601. ベイブ
こういう作品にこそオスカーを獲ってもらいたいものだとつくづく考えさせられてしまった1作。お子様向けの映画、などと侮っていると返り討ちを食らうハメになる。非常に小気味良いテンポで快調な展開、そしてハリウッド映画お約束の「頑張れ」エール満載の元気が出る映画。だから何なんだと言われればそれまでだが、この映画が必要とされるくらい疲れ切った大人にこそ観てもらいたい。 8点(2003-11-22 23:09:58) |
602. いつか晴れた日に
《ネタバレ》 途中この映画は本当に結末があるのだろうか?という不安が頭をよぎったものの、ヒロインと共に耐えに耐えただけの報いはある。いかにもコスプレ向きのケイト・ウィンスレットを妹役に持って来たのも大正解なら、微妙に悪役顔のアラン・リックマンに求婚者役を与えたのも神業。オスカーを受賞した後での鑑賞となったため、エマ・トンプソンの頭良さげオーラには多少辟易したものの、最終的にはその知性の下にひれ伏すこととなった。それにしても襟の詰まった時代劇の衣装を着ると顔の長さが異常に強調されてしまうせいかヒュー・グラントの登場シーンだけアングルが狂っているように感じられたのは私だけなのであろうか。 8点(2003-11-22 23:07:12)(笑:1票) |
603. ザ・エージェント
観ていて楽しいし突き進む爽快感がある。トム・クルーズの暗い個性が際立つ作品。ほんわか系のレネー・ゼルヴィガーもその息子も存在感たっぷりだし、結局これが代表作になったままのキューバ・グッディングJr.もとりあえずこの時は良かった。頑張った者にはご褒美があるというメルヘンチックな展開ではあるが、それを真っ向から謳っている以上このストーリーに文句をつける者はいないであろう。 ただし邦題の「ザ・エージェント」は「ズィ・エージェント」であるべきである。 7点(2003-11-22 23:02:21) |
604. シャイン
公開当時の紹介記事などで「自閉症のピアニスト」と紹介されてしまったために、観ている最中も「こんなの自閉症でも何でもないじゃん」という不満がつのってしまい、もう一つ乗れなくなってしまった。そのことを差し引いて考えても、特に泣かせどころがあるわけでもなく全体に盛り上がりに欠け、主人公がものすごくピアノが上手い、ということのほかに伝えたいものがあるようには見えなかった。だから何?的なトホホ感だけが脳裏にインプットされてしまい、以後二度と観たいと思うことがなかった。非常に評判の良い作品らしいが、どうも私の体質には合っていなかったようだ。残念である。 5点(2003-11-22 22:59:10) |
605. 恋愛小説家
退屈しました。ジャック・ニコルソンの名演技なんて過去にも他に捨てるほどあったのに、なんでこの映画でオスカー受賞しなきゃならないの?と叫んでしまった。ヘレン・ハントは女優として華がない、噛んでも噛んでも味のしないパサパサした麦わらみたいだし、誰にとってどういう風におもしろいのか理解に苦しむ作品でした。でも非常に良かったと言ってる友達も多いので、よっぽど私の機嫌でも悪かったんでしょう。イヌは可愛くないし。何を観ろと言うのだ。 4点(2003-11-22 20:35:01)(笑:3票) (良:1票) |
606. L.A.コンフィデンシャル
ごめんなさい。登場人物がみんな似たようなスーツで登場し、名前もバドとかバズとかエドとか似たような名前ばっかりだったので、キム・ベイシンガーとそれ以外、という区別しかつきませんでした。よって途中で寝てしまい、気がついたら事件が解決していました。筋金入りのハードボイルドファンの私を眠らせたスゴい作品として、逆の意味では評価できます。でも熱狂している人が多いので、たぶん優れた作品なんだと思います。 3点(2003-11-22 20:31:34) |
