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フィンセントさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 202
性別 女性
自己紹介 閲覧&良票を入れて頂いた皆様ありがとうございます(*^-^*)
良票を頂けると励みになります!作品に対する意外なヨミと、読んでいて楽しいレビューを心がけています。楽しんでいただければ幸いです☆

ジャンルを問わず鑑賞していますが、ホラーを観るときは手で目を覆って指の隙間から観ますw

★好きな俳優★
M.ファスベンダー、E.マクレガー、J.ロウ、D.クレイグ、O.ブルーム、ジョナサン・リース=マイヤーズ・・・・・はい、そうです。イギリス俳優好きですw
さらには、ドナルド・サザーランド、S.ブシェミ、M.フリーマン、フランコ・ネロ、B.ウィリス、H.ジャックマン、C.イーストウッド、女性では、ユマ・サーマン、M.ジョヴォビッチ、C.セロン、A.セイフライド・・・などが好きです。

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61.  ドリームハウス 《ネタバレ》 
一家惨殺事件が起きた家で起きる怪しげな出来事の数々・・・前半までは特に目新しい展開もなく、淡々と過ぎてゆく。  しかし、ダニエルクレイグが精神病院の録画映像で自分が写っているのを見てガクゼンとした場面を皮切りに、イッキにジェットコースターが加速し始めた。  右へ左へ振り回され、スピンだツイストだ、これでもかこれでもかと、複数のプロットが高速でぶち込まれ、遠心力でこっちの思考回路が吹っ飛ばされそうになっていく。  ダニエルが録画映像の中に自分を見つけたときは「あ、シャッターアイランド形式ね?」と思い、「ダニエルが犯人じゃん!」と思いきや、どうやら彼ではないと分かってくると、まともに見えていた奥さんが急に狂気の人に見えてきて「あ、アザーズ形式か?」と思い、「奥さんが犯人じゃん!」と思いきや、結局そうではないという展開。 過去の名作のデジャブ感を鑑賞者に与えつつ、どれでもないという、なかなか油断ならない脚本。  しかし一方では、ダニエルが地下室で一家惨殺討論会をしていたパリピたちを追い出したときに「空き家じゃんよ!」と言われたのが実際その家にダニエル一家が住んでないからだということや、ダニエルの家にスープを持ってきた向かいの家のナオミワッツが階段にいたダニエル妻をシカトして立ち去ったのが、ダニエル妻がそもそも幽霊でそこにいないからだという「あ、シックスセンス形式ね?」と思わせる場面もちょこちょこ出てきて、これについてはシックスセンス同様に”二度目の確認作業を入れた鑑賞が楽しい”系のつくりになっていて、好意的に楽しませてもらった。  殺す相手の家を間違えるという、ある意味”狙われて殺される”よりも悲劇性の高い事件を発端にした悲劇の連鎖が続くが  ●殺す相手間違われて殺されるダニエル妻子 ●失意のもと自縛霊となってダニエルの前にしつこく現れるダニエル妻子 ●事件がトラウマとなり現実を受け入れられず精神疾患になるダニエル ●妻子への愛着がトラウマとなり幽霊依存になるダニエル  というダニエル側のメイン悲劇に  ●離婚の真剣争いで夫に命を狙われているナオミワッツ ●両親のピリピリ感に挟まれて、空気読むのが大変な娘  というナオミ側の難儀がからんでくるわけだが、そのカラミからの~、家燃やされて呪縛霊の居場所がなくなることによってダニエルの幽霊依存が強制終了!と、家燃やそうとしたナオミ夫が焼け死んでナオミ側の問題も強制終了!という、両家の問題を数分でかたづけちゃうスピーディーなオチづけにはのけぞった。  ところでこれは私の想像なのだが、ナオミとダニエルはプラトニック不倫だったのではないかな?ダニエルは妻子にも優しいけど、誰にでも優しいのだと思う。夫との不和で悩んでいたナオミに対してもそうで、一線は越えずとも、普通のお向かいさん以上の気持ちを抱きあってたと思う。  そうでなければ、精神病院みたいな荒くれた場所にわざわざダニエルの付き添いで来たりもしないし、もはや”友達づきあい”していたダニエル妻がいないのにわざわざスープを彼のところに持ってくる理由も思い浮かばない。 何かとダニエルの身の上を心配し、何かと彼の行動を見守っている。そして、ナオミ夫が本性を表す直前でふたりは抱き合ってもいる。あのナオミの髪をクシャっとさせるように抱くハグは、通常のハグより何かがあると、女のカンで感じた。 ナオミ夫が、自分ちの離婚騒動とは関係のないダニエルを階段から蹴り落とすにしても、そこには「嫁を寝取られた」と思っている男のイライラを感じさせるのだ。  不倫プロットまでぶち込んでくると、もうまとまりがなくなりすぎてしまうので、ニュアンスだけを漂わせる形にしたのだろう。 でもこの二人の関係性があってこそ、ダニエル一家と、ナオミ一家が深くリンクし、そして、最終的に両者同時に問題が強制終了というスッキリとしたまとめ方ができたのだと思う。  さてそれでは二度目の鑑賞をしてこよう。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-01-17 15:36:46)(良:1票)
62.  シュガー・ラッシュ:オンライン 《ネタバレ》 
