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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1922
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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721.  マッド・ダディ 《ネタバレ》 
ある日突然、何の脈絡もなく親たちが狂い始めた!愛しているはずの息子、かけがえのない存在であるはずの娘たちに狂気の刃を向け始める!金属バットやナイフ、ハンマーや電気ノコギリを手にしたパパやママが、学校やマイホームで自分の子供たちを躊躇なく殺し始めたのだった!理由なんてどうでもいい!!追い詰められた子供たちは無事にこの地獄のような世界を生き延びることが出来るのか?というだけのお話(笑)。毎度おなじみニコラス・ケイジ主演のもう明らかにB級感バリバリのそんな本作、さして期待せずに観始めたのですが、これが意外や意外、なかなか面白いじゃないですか!もう完全にアウトなお話なのですが、この最後までイッちゃってるところがもはや完全に振り切れてて逆に笑けてきちゃうところがナイス。学校に押し寄せた親たちが次々に自分の子供を襲撃する冒頭のシーンから摑みはばっちりで、妙に能天気な音楽やブレブレの軽妙なカメラワークもこの物語のとち狂った感じに拍車を掛けています。妊婦が赤ん坊を産み落とした瞬間、急に豹変するとこなんかめっちゃ怖かったですし。そして何と言ってもニコラス・ケイジ!!彼が演じる父親のもうお家芸とも言えるキレキレ演技が凄いです。彼が自分の家で妻とともに二人の子供を追いかけまわすとこなんてもはや完全にイカレてるとしか思えません。そしてやってくる爺ちゃん婆ちゃんとの三世代にわたる血みどろの家族殺し合い……。いやー、あまりにもぶっ飛びすぎててもう笑うしかなかったですわ。何気に一番いい人だった娘の彼氏が一番悲惨だったかも。なにせワイヤーを頬に貫通させられるんですから。最後の何もかも放り投げっぱなしの酷いオチなんて、あまりにもテキトー過ぎて逆に清々しくさえありました(笑)。いやー、かなりの怪作ですけどけっこう面白かったです!7点!
[DVD(字幕)] 7点(2019-05-03 02:54:49)(良:1票)
722.  きみへの距離、1万キロ 《ネタバレ》 
運命の女性をどうやって見分ければいいんですか――。デトロイトの石油卸会社で働くゴードンの仕事はちょっと変わっている。地球の裏側、北アフリカにある石油精製施設。その回りに配置された、直径三十センチ程度の小さなクモ型ロボットをリモコン操作し、施設の異常や石油泥棒を監視・発見するというものだった。今日も彼は高性能カメラやマイク、果ては攻撃用武器まで備えたそのハイテク・ロボットを机に座りながら操作し、地球の裏側での退屈な仕事に従事していた。だが、その夜はいつもと違っていた。物憂げな表情で砂漠に座り込む若く美しい女性に、彼は目を奪われてしまう。数日前に酷いふられ方をしたばかりでまだ失恋の傷が癒えていなかったゴードン。ほどなくして現れる娘の彼氏との会話を盗み聞きしてしまった彼は、娘の両親が一回りも歳の離れた男との縁談を無理やり推し進めようとしていることを知るのだった。「この二人には絶対に幸せになってほしい!」。彼女に〝ジュリエット〟と名前を付け、ロボット越しにできうる限りの援助を申し出るゴードンだったが、やがて悲劇が起こってしまう…。一万キロも離れた地球の裏側で、ロボットとして出逢ってしまった美しい女性との運命の恋を描くピュア・ラブストーリー。そんな古典的とも言えるオーソドックスな恋物語なのですが、その媒介となるのが地上型ドローンとも呼ぶべきハイテク・ロボットなのが凄く現代的で、この絶妙のハイブリッドがとても新鮮でした。