが)歴史となり数千年の時を隔てた今、我々の眼前に鮮やかな映像を結んでくれる。世界史上壮絶な戦いは他にも無数にあっだろうが、当然ながら語り継がれなければ残らないのだ。ペルシャ王が「スパルタを歴史から抹殺する!」と恫喝したのも故あってのこと。大切な事は「歴史を残す」こと、言い換えれば「よりよく生き、その証を残すこと」なのだ。レオニダス王の執念の叫びが聞こえてくるかのようだった。
[映画館(字幕)] 7点(2007-06-13 13:47:47)(良:2票)
8.  ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル 《ネタバレ》 
これぞ娯楽アクション映画の王道をいくシリーズ最新作。今やお馴染みとなった「スパイ大作戦」のテーマに乗って、イーサン・ハントと彼のチームが最高の能力と最新のテクノロジーを駆使して、不可能と思えるミッションに果敢に挑んでゆく。変装や潜入といったお約束もきちんと入り、安心して観ていられる。ブダペスト、モスクワ、ドバイ、ムンバイと舞台を移し、複数の撮影ユニットによる大がかりな撮影がなされており、この点でも豪華だ。トム・クルーズも歳をとったなりに、アグレッシブなアクションに挑戦しており、役者魂を感じる。ストーリーの設定がスパイというより、テロ対策に(CIAよりCTUか?)重心が移っている感は否めないが、これはいたしかたないか。敵の大ボスが学者のくせに妙に手強いとか、細かいことは気にせず、次から次へ展開するサスペンスアクションに身を委ねるのがこの作品の正しい鑑賞法だろう。劇場での上映中、私の近くではポップコーンを頬張る音は全くなく、エンドロールになってから、ようやくポリポリ音が出てきた。こういう映画を素晴らしい娯楽作品と呼んでいいと思う。千数百円の鑑賞料は決して惜しく感じなかった。
[映画館(字幕)] 9点(2011-12-20 11:01:37)(良:2票)
9.  スター・ウォーズ/最後のジェダイ 《ネタバレ》 
「観ている2時間あまりの間、日常生活を全く忘れさせてくれる…」ジョージ・ルーカスが良き娯楽映画をこう表現したことがあったが、本作もまぎれもなくそうであり、SWだった。  正統なSWには、いくつか外してはいけない要素がある(手に汗にぎる宇宙戦、ドロイドやファルコン号の活躍、様々な惑星やクリーチャー、ライトセーバー戦、フォースの哲学、ジェダイ(ライトサイド)とシス(ダークサイド)の戦い、そしてスカイウォーカー家の血縁関係…)これらをきちんと盛り込み、さらにファンが観たいものもきちんと見せてくれた(ルークとレイア、R2―D2との再会、ヨーダの登場、二つの太陽など)  一方で観客をミスリードする展開を多用したり、スノークのあっけない退場、ルークの隠遁の理由がよくわからない、など不満点も残りはしたが、今回は新キャラクター(レイ、ポー、フィン)の成長譚でもあり、希望の余韻を残すエンディングもよかった。  レイはジェダイオーダーを再建できるのか、銀河に再びバランスをもたらすの誰か、カイロ・レンはダークサイドから脱却できるのか そして、レイの血縁は…EPⅨへの期待は膨らむ。  EP4の劇場公開から40年近く経っても、新作を楽しみにできる幸福を与えてくれたルーカスとディズニーに心から感謝したい
[映画館(字幕)] 10点(2017-12-26 10:08:11)(良:2票)
10.  サウンド・オブ・ミュージック 《ネタバレ》 