すばらしい!の一言。  前作で構築された、アーケードゲームというミニマムなエリアで構築された子供向けの幼稚な世界観を、まさにラルフのセリフがごとく  「ぶっこわしてやるー!」  と来た今作。  オトナによるオトナのためのオトナの映画だと断言できる。  バネロペ像は、前作でもかなり”短気”、”ヒステリック”、”直情的”、”人をふりまわす性格”で”コナマイキ”、”マイペース”で”自分本位”、”すかした言動が好き”で”困った時だけラルフ頼る”という、かなりひどい性格であった。 だから今作で、シュガーラッシュのレースで一緒に走る子を追い抜くときに寝たふりをして嫌味を言ったり、スローターレース(殺戮レース)という野蛮なオンラインゲームにターボしたがるヴァネロペは全くブレがない。  そしてラルフも前作どおり”ヴァネロペだけが唯一の友(依存症レベル)”、”すぐなんでも信じる素直バカ”であり、ブレる所はない。  前作でも、ヴァネロペはドライ系で、ラルフはウェット系。ヴァネロペが自由奔放にふるまい、ラルフが彼女の後を追いかける構図。 恋愛においては愛す側が弱いというが、まさにラルフはこの愛する側で、それこそが彼の弱点でウィルスのかっこうの的となってしまうわけだ。  それをやれ「キャラが変わった」とか「関係性が」とか、ごちゃごちゃ文句を言う人たちのなんと多いことか。(←NHKのチコちゃんのナレーション風)   前作から自然な流れとして成立できている今作では、ビルのてっぺんに美女を片手に登ったキングコングのパロディと受け取れるあのgooglelのビルのてっぺんにヴァネロペ片手に登った”集合体ラルフ”の場面といい、ディズニープリンセスをセルフパロディしてプリンセス像をぶっこわすくだりといい、擬人化されたポップアップ広告が「人妻がまってるよ~」などとアシュレイマディソンみたいなニオイがぷんぷんする場面をブっこんできたり、とことんオトナの遊び心をちりばめたものであることも特徴だ。  私は普段からよくe-bayは利用していて、アンティークの英国の椅子の”背もたれ部分だけ”みたいなマニアックな買い物もやってたので、そこのシステムがそのまま映像化されているくだりも非常に盛り上がった。 オークションのシステムをよく分かってない二人が、一緒に同じ値段で入札するだけでいいのに、交互により高い値段を入札し合って、無駄に値段が釣りあげちゃってる場面も苦笑できた。  他にも、終盤でプリンセスたちが落下するラルフ救出するシークエンスで、最終的に「ロイヤル・マットレス」のビルの屋上にある「ロイヤル・マットレス」と書かれたベッドにラルフは寝かされるが、実際アメリカに「ロイヤス・マットレス」というメーカーがあるので、そういうコッソリとしのばせてくるジョークもオトナの映画として小気味がよい。  そもそもインターネットという世界は、危険と闇が蔓延する世界。怪しいポップアップ、裏操作でアクセス数アップを狙うサイト、ウィルス置き場、匿名をいいことに当り前のように誹謗中傷が乱れとぶ世界、ユーザーたちを燃やして殺すゲームに、価値のあるゲームアイテムを裏でカネでやりとりする現実・・・いろいろな”闇”を描ききってくれているのも楽しい。  さらに、スパムリーがウィルスを作ってる知り合いがいると言って、ラルフを彼のもとにつれていくが、その知り合いがスバムリーに「おまえだれだ!!」とどなると「ほら、SNSでしゃべったことあったでしょ?もうそのSNSなくなっちゃったけど・・・」と答える。 この、SNSでしゃべっただけで簡単に知り合い扱いしちゃう思考回路とか、怪しいもの同士がつながるようなSNSはいきなりなくなるとか、細かいセリフひとつひとつにも、インターネットの”闇”部分がちりばめられており、完璧なシナリオだと感じる。  しかし完璧なシナリオだと言い切れるのは、前作のドリーミーな世界観を「ぶっこわしてやるー!」と同時に、前作で問題放置になっていた”友達たった一人に完全依存”なラルフの性格も「ぶっこわしてやるー!」に成功したからだと言えよう。  さらにアラジンや美女と野獣といった、ロマンティック系ディズニーの音楽担当として名高いあのアラン・メンケンが、今作では「In this Place」という、ロマンティック系ではなくこれまでにないテクノポップなミディアムナンバーを提供していることも要注目である。  くしくも、ディズニー映画になくてはならない重鎮ジョンラセターが、セクハラ問題でディズニーを去る前の最後の仕事となった今作。 彼にとってディズニー映画での最後の”遺作”であるだけの価値は十分にあると断言したい。
[映画館(吹替)] 9点(2019-01-16 18:54:58)
63.  ワールド・ウォー Z
この映画はブラピが制作陣に加わっているということで、おそらくブラピは自分の家族を描きたかったとみた。    すなわち、アンジー含む子供たちは確実な安全圏におき「オラは何があってもアンジーと子供たちを守る男!ダ」という思いを映画で伝えたかったのだろう。   そして、なぜか途中で一家に合流して妻&子供と共にいるようになった血もつながってない行きずりのインド系少年。彼はきっと後で何か重要なキーマンになるに違いないとみていたが結局最後まで”途中で一緒になって家族の一員になった”異国籍少年だけで終わった。  ということはつまりアンジーとブラピが養っている異国籍の子供たちの象徴としてこの子が配役され、この子を置くことで「異国籍の、血の繋がってない子だって、家族として扱うのダ!」という思いを映画で伝えたかったのだろう。     では、群れをなして高速足でしつこく追いかけてくるゾンビは一体何の象徴だろうか?  たぶん、パパラッチw
[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-09-28 18:22:45)
64.  ディアトロフ・インシデント 《ネタバレ》 
ホラーに登場するモンスターというのはいろいろな設定がされるものだが、今回は若者2人が「テレポーテーション」の入り口から飛び込んだら、変異しちゃった(しかもタイムワープまで)モンスターっていうところが、奇想天外ですばらしい。  しかも、さりげなくループもの。ファウンドフッテージの顔したループもの。ファウンドフッテージ系は2ケタは見たがこの組み合わせはなかなかなものだ!  ストーリーの最初の方で、若者たちの一人の男がヒロインに「首の羽根のタトゥーいかしてるね」と言うが、ラストで釣り針につるされたモンスターがくるくると首がまわると首に羽根のタトゥーが!なんてステキなラストシーン!  このヒロインの過去の自分は何度もこの暗い扉の向こうに行ってモンスターになって・・・を繰り返してる。だから、このヒロインは「扉を開けたら・・・真っ暗・・ていう夢を何度も小さい時から見たの」って話すのは、つまり、過去の自分がモンスター化したことによる、脳内の潜在的な部分にすりこみがあって、無意識による投影が起きて、ゆえに夢で何度も出てくるみたいなものだったのだ。  