何よりガチャガチャいわせながら地上を這うこの六本脚のロボットがとてもキュート!こいつが好きな女の子を助けるために地上をせっせと駆けずり回るとこなんて最高に可愛かったです。いやー、この監督、センスいいですね~。ストーリーの方はだいぶ男性よりの内容で賛否分かれるだろうけど、僕はばっちり嵌まりました。確かにこの主人公のやってることは完全に盗撮でストーカーですけど、古今東西の純愛物語なんて端から見れば大なり小なりみんなそんなもんですからね。最後、親に閉じ込められて人生真っ暗闇になりそうだった彼女を、職を賭して助け出そうとしたゴードンには感情移入しまくり!ラストの〝運命の再会〟はやり過ぎな感もあるけど、現代の寓話としてこれはこれで良かったかな。この後、再会を果たした二人にはめいっぱい幸せになってほしいなぁ(恐らく高確率で無理だろうけど?笑)。監督のセンスがきらきらと輝く、珠玉のラブストーリーでありました。
[DVD(字幕)] 9点(2019-05-02 21:55:59)
723.  スノーマン 雪闇の殺人鬼 《ネタバレ》 
深い雪に覆われた北欧の国、ノルウェー。大都市オスロでは、子持ちの女性ばかりを狙った連続殺人が多発していた。残忍な手法で殺された被害者のそばにはいずれも小さな雪だるまが置かれていたのだった――。酒で身を持ち崩しクビ寸前の刑事ハリーは、配属されたばかりの新人刑事カトリーネとともに調査に乗り出す。だが、ほとんど手掛かりなど残さない巧妙な手口の犯人は、まるで彼を嘲笑うかのように第二第三の犯行を繰り返し、あろうことかハリーに犯行声明ともとれる手紙を送ってよこすのだった。地道な調査の結果、9年前のある富豪夫人の失踪事件と何らかの関連があることまで突き止めたハリーは現地調査に乗り出すのだが、犯人の魔の手は彼の別れた元妻と一人息子へも向かい始める…。連続殺人鬼〝スノーマン〟の本当の正体とは?9年前の事件と何らかの関りがありそうなカトリーネの真の目的とは?そして、ハリーは無事に犯人を捕まえ家族を守ることが出来るのか?雪深い大都市オスロを舞台に、雪だるまをモチーフにした猟奇殺人鬼の正体を巡るミステリー・サスペンス。主演を務めるのは実力派俳優マイケル・ファスベンダー、他にもレベッカ・ファーガソンやJ・K・シモンズ、懐かしのヴァル・キルマーといったバラエティ豊かな面々が脇を固めております。監督は僕とはあまり相性の良くないトーマス・アルフレッドソン。なので豪華なキャストの割にはあまり期待せずに今回鑑賞してみました。前二作と比べるとまだ幾分かは見やすくなったとは言え、やはり今回も合わなかったですね、これ。白が映える美しい映像や雪国特有の乾いた空気感などはとても良かったのですが、問題は肝心のミステリー部分。観終わって大まかなストーリーはだいたい理解できたものの、細かい部分に幾つもの「?」が。要するに、腑に落ちないのです。どうして犯人は主人公に雪だるま入りの手紙を送る必要があったのか?あの犯行との関連を匂わせる変態大富豪や産科医など恐らくミスリードを狙ったんだろうけど、その後どうなったのかほったらかしなのでモヤモヤするし。主人公の相棒となる女性刑事の最期なんて呆気なさ過ぎて、「え、結局なんだったの?」と拍子抜け。そもそも何故に雪だるま?こういった細かい部分が最後までいちいち腑に落ちない。こんなことを言うと身も蓋もないのですが、同じ内容・キャストでデビッド・フィンチャーあたりが監督したら、すごく面白くなりそうという感想を持ってしまいました(笑)。題材や雰囲気、キャストなどは凄く良かっただけに勿体ない。
[DVD(字幕)] 5点(2019-05-01 21:58:38)
724.  ブラッド・インフェルノ 《ネタバレ》 
『悪魔のいけにえ』の劣悪なイミテーション、というかもろパクリ映画。演出も映像も演技も何もかもが素人レベル。観るだけ時間の無駄のクソ映画!!
