21. パラサイト 半地下の家族
《ネタバレ》 この展開、読める人間はゼロだろう。 特に金持ちの家の地下に、元家政婦の旦那が住んでたっていう展開。 アカデミーの作品賞を取る作品ってだいたいタイプが同じだけれど、アカデミー会員に多様性を持たせたせいで、同じタイプの作品が選ばれず、単純に「このストーリー読めねぇ!すげえ!」って思わせたものがとる時代になったようです。 その時代に作られて見事作品賞をとったこの映画。 金持ちの息子が以前誕生日の夜に、地下に住んでたその男の姿を見てしまって幽霊だと思って気絶し、そのトラウマで家でパーティーを開くことができなかったというのに、ようやくトラウマを克服して庭でパーティーをやったら、またその男が発端となった殺傷事件を目の当たりにして気絶し新たなトラウマ発生…という、クスッと笑わせることも忘れない。 元家政婦がやっていた北朝鮮の女性アナウンサーを真似る場面は、北朝鮮嫌いなアカデミー会員に万人受けしたことだろう。 すったもんだがあった挙句、貧乏家族の長男が描く未来の夢は心が洗われる。 「計画しないほうが、計画をして失敗することもないから、計画しないほうが成功する」っていう意味ワカメなことを言うおとっつぁんに対して 「お父さん、僕は計画を立てました」と心の中で話はじめる長男の姿は、頼もしさを感じさせる。 ”実現にどんなに時がかかろうとも、夢を持ち続けるのは大事…。” アカデミー賞でオスカーをゲットした人たちが壇上でよく言うこの言葉が、この映画のメッセージなのだ。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-10-30 15:05:34) |
22. レディ・プレイヤー1
《ネタバレ》 疾走感がスゴイ。 もう、力技で引っ張られてく。 あの企業の悪いおっさんが、自分のパスワードを書いたメモを貼っておくのはありえないけど許そう笑 企業の存亡をかけた仕事をするあの装置のある部屋に、誰もが簡単に入ることができて、防犯カメラもないのもありえないけど許そう笑 それに主人公の男の子と、その子とくっつく女、そして友達の3人… 全世界で利用者がいるこのバーチャルゲームで、アバターとして知り合ってるこの5人が、世界中の遠く離れた国々に散らばっていてもおかしくないのに、なぜかすぐに会える超至近距離に住んでることも許そう笑 とにかく全部許そう笑 それにしても、過去の映画作品やカルチャー全般のオマージュの量は半端ない。 内容はどうでもいいんじゃない? SNS映えするお菓子みたいなもの。 中身のスポンジはよくある味でいいから、外側にレインボーカラーのクリームを分厚く塗りたくって、チョコスプレーをぶっかけて、 フルーツを盛り付けて、イチゴソースをだらだらと垂らしたお菓子。それがこの映画。 それにしてもスピルバーグは、ほんとスゴイ。 「シンドラーのリスト」を作った同一人物とは思えない。 かたや白黒の重くて深い映画。 かたやカラフルで軽くて楽しい映画。 どういう脳みそしてるんだろう…。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-10-18 09:27:43)(良:1票) |
23. ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
《ネタバレ》 リックとクリフの、日常会話的な特に緊迫感もないダラダラとしたやりとりが延々と続き、 クリフがヒッピーの牧場でグダグダしているあたりで、 「これっていつまでこういうテンションのままなんだよ…」 と思い、途中放棄しそうになって一時中断。 (タランティーノ作品は結構好きなほうなので、。どうでもよさそうなグダグダ話は慣れてはいるのですが…苦笑) 「でも放棄する前に、みんなの評価はどうなのか見ておこう?」 と、こちらで感想を拝見。 すると、シャロン・テート事件を知っておくべきとのご意見多数。 それならばと、いったんその事件について調べてから、あらためて続きを鑑賞することに…。 するとまぁあら不思議! ただのキレイなねーちゃんだと思っていただけのシャロンの一挙手一投足に 「あぁ、間もなく惨殺されるのに、何も知らず可哀そうに…」と、いい感じに気持ちが入り始めたではないか。 シャロンが自分が出ている映画を見て、自分の登場シーンの会場のウケ具合にうれしそうにしたり、 夫のために「テス」の初版本を本屋で買うという、なんということもない場面さえ、シャロン・テート事件を知っておくと、すべて 「あぁ、間もなく殺されちゃうのに…」 と、どんなシーンでも感情移入。 そして、運命の時間へのカウントダウン開始!! (めっちゃ気持ち入る笑) シャロン・テートとお友達セレブご一行のホームパーティーの様子と、 場末のダイナーで飯を喰らってダべってるリック&クリフの行動が、交互にテンポよく映し出されていくのが小気味いい。 このあたりからは、まばたき一つできないほど一気にグワーっと引き込まれた。 「あぁ…いよいよ惨殺始まるよ…タランティーノ仕立ての、血みどろグチャグチャのマーゴット・ロビーを見ることになるよ…」 ところがどっこいのタランティーノ笑 まさかの”家違い”で、ポランスキー・ハウスのお隣さん、リックのおうちにポランスキー宅を襲うつもりのヒッピーがやってくる笑 そして、ヒッピーにやられるどころか、LSD漬けの葉っぱでラリったクリフが、愛犬と共に、やつらを血みどろグチャグチャにするわ、リックは気が狂ったヒッピーを火炎放射器でこんがりローストにしちゃうわ… 史実を軽やかに変え、伏線回収も鮮やかな、最高にウケる見せ場を持ってきてくれました笑 ”落ち目の俳優と、連れのスタントマンの物語” ”シャロン・テート事件を扱った映画” という2つのヒントだけ観客に与えつつ ”シャロン・テート事件”は”落ち目の俳優と連れのスタントマン”によってなかったことになるという、ストーリー上の大どんでん返しではなく 「当然、シャロンは殺される」という観客の思い込みをひっくり返す、変化球的な大どんでん返しで来るとは…タランティーノってやつはまったく…笑 (wikiの映画説明でも、”シャロン・テート事件を背景に”という、この映画では彼女は事件に遭わないという肝の部分までは分からないぼんやりとした説明の書き方の理由が、この壮大な大どんでん返しのネタバレ回避のためだと後で合点) タランティーノ監督の代表作のひとつ「イングロリアス・バスターズ」では、”ナチスに恨みを持つヒロインが映画館でヒトラーを焼き殺す”という、史実と異なるヒトラー惨殺の見せ場を作ったくらいなので、今作の”シャロン・テートの隣人宅に間違って押し入った犯人たちが逆に惨殺される”という脚本も、問題なくスムーズに楽しめた。 「イングロリアス・バスターズ」に出演したブラピと「ジャンゴ~繋がれざる者」に出演したレオのW主演の今作。 それぞれの出演作では、ワルを殺す見せ場をメラメラと燃え上がる炎(前者は劇場、後者は邸宅)で演出していましたが、今作でもばっちり火炎放射器でメラメラと印象的な場面を作ったわけですね。 そして最後に訪れるシーンも秀逸。 リックがポランスキー邸に遊びに来ていたシャロンの男友達としゃべっている時に、シャロンがゲートについているインターホンで、普通にリックと話し始め、一緒に飲みましょうとゲート内に招き入れて、玄関前で抱擁…。 もし、あの日、カルト集団の殺人グループがポランスキー邸ではなく家違いで隣に押し入っていたら…? もし、あの日、間違って押し入った家で待ち構えていたのが、筋肉隆々のスタントマンの体育会系男子(しかも葉っぱでラリってる)と、あのおっかない犬と、火炎放射器プレイヤーだったら…? そういう想いが胸をめぐらずにはいられない、感傷的にさせるラストシーンだった。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-09-09 15:19:57)(良:3票) |
