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わいえすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 107
性別 男性
ホームページ http://blognoakuma.at.webry.info/

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41.  シルヴィア
シルヴィア・プラスは20世紀を代表する女流詩人である。作風は椎名林檎や鬼塚ちひろに似ており(かなり語弊があるか?)、また人生は金子みすゞや高村光太郎と千恵子の関係を髣髴とさせる。本作では彼女の主な詩を適度にちりばめつつも、あくまで主眼は彼女自身の人生に向けられ、テッド・ヒューズとの出会いから結婚、出産、破綻、死までをどちらかといえば淡々と客観的に描いている。演出は細部まで気が利いている。新婚時に彼女が山のように焼くパイは、彼女が自殺に使用したガスオーブンを連想させる。ボートで遭難しかけるシーンの海のうねりは印象的だ。その後の波乱の人生を象徴するように観る者の不安感を煽る。テッドの強力な才能によって彼女は、詩人と女性との間で引き裂かれた。人並みの幸福と創作は両立しないのだろうか。しかしそのおかげで我々は現在彼女の素晴らしい作品群に触れることができる。結局幼い頃に父親を亡くして父性愛に餓えていただけなのだ。それが死後にフェミニズムのイコンとして祀り上げられたのは皮肉な話ではある。同じくイギリス映画の「アイリス」と見比べるのも一興かもしれない。興味のある方はどうぞ。
9点(2005-02-25 13:24:47)
42.  マン・オン・ザ・ムーン
オープニングで多少、というかかなり不安になったがそれも杞憂だった。実在のコメディアンの伝記映画で、作品中では彼のプライベートよりも、彼の芸やステージのシーンの方が多いにもかかわらず、一番笑えたのは彼が癌を患ってそれを告白したのに、家族にさえ信用されないというエピソードなのは実に皮肉だ。国民性の違いか、あるいは単なる趣味の問題だろうか?しかし感動作としてはあまり笑えない方がいいのかもしれない。アメリカのエンターテイメントの中でも日本人には特に馴染みの薄い、お笑いの世界の一端を覗けるのは興味深い。彼の過激な芸の根底にあるのは、ただ単に人々を驚かせたい、楽しませたいという純粋な思いだったのだ。その純粋さゆえに、周囲の人々から見ると、彼は暴走し、芸は過激になり、観客は付いていくことができなくなった。この辺りエンターテイナーや芸術家が根源的に抱えるジレンマかもしれない。しかしエンターテイナーとして最後まで自身の芸に殉じる姿は立派である。過激さの中にも人々や世界に対する大きな愛情みたいなものが見え隠れしていて感動させられる。それにしてもジム・キャリーは上手い。
9点(2005-01-02 02:03:47)
43.  ファイブ・イージー・ピーセス
アメリカン・ニューシネマの一作。確かに主要なテーマは「明日に向かって撃て」や「俺たちに明日はない」にも共通する。しかし違いもある。主人公は美しく散っていくこともなければ、「イージー・ライダー」(恥ずかしながら未見)の2人のように無残に死んでいくこともない。主人公は油田で働く労働者。ガールフンレンドはシンガー志望のウェイトレス。音楽一家の育ちらしいことが示唆されるが、彼女のかけるポップソングのレコードに嫌悪感を隠さない。トラックの荷台でピアノを弾きながらハイウェイの横道へ逸れて行くシーンは、その後のストーリーを暗示しているようで印象的だ。エコロジストのレズ、フェミニストなどが時代を感じさせるが、彼が彼らと相容れるはずもない。クラシック一家に戻ることもできない。行き場も無く心を通わせることのできる仲間もいない。しかし誰が悪いわけでも間違っているわけでもない。彼の行動は容認できないが、結局そういう生き方しかできないのが切なくもあり悲しくもある。全てのシーンが象徴的かつ美しく時代を鮮やかに切り取ってみせている。そして若者にとっては普遍的なテーマかもしれない。特に現代の日本では。名作。
9点(2005-01-02 00:54:44)
44.  蜘蛛女(1993)
