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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2261
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 お世話になっております。
只今『真・女神転生VV』攻略中のため新規投稿お休みしております。

2024.6.28


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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【製作年 : 1990年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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21.  ガタカ
この作品を「スタイリッシュな映像」という言葉で表現をすることがよくあります。確かにその通りなのですが、これだと単なるオシャレ系の作品と思ってしまい、敬遠される方がいるかもしれません(実際自分がそうでした)。また、SF作品としては突っ込みどころが満載です。時代とテクノロジーの設定に関しては、かなり粗さが目立ちます。しかし、これは些細なことです。この作品の持つ真の魅力は、「人は何のために生まれてくるのか」という人間が持つ根源的なテーマを、美しい映像と深みのある音楽、そして何より緊張感あるドラマで描いている点にあると思うからです。鑑賞後、切なさを含んだ複雑な感情を呼び起こす、素直に観て良かったと思える名作です。
[DVD(字幕)] 9点(2006-04-17 17:35:23)
22.  クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦
この作品に高得点を付けていらっしゃる多くの方と同じように、自分もぶりぶりざえもんの大ファンです。救いのヒーローなのに強きを助け弱きをくじき、腕っぷしは無いけど結構器用で、法外な報酬を要求するけど結局は金ぬきで人助けをしてしまうぶりぶりざえもん。とても人間くさい愛すべきぶたです。正直、ぶりぶりざえもんが活躍してくれるだけで自分は満足なのですが、全編を通じて描いている「親子の愛」や下手な実写より数段上のアクションシーンなど一作品としても非常に素晴らしい出来だと思います。クレヨンしんちゃんは「食わず嫌い」な方が沢山いると思いますが、映画のクレしんを観ないのは本当にもったいないです。最後に、ぶりぶりざえもんの魅力を余すとこなく表現された声優の塩沢兼人さんのご冥福を心よりお祈りいたします。
[DVD(邦画)] 9点(2006-04-15 10:26:00)(良:2票)
23.  エル・マリアッチ
脚本だけなら特筆するような作品ではありませんが、ロケーションとキャスティングの素晴らしさが本作を特別な映画に仕上げています。得も言われぬ良い匂い、画面の端々から色気を感じます。本来はハンデとなる低予算もプラスに作用している気がします。刺さる人には堪らないでしょう。出来の良し悪しでは測れない味のある映画。こんなの大好きなんです。
[インターネット(字幕)] 8点(2023-07-22 19:11:20)
24.  ラブ&ポップ 《ネタバレ》 
パネルクイズなら、映画ジャンル10点クラスのイージー問題。本編映像のうち、どこでもいいので10秒も流せば、すぐに庵野秀明監督とわかる特徴のある画で溢れています。であるがゆえに、私は開始5分で挫折仕掛けました。少々煩わしい。そういう意味では、劇場作品としては成立しても、家庭視聴には向いていないかもしれません。 時代は1990年代後半。主人公は女子高生。当時の世相や風俗を記録した資料的な価値もあり、公開から20年以上たった今、当時を懐かしむというより新鮮な心持で鑑賞する事ができました。この先、10年20年後とさらに価値を増すのでは。 特筆すべきはエンディングです。生き急ぐ女子高生の、愚かさと切なさ、そして力強さが集約された見事なエンドロールでした。カラオケ歌唱も素晴らしい。ずっと見ていられます。これは『私の優しくない先輩』と双璧を為す邦画史に名を残す名シーンと考えます。 それにしても仲間由紀恵が美しいこと。まさにブレイク前夜の原石のようです。
[インターネット(吹替)] 8点(2021-08-19 07:56:04)
25.  クロノス(1992) 《ネタバレ》 
ゴシックホラーの風合ですが舞台は現代。『吸血鬼もの』にも関わらず、コウモリに変化もしなければ、人を襲ったりもしません。お約束の美女を吸血するシーンすらなし。私たちが思い描く『吸血鬼もの』とは一線を画していました。一般的なホラーというジャンルにも当てはまらない気がします。それでいて紛うことなく『吸血鬼もの』の趣。それは吸血鬼映画特有の美しさ(芸術性)が、ギレルモ・デル・トロ監督によって見事に担保されていたからだと思います。さて本作では、錬金術で生み出された『クロノス』という昆虫型機械がドラキュラ伯爵の代わりを務めました。機械内部にはグロテスクな生物の姿。コイツがクロノスのカラクリを使って人を吸血し快楽でその者を支配すると共に、人を不死の生物に変化させる仕組みです。魅入られた美女がドラキュラ伯爵に身を捧げるのとシステム的には大差ありません。効能、常習性、それに伴う代償。機械針で吸血という手法も含め、ドラッグに溺れる中毒患者を彷彿とさせます。一度そう認識してしまうと、もう『麻薬中毒者の末路』を比喩した映画としか見えなくなります。果たして主人公に与えられた選択肢とは、モンスターとして生きるか、人として死ぬかの二択。結末に救いを感じるのは、私たちが人間だからに他なりません。 素晴らしきはギレルモ・デル・トロ監督の映像作家としての実力です。聞けば本作が長編デビュー作との事ですが、どの画の端々にも監督のサインがみて取れるよう。並の監督でないのは一目瞭然でした。物語の骨子は『ドラキュラ』ですが、主人公の姿は『フランケンシュタイン』を模していました。本作のテーマ『人が人たる条件とは何か』を語る上で、人造人間もまた欠かせぬモチーフだったのでしょう。愛する人がいるからこそ、人は人でいられる。それはすなわち、人は一人では生きられないというメッセージと考えます。
[インターネット(字幕)] 8点(2020-10-20 15:28:59)
26.  コン・エアー 《ネタバレ》 
低予算・低クオリティのB級C級映画は星の数ほど存在しますが、本作のように大金をつぎ込んだA級バカ映画には、年に何本もお目にかかれない。バカを大スケールで、しかもコンスタントに届けてくれるハリウッドには、心から感謝申し上げたい。まるで豪勢な『お笑いウルトラクイズ』を観ているようでした(失礼)。もっとも、本作を観始めた頃は、真っ当なクライムアクションだと思っていました。深刻なトラブルに巻き込まれた主人公を本気で心配した。ところが様子がおかしい。主人公が友達思いなのは分かります。正義漢だということも。だだ、それにしても楽観的過ぎやしないか。ポーにとっては、妻子に会う事が最優先事項じゃないのか?そんな疑問は、爆発炎上を背にダイブする主人公を見て吹き飛びました。ああアレか。“主人公だから死にません”っていう、アレか。娯楽作品のお約束。そういう映画だと分かればシメたもの。こちらも、そのつもりで観させてもらう。そんな観客のスタンスを見透かしたかのように、バカは加速して行きます。空飛ぶスポーツカー。ラスベガス市街地に突っ込む飛行機。大惨事?いえいえ、死者数はゼロに決まってます。777でコインが飛び出す能天気なカットがその事を裏付けている。本作は素敵なバカ映画でした。あんまり素敵なので、クソバカ映画と呼ばせてもらいます。もちろんマジで褒めてます。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-03-24 18:55:23)(笑:1票) (良:2票)
27.  エスケープ・フロム・L.A.
前作に当たる『ニューヨーク1997』(邦題)を鑑賞済みである事が、本作を味わい尽くす上上での重要な要件。本作単独で観るのと、『ニューヨーク1997』の後日談として観るのとではまるでコクが違う。「牛丼並盛」と「牛丼特盛つゆだく玉入り鬼盛紅生姜」くらい違う。前作の設定と脚本を踏襲しているのですが、それがイチイチ面白いのです。監督は山田洋次かと思いました。自分が配給会社の宣伝マンなら『スネークはつらいよ・LA恋のコウモリグライダー』という邦題を提案します。そして上司から怒られます。終末世界にバカ要素がいい具合にブレンド。チープなCGが華を添えます。ラストの取って付けたような文明批判がこれまた芳しい。悪くない。悪くないです。これくらい思いっきりバカをやってくれた方がスッキリ楽しめるというもの。前作もバカでしたが、本作は大バカです。いわゆるB級映画のテイストが好きな人には、タマラナイ映画だと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2010-05-07 20:14:54)(良:2票)
28.  大誘拐 RAINBOW KIDS 《ネタバレ》 
まず脚本が素晴らしいです。“絶対悪”の誘拐事件をこんなにも清々しく調理し、エンターテイメントに仕上げるとは驚きです。事件に振り回された警察関係者や心労をかけた家族はお気の毒ですが、基本的に誰も傷ついてもいないのが楽しめる所以でしょう。当たり前の事ですが、意外とこのへんの処理が適当なコメディが多いもの。素晴らしいです。欲を言えばラスト。刀自と緒方拳が事件を語る場面では、最後までシラを切り通して欲しかったと思います。それが対戦した相手に対する礼儀かと。なお当然ながら、北林谷栄の貫禄の演技無くして本作は成立しませんでした。あの器の大きさ。童子が全てを委ねてしまうのも納得でした。そしてなんとチャーミングなことでしょう。希木麒麟の存在感も見逃せません。2大女優に感服いたしました。風間トオルのうそ臭い関西弁は本来マイナスポイントですが、刀自の魅力を際立たせる効果を上げているのでまあいいのかなあ。
[DVD(邦画)] 8点(2009-04-09 20:32:07)
29.  ゲーム(1997) 《ネタバレ》 
伏線らしい伏線はありません。あの結末は、ある種のちゃぶ台返しだと思います。でもだからこそ、客観的な立場ではいられず物語に引き込まれた気がします。巧妙な詐欺事件としか思えなかった。主人公と共に震え、絶望を味わい尽くしました。人間には危機願望というのがある。ホラー映画、お化け屋敷、絶叫マシン。恐怖を擬似体験することで、カタルシスを得るという手法です。その究極の形が『ゲーム』だと思いました。一度死んでみること。しかも主人公の場合、父の自殺を追体験することでトラウマ解消にも役立っている。生まれ変わり儀式の効用は計り知れません。おそらく中途半端なモノだったら、プレイヤーの怒りを買うだけでしょう。自殺にまで追い込んでこそ価値がある。かといって、自分もゲームをやりたいとは絶対に思わない。こんな最低最悪の悪趣味なゲームを肯定する気はありません。あ~でも、心の何処かでこんな体験を願っている気もする。人間とはなんて贅沢な生物なのか。
[DVD(字幕)] 8点(2008-03-16 20:03:04)(良:1票)
30.  12モンキーズ 《ネタバレ》 
ギリアム作品の魅力は、「独特のアナログ感覚溢れるダークな世界観」にあると考えます。未来や空想世界を描く作品で、その本領を発揮します。服装や小物といったアイテム、アクの強いキャラクター、影のあるストーリー。何処をとっても「ギリアム」印。本作は、『未来世紀ブラジル』と並ぶ監督の代表作の一本だと思います。プロットはタイムスリップものの王道。しかし肝心のタイムスリップの方法やルールは完全無視。観客に説明しようという意識が微塵もありません。でもこれが素晴らしいのです。タイムスリップの説明は、観客を納得させるために必要なもの。無くても観客が納得するならそれでいいのです。その割り切りと自信はお見事です。本作で貫かれている前提は、“過去は変えられない”ということ。倫理的に“変えてはいけない”ではなく、当然の如く“変えられるはずがない”という立ち位置です。