24. ドリームハウス
《ネタバレ》 一家惨殺事件が起きた家で起きる怪しげな出来事の数々・・・前半までは特に目新しい展開もなく、淡々と過ぎてゆく。 しかし、ダニエルクレイグが精神病院の録画映像で自分が写っているのを見てガクゼンとした場面を皮切りに、イッキにジェットコースターが加速し始めた。 右へ左へ振り回され、スピンだツイストだ、これでもかこれでもかと、複数のプロットが高速でぶち込まれ、遠心力でこっちの思考回路が吹っ飛ばされそうになっていく。 ダニエルが録画映像の中に自分を見つけたときは「あ、シャッターアイランド形式ね?」と思い、「ダニエルが犯人じゃん!」と思いきや、どうやら彼ではないと分かってくると、まともに見えていた奥さんが急に狂気の人に見えてきて「あ、アザーズ形式か?」と思い、「奥さんが犯人じゃん!」と思いきや、結局そうではないという展開。 過去の名作のデジャブ感を鑑賞者に与えつつ、どれでもないという、なかなか油断ならない脚本。 しかし一方では、ダニエルが地下室で一家惨殺討論会をしていたパリピたちを追い出したときに「空き家じゃんよ!」と言われたのが実際その家にダニエル一家が住んでないからだということや、ダニエルの家にスープを持ってきた向かいの家のナオミワッツが階段にいたダニエル妻をシカトして立ち去ったのが、ダニエル妻がそもそも幽霊でそこにいないからだという「あ、シックスセンス形式ね?」と思わせる場面もちょこちょこ出てきて、これについてはシックスセンス同様に”二度目の確認作業を入れた鑑賞が楽しい”系のつくりになっていて、好意的に楽しませてもらった。 殺す相手の家を間違えるという、ある意味”狙われて殺される”よりも悲劇性の高い事件を発端にした悲劇の連鎖が続くが ●殺す相手間違われて殺されるダニエル妻子 ●失意のもと自縛霊となってダニエルの前にしつこく現れるダニエル妻子 ●事件がトラウマとなり現実を受け入れられず精神疾患になるダニエル ●妻子への愛着がトラウマとなり幽霊依存になるダニエル というダニエル側のメイン悲劇に ●離婚の真剣争いで夫に命を狙われているナオミワッツ ●両親のピリピリ感に挟まれて、空気読むのが大変な娘 というナオミ側の難儀がからんでくるわけだが、そのカラミからの~、家燃やされて呪縛霊の居場所がなくなることによってダニエルの幽霊依存が強制終了!と、家燃やそうとしたナオミ夫が焼け死んでナオミ側の問題も強制終了!という、両家の問題を数分でかたづけちゃうスピーディーなオチづけにはのけぞった。 ところでこれは私の想像なのだが、ナオミとダニエルはプラトニック不倫だったのではないかな?ダニエルは妻子にも優しいけど、誰にでも優しいのだと思う。夫との不和で悩んでいたナオミに対してもそうで、一線は越えずとも、普通のお向かいさん以上の気持ちを抱きあってたと思う。 そうでなければ、精神病院みたいな荒くれた場所にわざわざダニエルの付き添いで来たりもしないし、もはや”友達づきあい”していたダニエル妻がいないのにわざわざスープを彼のところに持ってくる理由も思い浮かばない。 何かとダニエルの身の上を心配し、何かと彼の行動を見守っている。そして、ナオミ夫が本性を表す直前でふたりは抱き合ってもいる。あのナオミの髪をクシャっとさせるように抱くハグは、通常のハグより何かがあると、女のカンで感じた。 ナオミ夫が、自分ちの離婚騒動とは関係のないダニエルを階段から蹴り落とすにしても、そこには「嫁を寝取られた」と思っている男のイライラを感じさせるのだ。 不倫プロットまでぶち込んでくると、もうまとまりがなくなりすぎてしまうので、ニュアンスだけを漂わせる形にしたのだろう。 でもこの二人の関係性があってこそ、ダニエル一家と、ナオミ一家が深くリンクし、そして、最終的に両者同時に問題が強制終了というスッキリとしたまとめ方ができたのだと思う。 さてそれでは二度目の鑑賞をしてこよう。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-01-17 15:36:46)(良:1票) |
25. フランス組曲
《ネタバレ》 不倫モノの洋画。私は基本的に、最後は結ばれない(が、心はきっと永遠につながっている)という着地点で描いていくストーリーが好きだ。 これを読んでくれている映画ファンの皆さんも、「あ、それならあの映画もそうだったね、あとあれもね」と、いくつかそういう作品を挙げられるかと思う。 そういう映画の中でもこの「フランス組曲」は、あまりにも切なく、胸をかきむしられ、身が引き裂かれるような思いをしながら見終えた。 不倫の障壁は、基本的に”既婚”である。 だが世間では既婚以外にさらにもう1つ障壁が立ちはだかるケースがたまにある。たとえば教師と保護者の個人的なつきあい禁止のように、学校側の”ルール”という障壁がその一例だ。他にも、成人と未成年という”年齢”の障壁というのもある。そしてこの映画では”戦時中の敵同士”であるという障壁がセットされているのである。 リュシルとブルーノが既婚であること、それはまぁ乗り越えられるとしよう(だってそもそも愛情とかなさげな結婚だから)。しかし敵同士という、世間の目があまりにもキツイ状況。ダブル障壁。 痛い。心が痛い。 ブルーノとの2人分のゴハンの用意をして、官能的な赤いドレスと赤い口紅でオメカシして彼が戻ってくるのを待っているリュシルのもとに、夫をかくまって欲しいとお願いにきた知り合いの女性がやってきた場面も心が痛んだ。 知人女性の「え?敵の男とネンゴロってこと?てかあなた、結婚してるじゃん」という不審の表情と、リュシルの「いや、あなたの夫を助けてあげたいのはヤマヤマよ、でもこれから彼とようやっと二人きりになれる最初で最後の時間なの・・・ほんと困るのよ、よけいな邪魔しないで・・・ほんと、ほっといて・・・」というオロオロした表情の駆け引き。 結局リュシルとブルーノは、唯一のチャンスを逃し、体をひとつにすることは二度となかった。 そして最後の二人の別れの場面。 ブルーノが彼女をせめて最後に抱きしめたくて、車に乗ろうとする彼女の腰に手をまわすが、まるでそれがただの風かのように、スっとすり抜けて車に乗り込むリュシル。 二人のお互いへの想いは確実にそこにあった。でも、想いがあったって、結ばれることもなければ、想いをあからさまに口にすることもできず、胸に秘めたままもう二度と逢えない・・・ 不倫の切なさ、ここに極まれり。 障壁を二つ抱えながら、人を好きになり、相手も脈ありとわかりながらも、一線を越えないまま、すれ違い、そして二度と逢えなくなった・・・という経験のある私としては、なんだかヒロインが同じ気持ちを分け合える女友達に見え、お互いの傷を見せ合い、なぐさめあえたような気がした。 (それはそれとして、この映画で印象的な、<楽譜のラブレター>はグっときましたね。「ピアノ・レッスン」の<鍵盤のタブレター>といい勝負です。そもそもピアノを介在させたロマンス映画はピアノ弾きの私としてかなりヒット率が高いです。) [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-07-22 16:09:26) |
