Menu
 > レビュワー
 > アンドレ・タカシ さんの口コミ一覧
アンドレ・タカシさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 1970年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順123456789
投稿日付順123456789
変更日付順123456789
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  ゴッドファーザー 《ネタバレ》 
もちろん彼らがやっていることには感心しませんが、人間ドラマとしてこれほど真に迫ってくる作品は本当に稀だと思います。映画には発砲シーンが付きもので、ほとんどの作品ではエンタテイメントの要素ですが、本作の銃弾は重さが違う。撃たれたら本当に死にますね。この作品が醸し出す空気がそのように見せていることは明らかです。イタリア系マフィアの起源には詳しくないのですが、移民として自分たちの家族を守ることに端を発した組織なのでしょう。だからなのか、組織も家族と同様に「ファミリー」と呼称するところが啓示的です。老いて行く棟梁、やる気は充分だったが直情型で資質が伴わなかった長男、そして堅気として登場し、次第に自らの才能に目覚めて行く弟。この3人の対置がストーリーの流れを作り、同時に大河的な趣きを形成します。特にアル・パチーノ=マイケルの変貌には目を瞠りました。病院で無防備な父を守った初仕事で、おどおどしながら非凡な判断力を見せる。次はいきなり敵対マフィアの暗殺という大仕事。シチリアに逃亡して現地の娘と結婚するが、ニューヨークの抗争が飛び火して妻を失う。マイケルの変化を決定づけたのは、敵対マフィアの暗殺では無く、最初の妻の爆死だったと思う。大切なものを失わない為には何をすべきか。それが彼の行動原理になりました。多くのフィクションでマフィアの抗争劇は観てきました。その抗争のほとんどは権勢や金銭欲が動機になっていましたが、本作からは不思議とその匂いがしません。その代わりに、家族=「ファミリー」を守るという動機を強烈に感じます。それが製作から40年を経ても、この作品が特別な場所にいる理由だと思います。家族を守るのは父親=ファーザーの勤め。改めて「ゴッドファーザー」というタイトルの重みに思い至りました。30年ぶりの鑑賞でしたが、やはりこれには傑作という言葉がふさわしい。日本の同業者たちも昔は「○○一家」でしたが、そんな呼び方しなくなりました。
[映画館(字幕)] 10点(2012-01-02 04:11:02)(良:1票)
2.  スティング
たぶん誰にも、映画の楽しさや面白さを教えられた特別な作品があると思いますが、自分にとってはこの「スティング」がそれです。中学時代に名画座で観たのだけど、それまでほとんどゴジラやブルース・リーしか知らなかった自分に、映画の世界の楽しみ方を何倍にも膨張させてくれました。二大俳優の名演もさることながら、自分はジョージ・ロイ・ヒル監督の上手さを特筆したい。細かい話で恐縮だけど、役者がひと言を発する前の微妙な間と表情が、続く台詞と芝居を何倍にも引き立てるように緻密に計算されている。あからさまに笑わせるようなことはせず、劇中の人物たちが必死に真面目に取り組んでいる姿勢の隙間から漏れてくる笑いを、決してシニカルに見せるのではなく、温かく流れに乗せて行く。そんな演出です。初見から30年以上経ち、ポール・ニューマン氏もお亡くなりになりましたが、自分の中では色褪せることなく金色に輝き続けている映画です。まだ観ていない人には「うらやましい」って言ってしまいます。
[映画館(字幕)] 10点(2010-01-24 03:24:32)(良:2票)
3.  エイリアン
高校時代、友人と二人で劇場で観ました。席を立って逃げ出したくなるような怖さを感じたのは、後にも先にもこの映画だけです。ジョン・ハートの顔にアレが張り付くシーンに仰天し、友人がどんな顔をしてるか見てやれと隣を伺ったら、彼もこちらを見ていて目が合った。上映中に男同士で見つめ合った映画でした。もちろん、恐さという意味ではそのシーンは序の口で、どこから襲ってくるか分からないエイリアンに乗組員と一緒に神経を擦り減らし、劇場を出たときにはぐったり。同時に危険な宇宙から無事に生還したような安堵感も覚えました。「SF映画」で重要なのは、それらしい大嘘(fiction)をひとつ捻り出し、それ以外の描写はリアル(science)を追求すること。