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プロフィール
コメント数 210
性別 男性
ホームページ http://mixi.jp/show_friend.pl?id=8512182
年齢 49歳
自己紹介 映画は娯楽である。笑ったり泣いたり学んだり、空想という鑑賞時間を過ごす「芸術作品」である。実際に映画づくりを体験していない人間に、映画批評が出来るとは思えない。プロの批評家でもなく映画を作った経験も無いのだから、作品のシナリオや背景など、基本設定に理屈っぽくケチをつけるようなナンセンスな行為はなるべく止めにしたい。映画好きのハシクレとして、作家が作った作品を、素直に楽しみ、感動できる姿勢を何よりも大事にしたいと思う。

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1.  イントゥ・ザ・ワイルド 《ネタバレ》 
昔、「生きている意味が分からない」とベトナムに出征し、片足と手の指を失ったアメリカの若者が居たそうだが。彼にとっての幸福とは、純粋な「生きているという実感」だったのではないかと思う。……いかに裕福な家庭や才能に恵まれていても、嘘まみれの社会や偽善的な家族の中では生きていることを実感できない。彼は何にも邪魔されることなく、純粋に「幸せ=生きている実感」を感じたかったんじゃないか。だから、自分ただ一人の命を純粋に向き合える環境、つまり「アラスカの大自然の中」を目指したんだと思う。……幸せも、生きている実感も、結局、自分一人だけでは実感できない。最後にそう悟れた彼の一生は、皮肉だけれど、幸せで悔いはなかったのではないか。木版に刻まれた、彼の最後のメッセージのように。 「世界中のみんなが、幸せでありますように。僕の一生は、幸せだった」
[映画館(字幕)] 8点(2008-10-19 23:39:16)
2.  アマデウス ディレクターズカット 《ネタバレ》 
この映画の音楽は素晴らしい。オープニングの凄惨な絵の中で軽やかに始まる魔笛の序章、シーンごとの巧みな活かし方だけでなく、演奏そのものの質も個人的には大好きで、この映画以上に美しい「夜の女王」やフィガロの序曲を聴いたことがない。この映画の映像は素晴らしい。ひとつひとつの場面のまるで絵画のような美しさ、前半部分の華やかさとはまるで対照的な後半部分の寒々しい陰惨さが、没落していく孤独な天才のみじめな寂しさを際立たせる。……誰よりも一番惨めな思いだったのはサリエリ本人だっただろう。この彼の心情の描き方が実に見事。天才であるが故に世の中に受け入れられず、孤独であらねばならないアマデウスと、そんな彼に嫉妬する凡才。おとしめようとするたびに思い知らされる自分の無力さと、そんな彼に憧れていることを認めたくない彼の痛みが嫌というほど伝わってくる。……神の嘲笑に打ちのめされ、卑劣な手を使ってでも神の申し子を殺めようとした自分の罪を自覚している以上、彼は基本的に良心の人だっただろう。「汝らの罪を許そう」と皮肉げに笑う彼の心を理解できる人が居ただろうか。サリエリほどのストイックな努力もしていないけれど、神父と同じ「ただの凡才の一人」として、そんな彼にどうしても共感してしまうのだ。
[地上波(字幕)] 9点(2008-02-17 22:39:13)
3.  フォレスト・ガンプ/一期一会
この映画が公開された当初、本が出版されて「ガンピズム」なる言葉が流行ったことがある。それがどういう意味だったかは知らないけれど、私にとっての「ガンピズム」、フォレスト・ガンプ主義の意味とは、ひとつのテーマしか考えられない。奇しくもこれと同じ時期に公開され、この映画の影に隠れてアカデミー受賞を逃した映画「ショーシャンクの空に」とこの「フォレスト・ガンプ」。この二つの映画に同じ強烈なテーマを強く通じるものを感じるのは私だけだろうか。……そのテーマとは「人間の本当の強さ」である。私にとっての「ガンピズム」とは、「強さ」の理想的なあり方に他ならないのだ。