26. ファインディング・ドリー
《ネタバレ》 ファインディング・ニモでは、歯医者の水槽の中の構造や特徴をよくもまぁ熟知したうえで魚たちの大脱走劇を描き上げたものだと関心した。 ニモが空気ポンプから脱走できるのかどうかの場面でも、よくもまぁこう発想するなと。きっとスタッフたちはいろいろな水槽グッズを勉強してアーダコーダと水槽の世界をいかにユニークに描きかつ物語りとして成立させるために利用するかと、話し合っていたに違いない。 そして今回は、歯医者の水槽よりもはるかに広い、海洋センターの水槽。 しかも、水槽の種類の多いこと多いこと。 回遊魚のいる巨大水槽、子供たちが”ハンド”できるフレアイ水槽、運搬用水槽、さらには、おみやげ屋さんのおもちゃのサカナを浮かべた水槽まで・・・(苦笑) 運命に流されるように、ドリーやニモらが、次々といろいろな水槽に入ることになり、あれよあれよといううちに場面がテンポよくきりかわり飽きさせない。 ジンベエザメやイルカらの水槽も小さなパイプでつながっており、さらにそのパイプはいくつもの水槽にまで枝分かれしていている場面は、アクションやサスペンス映画でよく出てくる、主人公が追っ手から逃れて地下水路を足早に走り抜けていくというありがちな”水路場面”と同じなのに、魚ゆえに「よくある水路シーンね」と思わせない。 いやむしろ私にはそれがパロディにさえ見えた。イルカのベイリーのエコロケーションでパイプの中に対象物だけがボンヤリと見える・・・みたいな画面も、アクション映画で敵と味方が建物の廊下を移動する様子を熱探知機カメラみたいなのでボンヤリした映像を出して監視してる・・っていう場面のサカナ版パロディだと。 こうした数々の水槽・水路の躍動感あふれる場面を描ききった今作は、明らかに前作を上回るスケールであることは間違いない。 (海より海洋センターのほうが閉鎖的であるにもかかわらず、このスケールの大きさを見せるというのがさすがピクサーの天才集団のなせるワザだ) さてそれはそうとして、ドリーに注目してみれば、記憶障害以外にも、軽度の知的障害も見られると私は思う。 彼女は見た目サイズ(他のナンヨウハギと比べて)からして年齢的にあきらかに成人なはずだが、行動・発言が大人らしくないからだ。 これは私に療育手帳B2の知的障害の娘(21歳。ビネー式IQテストで精神年齢8歳と診断)がいるから察するのだが。 だから、小さいドリーが家の外にいた時、家にいた両親がドリーの将来を心配し「私達がいなくなったらあの子はひとりで生きているの!?」と泣く母親の気持ちに感情移入しホロっとくるし その後何年かしてドリーがふとみつけた貝殻をたどり、その先に、ドリーはもう大人になっているはずなのにまるで幼児のために作ったような「どの位置からも貝殻を見つけられてたどれるように」という親の思いがこもっている、分かりやすすぎるいくつもの放射状に伸びた貝殻の道しるべが俯瞰の画面でダーンと出たときにホロホロとなるし その後ドリーと両親が再会した時、親がドリーを抱きしめ喜ぶときの気持ちも痛いほど分かり(知的障害の子は成人になってもあどけない子供のようなのだ。だからあのときの両親は、まるで小さい幼稚園児の娘を見つけたときの気持ちなはずだ)わあ~んとなった。 一方でアクション映画が大好きな私は、タコのハンクのハンドルさばきでガケからトラックごと海に突っ込む場面のスローモーションは、アクション映画でよくある”危機一髪なところでスローモーション”という高所落下や爆発シーンなどでありがちな手法であるにも関らず、サカナゆえに、ありがち感が薄れ、サカナ版パロディに見えて大笑いしてしまった。 まさに、笑いあり涙ありである。 そしてエンドロールの後のギルたちが救出されるというエピソード。 前作のオチでギルたちが脱走できたものの「ビニール袋の中だからだめじゃん。このまま飢え死にか窒息死か」と、もやもやしたものを抱えたままだったひとは世界中にたくさんいたに違いない。 そのもやもやを13年後の今、スッキリさせてくれた。 設定としてニモ救出から1年後とされているが、あの場面だけは時系列が1年後ではなくせいぜい1週間後くらいの設定になっていると考えたい。 そしてヤシロアキ(笑)が「海洋生物研究所の役割は、魚たちを救出し、治し、海に返すことです」とアナウンスしていたことによって、われわれ見るものは 「あぁギルたちもビニールから出て海に返されるんだ」というハッピーエンドを想定できるだろう。 [映画館(吹替)] 8点(2016-08-02 11:08:45)(良:1票) |
27. マレフィセント
《ネタバレ》 製作総指揮がアンジェリーナ・ジョリーということで 自分が産んだ子ではない子もわが子のように育てているアンジーとして 「自分の子じゃなくても母性は生まれるし真実の愛を与えることができるのよ」 という主張をサブリミナル信号で送ってきている作品。(多分) ステファンがマレのことを刺し殺そうとしたけど、できなくてトドメをさせなかったことで、アンジーは闇に落ちた。 一方マレもステファンを最後は塔の上まで追い詰めたもののトドメをさせなかったことで、ステファンは塔から落ちた。 つまり、お互いに、殺すところまではできなかったことで、”お互いに落ちました”というオチもうまい。 お姫様を助けるのは王子ではなくそれ以外の女性…という設定は「アナ雪」と同じなわけだが、 女が男化し、”男頼りのハッピーエンドなんて時代じゃねぇ”という世相を受けて、おそらく今後のディズニー映画では男女の恋愛モノを扱った場合でも最後に女を助けるのは女というスタイルが定番化するのだろうか? それはさておき、この映画を見て「マレフィセントを見る目が変わった」と思う人も少なくないと思うが、 英国俳優が演じたカラス坊がワイルドでステキすぎて、カラスを見る目が変わったのは私だけだろうか。 [DVD(字幕)] 8点(2015-07-06 09:08:14)(良:2票) |
28. 嵐の中で