レナ・オリン大暴れ。手錠を後ろ手にかけられたまま、運転中のゲーリーの頸を脚で絞め(なんていう技だったっけ)、フロントガラスをハイヒールで突き破り、手錠でベッドにつないだゲーリーの上で、乳丸出しでボンデージの衣装のボタンをパチパチさせ、「踊ってよ、ジャック」といいつつ、スカートを脱ぎ捨て、T-バックの尻をプリプリさせ、別に踊るだけならスカート脱がなくてもいいじゃん、というツッコミも忘れさせてしまう。もうやりたい放題。ゲーリーと遊んでいる時は最高に楽しそうなのに、ロイ・シャイダーに命乞いをされて、「知ったこっちゃないわよ」と冷たくはき捨てる豹変ぶりが、最高に笑える。ある意味女らしい一面。最近ニュースとか見ていると、こういう女がその辺に本当にいそうなのが恐ろしい。でもモナみたいないい女だったらOKか?怖いといえばアナベラ・シオンの方も相当なものだ。女たちの渦巻く情念が、もやもやと纏わりついて離れない。ゲーリーのうろたえ、あたふたした表情は最高にキュートだ。B級パルプギャングノワールに、SM趣味と、ホラーの技法をミックス、最高にいかした作品に仕上がった。今までにない、全く新しい経験。 
9点(2004-07-10 03:59:58)
45.  ピースメーカー 《ネタバレ》 
公開前は、ドリームワークス第一弾にしてはいささか地味ではないか?といわれていたものだが、封切り後は、そんな杞憂も見事に吹き飛んだ。冒頭、列車事故の救出に向かう農夫たちが、核の閃光に飲み込まれる。その一瞬のシーンで、監督のミミ・ロジャースは、核の恐怖と被爆者への哀れみを、観る者の心にしっかりと刻み込んでみせる。「トータル・フィアーズ」とはたいした違いである。その後は、切れ味鋭い演出、圧倒的なスリルとスピード感とによって、全世界を股にかけた、ポリティカル・アクションとしてのスケール感をも全く感じさせないほど、凄まじい勢いでストーリーが展開していく。これはもちろん嬉しい悲鳴である。「007」シリーズさえ霞んで見えるほどだ。そして何よりも、連続する派手なアクションシーンの合間に描かれる、哀しい人間ドラマ、苦悩するテロリストの悲壮な姿が、観る者の心をうつ。繊細さとスマートさが際立つ演出は、監督が女性だからというのは、単純にすぎるだろうか?主演の二人も最高にいかしている。ステンドグラスをぶち抜くラストシーンがまた最高。その辺の、凡庸なハリウッド産アクションとは一線を画する名作。  
9点(2004-07-10 03:34:15)
46.  櫻の園(1990)
初めてこの作品を観たのは、某タブロイド紙?の映画賞の授賞式においてでした。友人が何故か招待券を持っていたので、何の予備知識もなく一緒に観に行きました。授賞式が始まる前から、一番前の席に、制服をきた女子高生がずらっと並んでいて、一体何だろうと思っていたらなんと、この作品で演劇部員を演じた皆さんだったんですね。授賞式では皆さんがステージ上に一列に並んで、それはそれは壮観な光景でした。今は亡き田山力哉氏が、「天と○」や「稲○ジェーン」をコキ下ろしたり、今となってはいい思い出です。ついでに個人的なエピソードをもう一つ。屋上でボイトレをするシーンで、どこか見覚えのある景色だと思って見ていたのですが、エンドロールで気がつきました。撮影に使われたのはなんと、私の地元にある私立S学園だったのです。赤いタワーと山並みが特徴です。当時高校生ながら、いや、だからこそかもしれませんが、音、特に学校独特の静けさとか騒々しさがリアルで感心した記憶があります。脚本家の方は、電車で女子高生の会話を盗聴して、研究したそうです。作家は女性を描ければ一流といいますが、映画にも当てはまるかもしれませんね。  
9点(2004-06-26 01:21:25)
47.  ツイスター