その夢に出てくる潜在意識に突き動かされて、仲間が「ここは磁場がおかしい、引き返そう」って言っても「引き返したくない」し、シェルターの前にきて「なぜか引きつけられるの、わからないけど、本当のことを知りたいの」と、とにかく、この怪しげな場所に執着しているセリフをあれこれ出して、がんとして調査を続けようとしたのも、ようは”過去の私が呼んでいる・・・”っていう、ちょっと鳥肌もののループ作品だったからなのだ。普通なら引き返すところで引き返さず記録したがる理由、めっちゃ説得力あるではないか。  過去の自分がモンスター化したものに、自分が襲われてる(実際のところ、ワープのある洞窟のほうへ追い立てられて「さぁ、あなたも確認して」ってやってるわけですが)って思うと、他の、ただ単にモンスターが単細胞的に「ガーーー!」って襲ってくるのより、ふか~いと思う。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2018-09-28 18:01:58)
65.  ライフ(2017) 《ネタバレ》 
いつからだろうか、SF映画で、宇宙空間内にある宇宙船内部を無重力状態で描くようになったのは。  よく引き合いに出される「エイリアン」の宇宙船内は、重力があった。それは、当時の映像技術として、無重力状態を撮影することが難しかった・・・という現実があったわけだ。  しかしいつからか、映像技術が宇宙船内を無重量状態で描けるだけのものに進化して、それを利用してリアルでユニークな宇宙空間を描く映画もいろいろ生まれた。  そんな中でのこの映画。キャラクターたちにあまり個性もなく、感情移入できるエピソードも薄く、没入感が驚くほどない作品なのだが、無重力状態でエイリアンにヤられたり、事故が起きると、どんな景色になるか・・・を、いろいろ描いてくれたところは良かったと思う。  口から血がドバドバと吹き出る場面も、無重力なら血が出るそばから四方に分離して空中に散らばって、死体のそばを漂い続ける・・・なんて、非日常的な光景にちょっと気持ちが高揚した。 船外活動で、ヘルメットの中に冷却材の液体がブワブワと顔の目の前に侵入してじょじょに増水していくというドS水攻めシーンも、ちょっぴり興奮した。  そしてふと、以前見たSF映画(つまらなすぎてタイトル忘れた)のある場面を思い出した。豪華客船仕様の宇宙旅行船に乗っている女性客が重力発生装置によって地球上と同じように保たれているプールで、優雅に泳いでいる。ところが、装置の故障で突然プールの大量の水が宙に浮き、表面張力によって超巨大なまんまるの水の塊に!彼女はその塊になった水中で、パニックになりながら必死でもがく。(でも水の塊が宙に浮いていて、もがけど泳げど、つかまるものがないからさぁ大変)  そうだ、「ライフ」は、その塊の水中でもがく女性の景色のように、ストーリーとかどうでもよくて、現代の視覚効果技術で、”無重力状態でトラブルが起きた際に起きる、記憶に残る場面”の1つや2つでも、鑑賞者の心に残せればいい、そんな謙虚なSF映画なのかもしれない。  ところであの宇宙生命体。ただでさえ未知のもので、どういう性質なのかも分かってないのに、「アメリカの小学校の生徒たちからお名前募集~♪」って、その企画担当者、ISSの乗組員以上に馬鹿ですか?wパンダの赤ちゃんじゃないんだからw  そもそも知らない怪しいものに、名前つけちゃダメでしょ。「モンスターズインク」でも、サリーが危険生命体である人間の女の子をブーと名づけて呼んでいたら「名前つけたの?だめだよ、名前なんて付けたら愛着わいちゃうでしょ!」って厳しく叱咤したじゃないですか。「ミス・ポター」でも、ピーターラビットの作者の女性が近所の家畜農家のおじさんに「この牛はなんていう名前なの?」とたずねたら、彼は「名前はつけません。愛着がわいてしまうんでね」と答えた。  あの宇宙生命体をペットとして楽しむならともかく、得体もまだ知れていないのに、なぁにがカルビンだ! そもそも、焼いても不死身なんじゃ、カルビンのくせに、カルビ焼きにもならねぇし!  でもあのクリオネみたいな生命体、ネコみたいじゃなかったですか?すばしっこくて、つかまえようとしてもつかまえられない。でも気づいたら、足元にすりよってきたり。ラスト近くで、酸素キャンドルに飛びついてギュゥゥゥってキャンドルを抱きしめて「わぁいわぁい」みたいな顔してましたけど、普通においでおいでしてもツンってそっぽ向くくせに、ネコグッズをチラつかせたら、キーンって飛んできて飛びついてくるネコかいw   抱きしめたキャンドルのライトの明かりが、半透明のカルビンを、まるで間接照明のように美しく、薄暗い脱出ポッドの中で浮かび上がらせていて、この姿は<SF映画の印象的なエイリアンの姿>で上位5位以内に入りました。(ちなみに1位は「エイリアン2」でクイーンがにゅるにゅると卵を産み落としている姿)
[CS・衛星(字幕)] 5点(2018-08-03 08:45:37)
66.  フランス組曲 《ネタバレ》 
不倫モノの洋画。私は基本的に、最後は結ばれない(が、心はきっと永遠につながっている)という着地点で描いていくストーリーが好きだ。  これを読んでくれている映画ファンの皆さんも、「あ、それならあの映画もそうだったね、あとあれもね」と、いくつかそういう作品を挙げられるかと思う。  そういう映画の中でもこの「フランス組曲」は、あまりにも切なく、胸をかきむしられ、身が引き裂かれるような思いをしながら見終えた。  不倫の障壁は、基本的に”既婚”である。  だが世間では既婚以外にさらにもう1つ障壁が立ちはだかるケースがたまにある。たとえば教師と保護者の個人的なつきあい禁止のように、学校側の”ルール”という障壁がその一例だ。他にも、成人と未成年という”年齢”の障壁というのもある。そしてこの映画では”戦時中の敵同士”であるという障壁がセットされているのである。  リュシルとブルーノが既婚であること、それはまぁ乗り越えられるとしよう(だってそもそも愛情とかなさげな結婚だから)。しかし敵同士という、世間の目があまりにもキツイ状況。