《ネタバレ》 ヒロインのベラは夫ダビドとラブラブ。娘グロリアもかわいい。幸せいっぱい。 でも、その世界では、20年前にある少年ニコが、近所のおっさんの妻殺し現場を見てしまい、あわてて路上に飛び出して車に飛ばされ死をとげている。 ところがある嵐の夜、ベラは古いTVとカメラを通して、そのニコと対話できちゃう。 「今外に出ちゃだめ!死んじゃうから!ダメ!絶対!」と死を回避させちゃう。 設定は無茶ですけど、結果としてニコ少年は死ななかったが、ニコ少年が死ななかった世界(厳密にいえば、ニコ少年が死なないままニコ青年に成長し、そしてヒロインと結婚してるという展開になってる、トンデモな平行世界)で 死なないで済んでそのまま大人になったニコと暮らしていた、平行世界の別の自分と入れ替わっちゃう、もとの世界のほうのベラ。 なんで結婚してるの? と思ったら、ニコ少年はTVを通して見た20歳くらい年上の女性(ベラ)を慕って いつまでも駅のホームで待っていたのだ。 その駅は、古いTVを通して話した彼女の背後に見えた駅名が書かれた看板(盗んだもの笑)のあった駅だったから、彼女とつながるものはそこしかないと信じ、そこで待っていたのだ。 彼はやがて30近くなる。すっごいイケメンに。 (そして、そのイケメンは、この平行世界に肉体転送されちゃった、ニコが死んでる世界に生きていたベラを助ける刑事の男だと判明してビックリ) そして見つける。20年前TVで話をしたその女性を。 (でも、この女性は、ヒロインが過去を改変したせいでできた平行世界の住人なので、少年の死亡事件もないし、なんの少年との接点もない。知ってるのは青年ニコだけ。) 平行世界では、イケメンになった彼が、20年前に対話し命を救ってくれた女性と愛し合い、結婚して、幸せに暮らしていた。 (で、イケメンニコ青年の妻である、平行世界のベラは、もととなっている世界のベラと、相互転送になっちゃったからさぁ大変。 もとのベラは、「ダビドどこ~!グロリアどこ~!」って混乱してましたが、平行世界のベラだって、もとのベラの世界に送り込まれて「ニコどこ~!ダビドってだれ~!」ってなってたでしょうね。そこは描かれてませんでしたが。 ニコの死亡事件にからむ、近所のおっさんの殺人事件(近所の主婦と再婚するために、妻を殺して死体を隠ぺい。それが成功)の解明につながり…そして、さらに、ダビドには浮気癖があっていつも同じホテルを利用していることも判明。 かくして嵐の夜再びベラは平行世界から、もといた世界に戻… ってなーい!!!笑 なるほどこっちの世界は2つ目の平行世界ですか…。 この2つ目の平行世界は、もとの世界ととても同じなところが多い。 ベラはダビドの妻という立場だし、娘グロリアもいる。 そして近所のおっさんは殺人の隠ぺいに成功して不倫相手と再婚してる。 そこらへんはもといた世界と同じ。 しかしベラは、夫の浮気癖を知った(ホテルの棒マッチの伏線と回収はうまい)ので、おそらく夫の浮気を離婚事由にして娘を連れてシングルマザーになるだろうなという雰囲気。 そして近所のおっさんが隠した妻の骨のありかも、平行世界でチェック済みなので、自ら見つけて警察に通報。 浮気夫に、不倫&妻殺し夫、悪者を一掃するというすがすがしい2つ目の平行世界…。 しかもこの2つ目の平行世界には死なずに青年になったニコが刑事として生きている。 つまり、もとの世界のベラは、1つ目の、ニコ青年と結婚してる世界から脱出したけど、もとの世界に戻れたのではなく もといた世界と酷似したまた別の平行世界に転送されたんですね。 この2つ目の平行世界では、この刑事ニコは、ベラのことを知らない様子。 おっさんの妻殺し事件は起きたけど、ニコはそれを目撃したりうっかり事故で死なないで済んでいた、ラッキーな世界? グロリアは、1つ目の平行世界ではダビドとグロリアがいないことに困り果てていたけれど ダビドが浮気性のクズだと分かった時点で、グロリアさえ取り戻せればいいっていう感じだったんですよね。 だから、別にもといた世界に戻れてなくても、グロリアがいれば2つ目の平行世界でもOKってことですか。 それにこの2つ目の平行世界では、1つ目の平行世界でちょっと惚れかけていた(でもグロリアに会いたくて、さよならした) イケメンニコ青年がいる。 最愛の娘を取り戻し、浮気性のクズ夫の本性をあばき離縁、そしてイケメン年下ニコ青年と人生やり直し。 これはもう、もとの世界よりこっちにいた方が断然ベラは幸せですね。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-06-22 19:18:26) |
29. キャプテン・フィリップス
《ネタバレ》 前半は、貨物船における、船長VS海賊の心理戦と、船員VS海賊の必死の攻防で、ダブルの面白さ。 後半は、貨物船パートが終わり、救命艇パート。 ここでは船長VS海賊の心理戦に、新しくアメリカ海軍VS海賊との心理戦という構図も加わり、それもまた見ごたえあり。 海賊は4名いて、このそれぞれのキャラはノンフィクションじゃなくて、たぶん映画としての面白さを作るためにフィクションなところ(性格や年齢)があると思う。 落ち着きがあるボス、やたらとキレる横暴な男、気弱な少年、なんとなくいる存在感が石な男。 この4人の個性があるから、最後まで面白く見られたというのもある。 そしてアメリカ映画らしく 「アメリカは強いんだぞ!アメリカってみんなの憧れなんだぞ!」 っていう、アメリカ礼賛映画になってるあたりもアメリカらしくて、清々しい笑 海賊のボスは、「アメリカに住んで、車が買いたいんだ」なんてポロっと言ったりして アメリカへの憧れを口にする場面とか笑 アメリカ海軍の人質救出作戦の技術も存分に披露されて、アメリカ海軍天下無敵感いっぱいで、ビバ!アメリカ!っていうノリがまた心地いい笑 それにしても勉強になった。 ソマリアの海賊って、 「海賊やって一儲けしようぜ!」 って意見の合った仲間がつるんでやるものではないのですね。 貧しい漁師の村の漁師たちが、みかじめ料として変なおっさんたちに脅されて仕方なく行かされている。 そして、気の合ったもの同士で組んで計画的に行くのではなく 日本でいえば、ホームレスたちを働かせる労働場所へ向かうバス(それが海賊船に該当)があって、 そこに乗せる人員をつのる場所に来た日雇い労働者の顔とか適当に見て責任者が 「じゃぁ、君と、君と…あとソコにいる君…」 って、めちゃめちゃテキトーに選んでバスに乗せちゃうノリと同じ。 そして必死で金を盗んできても、漁師たちにはお金は入らず 全部みかじめ料としてもっていかれちゃう。 この現実は知りませんでした。 漁師たちはかわいそうなんだ。 救命艇の中では、先ほども書いたように「アメリカに行って車を買いたい」発言もしていたし それに、海賊のボスは、フィリップス船長が当初渡した現金だけじゃ足りないと言って、もっとお金を取るためにフィリップス船長を身代金のために人質にしたわけだけれど 海軍に追い詰められて困っていた海賊のボスに、船長が「欲を出さなければ、おおごとにならなかったのにね」と言うと 「ボスがいるから仕方ない」 って言っていたのも心に刺さった。 映画冒頭で、漁師たちが、みかじめ料を取るおっさんたちに 「先週海賊やったばかりだから、行かなくてもいいだろ」的な発言をすると 「ボスはもっと金がいるんだ!」 と怒鳴りつける。 海賊のボスの上に、みかじめ料をとる中ボス、そのみかじめ料をとるボスも、またその上に、みかじめ料とってこいって怒鳴る大ボス… ボスボスボス…本当に、その末端の人間が結局つらい思いをする構図だ。 面白いのは、この時そのセリフを聴いたフィリップスが 「誰にもボスはいる」 と言ったセリフ。 そう、丸腰で、危ない海域を行かせて、輸送費削減とスピード配送最優先を命じるボスの下にある立場ゆえに こんな災難に巻き込まれたわけだから、そうボヤキたくもなるでしょう。 悪いのは、海賊じゃない。 いろんな意味で感慨深い映画だった。 現在服役中の海賊のボスは、服役のあとは心を入れ替えて、アメリカに移民として暮らせて、車が買えるといいね。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-03-07 10:47:38) |