初めての時は14インチのTVだったが、真夜中に電気を消して観ていたら気持ち悪くなった。まさに、ジェットコースタームービーというキャッチコピーがピッタリだ。大迫力のツイスターの映像が素晴らしいのは言うまでもないが、決してSFXだけのハッタリ映画ではない。この点に関しては賛否両論あるようだが、私は人間ドラマもきちんと描かれていると思う。大自然の猛威に敢然と立ち向かう人々の姿には、感動すらおぼえる。決して正義感や使命感だけではなく、皆ツイスターのスリルに取り付かれているという設定がいい。ああいういかれた連中はとても好きだ。彼らが竜巻を発見して、出陣するシーンの高揚感といったらない。ツイスターの中に飛び込んでいく観測チームの中に、さらに普通の人であるジャミー・ガーツが飛び込んできて振り回されるという二重構造の設定によって、ツイスターの恐怖をより鮮明に描くことに成功しているのだと思う。普通の人間がそこにいることが必要だったのだ。脚本家の秀逸なテクニックを感じる。クライマックスで、空き缶の羽を付けたセンサー?がツイスターの中で舞い上がるシーンは、映像的にも、ストーリー面からみても鳥肌ものだった。アメリカでは、96年度の映画興業収入第2位という大ヒットだったにも関わらず、日本ではいまいち評価が低い。ツイスターの脅威とは無縁な日本では、やはり映画に対するリアリティが薄いのだろうか?あるいは、ヘレン・ハントの気合入りまくりの演技に皆引いてしまったのか?ストーリーが単純という意見も多いが、映像の派手さを邪魔しないためにも、このぐらいのシンプルさがちょうどいいと思う。必ずしも、映画に複雑なプロットが必要というわけではない。ジャミー・ガーツを久々に観たことにもちょっと感動。ネイチャー・パニックムービーの傑作。
9点(2002-12-14 00:16:01)
48.  インビクタス/負けざる者たち 《ネタバレ》 
政治ドラマとスポ根の合わせ技というのは、初めて観た気がする。過去の作品で何かあったか、取り敢えず思い出せない。「パニック・イン・スタジアム」は全然違うし。こういう政治と歴史とスポーツと人間ドラマが絡み合った、恐らくよりゴチャゴチャしているであろうノンフィクションを、誰にでもわかりやすくチャチャッと撮ってしまうのが、ハリウッドとイーストウッドの本当に凄いところだと思う。イーストウッドは、演出もストーリーの流れも本当にチャチャッとしているのだが、あざといくらいの手堅い演出で安心して観ることができる。マリオ族の踊りが怖い。試合前にあんなことできるのか?パンフによると、特例で認められているそうだ。しかし日本という国は、南アが舞台の作品でも、愛変わらずお笑い担当なのだということがよくわかった。ラグビー映画というものに、アメリカ人はどう反応したのだろうか。「マンデラの名もなき看守」に続けて観ると、時間軸がぴったり繋がって面白いと思う。マンデラの偉大さはわかるが、現状は滅茶苦茶なんだよね。ワールドカップできるのかな。それにしても、何故このタイミングでこれを撮ったのだろうか?
[映画館(字幕)] 8点(2010-04-10 23:19:25)
49.  ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part 2 ルージュ編 《ネタバレ》 
怒涛の展開だったPart1に比べると、さすがに少々ダレます。まあ2本続けて観るには、このくらいの方がいいのか。しかし作品としてはともかく、本人のやってることは相変わらず滅茶苦茶なわけです。脱獄、強盗、誘拐の末に行きついた先は、ジャーナリストの惨殺。民衆が彼に共感したのは、本人の意図かどうかはともかくとして、国家や社会が抱える矛盾を、その類まれなる行動力で明らかにしたからではないかと思う。まあそういう時代でもあったし。しかし結局つまらない自己顕示欲によって、身を滅ぼす結果となったわけだ。犯罪者の末路とは概してこういうものなのだろう。女の子を殺して逃げ回ってる、不細工な小男とは大分格が違うけど。「バーダー・マインホフ」と双子の作品という感じがするのだが、世間の関心はやっぱり「パブリック・エネミー」のようだ。そっち経由で観てくれる人が増えると嬉しいですね。欧州女優の綺麗さも共通している。特にシルヴィアのギャルっぷりが最高です。「私の犬が」って、耳を疑いました。素晴らしい。
[映画館(字幕)] 8点(2009-12-11 01:26:29)
50.  ソードフィッシュ 《ネタバレ》 
あれだけ派手に人殺しといて、愛国心がどうのとぶち上げて、犯人がイスラエル人というオチ。素敵すぎます。トラボルタが普通の悪役みたく死んでしまったら、企画通らなかっただろうね。ユダヤ人激怒するだろうね。あるいは上からの圧力で変更したのかもね。2001年公開ということは、テロの前に完成してたのかな。そう、本作はまさに単なるハイテク・クライム・ムービーの域に収まらない、「テロとの戦い」について問いかけた野心作なのである。確かにミスダイレクションだ。ただ単にハイテク版の「レザボア・ドッグス」と「ユージュアル・サスペクツ」を狙って外したような気もするが。トラボルタにわざわざ大天使の名前つけてるのも何だか嫌な感じだ。しかし「ゴッド・アーミー」を観れば妙に納得できるかもしれません。いずれにしてもアメリカ人がこういう姿勢では、テロとの戦いは永遠に終わらないに違いない。監督の意図かどうか知らないが。意外な怪作。さて「ミュンヘン」でも観ようかな。
[DVD(字幕)] 8点(2009-06-19 00:10:04)
51.  天使と悪魔 《ネタバレ》 
前作よりもかなり派手で刺激的になった印象。群衆スペクタクル、血塗れの殺戮シーン、大爆発に大炎上と、謎解きのプロセスはさっぱりであったが、怒涛の展開には圧倒される。時間を区切ったのが勝因だろう。広場の群衆シーンは、現地で撮影したのだろうか。バチカンであれだけのスケールの撮影をしたとはたいしたものだ。宗教に熱狂する人々の姿がバックグラウンドとして、物語のボルテージアップに役だっているわけだが、やっぱりいろいろと考えてしまうわけだ。米国の状況とか、日本でもあんな団体とか、こんな事件とかいろいろあるし(具体的には何も言うまい)。動機がわかりにくいのと、結局イルミナティの存在がフェイクだったというのが少々残念なところだ。反物質とかについては何もわからない。勉強しよう。しかし元空軍のヘリコプター乗りの司祭だか何だかというのが、凄いご都合主義的だが、計画変更がなければ、どういうオチにするつもりだったのだろうか。教授がプールで泳いでるシーンで「ピース・メーカー」を思い出した。
[映画館(字幕)] 8点(2009-06-19 00:07:22)
52.  ザ・バンク -堕ちた巨像- 《ネタバレ》 
銀行を悪役にしたサスペンスなわけだが、捜査対象は武器売買で、殺し屋がわんさかと群がり、グッゲンハイム美術館を半壊させるという派手さ。銀行がここまで過激な悪役を演じるというのも、時代の流れというヤツか。いやいや、その点に異存はないのだが、ここまで悪辣だと、昨今の金融危機と関係があるんだかないんだか。武器売買に要人暗殺とか、もうモラルの欠如とかいうレベルではないからね。パンフによると、企画は6年前から存在しており、実際の事件をモデルにしているという。まあ我が国でも銀行と地上げヤクザの関係とかあるし、別に目新しいことではないのだろう。そもそも原題が「The International」で、銀行を中心とした金融というシステムを介した、国際的な陰謀といったニュアンスだと思うのだが、すっかり金融危機に便乗している。その割に日本での興収はイマイチだな、きっと。一転して敵の冴えない殺し屋と一緒になって戦うという展開に超萌えます。ここだけのために観る価値があると思う。善と悪、表と裏が荒々しく交錯する、作品と時代を象徴するようなシーンだ。主人公の名前も「ライ麦畑」の作者みたいでいい。
[映画館(字幕)] 8点(2009-05-22 22:47:51)
53.  ロマンシング・ストーン/秘宝の谷 《ネタバレ》 
大麻の運び屋が着ているTシャツの「Grateful Dead」に「満足した死人たち」の字幕が・・・。何か詩的でさえありますね。もう頭から離れなくて困ってます。
[DVD(字幕)] 8点(2008-09-25 00:25:17)
54.  狼よさらば 《ネタバレ》 
「殺してしまったあ」とか言って身悶えていた割には、相手にしっかりパンパンと止めを刺し、挙句の果てに最後はあのポーズ。おまけに実行犯は野放し。さすがブロンソン。実にいい加減というか、豪快というか、フツーはもっとおかしくなったり、暴走して止められないとか、殺ってくうちに楽しくなっちゃって、最後に返り討ちに遭うとか、そういう展開にするものだが、彼の場合はもう淡淡と仕事をこなすだけで、正義感でやってるんだか、憂さ晴らしなんだか、趣味なんだかよくわからないというのが恐ろしい。よって共感もできないし、正義とは何かとか、殺人とは何かとか、最初からそういう方向にさえ行かないというのが凄い。とはいえ西部で銃に目覚め、自警団としてヒーローに祭り上げられるというプロットは、アメリカならではである。この点で、しっかりアメリカの社会や歴史、伝統文化の本質を描いていることが、本作を単なるB級作品とは、一線を画したものにしているのだ。しかしこの後の暴走ぶりを考えると、やっぱり何も考えてないんだろうな。
[地上波(吹替)] 8点(2008-08-10 23:19:34)(笑:1票) (良:1票)
55.  ソロモンとシバの女王 《ネタバレ》 
恐らく異教徒のスペクタル・ダンスシーンが、最大の見所の一つだと思うのだが、今見ると笑ってしまう。どう見てもブロードウェイ・ミュージカル風である。しかし主演女優のジーナ・ロロブリンダーさんはすんごいです。今時あれだけエロい女優が、果たしているだろうか。ソロモン王がハーレムの女たちを差し置いて入れ込むのも納得である。もう一つの見所は、クライマックスの戦闘シーンである。CGというか、アニメというか、イスラエル軍の鏡攻撃で、エジプト軍が谷底へと落ちていくシーンが、これでもかと言うくらい延々と続く。「タイタニック」並みの大虐殺である。神の怒りは恐ろしいのだ。当初はタイロン・パワー主演で撮影が進んでいたのだが、彼が心臓発作で急死したため、急遽ユル・ブリンナーが代打を務めた。ロングでは、タイロンの映ったショットが採用されているらしい。旧約聖書のエピソードを、一大スペクタクル・ラブストーリーに仕上げるセンスは見上げたものだ。
[DVD(字幕)] 8点(2008-01-12 02:30:52)(良:1票)
56.  グッド・シェパード 《ネタバレ》 
くらーい作品である。画面も暗けりゃ、ストーリーも暗い。そして何と言っても一番暗いのがデイモン君。詩人志望というところからしてもう救いようがない。実は私も好きなんですが。その彼が何となーく言われるままにスカル&ボーンズに入社し、デキ婚し、OSSに入局して、CIAが創設されて云々、という話。しかしこの場合、優柔不断というより、ある種の虚無主義なのであろう。愛国心とか、ヒロイズムといった感情は皆無に見える。出世欲や金銭欲でもない。6歳にして父親の遺書を隠した時から、秘密と欺瞞に人生を捧げることが決まっていた、というのはル・カレの「パーフェクト・スパイ」的な解釈。スマイリーをもう少し邪悪にすると、ああいうキャラになるかな?あるいは家族や人間の絆を組織に求めたのか?「ゴッド・ファーザー」のスパイ版にして、「スパイ・ゲーム」の昔版。現代版は「シリアナ」あたりか。しかしジュニアみたいな甘ったれた若者をスカウトしてたら、そりゃアルカイダには対抗できんよね。ロバート・ベアさんが怒るのも当然です。マヌケな失態の数々も、重厚な演出のせいで笑うに笑えず、ひたすら恐ろしく、気が滅入る。確かに「ミュンヘン」のライターだけのことはある。エリック・ロスは「クイーン」「ラスト・キング・オブ・スコットランド」の英国人脚本家と何となく存在がダブるのだが、いずれにしても素晴らしい才能だ。キャストもえらい豪華である。ジョリ子にあんな風に迫られたら瞬殺だろうな。
[映画館(字幕)] 8点(2007-11-28 02:48:30)
57.  ナショナル・トレジャー 《ネタバレ》 
世界中を股にかけたとレジャー・ハントの話と思いきや、突然独立宣言を盗み出す話に突入するので、一体どうなるものかと心配したのだが、これがテンポもよく、謎解きも面白い良質な娯楽作であった。この企画にしてディズニーを引き込むあたりが、ブラッカイマーの敏腕たる所以なのであろう。確かに「?」の部分もいろいろあるが、メーソン、テンプル騎士団、独立宣言とこのテのネタが好きな人にとってはたまらない。ここまであからさまにメーソンのことを前面に出して大丈夫なのか?とも思ったが、恐らく前面協力なのであろう。ハーヴェイ・カイテルの指輪が憎い。彼は珍しくスマートな役だが、微妙にはまっていないのが笑える。歴史の浅いアメリカで、ここまで楽しい謎解きができるのであれば、我が国でも、と思うのだが、こちらのトンデモ系の人々ではまるっきり画にならないことはまず間違いない。向こうの人は何事においてもスマートで羨ましい。ヤッフーで検索してるのも面白い。しかし最初の暗号はどうやって解いたんだ?
