281. BLACK & WHITE/ブラック&ホワイト(2012)
《ネタバレ》 軽いノリのライトアクションコメディ。1980年代から1990年代にかけて流行った刑事バディもののノリ。今作の2人の主人公はCIAの特殊捜査官ですが、たとえ刑事でも全く同じ内容の映画になりそうです。 一応悪いやつもいるにはいますが出番はオープニングでほぼ終わり。物語の9割はラブコメなので、この悪役の影は限りなく薄い。 だめじゃないけど、サスペンスアクションにもう少し力を入れてもらったほうが、よりコメディの部分が活きる気もします。激ヤバな状況を軽口を叩きながら乗り切っちゃうような、そーゆーのが好きです。 今作はサスペンス色もアクションもほとんど力を入れていないので、とにかくユルユル。コメディ全開。でもちょっとだけ犯罪組織の動きを匂わすもんだから、どーしても刺激や緊張感が欲しくなってしまいます。 ラブコメのほうはなかなかの出来だと思いますよ。特にコメディ部分ですが。卓越したCIA捜査官のスキル。科学力。組織力。それらを総動員してやることが、一般女性のストーキング。こーゆーのは大げさにやればやるほど面白いので、そーいった意味ではよくできています。特にそれぞれのチームのメンバーが大真面目にローレンス(リース・ウィザースプーン)の身辺調査をしているのが面白い。途中まではチームのメンバーも『ハインリッヒと何の関係が?』と尋ねていたのに、いつの間にかもう何となく事情を察して尋ねなくなっているのがちょっと面白い。挙句の果てにはお互いのチームをちょっとライバル視している節もあったりして。 どうせ最後は二人ともフラれるんだろうと思っていたのですが、なるほどそうきましたか。これは後味の良い終わり方ですね。 映画のラストをケンカと笑いで〆たのも好印象です。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2022-07-08 14:33:19)(良:1票) |
282. キラー・エリート(2011)
《ネタバレ》 ちょっと話がごちゃごちゃしすぎ。 それにどー考えても、課せられた使命を全部こなすより、仲間と協力してハンター(ロバート・デ・ニーロ)助けるほうがリスクが少ないでしょ。実際元SASのスパイクがあっさりオマーンの長老殺して報酬を手に入れちゃっているじゃないですか。 私は映画というエンターテイメントに対し、細かいことは気にしない主義。映画は見ていて楽しけりゃそれで良い。そんな私が、『いや、これはないわ。』とそもそもの設定に無理がありすぎて気になっちゃうレベルです。 これって本当に実話に基づいているんですか?とても信じられないんですけど。 ハンターを助けるために危険を顧みず、昔の仲間の助力を得てクエスト達成。で、このクエストが3つ。多すぎるうえに、『自白させろ』『事故に見せかけて殺せ』と無理難題。同じ制約をかけたせいで、どのクエストもなんとなく薄味に感じてしまいます。 それにさ、ハンターを助けるために昔の仲間が二人犠牲になっちゃってますけど。それに対するダニー(ジェイソン・ステイサム)の感情の描写が希薄なんですけど。仲間が殺されたことに対して、もっと憤るか悲しむかしてほしい。ダニーは情に厚いの?薄情なの?どっちなのー? 昔の仲間と手を組んでプロの殺し屋チーム再結成。とある国の特殊部隊と対決。王道だけれど、これだけで十分面白いんだからさ。その仕事をせにゃならん動機にもう少し説得力を持たせてほしかった次第です。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2022-07-07 04:05:43)(良:2票) |
283. ドライヴ(2011)
《ネタバレ》 これは掘り出し物を見つけた!すごい面白い映画だ!と興奮していたら、たくさんの方がレビューされていて、実は有名な映画だったというね。私が知らなかっただけでした。 まずライアン・ゴズリングが最高にかっこいい。余計なことは何も言わない。でもなすべきことは完璧にやる。このスタンス憧れます。私もこうなりたい。どちらかと言えば余計なことを言ってしまいがちな自分を、この映画の主人公みたいに変えてみたい。 極力BGMを抑えた演出も好き。アメリカ映画っぽさがなくなり、とても硬派でリアルな雰囲気になります。 キッドはどこから来たのか?もともと何をやっていた人間なのか?車の整備工場で働きながらカースタントのアルバイトもしているのに、なぜ犯罪に手を染めているのか?そーいった説明は一切なし。 いつもだったらその辺はっきりさせてくれないともやもやするんですが、不思議と今作では気になりません。むしろ背景を語りすぎないのも良いもんだとすら思えてしまう。きっと主人公がずっとそーゆーオーラを出し続けているからでしょう。 まったく予備知識なしで鑑賞したものでして、レースに出るという話になってからちょっとしたサクセスストーリーを期待しちゃいました。『だからドライヴなのか。』と妙に納得しかけたところで、話は全然違う方向へ転がり始めます。だから全く先が読めなくて、終始ハラハラした緊張感を味わえました。 それにしてもただのビジネスパートナーくらいにしか思っていなかったこの人たちと殺しあうことになるとは・・・ ヒロイン役のキャリー・マリガンも最高にかわいくて、あらゆる面で隙がない映画でした。 [DVD(字幕)] 8点(2022-07-06 14:53:52)(良:2票) |
284. ハンガー・ゲーム
《ネタバレ》 ここはどこ?あなたは誰?ってゆーか、今はいつ? まずここは地球の近未来なのですか?それとも全然違う、単なる地球の類似惑星なのですか?せめてそれくらいは、はっきりさせてほしいです。 首都を除く12地区。過去にこの12地区が反乱を起こしたが失敗。二度とそんな気を起こさぬよう、『娯楽』と『恐怖』の二つの意味を持たせた『ハンガー・ゲーム』を74年間にわたり毎年開催。アイデアは悪くない。 ただ過去の歴史はどうあれ、一部の権力者による圧政、独裁、恐怖政治を描くなら、とことん悲劇にするか、あるいは逆襲の物語にするかというのが定石。この映画はどちらの方向にもいかず、マジで私たちにも『ハンガー・ゲーム』を楽しんでもらうつもりでいます。 え?私たちは国民総パリコレみたいな人たちとは価値観が違いますから、こんなルールも曖昧な中途半端な出来ゲーム見せられるぐらいなら、オリンピックを見たいです。 それにどー考えても、主人公のカットニスはかなりヒロイックに描かれていますから、やはりハンガー・ゲームに巻き込まれても、政府に抗う図式は見せたほうが良いのでは?無理やり理不尽なゲームに、妹の代わりを買って出たとはいえ強制参加させられているのに、なんかあっさりこのゲームを受け入れちゃっているのが共感できないです。 こーゆーのって、『殺しあうなんて馬鹿げている!』って声を上げるのが普通じゃないの?せめて主人公サイドにはそういう立ち位置でいてほしいんですけどね。 一番不可解なのが、カットニスとピーターの関係。 ピーター、カットニスを早々に裏切ってましたよね?カットニスの追跡を手伝い、カットニスがしかけた罠を教え、カットニスを窮地に立たせましたよね?なのにカットニスが何の理由もなくピーターを助ける意味がわからないんですけど。 サバイバル・・・好き。こーゆーバトルロワイアル・・・好き。 なのに一度も感情移入できないまま、まるで人がしているゲームのプレイを見ているかのような気分。 これで2時間超えはきついですって。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2022-07-03 08:22:44)(良:1票) |
285. アナと雪の女王
《ネタバレ》 ディズニー映画で感動したのはトイ・ストーリー3以来。 中盤から後半にかけての内容だったら、いつもの楽しいディズニー映画。でもこの作品は前半がやばい。 有無を言わさず感動してしまう。それは理屈からくる感動ではなく、おそらく美しい絵や景色を見たときに湧き上がるどうしようもない感動に近いもの。私は芸術に疎いのですが、それでも心を揺さぶられてしまうのですから。この映画が大ヒットした理由がよくわかります。 もともとミュージカルは苦手。ですがこの映画は別格。ストーリーと歌が見事に融和して、言葉では言い表せない感動を味わいます。 TⅤで何度も紹介される『Let It Go』のシーンはもちろん、『生まれてはじめて』が流れる城が開城されるシーンも心が震えます。ここではエルサとアナが交互に歌う二重奏のような形式。Wヒロインもうなずける魅力的な二人のヒロイン。お嬢ちゃんたちが見る子供向けアニメと侮るなかれ。これほど完成度の高いミュージカルアニメには滅多にお目にかかれないでしょう。 皆を、特にアナを傷つけたくないと、独りでいるエルサがとにかく切ない。 魔法の部分の記憶だけ消され、姉がなぜ自分を避けるのかわけがわからないまま、それでも姉を慕うアナがまた切ない。 中盤からはごくありふれた冒険活劇になってしまいますが、それはそれでエンターテイメントとして楽しめます。 そしてここでエンターテイメントの傑作オラフ登場。オラフの存在が、中盤以降の暗くなりがちなストーリーの良い緩衝材になっています。オラフの存在は楽しく、そして愛らしくいじらしい。 エルサが作り出した雪のゴーレムみたいなやつが乱暴すぎるのがちょっとまずい。あなたの大事な妹が、あなたの作ったゴーレムで死ぬほど危険な目に遭っていますよ。 それにしても、アナとオラフの声優さんがね、もういないなんてね・・・ この映画を見ると本当にもったいないなって思っちゃいますね・・・ [ブルーレイ(吹替)] 10点(2022-07-01 02:08:05)(良:1票) |
286. 祈りの幕が下りる時
《ネタバレ》 東野圭吾の小説も、加賀恭一郎シリーズも結構読んでいるのですが、この作品は未読。 どうしても見る前に期待値が上がってしまっていたので、映画そのものはその期待値を超えるものではありませんでした。 ただ期待値を超えてきたのは浅居父娘のパート。ここから全く別の雰囲気に。 小日向演じる浅居父が崖の上で何やら決意する。『ごちそうを食べに行こう』といって蕎麦屋に行く。この辺りからもう辛くて見ていられませんでした。 14歳の浅居博美がワゴンに連れ込まれてからしばらく無音でワゴンだけを映すシーン。このシーンが最高に怖い。そこからのトンネル。皆さんが口をそろえて絶賛されているように、今作の名シーンだと思います。ワゴンからトンネルでの父娘の別れまでが強烈すぎて、他のシーンが霞んでしまったようにさえ思えます。 ミステリーとしてはちょっと不満が残ります。 苗村先生と容疑者が全くの別人だったっていうところはわくわくしたのですが。 結局苗村はただの目撃者。押谷もただの目撃者。生きているはずのない浅居博美の父を目撃したから殺されただけ。 そうなってくると、浅居忠雄にも同情しづらくなります。 もちろん毒妻のせいで生き地獄を味わわされたことは同情に値するでしょう。 ですが『自分の存在を見られた』なんて理由で罪のない人を2人も殺していいはずがありません。娘のためにというならば、苗村先生に見つかった時点であきらめるべきでした。親が殺人犯として捕まるのは最悪。ましてや親が自分のために死ぬのはもっと最悪。でも更に最悪なのは、子供の手で自分を殺させてしまうこと。その時点で死ぬのもあきらめてほしかったです。 いや、そもそも論になりますが、なぜあんな女と結婚したのか。 あんな女を妻に選ぶなんて見る目が無さすぎでしょう。 真相が明らかになるまでは抜群の安定感で楽しめるのですが、真相がわかって腑に落ちないのは東野圭吾作品ではよくあります。 やはりこの人の作品はプロセスを楽しむものなんでしょう。 オチに期待してはいけませんね。 ちなみに加賀恭一郎シリーズは個人的に『卒業』が一番面白いと思っています。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-06-28 16:07:22) |
287. モンスター・ホテル2
《ネタバレ》 1作目より好き。 『バンパイアでも人間でもどちらでも良いよ』と言いながら、やはりバンパイアになってほしいじじバンパイア。 子供を人間として育てたい母バンパイア。 どっちでもいいけど、自分はモンスターホテルで働きたい父バンパイア。 これ面白いのが人間の父バンパイアはモンスターホテルに残りたくて、母バンパイアは人間の世界への憧れもあって子供を人間社会で育てたい。普通逆を望みそうなもんですけど、平和でなによりです。 で、それをひっかきまわすのがじじバンパイア。 ここも前作とは人物相関図に変化がありまして、前作でさんざん人間のジョナサンを嫌っていた父バンパイアがジョナサンを頼っているのがなんとも微笑ましい。そして溺愛していたはずの娘の母バンパイア(メイヴィス)とはやや敵対気味。こーゆー変化が楽しいですね。 そしてメイヴィスとジョナサンの子供がなんとも愛らしい。これはキャラクター勝ちですね。 前作のメインキャラクターたちが引き続き登場してくれるのも嬉しい。 モンスターたちの世界に現代文明が入り込み始めているのも最高。スマホやフェイスブックを扱うゾンビ。 バンパイアの特訓場は、バンパイアのキャンプ場に。保険会社との契約の関係で安全第一の経営。 現代の子供たちをとりまく過保護すぎる社会をちょっと揶揄っちゃうような描写には、メッセージ性も感じられます。 フランケンは人間の人気者になっちゃってるし、狼男とマミーはすっかり隠居気味で『やれって言われてもずっとやってないからな~』ってとにかくゆるい。 最後は子供が覚醒してちょっとヒーローもののような盛りあがりさえ見せます。 まあ若干つめこみすぎてしまった感はありますが、サービス精神てんこもりの見せ場の多さで飽きの来ないエンターテイメントに仕上がっていると思われます。 [ブルーレイ(吹替)] 7点(2022-06-28 03:46:32) |
288. マネーモンスター
《ネタバレ》 マネーモンスター。誰かを象徴している言葉かと思いきや、まさかの番組名。苦手な投資系社会派サスペンスかと思ったら全然違いました。いや、そうなんですけど、違いました。 要は上場企業アイビスの社長が会社の8億ドルを横領。アフリカの鉱山ストで暴落した鉱山株をその8億ドルで購入。鉱山ストのリーダー『マンバ』を買収。元の値まで鉱山株が戻ったら購入した株を売却。ところがマンバが買収に応じなかったためさあ大変。8億ドルは為替取引のコンピューターのバグにより生じた会社の損失ということにしてしまおう。というお話。 でも真相がわかるのは最後のほう。真相がわかるまでは、全財産をアイビスに投資した結果破産した若者が、アイビス株を推していた投資番組『マネーモンスター』とアイビスを逆恨みしてテレビ局を乗っ取るという、逆恨みドラマにしか見えません。しだいに司会者のリーが犯人に同情的になっていくのもストックホルム症候群みたいなもんだろうと。 それはそれで面白いんですが、『いや、何やら裏がありそうだ』と物語が真相を追い始めてから更に面白い。真相が明らかになるにつれ、まじで若者悪くないじゃん、ってのがわかってくるわけです。自動株取引かなんかのためのアルゴリズムを作ったエンジニアが、『このプログラミングでは8億ドルの損失が出るまで取引をすることは絶対にない』って電話で言うシーンがゾクゾクします。純粋にこの企業の株が下がったのであれば自己責任。ですが今回は明らかに人為的で社長の私欲による損失。つまり、番組の予想もそれに乗っかった若者も正しかった。実際は被ることのなかった損失を被ったわけです。 まあ映画はわかりやすいのですが、何やら専門的な単語の数々で若干煙に巻くような感じがしないでもない。しかも断片的な情報ばかりで、多少のわかりづらさがやはりマイナス。 でも全部理解できていなくても、なんとなくで楽しめちゃうストーリー展開とわかりやすすぎるキャラ造形は良し。 後味は良くはないですね。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-06-24 04:00:04) |
289. ヒドゥン・フェイス
《ネタバレ》 殺された女性の霊か?それとも天才指揮者のサイコパススリラーか? いやいや。うっかりさんのインキー事件簿でした。 アドリアンはベロニカと浮気をしています。ですがそれがいつからなのか、どの程度のものなのかは写真くらいでしか判断できません。もしかするとベレンがいなくなる前は、電話やメールのやりとりだけだったかもしれません。で、ベレンには正直に浮気を認めます。終盤ではベロニカに自分から関係の解消を告げます。浮気をしたことはダメですけど、そこまで不誠実な人間には見えません。 何が言いたいかといいますと、ベレンの計画ってちょっと度を越している気がします。ベレンが陥った状況というのはとても利己的な行動の末なので、同情も感情移入もしづらいです。 ファビアナはファビアナでベレンを見殺しにしようとします。でもアドリアンの浮気写真を見せられたら、じゃあベレンを助けてあげようかなって、こいつもこいつでなかなかです。もしかしてさっと身を引いたベロニカが一番いい女なんじゃ・・? 映画自体はとってもわかりやすくて好きなジャンル。 前半、浴槽でファビアナが慌てだした理由が実はよくわかっていなかったのですが、そーゆーことだったんだぁーって、すっきりします。前半のささやかな怪奇現象のネタばらしが面白い。ファビアナとベレンのイエス、ノークイズはもはやコメディ。 だから悪くはないんですが、ラブロマンスとスリラーが半々になっちゃって、どっちも印象が薄くなっちゃったのがもったいない。スリラーならスリラー、脱出劇なら脱出劇に的を絞ったほうが良かったんじゃないでしょうか。 [DVD(字幕)] 7点(2022-06-21 14:37:37) |
290. コンテイジョン
《ネタバレ》 淡々としたドキュメンタリーチックな映画。 2年前にコロナが世界中に流行し始めた頃を思い出します。 クラスターやロックダウン、濃厚接触者の隔離に、ウィルスの変異、実行再生産数から導き出される予想感染者数、この映画で想定されていたことはコロナ禍においてすべて現実のものとなりました。奇しくも感染源までほぼいっしょなのがまるでコロナを予言しているかのようで恐ろしい。 誇張した表現や演出はほとんどありません。リアル路線。リアルな作風は退屈と結びつきがちですが、この作品ではリアルな作風が感染症の恐ろしさと崩壊していく社会を強調していて効果的に働いています。 子供やケイト・ウィンスレットといった、普通の映画では犠牲にならないような人たちが次々と犠牲になっていきます。ケイト・ウィンスレットがその他大勢の人たちと埋葬されていくのは胸が詰まります。 世界規模のパンデミックを題材にしているわけですから、膨大な情報量をまとめなければなりません。1つ1つのエピソードが薄味になってしまうのは致し方のないことなのでしょう。だからこれだけリアル路線でいくのであれば、映画ではなくドラマでじっくり見せたほうが良いのかもしれません。 一番最後に『1日目』をもってくるストーリー構成は素晴らしいと思います。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-06-21 01:32:25)(良:4票) |
291. モンスター・ホテル
《ネタバレ》 予想以上に多種多様なモンスターがたくさん出てきてそれが楽しい。 ただアメリカのアニメって、だいたい全部同じようなノリなんですけど、とにかくドタバタ。それが許容できる範囲かそうでないかは結構大事。今作はちょっとドタバタすぎてうっとうしいなぁと感じる部分も。しかもあまり必要性のないドタバタ。よってストーリーの進行はもたもた。テンポが良いのか悪いのか。やや中だるみしちゃいます。個性あるモンスターたちのおかげで何とかもっているという感じ。 ストーリー自体はベタな家族愛、異種族間恋愛というありふれたもの。既製品大好きな私にとってはありふれた物語であっても面白ければ問題なしです。 簡単に筋を追うと、ドラキュラの妻が人間に殺されている。妻の忘れ形見の娘を守るため、モンスターだけが安心してくつろげるホテルを造る。娘がホテルから出ていかないよう画策する。そんなホテルに人間の若者が迷い込んでしまう。うん、良いと思います。 でもなぜかいまいちストーリーに乗り切れない。ドラキュラとジョナサン(人間の若者)のやりとりがくどすぎて、なかなかストーリーが進まないからかもしれない。 それだったらジョナサンがさっさと人間だということがばれちゃったほうが面白かったもしれない。そこからモンスターと人間の交流メインで少しずつ誤解を解いていくようなストーリー展開のほうが、この作品が伝えたいメッセージをよりしっかりと伝えられたんじゃないかな。 終盤、人間のモンスターフェスティバルに迷い込んじゃうのがすごく好き。でもそっから先の飛行機のくだりはちょっとくどい。長すぎます。 アイデアも映像もキャラクターも良いのに、どうにもその良さを生かし切れていないのか、感情移入しきれないまま終わっちゃいました。 私はドラキュラの妻も実は人間だったっていう真実のほうが良かったと思います。 [ブルーレイ(吹替)] 6点(2022-06-20 14:37:10) |
292. 麒麟の翼~劇場版・新参者~
《ネタバレ》 東野圭吾はクエスチョンの出し方は上手くて興味を引かれるのですが、それに対するアンサーはたいしたことがない、ってのが多い気がします。 鶴、水泳、工場でのワンシーン、ネカフェの会員証、麒麟の像を見上げる婦人、張り紙、などなど、ヒントの出し方が小出しで断片的。でもあからさまに伏線ですよってわかりやすくしてくれている。でもどーつながっていくのかが予想できない。だから興味を引かれる。よーできてます。刑事もの、ミステリーものとしては見ごたえがあります。 こんな感じで東野圭吾の小説はそのプロセスを楽しむものが多い。もちろん物語の9割はプロセスなんだからそれは小説が、ドラマが、映画が面白いということと直結します。でも最後まで見てしまうと火曜サスペンス劇場とスケール的には大差ないというのが正直な感想。まあ、火サス好きなんで別に良いんですけど・・・。 キャストは凄く豪華なので、そこはザ・映画って感じがします。ただ、一部の大根のせいで全体が安っぽい印象に。青柳家の娘や八島の工場友達などは特にひどい。ガッキーもこの作品はなんかいまいち。脇役も大事ですねー。 この映画で一番緊張感あって盛り上がるシーンが、『加賀ぁ!捜査を振り出しに戻して!お前はどの線を追っているんだ!』って警察本部長が恫喝するシーンですからね。ベテラン俳優は凄いです。若い役者さんたちにも頑張ってもらいたいものです。 それにしても、結局青柳家は父が殺され、社会的には父の汚名もそそがれないまま映画は終了。なのに晴れ晴れとした顔をしている、この事件の発端となった青柳家長男。八島だって本当は死ぬ運命じゃなかったかもしれないのに。なんかちょっと良い雰囲気で終わっていますが、切ないうえに決して後味の良い作品だとは思えないんですけどね。 [ブルーレイ(邦画)] 7点(2022-06-19 16:26:22) |
293. 蜘蛛の巣を払う女
《ネタバレ》 前作がかなりラブロマンス、ミステリー、サスペンスに力を入れていたのに対し、本作はアクションに力を注いだ感じ。もちろんこれはこれで好き。ミッションインポッシブルや007みたいで楽しい。 ただ、前作が唯一無二と言っても過言ではない映画だったのに対し、今作は楽しいけれど凡百とある作品の一つに成り下がった感はあります。おそらく前作の内容は一生覚えていそうですけど、今作の内容は忘れそうな気がします。 キャストが総入れ替えになっちゃったのは痛い。 クレア・フォイはダメじゃないんですが、ルーニー・マーラと比べると表情が動きすぎます。クールさが足りないんです。 ミカエルにいたってはもはや別人。名前を覚えていなかったら前作のミカエルと同一人物だと誰も気づかないほどの別人です。そして影薄すぎ。 この作品単体で見れば決して悪い作品ではありません。特に敵対する相手が組織になっていて、しかもかなり強力で凶悪になっているところは良い。何度もピンチに陥る展開は目が離せません。リスベットも機転が利くし、罠はしかけるし、高い能力を発揮します。そのリスベットを追い詰めるほど敵は組織的に動きます。やばいやつが2人います。しかもその1人は姉。そーゆーところは凄く良いんですけどね。 前作のリスベットとミカエルの関係を期待するとがっかりしちゃうと思います。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-06-18 13:36:28)(良:1票) |
294. 処刑山 ナチゾンビVSソビエトゾンビ
《ネタバレ》 車酔いをするゾンビ。吐いたゲロをもう1回食べるゾンビ。なんというか、この映画を作った人はゾンビが好きなんだなーっていうことが痛いほど伝わってくる作品。『ゾンビにこんなことさせてみた』ってのがいっぱい出てきます。 ジャンル『ホラー』となっていますが、怖さはほぼ皆無。内容はグロアクション。夜のシーンより昼のシーンが多い。つまり見ている人を怖がらせよーなんてことは微塵も思ってなくて、しっかり見てもらって楽しんでもらおうという気概に満ちた作品ではないでしょーか。じゃないとゾンビ同士のミリタリーバトルなんて思いつかないでしょう。蘇った恋人とキスをすんのか?それともハグか?と思ったらいきなりのカーセッ〇ス。そんな映画は後にも先にもこの映画だけでしょう。 障害者、高齢者、子供、みんな分け隔てなく殺しちゃいます。モラル無視。超不謹慎。お母さんたちが子供に見せたくない映画No.1。誰にも勧められない映画です。 でも私はこの映画好きです。主人公の右手がナチゾンビの親玉ヘルツォークの右腕になっちゃう。そして凄い力を手に入れます。素手でゾンビを粉砕するパワー。更に死者を蘇らせて自分の配下にできるチート能力。あれ?これってヒーローものですか?っていう趣まであります。 ゾンビスクワッドの面々も、ゲイの博物館員も、みんな良い味出しています。 ひとつ不満を上げるなら、最後の戦い。ここでもっとマーティンに無双してほしかったのですが、急に沈黙する右腕パワー。更にせっかく復活させたソビエトゾンビとナチゾンビの戦いが互角でない。個人的には今まで好き放題殺戮を繰り返し平和な街を蹂躙してきたナチゾンビに天誅を下す意味でも、最後の大乱闘は主人公グループに圧倒してほしかったです。 [DVD(字幕)] 7点(2022-06-17 07:55:41)(良:1票) |
295. パッセンジャー(2016)
ええー?許せるかなー?どーかなー?いや、許せないでしょ、やっぱり。 ただジムも純粋に被害者なんですよね。もちろんだからといって他の人を道連れにしていいわけはありません。ですが、最初目覚めたのが自分一人だと気づいていなくて、鏡の前でウキウキしているところから、その後あまりに残酷な現実をたたきつけられたジムに同乗の余地はあるかと思います。 オーロラに真実がばれたとき、正直に認めたのは潔し。その後のオーロラのキレっぷりも良い。寝ているジムを殺しそうな勢いで殴る蹴る、いや、鈍器で本当に撲殺寸前までいっています。そーです。そんぐらいキレてもらわないと。 自分がジムと同じ状況になったら、気がふれてしまうかもしれません。無人島であれば、まだ誰か助けに来てくれるかもしれないという希望がもてます。ですがジムの状況ではそれすらもかなわない。ひとカケラの希望もない。それが最も辛い。 オーロラを目覚めさせたこと。そしてそのことを隠そうとしたこと。この2つは絶対に許されません。ですがその2点を除けばジムはいたって常識人。善良と言っても良いでしょう。 終盤ではジムの本来の善良さが炸裂します。贖罪の意味もあったのでしょう。オーロラと宇宙船を救うために自らの命を犠牲にしようとします。そして奇跡的に一名をとりとめた直後、今度はオーロラをもう一度コールドスリープに入れようとする。もう自分の事は二の次。オーロラの事だけを考えて行動しています。私は、ジムが自分がやってしまったことを心から後悔しているのだと感じました。 私はジムがしでかしたことは許せませんが、ジムという人間は許せそうです。 そして映像は美しく、映画は面白かった。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-06-15 03:59:07)(良:1票) |
296. ドリーム
《ネタバレ》 麦は踏まれて強くなる。トマトもストレスをかけるとより甘くなるらしい。 この映画を見ていて、やはり人を育てるのは逆境なのだろうかと強く思いました。おそらくかなり誇張されてはいると思いますが、恵まれた環境で仕事をしている白人たちの無能さが、優秀な黒人女性3人との対比によって浮彫りにされています。 ゆとり教育は終わりましたが、相変わらず子供をとてもか弱き生き物として、傷つけぬよう大事に大事に温室栽培。親も教師も叱ってはならない方向に舵をきっている日本の将来が不安でなりません。ちょっと映画の感想とは離れてしまいましたが、今作を見ながらそんな感想を持ってしまいました。 そして1960年代と言えば人種差別がまだまだ健在だった頃。今作も例外ではありません。有人飛行の成功よりも、キャサリンの涙ながらの心の訴えのシーンが一番心に残ります。 不当な扱い、不平等が当たり前の世界。そんな中自分たちの才覚と努力だけで周りを認めさせ環境を変えていく3人の女性たち。この3人の活躍なくして、今のアメリカは無かったと思えるくらいの説得力を感じます。実話に基づいているとはいえ、この脚本、ストーリー構成は見事すぎます。 ただでさえ情報量が多いので、再婚のエピソードはなくても良かったかもしれません。もちろん『キャサリンは決してスーパーマンなんかじゃない。ささやかな家族の幸せと権利を望むだけの一人の女性なんだ。』と、印象づけるのには成功していると思えます。 ですがそれはトイレから戻ってきたキャサリンの涙ながらの訴えのシーンや、二人の同僚の権利を求める闘いのエピソードで十分に描けていると思います。 それにしても自省の意味もあるとは思いますが、ここまで当時の白人至上主義をクソミソに描いた映画を製作するなんて、アメリカって実は懐の深い国なんですね。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2022-06-14 00:09:50) |
297. カウボーイ&エイリアン
《ネタバレ》 タイトルから企画もののB級作品と決めつけて見ちゃったのですが、大真面目で大掛かりな作品でした。 よく見たらハリソン・フォード出ているし。 内容はタイトル通り。エイリアンとカウボーイが戦う。ただそれだけ。ただカウボーイというより荒くれもの集団という感じでしたが。 もちろんその結果は火を見るより明らか。どー考えても勝てるわけないでしょ。それは最初のエイリアン襲撃の時にも強く感じたのですが、これをうまいこと互角の勝負にもっていって、最後の戦いではそこそこ良い勝負に持っていっちゃう。人間側のほうが犠牲が多いように見えますが、エイリアン側も着実に仕留めている。その辺のバランス感覚は上手いと思いました。 敵対するグループが手を組み、侵略者に立ち向かう。使い古されたプロットですが、間違いなく盛り上がります。 ただし、アパッチ族までくるとさすがにクドい。この辺りはダレる原因になっていそうです。 アパッチ族が仲間になるくだりをまるごと省略して90分くらいにまとめたほうが良さそうです。この題材で2時間越えは長い。 多少文句は出ちゃいましたが、ホラー演出あり、アクションありでエンターテイメント性は高い。 こーゆー映画嫌いじゃないです。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-06-13 01:58:05)(良:1票) |
298. インモータルズ/神々の戦い
《ネタバレ》 序盤からわりとテンポ良くストーリーが進んでいきます。神話をベースにしているからって、もったいぶった感じを出していないのは好き。 ハイペリオンの軍勢はわかりやすいほど悪。残虐非道。この人たちが徹底的に過激でグロいから、映画がダレません。ただ、そーゆーとことん悪の限りを尽くすのが前半のストーリーなら、後半はそれを凌駕する逆襲のストーリーを用意してほしいものです。この監督さんがストーリーに拘らない監督なんてことは、こちらは知りません。私は映画を見たいのです。映像だけを見たいわけではないのです。 とにかくこの作品には逆襲、復讐のカタルシスがてんで足らないです。 テセウスは多少強いですがそれだけ。相手の数が多ければ結局やられてしまう。最初はそれでもかまいません。そこから成長してゆくのも映画の醍醐味だから。でも成長しない。テセウスも。その仲間たちも。 ピンチになれば神様がかけつけてくれる。そのシーン自体は見ごたえがあって楽しいのですが、それと同時に主人公たちも強くなってくれないと盛り上がらんのです。 伝説の武器を手に入れて強くなるのだってこの際OKです。実際に伝説の弓を手に入れて強くなった・・・・かと思ったらあっさりその弓を奪われて、ハイペリオンの最終目的のために弓は使われて消滅。いや、確かにそーゆー話ではあったけどさ。本当にその通りにしてどーすんのさ。敵の切り札であるはずの弓を主人公が手に入れて、逆にその弓で悪の軍勢を撃退して復讐を果たすっていうのが爽快なんじゃないの?わかってないなもう。なんか見たいものを絶妙にずらされて結局見れずじまいみたいなモヤモヤする映画でした。 ちなみに巫女役に立たなすぎ。この人の力で弓を見つけるのかと思ったら、なんか偶然みたいに見つけちゃってんじゃん。これじゃあ巫女はただおしり出すだけのお色気要員だよ。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2022-06-12 02:56:56) |
299. ドラゴン・タトゥーの女
《ネタバレ》 長尺ですが長さを感じさせない映画。それぐらい映画に入り込めました。 いや、やっぱ少し訂正します。前半30分がややだるい。状況説明が複雑というよりは、映画にするには情報量が多すぎる気がします。ですがここは気合入れて見とかないと、面白さが半減するのではという強迫観念から集中して見ました。 さて、今作の魅力はなんといっても二人の主人公。敏腕ジャーナリストのミカエル。天才ハッカーのリスベット。この二人の何やってるかはわからんのだけど、なんだか超頭脳プレーやってる感じがたまらなくかっこいいのです。 ミカエルは登場時あんまぱっとしません。なにせなんか記事で訴えられて、敗けて、賠償金で窮地に立たされているわけですから。だからあんま有能には見えない。ですが実は切れ者というのが徐々に見えてくるわけです。マイナスイメージからのスタートなので好感度は上がる一方。 そしてミカエル以上に魅力的なのがリスベット。ミカエルも優秀だが、リスベットは更にその上をいく天才。そして天才ハッカーでもある。でもリスベットの人生は最悪そのもの。父親、後見人、出会う男性は鬼畜ばかりで男性不信になるのも必然。 そんな警戒心むき出しのリスベットに仕事の協力を依頼するミカエル。この展開がアツい。 ある意味ライバルに近い関係だった二人が手を組み巨悪に立ち向かう。まさかこのエゲツないストーリー構成で、まさかのコテコテ少年漫画的激アツ展開を誰が予想できましょうか。 そしてそんなリスベットがミカエルに少しずつ心を開いていく様子がまたたまらないのです。 ベッドで仕事モードに入ったミカエルがリスベットのパソコンをのぞき込もうとすると『もう少し触ってて』とリスベットが実にさりげなく甘えるシーンがあります。あまりに何気なさすぎて、それが激萌え。ツンデレここに極まれりです。 ホラー&サスペンスのスリル、知的好奇心を刺激されるミステリー、そして究極のラブロマンス。そのすべてがこの映画につまっていて、これは忘れられない映画になりそうです。 ラスト20分。リスベットが何をやっているのかはわかるのですが、誰のためにやっているのかがよくわかりません。結局自分のため?分散させた口座はリスベットの口座なの?その辺最後もやもや・・ そして大絶賛されている恋のゆくえですが、成就してほしいと願っていた私としては凡作に成り下がっても構わないので、リスベットとミカエルにくっついてほしかったのです。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2022-06-11 02:47:29)(良:1票) |
300. テルマエ・ロマエⅡ
《ネタバレ》 勝手知ったる2作目なので、序盤からローマと日本をいったりきたりっていうテンポの良さは良かったと思います。ここで前作みたいにもったいつけられたら気分が醒めちゃうかもしれません。 前作の前半のノリが大好き。だから今作でもそのノリを踏襲してくれたのは嬉しい。 マジック・ショーで気絶するシーンが最高です。 今作では温泉というより温泉街を模倣します。古代ローマになんちゃって温泉街が出来上がっていく様子がなんとも微笑ましくて楽しい。相撲文化をコロッセオに取り入れるのなんて何気に斬新。なのに最後のほうではまた血生臭いコロッセオに戻っていたのはとても残念。それだったら最後のほうで相撲文化をコロッセオに取り入れて、血生臭い殺し合いはなくなりましたってフィクションにしてくれたほうが良かったです。 今作はシリアスなドラマパートも前作よりなんだか楽しんで見られました。ただケイオニウスの兄と元老院にどんな罰を与えるのか、どんな逆転劇を用意しているのかちょっと期待していたぶん、力技と説得だけっていうのは正直期待外れでした。 ラストは結構好き。死の運命を受け入れるルシウス。離れ離れになる二人。でも真美の漫画がヒットして映画化されるというサクセスを用意。切なさと幸福感を次々と感じられるラストはなかなか良い。 最後に結局ルシウスが日本に来ちゃったのは、嬉しいけれど、蛇足感は否めない。 そういえば、混浴のシーンでルシウスが『なんて牧歌的なんだ・・・』みたいに、めっちゃ良いようにキレイごと言ってましたけど、私は普通にえろいと思いました。 [ブルーレイ(邦画)] 7点(2022-06-08 02:26:17)(良:2票) |