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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 2534
性別
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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301.  鋼の錬金術師 《ネタバレ》 
 公開前からかなりの悪評が渦巻いていて、なんかデビルパワーを発揮している映画?ってヘンな期待をしちゃいましたが、言われてるほど酷くもなく、さりとて良くもなく、ごくフツーな印象でした。日本人が洋モノ演じる状態はヅカで慣れてますしねぇ。もっとも、ヅカみを感じたのは辛うじて蓮佛さんだけでしたが。   この映画最大の問題は、娯楽映画のクセして見せ場が極端に少ない、ってところでしょうか。冒頭にCGを駆使したアクションシーンがあって、そのノリがずっと続くのかと思ったら、あとはクライマックスまで大々的なアクションは登場しません。その間はひたすら対話シーンとミステリー展開と。その流れがちっとも面白くないのでダレるダレる。1時間40分で語れる程度の中味を2時間13分に水増ししてるような状態で。  それから、エドとアルがメインなハズなのですが、これがちっとも活躍しなくて。画面に出ている時間が長いだけで、実質的にはディーン・フジオカの映画じゃね?って感じ。まあ、監督が「綾瀬はるかが主人公だと思ってたら大沢たかおの映画でした」な『ICHI』の人ですしね・・・  マンガゆえのぶっ飛んだ設定を受容するのも大変ですし、不可解な行動する人達もなかなか理解し難いですし(小日向さんは、何を根拠にあの一つ目を自分の支配下に置けると思い込んだのでしょう?)。   それでも、そんなマンガな話でも、エドとアルの関係性というか、背負った悲劇な部分は楽しめましたし(山田涼介の演技は喜怒哀楽の単純な使い分けしかできてないように思いましたが)、それから松雪泰子姐さんは最高でしたし。『クボ 二本の弦の秘密』の闇の姉妹の実写版みたいな存在で、仮面無しであの仮面顔は恐ろしくも美しくて、ゾクゾクしましたわ。  大泉洋とか本田翼とかの、いつものまんまのイメージの人とかはツッコミどころなんでしょうけれど。   もう少し「小さい子も見にくる娯楽映画」って視点で作って欲しかったかも。そういう縛りがあるところから生まれる娯楽性っていうの、実は今の邦画に必要なものだと思うので。
[映画館(邦画)] 5点(2017-12-04 22:02:57)(良:1票)
302.  先生! 、、、好きになってもいいですか? 《ネタバレ》 
 「先生と生徒の恋愛」っていう、もう絶対NGな題材じゃ、私のご贔屓、さすがの三木孝浩監督でも、どうにもダメなんじゃ?って不安でした。  結果、もうずーっとキュンキュンが止まらない映画で。   全編、ヒロインの視点で描かれてるんですよね。なので彼女にずーっとキモチがシンクロして、先生を好きになってゆく過程がじんじんと伝わってきて。友達との関係も温かく、ヒールになりそうなヨカンな女教師にもドラマが与えられて、ああ、コレは間違いなく三木監督作品の味わい、って。  恋愛話としても、そのくらいにとどめておくのなら、ってバランスでラスト以外は上手く描けていたと思います。ラストシーンは余計だったかな。あと2分くらい手前で終わりにしちゃった方が良かったかも。最後まで行って、先生の価値ダダ下がり。結局そこに堕ちるんか、と。   とにかく広瀬すずがとても綺麗に撮れていて「それはない」ってカットが1つもありません。徹底してこだわって撮ってるんでしょうね。  三木孝浩監督と言えば光の使い方と風情あるロケーションですが、今回の映画もそれを目一杯活かしてます。神がかったライティングのカットがいっぱいあって、目に栄養たっぷりでした。   そして広瀬すずに確実に芳山和子の姿を見ましたわ。もちろん83年の原田知世版の『時をかける少女』。髪型とか弓道とか、そういう表面的な部分だけでなくて。映画の中の少女としてのイコンというかシンボリックな描き方というか。そういう意味で、彼女にとってとても重要な一編。   というわけで、その魅せ方で納得させられちゃうキラキラと素敵なラブストーリーでした。
[映画館(邦画)] 8点(2017-12-03 20:40:07)(良:2票)
303.  GODZILLA 怪獣惑星 《ネタバレ》 
 物語とかドラマとか、そういうモノに興味がないらしく。  オタク系アニメに氾濫しまくってる、ひたすら設定と状況を説明する事に終始している映画。  こういう設定イイでしょ?こういうデザインかっこいいでしょ?って見せつけたいだけ。すげーつまんない。   物語はツッコミどころ満載、力が弱過ぎで。「長い年月をかけて努力して新天地を目指した人々がいきなり地球に還る事をさっさと決め、2万年経過した地球に対してただゴジラ一体だけを警戒し、テロの首謀者を隊長にする」というお馬鹿っぷりは笑うところでしょうか?   出てくる人が誰もかれもみんなつまらないのが困ったものですが、最大の問題はゴジラに全くキャラが無い、ただ存在してるだけ、って事。別にシェーしたり、木枯し紋次郎のマネしたり、育児したりしろって訳じゃないですけど、アレは別にラドンでもアンギラスでもジラースでもダイゴロウでもメガロでもプルガサリでも成立しますよね? ゴジラがゴジラである、ゴジラ映画としてのアイデンティティがこの1作では見当たりません。   これってゴジラを見せたくないゴジラ映画?
[映画館(邦画)] 1点(2017-12-03 20:16:49)
304.  覆面系ノイズ 《ネタバレ》 
 中条あやみの歌は『カノジョは嘘を愛しすぎてる』の大原櫻子のような説得力のあるレベルまではいかないのですが、十分に良い声を響かせていました。でも、それも含めた彼女の個性をちゃんと活かせていないもどかしさ。アップである程度長く回すシーンをホラー顔に撮っちゃう残念っぷり。   映画は全編ボンヤリしたイメージ。エピソードがブツ切れで、唐突で強引な展開が多いので、なかなか気持ちが乗ってゆかない、繋がってゆきません。キャラクター一人一人、出てきて引っ込んで、そこに流れがなくて何を考えているのやら、って状態。誰の流れにも終わりが無い、物語として閉じてゆかないのですから、そりゃ映画のイメージも曖昧になります。   また、どのキャラも身勝手な言動が多くて、でも「高校生だから」って設定を免罪符にして物語や脚本が構成されている状態。    そもそも、いくら高校生とは言え、プロの世界があんなに優しく甘い訳はなくて、そこに全く説得力がなくて。おとぎ話というかファンタジーというか妄想というか、そういう雲の上みたいな世界を受け入れられてこそ、なのでしょうけれど、いかんせん世界があまりに狭く感じられます。  っていうか、ヒロインがまるで鎌倉から豊洲まで走ったようにしか見えない映像の構成なのは、さすがに狭すぎですわねぇ・・・っていや、彼の家はアレ、ドコ? あと、鎌倉-渋谷間もやたら短く感じる世界。あ、そう言えばヒロインは転校してくるわけですが、元から江の島近くに住んでいた筈で、それまでどこに行っていて、どこに引っ越してきて? あれ? なんか位置設定がハチャメチャで物語以外にもツッコミどころ満載ですな。   役者はみんな良かったのですが、女優さんはもう少しちゃんとキレイに撮ってあげてください。お願い。
[映画館(邦画)] 5点(2017-12-03 19:59:05)
305.  gifted/ギフテッド 《ネタバレ》 
 叔父さんとお祖母さん、どちらも正しい部分と間違ってる部分とがあって、だから女の子にとって本当に正しい道を慎重に繊細に探ってゆく、のかと思ったら、クライマックスになると悪が正体を現し、叔父がヒーローとなって必殺技を放ち怒涛の都合のいい結末を迎えるという。なんだか雑っていうか、半端なものを見せられちゃったカンジでした。  映画を創る1つ1つの要素がどれもピタッとはまってはゆかず、ゆるゆるしたまま終わっちゃった印象。   叔父さんとお祖母さんがそれぞれに自分のエゴを優先して女の子を振り回す状態なので、どちらも応援できずにひたすら女の子に同情しちゃって、だから肝心のクライマックスで彼女の姿を描かないままに映画の結末を決定付けてしまうのは、ちょっと違う気がしました。結局は大人の都合にばかり目が向いて問題にちゃんと向き合えていないのではないのかな?   っていうか片目の猫のフレッドって存在に女の子の立場や心を映しているのならば、ちゃんと最後までフォローして欲しかったかな。  もしかしたら少女とフレッドを芯にした映画にすれば、名画になったかも?
[映画館(字幕)] 5点(2017-12-03 19:37:01)
306.  ミックス。 《ネタバレ》 
 ありふれた定番の物語、意外性も何もなく、予定調和の道を進む映画。強引な展開、ツッコミどころ満載、テンポダウンしてしまう後半とか、欠点大量な脚本。大会当日まであんなすったもんだしていて、アレでどうやって大会に出られたんだ?っていう。  ロケーションにしても、みなとみらいや江の島に気軽にアクセスできるって設定の神奈川県でなんであんなに平べったい田舎なんだ?っていう地域的不自然さ。実は千葉とか群馬とかでロケしてまーすっていうのが関東の人間には丸判り。   でも、それでも良かった、いい映画だったと思えたのは、キャラが魅力的だったから。と言ってもキラキラに飾るのとは全く逆ベクトルの、ウェザリングしまくったプラモみたいな存在感ゆえの魅力。  不器用で地味めで垢抜けてない、笑顔が苦手なガッキー、色々諦めた感の漂う、むさ苦しい瑛太、力の抜けた「田舎のちょっとくたびれた感じの元ヤン」ヒロスエ、それぞれがスターのオーラを消しまくった状態で登場し、そしてそれぞれがその状態で魅力を放つ存在になる、っていうかなりテクニカルな事をしてる映画だったりします。メイクやヘアスタイリストや衣装の人の技巧が、そして役者さんの演技が光っている訳ですね。  っていうかエンドロール見て「蒼井優ってどこに出てた?」って。いや、マジで気付かなかったし。で、帰りの電車の中で調べて「え、あのぶっきらぼうで横柄で愛想の無い、でも憎めない、っていうかむしろ愛着を覚える姐さんが蒼井優だったの!? 中国の女優さんかなんかだと思った・・・」みたいな。このサイトで調べると未レビュー作品も含めて彼女の映画、これまで少なくとも27本見てるっていうのにね。  肝心のクライマックスのキスシーンにしても、ロマンティックに見せるなんて事はせず、ガッキーは作業服姿に作業帽かぶった状態で、徹底的に晴れやかにキラキラしている感じを排除しています。  それぞれのキャラが輝きを抑えて生々しい存在感を放つ事で、それぞれの生が胸に迫ってきて、そしてクライマックスでの、あくまで飾らないがゆえに放たれる輝きに繋がるのですね。  で、だからヒールポジションの永野芽郁だけはバキバキに作ったメイク顔なのが面白いのでした。   この世界の人々の中に居られたらいいのに、と思えたならば、その映画は成功しているんじゃないかな、と思うのでした。
[映画館(邦画)] 7点(2017-11-05 20:06:04)
307.  斉木楠雄のΨ難 《ネタバレ》 
 私がこれまでに見た福田雄一監督作品の中では最もつまらない映画でした。   「何も無い映画」なんですよね。話としては何も起こらない。キャラクターが成長したり学習したりは一切しませんし、物語の始まりと終わりとで何かが変わる事はありませんし、何も生まれず何も失われません。  そして、そんな映画ならばそんな映画なりのあり様がある筈、そういう映画としての美学があっていい筈ですが、そんな事には一切頓着していなくて、単なるネタ集であり、そして殆どのネタがハズしてるという状態。原作マンガに準じているのでしょうが、マンガをそのまま映像にすればそれで面白いのか?という基本的な部分で間違っているのではないかと。   全てのキャラに一切のリアリティなどなく、この世界の中だけで閉じているキャラで、ならばこの世界なりのルール、面白さを示すべきだと思うのですが、そこを創造する気はさらさら無いようですし、単なる面白キャラなりの面白さすらも示せておらず、演じてる役者さん達はそこに存在し、その世界の登場人物となり、ギャグを演じてはいるけれど、みんな目が死んでる、って状態。  福田監督の悪いクセである投げっぱなしで回収しない、オチを付けないエピソードが大量に散らかっていて、でも、そんな事もどうでもいいくらいにそもそもの芯となる基本的な物語がつまらないという。   今年の橋本環奈出演作3本の中で、最も彼女を魅力的に撮れていない映画でもありました。3本中これとあともう1本も福田監督なんですけど、そっちに比べても全然。別にヘン顔してるからとか、そういう意味でなくて(アッチでもヘン顔してるけど、アッチはそれでも魅力的でしたし)。   お金を払って見るレベルではなくて、この映画にかける時間すらも勿体なくて、「何も無い芸」ってのは、だけどそういうモンじゃないんだって学んで頂きたいところです。喜んでお金と時間を提供できる「何も無さ」ってのがあるとして、少なくともコレは全く違います。
[映画館(邦画)] 3点(2017-11-05 19:03:01)
308.  猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) 《ネタバレ》 
 前2作はワリと微妙に感じてたんですよね。結局お猿さんだよね?っていう。それは前シリーズやティム・バートンのアレも一緒で。お猿さんは宇宙人でも怪人でもなくてお猿さんで。   でも、今回は今までよりも点数高いです。迫害されるお猿さんの1作目、内輪モメなお猿さんの2作目から、今作は明確に人間との対立という形になって。お猿さんが特定の民族の象徴ではなく、人類の選択すべき道を示していて、このお話はここまで辿り着きました、という到達点が明確になっています。  破壊と殺戮に囚われた人類と、それに抗うシーザーは旧き人の形を示し、天使に導かれて安息の地を目指すお猿さん達はあるべき人の形を示しています。それは黙示録的で、神話的で。そして選民意識や民族主義に走り排他的な流れに走っている現代の世界情勢に対する啓示のようでもあって、だからこれは今この時代に作られた事に意味がある、その時代を映す鏡として至極正しい映画だと思います。  存続の危機に陥ってなお対立をやめない人類に対して襲いかかる天罰的状況、そこに意識を向けるべきなのです。   天使ポジションのノヴァの色がモノトーンの作品世界の中で希望を示すコントラストとなっていて、美しい絵を創り出しています。彼女が画面に登場するカットは宗教画的ですらあるのでした。
[映画館(字幕)] 8点(2017-11-05 18:24:48)
309.  IT イット “それ”が見えたら、終わり。 《ネタバレ》 
 原作を読んだのは翻訳版が出版された時なのでもう30年近く前になりますか。分厚い単行本な上に上下巻に分かれた長い長い小説で、キングらしく細かい描写を積み重ねたその世界にのめり込んだものでした。  今作は映画というフォーマットゆえ、描ける世界の広さや奥行きに限界があるために原作のようにはのめり込めませんでしたが、懐かしさと、次々と記憶に甦る展開に鼻の奥をツンツンさせながら見ていました。   今回の映画版は、大人パートと子供パートとを行き来する原作とは違って、完全に子供パートのみを切り取って1本の映画にしています。それゆえ、大人パートと連動するエピソードなど物語上の仕掛けの多くが無効になって単純化してしまった感はあります。  それに、世間の常識的、良識的に許される表現の限界からか、クライマックスの重要なエピソードは(かつて作られたドラマ版同様)やっぱりカットされています。  それらの要素が今作を少年少女向けのようでありながら、年齢制限付きの結構スプラッタなホラーという、チグハグな印象の作品にしてしまったような状態で。   それでも、キングが描いた、子供心が抱く恐怖は上手く再現できていたと思います。化け物、あり得ない現実離れした恐怖、それは現実を生きる上でもたらされる恐怖が生み出すものであり、他者の負の心が作用して生み出すものであり。幼心の恐怖が具象化してゆくそれは、安っぽいホラーの形を借りた人の恐怖の発露であり(キング作品の多くがそうであるように)、幾つものバリエーションを描く事で集大成的な側面を持っています。ゆえにホラー映画的には安っぽさ大爆発になってたりもするんですが、そもそも原作がそういうところを意図していた訳ですね。   続きで大人パートが映像化される事になると思うのですが、その部分だけを切り取ったモノはあまり面白くないんじゃないかと危惧しております。でも原作が書かれた時代から時を経て、原作の現代部分よりも映画の過去部分の方が時代がもうちょっと後なのが不思議な感覚で、その映画の現代が今どう描かれてゆくのかが期待できたりもします。
[映画館(字幕)] 7点(2017-11-05 17:32:45)(良:1票)
310.  KUBO/クボ 二本の弦の秘密 《ネタバレ》 
 東京国際映画祭にて鑑賞。   日本が舞台なのに、日本での公開が今になってやっとなのが切なく。もう半年くらい前にアメリカのアマゾンでブルーレイを買っていたのですが、ずっと見ないで我慢してました。スクリーンで見られる、その日が来る事を信じて(そして、そういう作品が実は他にもいっぱいあって、大体はビデオスルーになっちゃう・・・日本での海外アニメーションの扱いを物語っております・・・ )。   ライカお得意の「美しくて不気味」な個性が意外なほどに日本の色によく合って。アメリカ産でありながら見事な伝奇として完成されています。そして、ここまで日本で(外国人は全く出てきません)、そして悲しい内容で大丈夫?ってところを成立させちゃうのがライカなのだなぁ、と。その切なさもまたライカ作品ならではの世界。  『コララインとボタンの魔女』では気にならなかったけれど『パラノーマン ブライス・ホローの謎』から『THE BOX TROLLS』と目立ってきたデジタルプロセスの多さは今回も相変わらずなのですが(そこまでやるのならばもうCGでいいんじゃない?って)、でもここまで世界が完成されていると、これがライカの個性、表現法なのだなぁ、と。   キャラクターもライカらしい個性的(クセの強い)なデザインでありつつ、親しみやすく。特に不気味なのにやたら魅力的な叔母さん達にはウットリ。全編、これまでのライカ作品には無かったキレのあるカッコ良さにも溢れています。   ここいちばんの重要なシーンがいちいち閃光のみで省略されてしまって、何がどうなったのかはその後の展開で察してね、っていうのがちょっと残念な感じではあるのですが、日本人的にはちょっと懐かしさすら覚える(コマ撮りアニメの昔話ですからね)世界、その実直な作りにひたすら感動させられるのでした。 【追記】  日本語吹替版を見ましたが、一部キャラに有名人を起用しているものの、特に問題は無く、むしろ日本語となる事でやっと完成されたとすら思えるのでした。また、エンディング曲が吹替版独自の曲に差し替えられていて、そういうのは大抵作品を穢してしまうものですが、吉田兄弟の音は甘い女性ヴォーカルのオリジナル版以上にピッタリと映画に馴染むのでした。サントラ自体が三味線の音を多用しているだけに。
[試写会(字幕)] 9点(2017-10-30 22:51:59)
311.  ブレードランナー 2049 《ネタバレ》 
 記憶の映画でした。   思い出という、その曖昧な存在に拘って生きる事の悲しさ、そしてその甘美さ。総ての人がそうであるように。  登場する多くの過去の記憶(エルヴィスやモンロー、シナトラも)と共に、前作の存在もまた過去の記憶であり、この映画もまた過去の記憶になってゆくという(映画という存在自体が光と影と音が創る幻でしかなくて)、人の記憶についての入れ子細工映画。  印象的な映像の数々(前作に比べてもハンパない寂寥感に包まれています)が、やがて遠い過去の記憶の中のオリのように残ってゆくのだとしたら、それでこの映画は成功という事でしょう。前作がそうであったように。   もう十何年も見ていない前作を復習してから見ようと思っていたのですが、忙しさに結局見られないままに今日を迎えてしまいました。でもそれで良かったのかも。過去の記憶であるからこそ、その間にある時間を実感できましたし。   前作に直結するイメージを持ちつつ、『未知との遭遇』に対するオマージュがそこかしこに見られたのが個人的に嬉しかったです。冒頭、土煙の中に現れる人影や、闇の中のスピナーの回転(もちろんダグラス・トランブルへのオマージュにも直結しております)、坊主頭の子供達に囲まれ、支えられる主人公。『メッセージ』といい、この人はスピルバーグが好きなんだろうなぁ。
[映画館(字幕)] 8点(2017-10-30 22:25:47)(良:2票)
312.  三度目の殺人 《ネタバレ》 
 色々とひっかかってしまう部分の多い映画で。   まず、司法に対する疑問、個人の主観や感情によって人を裁く事に対する疑問を投げかけている訳ですが、じゃあ極端に言うと法の裁きなんて要らない、無法地帯にでもしろと? いや、そういう事が言いたい映画じゃないのは判ってますけど、ここにはだからどうしろって提示は全く無い訳ですよ。「無責任なお前ら」って映画も無責任に喚いてる状態。しかも被害者側の「生」をあえて排除する事でそれはどんどんと偏向してゆきます。これって人間そのものに対する絶望の映画なの?   次に、役者の力を信じ過ぎ。カメラは演技をじっくり捉えて醸されてくるものを待ち続けますが、クライマックスではそこまでどアップにしなくちゃならないの?みたいな状態にまでになって、いや、他にも方法はあるでしょうよ、と。結果的には役所広司と福山雅治のどアップばかりが印象に残る映画。  あと、市川実日子嬢を昔から見てきてる目からしたら、『シン・ゴジラ』の尾頭さんをそのまま持ってきただけみたいな安易なキャラ造形にも抵抗を感じます。アレが彼女の総てではないでしょうに。   画的には逆光&銀残し的なトーンで市川崑ですかいな、みたいな。   この監督、どうなんだろ? 本当に上手いのかなぁ? 毎回、もっと上手く撮れる人がいるような気がしてならないんですよね。じゃあ誰?っていうとシーンごと、素材ごとに違ってくるんですけど。
[映画館(邦画)] 5点(2017-10-16 22:43:54)
313.  ナミヤ雑貨店の奇蹟 《ネタバレ》 
 全編、作り物感に溢れていて、ちょっとノレませんでした。幾つもの時代が多層式に描かれてゆくので、確かにその描き分けが必要な訳ですが、それが造形も見せ方もこれ見よがしでわざとらしくなってしまっていて。  その上、物語、エピソードも作り物っぷりが激しく、どうにも自然と映画に入り込んでゆけない、もどかしい映画という状態でした。  SFっていうかファンタジーなので作り物感が出るのは当たり前と思われるかもしれませんが、基本部分の設定がぶっ飛んでるモノは、細部をいかにリアルに寄せるかって大事だと思うんですよね。ファンタジーに甘えたのか、そこがあまり丁寧じゃない映画で。   空家となったナミヤ雑貨店に入り込んだ3人の若い強盗犯が、その不思議なシステムを受け入れてゆく、その過程に説得力まるで無しって状態なので、入口時点から挫けてしまっている感じ。  その上でフラグを立てるかのように幾つものエピソードがいかにもな展開を連ねてゆくので、まるで『ファイナル・デスティネーション』シリーズのような意図的な力が働いているかのような状態。しかもそれは映画の中で働いている力とは限らず、外側の、作ってる側からの「都合」という名の力のように思えて。   あの鼻歌が有名な歌へと昇華されてゆく、そこにも納得させるだけの描写がなくて(途中で挿入される麦ちゃんの海辺のヘンテコダンスは、アレ、なんなの?)、ジャンルも全然違うハズの『さよならジュピター』を思い出してしまいましたよ。  感動させるための間、みたいなシリアス演技長回しが頻出するのですが、単にダレます。もっと刈れます。   で、クライマックスの肝心なエピソードが『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』のドクからの引用なのは、アレ、原作からしてそうなのですかねぇ?   セリフだけで説明される事柄も多く、ナミヤ雑貨店の主人が何故そういう人なのか、成海璃子との関係からどういう生を経てそうなってゆくのかが見えて来ず、パズルのようなそれぞれのエピソードが結局キッチリと合わさってスッキリするというところまでいかない、点と点とが線で結びつききらないもどかしさがつきまとう感じでした。  時の流れが生んでゆく人と人との繋がり、その大きなうねり、それを感動的に高めきれていないように思えて(部分的にツーンとくるところはあるのですが)、脚本がもっと練られていれば良かったのかな、と。色々惜しい映画でした。
[映画館(邦画)] 6点(2017-09-26 21:47:54)
314.  エイリアン:コヴェナント 《ネタバレ》 
 亜流がいっぱい出た『エイリアン』ですが、ここまで来ると本家もまたその亜流たちとさして印象変わらないようなモンで『ライフ』と比べたってどっちもどっち、くらいなモンで。相変わらずプロフェッショナルにしてはお粗末、お馬鹿な方々が出てきてはエイリアンが出たー、ギャー、ってのを繰り返すばかり。   ヒロインには決定的な何かが足らないし(映画背負って立つほどの存在感の欠如とでも申しましょうか)、各人意味もなく勝手気まま、バラバラに行動してるようにしか見えないエピソードのブツ切れっぷりだし、結構引っ張るけどオチは丸見えだし(いやもうアッチだって判ってるしYOU早くバラしちゃいなよ)。   アンドロイド同士で創造主について語ってる時点でレプリカントやりたいんか、『ブレードランナー』に繋げたいんか、って思いましたが、そこ、この映画の中でも特に面白くないところで。ダレまして。でも、そういう起源からの変遷を語るのならば、その先、人類が進化してアンドロイドとエイリアンを克服してゆくか、或いはアンドロイドかエイリアンが人類を凌駕して宇宙を支配してゆくか、そういうところまで描いてこそなワケで。広げた大風呂敷の結果が『エイリアン』~『エイリアン4』だと、それはそれで小さくまとまって終わる事になるんだなぁ、と。今考えてみれば『4』のリプリーにはその予兆みたいなモノはあった訳ですが。   エイリアンの基本設定はもう変えようがありませんから手詰まり感たっぷり。ジェリー・ゴールドスミスにオマージュ、な音楽も1作目に対する回帰志向を強調しているように感じられて後ろ向きな印象。  もっと変化したエイリアンをやるには歴史を先に進めるしかないんじゃないかと思います。大風呂敷をしっかとたたんでみて欲しいところで。
[映画館(字幕)] 5点(2017-09-25 21:47:19)(良:3票)
315.  あさひなぐ 《ネタバレ》 
 ああそうか、『トリガール!』と監督一緒なのね。どうりで見終わった後の印象が似てると思ったわ。   マンガ的表現とワザと盛り上がりをハズす同一パターン、面白いし感動もするけれど、結局そこそこ、パターン化された世界の物足らなさ。何か「ココ!」ってこの作品ならではの個性が欲しいところなのですが。  乃木坂46の面々は個性的でも、キャラ造形や物語には意外性も何もない、全てが予定調和の中に収まった世界。   それなりに薙刀の知識を得る事はできますが、じゃあ薙刀の魅力ってなんだろう?ってそこが見えるところには到達しませんし、肝心の試合シーンには問題が大アリで、どうにも映画としての面白さに繋がりきらないもどかしさ。面を装着する事によって表情が見えず、戦っている二人のどちらがどちらのチームか、そもそも誰なのか、胴のところの校名と苗字で判断しなくちゃならない状態。キャラの名前までちゃんと憶えてないと、だからそれって誰?って事態に陥ります(乃木坂46のファンの人ならば面の奥の目や声って少ない情報量からでも判断できるのでしょうけれど)。面を透過させる技法も1シーンだけ登場しますが、マンガやアニメならともかく、やっぱり実写だと違和感ハンパない状態で。薙刀のルールがそうなんだから仕方ない、とするならば映像化そのものに問題があったんじゃ?  光量多め、ややハイキー気味な映像もちょっとやり過ぎかなぁ。アイドル映画と割り切ればこんなもんかなぁ。   脚本的にひっかかった点は宮路が試合に負けた後の電車の中の宮路と旭のシーン。あそこは旭のモノローグ無しで見せる事ができたハズで、わざわざ説明しちゃったら台無しなんじゃないかと。そこまでマンガ的である必要があるのかと。   個人的に堪能できたのは江口のりこって人の芸の幅の広さかな。安藤サクラと似てるとか言われてますが、共演している『野田ともうします。』の野田さんと手影絵部の部長ってキャラ的に全く似ても似つかないつーか、他の作品でのそれぞれの役が全くあの2人に繋がんないつーか、1作ごとにイメージバラバラつーか。そう言えば『奥田民生になりたいボーイと~』でも共演してましたね。顔を合わせるシーンはありませんでしたが。って話が逸れました。   いっぱいあるこのテの作品群の中にやがて埋もれてしまいそうな、ひと味ふた味足らない作品でした。
[映画館(邦画)] 6点(2017-09-25 21:04:02)
316.  奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール 《ネタバレ》 
 この監督の作品の常で、薄っぺらいです。時代の上っ面をすくい取ってペラペラと軽薄に流れてく、でも、それはそれで1つの個性なんで、それを上手く活かせばいいと思うのですが、鈍重なんですよね。薄っぺらさを武器にできてない、マトモにあろうとする重力に足を引っ張られちゃってる?みたいな。   編集部が舞台で、リリー・フランキーが登場、もうこの監督はそれしかないんか?っていうか開き直り?みたいな状態で、そのマンネリっぷりのせいもあってか面白くないんですよね。妻夫木くんの自爆自虐妄想演技を見ても「またこのパターンかぁ」と。虎屋やYOKUMOKUとかの小ネタくらいしか笑えないっていう。  ハナシは『ジュエルに気をつけろ』なわけで、アレも大した映画じゃなかった気がするんですが、アレを超えてる訳でもなくて。水原希子嬢をシンボリックに描いて男のダメっぷり、ガキっぷりを笑うような話、でも希子嬢がひたすらエロティシズムメインの男目線(おっさん目線)でしか描かれていないので、そんな彼女が男を手玉に取る姿は結局ちっとも女性を尊重できてない似非フェミ映画になっちゃってる感じで。  クライマックスの3人の男の回想なんか、説明的でクドいばかりで、あー、さっさと先進んでくんないかなぁ、と。センチメンタリズムに走るラストもありきたりでクドく。   奥田民生に特に思い入れはありませんが、奥田民生は流れるものの、奥田民生というキーワードを映画の内容に上手く反映させている感じでもなくて。  相変わらず安藤サクラが良い、語るべきところはそのくらいだったかなぁ。   で、後は映画の内容とは関係ないハナシ。製作発表よりも前の事、スタッフの方がウチの店をこの映画のロケに使わせて、と依頼に来たのですが(舞台の地理的にも正しいですね)、店長(=私の叔父、そしてついでに義弟)が断っちゃいました。残念よねぇ。ウチの店なんてあと十何年も続きはしないでしょうけれど、映画は製作された時の時代感覚と共に何十年(あるいは何百年?)って残ってゆく、そこに記憶されてゆく訳で、そういうのってステキなのにね。
[映画館(邦画)] 4点(2017-09-20 19:36:18)
317.  ダンケルク(2017) 《ネタバレ》 
 見る前にはノーラン作品のレビューに毎回書く事を、今回はさすがに書かずに済むと思いました。何しろノーラン作品には珍しく上映時間が1時間46分と短尺ですからねぇ。   IMAXの大きな画面と、いつもより増し増し状態の音響(大手がホンキ出すと音響設備はともかくスクリーンはさして大きくなくイマイチ暗い立川とかチッタとかはあっちゅー間にカスむっていう)で描かれる大迫力、臨場感たっぷりの戦場の世界。CGをあまり使わず(そこそこ使ってます)、実写で描く事で生まれる空気感、空間感覚のリアリティ。  んでも、それもこれ見よがしに全編こってりとノーランの俺様っぷりを見せられ続けると、早々にゲンナリしてきます。   物語性を排除して、ひたすら状況を描いてゆく作り自体は特に問題がある訳ではありません。時系列が入り乱れる作り自体にも問題はないでしょう。問題は、そうしてみせるだけのノーランの実力が本当のところ、どうなのよ?ってトコかな。  とにかく臨場感、迫力、そればっかりで作られたソレには意外なほどに顔が見えてきません。顔つーか表情かな。役者の顔のアップ自体は散りばめられてます。映画にとって重要な要素ですからね。でも、そこに当たり前のおざなりな表情しか見えない、つーか肝心なシーン、肝心なカットで顔逸らしてないか?みたいな。ほんの脇役の眼光まで捉えまくるスピルバーグとは決定的に違うところ(スピルバーグ映画はだから物語的にどうでもいいオッサンの表情がいつまでも頭にこびりついたりしますが)。  それから、3つの時間軸の違うエピソードがクライマックスの一点に集中してゆく、ハズが、その一点が微妙にブレてない?そのせいで散漫になってない?って感じ。民間の船舶が大挙して現れるシーンでの盛り上がりはあの程度のいいのかしら?みたいな。『ラッキーレディ』での民間船舶勢揃いシーンを見習いましょう、って。   全編見せ場の連続っぷりはアトラクションのようで、だけどさすがに1時間40分も続くアトラクション乗りたいとは思いませんわね。スペースマウンテンとカリブの海賊とホーンテッドマンションとセンター・オブ・ジ・アースとタワー・オブ・テラーとレイジングスピリッツを休み無しでまとめて1つで乗りたいか?ってハナシ。思考感覚麻痺させて「凄い体験した」って思わせたいのかなぁ?って感じ。だったら次は上映劇場に炎や熱風が出る装置でも仕込んだらいいわ。ノーランってひたすら即物的な監督よね。   元々ノーランが合わない私(マイケル・ベイと同次元の人と思ってます)、このノーランの俺様節をコッテリと見せられる映画に、結局は今回もまた毎回書くフレーズを書かねばなりますまい。  「長いよ、ノーラン。」
[映画館(字幕)] 6点(2017-09-10 17:04:28)
318.  トリガール! 《ネタバレ》 
 面白かった、けど・・・みたいな。   マンガ的表現がこの映画に合っていたのか、この物語にとって幸せだったのか、疑問。コメディなのだからコレでいい、って事なんでしょう。でも、現実にはあり得ない極端なキャラクター造形によって失われたものが結構多いような気がするんですよね。共感とか情感とか叙情とか郷愁とか。オーバーアクトと散りばめられたお笑いネタによって映画全体の印象は軽いです。ドラマティックに盛り上がりそうに思える部分でBGMをバッサリ切ってワザとハズす、ってパターンを繰り返しますが、まるでそういうクサさを忌避しているようで、でも青春映画ってそういうクサさも大切なんじゃないかなぁ、と。   土屋太鳳は良かったです。よく喋って、よく動いて。間宮祥太朗との怒鳴り合いが力を生み出してゆくあたり面白く。でもそれはキャラモノとしての面白さで、等身大の人間の面白さとは違うんですよね。   陸を移動する画がいっぱいで、水の上も動いて、動く事が大切な映画で、それは良かったのですが、肝心の空行く画がCG丸出しになっちゃって、そこでハリボテ感出ちゃうかぁ、と。   あと、リアスピーカーからセリフを鳴らすの、邦画によくあるんですが、ハリウッドではありませんよね。リアにセリフ置いても聴き取りづらいんで、やめた方がいいかと思うんですが。ナダルのセリフ、半分くらい聴き取れませんでした。   でも最大の問題はオタクの否定から始まって、最終的にそれを別に修正してゆかない、ちっともオタクを肯定しない事。メガネにチェックのシャツを笑ってみせる訳ですが、モロにメガネにチェックのシャツ(ネルシャツじゃありませんでしたが)で見に来てた私、とても肩身の狭い思いをするハメに。映画終わると同時にそそくさと劇場を後にしないとなりませんでしたがな。観客に恥ずかしい思いをさせてどうする(苦)
[映画館(邦画)] 6点(2017-09-04 20:08:35)
319.  ソング・オブ・ザ・シー 海のうた 《ネタバレ》 
 東京アニメアワードフェスティバル2015で鑑賞。   可愛らしい絵柄で幻想的な世界、とても素晴らしい世界観、なのだけれども演出と脚本が大変にダルい出来。美しいけれど、話としてはちっとも面白くないんです。  さらわれてしまった妹を救いにゆく兄の物語、なのですが、この少年が魅力の薄いキャラで、物語をちっとも引っ張っていってくれません。  妹はとても可愛らしくデザインされていて、海の世界に魅かれてゆく、その幻想的な映像は最高なのですが(『夜明け告げるルーのうた』や『モアナと伝説の海』に先んじていて)、でも、映画の面白さには繋がらない、映画としてはひたすらダルいっていう。   実直に作ればきっと伝わる、ってモンでもないんじゃないかなぁ。『ブレンダンとケルズの秘密』のレビューでも書いたように、この監督とは徹底的に波長が合わない訳ですが、この人、作画専門になって、演出や物語は他の人に任せた方がいいんじゃない?って思います。これも30分くらいにまとまっていたらねぇ。
[試写会(字幕)] 5点(2017-08-31 23:15:40)
320.  ブレンダンとケルズの秘密 《ネタバレ》 
 映画を見る前に「ケルズの書」の知識が必要です。それも知らずに見ると(私の事ね)何が何やら。物語の進む道自体が見えてきません。「ケルズの書」成立までの物語です(実話をベースにしている訳ではなくて創作ですが)っていうのが判らないと、一体何やってるのやら、みたいな話で。   さて、でも問題はそれだけではありません。一昨年の時点で見ていた『ソング・オブ・ザ・シー』もそうだったのですが、私、この監督のテンポというか波長と全く合わないんですよね。見ていてもうシンドいシンドい。絵は最高なのに、そのアニメーション世界はうっとりするほどに美しいのに、演出と脚本がとってもダルいっていう。この映画の場合、作品世界の説明に大量のナレーションとセリフを用いていて、それだけで辟易。これだけ表現力のある絵なのに、なんでそこまで説明的じゃなくちゃなんないの?って(でも肝心のケルダの書とは、ってところは最後に至っても説明してくれない、そういうモノがあるっていうのは知っていて当たり前とばかりに)。   もう説明とか一切省いて映像だけで30分くらいで描いてくれたら最高なんですけれどね。難解になるでしょうけれど、難解であった方がずっといい場合というのもあるので。せっかくのアート世界が間延びした説明的な物語によってダルいものになってしまっていてとても勿体ないです。
[映画館(字幕)] 5点(2017-08-31 22:51:58)
080.32%
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