名作の呼び声高いことは知りつつも、長尺かつ「ただ主人公や子ども達が脳天気に歌いまくるミュージカル映画」 という先入観があったため、今に至るまで鑑賞の機会を逸していた。 しかし、鑑賞後は一転その浅はかさを悔やんだ。  まず冒頭の空撮からのオーストリアの素晴らしい風景、そして丘に立つマリアにクローズアップしての主題歌への流れは、 聞きしに勝る映画史に残る名シーン。 ストーリーは確かに予定調和的ではあるが、純粋で天真爛漫なマリアが音楽を通してトラップ家に影響を与えていくプロセスは、 わかっていても心惹かれる。  そして何と言っても、劇中歌のほとんどが耳に馴染みがあるナンバーばかりで、これらの楽曲がもつ力こそが、 本作を名作たらしめているのは疑いない。 鑑賞後も頭の中でリフレインするような不思議な魅力を持っている。  また、ジュリー・アンドリュース演じる外連味のない生き生きとしたマリアも、クリストファー・プラマー演じるトラップ大佐の豹変(笑)も、 観る者すべてを惹きつける魅力がある。  さらに、本作が不朽の名作たりえる理由として、背景がナチスドイツによるオーストリア併合という、戦争の暗雲がたちこめる時代であることがあげられる。 そのことが歌や音楽の持つ力をコントラストとして際立たせることに成功しており、ありがちなハッピーエンドにとどまっていないのだ。  男爵夫人や長女の恋人も含め、本作にはいわゆる悪人は登場しない。それぞれが時代の波に押し流されながらも、懸命に生きている姿が活写されており、暗い背景の割に後味がいい。  監督と役者、作曲家など、溢れる才能が結集して創られた傑作というのはそう易々と作れるものではないが、本作は紛れもなくそれにあたるだろう。  本作は、いつの時代においても、愛や音楽が人々の喜びであり希望であることを高らかに歌った人生の賛歌であり、 これからもずっと残っていくであろう不朽の名作である。
[インターネット(字幕)] 10点(2018-07-11 14:05:44)(良:2票)
11.  男たちの大和 YAMATO
おおむね予想した通りのストーリー展開ではあったが、以外に良かったのが、終始、神尾ら少年兵らの視点に立っているところだ。大局的な戦況説明は省略して、むしろそういった戦況を知らないまま死にゆく一青年にとって、あの戦争は何だったのか、戦艦大和は何だったのかということを観客に問いかけている。死にゆく者と、残される者のいくつかの別れのシーンはお涙頂戴と分かっていても、音楽と演技に泣かされる。反町が演じる森脇がいわゆる「炊事兵」というのも、ある意味リアルで良い。本当に格好いい奴というのは得てしてそういう仕事をしているものだ。現代に生きる青年はこの作品を通して、国の威信をかけて建造した巨大戦艦が、最後は未来ある三千人もの若者の「鉄の棺桶」になったという悲しい歴史を知る。愚かな指導者に率いられてはならないという教訓にするべきであろう。
[映画館(字幕)] 7点(2006-01-11 17:51:11)(良:2票)
12.  バトルシップ(2012) 《ネタバレ》 
見始めてすぐこの映画のノリには既視感があるなと感じていたら、やはり。先の「世界侵略:ロサンゼルス決戦」がアメリカ海兵隊バンザイ映画だったとするならば、これは図らずもアメリカ海軍バンザイな映画だった。米軍の敵役の設定としては、いくらやっつけても誰も嫌悪感を抱かない「エイリアン」をもってくるのが今のハリウッド流なのだろうか。そもそも題名が「戦艦」なだけあって、この映画の主役は実は「戦艦ミズーリ号」であり、古き良き時代の海軍戦を現代に蘇らせたかったということだろう。それだけに、レーダーに頼らない戦略戦や、戦艦同士?の至近距離からの撃ち合い等には迫力があった。テイラー・キッチュの海兵姿は往年のトップガンでのトム・クルーズを彷彿とさせるくらい格好良かったし、浅野忠信は意外に英語のセリフが多かったが、あまり感情を表に出さないステレオタイプの日本人艦長を好演している。日本人としては本作における日本の取り上げ方は決して嫌な感じはしないだろう。いろいろ書いたが、それらをふまえて割り切って劇場で迫力を楽しみながら鑑賞した方が良い作品だ。