[DVD(字幕)] 2点(2019-04-29 22:53:34)
725.  ロープ 戦場の生命線 《ネタバレ》 
1995年、停戦直後のボスニア。まだ紛争の傷跡が生々しく残るこの地で「国境なき水と衛生監視団」の一員として活動しているマンブルゥは、ある困難な事態に直面していた。小さな村の唯一の水源である井戸に誰かが人間の死体を投げ入れたのだ。かなり腐乱したその死体はこのままでは井戸の水を腐らせ、村の生活を立ちいかなくさせるのは明白だった。車とロープでひとまず死体を引き上げようとするマンブルゥだったが、かなり大柄なその死体は重く、引き上げる直前にロープが切れてしまう。再び井戸の底へと落ちてしまう死体。あいにく予備のロープは持ち合わせていない。彼は仕方なく仲間とともにロープを求めて車を走らせるのだが、様々な事情が重なり一向に手に入れることが出来ない。そんな彼の道中に、サッカーボールを探してくれるならロープの場所を教えるという子供や国連職員でマンブルゥの元カノが加わり、事態はさらに複雑に。果たして彼は無事にロープを手に入れ、井戸から死体を引き上げることが出来るのか?危険な紛争地域で住民の水を守る活動を続けているNGO職員たちのそんなとある一日を描いたヒューマン・ドラマ。町の水道屋さんならぬ、〝戦場の水道屋さん〟の悪戦苦闘を描いた本作、水を巡る物語なのに映像もストーリーも全体の空気感も何処までもドライで乾いているのがいいですね~。紛争地の実態を描いているのですが、極端な残酷描写も派手な戦闘シーンもなく、あくまでも地味でリアル。でも、全体的に乾いたユーモアがあり、ストーリーテリングの手際よさもあって、最後まで惹き込まれて観ることが出来ました。一本のロープを手に入れるというだけのお話なのに、ここまで面白く描けるのは才能だと思います。登場人物もみな個性豊か。経験も長く機転も利くのに女には弱い主人公を演じたベニチオ・デル・トロ、長年の過酷な生活からかどこかイカレてしまったティム・ロビンス、こんな時なのに元彼への不平不満が止まらないオルガ・キュリレンコなど、誰もがいい味出しています。最後、ようやくロープを手に入れ死体を引き上げようとした瞬間に訪れる理不尽な展開などは、戦場の不条理を見事に突いている。ラストに振りだす大雨はどことなく希望を感じさせて(主人公たちにとっては悲劇だけど!笑)、爽快感抜群。同じようにボスニア紛争を描いた『ノーマンズ・ランド』を髣髴とさせる、戦争ドラマの秀作でありました。
[DVD(字幕)] 8点(2019-04-29 02:11:36)
726.  ブッシュウィック 武装都市 《ネタバレ》 
ニューヨーク州、ブッシュウィック。長年この街で暮らしてきたルーシーは、今日初めて彼氏を連れて実家へと里帰りすることに。ところが二人で地下鉄を降り駅の改札を抜けたところで彼女は得体の知れない違和感に気付く。「え、どうして誰も居ないの」――。すると、急に大声を上げながら火だるまになった男が階段を駆け下りてくるのだった。急いで階段を駆け上がると、そこには予想もしない光景が拡がっていた。街のいたるところから聞こえてくる激しい銃声、もうもうと立ち上る黒煙、自動小銃を持ち街を駆け回る黒ずくめの兵士たち…。そう、街は一瞬にして戦場と化していたのだ!爆発へと巻き込まれ呆気なく死んでしまった彼氏を残し、ルーシーは偶然知り合った元海兵隊員の男とともに街からの脱出を図るのだったが…。突如として危険な戦場へと変貌を遂げた街を駆け抜ける平凡な女の子の姿を描いたサバイバル・アクション。長回しを多用して描かれるこの戦場描写はなかなか迫力があり、ワンアイデアながら冒頭部はけっこう惹き込まれて観ることが出来ました。街のいたるところで繰り広げられる兵士たちの残虐行為はとてもリアルで、本当の戦場もきっとこうなんだろうなと思わせる説得力がある。ただ、本作の見るべき部分はそこぐらいまで。全体の三分の一を過ぎたあたりから、ずっと同じような画ばかりが繰り返されるので次第に飽きてきちゃうんですよね。これでストーリーの方にあっと驚くような展開があればきっと面白くなったんだろうけど、そちらはまぁ見事なまでに薄っぺらい。あの武装蜂起を促すお婆ちゃんや絶望のあまり自ら死を選ぶ神父さんなども話を引き延ばすために無理やり登場させた感が半端なく、一向にストーリーに絡んできません。911や人種差別問題の扱い方も非常に中途半端。ラスト、話を無理やり終わらせようとしただろう唐突なバッドエンドなんて、胸糞悪いだけで目も当てられません。二、三十分近いワンカット撮影などはなかなか良かっただけにもうちょっと内容を練ってほしかった。残念!
