Menu
 > レビュワー
 > Yuki2Invy さんの口コミ一覧。19ページ目
Yuki2Invyさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1645
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 2020年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1234567891011121314151617181920
21
投稿日付順1234567891011121314151617181920
21
変更日付順1234567891011121314151617181920
21
>> カレンダー表示
>> 通常表示
361.  青くて痛くて脆い 《ネタバレ》 
ドンデン返しの部類だと思いますが、個人的には最初から主人公にあまりしっくりきてなかったので(とにかく吉沢亮の、目付きから雰囲気からナニからナニまでにへばり付くネガティブ感情のドス黒さに辟易してた、というか)、どちらかと言えば「ほ~れみろ、やっぱりな!」的な感じではありましたね。二つ、少し分からなかったことがあります。田端の秋好に対する感情は、単純な恋愛感情だと解釈する方が正しいのでしょうか(それとも、自分が唯一無二だと思っている秋好が、自分を唯一無二だと思ってくれなかった、という、もう少し広範な意味での人間関係の不均衡が彼の憎悪の源泉なのでしょうか)。もう一つ、タイトルの『痛い』というのは、主人公の苦痛なのか、それとも主人公の残念さなのか、どちらを主として表しているのか(無難にダブルミーニングだと捉えておく、で問題なさげでもありますが)。  かなり稀に見るイタくて幼稚な主人公ですが(ソレをこんなイケメンが演じてるというのも逆に面白い)、そんな彼への感情移入の取っ掛かりを探すとすれば、可愛い可愛い秋好ちゃんについて、そんなコトしたら男は勘違いしちゃうもんよ?という部分には「隙」とでもいうものが在った、と言えるかとも思います(だからと言って彼の行状に対する酌量の余地は無いのですし、大学入りたての若い彼女にそんなコトを言うのも少し酷ですが、彼女だってゆくゆくは身に付けてゆくべき「距離感の取り方」だとも思いますし)。  正直、いったん彼が目的を果たして「勝利」する場面に至っては私の方までメンタルボロボロでした(率直に、観たのは失敗だったか…と思いかけました)。ただ、その直後の田端と秋好の対決は演技の仕事としてとても面白く観れるものでしたし、いちおう彼はその後は絶望と共に反省し、ある意味で少しだけ前に進むのですよね。その意味ではこれも「人が成長してゆく」ことがテーマな物語だと言えますし、つまりは私の大好物な部類の映画だと言って間違いもないのです(その意味では、少し甘めの評点だなあと思ってます)。  ただな~前述どおりあの痛恨の一撃が重すぎる…メンタルダメージは前提として、しっかり構えて観て貰えれば…
[DVD(邦画)] 7点(2021-05-15 23:07:05)
362.  星の子 《ネタバレ》 
ハッキリ、かなりセンシティブな題材だと言えるだろう。そこから生じる何ともイヤ~な居心地の悪さとゆーのが全編に色濃く漂っているというか、少なくとも観ていて快適な映画だとは全く言えない。ただ、そこまでシリアス過ぎて観てられない、というホドでもないのも事実で、それは、両親がその「教義」に従って奇妙な行動を日常的に繰り返していたり、おかしな水を買い込んでいたり、怪しげな集会なんかに娘も連れて参加してたりする、とは言え、それ以外の部分では意外と(上納金の払い過ぎで困窮するというよーなこともなく)ごく普通に暮らせているという概した状況の平穏さによるものだと言えると思う。  ただそれが余計に、この映画が結局ナニを描きたいものなのか、という点までまろやかにぼやかしてしまってるのもまた事実。最後まで観終わって本作のテーマというものを半ば無理矢理にココから捻り出すなら、ナニがあっても「家族は家族」ということぐらいしか分からない様にも思うし、だったら尚更もっとハードな状況を乗り越えてその結論に達する方が、お話としては絶対的に正しいのではないかとも思う。(原作未読でもありますケド)個人的には正直掴み切れなかった映画、としか言えませんかね。その意味ではこの評価はある種の採点放棄にも近いですね。  二点、まず芦田愛菜ちゃんの演技は(特に数少ないシリアスな場面の緊迫感なんかが)流石の素晴らしさだったですよ。あともう一人、愛菜ちゃんと同い年の新音(にのん)ちゃんという娘も、シュッとした目を引くビジュアルに加えて、少しだけ風変わりなキャラを表現する演技もまずまず面白かったですね。今後に大いに期待します。
