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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2517
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  累 -かさね- 《ネタバレ》 
 土屋太鳳と芳根京子が「顔が入れ替わる」役を演じて、それはそれぞれの演技、特徴を十分に理解して初めて成立するものだから、求められるものはかなり高度で複雑。  そしてその要求に見事に応えてみせる二人は本当に凄いわ。  その時、どちらがどちらの人格なのか、それが見ている人に瞬時に判るのだから。  その上、合成で継ぎ目のない入れ替わりまで見せてくれたりして、「本物」と「偽物」の世界が曖昧になってゆく恐ろしさがじわじわ伝わってきて。   「口紅を塗ってキスをすると顔が入れ替わる」っていう設定自体は荒唐無稽だけど、舞台女優という姿を通して、現実と嘘、表と裏、本物と偽物が対比されて、もの凄い層を重ねた「演技」を見せられてこちらは翻弄されることになるのね。  だからこれ、実際に女優が演じることによってマンガよりも更に映画というメディアでは構造が深くなると言えるわけで、とても映画向きな素材って言えるかも。   ただ、手放しで「素晴らしい!」って言いきれなかったりもして。  いちばん気になったのは心の声の多用。土屋、芳根、浅野忠信がそれぞれ心の声を聞かせるの。多過ぎね。  心の声を使わなくても「映画のやり方」で十分に表現できるはずだし、それだけの演技はできていたハズなのよね。それ、まるで映画の力と役者の力を信じてないみたい。  マンガは心の声を使いまくって当たり前なメディアだけど、映画でもそうすることになんの疑問を持たなくなってきてるとしたら、それはマンガの映画化天国状態な日本映画の弊害なのかもね。日本の映画はみーんなマンガ的表現に支配されました、みたいな?   演技がテーマですらある映画で、演技を信じきれてないという皮肉な状態に思えてしまうのは残念。  あんなに土屋太鳳と芳根京子が演技で魅せてくれているだけにね。
[映画館(邦画)] 6点(2018-10-08 18:28:55)
2.  ガールズ&パンツァー 第63回戦車道全国高校生大会 総集編 《ネタバレ》 
 タイトルから大会をメインに構成されてるの?と思ったのだけど、内容的には普通にテレビシリーズのダイジェスト。  みほの転校から始まって、模擬戦や聖グロリアーナとの練習試合も(あんこう踊りも、おばあの入院も、華のお母さんの反対も)しっかり含まれた総集編。  なのでOVAだったアンツィオ戦が順番通りに組み込まれた以外の、映画用の新しい要素は回顧ってカタチの、あんこうチームメンバーによる解説くらい。   テレビシリーズは10回は繰り返して見てるので、特に新たな感動みたいなのは無くて。大スクリーンで、5.1チャンネルの音響で、と言っても見慣れた映像のみだし。オープニングはテレビシリーズのまま、エンディングは12話ラストシーンの後に黒地に白文字スクロールの地味っぷり。音楽も新録音されてる訳じゃないし。  これまでに多くあった再編集モノの枠から一切出てないわけで、『ガルパン』としてはともかく、映画としてはあまり評価できないなぁ。   もちろん『ガルパン』ファンならば楽しめるし、親切な構成なので一見さんにも優しい作りになってるけど、でも今から新たに映画で『ガルパン』を見始める人っているのかしらねぇ。  もはや完全なファン向け上映としてしか成立しない気も。そして、ファン向けならばもっと違ったアプローチの仕方がありそうな気もするの。このところ絶好調な吉田玲子さんに再構成して貰った方が良かったんじゃないかな。   ちなみにMX4D版はMX4Dにしては頑張ってよく揺れてたけれど、映画内で上映されている映像にまで震動付けちゃったら、もう何がなんだか。
[映画館(邦画)] 6点(2018-10-08 18:18:00)
3.  カメラを止めるな!