30. オール・ユー・ニード・イズ・キル
《ネタバレ》 エミリーブラントは「メリーポピンズ・リターンズ」とか「プラダを着た悪魔」みたいに、華やかなお洋服も着こなせるのに、今作や「ボーダーライン」みたいに土で薄汚れた女兵士も演じられるのが魅力。 ルーブル美術館での最後の自爆攻撃で、エミリーブラントとトム・クルーズが死んじゃって「ああああ…」ってなったけど まさかのハッピーエンドでトムの白い歯が輝く笑顔が見られて幸いです笑 調子のよすぎる展開だけど、この主役の二人が輝きすぎて、いろいろ許せてしまう。 ちなみにルーブルでエミリーがトムに「あなたをもっと知りたかった」と言ってチュってするのは、とっさのエミリーのアドリブだったそう。 トムは「キャラ的にキスする女じゃないから撮り直そう」って言ったそうだけど、このままでGOっていうスタッフの意見が多数だったとか。私はGO派だったので、これも幸い。 ライトノベルらしい、ライトなストーリー展開で、ライトに軽く見られる映画ですね。 [DVD(字幕)] 7点(2021-01-18 17:14:00) |
31. アメリカン・ハッスル
《ネタバレ》 2013年にこの映画の存在を知った時から、エイミーアダムスの”ノーブラおっぱい半見えブラウス”が気になる作品でした。 あれから7年、ようやく鑑賞。(ノーブラおっぱい半見えブラウスも) この作品の中で胸糞悪いキャラナンバー1は、ジェニファー・ローレンス。 ベイルの電話を盗み聞きするは、出しゃばってベイルの仕事を計画していない方へ持ってくは、子供を人質にしてベイルを縛りつけて離婚にも応じないは(この子供を利用して自分の立場を守るあたりが特に胸糞悪い)、エイミーアダムスに勝ち組アピールするは、(そのくせ完全な勝ち組でもないことを分かっているから浮気するは)、浮気相手に大事な情報もらして夫の命を危険にさらすは…とんでもないアバズレ女。 それに対して、エイミーアダムスの純粋なこと…。 ダメダメ男のベイルに尽くし、計画的にクーパーに惚れてる演技して再三体を求められたって、どんなに演技のためとはいえそこだけは絶対断るほど貞節だし(強引に襲われたときは出生の秘密を明かすみたいな形で相手を興ざめにさせて操を守ったし)。 おとり作戦に参加するにあたっては、何かあったら一緒に逃げるBプランも用意しようと、二人の未来もしっかり想定する賢さも相当だけれど、「でも息子ガー」とウジウジするベイルに「息子さんも一緒で逃げるのよ」と、会ったこともない彼氏の子供も愛する覚悟ができているその愛情と包容力たるや、もう女神。 (まぁその二人にはさまれて、息子可愛さになかなかハッキリすっきり(離婚に応じない妻には別居しかないのに普通に帰宅しちゃう)してくれないベイルも結構イライラしますが。) でも最終的には、ジェニファーがマフィア男に惚れこまれて離婚に応じてくれたので、泥沼にならずに非常に良い展開。 (浮気相手の女性に嫉妬して、離婚して二人を幸せにさせてなるものかと意地でも離婚に応じないたちの悪い妻には、他の男を与えないと話が進みませんよねやっぱり。) そしてベイルとエイミーは一緒に暮らしてめでたしめでたし… (どうやら息子とも暮らせてるようで、元妻は2週に1度の面会権って感じのようです) ぶっちゃけ、品も聡明さもなく着飾ることしか能のない口の悪い出来損ないのゲスな実の母より、賢くて誠実で愛情あふれるエイミーのほうが、息子にとっても生育環境はずっと良いので、めでたし要素がいっぱいなのが痛快!! その他のキャラを見ても、ブラッドリー演じる身勝手な刑事は、手柄をほめてもらえず、 善人だけど州民のためならルール違反も犯すことウッカリ罠にはまっちゃったジェレミーは逮捕されても減刑。 それぞれ相応なオチになっていたと思います。 (200万が警察から振り込まれた先がデニーロの口座じゃなくてベイルの口座だったことは、エイミーがあの送金係の女性を仲間にしていたおかげだと思うと、ジェレミーに禊を済ませることができたのもエイミーのおかげなわけで、ホント、エイミー、女神。 関係を公にしづらい男女の話は、バッドエンドが多いので個人的に貴重な八ッピーエンドの作品リストを作っているのですが (たとえば「〇〇〇・〇ッ〇〇」とか「ヴェ〇〇〇〇の〇〇〇〇」とか)この作品も新規追加にします。 ちなみに、実話をもとにした作品とはいえ、ジェニファー演じた妻は実際は当時50歳で、マスコミに詐欺で稼いだ金で暮らす女として報道されて翌年自殺したとか。 聡明なビジネスパートナーのエイミー演じた女性も、詐欺のことは知らなかったとか。 それだとドラマ性がないので、大胆に脚色してハッピーエンドにしたのは大成功だと思います。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-10-30 11:49:26) |
32. キャロル(2015)
《ネタバレ》 キャロルは、夫とはそりが合わず離婚したいが、子供は何よりも大切。 一方夫は、妻を手放したくなくて、子供を人質にして彼女を繋ぎとめようとしている。 そんな矢先に出逢った、自分を慕ってくれる若い女性テレーズ。 自然と惹かれ合うが、しかし彼女と付き合っていることで、親権が不利になる。 子供か、テレーズか。 子供を選んだ彼女は、テレーズを手放す。 この時点で、私は胸がとても苦しくなった…。 だって、もう完全に夫とは切れてる。紙切れ一枚の問題で、子供とテレーズどっちを取るかを迫られるなんて…こんなつらいことはない。 キャロルもつらいし、捨てられたテレーズだってつらい。 特に若いテレーズにとって、自分の趣味(カメラ)を理解してくれ、とてもセンスが高くて美しく、そして初めて知ってしまった甘い官能の世界を教えてくれた相手… そう簡単に「お子さんのために身を引こう」なんて思えるわけがない。 つらい、苦しい… こんな終わり方の作品なら見なければよかった…。 ところがキャロルはこれで幕を引く女ではなかった。 「子供もテレーズも、どっちも取ったるで!!!」 まるで男みたいにめちゃカッコイイ!!! 同性愛って、ホモにしてもレズにしても、やはりどちらかが男役、女役になってるそうだ。 (余談ですが、たぶん、エルトン・ジョンは男役。) キャロルもたぶん男役なんだと感じた。 かくして、キャロルは親権は放棄しつつ面会権だけは死守して、同時にテレーズと同居できる環境を整える…。 ”恋も仕事も大事”っていうフレーズはよくあるが”恋も子供も大事”っていうのは、夫とうまくいってない状況の妻が新しい恋に出逢った時に必ず感じるものであって、この心境が分かる女性は、同性愛が理解できなくても、テレーズを男性に置き換えることで、その時の辛さや葛藤をリアルに感じてこの映画に没入しやすいかもしれない。 (とはいえ、現実世界では、キャロルみたいに、ぱっぱと決断して、愛する相手と暮らすなんてなかなか可能性が低い。 それゆえ、この映画のように、とんとん拍子で物事がうまくいく展開に心揺さぶられるのだろう…) ひさびさの再会で、テレーズはキャロルからの同居案を断るが、その後別のパーティーに行ったテレーズがキャロルのいるパーティーに戻ってきた時の表情は、いずれ同居もしそうという予感を感じさせる。 そして、ラストのキャロルの 「ふふふ…やっぱり、私のもとに帰ってきてくれたのね…いいわよ、さぁ来て」 的な魔性の微笑みが、グっときた。 困った時は元カノを頼って甘えん坊な一面も見せ、そしてラストでのこういうイケメンな余裕しゃくしゃくな表情…そのギャップ。 盗撮された時にピストルをふりまわす直情的な一面も含め、とにかくキャロルは、愛する相手と子供に全力で愛情を傾ける人間として生々しく、そしてとても愛おしく感じた。 [DVD(字幕)] 7点(2020-09-06 09:22:58) |