[ブルーレイ(邦画)] 4点(2021-05-13 21:50:32)
363.  もみの家 《ネタバレ》 
様々な事情から自立支援施設「もみの家」にたどり着いた人たちが、施設での共同生活や農作業、地域社会との交流を通してゆっくりと立ち直ってゆく…というストーリーは、舞台となる地方の農村部のスローライフな雰囲気も相まって、実に穏やかで心地好く描き出されている。そして、単純に人間ドラマとしても実に「手堅い」。その部分、穏やかさ・心地好さを最大に重視した展開運びは、含まれるトラブル描写も最小限で、ややもすると少しばかり手堅すぎる、と言えるかも知れない。ただ、程好くコンパクトでテンポも良好、そして要所では様々に、かつしっかりとハートフルさを醸しているので、色々ととにかく心地好く、そして温かく観てゆける、というのも間違いないだろう。シンプルなそーいうジャンルの映画として、鑑賞しての満足感というものはある程度以上に期待に沿うものになっているのではないか、と感じている。  主演の南沙良ちゃんは、よく見りゃ結構可愛いのだけど、冒頭からのコミュニケーションに難のある様子・自分に自信の無い様子のお芝居は(意外と)そこそこちゃんと出来ていたと思うし、後半にかけて自信や主体性を取り戻し、文字通り「自立」していく様子の人間的魅力や微笑ましさ(あと可愛さ)とゆーのも結構しっかり表現できていたと思う。その他演技面では、施設の運営者夫婦も包容力全開!という感じでとても好かったですね。特に緒形直人、ワタシこの人ホントに好きです。
[DVD(邦画)] 7点(2021-04-28 00:38:07)(良:1票)
364.  君が世界のはじまり 《ネタバレ》 
何故だか色々と人生に厄介事を抱えた高校生たちが織りなす青春群像劇。友情、恋愛、大人への反抗…青春独特の「熱と痛み」を生み出す源たるファクターには、ある部分のソレはシンプルな一方でややトリッキーでダークな要素も含まれており、一風変わった雰囲気も随所に漂わせながらも肝心な部分では「青春って人生って色々あるよね」という部分からの共感というのを誰からも比較的得易いという作品だ、と言えるかと思う。その意味では、誰が観ても全くツマラナイとゆーもんでもないか、とも感じる。  ただ、ある程度共感は出来るとは言え、率直に言ってお話の方にしっかりとした内容・斬新なアイデアのある作品だとはやや言い難い、のも確か。深夜のショッピング・モールでのブルーハーツはまずまず優れた場面だと言ってもよいだろうが、そもそもココでブルーハーツとゆーのも青春ものとしてはハッキリ在り来りだと言ってよいだろうし、個人的にはラストの場面の松本穂香と中田青渚なんかは正直言ってワザとらしいというか、少なくとも私の好みというシーンでは間違いなくなかった。  厄介事を抱えている、という意味では、松本穂香は抱える厄介さが一番穏当で、本作においては(どちらかと言うと)引き立て役・話のまとめ役と言えるかも知れない。キャラ的に出来が好かったのは中田青渚で、コレは彼女のファンが彼女を目当てに本作を観てゆくことが出来る、というレベルかと。片山友希ちゃんと古舘寛治の掛け合いも(オーソドックスながら)中々面白く観れた。男子連中は、正直印象に残らなかった。
[DVD(邦画)] 6点(2021-04-27 21:31:53)
365.  事故物件 恐い間取り 《ネタバレ》 