この映画の嘘はエイリアンの存在だけ。それ以外はもの凄く「らしく見せる」ことに腐心している。本作の描写の真実味はエイリアンを怖く見せる演出とも言える。良くできたSF映画は同じ特徴を持っている。モノリスやレプリカントで嘘を付く映画が好例です。SFという概念を自由度の高い設定や嘘の免罪符と勘違いしているSFモドキはたくさんある。しかし、SFとは本来、緻密な表現の中で初めて成立するジャンルだと本作を観ていて思う。10点はSF映画としての完成度に付けた点数です。当時、この映画に続いて「ブレードランナー」を作ったリドリー・スコットの慧眼には感服しています。
[映画館(字幕)] 10点(2008-09-06 23:22:04)(良:3票)
4.  銀河鉄道999
劇場公開されたのは自分が高校2年生の夏。「宇宙戦艦ヤマト」でブレイクした感があった松本零士氏だけど「男おいどん」あたりからのファンの自分にとっては、この「999」が彼のエッセンスを詰め込んだ初めての映画という印象でした。旅に出て、人に出会い、冒険を経て成長する。わずか2時間の枠の中で、その流れが破綻せずに納得できるストーリーに収まっているのは見事でした。アニメーションの背景の美しさに初めて感動した映画でもあった。ラストシーンは美しい弦の調べと共に、野沢雅子の熱演に涙しました。「いま、万感の想いを込めて汽笛が鳴る…」。城達也のナレーションが深い余韻を残します。若者が持つ未知なるものへの漠然とした憧れと、それを希求するエネルギーが実感できる時期に出会ったことで、自分の奥深いところに何かを刻んでいる映画です。大学入学に際し、故郷を離れる新幹線のシートに座った自分は、メガロポリスで999に乗り込んだ星野鉄郎でした。
[映画館(邦画)] 10点(2008-08-05 16:57:20)(良:1票)
5.  カッコーの巣の上で
これは若いときに観て魂を揺さぶられた一本です。冷静に検証するなら、偶然と蓋然を上手くミックスさせてマクマーフィを危険な精神異常者という立場へ追い込んで行く展開が上手です。彼が他の患者と違っていたのは、主体的に物事を進める態度です。上手く機能すれば最も称賛される能力であり、美徳とも言える。でも、あの種の病院では評価されないどころか、疎んじられて蓋をされる。それが悔しく映ります。最悪の相性が看護師長のおばちゃん。自分が敷いたルールしか認めない偏狭と、それが患者たちの為と信じる傲慢な正義感を持っている。ビリーの自殺は彼女の方針の結果。憎ったらしい。あれがオスカー級の憎らしさです。あのおばちゃんは私の近くにも何人か被る人がいるからか、彼女の首を絞める「ジャック・ニコルソン」を応援してしまった。私が危険人物ですね。おばちゃんはマニュアル的には何も間違っていないんだと思う。だから、ビリーの自殺にも、マクマーフィの処置にも、泰然としていられる。例えば病院関係者が本作を観たら、おばちゃんに共感するんだろうか…? はっきり言って、この作品における自由意思は敗北しています。でも、マクマーフィの遺志を継いだチーフが豊かな自然へ走り去るラストカットは、問題意識を残しつつ鑑賞者を慰める上手い締め方でした。精神病理の治療に関する知識が無いので、ロボトミー手術の信憑性に疑問符を付けてしまう。やや強引かな、と。そこが1点のマイナスです。
[映画館(字幕)] 9点(2012-01-14 22:42:06)
6.  JAWS/ジョーズ 《ネタバレ》 
久しぶりに鑑賞。やっぱりスピルバーグは上手い人だなぁ、というのが素直な感想。例えば海中から初めて頭部を現したホオジロザメの巨体を目の当たりにしたロイ・シャイダーが後ずさりしながら「(この船では)小さすぎる」とつぶやくシーンや、反目していたリチャード・ドレイファスとロバート・ショウが樽を3つ打ち込まれたまま潜水するホオジロザメに「信じられない」と口を揃えるシーン。ストーリーの展開に併せて、強調すべきことを印象付ける手法が上手い。だから「ヒト対サメ」という単純構造が説得力を持った大捕り物に変身する。単純なものに変化を付けて面白く見せるという意味では「激突!」もこの類いだ。サメ退治に赴く3人の個性も見事に描き分ける。とりわけ、ロバート・ショウの変人ぶりは輝いている。注目を集めるために黒板を爪で引っ掻く奴(笑)。若くして亡くなったこの名優は「ロシアより愛をこめて」「スティング」、そして本作の3作品で私の映画史に強く刻まれています。