ダブル障壁。  痛い。心が痛い。  ブルーノとの2人分のゴハンの用意をして、官能的な赤いドレスと赤い口紅でオメカシして彼が戻ってくるのを待っているリュシルのもとに、夫をかくまって欲しいとお願いにきた知り合いの女性がやってきた場面も心が痛んだ。 知人女性の「え?敵の男とネンゴロってこと?てかあなた、結婚してるじゃん」という不審の表情と、リュシルの「いや、あなたの夫を助けてあげたいのはヤマヤマよ、でもこれから彼とようやっと二人きりになれる最初で最後の時間なの・・・ほんと困るのよ、よけいな邪魔しないで・・・ほんと、ほっといて・・・」というオロオロした表情の駆け引き。  結局リュシルとブルーノは、唯一のチャンスを逃し、体をひとつにすることは二度となかった。  そして最後の二人の別れの場面。 ブルーノが彼女をせめて最後に抱きしめたくて、車に乗ろうとする彼女の腰に手をまわすが、まるでそれがただの風かのように、スっとすり抜けて車に乗り込むリュシル。  二人のお互いへの想いは確実にそこにあった。でも、想いがあったって、結ばれることもなければ、想いをあからさまに口にすることもできず、胸に秘めたままもう二度と逢えない・・・  不倫の切なさ、ここに極まれり。  障壁を二つ抱えながら、人を好きになり、相手も脈ありとわかりながらも、一線を越えないまま、すれ違い、そして二度と逢えなくなった・・・という経験のある私としては、なんだかヒロインが同じ気持ちを分け合える女友達に見え、お互いの傷を見せ合い、なぐさめあえたような気がした。   (それはそれとして、この映画で印象的な、<楽譜のラブレター>はグっときましたね。「ピアノ・レッスン」の<鍵盤のタブレター>といい勝負です。そもそもピアノを介在させたロマンス映画はピアノ弾きの私としてかなりヒット率が高いです。)
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-07-25 16:22:39)
67.  パディントン 《ネタバレ》 
「2」をスクリーンで見て面白かったので、原点の「1」を鑑賞。  「2」で登場した骨董屋のグルーバーおじさんがすでに「1」に登場していたこと(どうやら原作ではグルーバーさんも主要キャラのひとりらしい)や、骨董屋さん界隈の雰囲気といい、オカンの古着コーデといい、ブラウン家の各部屋の内装といい、何から何まで、私の感性にビンビンきた。  とにかくパディントンという世界観すべてが、私に合っているらしい。  家を求めてさまよっているパディントンがバッキンガム宮殿の前にきて建物を見上げている場面があったが、ロンドンで一番住まわせてもらえなさそうな場所でそういうことするという、ものすごく上品なジョークも性に合う。  中でも気に入ったのが、ロンドンの掃除機2本を使ったエントツ脱出作戦のジョーク。  充電式の掃除機2本を使って、えんとつの壁に吸い付かせながらよじ登るのだが、途中で片方の掃除機の3灯の充電ランプが全て緑から赤になってしまい、ズルっとなって、その掃除機を落としてしまう。  「なにこれ、ミッションインポッシブルの高層ビルの手袋のヤツと一緒じゃんw」って思わず言ったら、小2の息子が「そうだよ、最初にミッションインポッシブルの音楽が流れたもん」って普通に言うので巻き戻したら本当に、えんとつ登りだすときにあのテーマが・・・w  ということで、「これはミッションインポッシブルのパロディなのだな」という目線で続きを見たが、トムクルーズばりに煙突から出る瞬間ジャ~~~~ンプ!!・・・するが、パディントンなので煙突の外側のフチをつかめずそのままストーンと煙突に再び落下・・・w  いちいち、上品なジョークに笑わせられた。  「2」がパディントンの滅私的で献身的な行動がハッピーエンドにつながる・・・という物語だったため、思わず泣いてしまったが、それに対して、「1」は彼の生い立ちや家族探しの物語。そもそも話なので、どちらかというと、笑いに身を任せ、パディントンとブラウン家の絆が結ばれていく過程をサラリと楽しむのがいいと思う。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-07-08 12:02:45)
68.  スリー・ビルボード 《ネタバレ》 
個人的に「月に囚われた男」で1人芝居かつ1人二役をやってのけたサムロックウェルが好きだったので、この映画で彼がアカデミー賞の助演男優賞をとったこともうれしく期待値高め設定で鑑賞。  結論からいえば「そうだね、うん、サムロックウェルの名演技が見れてよかったよ」程度の映画である。 特にサムロックウェルが、ヤケドして入院した病室で、窓から突き落とした男にオレンジジュースをおごってもらってシクシクするところは印象的だった。  でもそれ以外に何かグっとくるものがあるかといえば特になく期待値を大きく下回った。 イライラしている人たちをこれでもかこれでもかと見せ付けられて、胃もたれするな映画。上映時間の8割はイライラしてる人たちのイライラしてる場面ばっかりである。  「広告出したのはオメーか!」  「ホモはむかつくんだよー!」  「このウサギの置物ぶっこわしたるわ!」  「車かしてくんないならいいわよ!」  「あの娘、くさいわね!」・・・・     見てるこっちも  「さっきからイライラしてる人間ばっかで、いい加減飽きるわ!」となり、オチのフワっとした終わりかたに「もっとエッジはっきりさせぇやゴルァア!」  ってイライラする映画だった。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2018-06-29 20:54:12)
69.  シェイプ・オブ・ウォーター 《ネタバレ》 
半魚人という極秘実験動物が置かれた実験室に、なんのセキュリティチェックもなく、警備員ひとりなく、掃除婦がヒルメシ食べに気軽に入れて、半魚人にユデタマゴをおすそわけできるという、ゆる~い環境にまず萎えた。  ソ連のスパイの科学者が、半魚人を逃がすとき、「これを水に混ぜてだな、これくらい割合の塩分で満たしてだな・・・」と、細かく保存水の作りかたを教えていたのに、掃除婦はバスルームの水を出しっぱなしにしてバスルームを水で満たして半魚人とイチャイチャ遊ぶことに夢中で、水の量が増えた分の塩分割合とか全然考えてなかったり、かと思えば「なんか元気ない!そうだ!塩いれよう!」ってクッキングソルトを目分量でドバドバいれるという、半魚人の彼氏に超テキトーで雑な扱いをするもんだから「おいおい、そこに愛はあるんか!」とツッコミをいれたくなり、さらに萎えた。 (んな雑な扱いするから、彼氏のウロコがハゲまくるんだよ・・ったく)  とりあえず、エロ・グロ・ファンタジー・ミュージカルスパイものロマンス映画というゴタマゼ作品で観客をビビらせた勢いでアカデミー賞の作品賞をかっさらう手法が通じるのはこれが最初で最後であろう。  ・・・にしても、サリーホーキンスの全裸&オナシーンって誰トクなん(笑)
[CS・衛星(字幕)] 1点(2018-06-28 18:32:41)
70.  ブリッジ・オブ・スパイ
アメリカ映画といえば、アメリカによるアメリカのためのアメリカが正義として描かれるアメリカ映画が常である。しかしこの映画は、アメリカを完全な正義として描ききらないであることで成功しているのだ。  敵国のスパイなら情けも法律も関係ねぇ!という世論や裁判関係者も存在したことを描く。  太平洋戦争時の日本は「捕虜になる辱めを受けるなら自決せよ」という非情な教えを全国民にすりこませていたが、そんな<自国民の命より、こちらの情報が捕虜を通して敵国にもれないことのほうが優先>という当時の日本のポリシーと変わりのない、自決用の1ドルコインをスパイ飛行士に持たせていた事も、包み隠さず描く。  橋の上での捕虜交換時も、アベルが「引き渡されたあと、自国の関係者に片寄せ抱き合ってもらえるか、あるいは黙って後部座席に座らせられるか」という話をしていて、それはつまり肩を抱かれれば”信用”、黙って乗車させられたら”不信”ということだという意味なのだが、ソ連側関係者はアベルを黙ってクルマに乗せたのに対して、アメリカ関係者はパワーズを笑顔で抱き寄せて”信用”のフリをしながら、実際飛行機に乗せたあとは、パワーズを全員が完全シカトというアメリカ関係者の裏表の表情も、サラリと描く。  そんなふうにアメリカのダークな部分も包み隠さず描くことで、ドノヴァンという”アメリカの良心”をより際立たせているのが本作だ。  そして私は本作を「シンドラーのリスト」「リンカーン」と並び、スピルバーグの描く伝記映画としてとらえたい。「ブリッジオブスパイ」は、スパイの仲介者という意味であり、それはそのまま、ドノヴァンのことである。タイトルをあえて「ドノヴァン」にしなかったあたりは、彼がシンドラーやリンカーンほど世界でよく知られた歴史上の人物ではないからかもしれない。だがこの映画を通じて、ドノヴァンはアメリカの良心、アメリカの正義として世界に広く認知されることになった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-05-05 14:57:01)
71.  ある天文学者の恋文 《ネタバレ》 
ジェレミーアイアンズ、うーん、もう恋愛担当のキャラはムリがある。  「ダメージ」(1992)でジュリエットビノシュと、年増の義理父&若き息子嫁のタブーな恋愛を犯すキャラをやったときは、まだよかった。  でも68歳。どうみてもむりだ。  あのクリントイーストウッドだって、かなりおじいちゃんになってからも、恋愛担当キャラをやっていたが、65才で「マディソン郡の橋」の恋愛担当キャラをやって以来自重しているというのに。  あと、不倫相手を自分が死んだあとも寂しくないようにとか、ひとりぼっち気分にさせないために、とかいって、あれやこれや演出を考えて時間差のコミュニケーションをとり続けてようとしたわけですが、いずれはそのネタも尽きるわけで、結局はエイミーは、ひとりぼっちになるわけですよ。  それを、わずかな期間だけ引き延ばして、思わせぶりなプレゼントしたりしても、それってどうなん、と思うわけ。  彼女の幸せに役立つか?ってなるわけ。  人間って愛する人を失っても、それによって気づくこととか、成長して強くなるとか、いろいろ得るものだってあるでしょう。  だから時間差コミュニケーション(期限あり)をとってズルズルと博士の存在を感じさせ続けているより、ダンボールに、長文の手紙と遺品の指輪と彼の家の相続書類とかぜんぶまとめてブッこんで、「はい、これが博士からの全部です」って弁護士からセットでゴソっと受け取ればいいって話になる。  その中に、母親のこととかもまとめて書いておけば、もっとスムーズに彼女も実家に戻ってただろうにって話しになる。  まぁそれを言ったら話しがそれで終わっちゃうわけですが。  それから、博士の娘が「あなたみたいに愛される女性、うらやましい」って言ってたけど、そうか?68歳のおじいちゃんに手紙やDVDで粘着されて、うらやましいか?って思ったり。  とりあえず、トルナトーレが、「自分が若いオナゴとデキたら、こんなふうなロマンチックな終わりかたとかサイコーやなぁフフフゥ♪」って色ボケが始まっちゃったのだと思っておきます。
[CS・衛星(字幕)] 1点(2018-04-17 12:32:08)
72.  フライト・ゲーム
身内を失って心の傷を追って依存症をわずらっている人間が「この飛行機に犯人がいるー!」と主張して大暴れして、逆に「それってお前がPTSDで、妄想にとりつかれて勝手にそう思い込んどるだけやろ!」と乗客から総スカンくらっちゃう   という本作の展開は、私の大好きな映画「フライトプラン」を彷彿させ、しかし「フライトプラン」ほどPTSDっぷりが描ききれておらず、孤軍奮闘を応援したくなる感がないのが「フライトゲーム」である。   また、座席のそばにたまたまいた女性が、事件にまきこまれつつも、主人公の味方となって、一緒に戦ってくれる   という本作の展開は、私の大好きな映画「ミッション:8ミニッツ」を髣髴させ、しかし「ミッション:8ミニッツ」ほど、女性と主人公が深くつながりあうこともなく、結局ただ近くの席にいた親切なオバチャンというだけで終わってしまっているのが「フライトゲーム」である。   すなわち、既存の映画のデジャブ感がすさまじいわりに、不発に終わっているのが「フライトゲーム」なのである。   リーアムニーソンとジュリアンムーアがもったいないことになっているのが「フライトゲーム」なのである。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2018-03-31 17:51:10)