CG全開で思いっ切り出てくるオバケ、なんてのからして私の好みからは完全に外れるが、特に前半は全く何にも怖くない、というワケでもない。そして、お話の進め方も面白みが皆無、というホド酷くはない。題材も、物珍しいと言えば物珍しいので、丸っきり内容に興味が持てない、というコトでもない。諸々、最低限のクオリティとゆーのは有ると言ってよいのではないだろうか。  ただ、あくまで最低限、というコトなのですよね。まずはやはり、あまり、とゆーか殆ど怖くない、とゆーのが痛恨なのですよ。個人的な見解として、やっぱお笑い芸人が出てくるホラーとゆーのは一定以上に怖くはならない、つーことかとも思いますし(お話自体にもなんかチョイチョイ笑かしにかかってる場面があったりで、怖がらせようとするには一貫性を欠くとゆーか)、そして、主役の亀梨クン自体がこの事故物件の心霊現象を全く怖がってない(そーいう素振りが微塵も無い)とゆーのも一因かとも(怖くて恐ろしくてしょーがないケド売れるために仕方なく…的な葛藤とゆーのもほぼ無かったりで)。あとは、根本的にオムニバスホラーであるが故にエピソードごとに状況がリセットされて、全体を通しての「怖さの盛り上がり」とゆーものもやや欠いていた、のではないかと思ったりも(それでもラストはだいぶん派手にオバケ出しまくったりしてましたが、あのね、こーいうのはまず「数」でナントカなるもんじゃねーのですよ、というコトだけは、私は例えソレを理由に死刑になったとしても最後まで主張し続けますですよ)。  もう一点、多少は物珍しいと言ってはみたものの、発生する事象にせよ事故物件の内容(間取り)にせよ驚くほどに在り来りですよね。「畳に血痕が残ってる」「風呂場の鏡が不自然に外されてる」なんて誰でも想像する内容じゃねーかと思いますし、あとは基本オバケの所為で体調が悪くなったりかんたり…程度でしょ。原作がそれなりに売れた本だとすると、もうちょっと奇抜なエピソードや風変わりな事故物件とゆーのは無いもんなのでしょーか?ホラーとしては大して怖くねえ、とゆーのなら、コッチの方面の面白さとゆーのがも少し有れば…という感じでもありますね。  ヒロインの奈緒ちゃんは可愛かったすね(若かりし日の池脇千鶴に少し似てる)。ただ、恐怖の表情が最初(だけ)は結構真に迫ってるなあ、と思ったのですが、それ以降はちょいオーバーリアクション気味でこれもイマイチに思いました。残念。
[ブルーレイ(邦画)] 4点(2021-04-23 01:17:57)
366.  やり切れない 《ネタバレ》 
結構シンプルな話だと思いますが、ソコも含めてかなり良質な短編ですね。その意味では、キャストが3人ともまずまずな演技のクオリティだったのも大きいかと。しじみさんは(私この娘の「ファン」だったのですが)少し可愛らしい様な演技も好かったですが、随所でしっかりと狂気を迸らせて、というか、中々イヤ~な怖さのある女性を巧みに演じてましたね。個人的に好きなのは、実は序盤の本妻と対峙するシーンです。一見従順な様に見せかけて、実は心に憎悪を燃え上がらせている、というのがよく伝わって来ました。  モツ煮込みの演出はどーなのですかね~前述どおりの憎悪の結果、というコトなのかも知れませんが、ソレを男に喰わせるのは若干よく分からない様な分かる様な。まあ、その辺の「ワケの分からなさ」も含めてのしじみさんの怖さ、ということだとも思うのですけどね。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-04-21 22:18:27)
367.  狂武蔵(2020) 《ネタバレ》 
宮本武蔵と吉岡一門の決闘を描いた70分一本勝負のワンカット殺陣シーンがウリ!という作品とのこと。しかし、その70分のシーンは九年前に撮られたケドも、何やらほったらかしになっていた…とは如何なる意味かってコトですね。結論から言うと、到底映画レベルとは言えない代物だった…というポンコツでしかありませんでした。。  ①ボクシングは1ラウンド3分ですが、それホド俊敏に動き回るワケではないとは言え、しっかり刀を構えて鋭く斬ったり受けたりを繰り出してゆくのを3分続けたら相当に消耗するものです(普通なら、精々5分程度が限界でしょう)。今作、激しく疲弊の色を見せつつもそれでも最初のシーンで15分強は頑張りましたかね(終盤は演技ではなく疲労困憊してましたが)。それ以降は、大体5分戦って一息入れるというのが続いていくのです。