[DVD(字幕)] 4点(2019-04-28 23:44:58)
727.  ウインド・リバー 《ネタバレ》 
アメリカ北部の寂れた荒野に拡がる先住民保留地、通称ウィンド・リバー。雪と静寂しかないようなこの辺鄙な地で長年ハンターとして生計を立てているコリーはある日、人里離れた山奥で半ば雪に埋もれかけていた若い女性の遺体を発見する。昨日の酷い吹雪の中、彼女はかなりの薄着でしかも靴も履かずに長い距離を歩いてきたらしく全身に重度の凍傷を負っていた。被害者の名は、ナタリー。偶然にも彼女はコリーの知り合いの先住民夫婦の子供だった。検死の結果、死因は肺出血と判明する。極度の冷気によって肺の細胞が破壊され、その出血により窒息死したというものだった。しかも亡くなる直前に彼女は複数の男たちによって暴行を受けていた。事件解決のために派遣された若きFBI捜査官ジェーンとともに調査に乗り出したコリーだったが、貧困と犯罪が蔓延するこの地で捜査は難航を極める。そして、コリーもまた二年前に起こったある事件によって心に深い傷を負っていたのだった…。雪深い田舎町で起こった若い女性の凄惨な凍死事件、本作はその捜査の過程で炙りだされるアメリカ社会の暗部を冷徹に見つめた社会派ミステリー・ドラマだ。主役である、心に静かな怒りと悲しみを抱え込んだハンター役を演じるのは人気俳優ジェレミー・レナ―。メガホンを執るのは、本作が監督デビュー作となる『ボーダーライン』の脚本を書いたテイラー・シェリダン。美しい雪景色の中で描かれる、この重厚で閉塞感に満ちた雰囲気と丁寧な演出力は見応え充分だった。ネイティブ・アメリカンや中央から取り残された地方社会といったアメリカの構造的な差別や貧困問題を背景とした脚本もよく練られており、その最底辺で常に犠牲となるのはより弱い立場の人々であるというメッセージも心を打たずにはいられない。このやり切れない物語の中で、主人公であるコリーの最後に取った行動は、法律の垣根を越えた人間性の発露として唯一の救いとなっている。とても重い物語ではあるが、充分見る価値のある社会派ドラマの秀作であった。
[DVD(字幕)] 8点(2019-04-21 02:35:14)
728.  告白小説、その結末 《ネタバレ》 
世界的なベストセラー作家にして二児の母でもあるデルフィーヌ。多くのファンを持つ彼女だったが、その私生活はとても順風満帆とは言い難いものだった。独立した二人の子供たちとは疎遠になり、テレビ司会者として名を馳せる夫とも現在別居中、新作小説も深刻なスランプからまだ一行も書き出せない状態が何日も続いていた。独り暮らしをしているアパートに届くのは、差出人不明の脅迫状ばかり…。八方塞がりのそんなある日、デルフィーヌは〝エル(彼女)〟と名乗る謎めいた美しい女性と出会う。長年のファンで自分も文筆業だという彼女と意気投合したデルフィーヌは、次第に彼女に心を開き始めるのだった。行くところがないという彼女を自宅へと招き入れ、ともに暮らしはじめるようになるデルフィーヌ。すると、エルは少しずつデルフィーヌの私生活に干渉しはじめ、新作小説の内容に口を出すばかりか、仕事や友人との交友関係までもコントロールするようになり…。孤独な女流作家と謎めいた美しい女性との危うげな関係をミステリアスに描き出す心理サスペンス。名匠ロマン・ポランスキーの円熟の才が随所に感じられる本作、確かに安定感は抜群でした。謎が謎を呼ぶモダンで怪しげな雰囲気はいかにも彼らしく、しっとりした美しい映像と音楽も観客の不安感を煽るのに成功しています。主役であるデルフィーヌを演じたエマニュエル・セリエのいかにもくたびれた女性作家然とした佇まいももちろん良かったのですが、エル役を演じたエヴァ・グリーンの美しさは特筆に値します。サディズム・マゾヒズムを髣髴とさせるこの二人のいびつな関係性はどことなく淫靡で凄く良かったです。ただ、肝心のストーリーの方は正直どうなんでしょう。はっきり言ってしまうと本作はいわゆる〇〇オチのお話なのですが、物語の中盤くらいにはそのことがほぼ分かってしまうのです。きっと意図してそういう演出がなされていると思うのですが、その趣旨がいまいち分かりづらい。女性作家の母親を巡る過去のトラウマとの決別、フィクションと現実との境界線を巡る創造者の葛藤、エルの本当の正体を巡るサイコ・サスペンス…、最後までその焦点がぼやけてしまっているような印象を僕は持ってしまいました。全編を覆うミステリアスな雰囲気は良かっただけに、惜しい。
[DVD(字幕)] 6点(2019-04-20 15:21:44)
729.  ホース・ソルジャー 《ネタバレ》 
アメリカ社会を大混乱へと陥れた911同時多発テロ。本作は、その直後、アフガニスタンで秘密裡に行われたアルカイダ掃討作戦を事実を基にして描いた戦争アクションドラマだ。アフガニスタンの荒れ果てた大地へと降り立った12人のアメリカ軍特殊部隊の精鋭たちは、アルカイダと敵対する現地の軍閥たちの協力を得ながらアフガン中枢部を目指すのだが、そこは長年内戦を繰り返していた国。ほとんど未舗装の大地は戦車や車で進むにはかなりの困難を伴うものだった。仕方なく、彼らは軍閥から支給された馬たちを乗りこなし、アルカイダとの闘争を開始するのだが…。これまで幾度となく作られてきた、対テロ戦争を一方的な視点でのみ描いたいわゆるアメリカ礼賛のエンタメ映画なのですが、正直その中でもレベルの低い部類に入る作品でしたね、これ。事実を基にした映画のダメな部分ばかりがてんこ盛り。実際に起こった出来事を時系列順に並べただけなのでストーリーになんの起伏もなく、ただただ敵に出会って戦って勝って進んでまた敵に出会って…を繰り返すばかり。登場人物も類型的でそれぞれの描き分けもうまく出来ておらず、誰も彼も全くキャラ立ちしていません。クライマックス、一度は主人公たちと決別した軍閥の長が友情のために助けに駆けつけてくるという一番の見せ場も監督の演出力の無さなのか、全く盛り上がりに繋がっていない。たとえ事実を基にしていても優れた脚本なら、時系列を意図的にバラバラにしてみたり、アメリカに残された家族のドラマを同時並行的に描くなどの工夫を凝らすことで観客の感情を高ぶらせるものです。対して本作、新しい部分と言えば主人公たちがこの現代において馬を駆って戦うというくらいのもの。それも物語上、巧く機能しているとはとても言いがたい。人間と馬との種族を超えた友情などをメインに描いていたらまだ見れたものになっていたかもですが、それもあとのまつり。キャストもそれなりに豪華だし、お金がかかっているだろう戦闘描写もなかなかリアルだが、はっきり言ってそれくらいしか見るべき部分のない残念な出来の作品だった。
[DVD(字幕)] 4点(2019-04-20 02:10:38)
730.  アントマン&ワスプ 《ネタバレ》 
アントマンなのに、でっかくなりすぎ!!もっとミクロの戦いが見たかったっす!!
[DVD(字幕)] 4点(2019-04-11 16:46:24)
731.  ビューティフル・デイ 《ネタバレ》 
認知症を患う母親の介護をしながら殺し屋として孤高に生きる男と、彼に助けられることになる少女売春組織の犠牲者である孤独な少女。深い絶望の中に生きてきた二人が偶然出会い、いつしか希望を取り戻していく特別な〝美しい一日〟をスタイリッシュな映像と音楽、独自の世界観の中に刻み付けるアーティスティックな作品。うーん、確かに極めて暴力的な世界を描きながらもこの洗練されたストイックで静謐な空気感は凄いとは思うのですが、個人的に合わない作品でしたね、これ。なんだか同じく苦手なニコラス・ウィンディング・レフン監督作を思い起こしてしまいました。殺された母親を湖の中に埋葬する美しいシーンや主演二人の凄みのある演技など、印象に残るところも多かったのですが、こればかりは好みの問題なので如何ともしがたい。
[DVD(字幕)] 5点(2019-04-10 18:08:51)
732.  ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷 《ネタバレ》 
使いやすい自動小銃で人気を博し、一代で財を成したウィンチェスター社。だが、創業者であるウィリアム・ウィンチェスターは莫大な財産と51%の株を遺し、この世を去ってしまう。そればかりか一人娘であるアニーも亡くなり、遺産を相続したのは夫人であるサラ・ウィンチェスターのみだった。深い絶望の中で、夫人は怪しげな霊媒師に縋りつき、サンノゼに広大な屋敷を購入することに。以来彼女はその霊媒師に言われるがまま、この館を増築し続けるのだった。最初は8部屋から出発した館も20年経った今では7階建ての巨大建造物、まさに迷路としか言いようのない不気味な幽霊屋敷へと変貌を遂げ、夫人はその増改築を繰り返す館の中で孤独に暮らし続けている――。サンフランシスコで落ちぶれた精神科医として暮らしていたプライス医師の元に、そんな夫人の精神鑑定をしてくれという依頼が舞い込んだのもそんなころだった。トラブルを恐れた重役会が夫人から経営権を取り戻したいという本音が透けて見えるその依頼を受け、プライス医師はその巨大な迷路のような屋敷へと訪れるのだったが…。アメリカに実在する有名な幽霊屋敷を舞台にそんな悪夢のような恐怖を描いたゴシック・ホラー。スタイリッシュな映像と独自の世界観で最近めきめきと頭角を現しているスピエリッグ兄弟の新作ということで今回鑑賞してみました。細部にまで拘ったであろう重厚で美しい映像は相変わらず見応え抜群。このイカレタ?老婦人の頭の中を再現するために、ひたすら増改築を繰り返してきた幽霊屋敷という舞台の不気味さを余すことなく伝えられていたと思います。夜中であろうとお構いなしに聞こえてくるトンカチやのこぎりの音、何処に繋がっているのか分からない無数のドア、ひたすら同じところをぐるぐると廻らされる階段、夜中の12時に決まって鳴らされる鐘の音…、いやーこんな屋敷になんか死んでも泊まりたくない(笑)。ただ、それに対して肝心のストーリーの方は正直「?」でした。それぞれに闇を抱えた登場人物への掘り下げが巧く機能しておらず、クライマックスへの盛り上がりに繋がっていません。特に主人公の過去のトラウマである死んだ恋人のエピソードなど、果たして意味があったのかどうか。ヘレン・ミレン演じる夫人ももっとぶっ壊れた不気味なキャラでもよかったような気がします。映像や世界観は良かっただけに、惜しい。
[DVD(字幕)] 5点(2019-04-08 23:48:13)
733.  ワンダー 君は太陽 《ネタバレ》 
プルマン家の長男、オギーことオーガスト君は何処にでもいるような普通の男の子。大好きなアイスを食べながら自転車で公園に遊びに出かけたり、パパと一緒に『スターウォーズ』を観てライトセーバーで戦ったりするのがお気に入り。将来の夢は、立派な宇宙飛行士になること。でも…、オギーには普通の子とは違うところが一つだけ。それは、神様のちょっとした手違いによって生まれ方が少し特殊だったんだ。生まれてすぐ彼は27回も手術をして、おかげで呼吸が楽になり目や耳も良くなったけれど、見た目だけは普通になれなかった。公園で他の子に逃げられたり、何処に行ってもジロジロ見られたり…、オギーはいわゆるそんな男の子だ。見た目を理由にそれまで自宅学習を続けていたオギーだったけれど、今年5年生になるのを機に、彼の両親は一大決心をする。それは、普通の学校に通わせることだった。大きな不安を抱えながら入学初日を迎えたオギーが見たのは、今まで感じたことのない世界だった――。見た目が〝ちょっと〟人とは違う男の子オギーと、その家族や友人たちの何気ないけれどかけがえのない日々を穏やかな視線で見つめた青春物語。前作でも思ったことだけど、この監督の手にかかると何気ない日常もきらきらと光り輝くような世界へと見事なまでに生まれ変わるんですよね。登場人物もみな等身大で誰一人として(主人公であるオギーも含め)特別な人も居ないし、描かれるエピソードだってごく身近なもの。とても地に足付いた世界なのに、すごくポップで洗練されている。誰の人生も特別で大切なもの――。そんな使い古されたテーマを嫌みなくここまでセンス良く描けるのは素晴らしい才能だと思います。なんだか初期のラッセ・ハルストレムを思い出しました。子供たちもみんな生き生きとしてとても演技とは思えないほど自然体。主人公オギーの視線だけで描かれるのかと思いきや、彼を取り巻く友達や姉や女友達と次々と視点が切り替わることにより、この主人公を特別な存在としてではなくあくまでも一人の人間としての魅力を引き出させることに成功しています。最後まで脇役に徹した、両親役のジュリア・ロバーツやオーウェン・ウィルソンも良かったですね。観終わった後に誰もが心温まる気持ちになれる青春ドラマの傑作でありました。
[DVD(字幕)] 9点(2019-04-07 23:32:24)
734.  オンリー・ザ・ブレイブ 《ネタバレ》 