73.  スノーピアサー
見終わってもう随分たつのだが、いまだに記憶に残っているのは窓から出された腕が寒さでコチンコチンになってポンってたたいたらカチンって折れるという愉快な場面と、ティルダ・スウィントンの破天荒な怪演。  ティルダはもうね、魔女とか、女王とか、そんなの序の口で、背中に羽がはえちゃう現代に生きる堕天使とか、生き血を求めさまよう現代に生きるドラキュラとか、破天荒な役になればなるほど、さえわたる女優なんですね。  そんな彼女が、この映画ではもう完全にメーターの針ふりきっちゃってます。映画の中で走り続ける列車よりも、飛ばしてます。  地球をまわる列車が舞台ですが、一周まわってくる頃には、線路の上に大量の雪が降り積もってるだろうに誰が雪かきするんじゃい、雪かきせんで列車とおれるんかい、みたいなツッコミどころが大盛りサービスなんですが、この映画、ティルダを見るためだけに、また見直してもいいなと思う。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2018-03-29 18:50:33)
74.  マリアンヌ 《ネタバレ》 
期待はずれにして、オチは想定どおり。まことに退屈な作品である。  基本的な話しになるが、スパイ映画においては、敵が「おまえスパイだろ」と見抜く(あるいは見抜こうとする)場面での緊張感あふれる場面をいかに演出するかが、重大要素の一つだ。  で、この作品において「おまえスパイだろ」をやる役者が、アウグスト・ディールという脇役名人俳優。 実はこの俳優、「イングロリアスバスターズ」でも、ドイツ軍人役として登場していて、居酒屋で密談を交わすスパイたちを見抜いて「おまえスパイだろ」をやっている。 イングロリアスバスターズの、あの居酒屋でのシーンはスパイ映画の「おまえスパイだろ」の名場面の1つだと評価しているのだが、一方の「マリアンヌ」では同じ役者を使って、同じ行動(「おまえスパイだろ」)をやらせていて、どんだけ緊張感あふれる展開にさせるのかと期待させておいて、いまいち盛り上がらないままサラっと終了する。 これはもう、最高級のコーヒー豆と、お高いコーヒーカップを用意しておきながら、焙煎作業で失敗して最悪の味になっちゃったコーヒーみたいなものですよ。  そこですでにテンションは下がりまくりです。  そして、”美しき女スパイと、それを知らずに結婚する軍関係者。ふたりの未来の行方は?”っていう物語については、「マリアンヌ」と同じ2016年に公開されたレベッカ・ファーガソンの「愛の亡命」(日本劇場未公開)と同じ設定で、テンションが下がっている状態で「うん、でもまぁすったもんだやったところで結局、女スパイは彼と共に幸せに暮らしましたとさってならないんでしょ、選択肢は死しかないんでしょ」って思いつつ最後まで見たら、やっぱりそうなるんだから、もう、3点で精一杯です。  記憶に残っているものといえば、コティヤールが着てた衣装がどれもこれもテロテロのシルクだったなぁということだけ。 とにかく、ドレスやナイトガウンのテロテロしたシルクのツヤしか思い出せない。私の脳内では「マリアンヌ」=テロテロのシルクの映画、っていうイメージ。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2018-03-19 11:32:56)
75.  ラ・ラ・ランド 《ネタバレ》 
ミュージカルにしては、あまり盛り上がらないナンバー、おとなしいダンス。  でもミュージカルにしないと、魅せにくい ありがちなストーリー。  このジレンマのぬるま湯に上映時間の9割ほど浸かっていた。  最後の二人の再会のシーンで、ライアン君のピアノに乗せて「これまでの二人が、もしこうだったら・・・」という 妄想ワールドで観客をイッキに引き込む演出だけは秀逸だったもの、結ばれることのなかった二人が最後に微笑みを交わすエンドとか、うん、やっぱりありがちすぎて、結局ミュージカルでなんとか場を持たせてる作品でしかないと結論。  夢をもった二人。そして夢のために別れた二人。LAはそんなステキロマンスがそこかしこに満ち満ちています。ウェルカムトゥーハリウッド。ドリームズカムトゥルー!      うん、やっぱり浅い。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2018-03-09 13:31:06)
76.  オブリビオン(2013) 《ネタバレ》 
テッドの形や、テッド関連施設(スーツについたマークや監視施設のドアボタン)が、三角であったことに注目。 それら三角のマークは、この物語で描きたかったことをシンボライズしているのだ。  すなわち、ジャック、彼女の妻ジュリア、そして同じ職場の女クルーのヴィカ・・・NASAに努めるこの3人は、60年前、三角関係だった。 ヴィカは、ジュリアを愛するジャックに片思いをしていたということだ。  家に置かれた”夫婦2ショット”風の額縁入り写真も、60年前に宇宙人に拉致させる寸前に、宇宙船の中でジュリアが別室に入ったチャンスにヴィカかジャックに突然顔を寄せて、強引に撮影した2ショット自撮り(ジャックは「ちょっ・・・いきなり なんだよオイ?」と、ヴィカのほうに顔を向けた瞬間のショット)したものにすぎない。   60年後の現在、記憶操作をされたクローンのトムとヴィカは夫婦として監視役のチームとなっているが、途中でNASAの睡眠保管ケースにいた妻を見つけたトムがそのケースを基地に持ち帰ったとき、ヴィカは透明の扉を開けずに、彼を見て無言で涙を流す。 またヴィカは、ジュリアが目覚めたら彼女に謎の注射(ひょっとして恋路を邪魔する女を消すための筋肉弛緩剤か!?)を打とうともする。  