607. プライベート・ライアン
《ネタバレ》 戦争がいかにムダか、という実にまっとうな意見を教科書通りに伝えた映画が多い中、あえてこういうストーリーで勝負して来たところは評価大。単に「お母さんが可哀相だから」という理由で兄弟中唯一生き残っているライアン二等兵を救うため、何人もの兵士が犬死にして行く。この不条理さはそのまま戦争の無意味さにつながって行くのだが、どう考えても「迫力の戦闘シーン」を前面に押し出しているこの映画が本当に戦争反対を謳っているの?という疑問は残る。ただし戦闘シーンにはたしかに一見の価値はあると思う。これも時代と共に古びて行く宿命なのだろうが。 6点(2003-11-22 20:28:45) |
608. ライフ・イズ・ビューティフル
人類史上屈指の過ちをファンタジーにしてはいけない。 0点(2003-11-22 20:23:45)(良:3票) |
609. シン・レッド・ライン
こういうのを傑作と言うんでしょうね。美しくて美しくて美しくて美しい。最初から最後まで徹頭徹尾キレ続けているニック・ノルティだけがあんまり美しくないですが、まあ薬味も必要だということで。私はこの映画、劇場で4回観たのですが、最後の1回は確信犯的に寝に行きました。大きなスクリーンでこの映画を上映している中でうたた寝してみたかったので。実にいい気分でしたよ。良い映画って寝てても良く寝られる。 10点(2003-11-22 20:21:20) |
610. エリザベス
まったく新しい時代劇!というフレコミだったのでどんなにスゴいものを見せてもらえるんだろうとワクワクしすぎてしまったらしくコケました。普通の時代劇です、と宣伝してもらっていたらもっと良い点がつけられたかも知れないのに。でも普通の時代劇としては極めて良く出来ていたということは言えます。別に飽きるということもなく、ちゃんと最後まで楽しく観られましたが、何度でも言いますがこれのいったいどこがどう新しかったんでしょうか?順番的に「恋に落ちたシェイクスピア」の方を先に観ていたので、ジョセフ・ファインズがどこを切っても同じ顔の金太郎飴に見えてしまって興ざめでした。そういうウリなんだと言われればそれまでですが、非常に魅力的な役者さんだけにもうちょっと違う展開も考えてもらいたいと思います。 5点(2003-11-22 20:18:41) |
611. アメリカン・ビューティー
《ネタバレ》 家族として機能していない家族、これは現代のアメリカが抱える最大のテーマなんだろうと思います。なんだかヤケに元気な奥さんと、魂を抜かれたサエない中年男、全ての迷える中年男性にとってレスター・バーナムこそ等身大のヒーローなのでしょう。ケビン・スペイシーはソーラ・バーチやウェス・ベントレーのみずみずしい存在感に圧倒され気味で、「なんだ、この程度だっけ?」と観ている時にはちょっと落胆したんだけど、よくよく考えてみたらこれこそレスター・バーナムという男だったわけで、そういう意味でケビン・スペイシーって本当に上手い、わきまえた役者なんだなあと納得。若手を食ってしまうこともやろうと思えば出来ただろうけど、レスターという男はそういう男じゃないんですよね。私自身は、冴えない中年のアメリカ人男性だったことは今まで一度もないんですけど、彼の痛さはとってもよくわかる気がした。映画は時代を映す鏡だ、という言葉があるけど、この映画はたった3人の非常にミニマムな世界を通して、少なくともこの映画が作られた時点でのアメリカという国を徹底的に描き切っていると思う。国際紛争でも政治でもなく、ホームドラマという形でこういうことも描けるんだということを伝えてくれたという意味でも、評価したい作品だと思います。 9点(2003-11-22 20:13:22)(良:1票) |
612. サイダーハウス・ルール