森林消防隊として次々と起こる山火事の消火活動とその訓練に明け暮れる男たちの死闘を実際の事件を基にして描いた災害アクション。男臭い無骨な隊長役をジョシュ・ブローリン、夫を献身的に支える妻役にジェニファー・コネリー、他にもジェフ・ブリッジスといった豪華な面々がキャストを務めております。熱気がこちらにまで迫ってきそうなほどリアルに再現された山火事のシーンなどはなかなか迫力があり、映像面ではけっこう頑張っていたと思います。ただ、いかんせん無駄なシーンが圧倒的に多い!!トータルで130分あるこの映画の中で3分の1はほぼいらんシーンだったと言っても過言ではありません。実話を基にしたという本作、思いっきりネタバレしてしまうと隊長をはじめとする19人の主要メンバーは最後、全員殉職してしまうのですが、監督は恐らくこの重い事実に相当引きずられてしまったのではないでしょうか。彼らの生きた証を少しでも多くの人に伝えたいと思うあまり本来ならカットすべきシーンもなかなか切れず、結果としてだいぶ間延びしたストーリーになってしまってます。隊員たちの休日のバーベキューシーンやバーでのだらだらしたシーンを延々見せられても、正直興味ありませんって!クライマックス、ようやく山火事のシーンが始まってこれから盛り上がるぞってなったのに、そこは意外にあっさりと終わらせるのもいかがなものか。誤解を恐れずに言えば、いくら重い事実を基にしているからと言ってもこれは映画です。物語としての面白さを二の次にするのは違うと思います。人の心に届いてこそだし、そのためにはいらないシーンはバッサリ切る覚悟も多少の事実の誇張も必要でしょう。それでこそ、死んでいった彼らも浮かばれると思うのですが…。誰にも知られることなく、常に死と隣り合わせの困難な仕事に従事している彼らのような人たちの思いは充分伝わりましたが、残念ながら映画としてはいまいちだったと言わざるを得ない作品でありました。
[DVD(字幕)] 5点(2019-04-06 23:15:26)
735.  The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ 《ネタバレ》 
南北戦争真っ只中のアメリカ南部の田舎町。人里離れたこの地の森の中にあるとある女学園には、校長先生と女教師、そして数人の身寄りのない女生徒が静かに暮らしていた。ところがこの女の園にある日、脚を怪我した北軍兵士が迷い込んでくる。あまりの酷い傷にすぐには南軍に知らせず、ひとまず治療を優先しようとする校長。だが、治療が長引くにつれ女たちの中に微妙な感情の変化が訪れ、やがてそれは大きな悲劇へと繋がっていくのだった…。これまで詩的な美しい映像でもって女性性の深淵を軽やかに描き続けてきたソフィア・コッポラ監督の新作は、一部でカルト的な作品として語られることの多い過去作『白い肌の異常な夜』の大胆なリメイクでした。元となった作品は未見なのですが、この監督のリリカルで品のいい雰囲気は相変わらず健在。これまでの軽いポップな路線とは違いかなり濃密で異常な世界を描いているのですが、それでもソフィア・コッポラらしさが充分に感じられるのは凄いことだと思います。キルスティン・ダンスト、エル・ファニングといったソフィア・コッポラ監督の常連組にニコール・キッドマンを加えた美しい女優たちの共演は観ているだけで華やかで、まるで印象派の絵画の世界に入り込んだかのようでした。そして炙りだされるそれぞれの女性たちの女の性(さが)――。女の世界っていつの時代も嫉妬やプライドや愛憎が水面下で常にぶつかり合ってるものなんですね(笑)。そんな女たちの愛憎と肉欲を一身に受けた末に脚を切断されるバカな男、そして全てのことが終わると何事もなかったかのように元の生活に戻ってゆく女たち…。いやー、女って怖いわぁ(笑)。ちょっと前半の展開が幾分か冗長なところが残念ではありますが、ソフィア・コッポラの美質が全編に感じられる女たちのこの濃厚な愛のドラマ、なかなかの良品でありました。近々、元になった作品も観てみようと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2019-04-05 14:04:28)
736.  ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男 《ネタバレ》 
第二次世界大戦という激動の時代にイギリス首相としてヒトラーと戦ったウィンストン・チャーチル。彼の首相就任からイギリス軍の運命を決したダンケルクの戦いまでの数週間を濃密に描いた伝記映画。まるで本人にしか見えない特殊メイクを施しアカデミー賞の栄誉に輝いた辻一弘の匠の技もさることながら、同じくアカデミー賞を受けたゲイリー・オールドマンの演技も素晴らしかったですね。一時はイカレタ悪役ばかりを演じていたこの人もこんな熟練の演技が出来るようになったのですね(笑)。とはいえ内容の方は、ジョー・ライト監督らしい演出の冴えは各所に見られるものの、全体的に見れば幾分か物足りなさの残る作品でありました。事実を基にした作品なので仕方ないのかも知れませんが、もう少しテーマの掘り下げが欲しかったところ。好きな監督の作品だっただけに惜しい。