 これはネタバレを読んでしまってはダメ、なるべく情報をシャットアウトして見るべき映画なので、点数だけ参考にしてね。   アタシはゾンビ映画ってモノに対してなーんの思い入れもなくて、つーかニガテで、映画マニアにゾンビ映画好きが多い理由がどうにも理解できなくて。  大丈夫なゾンビ映画は『ウォーム・ボディーズ』『ゾンビランド』『高慢と偏見とゾンビ』だけ。『ショーン・オブ・ザ・デッド』すらダメってレベルだからねぇ。  んで、そんなアタシでも存分に楽しめるのがこの映画。   無名な役者しか出てこなくて、安っぽくて、映像なんか『ジュラシック・ワールド 炎の王国』の反対の極に存在するようなしょっぱいシロモノ。そして、そこにこそ意味がある映画。  有名人でリメイクしたとしたら台無しになっちゃうでしょうね。   脚本の妙味とエンドロールに込められた思い、それはたとえゾンビ映画好きでなくても、映画ファンならば誰でも共感できるものだと思うわ。   チネチッタではリピーターらしきおっさんが聞こえよがしなリアクションをとる事で、初見の人間に対して結果的にネタバレ状態になるという事態を巻き起こしやがりまして、100パーセント楽しめたのかどうか、ちょっと微妙な思いをしたのだけど(不粋なスノッブ野郎は滅びればいいの!バカ!)、それでも十分面白かったので、お薦め。
[映画館(邦画)] 9点(2018-07-16 20:02:56)(良:1票)
4.  カンフー・ヨガ 《ネタバレ》 
 ジャッキーが冴えない。もうこれに尽きるんですよね。   そりゃ「もうアクションは引退」って宣言したジャッキーですから、本格アクションをこなす訳にもいかず、ジャッキーの近作に見られるように、多くのアクションを若手スターに任せてます。でも、じゃあその若手のアクションが魅せるモノかと言えば、何か新鮮なコトをしてくれる訳でもなくて。   話の運びは雑で、優勢だったハズが次のシーンで捕まっちゃってるとか、ハイエナのいる空間は室内から眺められる状態なのに、救出に潜入してみんなで脱出するまでの間は誰も見てませんでしたとか、そもそも『インディ・ジョーンズ』(つーか『レイダース 失われたアーク』)が元ネタです、って宣言しちゃってたり。『インディ・ジョーンズ』が元ネタなジャッキー映画としては『サンダーアーム 龍兄虎弟』がある訳で(そう言えば複数の女性と冒険を繰り広げるパターンはその続編の『プロジェクト・イーグル』でしたっけか)、そんな点も含めて80年代香港映画の雑っぷりが甦ってるような映画で。  っていうか、カンフー・ヨガって言いながら、ちっともヨガ関係ないし。っていうか、マサラムービー的な売り方をしているけれど、実はダンスシーンはエンディング部分だけだし。『ナトゥ 踊る!ニンジャ伝説』くらいのインチキっぷり。アレよりはずっとお金かかってますが。  ホンキで殺しにかかってきてる敵に対してお笑いアクションで対抗するチグハグさも含めて、なんか時代がズレたモノを見せられたような、懐かしい気もするけれどコレジャナイ感覚を抱いたのでした。   で、それより何より、ジャッキーが具合悪かったの?ってくらいに冴えない顔してるんですよね。常に消極的で巻き込まれ型なキャラで、ひたすら振り回されてばかり。そんな役を精彩を欠いたジャッキーが演じているのが見ていてつらくて。ラストのダンスシーンは楽しそうな表情をしてましたけれど。
[映画館(字幕)] 4点(2018-01-11 21:13:56)
5.  カーズ クロスロード 《ネタバレ》 
 マックイーンは最後に何故トレードマークの赤い色を捨てたのでしょうか?  若くて未来ある、だけども性格の悪いストームのボディは青い部分もある、けれど黒いです。まだ若いけれど挫折して夢を諦めた状態のクルーズのボディは黄色いです。もう若くはなく、レーサーとしての寿命を認識せざるを得ないマックイーンの色は赤いです。つまり、今回の作品に関してはそのボディカラーが信号の色を示してたりしない?って。1作目の段階で赤いマックイーンですから、今作に対してしか通用しない考え方ですが。  もう少し細かく見ると、クルーズは黄色一色が、途中で黄色に黒のペイント、次に黄色にオレンジ~赤のペイントとなり、そして最後には黄色にブルーのロゴ。マックイーンは赤いボディに黄色のロゴが、一度は剥がされ剥き出しの素の色になり、元に戻ってハデになって泥を被って元に戻って、最後はブルーのボディにブルーのロゴ。その塗装の変化が立場や心情、意識の変化を示しているようにも思えます。ブルーは未来を予感させる色、黄色は惑いの色、そして赤は限界を感じる色、そんな感じなのかな?みたいな。   