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1.  ザ・サークル 《ネタバレ》 
巻頭のシーンをはじめ、ヒロインがカヤックを漕ぐシーンが幾度かあり、中盤のある事件の伏線として確かに強引に機能はするのだが、 それ以上の積極的な意味が見いだせない。人物描写としてもチグハグで、メタファーにもなりきれていない。 ラストシーンもカヤックだが、友人の命を奪ったドローンに対して、「Hello」はないだろう。 終始、血の通わぬキャラクターだ。  ある程度わかりきったストーリーでも画面で引っ張ってくれればいいが、その点 ヒロインの親友役:カレン・ギランの扱いが面白い。 まずは電話音声での登場、入社したヒロインを連れ颯爽と案内していく。 片や壇上でスポットライトを浴び、片やそれを暗い客席から見つめる二人の逆転と対比。 隣り合った個室トイレの中での、二人の交わらない切り返し。 そして暗いベッドの中と、開放的な自然の中、それぞれが小さなスクリーンを介して心を通わせる二人の切り返し。 決して上手い処理とは云えないが、二人の関係性の変化を描写する工夫の痕跡はみえる。  大スクリーンを使ったどんでん返し自体も大したものではないが、 トム・ハンクスとエマ・ワトソンの視線劇がなかなか見せる。
[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2017-11-12 20:37:49)
2.  猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) 《ネタバレ》 
地下道の壁面に書かれたApe-ocalypse nowのもじりが仄めかすかの如く、 後半はそれらしきイメージが頻出する。 ヘリ部隊の来襲、独立王国、水平面から浮かび上がる顔のクロースアップ、大佐殺し、、、。 ナイトシーンに青ではなく黒を用いて映し出されるシーザーの苦悩する表情のアップは、 その心の『闇の奥』を映し出すかのようである。 その彼を癒すように、フードの影の中にほのかに照らし出される少女の慈愛の表情が素晴らしい。 梗概上の設定が、サイレント映画的な美しいシーンとして結実した。  ラストで三部作を締めくくるのは美しい黄昏の光なのだろう。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2017-10-16 23:04:22)
3.  ザ・マミー/呪われた砂漠の王女 《ネタバレ》 
街中を走り素潜りチェイスを繰り広げるのみならず、輸送機が墜落していく中、機内で上下左右激しく投げ飛ばされ、 ネズミには襲撃され、ヒロイン2人とラッセル・クロウには散々に痛めつけられる。 アクション志向が昂じて、もはや被虐趣味の域にもみえるトム・クルーズである。  ラッセル・クロウのみならず、いずれも正邪が入り混じったキャラクターであるのが特徴で、 ドラマを一層混沌とさせているのが面白いといえば面白い。
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2017-09-02 16:35:25)
4.  ザ・コンサルタント 《ネタバレ》 
ガレージのシャッターが上がるタイミングに合わせて、芸術的な呼吸で車を入庫させるベン・アフレック。 二度目のショットでは、シャッターに接触させてしまうことで、業務が不完全なまま解雇された動揺を仄めかす。 これがシャッターを利用したキャラクター描写の例。  デスクに伏して眠っているアナ・ケンドリックをわざと起こすためにガラスドアを少し乱暴に開ける、二人の初対面のシーン。 対するはソファに眠る彼女を起こさないように気遣いながら、彼女を見納めながらやさしく静かにホテルのドアを閉じる、情感豊かな二人の別れのシーン。 こちらはドアを反復活用した感情変化の描写の例だ。  冒頭の逆光のドアをはじめとして、車のドアやエレベータの扉や抽斗など、サスペンスにロマンスに、とにかくドアを駆使した映画ともいえる。  謎解きパートは少々長いし、ジョン・リスゴーも少々小者ではあるが、各キャラクターの設定を巧みに活かしたドラマはなかなか面白い。 会計監査業務をガラス壁やボードを使ったアクションとしてみせる、童謡などの伏線のあれこれも漏れなく活用するなど、巧妙だ。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2017-01-25 14:26:29)
5.  サウスポー 《ネタバレ》 
失意のジェイク・ギレンホールの矮小さを俯瞰ショット、あるいは寝室の鏡、階段奥などの行き詰まりの陰影を以て表現したりもする訳だが、 ふと気を許すとまた顔面がスクリーンを占拠しだす。  画面奥の暗がりに座り込む彼から送られたピントが、娘が描いた家族の絵の方に合わされるのだが、 こうしたショットもかなり杜撰な上、肝心のファイトシーンの編集もちょっと許容出来ないレベルの乱雑さだ。 せめて音楽で盛り上げて欲しいところだが、ジェームズ・ホーナーを起用しながらほとんどメロディが印象に残らない。 新トレーナーとの交流、娘との葛藤ともども淡白すぎて劇になりきれていない感じである。
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2016-06-09 22:25:03)
6.  ザ・ブリザード 《ネタバレ》 
冒頭の車内の会話シーンから、3D映画らしからぬ深度の浅いショットとダサいピント送り、そして光量・光源不足の画面に萎える。 (ナイトシーンが多い事とは全く関係ない。) 2、3ショットで済むシーンに5、6ショット用いる不経済にも気が重くなる。  ホリデイ・グレインジャーを特権的に撮っているのは、公衆電話口で振り返らせる印象的な出のショットからして明らかだが、 彼女の出番が多い分、活劇の進行も鈍っている。だから陸のシーンは総じて退屈だが、海に乗り出して以降はようやく映画も動き出す。  ワッチから操舵盤のケイシー・アフレックまで、乗組員らが伝言を繋げていく縦移動ショットなどはなかなかの盛り上がりだ。  前半の露出アンダー気味の画面も、ようやくラストの暗闇に瞬くヘッドライトの光で報われる。 ライトを一旦消して点け直させるのは間抜けとしか思えないが。
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2016-03-03 23:22:51)
7.  ザ・ウォーク 《ネタバレ》 
パリの町中、歌を披露するヒロインとの出会いは視線劇から始まる。主人公の作った輪の内と外で今度は彼女とのパントマイムが始まる。 突然に雨が降り出し、彼は彼女を大きなパラソルの輪の内側へと招き入れる。2人が心を通わしていく流れがテンポよく進んで心地いい。  軽快な大道芸の動きの楽しさ。米語と仏語が交じり合う、言葉の響きの楽しさ。ふと挿入されるサイレントの趣向。 こうなると、ルネ・クレールを連想せずにはいられない。  高層階を一気に上っていき街を一望するカメラも、「自由の女神像」の上での語りも、 緊張のクライマックスに静かに『エリーゼのために』を奏でるセンスも、そこに通じるような感覚がある。  夜明けに向かい、うっすらと明るくなっていく地平線。 ジョセフ・ゴードン=レヴィットが歩みだす直前、雲が切れて景観が広がる瞬間には、張られたワイヤーの直線が生む 造形美とともに、映画の美がある。  エレベーターの運転員をはじめ、ビルを建造した作業者たちが連行される彼を拍手で讃える。 このようなシーンがあるゆえに、ラストに映し出される二棟のビルのロングショットの感動が増す。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2016-01-27 16:41:44)
8.  サボタージュ(2014)
『ラストスタンド』のラストにはそれなりに体を張った アクションを見せたシュワルツェネッガーだが、 こちらは芝居もアクションもかなりの省エネモードである。  白髪髭も目立ち、動きの鈍重さもますます顕わになり、 ドラマの哀調には適った形になっている。  荒んだ家屋や汚物の中、グロテスクな屍体の検視に立会い、 血合に塗れながらも 捜査を進めていくオリヴィア・ウィリアムズの健闘ぶりが際立つ。 
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2014-11-28 23:56:46)
9.  猿の惑星:新世紀(ライジング) 《ネタバレ》 
傷ついたシーザーは街中に運び込まれるが、特徴的な窓を持った家の前で 車を止めさせる。 手術後、ソファを抜け出した彼は屋根裏部屋で通電しているホームヴィデオを見つけ その再生画面に見入る。 それまでの展開にしても、前作を踏まえずとも物語の流れを理解できるような 最小限の補足がされているが、ここで映し出される小さな一つの画面は、それだけで 彼の生い立ちと思想形成の背景の雄弁な描写となる。  この小さな画面が感動的なのは、無論そこに彼のノスタルジアに対する共感があり、 エイプたちが不要としていた電気の生み出す肯定的な光の感動があり、 かつ幾度も繰り返されてきた「HOME」の語の響きがあり、 『そして父になる』のデジタルカメラのような「他者が撮ってくれた自分」が 映し出されるエモーションがあるからなのだが、 加えて、ここではそれが再生装置たるムーヴィー(映画)に対する ささやかな讃歌ともなっているからだ。  『カイロの紫のバラ』のような、『ニューシネマパラダイス』のような、 映画の映写光の反射を受けながら画面を見つめる者の表情が生み出す情感という 美しい細部がそこにある。  そして、映画はその画面をラストに反復する。モニターが映し出していた ジェームズ・フランコとシーザーの抱擁は、その位置を置き換えて ジェイソン・クラークとの間に交わされる。 この小道具の活用法は見事だ。  そして人間は暗闇の中に消え、エイプたちは陽光の中に出て行く。 このシーンも光と闇の画面によって物語を語っている。  前半の露出アンダー気味の曇天や薄闇が、怒りの炎や爆発、夜明けの光を活かす 後半のためにあったことがわかる。     
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2014-09-21 21:17:17)
10.  殺人者(1946)
車のフロントガラス越しに照らし出される夜の街道。同乗している男二人のシルエットが浮かび上がるファーストショットから、ノワールムード全開である。  その直後のシーンに登場するダイナーの長いカウンターや、広い鏡を配したバーの内装の立体的造型が画面を引き締めている。  侵入から逃走まで、クレーンをダイナミックに使った長廻しによる強盗シーンもまた、奥行き豊かな空間とアクションの流れを作り出している充実したワンショットだ。  同伴のヴァージニア・クリスティーンそっちのけで妖艶なエヴァ・ガードナーに目を奪われるバート・ランカスター。その三人の配置と、スリリングな視線劇の妙味。 そしてファム・ファタルを妖しく照らし出す照明術の冴え。  あるいは、対峙した保険調査員エドマンド・オブライエンの一瞬の隙を衝いて拳銃を蹴り払い、一気に形勢逆転するジャック・ランバートの敏捷な動き。その緩から急への反射的アクションを捉えたワンショットの充実度。  さらには、クライマックスの感情を形づくるアルバート・デッカー邸内部の光と闇の拮抗。  スティーブ・マーティンの『四つ数えろ』でも多くのシーンが引用されているように、全編が見所といっていい。 
[ビデオ(字幕)] 9点(2011-11-22 22:33:44)
11.  猿の惑星:創世記(ジェネシス) 《ネタバレ》 
ホークスの『モンキー・ビジネス』(1952)で、チンパンジーが錠を外して檻を抜け出し、若返りの新薬を調合、味見し、それを人間の給水機に混入させてしまうまでを驚異の2ショットで本物に実演させてしまっていることを思えば、CGIの時代に人間の演技を模写・変換した合成キャラクター自体は、予想を超えた動揺や驚きといったものをもたらすべくもない。(本物のチンパンジーの、時に意表を衝く豊かな表情変化は「非心理的」で実に見事だ。) 人間の演技と表情を模した生物の人間的倫理に共感性がもたらされるのはある意味当然のことであり、眼による感情表情を中心としたそれも人間の理解と納得の範囲に納まるものでしかない。  ゆえに、ドラマとして彼我の優劣を決定づけ、かつ映画としての驚きとスペクタクルを呼び込むのはその身体能力の圧倒的差異である。  映画の後半部、金門橋の上部・下部構造を駆使した登攀、懸垂、跳躍、疾駆の「超人的」アクションと、それを捉える縦横無尽の流動的カメラワーク(横移動、縦移動、空撮俯瞰)が断然素晴らしい。  同時に、仲間の殺傷行為の暴走を制止しようする「手」による反アクションのアクションが情感と同時に批評性を伴って迫る。
[映画館(字幕)] 8点(2011-10-16 22:14:15)
12.  ザ・ウォード/監禁病棟 《ネタバレ》 
何度失敗しようが、諦めずに脱走を試みる不屈のヒロイン(アンバー・ハード)。 彼女を何度も物理的に投げ飛ばす幽霊も豪快でよい。  脱獄シーンでありながら、足音や物音を気にもしないその無頓着ぶりも大らかで楽しい。ベッケルの『穴』のように、深夜の廊下や通風ダクトに響き渡る過剰な音が却ってサスペンスを盛り立てる。  一つの扉から、次の扉へ。階下階上を巡る追っかけアクションもスリルがあって楽しめる。廊下の直線を縦に捉え、手前で閉まりかけるエレベーターの扉に向かって追いかけてくる看守を間一髪でやりすごすタイミングやフレーミングなども堂に入っている。  お馴染みの「横切り」や、派手な音響を伴った常套的なショッカー演出はご愛嬌。 
[映画館(字幕)] 7点(2011-10-05 22:40:06)
13.  ザッツ・ダンシング!
エジソンの時代から80年代までのダンス映像がモンタージュによって紡がれ、一つのリズムにシンクロしながらオープニングナンバーを形づくる感動。  そして『ザッツ・エンタテインメント』シリーズと同様、名ショットがリプレイされる最中にストップモーションによってダンサーたちの素敵な表情と身振りの一瞬間が躍動の中から的確に切り取られ、その一瞬が永遠化するようなエンディングの映画的感動。  全身で表現される伸びやかなダンスがスクリーンを越えて観る側の何かを開放し、幸福感で満たしてくれる。  69年の不動産企業によるMGM買収とその「資産破壊」、そしてメジャー再編を経たMGM/UAによる本作に登場する作品は(皮肉にも)時代範囲からしてもMGM中心の上記シリーズ以上に多彩だ。  映画は「ダンス」を描いた古代の壁、絵画、彫刻、舞台、そして映画最初期から80年代のMTV時代までを網羅する。 様式的には、民族舞踊、チャールストンからモダンダンス、ブレイクダンスまで。 映画表現的には、サイレントからトーキー、モノクロームからカラー、スタンダードからシネスコへ。30年代のバスビー・バークレーの前衛的な視覚効果からアステア+ロジャースらの個人技・フルショットの時代への変遷も判りやすい。  なかでも、巨大セットとスターが象徴する絢爛豪華の50年代と、『フェーム』等のストリートロケが象徴する80年代とのルックの隔たりは、撮影所の崩壊を強烈に印象付ける。その一方で、ダンスは継承と同時にエレガンス志向からエネルギッシュなものへとスタイルの革新を示し、映画は黄金時代への郷愁に湿るばかりではない。 映画は健康なオプティミズムで締めくくられている。  そして何より「映画キャメラの発明以前にダンスの道を歩んだ人々に捧げる」とする映画冒頭の献辞が感動的だ。 
[ビデオ(字幕)] 9点(2011-09-07 22:57:22)
14.  ザ・ファイター
マーク・ウォルバーグがみせる、ブランク時とリングシーンの体格調整アプローチは『レイジング・ブル』のデ・ニーロを意識したか。  クリスチャン・ベールの演技も、擬斗シーンの打撃の効果音も過剰気味で今ひとつ面白くないが、母親(メリッサ・レオ)が父親(ジャック・マクギー)に投げつけるフライパンや、左拳を折る警棒のほうは痛々しくていい。  役者に対して主舞台となるホームタウンの印象も薄いが、それぞれ二階建ての家の造りなどは独特で面白い。この映画では玄関先がドラマの場だ。  マーク・ウォルバーグが再起を決意し歩き出す朝の玄関先、クリスチャン・ベールがエイミー・アダムスらを背に歩み去る玄関先の道。その無言のシーンが、饒舌な映画の中では活きている。  ミット打ちのリズミカルなコンビネーション、パンチングバッグの連打音、そして玄関先での呼び鈴の応酬なども、挿入曲と併せて音楽的でいいけれど。
[映画館(字幕)] 6点(2011-04-23 23:57:45)
15.  ザ・タウン
まず賞賛すべきは路地カーチェイス、ガンアクションの見事さ。 適度にカットを割りながらも、右左折は丁寧に編集で繋がれ、空撮やロングの適切な挿入にもよって、経路と位置状況が明瞭に提示出来ている。稀有といって良い。 銃撃戦において、壁面への弾着と人物を出来る限り同一ショット内に捉える迫真性の演出も徹底されている。 いずれも、舞台となる「街」をアクションの中に描きこもうとする意思からくる。  アクションシーンに限らず、菜園・墓地・尖塔・スケートリンク・銀行前の路地・コインランドリーと、生活感のあるロケーションがドラマパートにも効果的に活かされている。その中で、水辺を歩くレベッカ・ホールの後姿のショットが幻想性を帯び印象深い。  あるいはオープンカフェのシーン等のサスペンス演出。席を外したR・ホールが戻ってくる際の、三者の表情を捉えるさりげないショット繋ぎの妙が緊迫感を煽る。  ベン・アフレックと、ピート・ポスルスウェイトの至近距離の銃撃戦。その突発性もいい。  
[映画館(字幕)] 7点(2011-02-13 22:14:03)
16.  最前線物語
約2時間の劇場公開版も十分素晴らしいのだが、S・フラー監督の本来意図したと思われる約3時間のバージョン(スタジオによる再構築版)はカットされたショット・エピソードの大幅な復活と再編集によってさらに充実し、作品の深みを増している。元々が大戦中の断片的な挿話を積み重ねていくスタイルのドラマ構成にさらに複数のエピソードが追加された形だが、散漫になるどころか、逆に旧版では解りづらかった部分もより明瞭になり、「生き残る」という主題がより強烈に印象付けられるものとなっている。木陰で休憩する四銃士たちの会話。ドイツ側スパイとの攻防。『フルメタル・ジャケット』(1987)の先駆けともいえる古城での戦闘。リー・マーヴィンに花で飾ったヘルメットを少女が手渡す美しい場面の後に綴られていた残酷な顛末、、。埋もれていた印象深い断片の数々が加わることによって、戦闘/休息、大人/子供、悲惨/ユーモア、正常/異常、敵/味方、生/死といった諸相はさらに渾然とし、クライマックスである収容所の場面の静かな感動は間違いなく「短縮版」以上だ。  
[DVD(字幕)] 9点(2009-11-02 21:18:31)
17.  サブウェイ123 激突 《ネタバレ》 
『エネミー・オブ・アメリカ』においても、通過する列車の向こう側に渡る事でジーン・ハックマンとウィル・スミスが追手を撒く一場面がある。列車の車線を越えたとたん、二人は暢気に口論を始める。列車の流線が遮断する事で全くの別空間が現出する感覚。この映画でも、列車の車線を越える事が大きな意味を持つ。一旦、犯人グループと直接対峙したデンゼル・ワシントンは車線を越える事で彼らから逃れ、マンハッタン橋で再び車線の向こう側へ越える事でジョン・トラボルタと再び相見える。(中盤で一旦は出会う二人だが、同一列車内の二人は構図上、二つの窓枠(フレーム)で分離されている。また、終盤で車線を越えない警官たちは全く空間を異にし、彼ら二人に近づく事が出来ない。)その境界となる地下鉄列車は、トニー・スコット作品に特徴的なフレーム内メディア(各種パネルディスプレイや暗視スコープ、監視映像など)と通底しており、地下内の暗闇に浮かび上がる列車の明るい車窓はまさに重層的なスクリーン内スクリーン(映画)である。このメタファーは、エンディングロール後まで含め、列車の疾走がフィルム映写を模した形で頻繁に映し出されることで容易に仮定できるだろう。スクリーンという断面を越えることで始めて、実体と相見えるという『デジャブ』的主題がここでも反復されている。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-07 21:07:31)
18.  3時10分、決断のとき
50年遡るオリジナルと比較して、明らかな退行。上映時間の肥大と完全に反比例したワンショットの短さと、役者の表情演技に頼んだ単調なクロースアップの貧困さのみ印象に残る。画面深度と構図を駆使し、ワンショット内に複数のアクションを同時進行させ、複雑で豊かな情感と意味を付与した傑作オリジナルには及ばない。傍目には派手さを増したリメイク版の「アクション」は、旧作でヴァン・へフリンが若者を一瞬の速度で殴り倒す優れたワンショットにはまるで敵わず、二度と会わないであろう男女の別れを俯瞰ロングで捉えたワンショットの豊かな抒情は微塵もない。旧作の酒場のセットで襟を直すグレン・フォードと髪を整えるフェリシア・ファーのさり気ないツーショット、続く二人のショットサイズの変化のみで両者の関係を簡潔にして雄弁に語りきった省略の美質とのあまりの差異。アクションや情感を実らせるのは、必ずしもエピソードやアップショットや台詞の物量ではない。
[映画館(字幕)] 5点(2009-08-25 23:07:03)
19.  殺人捜査線
あらゆるカットにパースペクティブが活かされており、その構図取りの卓越した感覚が素晴らしい。冒頭から数多くのエキストラや車両を画面手前と奥に行き交わせ、深い被写界深度によて臨場感と世界の重層化を演出する。また、サウナ室の蒸気や、水族館の光の揺れ、スケート場や展望室のモブ(群衆)など、遠景には動きを取り入れる工夫が様々に凝らされており、活力ある空間が連続する。カットにはまるで無駄が無く、初っ端のスピーディなカーアクションから、クライマックスのスクリーン・プロセスと実景を見事に組み合わせ奥行きを活かした逃走アクションまでタイトに纏まり全くテンションが途切れない。特に最後の追跡劇は、ハイウェイの奇抜なロケーション、水平と垂直のパースペクティブ感覚、スピード感の演出が総合し傑出した活劇となっている。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2009-08-02 16:55:25)
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