[地上波(吹替)] 9点(2012-01-02 15:55:01)(良:1票)
7.  タクシードライバー(1976) 《ネタバレ》 
すでに30年ほど昔のことだけど、初めて観たときはかなり衝撃的でした。明確な動機が存在しない犯罪心理を映像で解き明かした傑作という意見です。鬱屈した想いが行き場を失って行動に繋がる。大統領候補の暗殺もポン引き殺しも、主人公の中では同列に扱われて矛盾しない。彼は銃を使って「何かをしたかった」だけだ。その流れに不穏な空気は感じても、不自然な違和感を覚えない。社会通念的には狂気であるが、トラヴィスの行動は分かる気がする。それは、実際に一線を越えるかどうかは別にしても、自分の中にもトラヴィスがいるということだ。世間では時々、何を考えてそんなことを、という犯罪が起こる。あれもトラヴィスじゃなかろうか。それらしく報道される動機は真相の一面しか捉えていないと思える。トラヴィスが英雄扱いされているエンディングには、アメリカって怖い国だなと思いましたが、もはやよその国の話じゃないですね。
[地上波(吹替)] 9点(2011-04-23 21:55:13)(良:3票)
8.  ペーパー・ムーン 《ネタバレ》 
何度も観ているんだけど、観るたびに新しい発見や楽しさを与えてくれる。これはもうテイタム・オニール演じるアディのキャラクターに尽きる。幼くして母を亡くした寂しさを決して口にせず、詐欺を学んでモーゼと共犯することでコミュニケーションを深めて行く。その姿には湿ったところが微塵もない。自らの意思で、自らの幸せを模索する前向きな姿勢を強く感じます。でも、他者との絆を希求する心情がタイトルでもある「ペーパームーン」に表れる。機転が利き、憎まれ口もたたく気丈夫の裏側にある歳相応の心細さが、笑いを交えながらもしっかりと描かれる。エンディングで、バックミラーの中を駆けて来るアディ。映像的には可愛いカットだけど、時間の飛ばし方は一種のどんでん返しで、引っ張った不安を安堵へ、さらに大きな情感へと開放する名シーンでしょう。坂道を転がり始めた車に先に飛び乗ったモーゼがアディに手を差し伸べるところが大好きです。もうこの際、本当の父娘かどうかは問題ではない。遠く地平線まで続くでこぼこ道が、分かりやすく二人の行く末を暗示します。ベタベタした表現や台詞を一切使わずに、歳の離れた男女のユニークな親愛を描いた傑作。結論を台詞で言いたがる映画は今作を参考にして欲しい。
[映画館(字幕)] 9点(2010-04-25 17:17:53)(良:2票)
9.  日本沈没(1973) 《ネタバレ》 
小学生の頃に劇場で観賞。先日、久しぶりに観たけど、これは凄い映画だと思う。後年の小松左京原作のSF映画はイタイ作品ばかりだけど、今作はしっかりサイエンスしているし、人間ドラマとしても秀逸です。田所博士、小野寺操縦士、山本総理…。その重厚な芝居が、進行している現象の重篤さをひしひしと感じさせます。特に総理役の丹波哲郎は、日本を代表する役者さんだったことを再認識。震災で燃え盛る首都の映像を見て、国を守ることの意味を自問するシーン。老人との対話において、何もしないという選択肢の真意に思い至り目を潤ませるシーン。丹波哲郎に感動するとは思わなかった。この映画は大きく二つに分かれた構成になっている。極めて正統な科学的手続き(竹内均さんのマントルの解説!)を経て、国土が海に没する事実に一歩ずつ近づいて行く緊迫感に満ちた前半。国民を海外へ脱出させる国際交渉に奔走しながら、当たり前に感じていた島国の単民族国家の特殊性を気付かせる後半。これがスムーズにひとつの流れとなって、骨太の物語を形作る。日本のこの種の映画で、今作ほど真っ当にサイエンス・フィクションの形式に則ってひとつのテーマを描ききった作品は他に思い当たらない。特に後半、難民となった民族が被る悲劇を想定し(と、私は解釈しています)、何もしない選択肢に言及する老人と、「日本民族はまだまだ子供、世界に出て鍛えてもらえ」という田所博士の意見が奥深い。膨大な情報量がギリギリ破綻せずに2時間の中に収まっていて、エンディングでは大河的な余韻と感慨が胸を打ちました。
[映画館(邦画)] 9点(2009-08-16 20:27:29)(良:2票)
10.  激突!<TVM>
スピルバーグのデビュー作と言っても良い本作。初見は中学生の時だったかなぁ。テレビで観ました。何気なく観始めたのに、強烈に引き込まれたのを覚えている。元々がTV用に製作されたので低予算がみえみえ。たくさんの車が派手にひっくり返る現代のカーチェイスものとは次元が違うところで勝負している映画です。でも、凄い見応え。乗用車とトレーラーの追いかけっこだけで、映画一本分の緊張感を維持させる手腕には脱帽する。その後のスピルバーグの快進撃の助走というより、この時点ですでにトップギアに入っていたように思います。
[地上波(吹替)] 9点(2009-06-20 10:44:14)
11.  燃えよドラゴン 《ネタバレ》 
小学生の時に観て熱狂したクチです。ヌンチャク、作りました。自画自賛ですがけっこう上手に振り回してました。関西に浜村淳というラジオのパーソナリティがいて(まだ現役なのかな?)、その方が番組の中で一時期この作品のことばかり喋っていました。「飛燕一文字空中五段蹴り!」などとありもしない技をでっち上げて、ラジオのスピーカーを賑わしていた。でも、誇張はあったものの、その温度感はそのまま映画を観た自分のものになった。途轍もなくカッコ良かった。この映画がたった4本しか主演作のないブルース・リーの最後の作品であり、ハリウッドで制作した最初で最後の作品になりました。本当に残念でした。でも反対に彼のスクリーンでの勇姿は限られた分だけ現在でも一際輝いていると思います。ブルース・リーに熱狂してしまうと、ジャッキー・チェンの映画はどうも見応えがしない。「ジャッキー、お前のコブシは軽いんだ!」 というのは私の台詞です。
[映画館(字幕)] 9点(2009-04-07 03:55:17)(良:1票)
12.  未知との遭遇
すでに30年前の映画になりました。いまさらレビューを書くとなると、なかなか難しいものです。公開時に劇場で観たとき、自分はまだ中学生でした。不思議な映画でした。以降、今日まで自分の中で特異なポジションを維持している映画です。この作品は、数あるスピルバーグ作品の中でも、というか、他の全ての映画を含めても異色だと思います。何が、というと恐らく手法とテーマのミスマッチ。一応、主人公はリチャード・ドレイファスなのでしょうが、複数の登場人物のまわりで起きる事象が誰に感情移入させるでもなく、ドキュメンタリー的なタッチで描かれて行きます。ドキュメンタリー風の映画って、通常は社会問題を扱ったものや個人の伝記などが多いけど、そこに宇宙人とのコンタクトを持ってきた。あくまで架空であるものを、ドキュメンタリー的に描くってどーいうこと…、というのがこの作品特有の匂いになっていると思います。宇宙船に乗るリチャード・ドレイファスを羨ましくも感じるけど、家族のことがあるので共感までは行かず、観客は一歩引いたところから事の成り行きを見守る観察者になる。いや、第三種接近遭遇を体験することになる、と言った方が良いのでしょう。観せる、というよりは、ちょっと距離を置いて体験させる。それがこの映画から匂ってくる特別な魅力だと思います。感動に涙するようなストーリーではありませんが、地球外生命体との接触を叙事的に描いた力作であるというのが自分の評価です。当時、まさしく日の出の勢いがあったスピルバーグ監督ですが、演出力は傑出していたと思いますね。冒頭、メキシコの砂漠に新品同様で現れた戦闘機が二次大戦中に失踪した機体だと知った瞬間の通訳のお兄さんの???の感じとか、航空管制センターで会話とレーダー画面だけで未知の飛行物体が現出した違和感を表現する手腕は凄いと思います。公開当時はまだ民放で「UFOを見た!」的な特番が年に何本か放送されて視聴率を稼いでいた時代だから、この映画は随分と先を行っていたとも思います。
[映画館(字幕)] 9点(2009-01-20 00:23:09)(良:1票)
13.  ルパン三世 カリオストロの城
たぶん一番たくさん繰り返し観た映画がこれ。ほとんどの台詞を暗記しているくらい。当時、制作期間は随分と短かったらしいが、さすがにルパンを動かすのはお手のものという手腕が見て取れる。自分の中でのルパンと仲間のキャラクターは最初のテレビシリーズがオリジナルで、それ以降のシリーズは馴れ合い過ぎが鼻について仕方ないのだが、この映画にはそういう不満は一切ない。見事に役割分担されたキャラクターがそれぞれの見せ場を持っている。ナウシカに10点を付けているので、限りなく10点に近い9点。
[地上波(邦画)] 9点(2008-10-20 00:33:44)
14.  パットン大戦車軍団 《ネタバレ》 