要は、70分ワンカットと言っても70分間戦い続けるワケでも何でもないですし(それは流石に無茶ですケドも)休憩のたびに水すら飲んでますし(運好く近くに水筒が隠してあるという武蔵の用意周到さ)。そもそも、ずっと武蔵を映し続けるワケですらなくて、モブキャラの小芝居のあいだ武蔵はどっかに消えてるということすらあります。正直、何のためのワンカットなのか意味が分かりません。  ②一対多の場合の多勢の戦術は「前後からの挟み撃ち」が基本でしょう。案の定、武蔵が常に壁を背にするとかそーいう工夫も施されないのに、前後から同時に攻撃(というか背後から攻撃)するシーンというのは皆無ですし、何なら武蔵・とその背後1Mから武蔵を撮るカメラとの「間」を敵が横切るシーンすら散見されます。彼らは一体何がしたいのでしょうか(⇒一足一刀の間合の概念というのは無いのでしょうか)。そもそも、吉岡一門は何故に数十人ずつに部隊を分けてそこら辺をうろついているのでしょうか(決闘なんだから一ヶ所にまとまってれば好いじゃないですか)。こーもずーっと同じコトを繰り返されると(コレも正直)段々ウンザリしてきます。  ③もう一つ、肝心の殺陣の出来が非常に微妙です。「斬る」というよりは刀でパシッと「殴る」に近いものが非常に多いですし、他に多いのが敵の体を刀に乗せて一拍置いて「引く」という動作で、キレイに「斬ってる」シーンというのは数えるホドしかありませんです。あと、今作の殺陣は細かい段取りをチャンと決めてやってるというものではなく即興なので、明らかに「間違えた」シーンというのも散見されます(どー考えても受けられないタイミングで複数同時に攻撃してしまったとか、んで受け切れずに武蔵が斬られたのが明白なシーンとか)。ワンカットと言ってもそーいうのを最初からやり直すホドのやる気は無かった…て程度の気合の入れ方・覚悟なのかな、と。  最初に書いたとおり、通常の映画レベルの殺陣アクションが70分続く…という作品では毛頭ありません。個人的にはこれは最早、坂口拓主演による「山の石松百人斬り」という感じかと思います。明らかに「斬られ」に走り込んでくる敵を続けざまに斬り倒してご満悦なシーンなんて、正にそんな感じでしたですね。。  ※冒頭、実家の近所の二岡神社がロケ地だったので1点足しておきます。別にあそこがロケ地の映画は他に幾らもありますケド。
[DVD(邦画)] 3点(2021-04-21 00:43:05)(良:1票)
368.  アルプススタンドのはしの方 《ネタバレ》 
甲子園に辿り着いた野球部とゆーのが青春高校生活の頂点ならば、アルプススタンドの端っこというのは確かにその最下層であろう。まだ若いのに、ちょっとの挫折でヒネくれたガキ共のルサンチマンが其処には渦巻いている。  しかし、彼らはまだ若いのだ。恋と友情のスッタモンダが、彼らに「それ」を取り戻してくれる。暑っ苦しい茶道部の先生が、個人的にはかなり好きですね。ああいう人って、実はとっても貴重ですよね。  人生は「熱」。冷めた人生などに何の価値が在るだろう。極めてシンプルなシナリオ・テーマですが、共感もひとしおでした。
[DVD(邦画)] 8点(2021-04-18 13:01:09)
369.  ウルフウォーカー 《ネタバレ》 
お話の内容は『もののけ姫』にかなり似通っている(細かい設定も結構似てる)のだけど、よりシンプルで子供にも分かり易くある部分で「改善」した、というコトにも見える。結果的に(前述の分かり易さに加え)テンポや話のまとまりも非常に高水準に仕上がって、単純に(青少年向けの)娯楽作品としてはこっちの方が上、と言ってもよいかも知れない。個人的にはこのラスト、実は問題があんまり片付いてないのではないかとも思えてソコは完全には腹落ちしなかったが、あくまでシンプルで分かり易く、ということを重視したのであれば、それは今作の「絵本的」な絵柄とのマッチングという観点からも適切な方法論だ、とも思う。  数少ない2Dの外国産A級アニメでありますが、最近は2Dアニメでも技術の向上が著しいのですね。こんなにヌルヌル動くの?と少しビックリしました。多分にCGのアシストもあるのでしょうが、この手のが世界中でバンバンつくれるということになってくると、日本の業界もうかうかしては居られないですね。
[映画館(吹替)] 7点(2021-04-17 15:52:41)
370.  ザ・スイッチ 《ネタバレ》 
中々に鼻につく感じでイチャつくカップル(2ペア)を電光石火で血祭りに上げるオープニング・シークエンスは実に古典的なスラッシャー・ホラーの様相を呈してますが、そこから主人公のイケてない女子と殺人鬼が邂逅し、件の「入替り」が発生する、それ以降はワリと最後までこのテーマとしては正に王道なドタバタ・コメディ風ホラーが続いてゆきます。この部分はコメディ描写も随所でまずまずクオリティ高いですし、話の運び方&ポイントとなるアイデアの出来もまあまあで、その意味では今作、ショック描写の出来映えメインで勝負してるジャンル・ホラーと言うよりは間違い無く、監督の前作『ハッピー・デス・デイ』に類する上質な脚本を擁するA級ホラーだと言ってよいでしょう。  ただし、この映画はコメディ&ドタバタパートがスッキリ終わって目出度くジ・エンド…とはなりませぬ。その部分、最初と最後であくまでホラーらしくしっかりスラッシャーしてくれてるのも、個人的にはとても好印象ですね。入替り×2人の俳優さんはその部分の演技も結構頑張ってくれてるし、総じて標準以上なA級クオリティであることも含め、十分に良作かと。評点は少しだけ甘めかとも思いますが、オススメなのはホントです。
[映画館(字幕)] 7点(2021-04-09 23:51:25)
371.  ノマドランド 《ネタバレ》 
非常に社会的なテーマを扱いつつも、描かれるのはこの状況に対する批判・非難とか「抵抗」だとか言うよりは、あくまでそんな壊れかけた世界の中に残された崇高な人間性、であった。ネガティブな様でポジティブな、極めて優れた人間ドラマ・人間讃歌だったと思う。  この題材を取り扱いつつ、そういった「批判的な」描写をあくまで脇に置いた演出方針というのは、もしかすると逆に幾分の本作に対する批判的な見方というのを呼ぶのかも知れない。また、本作に登場する人間というのはほぼほぼが善良でモラルのある市民であるが、実際には悪意のある人間とその影響というものが決して無視のできない環境であることは間違いないのだし、それをも選択的に排除していることについても、やや現実離れした作品だ、という評価すら可能なのかも知れない。  ただやはり、全編を通して描かれる彼ら「ノマド」の人生観に感じられる清々しさが、とにかく晴れやかな印象として心に残る。作中でも言及される様に、これはアメリカの伝統としてのフロンティア・スピリットの価値観に通じる部分を多分に含む、という意味で、かの国においてはもはや普遍的な価値観でもあるのだろう。それはあの比較的「若い」国そのものが持つ「強さ」なのかも知れない、とも思う。人を腐らせる「安定」に安住することを善しとせず、常に流転・変化し続ける中に人としての成長・向上を見出してゆく、あくまで前向きなモチベーションなのだ、と。  多くを語らないフランシス・マクドーマンドは、佇まいそのものでその「ノマド」の賞賛すべき価値観を体現していた。その意味では、ひとつ次元の違う演技の仕事だった様にも感じられる。脱帽である。
[映画館(字幕)] 9点(2021-04-04 20:23:27)
372.  騙し絵の牙 《ネタバレ》 
悪くない。お話自体のアイデアがそれなりに質が高いし、展開運びもテンポ良く密度も高くダレずに楽しく観てゆける。エンタメとしては十分に合格点以上な出来だと思う。  ただ少し雑・ツッコミ所も孕むというか、特に終盤が凄く慌ただしいのが…そもそも、松岡茉優が主人公の若手編集者の話と、出版社経営層の権力争いの話という明確な二軸があって、ただその二つって結構セパレートで(松岡茉優は権力争いにはほぼ関係ないのよね)、権力争いの方が鮮やかなドンデン返しで(一見)決着した、辺りまでは流れも整ってたよーに思うのだけど、そっから先は色んな人の話をバタバタとテキトーに片付けてく、という感じで前述どおりかなり雑。お話の完成度はイマイチ、という感じかも(原作小説とは大分違う話になってるというコトらしく)。  もう一点、どーしても言っときたいのが、この映画は予告編にリリー・フランキーを使っちゃダメだったんじゃね?というコトですね。あの予告編、去年いちねんずーっと観せ続けられて、どこにリリーさん出てくんのかな?てアレしかないよねってネタバレ同然でしたぜ。
[映画館(邦画)] 6点(2021-04-04 19:32:37)
373.  モンスターハンター 《ネタバレ》 
ゲームはやったことないっす。なので個人的には、話の内容・世界観なんかには何のこだわりもありません。あと今回、大枚はたいてIMAXレーザーの3Dで観ました。それが(大いに)功を奏したのか、意外なホドに結構楽しめましたよ(この世評の低さのワリに)。少なくとも映像単体としては相当に迫力あるものに仕上がっていたかと思いますですね。  ただまあ、話の内容自体は有って無いよーな、というか実は特に無い、とゆーのが率直に正しいですね。あくまでこの映画は、到底普通の人間が相手に出来そうもない巨大なモンスターにあの手この手で肉弾戦を挑む、というそのバトルを純粋に楽しむための作品であり、その意味では単なるバトル映像の寄せ集めだと言ってもよいのでしょう。元々のゲームというのも特にストーリー性が高いとかいうヤツでもないと思うので、然もありなんというトコロだとも思うのですケド(当たり前ですが、別にお話だって面白くつくってくれても何の問題もない、とは言え)。  しかし、特にこだわりはない、と言いつつも、原作ゲームというのはごく「明るく楽しく」という雰囲気だったと(勝手に)思ってます。が、監督が『バイオハザード』のノリで撮ってるとゆーことなのか、なんか妙に結構怖かったり気持ち悪かったりという側面が(特に序盤~中盤まで)かなり強く出ているようにも思います。そこは多分、ゲームとは感じが違うのだろうなあ(=こーいうの気になる人は気になるのだろうなあ)とか思ったりもしますね。何も考えずに楽しめてる私のよーな観客は、決して多数派ではないのだろう、とも。
[3D(字幕)] 7点(2021-04-02 21:58:52)
374.  影裏 《ネタバレ》 
起・承・転・結というのがお話の中にあるとして、まずとにかく起・承のパートは(平坦で)長すぎる。そしてその上に転・結の方のインパクトが弱すぎる。なかなか内容・シナリオ自体のみにでも観る価値を見出せる、という作品にはなっていないかと。  原作未読ですが、そっちの方は小説・文章としての表現技法・構成の工夫等でこのお話を「読ませる」のに成功していた、というコトなのでしょーかね。映画でそれを「再現」するなら、雰囲気づくりや演技のつくり込みをこだわってゆくしかない(かなり「生活感」というものの溢れる作品なので、画的な美しさ・芸術性で勝負しよう、という感じでもないと思うのですよね)かと思いますが、その雰囲気や演技というのも全体的に決して悪くはないのですが、前述のお話としての弱々しさを十分にカバーできている、というレベルでもないと思います。それでも演技なんかは、よく見るとキャストがかなり豪華なのもあって随所で相当にレベル高かったとも思いますケドね(國村隼とか特に)。  もう一つ、というか一つだけ褒めておくならば、綾野剛よりは松田龍平ですかね。彼のキャラクターそのもの、でもあるかと思いますが、善人なのか悪人なのか何とも得体の知れない(一種不気味な)感じというのはそれなりに独特で面白かったですし、その部分に関しては作品に求められている(=キャラクターを成立させる)クオリティにまで達していた、と感じています。
[DVD(邦画)] 4点(2021-03-22 20:19:02)
375.  ステップ 《ネタバレ》 
愛し合う両親のもとで健康に育って、結婚して、子を産み、孫を抱き、そして誰よりも先に死んでいく(絵に描いた様な「普通」の人生)。でも、そんな人生を送るひとって、実際どのくらいいるのだろう。そうじゃなくて「普通」じゃないことの方がむしろ「普通」の人生、なんじゃなかろうかとも思う。  誰の人生だって波瀾万丈、とでも言うか、この映画に描かれる家族にも色々なことが次々と訪れる(善きにせよ悪しきにせよ)。でもそれはどれも実に「ありふれた」ことであり、その意味ではこの上なくシンプルな映画だと思う。だからこそ、誰の心にもどこかしらには引っ掛かる様な感情移入の容易な作品であり、必ずどこかでホッコリと、或いはホロリと出来るという温かい作品になっている、と感じた。親の再婚に対して複雑な感情を抱く娘というのは正に10歳の私でもあったし、妻(娘)を亡くしても義理の親子(家族)の関係が善きものであり続けた主人公一家に対しては、そうではなかった自分と照らしての少しばかりの羨ましさと、そして小さくない後悔を覚えるのだ。  主要キャラの演技については、誰しも殆ど満点と言ってよい高水準であった。國村隼の存在感・温かさには惚れ惚れとしてしまいましたね。だけれども、やはり最後は山田孝之を褒めておこうと思う。多分に悲しさ・辛さを纏いながらも、奥底に十分に強さを抱きそして静かに成長していく様子は、実に味わいのある深い演技の仕事だったと思う。
[DVD(邦画)] 9点(2021-03-20 21:31:39)
376.  風の電話 《ネタバレ》 
故郷へ向かう主人公の旅のうえに、幾つかのエピソードを散りばめてはいるものの、物語にせよ演出にせよ作為的・フィクション的なものをあまり感じないというか、殆どドキュメンタリにも見える、という感じ(率直に「映画」を観た、という感覚がなくて)。その意味では、ある面で「志の高い」作品なのだとも思える。かなり間をゆったりと取った作品だが、ひとつひとつのシーンには結構観入ってしまいました。  ※正直、あの震災というのは、映画の題材としては自分の中でまだ消化しきれない、と感じています。  主演のモトーラ世理奈さんという人は、非常に独特な雰囲気のある方で、本作に関しては間違い無くハマリ役だったと思う。こーいう言い方はやや語弊があるかも知れないが、元気とか活力というものを(この映画の中では「適切」に)己の顔から消し去っていた、という感じで。先に『タイトル、拒絶』を観ていたのですがそっちでもなんか暗い役だったので、次はもっとキャピキャピした彼女の演技を観てみたいですね。
[DVD(邦画)] 6点(2021-03-20 11:30:34)
377.  性の劇薬 《ネタバレ》 
想像どおり、率直に言ってロマンポルノの域をも超えてほぼAV(マニアもの)という様な内容だすね(この監督、存じ上げなかったですが完全にそっちの畑のお方だそうで)。ただ、それでいてお話の内容の方もそれなりに整備されている、という風にも感じます。とは言え、その内容だけにでも深い見応えや観る価値というものを見い出せる、というレベルな訳でもないか、と。つまりは端的に無理繰りorコジツケ感がそこはかとなく感じられる、とでもゆーか。  するとやはり、一番ハッキリとしたポイントというのはシンプルに、そのハードな性愛描写・調教シーンに在る、と言うことになるのかと。そこに関してはこれも率直に、過激さや生々しさ、マニアックな小道具、そして男二人の「振り切った」感も含めて、総合的に相当にレベルの高い仕事だし、観る価値(ユニークさ)のチャンと在る作品だと言ってよいと思います。加えてもう一点、特に前半は責められ役の彼は終始全裸にも関わらず、さほど構図等に不自然さも無くそれでいて男性器を映り込ませない(=ボカシも全く使わない)で済ませている、という面に、監督の専門的な手腕というものをひしひしと感じました。  手腕、という意味では、これも恐らくそれほど予算が潤沢と言える作品でもないと思われるワリに、映画全体としての質感にも安っぽさが無いというか中々ソリッドに仕上げられていて、そっちの面でもなんか腕の有る監督だなあ、と感じてしまいましたね。今後は作品をチェックしてゆこーかと思います。少し甘めのこの点数で。
[DVD(邦画)] 7点(2021-03-19 21:36:13)
378.  前田建設ファンタジー営業部 《ネタバレ》 
私もいちおう「ものづくり」が生業な人間ですが(私のつくってるモノというのは、彼らとは違って「目に見える」モノだとも言い切れないのですケド)、今作に描かれる「ものづくり」というのは、つくり手側からすればかなり理想的な状況ですよね。とあるモノをつくりたい!というのも結局つくり手側から出てきているのですし、(技術的制約というのはあれども)自分がつくりたいものをつくりたいようにつくっている、とも言えるかと。現実のものづくりでは、これは全くそーいうワケにはいかないものだと思います。色々と「大人(=発注者側)の事情」というのがあるのであって、つくり手はまず彼らとある部分で「戦う」必要がある、その戦いのストレスに耐えるコト自体が、ものづくりという仕事の少なくない部分を占めている、なんてことも結構ザラだと思います。  だからこの映画を観ると、やはりまず率直に「羨ましい!」と思ったのですね。と同時に、こんな今どきこんなド直球に「ものづくり」というのを実に魅力ある仕事として描いてくれたこの映画には、なにか「感謝」というか、とても嬉しい気持ちというのを覚えました。私が言うのもなんですが、若い人とか就活生とかにそーいった観点で観てもらえたら、と思われる作品です。個人的にはとてもオススメ。
[DVD(邦画)] 7点(2021-03-17 22:18:14)(良:1票)
379.  私がモテてどうすんだ 《ネタバレ》 
太ってる→痩せてモテる→また太っちゃう→頑張ってまた痩せる→どーなっちゃうの??  一番メインの筋書きはこんなよーな感じの青春ラブコメ(コメディ寄り)だが、見た目重視の恋愛の浅はかさを乗り越えて主人公の本質的な魅力に気づいてゆく、といった部分は青春恋愛ものとしては割と中身のある話だとも思うし、それ自体とても爽やかでもある。ただ、結局恋愛ものとしては(なんと)決着をつけないぜ!という結末も含めて、最後まで観るとやっぱしあんまり中身の無い(=あくまで原作の要素の一部だけを掬い取った)映画なのだと感じるし、そーなると今作の一番の見どころというものは結局、綺羅星の如く揃えたイケメン男子のめくるめくBL場面、ということなのかと思う。その意味では、私は恐らくこの映画の客ではなかったのであろう。  主演の女子は本業ダンサーなのですね。初っ端のダンスシーンのパフォーマンスがかなり高水準だったので、後半もミュージカル展開がバリバリ入ってくるかと期待したのですが、実際はそーいうワケでもありませんでした。というか、全体的に比較的リーズナブルな質感の映画で、演技・演出含めて総じてややB級寄り、といった感じかもしれません。特に、90分というそこそこコンパクトな映画なのに展開運び・各シーンの間合いが(急ごうともせずに)かなりゆったりで、むしろ少し間延びしているよーな気も…というのはあまり感心しません(主人公がそのオタク属性を炸裂させるハイテンションなシーンなんかが、全体のローテンションぶりと比べてちょっと浮いちゃってるよーな気がしちゃって、とでも言うか)。
[DVD(邦画)] 5点(2021-03-13 13:33:06)
380.  ジョゼと虎と魚たち(2020/日本) 《ネタバレ》 
実写版というのは色々とかなり「変わりダネ」な恋愛映画だったと思うが、このアニメ版は話としては全く異なる内容で、逆に色々と王道を征く映画である(つまりは少しばかり在り来り)。特に中盤、祖母との別れ~想定外の事故が発生する辺りの流れはかなり「見たことある」感が強いし(ババアが突然死んじゃうのは実写版でもそーだけど)、言ってしまえばオーラスなんかももはや見飽きた感すらある様な、というか。私実写版大好きなので、そこはもう少し空気感とかをそっちに寄せて欲しかったかな~とも思う。  ただ、今作では王道青春恋愛ものと並ぶもうひとつの王道、「夢を諦めない」という第二のテーマの方もシンプルながらとても好い出来だったのですよね。手作りの絵本のシーンが実に好かったですね~今年の映画では一番ボロ泣きしてしまいましたよ(この場面は「画」自体の質・芸術性というのもかなり手が込んでいてこれも好かった様に思います)。前述どおり、全体としてだいぶん「子供も観ることを意識した」という質感になってはいるものの、だからこその爽やかさは十二分につくり込めていると思いますし、誰にでも気軽にオススメできる作品になっているとも思います。ジョゼちゃんもシンプルにカワイイですし(実写版ではこれもクセのある魅力、という感じだったですケド)。
[映画館(邦画)] 7点(2020-12-29 17:27:39)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS