1501. デスフォレスト 恐怖の森
《ネタバレ》 フリーのホラーゲームの映画化らしい。ストーリーは殆ど無く森で怪物に襲われるだけという映画だが、怪物の造形や(例のあの顔)、終盤のバイクで怪物に追われるシーン、あと食堂の胡散臭い老婆の雰囲気等はそこそこ良くなくもないように思う。ただ、中盤の恐怖シーンはいくら何でも暗すぎて(森の中でほぼ自然光という)何をやってんのか全く分からない。モロ低予算な感じ。 [DVD(邦画)] 4点(2020-01-03 22:52:03) |
1502. 人間失格 太宰治と3人の女たち
《ネタバレ》 やはり、なんか色々と腑に落ちないなあという作品。比較的行動原理のハッキリしている女3人(太宰に傑作を書かせたい本妻、太宰の芸術の一部になりたい愛人一号、太宰と死にたい愛人二号)についてさえも、端的にその場面でどういう心情でそうしているのかが伝わらない場面がかなり多い(殊によく分からんのが宮沢りえの本妻)。それよりも何よりも太宰本人について、何故にそこまで破滅的に堕落しているのかすらサッパリ分からない上に、創作意欲を含めて何かに対する情熱・思いというものも更々感じられず、唯々しょーも無い駄目男にしか見えない(傑作を書きたいとも思ってなさそうだし、本気で死にたいとも思ってなさそうだし、女を本当に愛しているという風にも見えない)。 それでいて個々の演技は総じて妙にテンションが高いのが多いので、更にピンと来ない上に上滑り感も強く、鑑賞中ずっと頭に「?」が浮かびっぱなしだった。ただし、気合の入った俳優陣の演技はあくまで表面上はそれなりに上質で、映画のテンションを保つのには辛うじて成功している(脇役の男共(特に藤原竜也)の演技は中々良かった)。 美術・映像の点では今作は大分大人しいように思うが、それでもハッとするような質の高いショットも散見され、ここは流石の蜷川実花と言うべきクオリティが健在。やはり問題は、主役の太宰の人間の掘り下げが非常に甘い・いい加減なことに尽きるように思う(土台、実話が題材なのにこれが真相だとは全く思えない時点で、どこか違う星の話にならざるを得ない)。蜷川実花の映画としては、これでも実は一番中身があるようにも思うが、所詮またこれも「上っ面だけの」映画だと言える。観たいのは「何故太宰が『人間失格』を書けたのか」「書けたのに何故死んだのか」の真相なのだ。 『ヘルタースケルター』では脱いでたエリカ様は今回は鉄壁で、二階堂ふみだけが乳首出してるという点も不釣り合い。役柄的にも絶対NGな片手落ちだと思う。 [映画館(邦画)] 4点(2020-01-03 19:10:53) |
1503. プラネット・テラー in グラインドハウス
《ネタバレ》 B級を装った完全なA級(ブルース・ウィリスとか出てるし)。グロ描写(ゾンビの造形・血飛沫・特撮等)はどれもかなりクオリティが高く、かつ大盤振る舞いでこれだけでも非常に爽快。随所に挿入されるお下劣ギャグもとても笑える。加えてアクションも爆発過多な上にまずまず出来が良い。ローズ・マッゴーワンは常に誘ってるかのような目付きで全編通して色気全開。B級映画の良さをA級に実現したある種の傑作。 [DVD(字幕)] 8点(2020-01-03 10:51:25) |
1504. アイリッシュマン
《ネタバレ》 決して面白くなくはないし、長尺ながら全く退屈した時間も無かったのだが、どこかこう(淡々としてるとまでは言わんが)少し抑揚を欠き、なんか平坦だなあという印象。例えばそれは、この手のギャングの一代記によくある「血気盛んな若造時分のエピソード」を殆ど描いていないことが原因だったりするのかも知れない(CGその他も使っているようだが、70過ぎたデニーロが演じるには40代が限界ということだろう)。あと、特に暗殺その他の犯罪シーンでは逆にデニーロの「手際が良過ぎる」ようにも感じる。何と言うか一本調子で、3時間も掛けてるのにゴールまでノンビリ一直線、という印象が拭えない。これで3時間半つーのは正直限界に近く、Netflixで好きなタイミングで止めながら観るのが前提?とか思ったりもする。同じマフィアの話でも(しかもキャストも激似だが)『グッドフェローズ』のテンション高くてノリの良い感じの方が映画としては大いに好みだが、それよりも更に晩年のヤクザを描くというのが全体のコンセプトということなのだろう。その意味ではややシニア向けの映画であり、一応まだ若者な私には少し早いとも言えるのかも知れない。 しかし、何回目だよと思わせるデニーロ&パチーノ御大のヤクザ芝居は円熟味も増して実に結構(演技の強度もそこそこ高く、年の割りに超頑張ってると言えるし)。また三顧の礼で出て貰ったジョー・ぺシの眼力も健在で、凄い迫力。加えて、どの場面も十分に金を掛けて細部まで精密かつ豪華につくり込んでいるのが一目瞭然なゴージャスさ。これらだけでも観る価値は十二分だと断言できる。 [映画館(字幕)] 7点(2019-12-31 11:54:28) |
1505. ウエスタン
《ネタバレ》 長尺とは言え、これは一本の映画でありながら、大河ドラマと見紛う程の壮大で重厚な見応えは正にレオーネ的一大西部映画叙事詩、ある点で確実に「映画を超えた」映画だと思う。この奇跡の様な演出を可能にしているのは、第一に監督の優れた時間感覚、また画面に入りきらない程の顔面ドアップの連発全てを目だけで何もかも語って成立させる俳優陣の卓越した表現力、そしてモリコーネの傑出した音楽に他ならない。冒頭の15分こそ、私の最も好きな「映画のオープニングシーン」である。典型的西部劇ながら最後までダレない展開運びもまた見事。ド級の褐色美人クラウディア・カルディナーレはもはや女傑と言ってよいイイ女っぷり。ブロンソンもフォンダも格好良過ぎる。超オススメ。 [映画館(字幕)] 9点(2019-12-31 01:58:14) |
1506. ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ/完全版
レオーネ的時間感覚がもたらす荘厳な映像空間は、これを観ることである一つの人生を追体験することを可能にする。そしてそれは、確実に絶望的な程に苦かった筈なのに、それでもどこまでも、ただひたすらに甘い郷愁であった。誰の人生においても、いずれ時が何もかもを融かすのだろうか。人生は所詮、夢まぼろしか。確かにこれは、人生が終わるときに観るべき映画だ。 [インターネット(字幕)] 10点(2019-12-31 01:52:45) |
1507. マリッジ・ストーリー
《ネタバレ》 人間関係の中でもとりわけ男女の関係にはアンビバレントなものが生じ易く、それを法律で何とか白黒つけまっせという離婚調停という代物は、極めて構造的で深刻な矛盾を孕んでいる様に思う。名作『クレイマー、クレイマー』に大分似通った状況設定だが(男親が後手を踏んで慌て出すのもソックリ)、本作のコンセプトはその離婚調停の顛末を描くことと言うよりは、この状況が露にするアンビバレントで複雑な男女2人の関係性を描くことにあるように思う。 演出面でも、随所で明確かつ絶妙にコミカルながら、シリアス有り、ペーソス有り、更にハートフルまで有りな、混ざった味が色々と美味しい映画だったと言える。その意味で圧巻だったのは中盤の壮絶な口論のシーン。真っ赤な鬼の形相で泣きながら喚き合う様は、極めてスリリングながらもどこか実に滑稽でもあり、そして最後には心の底から哀しかった。主演二人の演技は文句無しに出色(特にアダム・ドライバー)。加えて、終始イラっとさせるローラ・ダーンも素晴らしい出来だった。オススメ。 [映画館(字幕)] 8点(2019-12-30 18:30:43)(良:1票) |
1508. テリファイド
《ネタバレ》 ある家を舞台に次々と怪異が発生していくというシンプルなホラー。ストーリーに特に内容がある訳では無く、思い付いたショック描写を繋げていっているというのに近いが、そのショック描写はどれもかなり気色悪い&禍々しい出来映えで(中盤の子供の真っ黒腐乱死体なんかは夢に出そう)、驚かし系の巧さ・切れ味も有って正直に言って相当怖い。怖さのレベルの割には比較的安上りな仕掛けも多く、なのであんまり大々的にCGも使っておらず、アナログな質感の画面が多いことも恐怖を増している要因に思う。やっぱホラーは下手にCG使わない方が怖い。 [インターネット(字幕)] 7点(2019-12-30 00:39:23) |
1509. 映画立川談志
落語も映画と同様に、その最良のものは何らかの独特なテーマ・世界観を包含する。立川談志という落語家は、その生涯を掛けた真摯な「落語とは何か」という本質の追求をもって、非常に深い自らの「世界」を構築した表現者であった。 その談志の、バラエティに富んだ種々の思考・蘊蓄がただ炸裂しただけかの様な、一風変わった『薬缶』を導入編として持ってくるセンスがまずもって非常にニクい。そして『芝浜』。財布を拾ったのを夢と信じ込んでしまう様なただただ人の好い亭主、そしてよくある「賢妻」と言うよりもやや蒙昧ながらとても一途な女房を、たっぷりとした重厚な演技でつくり上げてゆき、少し独特で一味違った奥深い愛の物語に仕上げている。正に真骨頂と言うべき素晴らしい二席を存分に堪能した。立川談志の入門編として、非常にオススメ。 [インターネット(邦画)] 8点(2019-12-29 22:34:03) |
1510. ルーム
《ネタバレ》 何しろ良く出来ていると思うのはやはり、部屋から脱出してもその後万端良い方向に運ぶ訳では無いという展開。冷徹なリアリティを生み出すと共に、「世の中というのは誰に対してもそんなに優しいばかりではない」という示唆的なメタファーだとも感じられる。 このリアリティも相まって、全編この上なくシビアで深刻な苦しさに満ちた作品でもあり、観ていて楽しいという作品でないのは間違いないし、珍しく何度も辛くて泣きそうになったが(後半、部屋から出た後の方がむしろ辛かった)、その苦しさによって、もう一方でこの映画の中に描き込まれるポジティブな人間性は、より真実性を増して心に強く感じられるように思う。親子の愛、子供の純粋さ、再生に向かう人間の逞しさ、そして弱さ(弱さというより、人間の慈しむべき優しさであるように思う。他者を憎まないために、人間は弱さを持つのだろうから)。個人的にはジャックを受け入れられない父親のシーンが、一番感情を揺さぶられた(演技も良かった)。重ね重ね、決して娯楽や暇潰しになるような映画ではないが、覚悟を決めて是非観ていただきたい。 [インターネット(字幕)] 9点(2019-12-29 19:23:35)(良:1票) |
1511. ガルヴェストン
《ネタバレ》 終始わりと重苦しいシナリオの出来は個人的にはやや期待以下に感じるが(エル・ファニングを呆気なく殺し、そこから20年時間が飛ぶというのはある意味斬新だけど)、逃避行の切羽詰まった感じや、全体のやるせない感じなどの雰囲気自体はそこそこ面白いし、演出・演技も決して悪くはないと思う。ただ、前述通りシナリオもそこそこ程度で、その他も総合的にはそこそこ程度。そこまで期待しないで観るなら、そこそこ楽しめると思う。 [映画館(字幕)] 6点(2019-12-29 14:00:39) |
1512. オンネリとアンネリのふゆ
前作よりも更にファンタジックな仕上り+今度は冬&クリスマスの情景。色々と可愛くキレイでカラフルなのも引き続き。前作で構築した状況・キャラ設定を前提として話が進むので、2作合わせて鑑賞したいシリーズ(時間も手ごろだし、続けて観れば幸せな午後を過ごせそう)。 [インターネット(字幕)] 6点(2019-12-29 13:35:18) |
1513. オンネリとアンネリのおうち
スローライフな子供映画。セットのおうちをはじめ、衣装・小物・食べ物・お花に至るまで、とにかく何もかも可愛くてキレイでカラフル。ほっこりした話の内容も悪くないが、細部に至るまでの細やかな心遣いとつくり込みが非常に好印象。 [インターネット(字幕)] 7点(2019-12-29 13:31:10) |
1514. 屍人荘の殺人
《ネタバレ》 ※以下、盛大にネタバレしてます 今回は映画と小説どっちからにするか少し迷ったが、小説は文句無しに高評価の嵐なので小説を先に読んだ。原作は、そこそこ本格ミステリーwithゾンビ、という(映画ファン的に)キャッチーなコンセプトにせよ、程よくコンパクトなボリュームにせよ、そして主役の探偵が美少女という設定にせよ、映画化には持って来いな内容にも思える(むしろ狙って書いたかのような)。ただ、原作をちゃんと読んで最も素晴らしいと思ったのは、ゾンビという劇薬注入をクローズドサークルの舞台設定のみならず、メイントリックにも巧みに絡めることに成功したミステリとしての出来の部分だ、とは感じていた。 その上で映画の方だが、結論から言うとかなり巧妙に映画化した成功例だと感じている。映画にするならば、最初と最後にゾンビな場面を(ある程度の尺)挿入しなければならないのは明白で、ここで尺が取られる分、舞台設定・導入部分と事件発生の部分を思い切って思いっ切り省略したのは、最善ではないにしろ限りなく正解に近いと思う。一方でその分、謎解きと種明かしには比較的時間を割いてしっかりつくっており、トリックの明快さを損なわずに原作のミステリとしての面白さはかなり再現できていると思うし、加えてゾンビパニックシーンもそこそこしっかり出来ているので、映像化した意味は十分にあると思う。 ただ、私は原作を読んでいるから良いのであって、初見の人にはかなり辛い映画だと思われるのも事実である。前述どおりの序盤の駆け足ぶりで物語に入り込めないということも多々あるだろうし、あれだけバリバリにキャラがキマッてる明智が開始40分でフェードアウトするのは、宣伝を受けて観にきた原作未読者にはハッキリ言って意味不明だと為りかねない(そもそも明智の出来が非常に良かったのでこれは単純に勿体無いし、居なくなるならあんなに熱演する意味すら感じない、というのが正直なトコロ)。あと、ゾンビを含めた事件全体の空気が相当に陰惨であるのに、全体の雰囲気がかなりコメディ寄りに仕上げられている点については、これもそもそも「笑えねーよ」となる人も多いのではないか(ただ、個人的にはこれについては、比較的単調な中盤の謎解きシーンでのテンションを維持するためにも、あと、これもガンギマリな比留子のキャラを生かし切るためにも、コメディ寄りな演出方針自体は決して悪くない工夫だ、とは感じている)。 重ねての結論、2時間という尺に嵌め込まれてしまった中での今作の全体の構成と種々の工夫は、これを鑑みるに決して悪くない仕事だとは言えるのではないか。続編があるかと思うので、更なる向上を期待したい。個人的には、ある程度は満足。 [映画館(邦画)] 7点(2019-12-28 23:22:41)(良:1票) |
1515. トランスフォーマー/最後の騎士王
《ネタバレ》 世界観・地球の実際の歴史との整合性から、キャラ設定・展開運び・個々の演出・小ネタに至るまで、超絶的に理解不能なトンデモ(ハリウッドの大作としては稀に見る滅茶苦茶)。誰が誰で、何処で何の為に何をしてるのかがどれもサッパリ分らず、全く付いていけない(付いていく気力が湧かない)。今作に関しては肝心のアクションも完膚無きまでに平凡。問題作というか駄作というか… 鑑賞が前後したが『バンブルビー』では本作は完全に「無かったこと」になっている(非常に賢明な判断)。そうせざるを得ない程度の出来だったとゆーことを推して知るべし。 [インターネット(字幕)] 3点(2019-12-26 01:49:25) |
1516. トランスフォーマー/ロストエイジ
《ネタバレ》 壊滅的に訳の分からないストーリーと、絶望的にクソ長い尺は許容範囲を二回りは超過している(最初の100分はかなり辛かった)。しかし、やはりというかラスト1時間は例の如くの怒涛のアクションがかなり素晴らしい出来(話は引き続きサッパリ分からんが)で、少ーしマイナスではあるが帳尻は合っている感じ。トランスフォーマーのデザインが大分カッコ良くなってるのと、バンブルビーを筆頭にオプティマス以外にも活躍する味方が増えたのも地味に良い点かと思う。評価は極めて難しい所だが、特に劇場で観たらそれなりに満足するかも(問題作気味とも言える)。 [インターネット(字幕)] 5点(2019-12-26 01:47:53) |
1517. いちご白書
学園闘争真っただ中を描いた青春映画にして、典型的アメリカン・ニューシネマな閉塞感が充満する雰囲気も悪くは無いのだが、やや閉塞・停滞し過ぎており、映画としては不必要にノンベンダラリとしており全編かなり退屈。ただ、この時代に活動に身を投じた学生の動機のホントのトコロを的確に描いているようにも思う(ノリというか、ヤケクソというか、本気かつ論理的な動機で活動していたと言うよりは、分り易くて一見意味の有る(一方で実を結ばないのが分かり切っているがために逆に敗北の無い)闘争とやらに飛び付いただけなのではないかとも思う)。マジメな題材を扱っているようで妙に暢気な主題歌にも、その雰囲気が滲み出ているように感じた。ただこれも一つの「時代」(とその「空気」)を封じ込めた映画としては、それなりに価値は有るのかも。 [DVD(字幕)] 4点(2019-12-24 23:16:59) |
1518. 大地の時代
《ネタバレ》 ブラジル産・スーパーアヴァンギャルド。ストーリーは皆無で、ブラジルを舞台に展開される異様な映像が、言ってる意味の全く分からない政治的・宗教的(ぽい)主張の繰り返しと共に、雑多なゴタ混ぜだがとにかくソウルビートで躍動的な音楽を背景にして2時間半に渡って繰り広げられる。感じられるのは、政治的秩序・宗教秩序が機能しないが故の絶望的な混沌(カオス)と、カオス故にもたらされる危険なまでの「生そのもののエネルギー」と言うべきか。同じ台詞を意味不明に延々繰り返す様をぶっ通しで撮り続け、それを編集せずにそのまま本編にブチ込むという奇抜な演出を多用するのもあり、前衛映画としてはデンジャラスなまでに長尺だが(とあるミニシアターで鑑賞したものの、周囲の客はほぼ寝てた)、個人的には相当に観入ってしまった。稀代の奇作にして、一級品のアート系。 [映画館(字幕)] 7点(2019-12-24 22:59:11) |
1519. スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
色々とツッコミ所は限りなく有れど、そこはツッコんだら最早負けだ。設定やら整合性やらを考え込んだ時点で負けだと思っている。そしてスターウォーズの続三部作とは言え、この手の超大作に求められているものは(作家性でも深い世界観でもなく)、ベタだろうが二番煎じだろうがとにかくただひたすらに「エンターテイメント」であることの追求なのだ。その意味で言えば、(数多の疑問と、もたらされる感動の「チープさ」に辟易しながらも)実際に観た感想として、本作は100%「面白い」映画だと断言できる。騙されたと思って是非劇場で鑑賞していただきたい。 ただ、続三部作は、エンターテイメントとして『最後のジェダイ』を除く2作はまずまずな出来とは言え、「こんな話になるんじゃないかな」or「こんな話になったらヤダな」の想像の域を殆ど逸脱しない在り来りな仕上りで、つまり、この三部作に本来求められる期待値「(旧三部作の如く)歴史を変える程の」傑作の域には到底達していないのは確実である。そもそも、続三部作を観終わってふと思い巡らせた時に感じるのは、「旧作キャラの俳優が元気なうちにやっておきたい”金儲け”」が真のコンセプトだったのではないかという絶望感でしかない。 いまどき、長編三部作で壮大なテーマ・ストーリーを展開するチャンスなど本当に限られた映画製作者にしか掴めない「天運」であるのに、それを一つ見事に喰い潰したこと、そして、スターウォーズという稀代の映画シリーズのレガシーを(新たなレガシーをつくるのには失敗した上で)これもただただ喰い潰したこと。続三部作を改めて鑑賞し終わって(本作単独での映画としての評価とは別に)その2点を率直に残念に思う。 [3D(字幕)] 8点(2019-12-21 23:27:20)(良:1票) |
1520. 卍(1964)
《ネタバレ》 ほぼ原作通りな映像化だが、中々に一癖有る女な若尾文子は演技に加えて妖艶な美貌も冴え渡っているし、岸田今日子のヒステリックな様子もかなりグッド。岸田今日子について言えば、彼女の(感情的な演技とは対照的な)無感情な「語り」のシーンが、本作の文芸的な趣の大部分を形作っており、ナレーターとしても非常に優秀だと感じた。和製文芸映画としては文句無しに傑作の域。 [インターネット(邦画)] 8点(2019-12-21 02:37:32) |