61. 家族ゲーム
《ネタバレ》 森田芳光の空気を満喫できる。BGMのみならず音楽が一切ないという仕掛けにニヤリ。 松田優作の怪演もまあ、さることなが、由紀さおり、宮川一郎太、伊丹十三、戸川純たち誰もが朴訥とした言動のまま狂気を孕んでいるあたりが、記号的ではある一方、その純粋さの抽出に成功していて、こんな作品が原語で観れるなんて日本人で良かった。 同時代性までは理解できないけど、とりあえず家庭教師は船に乗ってやって来るものだというのはどこかでパロディしたい。 最後の晩餐のシーンはなんとでも解釈のしようがありそうだけど、Wikipediaの解説を読んで納得。 原作も読んでみたくなった。 本屋の店員が金子修介だったことにもクスリときてしまった。 [インターネット(邦画)] 8点(2020-02-12 02:59:32) |
62. おいしいコーヒーの真実
《ネタバレ》 無人の輸送機がうまく開発されたら、スタバ行くかわりにこの人たちのコーヒーを直接買い付けたい。 コーヒーが手元に届くまで6層の中間業者がいるとは。 フェアトレードは、将来、技術によって解決されるのではないか…。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-02-10 17:03:05) |
63. ラストエンペラー/オリジナル全長版
《ネタバレ》 史実との違いや、日本視点的にどうなんだという点はあるものの、完全に中立に立つことは難しい題材だし、そもそも日本映画ではないので、そこは諦めて、10点!回想による過去とその後の人生の歩みが映像的にオレンジと緑で対比され、そのアイデアに感動した。画が強い映画。悲哀を描くためには、完成度が求められる。脚本だけで感動するなら小説で良い。映像は要らない。しかし、これは映画なのだ。映像、脚本、音楽、演出…映画を全うした作品だと思う。 [インターネット(字幕)] 10点(2020-01-24 02:29:54) |
64. 万引き家族
《ネタバレ》 樹木希林があんな風に完成するとは。見事だった。 音楽も少なめで良い。細野晴臣に依頼したのは大正解だったのだと思う。 日常の会話のトーンそのままで会話を収録しているところが非常に良い。 安藤さくら、リリーフランキーについては、確立した評価に異論がなく、本作でも遺憾無く発揮されていた。 「誰も知らない」でその監督力を見せつけられて以降の是枝裕和の作品にはやや期待外れのところがあったが、 「いつもうまくはいかねぇよ」と言うことなのだろう。 誰かが、本質を追求していってくれなければ邦画は終わると危機感があったが、 こうやって力のある監督が牽引して行ってくれることが分かって安心した。 [インターネット(邦画)] 8点(2019-11-12 14:56:45) |
65. 僕と世界の方程式
《ネタバレ》 人生は自分が努力しようがしまいが、うまくいかないもの。 みんな、それぞれ、悩みながら生きている。 進んだり、戻ったりしながらも、現状を受け入れて、正直に生きることは美しい。 一人で考えたり、他人と交わったりしながら、変化していくこともまた、楽しい。 変わること、不安定なこと、怖いことはいろいろあるし、 才能ある人もない人もいるし、でも腐らずに生きていくことは美しいんだな、と思った。 [インターネット(字幕)] 7点(2019-11-04 17:38:43)(良:1票) |
66. ゾンビーワールドへようこそ
純粋にエンターテインメントに振っていて出来がよい。 冒頭のシーンから「この映画はホラーではなくエンタメですよ」と説明的な前振りが盛り込まれてるのも頭いい。 ゾンビホラーが苦手な人もこれなら見れると思う。 デトロイトロックシティ・ミーツ・ゾンビ。 [インターネット(字幕)] 8点(2019-10-25 20:19:31) |
67. 博士と彼女のセオリー
《ネタバレ》 ホーキング博士に憧れたことがあるものならなんとか最後まで楽しめると思う。 素晴らしい主演と音楽に感嘆した。 ただ、なぜか時間の長さを感じさせる箇所が所々あり、やはり、着想を得る経緯や、その哲学の深奥はあまり語られなかったように思う。 とは言え、これは妻から見た彼の物語なのだから、無理やり書くよりは良いでしょう。 より博士のことが知りたいなら、きっと、彼の著作を読むと良いのでしょうね。 [インターネット(字幕)] 7点(2019-08-31 05:14:46) |