[DVD(字幕)] 8点(2007-09-21 15:23:32)
58.  初体験/リッジモント・ハイ 《ネタバレ》 
イーグルスやジャクソン・ブラウンなどのアサイラム系音楽が好きなので、以前から観たいと思っていた一作。プロデューサーの一人であるアーヴィング・エイゾフは、元々そのアサイラム・レーベルのプロデューサーである。音楽と映画の抱き合わせ商法は、本作が先駆けか?本編はノーテンキな青春コメディで、ストーリーも何もあったもんじゃないのだが、ぶつ切りの構成を音楽でつなぐ手法で、最後まで観れてしまうのが凄いところ。当時MTVが黎明期だったこともあり、意外とエポックメイキングな作品として、評価が高いのだ。キャストも豪華だしね。結構無茶やってるのに悲壮感がないのは、時代のせいもあるだろうが、これはやはり脚本のキャメロン・クロウにして為せる技なのであろう。「エリザベス・タウン」などを観ると、あまり成長していない気もするが、いずれにしても作品の随所に見え隠れするヒューマニズムとスウィートさが、他のエロ青春バカコメディと一線を画するところだろう。フィービー・ケイツは今どうしているのだろう?
[地上波(吹替)] 8点(2007-09-13 23:04:13)(良:1票)
59.  肉体の悪魔(1947) 《ネタバレ》 
夭折の天才、レイモン・ラディゲによる不朽の名作の映像化である。よってあまり期待せずに観たのだが、そのせいかこれが意外にも良かったので驚いた。しかし原作のウリが精緻を極める心理描写で、映像で再現すべく果敢にもチャレンジしていたフシがあるが、やはり限界があるということもよくわかった。ジェラール・フィリップはとても美しく演技も上手いのだが、いかんせん16歳というには微妙である。それでも駄々をこねたりするシーンで、一瞬子供のように見えるのは、流石と言うべきか、やはり問題なのか。私としては、もう少し陰気で怜悧なガキの方が良かったと思う。それでも作品のメインテーマである、戦時中という特殊な状況とか、若さゆえの過ちといった部分は、映像やストーリーのあちこちに巧妙に織り込まれている。レストランで「ワインにコルク臭がする」と、ソムリエにクレームをつけるシーンが微笑ましい。しかし16歳のガキが目の前でこんなこと言い出したら、フツーはワインの瓶でぶん殴るだろうな。まあ恋愛映画という括りで捉えれば、主役の二人もいいし、メロウな雰囲気を充分堪能できる。原作のファンでも、観ておいて損はないであろう。
[映画館(字幕)] 8点(2007-07-13 03:28:06)
60.  追跡者(1998)
「逃亡者」での演技力が評価されて、この続編になったわけであるが、トミー・リーはせっかく主役を掴んだわりに、どうも最初から最後までぎこちなく、何となく自分が中心になっているのが居心地が悪そうで、演技に精彩を欠いている印象だ。前作でハリソン君を追いかけていた時の方が生き生きとしている。本人が元々乗り気でないのか、謙虚なのか、ただ単に華がないだけなのかわからないが、役者というのは演技力だけでは評価できないということがよくわかった。大根であってもハリソン君の方が華があって、安心して観ていられる。とはいえ、作品自体は充分に面白い。「エグゼクティブ・デシジョン」の監督だけあって、アクションは少ないが演出はタイトでスリリングだ。特に墓地での撃ち合いに萌えました。捜査チームのキャストもそのままなのがいいですね。「逃亡者」の列車転覆シーンに対抗したのか、本作でも飛行機を墜落させているが、これも監督の趣味なのだろうか。残骸の散らばる事故現場を空撮するシーンは金かかってます。ある意味一番の見所かもしれない。追いかけっこだけではスケール感に欠けるところを、上手くカバーしている。
[DVD(字幕)] 8点(2006-08-09 21:38:45)(良:1票)
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