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アンドレ・タカシさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

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21.  天然コケッコー 《ネタバレ》 
自分はこの手の映画にヨワイ。まず、そよちゃん役の夏帆の演技が秀逸です。驚いたときや動揺したときの視線の定まらない表情が特に良かった。そして、子供たちらしいエピソードがよく抽出されていると思います。自分はお祭りの境内でそよちゃんが泣いてしまうところに感心しました。やっかみに近い軽い悪意に敏感に反応して流れる涙。あの年頃と環境ならではの微妙な感情の起伏だと思います。どうしてもこの先のことに想いが巡る。共学の高校へ進み、広海クンとの仲にも波乱があるだろう。母校の廃校を目の当たりにするかも知れない。でも成長ってそういうことだ。ただ、矛盾するようだけど、この映画の中に流れている時間だけはいつまでも続けさせてあげたい、と思ったのは自分だけではないだろう。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2009-03-24 18:19:42)(良:1票)
22.  バンド・オブ・ブラザース<TVM> 《ネタバレ》 
第二次大戦を描いた映画は何本も観たけど、ノルマンディー前から終戦まで、一本の線で見せた物語はこれだけで、随分と理解が深まると同時に、その構成力に感服した。繰り返しレンタルした作品は久しぶりでした。道徳的反戦感を前面に出しておらず、英雄譚でもない。語り口は平静。だからこそ“そこにいた人たち”がしっかりと描かれていたと思います。毎回、最初に出てくるおじいちゃんたちがこの戦線に参加した人たちだとは思っていたけど、最終話で人名を入れた演出には拍手。このひとがウィンターズか! それまで展開されてきた数々のシーンが一瞬にして紛れもないノンフィクションに転化しました。
[DVD(字幕)] 9点(2008-12-24 02:27:30)
23.  トム・ヤム・クン! 《ネタバレ》 
いい加減なストーリーを補って余りある主人公の身体能力。圧巻は敵本拠に乗り込み、群がる敵をなぎ倒しながら螺旋の回廊を上って行くシーン。これがなんとワンカット。関節技は本当に折れているように見えたし、打撃も当てていたし、ドアは敵の体をぶつけて開け、置物は必ずぶっ壊す。膝と関節を多用している点がホンコンや中国産のカンフーとは違うところで、迫力という点では文句無く凌駕している。ちょっとしたキチガイ映画だった。(放送禁止用語使用失礼!)
[CS・衛星(字幕)] 9点(2008-09-23 11:24:16)
24.  アンダーワールド(2003) 《ネタバレ》 
ゴシックホラーの雄であるヴァンパイアと狼男を現代で戦わせる。しかも、主に銃撃戦ってところが奇抜。過去から現代へと繋がる因縁や適度なラブストーリー。重い雰囲気をユルめの考証でまとめた世界観に文句は無い。いや、その設定はケイト・ベッキンセールを引き立てるために用意されたのだ。それほど、今作の彼女には感じるものがあった。痩身のボディラインを主張する黒革のボンテージファッションは極めて官能的でヤバイ雰囲気をムンムンと発散する。蒼白の顔色と黒髪のコントラストが神秘を纏う。私はぼーっと彼女だけを眺めていた。咬んでもらったマイケル君が羨ましいぞ。
[DVD(字幕)] 9点(2008-09-10 13:07:56)
25.  ジョゼと虎と魚たち(2003)
主人公がジョゼのどこに惹かれ、なぜ別れたのか、という部分にとても共感できました
[DVD(邦画)] 9点(2008-09-06 23:34:26)
26.  フラガール
この映画にはタテ・ヨコ・ナナメと様々な人間関係が詰め込まれていて、しかもそれぞれのエピソードが味わい深い。ひとつのテーマを語るためにだらだらと時間を費やす映画もあるが、この映画には全く無駄がなく、多くのエピソードがエンディングの感動に向けて収束して行く。見事だと思う。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2008-08-05 17:45:42)