68. 大空港2013<TVM>
《ネタバレ》 どれだけのリハーサルをやったのだろう。 挑戦的な作品。 リハーサルというか、取り直しもあったのかな? 池松が大学を辞めたことを告白するシーンですこし詰まったが、逆にそれがライブ感を揺り戻した感はある。 カメラのある演劇だ。 [インターネット(邦画)] 7点(2019-08-04 22:35:01) |
69. 天気の子
《ネタバレ》 歌が多すぎ…。「はい、ここで感動しましょうー」と言われてるようでヘンナリ。 モノローグが多過ぎるし内容も厨二っぽい。 3Dでの魚がアニメ絵とマッチしきれてない。 なんでそんな簡単にヒナとくっついてしまったのか…ご都合が良過ぎる。 警察殴った。なぜいきなりそんなレベルのバイオレンスシーンが。 ピストルは必要だったか? 東京が水に沈む、っていうのは良い。ナイス思い切り。 巫女が人柱で、でも特に戦いなく取り戻せるっていうのがなあ…。 でも積乱雲の上に野原があるのは、小さいお子さんの想像力を育むと期待したい。あれは小さい子にはきっといい記憶になると思う。 君の名は、が最高すぎた。 今回はどうしたんでしょう?広告代理店に「梅雨と夏にぶつけましょうよ先生!」とでも当てられて急いで作ったのか? そんなもんじゃないだろう、新海誠はよ! もっと自分の奥底にある幻想をフルに出せるぐらい丁寧に形作りして欲しかった…。 泣き所はまあ、あったけどもさあ…。 [映画館(邦画)] 5点(2019-08-04 20:13:13) |
70. 七人のおたく cult seven
QuickTimeが後にmp4になることを考えると、この映画の描写はすごく先見性があった。また、オタクが今ほど市民権を得る前で、オタクに憧れる当時のキッズ達はこの映画を見てワクワクしたはずだ。僕も大人になったら、こういう立派なオタクになるのだと!そういう未来と希望を与えてくれた映画だった、気がするが、みんなのレビューは低い。同時代性が強い映画なので仕方ないな。 [地上波(邦画)] 8点(2018-09-17 23:43:28) |
71. カメラを止めるな!
《ネタバレ》 レビューブログでは「みんな面白いって言ってるけど、ハードルを上げすぎると、そうでもない」とか、「60点満点の世界で80点を取ってる面白さ。100点の世界の盛り上がりを期待してはいけない」とか言われてたので、期待感を上げすぎないようにして行って結果、正解だった。 映像制作に関わったことがある人や、業界に憧れている人は一度見ておくと良いのではという感じ。 鑑賞後、したり顔で映画の解説をしている観客が多かったのが印象的だった。「こういう仕掛けの映画って〜〜もそうだよね」とか言わせるところまでが本作の仕掛けなんだろう。映画好きな人たちと一緒に見に行くと帰りのご飯で延々と盛り上がれるタイプの良作だと思う。 会場のみんな、笑いながら見てたのが印象的だった。隣の席に6~8才の子供が座ってたんだけど、その子もケラケラ笑って見てた。私はというと、そんな風に大人も子供も映画館で笑わせるような作品が作り出せることの素晴らしさに感動し中盤以降、ずっと泣いてた。 ちょうど、全面的に無名の俳優たちを起用した優れた映画を見たいと思っていたところだったのでちょうどよかった。 単館系、ミニシアターや舞台演劇が好きな人たちだともっと深掘りできるのだろうか。 ちなみに、あのシーンはエイリアン2のビショップのアレをオマージュしていると思ったんだけど、どうだろうか。そんなことないか。 [映画館(邦画)] 9点(2018-08-27 23:06:20) |
72. 世界一キライなあなたに
《ネタバレ》 ちょっと物語の進みに必然性が感じられない部分が気になって、あまり入り込めなかった。 キャストの演技はバッチリ。 絵も綺麗。 ラブ多目。 社会的テーマは多分、道具でしかなくなっている感じ。 でも泣いた。 原作はもしかしたらもうちょっとテーマ性あるのかも。 [インターネット(字幕)] 6点(2018-07-14 14:40:06) |
73. アメリカン・スナイパー
戦争をやってる男には勝てないと思った。 どれだけ必死に生きてるか、何を守ろうとしてるか、そのために己を鍛えられるか…。 にしても、イーストウッドの映画の作り方のうまさはもう、確立されてるなあ。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-05-02 21:07:55) |