33. パーフェクト・センス
《ネタバレ》 視覚を失ったらどうなるかが描かれないまま終わることを、なぜこうも批判されなくてはならないのか??まったく理解できない。 劇中の人々は感覚機能を失うごとに、残された感覚器官を洗練させ、想像力を豊かにし、状況を立て直す努力をしてきた。そのように、我々も残された触覚をもって人々はどうなっていくか?をより想像力をとぎすませて、考える楽しみを味あわないでどうするのか? 私はこの映画を見て、ヘレン・ケラーを思い出した。視覚と聴力という重要な機能を失っていた彼女は、しゃべることもできずにいたが、サリバン先生の誠実で根気強い指導によって、”指文字”で対話ができるようになったという。 劇中で病気にかかった人々には、まだ触覚が残されている。ここでネガティブ思考の観客は「あーこの後にいよいよ触覚も失われて、完全に人々は孤立して死んでいくしかないんだな」と思うだろう。 しかしポジティブ思考な観客ならば 「触覚でお互いの特徴を感じながら、相手を特定したり、なんとかやっていこうとするのではないか?」 「罹患していない人々のネットワークが出来てきて、罹患した人々を助けるシステムがいずれ構築されるのではないか?」 「劇中でロシアに病気にかかっておらう抗体を作れる可能性がある人がいたという伏線があったので、彼らから抗体が作られて、いずれ病は治まるのではないか?」 と思うだろう。そして 「大切なもの一度失うことで、当り前に思えたものの大切さを感じられる人々が増え、お互いにもっと優しくしあえる世界になるかもしれない」 なんてワールドワイドにラブ&ピースみたいな壮大なイメージを描くこともできるだろう。 最後に残された触角だけは失われないと私は思っている。なぜなら、人々が感覚機能を失う直前に、さまざまな感情の爆発が起きるが、その感情の種類”喜怒哀楽”すべてをもう済ませたから。 触覚を失うとして、その直前にどんな感情の爆発を起こすのだろう?と思えば、答えが見つからない。だから、触覚はそのまま人間に残されるのだと思う。「シンデレラ」で、12時過ぎたら全部魔法がとけるのに、なぜか未来の”希望”となるガラスの靴だけは魔法がとけずに残されたように。 劇中で人々は何があっても希望を捨てなかったように、シンプルでベタなメッセージではあるが、この映画のテーマは”希望”。そう結論づけられるかもしれない。 そして、エバ・グリーンはあんなにギスギスに痩せてるのに、おっぱいだけはボリューミーな美乳だなんて女の私から見てほんとにズルい、とも結論づけられるかもしれない。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-02-12 18:38:13) |
34. パディントン
《ネタバレ》 「2」をスクリーンで見て面白かったので、原点の「1」を鑑賞。 「2」で登場した骨董屋のグルーバーおじさんがすでに「1」に登場していたこと(どうやら原作ではグルーバーさんも主要キャラのひとりらしい)や、骨董屋さん界隈の雰囲気といい、オカンの古着コーデといい、ブラウン家の各部屋の内装といい、何から何まで、私の感性にビンビンきた。 とにかくパディントンという世界観すべてが、私に合っているらしい。 家を求めてさまよっているパディントンがバッキンガム宮殿の前にきて建物を見上げている場面があったが、ロンドンで一番住まわせてもらえなさそうな場所でそういうことするという、ものすごく上品なジョークも性に合う。 中でも気に入ったのが、ロンドンの掃除機2本を使ったエントツ脱出作戦のジョーク。 充電式の掃除機2本を使って、えんとつの壁に吸い付かせながらよじ登るのだが、途中で片方の掃除機の3灯の充電ランプが全て緑から赤になってしまい、ズルっとなって、その掃除機を落としてしまう。 「なにこれ、ミッションインポッシブルの高層ビルの手袋のヤツと一緒じゃんw」って思わず言ったら、小2の息子が「そうだよ、最初にミッションインポッシブルの音楽が流れたもん」って普通に言うので巻き戻したら本当に、えんとつ登りだすときにあのテーマが・・・w ということで、「これはミッションインポッシブルのパロディなのだな」という目線で続きを見たが、トムクルーズばりに煙突から出る瞬間ジャ~~~~ンプ!!・・・するが、パディントンなので煙突の外側のフチをつかめずそのままストーンと煙突に再び落下・・・w いちいち、上品なジョークに笑わせられた。 「2」がパディントンの滅私的で献身的な行動がハッピーエンドにつながる・・・という物語だったため、思わず泣いてしまったが、それに対して、「1」は彼の生い立ちや家族探しの物語。そもそも話なので、どちらかというと、笑いに身を任せ、パディントンとブラウン家の絆が結ばれていく過程をサラリと楽しむのがいいと思う。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-07-08 12:02:45) |
35. ブリッジ・オブ・スパイ
アメリカ映画といえば、アメリカによるアメリカのためのアメリカが正義として描かれるアメリカ映画が常である。しかしこの映画は、アメリカを完全な正義として描ききらないであることで成功しているのだ。 敵国のスパイなら情けも法律も関係ねぇ!という世論や裁判関係者も存在したことを描く。 太平洋戦争時の日本は「捕虜になる辱めを受けるなら自決せよ」という非情な教えを全国民にすりこませていたが、そんな<自国民の命より、こちらの情報が捕虜を通して敵国にもれないことのほうが優先>という当時の日本のポリシーと変わりのない、自決用の1ドルコインをスパイ飛行士に持たせていた事も、包み隠さず描く。 橋の上での捕虜交換時も、アベルが「引き渡されたあと、自国の関係者に片寄せ抱き合ってもらえるか、あるいは黙って後部座席に座らせられるか」という話をしていて、それはつまり肩を抱かれれば”信用”、黙って乗車させられたら”不信”ということだという意味なのだが、ソ連側関係者はアベルを黙ってクルマに乗せたのに対して、アメリカ関係者はパワーズを笑顔で抱き寄せて”信用”のフリをしながら、実際飛行機に乗せたあとは、パワーズを全員が完全シカトというアメリカ関係者の裏表の表情も、サラリと描く。 そんなふうにアメリカのダークな部分も包み隠さず描くことで、ドノヴァンという”アメリカの良心”をより際立たせているのが本作だ。 そして私は本作を「シンドラーのリスト」「リンカーン」と並び、スピルバーグの描く伝記映画としてとらえたい。「ブリッジオブスパイ」は、スパイの仲介者という意味であり、それはそのまま、ドノヴァンのことである。タイトルをあえて「ドノヴァン」にしなかったあたりは、彼がシンドラーやリンカーンほど世界でよく知られた歴史上の人物ではないからかもしれない。だがこの映画を通じて、ドノヴァンはアメリカの良心、アメリカの正義として世界に広く認知されることになった。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-26 22:41:31) |