[DVD(字幕)] 6点(2019-04-05 13:17:29)
737.  トレイン・ミッション 《ネタバレ》 
リーアム・ニーソン主演、ジャウマ・コレット・セラ監督コンビによる安定のエンタメ作品。今回の舞台は通勤電車内、謎の女からある人物を捜し出せという依頼を突如として受けたリストラ・サラリーマンが悪戦苦闘するというお話。娯楽に徹したその制作姿勢には好感が持てるし、明日には忘れてしまいそうなベタな(誉めてます!笑)脚本も分かりやすくてよし。さすがにこの真相は無理があり過ぎる気がしなくないけど、まあ気楽に観る分にはぼちぼち楽しめます。
[DVD(字幕)] 6点(2019-04-04 00:28:05)
738.  ダブル/フェイス 《ネタバレ》 
妊娠の望めない妻と、彼女の代わりに妊娠出産する謎めいた代理母という二人の女性の間で翻弄されるエリートサラリーマンを描いたエロティック・サスペンス。毎度おなじみニコラス・ケイジ主演の最新作なのですが、これがまあテンポの悪さが際立つ作品でしたね。ストーリーも何が言いたいのかよく分からんし、映像も二時間ドラマ並みに安っぽいし、肝心のエロシーンも今さらプールで裸のおばちゃんが泳がれてもどうってことありません。ニコラス・ケイジも相変わらずやっつけ感が半端ないですし、懐かしのフェイ・ダナウェイなんてもはや完全にお婆ちゃんですし、見るべき部分のほとんどない凡作でありました。
[DVD(字幕)] 3点(2019-04-01 01:21:00)
739.  スーサイド・ライブ 《ネタバレ》 
落ち目のテレビ司会者とやり手プロデューサーがタッグを組んで、起死回生の番組を制作。その名も『あなたの死にざま』。自殺志願者が自ら命を絶つところを生放送で全国に中継するというかなり危ないものだったのだが、これが視聴者に大うけ。調子に乗った二人は番組のシリーズ化を決定する。だが、次第に志願者が増えていきその自殺方法も過激さを増してきて……というかなりシニカルなお話。もっとブラックでシュールなコメディタッチの作品だと思って今回鑑賞してみたのですが、これが意外に真面目。ここまでリアル路線で真面目に描くのであればかなりリアリティが欠落しているので説得力に欠けるし、お話がお話だけに後味の悪さだけが際立つという残念な結果になってしまってます。命の大切さを説いていた主人公がいきなりこんな番組の司会を了承する意味も分からんし、ほとんど接点のなかった主人公の妹と番組プロデューサーが急に大の仲良しになってる理由も意味不明。そして、クライマックスで何故妹があんな行動を取ったのかもよく分かりません。まぁ結論を言うと胸糞悪いだけの凡作でしたね、これ。あと余談だけど、切腹する日本人役はもうちょっと何とかならんかったものか。あれじゃ完全に落ち武者ですやん(笑)。
[DVD(字幕)] 4点(2019-04-01 01:07:15)
740.  ジュラシック・ワールド/炎の王国 《ネタバレ》 
大人気シリーズの最新作。お金があほほどかかっているだけあって映像は確かに素晴らしいし、ストーリーもベタながら分かりやすいし、これと言って悪くはないんだけど、なんだろう、このワクワク感のなさは。やっぱりこのシリーズの醍醐味って、安全と思われていた恐竜たちが突如として暴走するという緩急の付け方にあると思うのだけど、本作は最初から凶悪な恐竜たちがジャングルをうろついているという設定なので、主人公がそこに自ら乗り込んでいってもいまいち緊迫感が感じられないんです。「わー、この檻に入った恐竜たち、かっこいい!あ、意外に可愛い奴もいる!」と楽しんでいたのが、「え、何?なんか緊急事態だって?えー、恐竜たちが逃げ出した?」「わー、恐竜たちが俺たちを喰おうと襲い掛かってきた!!キャー!!助けて!!」、これですよ、これ。しかもその恐竜たちも火山の噴火に脅かされ、挙句ハンターたちに追われる始末。これでは、このシリーズの「凶悪な恐竜たちに追われる恐怖」という醍醐味が半減してしまって当然です。前作の続編ということでそうするしかなかったんだろうけど、もう少し何とかならなかったものか。好きな監督の作品だっただけに残念っす。
[DVD(字幕)] 5点(2019-04-01 00:51:27)
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