74. 害虫
《ネタバレ》 NUMBER GIRLのI don’t know のPVを見てDVDを買ったんだが…。 ナンバガの鬼気迫る楽曲と、PVで見た宮崎あおいの表現力の素晴らしさに心躍らせて鑑賞したものの、映像表現はさておき、本来表現したかったであろうことに映画づくりが付いていけてない感じがした。土曜の昼頃に地上波で放映すると、もしかしたら途中から見てこそ得られるインスピレーションをもとに、次代の作り手を産むかもしれない、そういう雰囲気映画。歳をとってから見るのはキツイかも (正味なく感じるかも)。 鑑賞時は大学生だった気がするが、ゼロ年代の雰囲気ものとしてはやや弱めに感じた。 [DVD(邦画)] 4点(2017-12-27 00:20:00) |
75. 光(河瀬直美監督作品)
世の中の人たちは、自分が想像しているよりも、もっとちゃんと自分に向き合って生きているのではないかと思った。いや、自分が想像してこなかった部分でむしろ、自分の嫌な部分と目を合わせているのではないかと。その機会に恵まれても、受け入れるには勇気がいる。 現実感と、フィクションが入り交ざった世界だった。もっと、思ったことを口に出していこうと思った。 [インターネット(邦画)] 9点(2017-12-19 08:30:57) |
76. スプリガン
原作が好きなので期待して観に行ったら絵の綺麗さだけの映画だった。いや、絵もそんなに新規性はない。大友克洋と江口寿史が入っててどうしてこうなったのか。なーんて。大友も江口も文芸性についてはそれほどだしなあ…。 [映画館(邦画)] 2点(2017-11-21 01:38:29) |
77. 誰も知らない(2004)
実際の事件を元にした痛ましい話。20代にこの作品が見れてよかった。もし子どもを持ってから鑑賞していたら、ネグレクトする親側にも多少の共感があったかも知れないが、今なら社会にその原因を探るだろうか。当時以前も育児放棄の事件報道はあったものの、残された側の実生活がどのようなものであったかを見る機会はなく、多くは他人事で終わる世の中だが、他人事のままで終わらせまいという監督の思いが感じられた良い映画だったと思う。 [DVD(邦画)] 7点(2017-10-15 05:46:48) |
78. タンポポ
名シーンが多すぎる。文句なし。伊丹映画の真骨頂。「邦画はつまらない」と言っておきながらタンポポを見てないやつは信用ならん。せめて、40歳になるぐらいには見ておいてほしい。 [地上波(邦画)] 10点(2017-10-05 01:47:43)(良:1票) |
79. サバイバルファミリー(2017)
《ネタバレ》 大地康雄と深津絵里が良かった。なんかこんな風に、母親とも田舎ともうまく付き合っていけたらなあ…。 実際に電力が全て機能不全に陥った場合の現実の都市計画が気になった。 [インターネット(邦画)] 7点(2017-09-21 20:32:51) |
80. ラブ&ポップ
《ネタバレ》 エヴァにかぶれてた当時高校生の自分には渡辺いっけいと浅野忠信の間接的な交錯が胸に刺さって抜けなかった。 「お前には価値がある、って、そういうことでしょ?」 浅野忠信の衝動的な性暴力のあとで、渡辺いっけいから発せられたそのセリフを、 鑑賞後数日間ずっと意味もわからず反芻していた。 やがて、衝動的な優しさは暴力になりうる危うさがあるということを、この映画から学んだ。 そしてそれは、台風クラブの性的衝動と符号し、青春の営みは、危うさと表裏一体であり、 それこそが美しいと、そういうことなんじゃないかと、感激したのだが、 庵野秀明が映画化の権利獲得にのため村上龍へ口説く後日談には、 「彼は『この作品には愛があります』なんてウソを言う他の監督と違い、 『いくらの予算で撮れるか』だけを熱く語っていたので返って信頼できた」 との談があり、映画はこのような情報の非対称性も含めて楽しむものかも知れない、などと思ったり思わなかったりしたものだ。 ラストシーンは素晴らしかった。ラストシーンのためだけに、それ以外の全てを我慢して鑑賞する価値があると感じた。 結果論だが。 [ビデオ(邦画)] 7点(2017-05-31 02:27:17) |