36. 死霊館
《ネタバレ》 家に棲みついて悪さをしてるのは、子供を悪魔にいけにえにした結果魔女裁判にかけられ恨みを家に遺して自殺した魔女。 でもどうも、その本丸である魔女よりも 「彼女がやらせたのォー!」といってリストカットした手首を見せたと思ったらいきなりガーっと飛び出してきてドツいてくるメイドの幽霊とか、「かくれんぼしよう~♪」っていきなり真っ暗闇の地下室にひきずりこんで電気割って暗闇から手をのばしてくる少女の幽霊とか、ボヨ~ンと主人公一家の子供の背後に立ってちゃっかり写真に写りこむローリー少年の幽霊とか、魔女より幽霊のほうがなんかチョイチョイ たちの悪い怖がらせをしてくるやんって感じで 「魔女がこわいのか、彼女の犠牲者の幽霊がこわいのか、どっちかにせい!」とツッコミをいれたくなる展開であった。 さらにいえば、主人公一家の妻が魔女にとりつかれて暴れ出したので、神父がくるまで待てないってことでエドがとりいそぎ悪魔ばらいをすることになったが 最終的に魔女を追い出す方法が、十字架や聖水や悪魔ばらいのセリフなどではなく 魔女にのっとられた妻本人に「がんばれ!もどってこい!家族の思い出をさぁ思い出して!魔女を追い出して!」とみんなで励まし エスパーなエド夫人がハンドパワーで、主人公一家が海辺でワハハハと笑い転げ走るステキな思い出の記憶を注入! 最終的に”妻VS魔女”という、妻ボディの内側におけるガチバトルを妻が制して魔女を追い出す・・・という 「だったらもうこれからは、バチカンの許可もらってエクソシストの神父を出張させて 十字架だの聖水だのといった小道具や”神と子と精霊の名において・・・”なんてまどろっこしい悪魔ばらいをしなくたって のっとられた本人をみんなで励まして思い出のアルバムの写真なんかを体にペタペタはりつけて、本人と悪魔を戦わせる手法でええやん」 と思わせるような、<悪魔ばらい師不要論>が噴出しそうな、ぶっとんだ内容であった。 そして何よりも、個人的にいわせていただければ、悪魔憑依の作品は、バッドエンドでなくてはならない。 そうでなければ、ハッピーエンドにみせかけて、最後の場面で「まだまだ悪魔健在ですよ・・・フフフ」というワンカットを入れて、エンドロール・・・でなくてはいけない。 この作品については、個人的には、主人公一家が救われたものの、魔女がエド夫人に移動してしまいエド夫人が娘の背後にハサミをもってしのびよる・・・みたいなラストシーンであってほしかった。 (そう、だいたいエクソシストが登場する作品では、悪魔と奮闘したエクソシストのほうが最終的に被害こうむって終わるっていうのが王道だ) でも実話であるなら、それ以上は言うまい。 実話の映像化としては、きちんと基本をおさえて上手に撮られた作品ではある。そして、ファーミガ女史のあのなんともいえない、崩れていそうで崩れていない絶妙な均衡で美しさを構築している古典的な顔だちは、この時代のエスパー女として、当たり役であることは間違いない。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-07-12 10:25:08)(笑:1票) |
37. イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
《ネタバレ》 中学時代に母親にシネスイッチ銀座へ連行されてイギリスのホモ映画「モーリス」を見て以来、イギリス人のホモ文化には違和感のない私。 いやそれ以前に、小学生からリアルタイムファンだったボーイジョージもジョージマイケルも同性愛だったし(ファンとまではいかないがクイーンのフレディもエルトンジョンもそうだし)大学の卒論でとりあげた英文学者モームも同性愛(厳密に言えば両性愛だが)だし(ついでにオスカー・ワイルドも同性愛だし、「モーリス」書いたE.M.フォースターも同性愛だし)とにかくイギリスは同性愛者で成り立ってるんじゃないのかとさえ思うほどにイギリスの同性愛に違和感のない私。 そんな私から見ると、この映画は、”叶わぬ初恋を引きずり、亡き恋の相手の後を追ったホモ男の生涯”という見方もできる。 学校で初恋をした、暗号が得意な男子生徒クリストファーは心打ち明ける前に病死 ↓ そのトラウマを引きずりながら大人になると、手がけた暗号解読マシンに亡き初恋のクリストファーと名づけ彼の幻影を復活させる ↓ 戦後にそのマシンが極秘作戦の証拠として残らぬよう破壊を命じられたが「ボクのクリストファーを殺さないで!」と言わんばかりにコッソリ自宅保管 ↓ ホモ有罪判決を受け「服役で部屋にいるクリストファー(というマシン)と離れるのイヤ!」と言わんばかりに、服役代わりのホルモン治療の刑を受け入れる。 ↓ でもやっぱりホルモン療法で同性愛癖が消されたとして、それでクリストファーへの想いまで消えてしまうなら、「今クリストファー(というマシン)と共に命を絶つほうがマシ!」と言わんばかりに自殺し、天国にいるクリストファーのもとへ昇天 といった流れである。 この物語は 「へー、エニグマ解読マシンてのがあったんだー」 「へー、開発して有効利用されるまで紆余曲折があったんだー」 という表面的な”しらなかったー”、”おもしろかったー”だけではすまさせない、開発者が同性愛であるがゆえの、もうヒトヒネリなドラマ性が、単調で終わらない面白さを生み出していると思う。 この映画がただの暗号解読マシン開発者の奮闘話だったら5点だったけれど、同性愛要素が入ってひねりがきいていたので7点である。 ちなみに映画冒頭で盗難にあった彼の部屋で彼が青酸カリを掃除してる場面があったので、ひょっとして自殺は青酸カリかな?と思って調べてみると興味深いことにやはり青酸カリで、しかもベッド脇にかじりかけのリンゴがあったことや、彼が「白雪姫」の毒リンゴを模した自殺をほのめかしていたことから、リンゴに塗った青酸化合物を口にしたのではという分析があるらしい。 とすれば、彼は同性愛の男としては”女役”(同性愛でもやはり男役と女役の役割分担がある)として、自分をいじめから守ってくれた”男役”クリストファーを愛していたのだろう。 「リンゴをかじって死んで、次に目覚めたときには目の前に王子様(クリストファー)がいるはずだわ」なんて、乙女な思考だったに違いない。 アランはリンゴを口にする前に、暗号解読マシン(クリストファー)にそっと最初で最後のキスをしちゃってたかもしれない。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-02-22 14:17:04)(良:1票) |
38. ベイマックス
《ネタバレ》 ベイマックスが自分がこの世から消えるのを承知でヒロを生かすために身を滅ぼすシーンで、次女(小6)が号泣していたが、私はそれほどでもなかった。 ベイマックスって、かわいいが、しょせんロボットやんという冷めた心があったのかも。 ベイマックスのする事なすことはすべて、ヒロの兄がディスクに書き込んだプログラムによる作動でしかないし、優しさやスキンシップも大切なひとを失った人のケアの仕方をパソコン経由で自主バージョンアップしたり、つまり、ヒロにみせるすべての言動は、ベイマックスの感情ではなく”感情風”なのだと思うと「面白~い」とはおもえても「泣けるぅぅぅ」とまではいかない。 あと日本語ではベイマックスはケアした後に「あなたは大丈夫ですか?」と聞くのだけど(そしてケアした相手が「大丈夫だよ」と言うとミッションコンプリートになって充電用ケースに戻るのだけど)英語で視聴すると、ベイマックスは「Are you satisfied?(あなたは満足しましたか?」って聞き、ヒロが「I'm satisfied」と言うとミッションコンプリートとなる。 私の場合、その”満足”っていうワードが、CMでよくある「顧客満足度ナンバー1!」みたいな、サービス業者みたいな感じで、どうも安っぽく、企業的なノリのベイマックスに感情移入することに違和感があったのもあるだろう。 使用後のご感想は1から10で言うとどれに該当しますか? アンケートのご協力ありがとうございます。 今後の顧客サービス向上のためこのデータを利用させていただきます。的な。 ベイマックスはいったん滅ぶものの最後の場面では、ヒロを救うために放った自分の”ロボ手”にハードディスクを握らせてあって、ヒロがベイマックスの外側を作り直して、そのハードディスクを入れて、はいベイマックス復活♪みたいになっちゃったのも、少ししらける。 「ローマの休日」のアン王女と新聞記者が、最後はそのまま駆け落ちして二人の愛をまっとうしちゃったみたいなストーリーを見せられたような気分だ。 ピクサーは、「インサイド・ヘッド」でリンボンを、命を賭して友を救うという泣けるキャラを投入する勇気があるのだから、ベイマックスを復活させないという筋書きの選択肢は不可能ではなかったと思う。 リンボンはサブキャラだから消してもいいけど、ベイマックスはメインキャラだから消せないという判断だったのだろうが、結果としては私は復活前提で消えたベイマックスでは泣けず、二度と戻れないのを覚悟で消えたリンボンは毎度見るたびに号泣、である。 それに「リメンバーミー」でもほら。。。(ネタバレになるので自重) ベイマックスはベイマックスが主人公のようでいて、実際の原語タイトルは「Big Hero 6」なのだから、あくまでもベイマックスは主人公ヒロの相棒であって、どうしても途中で抹殺しちゃいけないキャラではないはず。 命は1回きりだからこそ、身を滅ぼして誰かを救うことに価値があり、人を感動させるものではないだろうか? そして、あれだけ泣いた次女だが、見終わったら 「でもヒロたちは仮面男をやっつけるのにあんな面倒なパワースーツとかベイマックスのバージョンアップするより、マイクロボットを倍の数作って対抗すればよかったじゃんね?」と、これまた冷めたことを言っていた。 私としては、キャラハンの娘を危険にさらし、キャラハン教授を鬼に変え、ヒロの兄が巻き添え爆死する状況を作った、そのそもそもの大凶源クレイが、結局そんな大打撃受けないまま終了しているところに”これでいいのか”感がいっぱいである。 とはいえ、全体としては無難にまとめたダイナミックな映像。 結局ディズニーピクサーはどんな話でもこういうアクション的要素はどこかにすべりこませてくるので、チカラワザで7点をつけさせられた感はいなめないが。 最後に。ゴーゴー・トマゴという名前が「キルビル」のゴーゴー・ユウバリを彷彿させたのだが、英語圏ではゴーゴー・ナントカっていう名前がけっこうあるのだろうか? [DVD(吹替)] 7点(2015-12-02 12:11:03)(良:2票) |
39. インターステラー
《ネタバレ》 娘の部屋の本棚にある本の奥はブラックホールの中でしたってのは、のび太君の部屋の机にある引き出しの向こうはタイムマシンでしたっていうのと同じくらい、奇想天外な世界観。 本棚の裏からトンツートントンツーも面白かったが、それ以外に面白かったパートは2つ。 マット・ディモンが来ていた星は住めない星なのに、無駄に信号を送って呼び寄せたあげく、マコノヒーを殺して生き延びようとするという、まさかの展開と NASAの偉い人による「ゴメン…住める星なんてないんだ」発言からの、ラストでアンハサウェイがたどりついた星でヘルメット脱いで普通に呼吸しちゃって重力も通常な感じでトコトコ歩いてるっていう「えっ…ここに住めるやん笑」というまさかの展開である。 ただ、地球を救う系の作品って、小惑星がドーン!とか派手な理由が多いが、こちらは地球環境変化というリアルな理由で、年を追うごとに悪くなる一方…ってところは、昨今の海水温度の上昇で日本列島に強烈な破壊力の台風が必ず規模の大きさを毎年更新しながらやってくる…っていういやぁな現実と重なって、地味に暗い気持ちにはなる。 とはいえ、地球救済映画は、だいたいにおいて主人公は死ぬのだけど、この映画では死なないっていうところはスゴイ。 娘はおばあちゃんになったがギリギリ生きててマコノヒーと再会できちゃったし。 アンハサウェイに至っては、成り行きでカレシが先に行っていた星でカレシと再会できてるっていうオチだったし、しかも立派ななコロニーまでちゃっかり出来てる景色のシーンを見せて終わるものだから、ここまでハッピーエンド祭りな地球救済映画はなかなかないと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2015-10-19 11:41:23) |
40. ホテル・ムンバイ
《ネタバレ》 「スラムドッグミリオネア」でその顔を知られることとなったデヴ・パデル(アルジュン)が、この映画の主人公。 だから彼に死亡フラグは立たない。 最後まで活躍して最後まで死なずに、心配してる妻子と再会してめでたしめでたしになろうことは予想がつく。 テロリストの首謀者は、リアルにどいつこもこいつもタチの悪いイジメっこでして、「神は偉大なり」の一言で少年を洗脳してテロリストに仕立てるのも、彼らにとっては日常のちょっとしたお遊びみたいなものなのですよね。 とにかく無差別に殺してショッキングな感じを楽しんだり、 気が向けば金持ちを生け捕りにして、ちょっと身代金要求しちゃおうかなとか、 ダメならストレス発散に殺して、関係者を苦しませちゃえとか、 その場のノリでやることを決めるので、本当にタチが悪い。 それにしても、この映画は実話だそうだけれど 赤ちゃんを連れて逃げてたあの女性が最後まで無事だったっていうのはホント? あの年齢の赤んぼなんて、ずっと寝てるか、オムツ濡れてるかミルクが欲しいときだけ目ざめて泣きわめくのに、 あんな状況でベッドにも寝かせてもらえず、それが何日も続いてたんですよね?ミルクどうしてたん?オムツどこに替えあるん? あんな真っ暗で狭いクロゼットに入っただけでも、一発で泣き出しますやん。 どうも赤ん坊を殺すのは悲惨だから生かしておきたい気持ちはわかるけど、そこはリアリティがなかったですね。 でも実際、ホテルの従業員がお客さんのために居残って殺害されてたなんて。 生き残った金持ちは、金があるから守られたってことですよね極論を言えば。 ちゃんと金持ちたちは、死んだ従業員の一生分のチップを遺族に払ってやらないと死んだ従業員に呪われますよ。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-06-17 11:13:36)(良:1票) |