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601.  風花(2000)
ベスト・ワン監督の相米慎二の演出のもと、元アイドルの小泉今日子が大人のオンナを演じて新境地を開いたか(?)という話題の作品だが、はっきり言ってストーリーに新鮮味もなければ何の意外性もない。原作に問題があるのだろうか、監督自身、ストーリーにはあまり関心がないようにも思える。しかも肝心のキョンキョンの魅力を引き出せてもいない。あるのは主人公二人の“道行き”での演技合戦というところか?!
6点(2001-03-24 23:59:42)
602.  ブリキの太鼓
体格も表情もいたいけな子供そのものでありながら、その大きな目だけは、ほとんど老成した大人を感じさせてしまうほど冷徹で醒めている。この主人公オスカルは戦争(=ナチス)を拒絶するために自ら成長を止め、声高に抗議するあまりガラスを割ってしまう。彼はあらゆるこの世の対立する両極を冷静に見つづける、善と悪のどちらをも自在に操る異端児のようである。彼を演じるダーヴィト・ベネントの適役ぶりと、見事なほどの好演は万人の認めるところであり、彼でなければこの作品は成立していなかったのじゃないかと思うほど魅力的だ。
10点(2001-03-24 23:36:57)
603.  マラソン マン
非日常な事件に遭遇することで、日常の中に潜む現代の不安感を描く。事件に巻き込まれたときに、初めて自分がひとりぼっちであり、孤立無援であるということを思い知らされる主人公。その彼の健康な歯を痛みつける拷問シーンや、殺し屋がピアノ線のようなもので首を締めるシーン、そして鋭利な仕掛ナイフ等々、生理的なスリル感を嫌というほど刺激させられる。出演者の中ではナチス残党で貫禄十分のローレンス・オリビエの無表情な残酷さが不気味だ。
8点(2001-03-24 23:14:05)
604.  スーパーガール
ヘレン・スレーター扮するスーパー・ガールが大自然のパノラマをバックに、気持ちよさそ~に飛んでいるシーンが強く印象に残っている作品。でも、なんかそれだけって感じで、ディテールはおろかストーリーすら思いだせない。内容的にも興行的にも期待外れに終わったことで、続編が出来なかったのも頷ける。
6点(2001-03-20 00:03:25)
605.  1941
「ジョーズ」「未知との遭遇」と快進撃を続けてきた後のスピルバーグの新作は、なんとスラプスティック・コメディときた!しかし期待が大き過ぎたこともあって、なにか肩透かしを喰らったような不出来な印象を受けた作品。彼の無邪気さや天真爛漫さが、悪ノリに過ぎて裏目に出てしまったようである。が、しかしこのオモチャ箱をひっくり返したような映画を唯一救ってくれたのは、今は亡きジョン・ベルーシの強烈な個性と怪演にほかならない。
7点(2001-03-18 23:38:37)
606.  ある日どこかで
ジョン・バリーの音楽と、ヒロインを演じるジェーン・シーモアの美しさに酔いしれ、素晴らしい愛を見せてもらったという感想。ただし結末には納得いかないものがある。
8点(2001-03-18 00:18:17)
607.  ロケッティア
人間が鳥のように空を自由に飛べたら、どんなに素晴らしい事だろう。この映画は、そんな人間の永遠の夢を見事に映像化してくれた、いかにもJ・ジョンストン監督らしい快作となっている。時代色とラブ・ロマンスを上手く絡めて、大爆発する飛行船からのスリリングな脱出のクライマックスまで、冒険心に満ち溢れた魅力あるエンターティンメントである。この年に公開された正月映画として、面白さでは群を抜いていた!
8点(2001-03-18 00:12:24)(良:1票)
608.  サタデー・ナイト・フィーバー
ストーリー云々よりも、音と光の洪水に包まれて、突如、彗星のように現れたJ・トラボルタの強烈な個性とダンスで、当時の若者たちに熱狂的に支持された作品。“フィーバー”というコトバもこの映画から流行った。
7点(2001-03-17 23:50:22)
609.  ラストエンペラー
くすんだトーンの現在と、眩いばかりの極彩色の世界として描かれた過去とをシンクロさせることによって、時代に翻弄されてゆく一人の男の人生を炙り出してゆく。ベルトルッチ監督らしいデカダンスな味わいが薄く、スペクタクル歴史絵巻という印象のほうが濃い。そういう意味では彼らしくない作品であり、むしろ坂本龍一の音楽がモノを言ったような印象を受ける。
8点(2001-03-17 23:34:39)
610.  突破口!
これ見よがしな演出を極力排した燻し銀のようなドン・シーゲル監督の旨みとコク。冒頭の静かな地方の町での銀行シーンから一転して著しい展開でサスペンスを盛り上げていき、ラストまで一気に見せきってしまう。これはまさにB級アクションの傑作だ。
8点(2001-03-17 23:12:06)(良:1票)
611.  ブルーベルベット
絵に描いた如く美しく平和な日常の光景にも、ひと皮めくれば不気味で醜悪で実に不可解な闇の世界が潜んでいる。この作品の全てを暗示しているかのような冒頭シーンから、D・リンチの仕掛けたアブノーマルな陶酔の世界に引きずり込まれてしまう。とりわけ終盤のアパートの一室での、まるで蝋人形館の展示物のように静止したまま息絶えている二人の男のグロテスクな姿といったら、室内が異様なほどに眩いが故に、まるでシュールな絵画を見ているように印象は強烈で、実に衝撃的だ!
9点(2001-03-17 22:51:12)
612.  ロッキー
アメリカのスポーツ・ジャンルの映画って実に巧く創られていて、ほとんどハズレが無いように記憶している。とりわけボクシング物は伝統的に優れた作品が多く、ストーリーそのものよりもエキサイティングなシーン、もうそれだけでドラマとして十分成立する。スタローンはその辺をよく心得ていて、ドラマ作りにはほとんど無理をしていない。あるのはラストへ突き進み、一気にドラマチックに盛り上げるテクニックで、それは実に巧みに計算され尽くしている。
9点(2001-03-16 23:38:39)
613.  エレファント・マン
偏見や差別意識は誰の心の中にもあるし、外見だけで我々は物事を判断してしまう。それはごく身近な生活であっても、人種差別といった様な全世界的問題であっても同様である。だからこそ誰もがある種の痛みや辛さを感じること無く、この作品を観ることは出来ない筈だ。そういう意味では、これは紛れも無く踏絵であり、人間の偏見というものを直視した異色作と言える。
8点(2001-03-16 23:20:15)(良:1票)
614.  イージー・ライダー
ヒッピー、マリファナ、SEX、人種差別といった風俗を描きながら、当時のアメリカを語った原初的で後続の大きな規範ともなった作品で、今尚様々に語り継がれている。主人公たちはかつてのアメリカ的価値観の支軸を失った、言わば糸の切れた凧のような存在である。そこで彼らはもう一度自分の眼でアメリカを再発見する為に放浪の旅に出る。それは所謂、西へ西へとフロンティアを求めて運命を切り開いていった男たちと違って、西から東へと向かうと言うアメリカ内部での先進地に戻ろうとする、求心的な旅なのだ。しかしそのアメリカに自己同一性を求めた彼らの旅も、結局アメリカの歴史そのものに圧殺されるというラストが待ち構えていた。ショット・ガンの一撃でバイクがブッ飛んでいくシーンは、やはり衝撃的で強烈な印象として残っている。当初、音楽をボブ・ディランが担当するという話もあったらしいが、実現していれば随分と肌触りの違った作品になっていただろう。
8点(2001-03-16 14:24:39)(良:1票)
615.  プラトーン
国と国との戦いというよりも、戦争により狂わされた個人と個人とがぶつかり合う、恐ろしさ虚しさ悲しさを強調している視点がユニークな作品。数あるヴェトナム戦争を扱った映画の中では、その描き方は実に通俗的でありアクション映画のようでもある。随分昔に観た作品で、その時は衝撃的を受けたり感動もしたのだろうが、不思議なほど残っているものが少ない。所詮、風化しやすいタイプの作品だったのだろうか・・・。
8点(2001-03-16 01:31:13)
616.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ
この映画は、暗黒街を背景に主人公がのし上がっていくサクセス・ストーリーではないし、彼が一敗地にまみれ一転して敵に報復するという、よくある復讐モノでもない。ただただ長いだけの老い先短い老人の青春回顧映画だと言えば嫌味に過ぎるだろうか。それほどにこの作品は、マカロニ・ウエスタンでならしたセルジオ・レオーネ監督としての資質から考えると、どうしても違和感があるし中途半端な印象しか残ってない。
6点(2001-03-16 01:04:41)
617.  許されざる者(1992)
仲間の一人が殺されたことを知らされるや、それまで断っていた酒をビンごと飲み干すくだりは、この作品の中でも最も凄みの効いたシーンで、そのあと彼は復讐の鬼と化す。若い頃から女子供も平気で殺してきた男だけに、老いて堅気になったとは言えガンマンとしての血は脈々として生き続けている。それがひとつの事をきっかけに、自らをも“許されざる者”として彼本来の姿に変貌させる。これはまさにイーストウッドならではの趣向で成しえた作品と言える。しかしこの作品を語るには、我々はもっと西部劇というジャンルの映画を観る事と、さらに年齢を重ねなければ、本当にこの作品の良さというものは解からないのではないだろうか。夕焼けの平原の大樹のもとに、シルエットでたたずむシーンで始まり、同じ夕焼けのシーンで終わるという、西部劇のもつ美しさと挽歌を表わしていて感動的だ。
9点(2001-03-16 00:40:39)
618.  炎のランナー
陸上競技でオリンピックを目指す若者たちを、これ程までに格調高く思い入れたっぷりに描いた作品は、後にも先にもこの一本だけだろう。今やスタンダード・ナンバーでアカデミー賞を獲ったバンゲリスのテーマ曲が、さらに感動を盛り上げている。
9点(2001-03-15 16:00:34)
619.  暴走機関車
黒澤明脚本によるハリウッドでの映画化だけど、本来予想されるべき映像にダイナミズムがなく凡庸な演出に終始しているのは、やはり監督の責任だろう。出演者が体当たり演技で頑張っているだけに、残念な仕上がりとなってしまった。
6点(2001-03-15 15:47:44)
620.  ザ・ディープ(1977)
「ジョーズ」と同じP・ベンチリーの原作の海洋冒険モノの映画化。確かに水中撮影による海底の美しさなどに見所はあるものの、ストーリーにインパクトがなく、P・イェーツ監督にしては演出が凡庸で、とても「ジョーズ」のような面白さを引き出せていない。テーマが基本的に彼の資質に合わなかったからかも知れないが、ユニークなテーマ曲しか鮮明に印象に残っていない。
6点(2001-03-15 15:38:14)(良:1票)
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