27.  ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
このスタッフはやはりデキル人たちである、と思わせてくれた。テレビシリーズのストーリーを追っている以上の見応えがあった。次が楽しみである。 
[映画館(邦画)] 9点(2008-08-05 16:14:15)
28.  スターリングラード(2001) 《ネタバレ》 
二次大戦の局地戦を舞台とした狙撃手のお話。ジュード・ロウとエド・ハリスのガチンコが醸す緊迫感がとても良かったです。 狙撃手の一騎打ちが、まるでアムロとシャアの戦闘のように戦場の趨勢を決するような描き方は眉唾ですが、横軸にも見どころがたくさんありました。それは多くを見た記憶がないロシア軍の描写です。実際のところは分かりませんが、とてもそれらしく酷い軍隊でした。一挺の銃を5人で使い回す。銃を持つ兵士が死んだら、その後ろにいる手ブラの二人目が銃を持つ。二人目が死んだら三人目。さすが、資本を共用する社会主義国家らしい戦法でした。統制の基盤が「恐怖」というあたりもそれっぽい。民兵的な女性兵士も本作のように多かったのでしょうか? フルシチョフさんは歴史の教科書で習った横顔とは違っていました。偉そうに語る言葉はすべて個人的な都合の言い換えです。それは主人公の友人(=ジョセフ・ファインズ)も同様でした。嫌らしい見え方ですが、生身の人間らしいとも言える。その友人の最期の挺身には少し違和感がありましたけど。 そんな中で最も私の脳裏の残っているのは、レイチェル・ワイズの真っ白で大きなお尻です。
[ビデオ(字幕)] 8点(2013-06-29 00:09:03)
29.  崖の上のポニョ
先日の大災害が示すように、家々が海に呑み込まれたら本作のような状況では無くなるでしょう。そこの考え方は甘いと思いますが、あくまで後付けの意見です。 「千と千尋」や「ハウル」は面白いと思えなかった。色々なことを考え過ぎ、詰め込み過ぎ、迷走していたと思います。でも、本作は良い出来栄えだと思いました。子供たちが観る映画としてです。 正体不明の変な生きものが友達になって行く過程に、子供たちはみんなワクワクしたんじゃないかと思います。そこを大切した作り方だったと思います。劇場用の長編アニメーションって、元々は子供のために作られていたのですよね。 そんな作品を大人目線でとやかく言いたくはありません。
[ブルーレイ(邦画)] 8点(2013-05-12 22:23:01)(良:2票)
30.  突入せよ!「あさま山荘」事件 《ネタバレ》 
日本警察の実態にフォーカスした映画は記憶にない。少なくともあの時点では、警察の危機管理能力が十分で無かった事が如実に分かるお話でした。最初にフィクションだとテロップを入れる理由は、一部の長野県警職員の描写に対する配慮なのでしょう。でも、ほぼ実話と思ってい良い内容だと思います。ストーリーの内容は褒められたものでは無いけど、映画としては見応えがありました。志の高い作品です。 あさま山荘事件というより、警察の対応を描いています。そのもたつき具合が情けない。強力な火器を所持した立て籠もり事件に対する経験不足。それはある程度は仕方がない。何事にも最初はありますから。でも、警察内部の縄張り意識によるもたつきは、情けないというレベルでは無い。みっともないです。言葉を足しておくと、長野県警の縄張り意識は、中央に対するコンプレックスの裏返しです。本作を観る限りは、事件解決を妨害しているようにしか見えません。その暴露的な姿勢に意義があると思いました。 近年の刑事ドラマはサブストーリーとして警察内部の軋轢を描いたものが多い。フィクションをリアルに見せるための演出ですが、未だに縄張り意識はあるのだと思います。それは組織の問題なのか、関係者個人の問題なのか。いずれにせよ、一般庶民にはとても迷惑な軋轢です。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-03-13 00:25:21)(良:1票)
31.  グラディエーター
ラッセル・クロウ=闘う男。その象徴的な作品。
[DVD(字幕)] 8点(2012-05-08 03:31:21)
32.  宇宙戦争(2005) 《ネタバレ》 
奥さんはイケメンに魅かれて結婚し子供を二人産んだけど、旦那の癖が強くて一緒に居られなくなった。至って普通の離婚でしょう。その普通の離婚家庭に全く異常な状況をぶつけてくる。オープニングから最初のトライポッドが動き出すシーンなどは体が硬直したまま動かせない程のスペクタクル。破壊の量感と質感の作り込みが圧倒的な迫力で絶対的な戦闘力を演出する。トライポッド1体の破壊力を見せつけた後に大軍を進軍させて絶望感を深めて行く。従来の作品に類型するなら、その破壊描写との落差を感じる離婚家族の普通さも、物語のリアリティ演出だと考えると納得しやすい。子供たちを愛していてもコミュニケーションが上手く取れない不器用な男が、不器用なりに揺るぎなく子供たちを愛し続ける。だからと言って子供たちのヒーローに昇格する訳でも無く、最後までダメ親父のままで終わる。このままならない悲哀の残酷さが現実味を醸す。オリジナルを踏襲するしか無かったと解釈できるウィルスのオチですが、あれは警告なんじゃないかな。よく考えてくださいよ。1950年代の人たちはウィルスで納得したかも知れないけど、今の時代に納得する人がいますか? 光年でしか測れない距離を征服している奴らがそんなに迂闊なことをしますか? 誰が見ても突っ込みどころ満載のエンディングで、そこだけがリアル描写から大きく逸脱している。つまり、もし現実に征服者が現れたら「絶対にこの映画のように終わらない」って事です。「未知との遭遇」や「ET」で楽観論を展開しすぎたスピルバーグの反省映画ですかね。
[DVD(字幕)] 8点(2011-11-29 00:25:31)(良:1票)
33.  ローラーガールズ・ダイアリー 《ネタバレ》 
これは面白かったし、とても良い映画だと思います。まずテンポが良い。微妙なウィットも上手く効かせている。動的な爽快感もある。主人公も良い。どこに魅力があるかはっきり言えないところが魅力。男目線の意見だが、放っておけない頼りなさがイイ感じ。主人公と父と母の価値観を強引にでも一つにまとめ上げる締め方が良い。親友やチームメイトの事情と主人公との関係の描写も良い。絶妙なバランス感覚です。ということで、ほとんど欠点が見あたらない作品で、総体として魅力あふれる映画になっちゃってます。オーソドックスなガールズムービーをきっちり演出して、かなり高いランクへ到達させた印象です。初監督らしいドリュー・バリモア、やるなぁ。感心しました。そして、忘れちゃいけないローラーゲーム。東京ボンバーズとか佐々木ヨーコを知っている世代には懐かしさがこみ上げるんじゃなかろうか。私は完全に忘れていた記憶が何十年かぶりでフラッシュバックしましたわ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-08-01 21:36:58)(良:2票)
34.  パンドラの匣 《ネタバレ》 
「パビリオン山椒魚」という、私的には途轍もない駄作がありました。その駄作ぶりは全部監督の責任と言えるような内容でした。本作はその冨永氏が撮った作品なのだけど、これが同じ監督の作品かと驚きを禁じ得ない。演出の個性やアイデアが、映像作品の個性として見事に昇華されている。時折り挟まれる主人公の独白が面白い。その独白は映像の説明不足を補うナレーションではなく、連なる映像にさらに1カット分の意味作用をモンタージュしたような効果をと味わいを生み出している。文学とは元来、状況や感慨を文字に置き換えて概念世界に広がりを持たせる作業だが、こちらは映像と独白によって映画世界に見た目以上の広がりを持たせている。文学作品の映像化として良く練られた演出が成功していると思います。主人公の達観した視線に太宰らしい自己中な個性を覚えるが、自らを「新しい男」などと規定することが実はギャグで、そのズレ加減が可笑しい。若造がカッコ付けて素直になれず、結局は気になる女(竹さん)を取り逃がすという、実に他愛ない話なのだが、純文学的な風格を感じるほど真面目な体裁に仕上げたところが本作の味わい。「やっとるかぁ?」~「よ~しきた!」の定形コミュニケーションとその変奏も本作の個性を際立たせる。これ、レビュー数は少ないですが、テレビドラマの延長戦のような邦画に「ドラマで充分」というレビューをしている方々におススメしたい。映画らしい映画です。収穫でした。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-07-21 22:17:58)