《ネタバレ》 ジョン・アーヴィング節炸裂!のウィーンでクマな映画なのかと思ったら、実にこなれた良い話でした。要するに必要悪としての堕胎をテーマにした話なんだけど、もしかして堕胎されていたかも知れない孤児がいかにして堕胎を必要悪と認めて行くか、その過程をわりと淡々と、押しつけがましくなく素直に描いていて好感が持てますね。娘を妊娠させていて恥じない、ミスター無教養代表みたいなデルロイ・リンドーが非常にインパクトありました。あくまでも無表情に、目の前で起きている出来事を受け止めている主人公のトビー・マグワイヤも実に上手な役者さんだと思います。アヘン中毒の聖人、物語のカギとなっているミスター必要悪代表のマイケル・ケインといい、上手い役者をこれだけ集めて、暑苦しくも、居丈高でもなく強いメッセージをきちんと伝えた、こういう作品がもっと出て来てくれると面白いですね。こなれた映画、この一言に尽きます。 9点(2003-11-22 20:04:05)(良:1票) |
613. グリーンマイル
《ネタバレ》 特に何度も観たいとは思わないし、観たことを後悔するシーンの方が多いんだけど、全体的に合格点という感じの無難な映画ではありました。そのワリには長いと思うけど。やたらに放尿シーンが多いのにあの長さなので滅多にないほど尿意を催す映画であると感じました。つまんないからやめておけ、とも思わないし、実際テレビでやっていた時にはついつい最後まで観てしまったくらいだから普通におもしろいんでしょう。わざわざレンタルしてまでリピートしたいと思わないのは、やっぱりちょっと長いんでしょう。そういう意味では、毒にもクスリにもならない映画だと思うけど、やっぱりミスター・ジングルスは可愛いと思います。 7点(2003-11-22 19:56:41) |
614. インサイダー
《ネタバレ》 これは長いです。長すぎると思う。題材も良く出演陣は奮闘し、カメラワークは美しくどの場面もキチンと絵になっている。シナリオにも大きな欠点はないと思うが、いかんせん長いので減点。アル・パチーノはこの映画を自分にとっての「大統領の陰謀」にしたかったように感じました。あっという間に正義の味方に変身して行ったポール・ニューマンやロバート・レッドフォードを尻目に、なんかいつまでもアウトローのままでしたからね。でも彼にはもう一生アウトローでいてもらっても良かったような気もします。やっぱり幾つになっても彼はソニーのままなんだなあ。ラッセル・クロウは頑張ったと思うけど、どうしてもこの役が彼でなければいけなかったという必然性は感じられない。ラストシーンにはたまらない美しさがある。あれはズルイ。 6点(2003-11-22 19:52:18) |
615. シックス・センス
《ネタバレ》 マジメにまっとうにホラーを作っている感じがして、あの有名なオチとは無関係にちゃんと楽しめる作品だと思います。私は観る前にこの映画のオチを当ててしまったんですが、ちゃんと最後まで楽しく観られましたから。何度かテレビ等でもリピートしてますが、その都度最後まで観られますし、オチ依存型の作品だったら2回目以降はちょっと観てられないでしょう。ハーレイ・ジョエル・オスメントはやっぱり上手いと思いますが、特筆すべきは母親役を演じたトニ・コレット。彼女はものすごくいい味を出していましたね。ブルース・ウィリスはまあ、いつも通りのどこを切ってもブルース・ウィリスなんですけど、この役はけっこうハマッていたし彼でなくても良かったような気もするが彼だからダメだったということはない。傑作というほどではないと思うけど、十分良く出来た楽しめる作品だと思います。 7点(2003-11-22 19:46:50) |
616. スナッチ
《ネタバレ》 「ロック・ストック&トゥー・スモーキングバレルズ」で見せてくれたあの複雑怪奇なパズル感が、ブラッド・ピットの乱入でブチ壊しか?と危ぶんだけど、さすがの一言に尽きました。アメリカ訛りのブラピに敢えてイギリス訛りの特訓をさせるのではなく、パイキーのワケわかんない語で喋らせちゃったセンスも天才的。ポットカバーをかぶったまま、あちこちで転がされているベニチオ・デル・トロの存在感といい、ガイ・リッチーと愉快な仲間+ハリウッド大物スターのごった煮にごちそう様と言いたいところ。あの可愛くないイヌの妙な可愛さといい、実に爽快な1作です。ところで・・・始まりと終わりでダイヤが微妙に目減りしていたのは何故? 9点(2003-11-22 19:40:54)(良:1票) |
617. U-571
《ネタバレ》 潜水艦とその乗組員もさることながら、沈みかけていたマシュー・マコノヒーも救ってしまった点を激しく評価したい。緊迫感もちゃんとあるし、観ていて飽きなかったので私は好き。暑苦しいマシュー・マコノヒーが単なるやる気溢れるお坊ちゃまから頼れるリーダーの表情に成長して行く姿は育てゲー系ストーリー大好きな自分としては非常に満足できるものでした。まあ全体としてお約束な感じは否定しませんが、こういうのもたまにはいいんじゃないでしょうか。面白かったです。 6点(2003-11-22 18:04:38) |
618. 処刑人
《ネタバレ》 わりと観た映画のことを忘れやすい私ですが、この映画のことは生涯忘れないでしょう。映画としての出来は、正直ダメダメだと思います。ストーリーはいい加減だし、終わり方は唐突だし、ロッコの死なんかオイオイ本当にそれでいいの?って感じだし、各キャラクターの描かれ方の配分とストーリーに占める重要度がイマイチ合ってない感じがする。そういうムチャクチャさを含めて、「すげー!」と思わせてくれるのはやっぱり手腕なんだと思うし、仮に単なる計算違いというか素人の仕事なんだとしても、この当たり度はセオリー通りにキチンとやろうとしてる人にはなかなか出せないものですよね。ウィレム・デフォーは一人で勝手に楽しんじゃっているし、これでいいのかと言われたら答えはノーなんだけどとにかくこれは好き。続編が作られるっていう噂を聞いたけどヘタに欲を出しちゃったらこういう映画はたぶんダメでしょうね。大手製作会社がシルベスター・スタローンとブラピで作ろうとしたって聞いたけど、これ本当にウィレム・デフォー無しで成立できたんだろうか。 10点(2003-11-22 17:58:45)(良:1票) |
619. パーフェクト ストーム
「正しい映画の作り方」みたいな教科書があるとしたら、この映画は決して良く出来ているとは思えないんだけど、主役を人間ではなく最大の見せ場で登場する大波であると捉えればちゃんと楽しめる作品ではある。どう考えても頼り甲斐なさげなジョージ・クルーニー率いるマグロ漁船が、記録的な大嵐に揉まれたらどうなるか、そのあたりにヒューマニズムを見出したい人にはとてつもない不満が残るだろう。前半1時間はあってもなくてもいいようなお約束のシチュエーション説明、でも大波にはかつてスクリーンで見たことのない迫力がちゃんとあったので、それなりの満足感が味わえた。このシーンを観るためだけに辛い前半を耐えて来たのね、と素直に喜べるぐらいのスケール感はある。だからと言って良い映画なのかと言われたら絶対違うしダメダメなんだけど。いい加減な気持ちで観るには決して悪くない映画だと思った。 7点(2003-11-22 17:50:20) |
620. A.I.
セオリーから何から、もう全然ダメダメなんだけど、ジュード・ロウのジゴロ・ジョーに敬意を表して6点。ハーレイ・ジョエル・オスメントの卑屈な個性は観る人を辛い気持ちにさせるが、役柄にはちゃんとマッチしていたので良い。普通に訴えるものはあるんだけど、訴えているものが普通すぎて特に新しい驚きはない。ただひたすら、ジゴロ・ジョーが素晴らしい、それだけ。 6点(2003-11-22 17:46:06) |