そんな今作はある程度歳を重ねた人、挫折を経験した人、人生に迷った人に染みるようなお話で、だから日本でのシリアスな大人向けっぽいCMも、あながち間違いでもないのかな、と。これまでの『カーズ』はあまり好きになれなかったのですが(マックイーンもメーターもウザくて)、今回はシンパシーを感じる部分が多く楽しめました。ああいうシンプルなデザインのキャラがドラマを演じる事の無理がある感は1作目同様にあったと思います。もっとテンポアップした方がいいんじゃないかって。でも、情感溢れるシーンはキャラとのバランスに違和感を抱きつつも味わいを感じて。  ピクサーの子供向け枠の限界にぶち当たってる状態はここに極まれり、って感じではありますが。   あと、松岡茉優は蒼井優に匹敵する声優殺しでした。
[映画館(吹替)] 8点(2017-07-25 22:05:35)
6.  怪盗グルーのミニオン大脱走 《ネタバレ》 
 前作でルーシーが登場した事で愛すべきシリーズへと昇華された感があって、今回は見ている間、とても幸せな気分に浸れた、のですが、でも作品的には前作の方が好きだったなぁ、と。   前作には血の繋がりの無い者同士が家族を形作るという大きな流れが貫かれていましたが、今作は最終的には「家族っていいね」ってところに到達するものの、散漫でまとまりに欠けています。  悪党バルタザールとの戦いと反悪党同盟をクビになるグルーとルーシー。突如現れたグルーの双子の兄弟ドルー。母親として認められるために奮闘するルーシー。ユニコーンを探すアグネス。グルーに反抗し家を飛び出し騒動を起こし投獄されるミニオンズ。それぞれが密接に絡み合って1つの映画を高めてゆく、っていう訳にはいかず、バラバラ。  邦題にある「ミニオン大脱走」は本筋に全く絡まないエピソードで、ミニオン達の大活躍が見たければ『ミニオンズ』の続編に期待しましょう、って状態。明らかにキャラを広げ過ぎたようで。それを自覚してでしょう、ネファリオ博士なんか作劇上ジャマだとばかりに退場状態にしてしまいますが、ほったらかしなまま映画が終わってしまって唖然。  ドルーは本当はもっと重要なポジションだった筈でしょうに、立ち位置も性格もハンパ。もっと振り切れたキャラで良かったんじゃないかと思いました。   それでもグルーと三姉妹(孤児院出身なので本当は血の繋がりは無いと思いますが)とルーシーとミニオンズ、その世界の更なる続きが見られる事は幸せですし、オモチャ箱みたいなガチャガチャした感覚は健在。  それに今回は80年代のヒット曲満載で世代的にツボでした。   次が楽しみなシリーズ、ですが、これまで3~4年に1作ペース、次は一体いつになるんでしょうねぇ・・・
[映画館(吹替)] 7点(2017-07-23 18:45:13)(良:1票)
7.  家族はつらいよ2 《ネタバレ》 
 安定のキャスト陣による安心な続編、と思いきや、今回かなりブラックになっています。映画が死の方を向いているんですよね。老いて確実に近づいてくる死に対して向き合う映画。前作にもその匂いはありましたが、今作はストレートに死を描きます。何しろ火葬場に向かう棺桶からの主観、火葬される棺桶の主観という2つの「死者の視点」が描かれているくらいで。あれ、かなりドキッとする画で。   前半、運転がおぼつかなくなってきている周造の描写によって事故による死の影がチラつき、後半になると旧友の死という全く別方向から死が直接的に描かれます。  幾つかのひっかかりどころはあります。脚本上ジャマとばかりに早々に富子を海外に送り出す事で物語から退場させたり、幾つものエピソードが投げっぱなしでなんの回収もせずに終わってしまったり。え?そこで終わり?みたいな状態で。でも、その唐突な終わり方が「さあ、自分なりに色々と考えてみろ」という余韻の残し方のようでもあって。  免許と車の事、富子のベッドの事、丸田の遺骨や遺族の事、憲子の母と祖母の未来の見えない生活の事。解決されないままにプッツリ終わって映画館を放り出されて、映画と繋がる自分の現実と対面する事になる、みたいな。そういうのを実感できる世代の人に向けて作られた映画なのだなぁ、と。  せめて笑って死にたい、少しでも幸せを感じて死にたい、そういう死に方についての映画ゆえ、もちろん希望に溢れたキラキラした映画じゃありませんが、お馴染みのキャストによって見易く、受け入れ易く出来てる、そんな印象を受けました。   ちなみに丸田の死因は具体的には描かれてませんでしたが(心臓が悪いという説明はありましたが)、あれ、銀杏中毒だと思います。いくらなんでもあそこまで銀杏食べたらヤバいっす。マジで。
[映画館(邦画)] 7点(2017-06-04 21:03:13)(良:1票)
8.  ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス 《ネタバレ》 
 前作はめちゃくちゃ楽しめたけれど、今回はなんかフツー。   前作ではどんどんと舞台が移っていったのに今回は舞台の殆どが1つの星に限定されて広がりは無く、前作ではハミ出し者の寄せ集めが最後は大勢の人々と共闘する事で宇宙の危機に立ち向かったのに、今回は宇宙の危機自体は両手の指で足りる程度のキャラのいざこざで語られてしまい(危機に絡まない無関係なキャラは多いものの)、結局は例の作品でお馴染みな宇宙規模の親子喧嘩、最後はカビが生えまくりの定番設定な星の核を破壊する事で事態は解決、そんなモノを笑って皮肉ってみせるとかじゃなくて、マジでやっちゃってる状態。80年代の娯楽映画を見てたら、もうここには新しいモノなんてVFX以外何もありません、みたいな映画。   あとはキャラの面白さを楽しむくらいなわけですが、今回はウェットなドラマが全編をどんよりと覆っていて(前作もそれなりにウェットではありましたけどさ)、キャラの歯切れの悪いこと。ロケットなんてアライグマなカッコしてる必然性がないくらいに普通にドラマを消化してましたからねぇ。  前作のそれぞれハチャメチャなキャラっぷりは今回は冒頭を除くと鳴りを潜めて、みんな受け身。大切なのはファミリー、みたいな。『ワイルドスピード』かいな。守りに回ったら面白くないわけですが。   面白かったのは冒頭のタイトル部分の長回しとか、新キャラのマンティスとか、最近の3Dには珍しく飛び出し方向を強調していて昔の『ジョーズ3』なんかの目が疲れる系3Dっぷりが懐かしかったとか。   映画全体が守りに回った感がして、二作目にしてそれって、ちと早過ぎないかと。実はこれもまた次回『アベンジャーズ』のための予告編映画なのでした、とかだったらイヤな話だなぁ。
[映画館(字幕)] 5点(2017-05-14 17:43:50)(良:2票)
9.  彼らが本気で編むときは、 《ネタバレ》 
 ふんわりとしたタッチの中に偏見や差別、育児放棄といった問題が編み込まれていて、その弱者であるがゆえの脆さが心に痛い映画。   LGBTのカップルと育児放棄された子供の共同生活というと『チョコレートドーナツ』を思い出しますが、この映画では登場人物達は差別や偏見と戦いません。ひたすら耐え忍ぶ、逃避する、やり過ごす・・・当然、勝利する事はありませんし、ゆえに勝利のカタルシスもありません。  途中でトモが台所洗剤で攻撃するシーンに爽快感を覚えたりするものの、それは間違った事として否定されますし、リンコが男性病棟に入れられた事を差別だとして怒るマキオに対しても何の対応もされません。自殺未遂のトランスジェンダーの少年に未来が開ける事もありませんし、最終的に誰かが救われる事もありません。  もっと世界と戦っていいんじゃないか? あまりに被虐的なんじゃないか? とも思うのですが、この中で勝利した事で現実の世界で何かが変わる訳ではありませんからね。カタルシスはそこで完結させちゃうためのものですし。   リンコと母、マキオと姉、その姉、トモと母、少年と母、それぞれの関係を通して、家族だけは理解し、味方になってあげなければならない事が強く示されます。社会や世間がいかに無理解で、牙を剥いてこようとも、家族が理解し、居場所があれば生きてゆける、と。徹底的に父性が排除されている点にどんな意図があるのかはちょっと理解し難く気になりますが。男はマキオや老人ホームの年寄りを見てもただのガキとしての立ち位置しかないような感じ。   残念ながら生田斗真が『予告犯』や『グラスホッパー』や『秘密』の生田斗真その人、リンコというキャラを演じてる人にしか思えなかったのは、私の想像力の欠如が原因かな。でもそういう人の「演技」はそうだよね、っていう感じで、ナマのそういう人の感覚がどうにも薄かった気がするのですよね。   世界が理解を示してくれればいい、けれどそれはあまりに遠い道、ある意味絶望的、ならば理解ある人だけで繋がる世界であっても仕方ない・・・って、それは色々な偏見や差別と同じ地平に繋がっている訳ですね・・・
[映画館(邦画)] 7点(2017-02-28 23:26:11)
10.  GANTZ:O 《ネタバレ》 