[映画館(字幕)] 7点(2012-04-22 19:42:45)(良:2票)
13.  ネイビーシールズ(2012) 《ネタバレ》 
「本物」の呼び声が気になり鑑賞。確かに有名な俳優は起用されていないものの、世界を舞台に活躍するSEALsの任務や作戦の描写には本物の迫力があった。特にパラシュート降下や水中侵攻の様子はスタントの域を超えていたし、時折織り込まれる主観映像では、隊員の息遣いとも相まって実戦での緊張感がきちんと表現されていた。本物の特殊部隊のすごさを知りたい人は見て損はない。ただ作戦時に顔にも迷彩を施すところまでリアルなのはいいが、その結果誰が誰だがよくわからなくなってしまうのは難点か。この手の作品は「バンド・オブ・ブラザーズ」のように、連ドラで訓練期間から除隊まで見せ切ってくれる方がはるかに感情移入するだろう。ラスト付近で隊長が敵の手榴弾に覆い被さり仲間を救ったエピソードは実話のようだが、このような高度な訓練を受けた部隊がアメリカのテロとの戦いの最前線で命がけで活躍していることを知る意味で見て損はないだろう。
[DVD(字幕)] 6点(2013-03-26 11:40:34)(良:2票)
14.  スター・ウォーズ/帝国の逆襲
恐らくはSF映画史上永遠に語り継がれるであろう「スター・ウォーズ」というシリーズを、まさにシリーズならしめた作品。この作品がスター・ウォーズユニバースという世界観を一気に広げた。ダース・ベイダーとルークの血縁関係(当時は本当にぶったまげた!)やヨーダから明かされる「フォース」の哲学、そして深まる「なぜ?」という謎。1作目だけならそれですっきり完結できたのに、ある意味罪深い作品という見方もできる。 当時はとにかく「やってるやってる、相変わらずみんなやってるね~」という感じで、1作目のキャラクター達の「その後」が見られる喜びを味わっていた。本筋と離れるが、この作品のサウンドトラックは恐らくシリーズを通してとりわけ秀逸である。有名な「ダース・ベイダーのテーマ」や美しい「ヨーダのテーマ」など、ジョン・ウィリアムズは、この作品で際だったキャラクターを見事に印象付けることに成功している。概してこのシリーズは、マニアックな人だけが「ハマる」趣味性の強い作品とみられるが、一面そのとおりであろう。しかし、かつて誰しも経験した自由な空想の世界で遊んだ子供心に強く訴えかける魅力がある。「観ている2時間あまりの間、日常生活を全く忘れさせてくれる」という娯楽としての映画の原点から考えると、満点の評価は決して過大評価ではないと思う。
10点(2004-06-18 13:25:21)(良:2票)
15.  スター・ウォーズ/フォースの覚醒 《ネタバレ》 
このシリーズはあまりにも思い入れが強いため客観評価が難しい。 作品がジョージ・ルーカスの手を離れてどのようなストーリーが展開されるかを最も楽しみにしていたが、恐らくどの監督も尻込みするであろう困難なハードルをもった作品であることを考慮すれば、J・Jエイブラムスはいい仕事をしたと納得できた。 砂漠の惑星に住む不遇な若者が、いわくつきのドロイドとの出会いをきっかけに冒険に旅立ち、敵の巨大要塞に捕らわれるも、仲間と共に脱出に成功しレジスタンス軍と共に敵の巨大兵器を倒す…というプロットは確かにEP4やEP1とも通じるが、旧シリーズの世界観を踏襲することで安定感を生み出すという選択は正しかったと思う。 CGを感じさせないほどに格段に進歩したVFX、旧キャラクターやファルコン号の登場の仕方も期待を裏切らなかった。チューバッカやC-3POのコメディーパートもそのままに、独創的なクリーチャー、手に汗握る空中戦、そして次第に明らかになる血縁関係…正統なSWの続編を名乗るにふさわしいつくりだった。果たして新たにフォースにバランスをもたらすのは、レイなのか、フィンか、それともカイロ・レンか…、期待は高まる。ジョン・ウィリアムズのスコアも欠かせないものだが、今回は印象的なテーマがなかったのが唯一気になる点。とはいえ78年に衝撃をもって観た作品の続編を、37年経った今も同じオープニングとエンドタイトルで観られる幸せに感謝したい。