……人生に背を向けず、全てを受け入れて宿命に愚痴をこぼさずヒステリックに嘆くこともなく、自分の信念に忠実に強い意志を持続し、出会う人々から目の前の困難まで、全ての人生の出来事を「一期一会」として熱意を持って淡々と行動を重ね、ひとつ、またひとつ、人生を歩んで行く。なすがままに、あるがままに、ビートルズの「Let it be」という歌の歌詞も、このふたつの映画に描かれている「人間の本当の強さ」というものを表現しているように思えてならない。……何回観てもジェイミーだけは単に身勝手な女としか思えないのだけれど、それすらも一途に受け入れて人生を歩むガンプ。彼にとっては、幸福も不幸も、出会いも別れも、楽も苦難も、人生に起こるあらゆる物事が、大切に向かい合うべき「一期一会=人生で一度限りの大切な出会い」であり、それ以上でもそれ以下でもない。全ての人生を終える時、彼は胸を張って言えることだろう、「僕の人生は幸せだった」と。……ショーシャンク刑務所にブチ込まれ不幸の中を歩むアンディ、全ての人に愛され幸せの中を歩むガンプ。自分もこんなに強く生きることができたらいいのに!、この映画を観たり語ったりする時、いつもそう思わずには居られないのだ。
[ビデオ(字幕)] 8点(2008-01-06 03:42:11)(良:2票)
4.  ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記
特別に印象に残っている部分は無いが、前作から良い意味で進歩していて、スケールも大きくなっており十分に楽しめた娯楽作。ハリウッドが第2のインディ・ジョーンズを目指しているのも分かる。ハリソン・フォードとショーン・コネリーの親子には遠く及ばないが、世界中を飛び回るめまぐるしい展開、所々にユーモアも盛り込まれていて観ていて飽きることがない。…何百年も経っている遺跡の装置が、朽果てもせずにキチンと稼動しているのが笑えるし、大統領にさもあっさりと接触できてしまう主人公にも驚かされるが、そんな都合の良い展開なんて万事OK。こんな痛快な物語の最後はハッピーエンドでなければならず、父母の関係も含めて全てまるくおさまって、観ていて痛快だった。
[映画館(字幕)] 6点(2007-12-31 13:23:33)
5.  ベオウルフ/呪われし勇者 《ネタバレ》 
予備知識不足で、これがほぼフルCGアニメーションだとは思わなかった。ちゃんと調べて、せめて3D映像で鑑賞するべきだった。大スペクタクルを想像して行ったものの、始まりから「シュレック」並みのアニメーション、これでハリウッド俳優をわざわざ使う意味が分からない。物語自体はとても魅力的だと思うのだが、ほとんどCGにした理由は、予算が無いのか、新しい映像に挑戦したかったのか。…「ファイナルファンタジー」から数年、だいぶ映像にも進歩が出てきたが、相変わらずCG独特の違和感が拭えない。動きや皮膚の質感はリアルになっていくが、重量感の無さはテレビゲーム並みで、登場人物や馬ですら、「地面を踏みしめている」質量の感覚が無い。後ろめたさを背負って王となった主人公の哀しさ、これも生身の人間であれば、もっと美しく演じ得ただろう。どんなに映像技術が進んでも、超えられない壁があるのかもしれないし、ぜひそうあって欲しいと思う。
[映画館(字幕)] 3点(2007-12-31 13:08:14)
6.  アイ・アム・レジェンド 《ネタバレ》 
吸血鬼が襲ってくる時の恐怖はドキドキさせられて、心底心臓に悪い映画だったが、宣伝を見て期待してただけに若干拍子抜けした。「地球最後の男」なのだから、とてつもない孤独と必死に戦う様を期待していたのだが、元・人間の吸血鬼や生存者が居たのではちっとも「最後」じゃないじゃないか。…吸血鬼の血清を作る工程も、さらわれた女性を救出しに来た男とのくだりも少なかったし(水溜りにトラップを仕掛けるくらいだから、立派な知能もあるってことじゃないか)もう少し掘り下げて欲しかった部分が大変多くオチもシンプルで、もっともっと面白くなりそうだったのにちょっと残念だ。…「Hello、と俺にも言ってくれよ」連れの犬が死んで、一人でマネキンには話しかけているくだりは悲しかった。「孤独は思索の最高の友である」などという尤もらしい言葉があるが、いくらニヒルな人間でも、一人で過ごすのが好きな人間でも、その他大勢の人間が居るからこそカッコ良く孤独にもなり得るのであって、世界にたった一人しか居なかったら「孤独」という概念すら存在しなくなる。自分の存在意義を確認できない、その苦しさは耐えられないものがあることだろう。
[映画館(字幕)] 6点(2007-12-31 12:55:02)
7.  スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ
観ているうちに感じた、この「お遊びにムリヤリ付き合わされている感じ」、どこかで感じたことのある感覚だと思っていたら、あの「キル・ビル」を観ていた時を思い出した。さすがタランティーノが出演を承諾しているだけのことはある。……「キル・ビル」ほどの血は見られなかったけど、同じように随所に見られる映像に品が無さ過ぎる。「用心棒」のように配慮の行き届いたリアルな汚れではなく、また300やシン・シティのように残虐さや汚さをも映像として見せようとする意図も無い。思いっきり突飛に遊んだつもりで作った結果、真面目なんだかフザケてんだか分からないような中途半端な仕上がりになっているように感じた。キル・ビル同様、それを突飛さを受け入れることの出来る人、出来ない人によって、好き嫌いの随分別れる作品だと思う。……荒野のさすらいガンマンにしては、主演の伊藤英明はキレイすぎたか。桃井かおりの年齢を感じさせないアッと驚くガンアクションは本当にカッコ良かった。
[映画館(邦画)] 5点(2007-09-30 22:55:42)
8.  べクシル 2077 日本鎖国
いつか観た「ファイナルファンタジー」や「アップルシード」と比較すると、CGの不自然さは飛躍的に改善している。まだ映像に「重量感」は不足しているが、観る側が引いてしまうようなオメメパッチリの秋葉系キャラの立体版も見られなかったし、動きや表情も良く作られていた。まだまだ2次元のアニメには遠く及ぶおよばないが、これから先のアニメーション界には期待が持てる作品だろう。……「日本鎖国」というタイトルに、欧米を相手に躍進する超近代軍事国家日本を期待したが、フタを空けてみればその鎖国の実態はあまりに拍子ヌケで少々がっかりした。
[映画館(邦画)] 5点(2007-09-30 22:44:23)
9.  トランスフォーマー
巨大ロボットの、なにがどうだか分からない変形を楽しみに行ったので、その面では大満足、ストーリーは陳腐で当たり前!変身前の車よりも、どう考えたって全体の質量は増えてるし、本当にあの変形を作ったCG制作スタッフには感服する。……筋書きはシンプルこの上なく、週一であっている日本の子供向けヒーローものの方がよほど凝っているんじゃないかと思ってしまうけど、吹き替え版でこれを観た子供たちはさぞ大喜びに違いない。タマにはアタマをカラッポにして楽しめるこんな映画もいいかな。
[映画館(字幕)] 5点(2007-09-30 22:31:36)
10.  レミーのおいしいレストラン 《ネタバレ》 
物語序盤の、レミーがリングイニ操縦を訓練するシーン。ボトルから手酌で注がれたワインがグラスを外れ、背景にピンボケで見えている白いテーブルクロスの上に落ちて跳ねる。その質感、水滴が跳ねながら、半ば布に染み込んでいく様子。その一瞬のリアルなことに思わず見とれた。‥‥‥キャラクターはユーモラスにデフォルメされ、完全に漫画キャラだが、背景のリアルさや料理のシズルはますます磨きがかかっている。さすがはピクサー、CGアニメ世界一を自負するだけのことはある。動きもCGならではの不自然さがなく重量感もあり、観ていて違和感を全く感じなかった。‥‥‥ヒロインがリングイニを好きになる行程が無く、筋書きはツッコミどころ満載だが、節々にボケとツッコミが効いていて大変面白い。散弾銃を打ちまくられシャンデリアと一緒に落ちたネズミたちとそれを凝視するオバアさん、保健所の調査員がキッチン一杯のネズミ軍団を見て立ちすくむ保健所の調査員。このあたりの「一瞬呆気にとられて固まる」様子がスピーディーでリズミカルに表現されていてユーモラスだ。‥‥‥またレミーが「味を感じる」様子や、イジワル評論家が田舎料理に衝撃を受けるシーンなど、CGの技術だけに頼るのではなく心象表現も大変工夫されている。主人公は結局ネズミの力を借っ放しで自立できないダメコックのままだけど、とても見応えのある一作だった。
[映画館(吹替)] 7点(2007-08-08 01:17:49)(良:1票)
11.  鉄コン筋クリート
AKIRAを観た時以来のインパクトがあった。スピーディーなテンポ、確かなデッサンに裏打ちされた独特の構図、その空間を飛び回る子供たち。クロ・シロの心象表現も素晴らしく、どこか哲学的な台詞も変にクサくなくシラケることもない。原作は未読だが、おそらく極めて忠実に世界観を再現しているのではないだろうか。‥‥‥シロやネズミが話す言葉の数々は、現代社会にも存在する者達そのままの代弁だ。ひとつひとつの言葉が格言のように重みがあって心に染みる。久しぶりに見応えのあるアニメーションだった。
[DVD(邦画)] 8点(2007-07-24 00:59:14)
12.  ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 《ネタバレ》 
第一作目以来、あえて原作は読まずにずっと鑑賞しているが、初作以来の面白さだったと思う。前作までの話をさすがに忘れかけていたが、それでもテンポ良く進む筋書きは大変に分かりやく、物語の流れを見失うことなく最後まで楽しむ事ができた。‥‥‥ゲイリー・オールドマンには、やはり「レオン」や「エアフォース・ワン」のような冷徹な悪役が似合う。悪役をやらせたら右に出る者の居ない彼が善玉とは、どうしても違和感が感じられたが、特筆すべきはアンブリッジ先生演じるイメルダ・スタウントンの演技力。‥‥‥「ヴェラ・ドレイク」では良心的で可哀相な老婆を心細く演じていたが、今回は図々しく豪快でピンクで、どこまでも嫌みなオバハンであった。最初は前に観た作品のイメージが残っていたのだが、物語が進むに連れて本気で憎たらしくなってきてしまう。今回の物語の中に大きなエッセンスを加えるこの役柄に、彼女のキャスティングはこの上なく正解に思えた。(ヴォデルモートの存在を知る前に呆気なく連れ去られちゃったけど)
[映画館(字幕)] 7点(2007-07-24 00:49:55)
13.  舞妓Haaaan!!!
阿部サダヲのハイテンションには、正直最初は少し引いたが、テンポ良く進むストーリーにそれも忘れ、「ありえない展開」とボケと突っ込みで一気に突っ走らされた感じがした。舞妓さんの一見さんお断りのシステムなどは、恥かしながら私も露知らず、主人公の公彦と同じ視点で門前払いを食らった心境。やっぱり一度は雅な京都の町で、あんな遊びをやってみたいものだ(遊びの内容自体は、全然面白そうにないけど)。存在自体がパロディの阿部サダヲと一緒に、堤真一の演技がとても良かった。
[映画館(邦画)] 6点(2007-07-14 17:33:54)
14.  ダイ・ハード4.0 《ネタバレ》 
「ダイ・ハード」という言葉の意味は、確か「死にそうなのになかなか死なない」というような意味だったと記憶している。第一作目、ナカトミビルで血みどろになりながら戦った冴えない刑事は、本作ではターミネーターばりの強さとなり、死にそうな危機感など感じられない。ジェット機に飛び乗っても、ヘリを撃墜しても、天下無敵の我らがヒーロー・マクラーレン警部なのである。‥‥‥もはや「なかなか死なない」を超越した存在にはなってしまっているものの、「誰も代わりが居ないから」と愚痴をこぼしながらも戦う姿は昔の主人公の姿そのまま。3作目でややこしくトーンの落ちかけたシリーズを、一気呵成に最初のあるべき姿へ戻してくれたようで見ていて嬉しい。最初から最後まで息もつかせぬアクションの連続、十分に映画館で観る価値のあった映画だった。
[映画館(字幕)] 7点(2007-07-14 17:23:12)
15.  スパイダーマン3 《ネタバレ》 
シリーズ3作目ともなると知尻すぼみになっていくのは毎度の事なので、さほど期待せずに観に行ったが十分に楽しめた。決して皮肉ではなく、脱獄囚がいきなり陽子分解して砂人間になったり、予告編で見て何かと思っていた黒い物体が実は宇宙からの未知生物だったり、もはやパロディ映画かとも思われる何でもありの展開はまさにアメコミ映画の真骨頂、見る側の期待に十二分に応えている。‥‥‥オズボーンの操る、あのミサイル機能付きスカイスケボー、欲しい!自分の主人が顔面半分火傷になるまで親友との争いを放っといて、「私も実は一部始終を見ていましたが」なんて、今頃そんな打ち明け話はないだろう、執事の爺さん!記憶喪失だったことは忘れて、一気に仲を取り戻すあの二人の脳天気。すらすらと進む筋書きは安心して観ることができて良い。‥‥‥でも、どうせ次回作が作られるのなら、スパイダーマン&ゴブリン&砂男が3人揃って活躍するシーンが観たかったな。オズボーン生き返らせてくれないかな。全身サイボーグとかで。
[映画館(字幕)] 5点(2007-06-17 23:11:07)
16.  アポカリプト 《ネタバレ》 
ラストシーンのピサロの艦隊に、栄華を誇ったマヤ文明の衰退を匂わせるあたり、人類文明の栄枯盛衰を描いているのかと思わせる。成熟しきった文明の貧富の差、汚れきった街など、どこか現代の人類文明に通じているところがあるように思えて恐ろしい。‥‥‥映画全編に溢れるエネルギッシュな野性味と躍動感。生きようとする意思の中で誕生する新しい生命。手に汗を握るサバイバル・ランニング。人間の生命力の描き方は、どのシーンを観ても見応えがあった。‥‥‥しかし一方で、どうもメル・ギブソン監督の作品は自制心に欠けている気がする。「パッション」の時もそうだったが、残忍な場面を必要以上に露出しすぎる。生け贄の首切り、人間狩り、首を斬られた人間の死体の山、たとえ史実がそのようにあったにしろ、それをリアルに描く必要がどこにあろう。冒頭の野豚狩りにしろ、人間の生きるエネルギーの裏側には残忍さが常にあるということだろうか。「300」のように、残忍なシーンをすら芸術として魅せる工夫をするのではなく、エキサイティングを求めるために血を見せるかのような演出の数々には少し嫌悪感を覚えた。
[映画館(字幕)] 6点(2007-06-17 22:58:22)(良:1票)
17.  300 <スリーハンドレッド> 《ネタバレ》 
前を向いてマッチョ、右を向いてマッチョ、左を向いてマッチョ。2時間たっぷり暴れ回るマッチョな男達。ザラついたセピア色の油彩のような画面に、独特の濃淡で描いたこの映像は、なんという手法なのだろうか。裸の漢(おとこ)たちの闘争を描く舞台としては、誠に最適な手法だと思う。統率の取れた動き、舞踏の様な殺陣、騎士道や武士道とも異なる、東洋の繊細な美しさとは対照的な、無骨な肉体至上主義。‥‥‥もともと私は残虐シーンで飾り立てた映画は受け付けないタチだが、この映画は別だった。残虐の映像度をモノクロームの映像で軽減する手法は「シン・シティ」も同じだが、この映画は、全ての場面を映像と構図で美しく見せようとする作り手の熱意と意図が感じられる。これを実写そのままに見せていたら、それこそ観られたものではなかっただろう。この映像手法は、物語の多くを占める残虐な画面をすら芸術として魅せようとする、作り手の明確な意思表示、覚悟だったのかもしれない。ラストシーン、矢の中に横たわる男たちを俯瞰から撮影した場面は、まるで教会のステンドグラスのように見えた。‥‥‥ペルシャの王を中性的に描いたことで、この映画もまた随分バッシングを受けたようだが、そんな物語や歴史観など、作り手にとっては何と批評されようが関係なかったに違いない。描きたかったものは、躍動する肉体美と、全ての画面の魅力を倍増させる、この映画にはこの上なく適した映像美。そして、余計なモノを一切挟まないシンプルな物語。ただ作り手のこだわりだけに徹底された、良い映画だった。
[映画館(字幕)] 8点(2007-06-04 00:49:05)(良:3票)
18.  パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド 《ネタバレ》 
愛すべきキャラクター、あの愛すべき海賊ジャック・スパロウが帰ってきた、ただそれだけで満足できた映画。ブラッカイマーの壮大なテーマに乗って、画面を所狭しと暴れ回る海賊たちは迫力があった。特に終盤のデイヴィ・ジョーンズを筆頭にした渦巻きの中の大海戦は、手に汗握る迫力と楽しさ。これをスクリーンで観るだけでも映画館に足を運ぶ価値があるというモノだ。‥‥‥惜しむらくは、お金をかけたことが裏目に出てしまっている気がする。シンプルな故にこの上ない痛快さを楽しめた第一作と違い、中盤の騙し騙されの人間関係は全くもって混乱する。折角の勢いのある冒険活劇に、余分な化かし合いが水を差す結果になってしまっている気がするのが残念だった。‥‥‥エンディングのドンデン返し、まさか主役の二人があんな結末になるとは夢にも思わなんだ。それでもファンタジーの王道は、決まってハッピーエンドであって、ほんの少しの未練が残らなければならない。十年にただ一度、それでもいいじゃないか。第一作の始まりの時と同じように、デイヴィはブラックパール号を奪って大海へ乗り出し、またそれを追ってジャックも、女達にビンタを喰らいながら、永久の生命を求めて海へと旅立って行く。‥‥‥この作品はおそらく、次回作も作られるだろう。そしてその時、ジョニー・デップ演じるジャック・スパロウとその仲間達が健在ならば、私もきっと映画館へ足を運ぶだろう。世界中の多くの人々がまた、彼が帰ってくることを待ち望んでいるだろう。十分に楽しめて、また帰ってくる「彼」に期待を抱かせる映画だった。
[映画館(字幕)] 6点(2007-05-29 23:00:37)(良:1票)
19.  ハンニバル・ライジング
バットマンと同様、主人公のブランドによって製作された、今はやりの「ビギニング」。「羊たちの沈黙」のレクター博士の狂気を描くには、あまりに伏線が安すぎた。観ていて単純に楽しめるエンターテインメント復讐劇となっているが、レクター博士得意の頭脳プレイがほとんど観られなかったのは、期待はずれだった。‥‥‥あの名作「羊たちの沈黙」から産まれたレクター博士というキャラクター、その発端となった彼の内面の葛藤が描かれず、外面的なトラウマから抜け出してていないのが残念。だから、作品としては十分楽しめたし面白いけれど、単純な復讐劇以上のものではなくなってしまっている。ガラス張りの独房の中から見つめていた、天才殺人鬼の狂気の背景を描くには、ちょっと荷が重すぎたか。ハンサムな主人公も、見た目ミステリアスの域を出ていない。‥‥‥第一作のブランドに期待する方が酷というもの。あれ以上の名作を続編で作り出すのは無理というものだろう。
[映画館(字幕)] 6点(2007-05-25 01:38:04)
20.  バベル
長丁場の重々しい雰囲気にも眠くなる事なく見る事ができた。銃撃を受ける夫妻が子供を置いて旅に出る理由や、他の登場人物達の背景もそれほど描かれておらず、唐突に始まって唐突に終わってしまう。奥の深いような、単純に難解なだけのような、「21グラム」を観たときのように、もやもやとした不可解さが最後まで糸を引く映画だった。‥‥‥分かり合えない人と人の悲しさをバベルに例えたということだが、描かれている人と人とのスレ違いは、理解し合えば解決するような問題ではなく、単純な悪い運命の連鎖である以上には感じられない。それとも、その悪い運命に抗うすべを持たない人間の悲しさこそが、「バベル」の言いたかったメッセージなのか。‥‥‥日本人の女子高生のあんまりアブノーマルな描き方には正直辟易した。東京の女子高生があんな売女ばかりだと思われても困る。彼女が孤独に悩む少女というより、単なる尻軽な女にしか見えなかったのは、私自身が愛情を持って育てられた証拠であるのかも知れない。
[映画館(字幕)] 6点(2007-05-25 01:25:53)
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