ジャックもヴィカも60年前に宇宙人に拉致された際、記憶を消され、宇宙人と人類の敵味方の記憶を逆転させたクローンにされた。しかし、二人の心の奥に記憶された恋という感情は、クローンになった現在も完全に消すことはできなかったんですね。  ヴィカはジャックが夫という設定であることは、彼を愛する彼女にとっては受け入れることは容易、いやむしろ大歓迎なものだったのだろう。 だからこそジャックへの片思いの記憶が削除されて、ジャックと夫婦とされたリプログラミングもスムーズに成功していていて、ジャックとは違い、置かれた状況をありのままに積極的に受け入れている。  ひょっとしたら、ジャックが片思いの仕事仲間であることや、発見されたジュリアがかつての恋敵だと悟ってしまう瞬間があったかもしれない。 (特に透明扉で涙を流すあたりとか) が、それを頭の中で懸命に否定し<ジャック=任務を共同で行う夫><ジュリア=任務を邪魔する外敵>として認識することで、彼女は自分の女としてのプライドを保とうとすらしていたかもしれない。  しかしながらジャックは記憶を消されてもなお妻への愛情までは消せなかった。宇宙人のハイテク技術をもってしても消せなかった、その強固な思い。   この3人の恋模様に注目してね、ってことで、あの”▽”マークなのだ。 そう、だからこの映画は、SFの世界観で描いた、時空を超えるせつないラブストーリー。  レビューで、「ストーリーがよくわからない」という人達の多さに驚く。 こんなにシンプルなのに?なぜ?   ちなみに全てが解決してからラストで何食わぬ顔でヒョッコリ出てきたジャックのクローンである52番君。ジャックが時間をかけて築いたあの楽園の家と奥さんをそっくりそのままオイラがイタダキーって、ずるいけど、なんかにくめない。 まぁ亡くなったもともとのジャックもそもそもクローンだから、オリジナルのまま人工睡眠機に入っていたジュリアにとっては「まぁ、どっちでも同じかな♪(どっちもクローン)」ということで、見る側もなんか納得。
[CS・衛星(吹替)] 9点(2018-03-09 10:23:17)(良:1票)
77.  96時間 レクイエム
リーアムニーソンの娘が想定外妊娠。   彼女はそれをニーソンに黙っていて一人で悩んでいるが、刑事に追われるニーソンと学校のトイレで落ち合った際、個室トイレの中で突如ニーソンに妊娠を告白。   ニーソンはそんな娘を抱きしめるが、体育会系とーちゃんの脳内に、「妊娠した女性の体は気づかうべき」という思考回路はない。   母殺しの真犯人をつかまえようと、悪徳ロシア人のアジトに乗り込む際に、胎児の状態が不安定な妊娠初期の娘を同行させ、アジトの地下駐車場でニーソンとの通信係にさせるという、危険きわまりない仕事をさせるのである。母体のメンタルが胎児に与える影響など、体育会系とーちゃんにとってはおかまいなしだ。   さらに、そんな危険な状態においたものだから当然の流れで娘は真犯人に誘拐される。   するとニーソンは娘を人質にして小型ジェットで逃亡をはかろうとする真犯人を阻止しようと、ポルシェで飛行場の滑走路にツっ込み、車輪走行を始めて離陸態勢の飛行機にポルシェごと真横からヒット!  車輪を破壊し、ドカーン!! ! はらばい状態で急ブレーキがかかった飛行機は炎をあげながらガゴゴゴゴゴゴゴ・・・とぐるんぐるん回転しまくる。   ヤッタ!という表情のニーソン。しかし、娘のおなかの赤ん坊も、遠心力で胎内でぐるんぐるんはじき飛ばされているであろうことは、体育会系とーちゃんには想像することは不可能だ。  逃亡は阻止できたものの、胴体着陸の衝撃で、外部からの精神的&肉体的衝撃は避けねばならないデリケートな妊娠初期の妊婦はジェット機の中で座席からスっとび、真犯人にバシバシぶたれたり、銃をつきつけられる事態に。   娘が妊娠していることなど、娘を助けることだけを考えている熱血体育系パパの脳みそからは、完全にはじき飛ばされているのである。    かくして精神的・肉体的にもヨレヨレになった娘であるが、無事最後の場面では海辺で娘とニーソンは妊娠について話し合う。しかし。   「ママは殺されてしまったけど、今おまえのおなかの中にいるのはママのDNAが入っているわけだ。  つまり、唯一ママがいたことを存在する証明だよ。 だからパパはおまえにぜひ産んでほしい。 きっとその子はママの生まれ変わりだから。」   くらいのことを言ってほしかったが   実際は   「パパは寝ないで考えたんだが・・ ・・・       この件はおまえたちに任せるッ!!」       やっぱり熱血体育会系元CIAパパは、そのキャラクターどおり”家庭人”ではないということが立証された本作であった。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2018-02-23 08:20:06)(笑:1票) (良:1票)
78.  パーフェクト・プラン 《ネタバレ》 
ギャングのボスが持っている金は汚い。だから、やつに使わせるなら、別の人間が奪ってイタダイチャっても、それはそれでありだ。  というのが、この手の、作品の大義名分だ。たとえばウォシャウスキーの「バウンド」やサムメンデスの「ロードトゥパーディション」などなど・・・  でも「パーフェクトプラン」については、最後がスッキリしない。それはおそらく、バウンドやロードトゥパーディションなど、”ギャングのボスの金を奪う系”の映画として成功している例と違って  <イージーすぎる>  からだと思う。  夫婦のどちらも犠牲が出ていない。途中でちょっと巻き込まれちゃった、奥さんの姉妹と赤ちゃんも無傷。  一番盛り上がるはずの、屋敷でのハンドメイド殺傷トラップでのスッタモンダのところも、敵はギャングAもボス&部下、ギャングBもボス&部下という、たったの4人だけ始末すればよいことにしているので、あっけなさすぎて物足りない。  もっと中盤部分をスピード感ある編集にして、屋敷でのトラップ場面の尺を大きくし、敵の数を3倍くらい&トラップの数も3倍にすれば見ごたえもあっただろう。  あるいは、夫婦どちらも、かなりの重症を負って全治数ヶ月レベルになっていれば、最終的にギャングの金の一部を手にするための”ひきかえ”として相当だった。 ところが、夫婦はケロっと、お金を手にして、しかも「自然妊娠でできたわよ!フフゥ!」というオマケまでついて、車に乗って颯爽と新しい生活をスタートさせましたとさ、めでたしめでたし・・・なんて、虫が良すぎて、嫌悪感しか残らない。  さらに、中盤で銃で撃たれて倒れたのに死んでなかった警部。終盤では衝突事故で頭から血が出たまま動かなくなったのにまたしても死んでなかった。 この警部の、撃たれても衝突しても「ボクは死にましぇん」的スタンス。 鑑賞者を上手にドキドキさせる脚本が書けないがゆえ、こうやって主要人物を、完全に死んだようにみせかけて、実は生きてました~みたいな、そんなくだらない戦法しかとれないところもがっかりした。  「ミザリー」を保安官を見習えと言いたい。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2018-01-05 09:20:32)
79.  ザ・ギフト 《ネタバレ》 
昔自分に酷い嫌がらせをして人生をぶち壊しにした同級生。大人になってその同級生が夫婦としても会社員としても順風満帆になったところを、復讐のごとく、ぶち壊しにかかるゴートという男の物語。  不審な贈り物が届くというは、けっこう映画としては多い手法だけど、この映画が頑張ったところは、その贈り物が、いじめっこだった男の妻ロビンの赤ちゃん(つまり夫がいない間に不法侵入&寝ている妻に強姦)という大胆設定だったところか。  ただ、恐怖感というのもあまりなく、赤ちゃんをプレゼントとかいっても、だって当事夫婦はせっせと子作りに励んでいたし、一度きりの強姦で、ゴートの子がビンゴでできるというのは、いまひとつピンとこない。  さらに、映画のオチを想像するのが苦手な私でさえ序盤でゴートが家の中を案内されて、ロビンが「子供できたけど産まれなかったの」とさびしげに言ったときに、あ~ゴートはそのうち彼女に子供をプレゼント(強姦)するなって読めてしまったのだから、この映画はあまりよくできた作品とは言えないと思う。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2017-08-30 11:03:36)
80.  フッテージ 《ネタバレ》 
ミスターブギーが関連する、一家惨殺事件。定期的で、必ず8mmで撮影されていて、でも子供1名だけが殺害されていなくて失踪、現場に謎のマーク・・・こういった規則性が存在する頭脳派連続殺人事件モノは大好きである。「次はどんな手口で?」という、ゾクゾク感が大好きである。  ところが、「フッテージ」は恐怖が右肩下がりだ。その理由は”話しが進むにつれ、つくりが雑になっていく”から。  8mmのタイトルには「バーベキューパーティー」「プール遊び」など、朗らかな家族の記録の雰囲気がただよっていて、また映像の冒頭もそういった家族の幸せそうな様子が写し出されているからこそ、映像後半の残虐な殺害シーンが痛ましく、そのギャップゆえに面白いのである。  ところが、その後で再生される「おやすみの時間」や「芝刈り」は、家族の朗らかな場面がなく、いきなり殺害シーンのみの映像になる。 あっけないその殺しっぷりに、「あれ?ゾクゾク感はどこへ?」となる。  そしてイーサンホーク一家の殺害に至っては、記録される8mm映像は娘がいきなりオノでバッサリやってる場面だけの映像になっているわけで、もうまったく怖くもなんともない。  考えてみればそもそも、殺害された一家は、”幸せで仲良く暮らす家族”であるからこそ、突然まとめて処刑という悲劇性とのコントラストが素晴らしいのだが、イーサン一家は当初から夫婦関係も親子関係もうまくいってないから”仲良く暮らす家族”の映像もとれないし、お金もないからバーベキューだのプールだのといった映像もとれないのも当然だ。 そういうイーサン一家を主役にすえたこと自体が大失敗なシナリオとしかいいようがない。  私だったら、家族関係も良好な大金持ちの大人気作家が、興味本位で事故物件に移り住み、休日は家族仲良く庭遊びを楽しみつつも、好奇心本位から見た8mm映像でノンフィクション作品を執筆することを思いつき、不安をあおられつつ、いつのまにか連続殺人の輪に加わっていたという流れにしていただろう。   連続殺人の規則性は、引越し先の問題なので、どうしても”殺される一家は幸せで仲良しな暮らしっぷり”である規則性は要求されないのかもしれない。 でも、当初の8mm映像の編集が  ”前半:家族の幸せそうな休日風景” ”後半:いきなり惨殺で悲惨な風景”  という構成で来ていて、そういう悪趣味なつくりが恐怖心をあおるのだから、8mm映像は一貫してそういった編集であってほしかった。  それにイーサン一家の殺し方も、デッキチェアにしばりつけた家族をロープでプールに引き込むとか、クサリでぐるぐる巻きの自動車の中に家族を入れて着火とか、首吊り前の状態から木の枝が折れるにしたがってだんだん首吊り状態になるというタメをきかせた殺し方といった、殺害現場の舞台演出がまったくないところがガッカリである。  イーサン一家こそ、庭の木でジワジワ首吊りの刑をやって、娘が木の影からランララ~ンみたいに無邪気にスキップして出てきたほうが、ラストシーンとしては衝撃だっただろう。  冒頭にその首吊りシーンをもってきてツカミはOK。からの、作りが次第に雑になっていき、ラストシーンで一番の手抜き。とんだ尻つぼみ作品である。  手足をしばって口をふさいでオノでバッサリとか、歴代の殺しかたでは一番ツマンナイではないか! それって「おやすみの時間」の二番煎じではないか! エグゼクティブ・プロデューサーであるミスターブギー氏もダメ出ししてくるような内容ではないか! ブギー氏にお姫様だっこされてる場合じゃないぞ長女!  とりあえずミスターブギーの正体は両刀使いのロリコンであることは分かった。
[CS・衛星(字幕)] 1点(2017-08-09 07:41:50)(良:1票)
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