[映画館(字幕)] 10点(2015-12-20 12:07:54)(良:2票)
16.  レ・ミゼラブル(2012) 《ネタバレ》 
同ミュージカルのファンとしては客観評価が難しいが、ミュージカル版と同じく全て「歌」で物語を進行させ、その全てをライブ録音したというフーパー監督のこだわりのおかげで、全く不満のない作品に仕上がっている。そもそもユゴーの原作は、言うまでもなくその深い精神性、物語としてのスケール感、魅力あふれる多数のキャラクターなど、圧倒的な芸術性をもっているところに、ミュージカルはさらに素晴らしい音楽と娯楽性を軸にそれを再構築し、世界のトップミュージカルとして長年各国で上演され続けている。本作はその観客の大きな期待に見事に応え、さらには初めて作品世界に触れる人にも、そのアウトラインを知る機会を提供してくれたことを評価したい。特に、前半のアン・ハサウェイ演じるファンテーヌ「I Dreamed a Dream」の長回しシーンには、心をわし掴みにされたし、中盤の「One Day More」での高揚感はただものではなく、ラストシーンにいたっては、本作のオリジナルとして感動的なフィナーレを創作しており、エンドクレジットと同時に思わずスタンディング・オベーションをしたい衝動にかられた程だ。通常舞台では役者の細かい表情や感情表現を全ての席から観ることは困難であり、さらにセットの構築や場面展開にも限界があるが、本作はそういったミュージカルの限界を映画という手法で見事に打ち破り「レ・ミゼラブル」の新しい地平を観客に提示してくれた。ヒュー「バルジャン」が後半になるにつれ「ウルヴァリン」とイメージが重なってきたりもしたが(笑)、それはご愛敬。1年を締めくくり、新しい年を迎えようとするこの時、素晴らしい作品を鑑賞できた事に、製作スタッフとキャストに深い感謝の意を表したい。
[映画館(字幕)] 9点(2012-12-25 14:14:17)(良:2票)
17.  探偵はBARにいる 《ネタバレ》 
関東以北最大の歓楽街ススキノをメインロケ地とした映画はこれまでほとんどなかったと思われるが、北海道民からみても期待を裏切らない良作だった。見慣れた冬のススキノの路地を駆け抜ける大泉洋には全く違和感を感じないし、ところどころに出てくる北海道弁もほぼネイティブ。また駅前地下歩行空間やノルベサ観覧車といった札幌の「今」を象徴する舞台も使いつつ、全体の画づくりや小道具・BGMにはあえて昭和の雰囲気をもたせ「探偵物語」のようなテイストに仕上げているのは松田龍平もキャスティングされていることだし、それはそれで良いと思う。その松田龍平も北大の貧乏研究生でありながら空手の師範というユニークなキャラクターを好演していた。ただ大泉洋の三枚目のツッコミキャラはそのままにドタバタアクションは良いとしても、「殺し」というシリアス過ぎるミステリー設定はミスマッチだったようにも思う。特に大泉が拳銃を手に小雪に迫るシーンはやりすぎの感は否めなかった。とはいえ、名優を多数起用し、最後まで見せきる魅力ある作品には仕上がっており、ひいきも加算して及第点としたい。この春に第2弾が公開されるのも楽しみであり、できればシリーズ化して、新しい邦画の歴史に連なる作品に成長してほしいと、やっぱりひいきしちゃいます。
[DVD(邦画)] 7点(2013-05-07 13:00:10)(良:2票)
18.  男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 《ネタバレ》 
いつも思うのだが、寅さんは余所の人(特に困っている人)にはすごく優しいし、気を遣うのに、 とらやの面々を始めとした「身内」には手のひらを返したようにわがままだし、厳しく当たる人だ。  今作では、沖縄で療養中のリリーと半同居生活をすることになった寅さんが、ふとしたことから痴話げんかになり、 ついリリーに憎まれ口を叩き、リリーのちゃぶ台返しにあってしまう。  ここまで寅さんの「身内エリア」に入り、寅さんと対等にやりあったマドンナはリリーが初めてではないだろうか。 ここに至って、リリーは寅さんの「身内」になることの難しさを知り、終盤の寅さんのプロポーズを冗談と笑い飛ばしたのだ。 ※ちなみにこのシーンは前作「相合い傘」でのリリーが示した本音に対して寅さんが笑い飛ばしたのと対をなしている。  ラストシーンの爽やかさは、こうした二人のすれ違いを経て、一番いい距離感を表現していたからなのだろう。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-09-23 14:45:57)(良:2票)
19.  127時間 《ネタバレ》 
私自身は決して一人であんな峡谷へは行かないと思うので、その意味で主人公の行動には最初から感情移入しにくかったが、「腕だけが岩に挟まれ動けなくなる」という特異なシチュエーションに惹かれ鑑賞。アーロンはアウトドアのベテランらしく、はじめは冷静に様々な脱出策を試みるが、それがほぼ不可能と悟るや次第にこの岩場に至る自分の人生を振り返り始める。そして最後は「この岩は隕石の時から俺の上に落ちてくるのを待っていたんだ」と、親不孝や、恋人へのわがままな態度、そして行き先を告げずに峡谷に出かける無用心さなどが招いた因果応報をいやというほど思い知ることになる。こうした主人公の内省プロセスは観ている者自身の生き方も省みさせるだけの効果があった。こういった題材を単調にせずに商業映画として完成させるには、シナリオやカット割、撮影の順番などが大変難しいと思うが(俳優の衰弱具合を時系列にしなければならない)、ビデオカメラを上手に使ったり、ウォーターボトルなどを容器の側から撮るところなど、いろいろ工夫されていた。またあえて他の場所にシーン転換せず、ひたすら岩場と回想・幻想のみに場面を限定したことで、観客もアーロンと共に最後まで岩場から動けない状態にさせることに成功している。人は誰しも窮地に立たされた時に初めて本当に大切な物事や普段の生活のありがたさを思い知るわけだが、本作のような映画はそのような疑似体験ができる意味で非常に有意義であると思う。
[DVD(字幕)] 7点(2012-03-03 18:26:43)(良:2票)
20.  フェーズ6 《ネタバレ》 
面白そうな予告編に釣られて鑑賞。でも結論から言うと期待はずれ。感染パニックというよりは、人間ドラマがメインだった。その意味で邦題は合っていないと感じた。冒頭から死亡フラグ立ちまくりの兄は、「スタートレック」の新作で若きカーク船長を演じた俳優が演じており、破天荒なキャラクターには不思議な既視感があった。85分というコンパクトさは良いが、状況説明に時間をかけなかったのが良かったのかどうか…。物語は謎の病原菌(ウィルス)の発生から蔓延に至るパニックや脅威などは一切省かれており、登場人物達の台詞や廃墟と化した街などから想像するしかない。むしろ愛する人が致死率100%のウィルスに感染した場合、自分だったらどう行動するのか、を考えるきっかけとなる映画であり、設定につっこみどころは多くも、そして後味は悪くも、それなりに観る価値のある作品といえる。
[DVD(字幕)] 4点(2010-10-04 10:01:44)(良:2票)

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