・原作なり映画なりでGANTZの設定、システムを知っている。 ・国産CGアニメ特有の、表情の変化に乏しい、声優の演技に頼ったマネキン人形風キャラを、そういうもんだと割り切ってる。   この2つをクリアしていればかなり楽しめる作品だと思います。   タイトな上映時間にGANTZの世界が凝縮されています。時間が短いが故の難点もありますが。バトルが映画本体では1度だけ。その1度の戦いの中で様々な要素を描こうとしていますから、各キャラの成長や心の変化が唐突だったり、強さはセリフで語られるばかりで実力を発揮できないまま終わってしまうキャラだらけだったり、重要なポジションのように見えながらそんなには存在価値がないままなハンパなキャラがいたり。  ですが、無駄無く矢継早にアクションを重ねてゆくので、あまり細かい事に拘っているヒマもありません。   迫り来るバケモノに対して、自分か、誰かが落とした武器を拾おうと手を伸ばす、駆け出す、その危機一髪の瞬間をスローモーションで描く、ってパターンが多過ぎて、もう少し他にサスペンスを生むシチュエーションを考えつけないのかいな、とは思います。  武器のバリエーションが豊富なのはいいとして、明らかに『パシフィック・リム』なアレは明らかに浮きまくりで別作品になってるじゃん、みたいなのもあります。  突然の超展開でシーンやエピソードがちゃんと繋がってなかったり、まるで説明不足だったりもします。なんで東京チームは大阪に飛ばされて共闘って事になったのかなぁ?  でも、そういう点をツッコミながら見るような映画って感じです。   読めまくりのラストの展開も含めて、フルCGになってもあんまり変わらない国産アニメの様式美みたいなのを生暖かく見守って楽しむのが吉、ってところで。二人の女性キャラの気合い入りまくりなモデリングだけでも十分に楽しめますしね~。
[映画館(邦画)] 6点(2016-10-14 23:14:04)
11.  家族はつらいよ 《ネタバレ》 
 どうも山田洋次監督の作品ってあまり得意ではなく、これもまた昭和の古びた笑いを見せられるんだろうなぁ、って思っていましたが、考えてみれば私も昭和の人間でしたね。   橋爪功が笑える爺を好演して、とてもいいです。ロクでもない爺さんなんですが憎めない。この爺さんをめぐる人々のドタバタ喜劇、いや昭和の笑いだって悪くないよ、と。   『東京家族』とキャスト丸カブリってどうなの?って思いましたが、対を成すような作品でその違いを楽しむ作りになっていました。   とは言えあちこちに散りばめられた自作パロディや(本広克行作品か?っていう)、お年寄りに媚びてますってのが丸出しのネタ(正蔵が三平の「どうもすいません」をやってみせる、っていうね)なんか、それはどうなのよ?って。そもそも橋爪功と吉行和子の夫婦っていうのは元々和泉聖治作品の『お日柄もよくご愁傷さま』『大安に仏滅!?』っていうのがありますし、『おとうと』『東京家族』『母と暮せば』と最近の山田洋次作品はオマージュというか再生産というか、新しいものを立ち上げようって気は感じられないよねぇ、って思ってしまうのも正直なところで。  『東京家族』とこれと、妻夫木聡と蒼井優の二人に次代に繋がる希望を託している感じがありますが、ならばいっそ二人をメインに据えた作品を作ってもいいんじゃないかなぁ。
[映画館(邦画)] 7点(2016-04-08 20:57:51)
12.  ガールズ&パンツァー 劇場版 《ネタバレ》 
【一回目】「何コレ? ちっとも話判んないけど、そんな事どうでもいいくらい面白いわ。ただ戦車がどつきあうだけのアニメにこんなにいっぱい見せ場のバリエーションがあるなんて。つーかなんてエキサイティング!」 →TVシリーズ版ブルーレイ購入、全話イッキ見。サントラDL買い。  【二回目・立川極爆】「キャラは判ったけど世界が何故そんななのかはテレビシリーズ見ても判んない、やっぱりそんな事どうでもいいのね。っていうかこれって戦車が一人格で、中のコ達はその人格を構成する要素みたいな、つまり『インサイド・ヘッド』みたいな? 監督、『クレしん』同様、映画好き丸出し。つーか音響凄い」 →シリーズ4周、アンツィオ戦VODで3回、サントラハイレゾ版買い直しヘヴィローテション。  【三回目】「声優がみんな似たような声質と演技でキャラ50人くらいを7~8人で分担してるように感じるし、大洗ですら、うさぎさんチーム、アヒルさんチーム、レオポンチーム、カモさんチームはメンバーの個性分けがあんまりできてないよね。そこら辺は国産萌えアニメの欠点そのまま。だからこそ戦車一台一人格なんだろうけど。でもそれまでライバルだったコ達が大洗の制服を身に付けて参戦っていうのが燃えるし泣けるシチュエーションだわ。つーか泣くわ」 →シリーズ6周、アンツィオ戦6回、TV版サントラハイレゾ版DL買い。  【四回目】「秋山殿~、おケイさん~、チョビ子~。最初はウザかった知波単学園すらも愛おしい、つーかもはや戦車の映像だけで愛おしい」 →シリーズ7周、アンツィオ戦8回、PSVita『戦車道極めます!』限定版購入。  明日は五回目予約済み。ガルパンはいいぞ。    【十三~十六回目・4DX】4DX史上最もエフェクト駆使しまくってるんじゃ? 後半の大学選抜戦なんてほぼ揺れっぱなしでハードが壊れないか心配になるくらい。臨場感ハンパないですが、感心したのは一方で細やかな設定が成されいる事。メインタイトル部分での大洗の各車両の震動が全部違って、それぞれの「乗り心地」が体感できるって、感動ものです。
[映画館(邦画)] 9点(2015-12-26 14:53:49)(良:4票)
13.  ガールズ・ステップ 《ネタバレ》 
 毎度のよくあるみんなで頑張ってひとつの事を成し遂げました系青春映画。ベタで固められた、予想通りの展開の世界。   中盤にマイナスのベクトルを与える時間が長過ぎ、そしてそれを打開するためのきっかけとなるエピソードが重過ぎな感じはします。もうあと10分短くして映画全体の重量を軽減した方が良かったのではないかとは思います。割合的にダンスのウエイトが軽くなってしまっていますし。  チアリーダー達の悪役的ポジションだとか、塚本高史の挫折したダンサーだとか、形骸化されたワンパターンっぷりはもう少しどうにかならなかったのか、とも思います。   だけどメイン5人がキラキラと魅力的に輝いていて、いつまでも見ていたいと思う、それに勝るものは無いのです。ほんの短いひとときを歓び楽しみ苦悩して生きる5つの個性。等身大の葛藤を経た上で晴れ舞台に立つ5人の美しさ、それをちゃんと捉えただけでもこの映画は尊いのです。   『ソロモンの偽証』ではホラー扱いされていた感のある石井杏奈が、『魔女の宅急便』で魔法使い少女だった小芝風花が、ここでは普通の少女としての生を見せる、その普通である事の大切さが彼女達の姿を通して伝わってきます。   同じ鎌倉を舞台にした『海街diary』にはそのロケーションの描き方に違和感を抱いたのですが、この作品ではその違和感があまりありませんでした。意識して観光地的なる鎌倉を排除した『海街~』に対して、こちらはベタな観光地風景がバンバン登場するものの、そこを生活の場として生きている、そこに調和している少女達の姿があったから違和感が無かったのかな、って気がします。考えてみれば自分の日々の生活からベタだからと言って渋谷のスクランブル交差点や六本木ヒルズを意識的に避けたらそれはそれで不自然ですしねぇ。   今は邦画が作られ過ぎな気がして、そんな中では埋もれてしまう作品も多々ありますが、これは埋もれてしまうには惜しい作品。同ジャンルの名作・傑作もいっぱいある中、これも善き日本の青春映画の姿を示していました。
[映画館(邦画)] 9点(2015-09-22 21:45:42)
14.  カリフォルニア・ダウン 《ネタバレ》 
 娯楽エンターテインメントってヤツです。だからここから何か教訓を得ようとか、メッセージ性が云々とか、そういうのを求めても無駄っていう。不謹慎とかなんとかっていうのも的外れ。  昔ながらのパニック映画。映像的には最先端ですが、お話的にはクラシカルな要素の寄せ集め。科学者や専門家の健闘虚しく大災害が起こって、そこから生き延びようとする人々の苦難が描かれる、それだけ。見終わって何かが残るってほどのモノでもなく。   脚本的にはツッコミどころ満載。ドウェインがレスキュー隊の隊長なのに大地震後は行動が自分の家族を助ける事だけに終始するとか、それどころか津波後のボート大暴走は「それ確実に何人か轢いてるだろ!」とか。あの社長はそこまで悪いヤツか? 知り合った兄弟だって最後には水没する彼女を見捨てたじゃん、とか。留守電に入れたメッセージが結局なんの意味もなかったですし。大地震起きても地下鉄運行してるし。   ロスから娘のいるサンフランシスコに向かうロードムービー的展開に「このパターン、アメリカの安い製作費のチャチなビデオスルーのパニック映画によくある」ってイヤな予感。それでもB級に堕ちずになんとか留まっていたのはやはり映像テクノロジーのお陰ですか。   74年の『大地震』のリメイク的な面があって、崩れるビルや高速道路、落下する人、落下する瓦礫、ダム決壊、降り注ぐガラスなど、映像的に共通する要素が沢山。それが今のテクノロジーで圧倒的な迫力をもって描かれます。映画の中の出来事なればこその、破壊の快感に満ちていて。  でも大地震映画ならセンサラウンドが欲しかったところ。今の映画館の通常の音響設備ではセンサラウンドは再現不可能で(サブウーファー何基入れたってデジタルのブルンブルンした音じゃねぇ)、その点ではむしろ退化。   それにしても『モンスターVSエイリアン』『ゴジラ』コレと最近ゴールデンゲートブリッジはよく落ちます。『猿の惑星:新世紀』『ベイマックス』(アレは鳥居型ですが)『インサイド・ヘッド』にも出てきますし『アントマン』にも出てくるっぽいですし、金門橋、流行り?
[映画館(字幕)] 6点(2015-09-16 22:59:46)
15.  駆込み女と駆出し男 《ネタバレ》 
 役者は皆とても良かったと思います。題材もいいですし。だけど脚本、演出、カメラ、編集には疑問湧きまくり。   冒頭で市川崑監督リスペクトを高らかに宣言しているのですが、ならば中途半端はやめようよ、と。「なんなのよ、そのちょっとだけ市川崑風味な原田眞人作品は」みたいな。カメラ動かし過ぎだし、微妙な高さからの俯瞰が多過ぎるし、編集のリズムは乱れまくりだし。ライティングだってもっと工夫して欲しいし、女優の顔はもっともっと印象的に撮って欲しいし。市川作品のモダンなスタイルに及ばない野暮がいっぱい。   複数のエピソードが同時進行してゆきますが、それが多層的に絡んで大きなドラマを織り成している感じではないんですよね。もうブツ切れで並んでる状態で、いちいち話がいきなり飛ぶ飛ぶ。だからせっかくの感動的なエピソードも突如山場が訪れたり、ブッツリ切れて余韻無しで終わったり。戸田恵梨香、満島ひかり、内山理名、陽月華といった女優陣のせっかくの印象的な好演がもったいなくて。   せっかくいい素材を贅沢に集めたのに、それを生かしきるには色々と足らない感じの映画でした。
[映画館(邦画)] 5点(2015-05-24 22:40:53)
16.  怪盗グルーのミニオン危機一発 《ネタバレ》 
 前作に比べてヌルいです。前作もヌルかったかもしれませんが、今作はそれに輪をかけてヌルいです。何しろ前作で「幸せになりました」ってところから、今回は「もっと幸せになります」ってだけの映画ですから。   グルーはすっかり丸く優しいパパに、3人の女の子達はそれぞれに暮らしを謳歌し、ミニオン達は相変わらず楽しそうで、この幸せそうな世界に、あと足らないものは、と言ったら?   という事で、この映画は新登場の一人の女性、エージェントのルーシーの視点で描かれてゆく感じです。この世界に仲間入りをしてゆく、この世界に受け入れて貰える女性の話というのが本体のように思えるのですよね。  そのために陰謀だの戦いだのはほんのエッセンス程度。前作では一応核として存在した敵役との攻防も今回は隅に追いやられ、物語は主にグルーとルーシーがその関係を築いてゆく事に費やされます。  グルーを一方的に倒し誘拐するという冷徹な登場の仕方をするルーシーは、仕事仲間となり、協力して信頼関係を築き、私生活に触れ、恋をして、と。そのルーシーの変化は単なるアニメキャラを越えて、一人の人間の移ろいゆく心を見る感じで魅力的です。  特にグルーのお見合いデートに遭遇したルーシーの、彼の名誉を守るための可笑しくも健気でカッコいい一連の行動には「なんていいオンナなんでしょ」って。   血の繋がりの無い者同士が集まって家族を形成してゆく『グルー』の世界が、今回、嫁として、母として迎えられる存在のための映画となったのは必然的な流れだったのかもしれません。見事な愛すべき世界への補完でした。
[映画館(吹替)] 8点(2014-12-16 23:05:45)(良:1票)
17.  神さまの言うとおり 《ネタバレ》 
 『悪の教典』みたいに殺されてゆく者にちっともキャラクターが与えられていない、という訳ではなくて、多くの登場人物にそれなりの特徴なり感情表現なりが存在しているのでまだ興味を持って見る事ができました。   でも、不条理な出来事に対して中途半端に理屈・理由付けをしている、論理性を求めているような気がして、それが必要なのかどうかという点で疑問。  非現実的な事件が起きている、その外側の世界の描写がどうしても冷めてしまうんですよね。巨大なキューブが空に覆いかぶさるとか、中継されているとか、「神の子」として崇められてゆくとか、ひきこもりを動かすとか、しまいには神様の登場だとか、それ、要りますか?  それらの要素が酷く映画を安っぽいものにしてしまっている気がします。そういう外側の視点を入れるのならば、もっと綿密に構成されているべきですし、中で起きている事に対する説得力のある考察が必要だと思います。  それが単なるエッセンス程度の半端なものであるがゆえに、中と外との不条理の対比が明確化されず、全体が絵空事と化してテーマがボヤけてしまう、という感じ。   主演の福士蒼汰くんが弱いかな。『フォーゼ』でのコミカルな演技は面白かったのですが、映画では演技がいつも一緒みたいな感じで。つーか、キャラが『僕が処刑される未来』と同じじゃない?みたいな。どちらも「生」を見失ってるし。  ヒロインの山崎紘菜ちゃんは「このコ大丈夫ですかいな?」って思っちゃうTOHOシネマズの予告前のアレに比べるとちゃんと生きてたので良かったです。アレはスタイリストさんとかメイクさんとか照明に問題があるのかな・・・   半端な描写で余計な事を考えてしまう映画で(世界中で起こった事だとすると、他の国でもだるまさんや招き猫だったのか否か、とか)、冒頭からいきなり事件が起きて否応なく巻き込まれてゆく簡潔な展開に比べ、映画が進むにつれてどんどん雑音が多くなってしまう感じが残念でした。不条理なままじゃダメ?
[映画館(邦画)] 5点(2014-11-21 22:53:01)
18.  ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 《ネタバレ》 
 予告編の印象から、もっとバカっぽい映画かと思ってたらとても熱く燃える映画でした。   まるで統一感のない魑魅魍魎状態のキャラ達が支離滅裂、ドタバタなところから銀河を守るって共通の目的でぐわーっとまとまってゆく、その熱さ。  アライグマとか木人間とか、ネタにしか思えないじゃないですか。だけどこれがちゃんと熱いの、感動させるの。  主人公にしても、冒頭の母に対する想いがちゃんとクライマックスからラストで回収されて、カセットテープに収録された全編を彩る懐メロの意味にも感動して。   VFXを駆使した燃えるシチュエーションの戦闘シーンもたっぷり、飽きさせるようなヘタな脇道もなく、混ざり物だらけのように見えながらとても純度の高い娯楽映画なのでした。  こういう、作ってる人間が「こういうのがやりたいんだ!」っていうのがハッキリ見えてくる映画はいいなあ。   【追記】4DX版見てきました。やっぱりドッグファイトとの馴染みは最高です。画面に合わせて前後左右にガンガン揺さぶられる状態は臨場感抜群で突入シーンでの盛り上がりがこれ以上無いってくらいな高揚感。一方で格闘シーンなんかは微妙かも。三人称視点のもの1つ1つに衝撃を与えてる状態ってワリと不自然。水や風はそこそこ、光や煙の演出は蛇足っぽく、シャボン玉は上手く画面に合って。でも、何と言っても「泣かせる揺らし」があるのがこの映画での4DXの最大の特徴かも。『スター・ツアーズ』にだって「泣かせる揺らし」ありませんものね。
[映画館(吹替)] 10点(2014-09-14 19:46:45)(良:1票)
19.  渇き。(2014) 《ネタバレ》 
 今回もまた中島監督らしい映像の洪水っぷりなんですけど、でもこれまでと違ってちっとも面白くありません。   暴力とか悪とか、そこに魅力を感じないの。「そういうのが嫌いです!」とかっていうんでなくて、この映画のソレが類型的で表面的な感じ。暴力団絡みとか警察も含めた陰謀とか大物とかいう話になると、ああ、そっちね、って。そのウンザリする感じを決して越えてはゆきません。   加奈子って魅力的じゃなきゃダメなワケですよね。それで初めて成立する話で。ところが、そんなに魅力的なキャラに見えないんです。周囲がみんな魅了されちゃう、振り回されちゃう、そして破滅してゆく、その流れに説得力を与えるのは、少なくともあの異様にダサいダンスシーンではないハズで。  「彼女は幻影のような存在でもある」という事か、揺れ動くフレームの中、光の中、逆光の中に存在してたりする画が多いのですが、その曖昧さは決して魅力を醸すのに効果を生んではいないと思います。   シネスコ画面いっぱいに顔のアップの連続だったり情報で埋め尽くしたり、だけどなんかそれが空疎。中身が無いのにゴテゴテ飾ってるようで、それはこの映画のテーマにも繋がっているようにも思えますが、でも、その平板化した状態はシネスコの使い方が下手なんじゃない?って。   原作からしてつまんないのかもしれませんが(少なくともこの物語ではねぇ)、にしても独自の魅力でガーン!ってクるもののない、既成のイメージの寄せ集めコラージュに終始した感じで、これまでの中島作品が好きだった私としては今回、失望が大きかったです。
[映画館(邦画)] 4点(2014-06-29 00:26:48)(良:3票)
20.  鑑定士と顔のない依頼人 《ネタバレ》 
 「愛すらも偽れるのか?」とクドく語られておりましたし、家具を動かした云々だの、あのパーツがポツリポツリと出てくるあたりの不自然さからして、主人公が騙されているのは明白で、だけど、ああいう本当に愛の無い騙し方でしかなかった、っていうのは意外でした。もっと逆の、温かい方向で騙されてるのかな、とばかり思ってました。   となると「二次元コンプレックスのおたくがリアルに興味持ったらリアルは容赦なくおたくから何もかも奪っちゃったのでした、リアルは甘くないのです」みたいな教訓めいた切ない話しか残らないわけで。   美しい肖像画一点一点の視点、決して鑑賞者に偽る事なくこちらに向けられた視線、それに魅せられてゆく男の姿、それを捉えるウットリするような映像の美しさ、二次元を愛し(絵画やアニメやマンガだけでなくて、もちろん映画ってメディアも含む)、主人公に気持ちをシンクロさせてゆく観客に対して冷水を浴びせる意地悪さ。   意味ありげなカフェの窓辺の女性もポイントになるのは単に記憶力のみという激しい肩透かしっぷり。   上手くノせられたと舌を巻くべきなのかもしれないけれど、ここはやっぱり性格の悪い映画だなぁ、と思いたいです。   ラストで回想の中の回想という創作上のタブーを犯してまで描いたのは「それでも愛の思い出を抱きしめて余韻を生きる主人公の姿」ではなかったような気がするんですよね。  警察署の前で逡巡した上で被害届を出さず、その人が現れるのを待ち続けた主人公ではありますが、時系列の最後は施設で廃人のようになって無表情でリハビリに励む姿なわけですから。いっその事、死なせてあげた方がまだ幸せなんじゃない?って。  私にはあのラストもひたすら残酷に思えたのでした。こんなんじゃ、ますます二次元に逃げたくなっちゃいますよ。
[映画館(字幕)] 6点(2014-02-26 21:19:57)(良:1票)
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