これが大好きです。一見後ろ向きに見えます。でも本当は真逆です。過去は変えられないけど、未来なら変えられる。やり直しが効かないからこそ、今を大切にしようということだから。最後の刹那まで、必死に運命に抗い続ける主人公。もちろん結末は変わりません。でも無駄とは思いません。主人公にとっての“今”は、まさにこの時、この時代。仮に結末が分かっていても、諦められるはずがありません。それは、死という結末が必ず待っている生き物全てに共通する事だと思うのです。足掻くこと自体に意味があります。表面的にはバッドエンド。後味は悪いです。でも人生とはそんなもの。それでいいんです。
[DVD(字幕)] 8点(2008-01-08 18:41:31)
31.  トレインスポッティング 《ネタバレ》 
格好良く言えば「刹那的」、悪く言えば「単なるアホ」な若者たちの物語。息苦しい現実から逃避するためにドラッグに明け暮れる日々。彼らの主張は単純明快です。ヨボヨボの爺さんになって何になる。今のこの快楽に意味があるという理屈です。そういう人生観もアリだと思います。明日交通事故で死ぬかもしれないし。ただ、彼らは経験していない。想像の中の漠然とした不安をかき消したいだけ。酸いも甘いも噛み分けた人生の達人が辿り着いた結論とは訳が違います。だから揺れる。ブレブレです。禁ヤク生活を始めてみたり、諦めてみたり。無茶苦茶カッコ悪い。それは主人公自身が一番よく知っていることです。ただ彼は運が良かった。ヤク漬けの生活から足を洗えたことも、一度は就職できたことも。ほぼ奇跡といっていい。でも今までのツケが全部払えたわけじゃない。悪友に巻き込まれて、再びかつての生活に逆戻りかけます。そして最後の主人公の決断。この後味が絶妙でした。軽やかな音楽と相まって、まず先に来るのが爽快感。散々悪友にタカられた主人公の逆襲の一手は気持ちいい。希望もあります。彼は大金を元手に真っ当な人生を目指すという。清涼飲料水の如きノド越しの結末。だのに苦いものが舌に残る。多分アイツはまたドラッグに手を出すだろうなという確信があるから。象徴的なのは、主人公が単語を羅列するところ。ドラッグの名称、不動産屋の仕事、そしてこれから彼が目指す人生について。都合3回同じような言い回しの台詞が出てきます。つまり、ヤク中の時も、就職していても、大金を手にしても、彼は何も変わっていないということ。物語の大半ヤク中だった彼の未来が明るいとは思えない。更に観客も問いかけられます。世間一般で言う“好ましい人生”を表すワードたち。それを耳にして心がザワつきます。こいつらの生活は間違いなくクソだけど、自分の生活はクソじゃないのか。価値観を揺さぶられます。ストーリーは最悪。メッセージには棘がある。でも観客を魅了する技術は相当なものだと思う。こういう映画もキライじゃありません。
[DVD(字幕)] 8点(2007-11-09 18:25:53)(良:3票)
32.  17歳のカルテ 《ネタバレ》 
主人公は境界性人格障害。あとから調べて分かったのですが、彼女の症状はその典型です。邦題の17歳という年齢もズバリそこから来ている。引きこもり、反体制志向、幻覚、自殺計画にカジュアルセックス。自殺と幻覚はヤバイと思いますが、それ以外はさほど問題とは思えませんでした。事実、病院でのスザンナやリサは、まともに見えました。いけ好かない教授夫人をやり込めたり、友達のために無茶してみたり。今どきの若者と変わらない。むしろイイ奴です。人格障害は“性格に難あり”ということ。本作の設定は60年代のアメリカ。当時の価値観・倫理観からすれば問題アリでも、今ならそうでもない。個性の範囲。自殺の危険性が去れば、もう退院してもいいんじゃないの?そう思っていました。主人公の考えと同じ。しかしその見方は後半覆ります。個性とか、自由とか、そんな言葉で逃げてはいけない。自分自身の弱い部分と向き合わないと、一人で立つことは出来ません。緊急避難はあっていい。でも逃げ回ってばかりではダメ。基本は立ち向かうこと。でないとちょっと押されただけでよろけてしまう。最悪のケースが死です。それを自覚できたか否かが、スザンナとリサの差。病院のベッドに縛られるか、社会に戻れるかの差です。「私は生きている」と言ったリサ。彼女もようやくスタートラインに立とうとしています。アンジーの演技には圧倒されました。別人に変わる。病の現実を見事に表現しています。それに比べると、W・ライダーの方は変わらない。でもそれもまた真実。病んでいるかどうかは紙一重。誰もがそのボーダーラインの上に立っているのだと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2007-09-28 04:39:23)(良:1票)
33.  スターシップ・トゥルーパーズ
悪趣味でアホらしい。むやみにエグイ描写を多用していますし、物語の展開も子供じみて単純なもの。英雄は名も無き2等歩兵なんてメッセージもイヤらしい。確信犯のバカ映画です。でもこれはホメ言葉。ここまで徹底すれば清々しい。戦争の本質を皮肉たっぷりに描いています。興味深いのは、相手が虫だということ。相手が虫なら、それは戦争ではありません。ただの殺戮。なぜなら、言葉も気持ちも通じ合わせることが出来る同種同士が争うことが戦争だから。でも本作は紛れも無く戦争映画だと思う。価値観が違えば、もはや同じ人間とは認識しないということか。虫と同じ。踏み殺すのに心は痛まない。
[DVD(字幕)] 8点(2007-08-28 18:31:36)
34.  羊たちの沈黙 《ネタバレ》 
ハンニバル・レクター登場シーンのインパクトは鮮烈です。透き通った目。理知的な表情、たたずまい。彼が尋常でない事は、まとう空気から伝わってきます。対するは、FBIの研修生クラリス。彼女もまた並ではありません。しかしレクターの前では子供同然。格の違いは明らかです。しかし彼女は果敢に怪物に挑んでいく。レクターの魅力の正体、それは“畏怖”。上級の恐怖です。看護婦の顔を食いちぎった話、隣の囚人を言葉で自殺に追いやったエピソードによって強く裏付けられます。ここで重要なのは、食いちぎられた顔も、どんな言葉で囚人を責めたのかも不明であるということ。想像するしかありません。より残酷に、より凄惨にイメージは膨らみます。ですから、レクター逃亡の過程は、“描き過ぎ”と感じました。警棒でガンガン殴っても、顔を鮮血に染めても、見せてしまえばそれまで。なんだ、その程度かと思ってしまう。想像力には敵わない。ナイフは振りかざすよりも、潜めているほうが本当は怖い。カリスマ的な人物像を壊す行為は、もったいないと思いました。とは言え、レクターとクラリスの対話シーンが秀逸なのは変わらない。問いかける側のクラリスが逆に分析されていく。言葉で裸にされ、心を犯されていく。彼女と同じく観客も身動ぎが出来ません。この雰囲気は極上です。本作が傑作と評されるのも頷けます。2人の絡みが本作の全て。しかしそれは作品としての弱点でもあると思います。もう一つの軸、バッファロー・ビルの事件が見劣りしてしまう。犯人の小物ぶりは酷い。物語の体裁としては、むしろビルの事件のほうが主軸。付け合せは絶品。でもメインのお肉はいまひとつ。根が貧乏性なので、やはりメインディッシュで満足したいです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-08-10 18:16:50)
35.  奇人たちの晩餐会 《ネタバレ》 
「バカを笑う晩餐会」。主人公の奥さんが言うように、確かに悪趣味です。これをそのまま見せられても多分笑えない。どうコメディに仕立てるのかと案じましたが、上手いやり方でした。タイトルに偽りも無いですし。“バカを笑う”という行為は含まれているものの、むしろバカに振り回される主人公を笑う感覚の方が強い。観客は、主人公の親友と同じ立場です。“他人をバカって言う奴が本当のバカ。”“人を笑う者は、いつか自分も笑われる”といった、子供の頃に教わった“世の中の法則”が守られているのも心地がいい。最後にホロリとさせて、笑いで締める手際もお見事。腰痛で動けないはずの主人公が、後半結構歩き回っていたのはご愛嬌。フランス産正統派コメディは初体験でしたが、とても楽しめました。ところで主人公とユニークな彼氏は、このあと友達になれたのでしょうか。多分なれない気がする。でも時々思い出して苦笑いするんだと思う。長い人生、こんな出会いも悪くない。良くもないけど。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-08-03 18:10:19)(良:1票)
36.  3-4X10月 《ネタバレ》 
間(ま)が絶妙。それは時間の間。空間の間。2つの間の取り方が、キタノ映画の空気を作っています。この感覚は天性のもの。やはり北野武の映画監督としての才を感じずにはいられません。さて本題。事前に得ていた知識は、タイトルが野球のスコアを表しているということ。観終わってみれば、確かに逆転劇を食らったような。積み重ねてきたものが、最後の最後でひっくり返されました。ただ、主人公の頭の中だけのお話だとは思いません。本作のキーワード「振らないと始まらないよ」に意味が無くなってしまうから。主人公は確かにバットを振った(行動した)のだと思います。では、どこまでが現実で、どこからが妄想か。怪しいと思うのは、沖縄に到着した時点。喫茶店から、いきなりダンカンの野グソ。この端折り方は乱暴です。餞別を渡したダンカンが一緒に沖縄にいるのも変。たけしがらみで非現実的なカットも挿入されます。つまり沖縄のくだりから爆発までは、彼の願望ではないかと。ただし、全てが妄想とは限りません。現実が混在している可能性もある…。彼の現実は動いています。それは夏から秋へ、季節の移ろいから感じ取ることができます。ヤクザとの揉め事は解決していません。だから彼は復讐のシナリオをトイレの中で想像した。それはただの妄想だったのか、はたまたイメージトレーニングだったのか。ラストシーン、主人公から受ける印象は冒頭とは全く異なります。ちょっと走っただけなのに、積極性と自信が感じられる。その自信はどこから湧いてきたのでしょう。そして積極性は何に対して向けられるのでしょう。タイトルの×印は、野球の“サヨナラ”を現しているだけなのでしょうか。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2007-06-27 18:27:02)(良:1票)
37.  ザ・ロック 《ネタバレ》 
娯楽性を意識した展開、演出に好感が持てました。トロッコのシーンは、さながらインディジョーンズのよう。キャラクターもよく描かれていたと思います。主役2人の心情を理解できたので、すんなり物語に入り込めました。グッドスピードはそもそも技術職。ミッションのために死ぬ覚悟があるかというと厳しい。ただし、身重の恋人にも被害が及ぶとなれば話は別です。彼が分相応以上に頑張ったことも頷ける。メイソンの方は、命を張る必然性はありません。さっさと逃げ出して、娘を避難させればいい。にもかかわらず彼が最後まで協力したのは、グッドスピードに恩を感じていたからだと思いました。娘と会っていたときに、気遣ってくれたことに。命を賭けられるほどの恩義とは思えません。でも些細な事かどうかは、当人が決めること。彼はよほど嬉しかったのでしょう。心を動かすことができれば、本当の意味で人は動いてくれる。それはどんな仕事にも当てはまります。不満な点を挙げるなら、カーアクション。接写が多くて見づらかったです。また、お約束とはいえ、敵がヘナチョコ過ぎたこともマイナス。さすがに手榴弾を投げ返されるのは恥ずかしい。それでも全体的には十分満足のいく作品でした。映画館で観たかった。
[地上波(吹替)] 8点(2007-06-21 18:17:37)
38.  不機嫌な赤いバラ 《ネタバレ》 
最初はニコラス・ケイジに同情しまくり。頭ではマダムの寂しさを想像できても、やっぱり憎たらしい。彼を主体にストーリーが進行するから尚更です。マダムに対する見方が変わるのは、物語が彼女の視点に移行した時。久しぶりに訪ねてきた息子に喜ぶマダムの顔は、ごく普通の母の顔。しかし静かに息子の願いを断った顔は、元ファーストレディのそれでした。その表情が絶妙です。彼女が置かれてきた状況、抱いてきた想い、それらを瞬時に察することが出来ました。心の隙間を縫って彼女の心が流れ込んでくるよう。不意をつかれて涙しました。ここからの畳み掛けが上手い。観客には、マダムがニコラスを重用する理由が明かされ、彼女に対する理解が深まります。さらにニコラスも、彼女と酒を酌み交わすことで気持ちを通じさせます。一気に和みムード。しかしマダムの表情は晴れません。今後の成り行き(病気に起因する悲劇)を予感した矢先の急展開。虚をつかれました。ニコラスの心情を慮ると辛過ぎる。彼は後悔の念に苛まれたはずです。マダムのわがままを許してしまった、己の甘さを責めたと思う。彼女と打ち解けたがゆえに、出てしまった緩み。ただし、運転手と対峙した時に彼がとった行動は、後悔に由来したものではありません。この時の彼はプロではなかった。彼はただただ、マダムを助けたかった。その強い想いが伝わってきます。ビジネスを超えた繋がりを感じずにはいられません。ラストも秀逸。退院時に車椅子に乗れという看護師。その規則に論理性はありません。車の座席位置でモメたのとは訳が違います。それでもなお、規則に従えと言うニコラス。彼の顔をじっと見据えた後、従うマダム。2人の新たな絆を感じます。マダムの人生は、得たものより、失ったものの方が多いかもしれない。でも最後に信頼できる人間を得られたのは、何よりの幸いだと思います。不機嫌なバラは、これからも不機嫌であり続ける。それが彼女らしく生きることだから。そしてニコラスの髪も抜け続けるでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-06-20 17:41:22)(笑:1票) (良:2票)
39.  ナビィの恋 《ネタバレ》 
恋で焦がした胸の痛みは、一生かかっても消えない。恋は全ての倫理観に勝る力を秘めている。だからナビィの決断には、賛同できなくても共感はできます。残された時間を大切にして欲しいと願います。それよりもおじぃの方が気にかかる。おじぃの心情は察して余りある。もともと自分は“代わりの男”。それを負い目にしつつも、数十年寄り添ってきたという自負もある。しかし、代替品はどこまでも代替品。遂に本命にはなれなかったのでしょうか。いや違う気がする。おじぃもまた本命になれた。連れ添った年月の価値は重いと思う。いやそう思いたい。2人が過ごしてきた時間は、ナビィに残された時間よりも遥かに長く尊い。勿論おじぃの本音は“行かないでくれ”。最新のマッサージチェアーが家に届いたときの2人の顔。ぎこちない動き。双方の想いは語らずとも伝わります。それに恋で胸を焦がしたのはナビィだけじゃない。おじぃもまた、少年の日の想いを忘れられないのです。だからおじぃはナビィの好きにさせた。沖縄の風土と人、音楽に心を洗われ、切なくほろ苦く、でも笑顔になれる物語を堪能しました。(余談。占い師の存在について。どうにも胡散臭い(失礼)占いを島民が信じて疑わないのには訳があると思いました。恐らく血が濃くなり過ぎるのを避けるための知恵ではないかと。そうだとするならば、ナビィの恋が実るのには相当の歳月が必要だったことになります。)
[CS・衛星(邦画)] 8点(2007-04-27 18:40:51)(良:2票)
40.  トレマーズ 《ネタバレ》 
クリーチャー系パニック映画のお手本のような作品。救援を期待できない陸の孤島。相手は得体の知れない化け物。でも生物だからちゃんと殺せる。弱点があるから戦える。でも狡猾で、まともにいったら勝ち目は薄い。設定の加減が絶妙です。相手が強大すぎると戦う意欲は失せますし、逆に弱いと物足りない。相手に分(ぶ)がある中で、如何に工夫して戦うか。冒険心を実にくすぐります。それに人間描写も的確。とくにガンマニア夫婦。自慢の銃のコレクション。チャンスがあるなら何としても撃ちたいし、有事のために備えた水や食べ物だから、こんな時にこそ使いたい。おまけに窮地に陥った原因を他人のせいにしちゃう。とことん人間の本質を突いています。本来ならサスペンス・ホラー寄りになっておかしくないお話を、コメディタッチに清々しく仕上げた手腕はお見事。敵の能力判明後、死者がほとんど出なかったのも上品です。まさに愛すべき作品。カテゴリ的にはB級もB級ですが、これは一級品です。
[DVD(字幕)] 8点(2007-04-19 18:01:01)(良:2票)
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