主人公は戦車の残骸や多くの戦死者が野ざらしになっている戦場跡を見て「これが好きだ」と言いました。そのひと言で、普通の人とは違う感覚を持った人物だと分かります。自国の利益のために戦うと云うより、目の前の戦闘での勝利だけに興味があったようです。味方が死ぬことよりも、敵を殺すことに意識が向いていました。そんな「戦場でしか生を全う出来ない人物」の伝記として、とても良く出来ていたと思います。前線から離れた場所にいる者からは頼りになる将軍でしょう。でも、その人の配下で戦えるかと問われると尻込みしそうですけどね。 「失言」がもうひとつのテーマになっていました。思ったことを全て口にする。それが災いになり不遇へ落ちる。私は同情しましたよ。確かに「失言」なんだけど、本人の思惑から離れたところで言葉が独り歩きしている部分もあったと思います。 余談。官僚の失言がマスコミを賑わす昨今。パットンさんじゃないけど「失言」のほとんどはメディアの紙面や放送枠を埋めるためだけの揚げ足取りだと思っております。いや、確かに正真正銘の失言もたまにはありますけど、野党は政策論で戦うことを放棄しているとしか思えません。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-04-24 02:52:28)(良:1票)
15.  エクソシスト 《ネタバレ》 
小学生の頃から時間を置きながら何度も観ている作品です。私にはホラー映画の原点みたいな位置づけになっています。観るたびに違う感想が浮かびます。現在の自分が考えていることに対して何らかの答えを返してくれる、奥が深い作品なのだと思います。 今回の感想は「やはり神はいない」ってことでした。 悪魔祓いはカトリックの宗教儀式で、現在は世界中から人を集めて講習をやるほどに普及しているようです。それを特集したNHKの番組を見たことがあるけど、セラピーの一種と云った様子でした。でも、様式があるだけで神が助けてくれる訳じゃない。対応するのは人です。 本作では神に仕える二人の神父が犠牲になって少女を救います。それは「神の力」ではなく「人の力」だと思います。神が何らからの威光を示したシーンはありません。その「人の力」は信仰を拠りどころ生まれたものかも知れませんが、ラストでリーガンを殴りながら「俺に乗り移ってみろ!」と叫ぶカラスに感じるのは、ボクシングなどで鍛えた体力に裏打ちされた意思の強さです。意地悪な言い方になるけど、神がいたら神父たちは死なずに済んだはずですよね。 余談ですが、私は「信仰を拠りどころにした行為」を肯定する気になれません。歴史が示すように必ずしも良いことばかりだった訳では無いし、現代的には胡散臭さを覚えるものも少なくない。宗教は他者に何かを施すより自身の内面を救うことに存在意義があると思っています。無神を気取る私も初詣は大好きで、少額のお賽銭で自身の内面を救っております。
[地上波(吹替)] 8点(2018-01-26 23:09:50)
16.  トラ・トラ・トラ! 《ネタバレ》 
子供の頃、12月8日前後に民放がよく放送していて何度も観た作品です。太平洋戦争の戦端となった真珠湾奇襲に至る経緯とその攻撃が大きな流れで描かれる。日本側に関しては、陸軍と海軍の方針の違い、山本五十六の姿勢、南雲中将の弱腰、宣戦布告の通達遅れなどが主に描写される。米国側は概して危機管理の甘さが指摘されるような描写になっている。あくまで概要描写だが、記録映画として意義があると思う。 しかし、何と言っても圧巻は真珠湾攻撃シーンである。実際に多くの偽装ゼロ戦を編隊飛行させ、低空から雷撃させる。CGを使っていないと云う事より、その標的になった側から、ゼロ戦がどのように見えていたのかが明確に分かるアングルがこの上なくリアルに映る。離陸途中に撃墜される戦闘機を始め、多くの航空機を爆発・炎上させていて、その業火から逃げる米兵役者の恐れもリアルに伝わって来る。アメリカのスタントパイロットが操縦したらしいが、開戦当時は世界一と言われていた日本の海軍航空隊の操縦技術の高さを、合作とは言えアメリカ側が再現したことには驚きさえ覚える。黎明の空をバックに、シルエットのゼロ戦が空母から発艦して行くシーンは厳かな美しさを湛えており、数ある戦争映画の中でも屈指の名シーンだと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-11-19 00:18:51)(良:2票)
17.  ゴッドファーザー PART Ⅱ 《ネタバレ》 
「1」はファミリーの内実と代替わりを描いた。本作は、その前とその後の時代を交互に見せる。勢力を伸ばして行くドン・コルレオーネと、苦悩するマイケルが対比される。この二人の違いは何なのかと考える。時代の違いなのか、仕事内容の違いなのか、人間の器の違いなのか。家族=ファミリーを守りたいと思う気持ちは共通していたはずだけど、最後はその家族までも自らの手にかけるマイケル。二人の能力の差と言ってしまうのは簡単だけど、私は組織体の盛衰の本質を見る思いでした。時代の流れに自分の目的を添わせ組織を大きくしたドン・コルレオーネと、巨大化した組織の維持を優先せざるを得なかったマイケル。時代の移り変わりは、その流れに乗っている者に有利に働く訳で、よほど上手く代謝できない限りは廃れて行きます。突飛な例えかも知れないけど、マイケルの世代は高度成長を経た後の日本の大手家電メーカーに似ていると思います。日本のメーカーが技術力で後れを取ったとは思わないけど、後発の韓国企業に業績で抜かれてしまいました。背負うものを持たずに次の事だけを考えられる組織が時代に適合し、牽引する勢いを持つと云うことだと思います。日本企業の断末魔に似た人員整理とマイケルの苦悩のリストラが被ります。本作は1974年の製作ですが、今さらながら「組織と人」という点において多くの啓示を持った作品だったのだと思います。まだ若いデ・ニーロは、この時すでに名優でした。マーロン・ブランドに似せた口の周りの演技と表情としゃがれた声。顔の骨格は違っても、それらしく見えるところが凄いです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-04-09 21:53:08)
18.  タワーリング・インフェルノ 《ネタバレ》 
怪獣映画とブルース・リー以外で劇場で観た最初の映画がこれでした。展望エレベーターをヘリで吊って降ろすシーンで、消防隊員がエアマットに落ちた瞬間、拍手が沸き起こりました。スクリーンに向かって拍手するんだ~、と大人の映画観賞の仲間入りをしたような気分でしたが、劇場が拍手で沸いたのはそれが最初で最後。かなり特別な映画だったようです。先日久しぶりに観直しましたが、長い尺を感じさせないスペクタクルに感心。ディザスター系作品で、解決後に重たい余韻が残るという意味で現代の作品と比べても全く見劣りしない。エンタテイメントとメッセージが見事に調和しています。主演のおふたりは故人となりましたが、双方の良いところが上手く噛み合っていたと思います。エンディングでマックィーンが「いつか1万人が死ぬ」と予告したことが9/11と重なります。ビル火災とテロを同列にはできないけど、高層建築が人命を詰め込んだ凶器になるという意味では同義でしょう。最初に倉庫が燃え始めたとき背筋に禍々しい戦慄が走りました。火災に対して初見の頃より過敏になっている自分に月日の流れを感じた次第です。
[映画館(字幕)] 8点(2010-11-25 19:16:28)(良:2票)
19.  マッドマックス 《ネタバレ》 
過去に観た車が走る映画で最もスピード感を覚えた作品がこれ。ローアングルに流れる路面を背景に、奥から手前へ、手前から奥へと駆ける車体の描写だけで、ここまで緊張に溢れたスピード感を演出できるものかと感心した。過去に誰もやらなかった表現は強い。近未来と云いながら、とてもいい加減な設定は車やバイクを走らせる都合を適当に整えている以上の意味は無い。その割り切りは、切れ味の良い疾走感へ変わって画面から発散される。今作のバイオレンスとはスピード感だ。ジョージ・ミラーがハリウッドへ進出する契機にもなったこの作品には、狂気じみた才気を覚える。メル・ギブソンはどうでもよろしい。惜しむらくは、2・3と続いたシリーズも今作と同じ調子でやって欲しかったこと。
[地上波(吹替)] 8点(2010-04-25 23:03:01)
20.  鬼畜 《ネタバレ》 
映画としての見どころは、岩下志麻の鬼ぶりと緒形拳の葛藤だろう。特に岩下志麻。でも彼女を「鬼畜」とは思わない。鬼畜は両親を形容した言葉です。産まれる瞬間までは平等のはずだけど、生まれた直後から環境に翻弄される子供たち。言いたいことは山ほどあるけれど、まとめる自信がないので以下に集約。生活力のない大人が親になってはいかん。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-02-14 13:47:43)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS