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とらやさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2102
性別 男性
自己紹介 善人が苦労が報われて幸せになるハッピーエンドの映画、
悪人が出てこないゆる~い世界観の映画、
笑いあり、涙ありの人情喜劇が好きです。

2008年11月19日の初投稿から、早いもので10周年を迎えました。
この間、みんシネのおかげで出会ったいい映画もいっぱいありました。
管理人様、レビュワーの皆様、いつもお世話になっております。
これからもよろしくお願いいたします。
2018.11.19

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21.  とらわれて夏 《ネタバレ》 
冒頭から、この邦題に似つかわしくない張りつめた不穏な空気が漂う。 母と1人息子。母は夫と別れたことからまだ立ち直れていない。少年も父親がいない寂しさを抱えている。 その前に現れた1人の非常に危険な男。 この前半はあまり音楽も使われず静かに作品は動き出しますが、 その分1つ1つの物音や母と息子の目線など、緊張感漂う作品の空気が見事。  それでいて、この危険な男が徐々に意外な素顔を見せる。 どこか優しさがあり、料理上手で器用。 料理の他にも、男手の無い家でクルマや家の修理を買って出る。そして少年に野球を教える。 夫と父がいなくなった2人の前に突如現れた、招かれざる客であるはずの危険な男が徐々に微妙な存在に変わっていく。 作品の空気もこの3人からも徐々に緊張感が薄れ、あたたかみが増していきます。 作品は不安定な空気を持続しながらも、その中にあるあたたかみに実に不思議な味わいがあります。  しかしこれらは過去の出来事であり、少年による回想を交えて品は進むので、 この不安定な幸せは長くは続かないであろうことを匂わせます。 次第に作品の焦点はこの3人は果たして本当に幸せになれるのか?というところに変わっていきますが、 少年が町で出会った少女が変なたとえ話を持ち出す。それは「ボニー&クライド」。 これによって見る者はますますこの3人から目が離せなくなっていきます。  ジェイソン・ライトマンは近年の作品の「マイレージ・マイライフ」や「ヤング≒アダルト」では、 人生の折り返し地点を過ぎた頃の男や女の揺れる気持ちを表現してきました。 本作はそこに思春期に差し掛かる子どもの存在を実にうまく挿入しています。 夏休みが終わり、新学期が始まる日。警官、銀行、隣人が次々に不安感を掻き立てる。 そして徐々に大きくなってくるパトカーのサイレン・・・。 しかし本作は「ボニー&クライド」にはならなかった。 長い年月を経てのラストシーンが感動的です。
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-23 21:17:15)(良:1票)
22.  アメリカン・スナイパー 《ネタバレ》 
戦争映画、特に9.11以降のアメリカと戦争を描いた映画としては意外なほどメッセージ色が表に出ていない作品でした。 1人のアメリカ兵狙撃手、クリス・カイルの4度にわたるイラクへの派遣と、その合間のアメリカでの日々を交互に挿入していく。  戦場の緊張感溢れる描写は勿論ですが、アメリカでのクリスの姿を追う緊張感のある描写。 隣家のバイクか車がエンジンをかける音。ちょっとした機械の音。 自分の運転する車の後ろを走るバン。ホームパーティーで娘と遊ぶ犬。 それらの1つ1つに過剰に反応するクリス。戦争が次第に彼の心を狂わせていく。  そして冒頭でイラクの母と子どもを狙撃したのがクリスなら、 自分が狙撃した男が持っていた武器を手にし、戦おうとした子どもをスコープ越しに見つめながら、 「頼むから武器を手放してくれ!」と呟き、子どもが武器を手放すと、狙撃しなくて済んだ安堵の表情を浮かべたのもクリス。  交互に描かれる戦場のイラクと日常のアメリカ。 1人の兵士の姿を追うその両方の描写を通して、戦争と人間を見事に描いた傑作だと思います。 無音のエンドロールの映画を見たのは久々でしたが、 哀愁漂うトランペットの音色に続く本作の無音のエンドロールは何とも言えない悲しみに満ちていました。
[映画館(字幕)] 9点(2015-02-24 22:50:27)
23.  アバウト・タイム 愛おしい時間について
イギリスのラブコメ職人、リチャード・カーティスがユーモアと感動にあふれた素晴らしい人生賛歌を撮り上げました。 主人公の青年は祖父、そして父から過去にだけタイムスリップできるという特殊な能力を受け継ぐ。 この能力を背景に、一目惚れした運命の女性に対し「あっ!だせえな俺。やっちゃったなあ…。」と思ったら、 そのちょっと前に戻って今のとこ、もう1度やり直し!という展開が続く前半はちょっとドタバタのラブコメといったところ。 笑いドコロも十分です。しかし彼がその女性と結婚するあたりから、少ししんみりとしますが、 登場人物ぞれぞれの色んな家族愛と人生賛歌のドラマへと、実に自然に作品の空気を入れ替えていく。 主人公の男にこの特殊能力を決して無駄遣いさせないのがいい。 愛する女性のため、愛する家族のため、彼は過去と現在を行き来します。 後半から終盤は、こういう家族のドラマには滅法弱い僕ですが、本作に関しては涙は出てこなかった。 それは本作の持つ独特の清々しさや、終盤のしんみりとした空気の中にも、本作の根底にあるユーモアの精神が常にあったからだと思う。 何気ない日常の中にあるささやかな幸せというものを感じさせてくれる、作品の中の空気のブレンド具合も見事な作品でした。
[映画館(字幕)] 9点(2014-12-17 18:16:26)(良:2票)
24.  マダム・イン・ニューヨーク 《ネタバレ》 
何だろう?このボリウッド映画が持つ特有の人生に対する前向きパワーは! 本作は何と言っても主人公のシャシを演じた女優さんの魅力に尽きると思う。 美しくてチャーミング。彼女が身にまとうカラフルな民族衣装サリーもいいアクセントとなっています。 彼女を見ているだけで元気が出るようであり、励ましてあげたくなるようであり、切なくなるようであり。 この人の出ている映画をもっと見てみたいと思いました。 彼女だけでなく、NYの英会話学校の先生と、国籍も年齢も様々な個性的なクラスメート達がいい。 見事に全員の個性が生きています。 挿入される音楽そのものもいいのですが、その使い方も絶妙。 挿入曲にのせて、彼女の日常をポップにオシャレにちょっと早送り気味で見せてくれる。テンポもとてもいい作品です。 また、飛行機で隣り合わせた粋なおじさんや、NYに着いてすぐの頃のファーストフード店でのエピソードも効いています。 結婚式と重なり、受けられないはずの卒業試験はそうきましたか!その彼女のスピーチが感動的。 序盤からの彼女をとりまく全てが凝縮されたような見事なスピーチの内容。それを聞く夫と娘の表情が印象的です。 クラスメート達のスピーチも聞いてみたかったですけどね。 ラストもボリウッド映画らしく登場人物みんなで陽気に踊って、作品を締めくくってくれました。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-19 23:17:25)
25.  ジャージー・ボーイズ 《ネタバレ》 
これまでも映画の中で様々な人間の人生を描き続けてきたイーストウッド。 本作でイーストウッドが取り上げたのが、60年代に一世を風靡したフォー・シーズンズ。 とりあえずその名は聞いたことがある程度の知識しかなかったですが、 曲が始まると、「これも彼らの曲だったんだ!」と聴いたことがあるある曲が幾つもありました。 盗みを働き、仲間が塀の中に出たり入ったりを繰り返しながらも音楽的に実力を付けていく、仲間と苦楽を共にした青春時代。 少しずつ演奏するステージが大きくなっていく。自分たちの曲が次々ヒットする。 やがてグループは人気の絶頂を極めますが、その後は大きな成功を収めたグループの光と影を描き出す。 友情、成功ゆえの苦悩、挫折、グループの分裂、大切な家族の死。それらを力強く乗り越えての復活。 60年代というビートルズをはじめ、魅力的なグループ、ロックスターが数え切れないほど存在した時代。 そんな彼らの人生のドラマを見ていると、イーストウッドが彼らを取り上げた理由が分かるような気がしました。 勿論音楽の使い方も素晴らしく、エンドクレジットでのミュージカルシーンも楽しかった。 (ぎこちなく手拍子を打ちながらリズムをとるウォーケンがなんか良かったな…) 鑑賞後に重く考えさせられることも多いイーストウッドの映画ですが、 素晴らしい音楽にのせて軽快に魅せる本作はとても楽しく鑑賞させてもらいました。 もうとっくに80歳を過ぎたイーストウッドですが、まだまだ元気で映画を撮り続けてほしいと心から思います。 そしてまたいつか自身の映画の主要キャストに俳優イーストウッドを起用してくれると嬉しいのだけど・・・。
[映画館(字幕)] 9点(2014-10-01 16:59:38)
26.  猿の惑星:新世紀(ライジング) 《ネタバレ》 
前作を凌駕するパワーに圧倒される作品です。 作品そのもののパワーもさることながら、シーザーの醸し出す迫力や凄味は見事の一言。 そして前作以上に考えさせられることが多い作品でした。 発電所の復旧のくだりでは猿と人間の共存が実現するのかと思いきや、終盤は思わぬ展開に。 敵対する猿と人間、猿同士、人間同士。様々な対立軸が存在する一方で芽生える猿と人間の友情。 前作でシーザーが幼少期を過ごした、今では朽ち果ててしまった家が登場します。 シーザーにとってはかつてのこの家の主人に続き、人間との間に芽生えた2度目の友情に胸が熱くなった。 様々な局面で展開を左右するアイテムとして登場する銃。 銃で殺し合う猿と人間。そして猿が猿を銃で殺害しようとするシーンは衝撃的。 その一方で銃に頼ろうとしないシーザーの姿からは、彼の真の強さを感じました。 この先猿と人間は共存の道を進むのか、それとも対立はさらにエスカレートしていくのかは分かりません。 出来れば対立の果てに共存の道を模索する両者の姿が見られるような、本作の更なる続きが見たいと思います。
[映画館(字幕)] 9点(2014-09-24 22:07:03)(良:1票)
27.  チョコレートドーナツ 《ネタバレ》 
親を選べない子どもにとって、幸せとは?親とは?法律とは? ベン・アフレック監督作「ゴーン・ベイビー・ゴーン」でも触れられたテーマ。 シリアスで重い内容を含んだ切ないドラマです。 しかし本作の素晴らしいところは、確かに話の内容は重いのですが、主役のドラッグクイーン、ルディのキャラクターが抜群にいい。 明るく人生を生きていける強さがある。彼のユーモアのある言動も巧く控え目に挿入されています。 その歌声、歌の歌詞と共にルディの生きザマに元気や勇気を貰ったような気もする。 冒頭でいきなりイケメンのエリート弁護士のカレ(ポール)をゲットするのも、そんなルディの人徳でもあるのでしょう。 ルディ、ポール、マルコ少年。3人の日々を追う手持ちカメラの不安定な映像は、3人の本当に幸せな日々が長くは続かないことを感じさせます。 しかし、ルディがマルコに添い寝して聞かせる「魔法使いの少年マルコのハッピーエンドのストーリー」。 これがあっただけに、最後はうまくハッピーエンドに持って行ってくれることを期待したのですが・・・。 後半の法廷劇の中でのルディとポールが熱く語る素晴らしい台詞の数々も、 こういう問題を何とか子ども本位で考えられないものなのかと問題提起を投げかけています。 いい映画だろうなと期待しての鑑賞でしたが、期待以上のいい映画でした。 ルディ、ポール、マルコの家族の姿と、そんな彼らを描く優しい作品の目線。 後半から終盤にかけては、館内の至る所から鼻をすする声が聞こえていました。
[映画館(字幕)] 9点(2014-07-25 17:52:50)
28.  42~世界を変えた男~ 《ネタバレ》 
序盤のジャッキー・ロビンソンと、ブルックリン・ドジャースのリッキー会長が初めて出会うシーンが印象深い。 ジャッキーに我慢を求める会長に対し、ジャッキーは「やり返す勇気の無い選手になれと?」と反論する。 しかし会長は「やり返さない勇気を持つ選手になるのだ!」と説く。 実際にあったやりとりなんでしょうね。この精神が彼の支えの1つになったのでしょう。 世界を変えた男、ジャッキー・ロビンソン。彼の闘いの日々の描写には当然厳しい表現も含まれます。 しかし共に世界を変えたもう1人の男であるリッキー会長との関係や、明るく前向きなレイチェル夫人との2人3脚ぶり、 次第に打ち解けていくチームメートとの関係の描き方がよく、スポーツものとしての熱さも巧くミックスされた感動作に仕立て上げられています。 終盤にベンチの上から、ジャッキーが多くの白人や黒人の子ども達にサインをねだられている。こんな何気無い1つ1つのシーンが素敵です。 100年をゆうに超える歴史を持つメジャーリーグベースボール。MLB好きにとっては古き良きボールパークの佇まいもたまらない。 本作でも、他の野球映画を見ても、いかに野球が時代を超えてアメリカ人に愛されてきたのかが伝わってきますね。 アメリカ映画らしい良さを随所に感じる作品でした。
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2014-05-01 16:16:07)(良:2票)
29.  ル・アーヴルの靴みがき 《ネタバレ》 
貧しくも善良に暮らす人々が織りなす心温まるストーリー。カウリスマキの作品なので、本作も寡黙な映画でしたがじんわりと心に響くいい映画でした。  世知辛い世の中、最近はいいニュースも少ないですが、だからこそせめて映画の中ではこんなことがあってもいいと思う。  最後は奥さんにまつわるちょっとしたどんでん返しがありましたが、(空いたベッドを見せて一瞬えっ!?と思わせておいて…)これも素敵な大人のおとぎ話だと思いますよ。何の説明も医学的根拠もありませんが、奇跡を信じたい時って必ずあるものです。本作のような映画にバッドエンドは似合わない。
[DVD(字幕)] 9点(2013-09-06 15:25:15)
30.  レ・ミゼラブル(2012)
台詞のほとんど全てが歌になっているミュージカル大作。見応えがありました。  台詞が歌になっているため、台詞の途中で一息入れるといった感情表現は出しづらいですが、人生の喜びや悲しみを表現するキャストの歌唱力や歌いながらの表情の演技が素晴らしかったです。時には壮大に、時には柔らかに、子どもが歌うシーンではまた曲調が明るく変わり・・・といった音楽も素晴らしかった。  皆が一体となって歌うシーンでの迫力ある歌声に圧倒されるとともに、音楽や歌、歌声の持つチカラに心から感動しました。  平日の昼間にもかかわらず大勢のお客さんが席を埋めていましたが、エンドロールが始まっても皆が作品の余韻を共有するように席を立つ人がほとんどいなかったのが印象的でした。
[映画館(字幕)] 9点(2012-12-27 17:13:04)(良:1票)
31.  アルゴ 《ネタバレ》 
ベン・アフレックの監督デビュー作となった、「ゴーン・ベイビー・ゴーン」を見た時は驚いた。非常に重い作品でしたが、見応えのある重厚な社会派ミステリー・サスペンスでした。監督がアフレックだったことに驚いたと共に何でこれが日本未公開なんだ?と思ったものです。  そして本作。今度は実話に基づいた、非常に骨太な社会派サスペンスを自らが主演し撮り上げた。しかし、もはや「ゴーン~」を見た時のような「あの俳優ベン・アフレックが・・・」という驚きは無い。今やもう、ますます今後の作品に期待が高まる映画監督となりましたね。  冒頭の騒然としたデモが巻き起こるテヘラン市内の描写に、混沌としたバザールと人質達が市内に顔を晒して歩く緊張感、さらにそこに挿入される緊張感が高まるアクシデントの挿入。恐らくは脱出に成功するのであろうと思いながらも手に汗を握る空港の脱出劇に、離陸後も見る者を簡単には安堵させない終盤のたたみ掛けるような展開の組み立ても見事です。  そんな張りつめた緊張感の中進行していくアルゴ作戦にあって、ちょっとした映画小ネタを挿入したり、一息つかせてくれるジョン・グッドマンとアラン・アーキンのベテランコンビの使い方も絶妙でした。
[映画館(字幕)] 9点(2012-11-02 00:05:10)(良:2票)
32.  ヘルプ 心がつなぐストーリー
アメリカ映画の大きな1つのテーマである南部の地の、特に60年代の人間模様を描いたドラマ。このテーマに取り組んだアメリカ映画は少なくないですが、その中で本作は秀作の1つとして数えられていくでしょう。  どうしても作品全体が重たくなるテーマであり、しかも本作はそれに真っ向から取り組んでいながらも重さを感じさせず、ユーモアの精神も素晴らしい作品です。  白人側には嫌な人物も会話も登場しながらも作品全体には明るさを保ち続ける。多分日本で僕が思う以上に今でもアメリカでは難しいテーマなんだと思いますが、この匙加減も見事です。  1冊の本の出版以外は大げさなエピソードや大事件の挿入は控えながら、日常の1コマを大切に積み重ねていく。ニッコリさせられる部分も挿入しながら最後には感動があり、実話モノを見ているような気にすらさせられました。  多くの黒人と白人女性たちが登場しましたが、様々な人間というものを見せてくれた女優陣の素晴らしい演技に拍手を贈りたいと思います。
[DVD(字幕)] 9点(2012-09-22 15:47:42)(良:2票)
33.  おとなのけんか 《ネタバレ》 
これはお見事!作品はアパートの一室からほとんど一歩も出ない。2組の夫婦が、それぞれの子ども同士がけんかで怪我をした解決方法を話し合っている内に今度は大人達が・・・というお話。  アパートの一室から殆ど出ない設定の中、ポランスキーの演出、脚本、4人の演技が三位一体となって実に面白い空気を創り上げています。ポランスキー自身、俳優としてジュゼッペ・トルナトーレ監督作「記憶の扉」(94)にて、ほとんど警察署の取調室から出ない設定の中Gドパルデューと俳優として共演し、ほとんど2人っきりで見事な演技合戦を繰り広げましたが、本作の4人もお見事。  ハムスター、ゲロ、クライアントや母さんからの電話、ウイスキーといった次なるバトルの発端となるきっかけの出し方、そのタイミングも実に自然。  最初は和やかに解決方法を話し合っていた2組の夫婦がこれらきっかけを元に夫婦vs夫婦、夫vs妻、妻vs夫、夫vs夫、妻vs妻、かと思えば夫同士、妻同士が共闘したりと1つの些細なきっかけを発端に自然に対立の構図を変えていく流れも素晴らしい。  気がつけば子どもたちは仲直り、ハムスターも公園で元気。色んな大人の事情を挟みつつも大人気無いおとなのけんかにまんまと笑わされたポランスキーの人間観察コメディ。  原題の意味は分かりませんが、「おとなのけんか」以外のタイトルが考え付かない、この邦題もお見事です。
[DVD(字幕)] 9点(2012-08-18 13:58:52)(良:1票)
34.  幸せへのキセキ 《ネタバレ》 
今年の上半期、楽しみにしていた映画のひとつ。期待通りのいい映画でした。  冒頭からごく短時間でマット・デイモン演じる主人公の男と家族の抱えている問題を簡潔に見せ、すぐに家族は動物園にやってくる。主人公の男が動物園の愛すべき仲間達と共に、動物園を再生していく過程と同時に、彼の人生と家族の再生をひねることなく実に分かりやすく見せてくれる作品です。クスッと笑わせてくれる、控え目な笑いドコロの挿入も良かったです。  やまない雨は無いという。動物園開園前夜まで降り続いていた雨も開園当日にはカラッと晴れ上がった。それは天気だけでなくこの家族と仲間達の人生の好転を予感させてくれます。そして開園以降ラストまで、実に気持ちよく生きることの素晴らしさを感じさせてくれました。   息子と娘をはじめ、子役が本当に素晴らしい作品でした。もう1人、そろそろ子役とは呼べなくなってきましたね。エル・ファニングは去年見た「SOMEWHERE」と比較すると驚くほど大人っぽくなって、とてもいい演技を見せてくれました。   ”20秒の勇気”が良かったなあ・・・。
[映画館(字幕)] 9点(2012-06-18 21:36:33)(良:2票)
35.  黄色い星の子供たち 《ネタバレ》 
史実に基づくこの題材のヨーロッパ映画だけに見る前から覚悟はしていましたが、重い映画でした。しかし、いい映画でした。見てよかったと思います。  妥協せず歴史を伝えようという意思が感じられる厳しい演出だったと思います。それは本来は市民を守るべき存在である筈のフランス警察の描写ついても。少しずつ顔や服が汚れていき、やつれていく。列車に乗せられ、二度と戻ってこなかった人々を演じた全ての俳優、子どもたちが素晴らしい演技でした。そして以前から綺麗な女優さんだと思っていましたが、メラニー・ロラン、いい女優さんだと思いました。  フランス国内では全ての人が知っているのであろう、ナチス占領下の仏国内で1942年に行われた1万人以上に上るユダヤ人の一斉検挙。そのほとんどが生還できなかったという。僕は本作を通してこの史実を知り、記憶に刻み込まれることになった。これも映画の持つ大きなチカラなんだと思う。
[映画館(字幕)] 9点(2011-09-08 18:28:17)(良:1票)
36.  海洋天堂 《ネタバレ》 
久々に涙腺が崩壊する映画を見ました。もう成人しているが、心の病気で一人で生きていくには困難がある息子を置いて間もなく息子の前から去らなければならない父の我が子に捧げる愛情のドラマです。  話の内容は非常に重いです。しかし、父と息子の触れ合い、ジェット・リーの感動的な演技、そしてこの親子の支えになる人々の善意やあたたかさ、控え目に挿入される久石譲の音楽が話の重さを和らげてくれます。もう一人、楽しみにしていた台湾のスター、グイ・ルンメイの扱い方が勿体無かったことだけが残念でした。  冒頭、絶望的なシーンからこの映画は始まります。ジェット・リー演じる父の抱える事情は前半に明らかになるのですが、その絶望を乗り越え、家の鍵の開け方、卵の割り方、シャツの脱ぎ方、バスの乗り方・・・。息子の自立のため教えていく父の姿を音楽も演出も大袈裟になりすぎず、一つ一つを淡々と見せていくのですが、その一つ一つが父の我が子への愛情にあふれている素晴らしいものでした。  最後に父は「父さんはウミガメだぞ!」とお手製のウミガメの甲羅をまとい、息子と共に泳ぐ。やがて父は息子のもとを去るが、父の教えを立派に実践する息子の姿があり、息子はこれからも生きていく。そしてラストシーン、息子は水族館を気持ち良さげに泳ぐウミガメに寄り添い泳いでいる。絶望的なシーンから始まりましたが、ラストシーンは希望のある、そして実に美しいものとなっていました。平凡にして偉大なる、そして強く、心優しいジェット・リー演じる父の姿は忘れられないし、この父を演じるのはジェット・リーでなければならないと思える映画でした。
[映画館(字幕)] 9点(2011-08-01 21:57:26)(良:1票)
37.  英国王のスピーチ
バーティとライオネル(敢えてこう呼ぼう)が2人っきりで部屋の中にいる。2人の関係に常に一定の距離感と緊張感を持たせつつも、台詞の中に込められたユーモアのセンスが素晴らしく、1シリング硬貨やプラモデルといった小道具の使い方も巧く、実に味わいのある笑いを生み出します。この緊張感と可笑しさのバランスが絶妙でした。この2人を演じるコリン・ファースの感動的な名演技は言うまでもなく、ジェフリー・ラッシュもまた賞賛されるべき素晴らしい演技でした。  初めて2人が出会った時の距離感のある関係から、その距離感を少しずつ詰めていく過程が、感動の味付けや音楽や演出は抑え気味ながらもユーモアを交えながら丁寧に積み重ねられていき、最後は実にいい感動があります。演じる2人の繊細かつ可笑しさのある演技も充分に堪能できます。  この2人のそれぞれの家族の関係とその温かみのある描き方にも家族の素晴らしさを十分に感じさせてくれるし、王である夫を支える妻を演じたヘレナ・ボナム=カーターも見事な好演でした。本作のように地味ながらもいい映画が本年度アカデミー賞の重要な4部門(作品・監督・脚本・主演男優賞)を受賞したことをとても嬉しく思います。
[映画館(字幕)] 9点(2011-03-01 20:48:20)(良:2票)
38.  タイム・トゥ・ラン
組織のカネを強奪し、バスジャックして逃走、組織からも警察からも追われる犯行グループ・・・。 既視感のあるプロットで大した期待感も無く見始めたのですが、これが大変面白い映画でした。 近年はすっかり丸くなった感のあるデ・ニーロですが、こういう役を演じると流石の凄味を出しますね。 その他の登場人物もそれぞれに味があり、それぞれに事情があり、ある者は裏の表情もある。 バスジャック犯グループと組織、警察との攻防とアクションが常に作品の前面に出る中、 テンポや緊張感を緩めず、この、それぞれの味とそれぞれの事情を挿入しつつ、 最後にはあっと驚くバスジャックの顛末とその後のドラマが用意されています。 これだけのお楽しみを詰め込んで、よくぞ90分に収めました。お見事!
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-05-25 17:33:44)
39.  天才作家の妻 40年目の真実 《ネタバレ》 
ノーベル文学賞受賞作家の夫婦。 ベッドの上で受賞の第一報を聞き、喜びを共にする冒頭から作品がスタートする。 この受賞を機に、墓場まで持っていくはずだった夫婦の秘密を、 2人が若かりし頃はまだまだこういう創作活動の世界でも女性が不当な評価を受けていたことにも言及しながら、 ミステリ・サスペンスタッチで半世紀前からの夫婦の歴史を振り返りながら表面化させていく。 この夫婦を演じるグレン・クローズとジョナサン・プライス2人が味わいのある演技を見せる。 特に終盤、動と静の緩急をつけながらのノーベル賞の授賞式と晩餐会から続く、 40年間の愛憎入り混じるホテルに戻ってからの2人の最後の時間が見応え十分でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-05-12 13:15:43)
40.  どん底作家の人生に幸あれ! 《ネタバレ》 
前作では、スターリンの死後の権力闘争を、 なかなかぶっ飛んだコメディにしてしまったイアヌッチ監督。 そして本作では文豪ディケンズの自伝的小説を基にしたコメディとなっています。 ディケンズの原作を読んだことはありませんが、 原作にはない空気がかなり盛り込まれているんじゃないかと思います。 特に、バラエティに富んだ様々な人種の登場人物。 19世紀の文学の世界観を、社会が多様化する21世紀の現代に持ってきてもこんなに面白い。 イアヌッチの、文豪ディケンズへのリスペクトのカタチでもあったのでしょうか。 主人公の人生も、多くの魅力いっぱいの登場人物の人生も、まさに波乱万丈。 しかし悲観的ではない。誰もめげない、陽気な人生賛歌。 主人公を演じた、本作の世界観を象徴するかのようなデヴ・パテルがあまりにも素晴らしかった。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-09-11 16:25:27)
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