35.  マレーナ 《ネタバレ》 
勝手に「青い体験」的な映画と思っていた自分は大馬鹿野郎でした。いや、途中まではそんな流れだった。主人公のマレーナに対する憧れの根底にあったのは純情ではなく劣情で、マレーナの周囲で彼女を揶揄する男どもと本質は変わらなかった。しかし、戦争が始まると様相が一変する。ストーキングするほどマレーナに執着していた主人公は、奇しくも未亡人となった彼女の苦悩をストーキングすることになった。肉体への憧れが、心情の共感へと変化する。性欲の対象でしかなかったマレーナの心の内側を覗くことで、周囲の大人たちの醜い部分を客観視する視点が生まれる。それも大人への階段だった。彼があと数歳年長であれば、ストーリーは違った展開を見せたかもしれない。でもマレーナの味方だったかどうかも怪しくなる。彼は見ていることしか出来なかったが、だからこそあの年代の少年の成長を切り取った作品だと感じられました。コメディチックに進んでいた序盤が違う映画と感じられるくらいに、集団リンチの描写は容赦なく凄まじい。社会を律していたコードが変わる瞬間、普段は隠れている人のネガティブな感情が露わになる。監督は意図して人の醜い部分ばかりを抽出しているように思えます。でも不思議と後味の悪さが無かった。主人公の成長が救いになっていることもありますが、醜い部分も含めて人を描いているスタンスに潔さを感じたからでしょう。ちなみに、二次大戦中のイタリアを描いた作品って観た記憶がなかったけど、敗戦後にアメリカ軍を迎え入れる街の様子は、まるでドイツから解放されたパリのような歓迎ぶりでした。日独と同盟国でありながらも、戦争に対する国民感情は随分と違っていたようです。それを知ったことも収穫でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-03-24 22:16:47)(良:3票)
36.  マイレージ、マイライフ 《ネタバレ》 
近所のシネコンのリバイバルで観賞。最近観た映画の中では、最も親近感を抱く主人公だった。主義や主張を持って結婚しなかった訳ではなくとも、結果的に独身生活を長く続けた男の生活には独自のペースがある。講演できるほどうんちくも溜まる。女性との付き合い方に対しては一種の諦観があって、それを気負うことなく正直に言葉にすると、学生を終えたばかりの女性には酷い男と映るらしい。分かる分かる。独身主義ではないから、相手によっては特別な関係を築きたいとも思う。でも、それは相手のあることだから、映画のようにすんなり行かない。この映画の、すんなり行かないところに大いに共感させてもらいましたよ。彼のように自分のスタイルが昂じると、マイルを貯めるといった副産物に執着したりする。ちょっと状況が変わるだけで、執着がいきなり無意味に変化する虚しさにも覚えがある。結婚の意義も、逆の意味でマイルと同様に扱われていました。そこに絶対的な価値を置かないニュートラルなスタンスが本作の良心です。ちなみに私はこのサイトで1万レビュー貯めることに執着してるけどね(笑)。達成したらプラチナカードとか、貰えないかな。
[映画館(字幕)] 8点(2011-02-12 00:50:05)(笑:1票) (良:1票)
37.  愛のむきだし 《ネタバレ》 
ドキュメンタリー系を除くと過去最長。尺も凄いが内容も凄い。多くの隠喩が散りばめられ整理しきれない。たぶん回答もひとつじゃない。私には長大な純愛物語。「愛のむきだし」とはむきだしの勃起とむきだしのパンチラ。性欲と言い換えても良いのだろう。純愛はそこから始まった。純愛だけじゃなく罪もそこから始まるらしい。色々と御託を並べながらも解りやすいエッチと絶望で自らの主義をコロコロ書き換える渡部篤郎を起点として、愛の意味を純化して探し求めるのが若手3人。それぞれのスタイルは違えど、求めるものの激しさと厳しさがこの映画のパワーです。勃起とパンチラも良かったけど、コイケの屈折しまくったユウへの愛情が深いです。キリスト教のことは良く知りませんが、本作を観ている限りは、神父に結婚を禁じていることに矛盾を覚えました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-01-31 00:29:21)
38.  しあわせの隠れ場所 《ネタバレ》 
不遇な黒人少年を援助したことがアメフト界での成功のために感動物語に化けた感は確かにある。援助を受けた少年が一人しか映らないが、やはり援助されない少年達のことは脳裏をよぎる。でも、これは社会問題を扱った作品とは思わないし、あの家族全員の気持ちから感動をもらったので、それだけを素直に頂戴します。自分にとって泣かせてもらった映画は貴重です。エンドロールに使われたマイケルと家族の写真が演出としても良かったです。サンドラ・ブロックを始めとした役者達がこの写真の人たちの繋がりを再現したんだなという感慨がありました。原題の「Blind Side」はアメフトのポジションのことらしいけど、マイケルの成功の陰にある青少年の劣悪な生活環境を掛けたタイトルなんだと思います。そこに幸せがあるとした邦題は「死角」を捻じ曲げて転用している。さらに、原題は別にしてもこの家族の幸せが「隠れ場所」にあるなら慈善活動の意味も迷走します。口当たりは良くても甚だしく勘違いした酷い邦題で、こちらは素直に頂戴できません。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-01-23 23:40:20)(良:2票)
39.  トニー滝谷
市川準が映画のコードを総動員して村上春樹作品の映像化を試みた、というような印象を持ちました。そして、かなり成功していると思います。原作は未読だけど、小説の中の文章をそのままシナリオに転用していると思える部分が多々あった。彼の文章を映像にすると、結果として限りなく詩的なエッセイに接近するようです。ストーリーらしきものが無く、シチュエーションの断片が積み上がる。それぞれのシチュエーションに登場人物がどのように感じたかは語られるが、「なぜ」そのように感じたかは語られない。ただ、そこからは哀しみや孤独だけが立ち昇ってくる。事象の表層から、特定の感情だけをすくい取り、まるで人は何かを失くすために生きているように見せる。それを繊細と感じる人もいれば、意味不明と憤る人もいるだろう。私は村上文学のテーマは「喪失感の描き分け」と思っていますが、本作からはそのエッセンスが十分に伝わってきました。通常の文法で映画を作るとこの味わいは得られない。本作が面白いかどうかは別にしても、私は拍手したいです。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-01-02 15:27:05)
40.  ゼロの焦点(2009) 《ネタバレ》 
原作を読みオリジナル版も観ているが、これは上手くまとめたと思います。もともと、松本清張作品の映画化は事件の社会背景を問題視するあまりに、犯行の動機や犯人の心理描写に無理矢理感が否めないものが多かったのだが、これほどスムーズに観られたのは初めて。オリジナルは「パンパンの悲哀」がテーマだったが、本作は「新しい時代に生きる」に変わっている。それは原作にもないコンセプト。それによって、オリジナルでは不可解だった、憲一が田沼久子との生活から離れようとした動機がすっきりと解決されました。戦地で傷を負った者と国内で戦災に遭った者の代表が憲一と佐知子。憲一から10歳年下の禎子は戦争による暗さを持たない世代として劇中では捉えられる。彼女が「新しい時代」の象徴です。あの時代、生年が10年違うことが、本当はどのような意味を持ったのかは想像するしかないが、戦争によって辛い時間を過ごした憲一が禎子と共に新しいスタートを切りたいと願ったことには頷けました。オリジナルでは、若い子に乗り換えたとしか思えなかったので、このアレンジは高く評価したい。並行して、佐知子にも女性市長の誕生というサイドストーリーを用意した。そちらも「新しい時代」に繋がります。オリジナルは「パンパン」だった過去をひた隠しにするために事件が起こったが、本作では明るい未来を掴もうとして起こった事件と解釈できて、現代的な問題意識にも適合するように工夫されていると思います。木村多江が演じる田沼久子のおっとりした薄幸女性の献身ぶりは、オリジナルで評価の高い有馬稲子に比べて遜色ないと思いました。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-12-19 19:10:29)(良:3票)
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