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 > すかあふえいす さんの口コミ一覧。25ページ目
すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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481.  ウエスタン 《ネタバレ》 
再評価に到ったのは、二度目以降、いや見る度にどんどん魅せられる西部劇だという事に気付いたからだ。 冒頭の長く、長く、なっがああああああい回しで溜めに溜めて溜めて放つ一撃必殺の破壊力・・・! 他のレオーネ作品と比べると断トツに退屈で、ゆったりとした、そのバネが産み出す破壊力に魅せられる。 二回目以降は、退屈に感じない心地良さ、もしくわ退屈な空気を一気に張り詰めさせ、爆発させるような長回しに痺れている自分がいた。 ベルナルド・ベルトルッチの壮大なスケール感と“女”の匂い、 ダリオ・アルジェントの“血”の匂い、 トニーノ・デリ・コリの雄大さを感じさせるキャメラワーク、 そしてセルジオ・レオーネの破破壊力と“土”、“漢”の匂い。 「リオ・ブラボー」や「大砂塵」といった往年の西部劇に対するオマージュに溢れた原点回帰。 それに、西部開拓時代の無法者を現在的なギャングとして捉えた視点。 登場人物たちも善悪で片付けられる者ばかりでなく、時代の流れに翻弄されて荒れた複雑な人物も少なくない。 男だけでなく、クラウディア・カルディナーレ演じる未亡人ジル。 自立し気丈に生きる女の強さと弱さをレオーネは正面から描き出した。 マカロニウエスタンには無かった女っ気と母性。コレはカルディナーレの女性らしさ、そしてベルトルッチの原案も手伝って成し遂げた描写だと俺は思う。 「プロフェッショナル」もエロか(ry ドラマだけでなく、冒頭の銃撃をはじめ劇中のアクションは決まる度に痛快。 列車での工夫を凝らした銃撃戦、 クライマックスの一騎打ち、 クラウディア・カルディナーレが人の良いおじさんを誘惑している様にしか見えない絡みのシーン、 ラストの死に場所を求めてさ迷うそれぞれの顛末、やるせなさ、虚しさ。 ホークス、アルドリッチたちから受け継がれてきた破壊力、ジョン・フォードのドラマ性、アンソニー・マン等のリアリズム。 ジェイソン・ロバーズの人間臭さ、 チャールズ・ブロンソンの徐々に明かされる復讐劇、 悪役を貫いたヘンリー・フォンダも見事。 西部劇を飾ったヒーローが悪役として振舞う…しかし、その男も時代の流れに翻弄され荒れた一人の人間でしか無かった。 列車に始まり列車に終わる・・・ジョン・フォードの「リバティ・バランスを射った男」を思い出す締めくくりだ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 10:55:29)(良:1票)
482.  アウトロー(1976) 《ネタバレ》 
アメリカ建国200年記念の名にふさわしい堂々とした西部劇。  フォレスト・カーターの原作に、イーストウッドの西部劇に対する愛情と野心を詰め込んだ傑作。  「許されざる者」や「ペイルライダー」も良いが、やはり俺は二挺拳銃の唸りが熱い本作を推す。  強烈なファーストシーン、カスタマイズ銃やガトリングの唸りなどガンファイトに富んだ血のたぎる作り込み。  時代のうねりによって復讐者と化す「ジョージー・ウェールズ」の波乱の旅を描く。  アメリカの豊かな自然、  西部の厳しき大地、  大地に生きる人間の生活感溢れる力強さ、  染み渡る日本的情緒、  カッコいいオッサン・・・! 主人公は最初普通の開拓民で、家族を殺された事で復讐の旅を続ける無敵の唾吐きガンマンになっていく過程が面白い。おまえは何回ツバを吐くんだ(笑)また主人公も仲間に助けられながら窮地を脱する場面もかなりあった。仲間あって無敵が本作の魅力でしょう。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 10:38:26)(良:1票)
483.  ペイルライダー 《ネタバレ》 
「シェーン」やイーストウッド主演の「荒野のストレンジャー」を融合させた王道西部劇。 金の採掘を続ける二つの村同士の対立が主軸。 金を掘るには鉱脈がある山場に住居を構える必要性、水の豊富な場所の確保が重要となる。 水の重要性がここにも描かれる。 人を殺せば州法で罰せられるが、村荒らしや家畜殺し、度重なるストレスや心臓発作による“自然死”は見逃されている。 西部に生きる者にとって家畜は家族同然。 見逃される罪にも限界が来る。 そこに現れた“ペイルライダー(死神)”の牧師。 助けてくれと願えば来るし、居ると思ったらいないし、居ないと思ったら居る。 幽霊みたいに神出鬼没な男だ。 ガンマンというよりは騎士道精神のような男。 「シェーン」では最初主人公は受け入れられないが、牧師は村の者を助けた事で歓迎される。 第一印象って大事だなと思い出す。 牧師が主人公というのも面白い(“捜索者”は牧師が警備隊の隊長やってたね)。 人を殺さないという理由も“犯せば州法で裁かれる”という理由付けが成されていて良い。 牧師が訪れた村は中々金が取れずに経済的に窮地に有り、夢も希望も諦めかけていた。 牧師がひたすら岩に槌を下ろす力強い姿を見て、村人も次第に心の強さと誇りを取り戻していく。 イーストウッドはこういうくどいくらいの人間ドラマが良い。  そこに殺しを合法として許された保安官が買収されてやってくる。 街を守るはずの者が金で動く・・・彼らも一人の人間でしかない。  この保安官が「許されざる者」になると、独裁者のように容赦なく恐怖政治を展開する。  牧師は村人を見捨てて逃げても良かった。 ただ、牧師は義侠心や博愛主義で戦ったのではない。 成り行きとはいえ助けた者への義理、世話になった恩、牧師自身のケジメのために戦った。 保安官たちはやってはいけない最大の過ちを犯した。 “無抵抗の人間を殺した”から?  違うね、“恩人を殺しやがった”から。それだけ。 その人間の死は村人の結束を強固にし、牧師は世話になった者たちのために戦う覚悟を決める。 後の「許されざる者」もそうだが、イーストウッド扮するガンマンはいつも他人のために引き金を引く。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 10:33:27)(良:1票)
484.  許されざる者(1992) 《ネタバレ》 
再見。 イーストウッドが到達したリアリズム、反西部劇、アンチ・ウエスタンの最高峰。  個人的には「アウトロー」の方が痛快で好きだが、この作品を最初見た時の戸惑いと衝撃、そして再見すればするほどその凄味に惹かれた作品でもある。  夕暮れで土を耕す孤影、一軒家と一本の木の影。この強烈な黒のコントラストが本作の恐怖と緊張をより盛り上げる。 雷鳴と土砂降り、情事を語る影の蠢き、ベッド上のギシアンを止める怒声、身を守るために水を浴びせる者、凶刃を振り回され傷つく者、凶行を止める背後の気配と撃鉄の音。 柱に縛り付けられた罪人を解放してしまう汚職、悪徳保安官の不気味な笑み。初っ端から恐怖と暴力が支配する世界を叩きつけられる。  生々しいを傷を癒し、苦笑いし、黙って耐えるしかない者たちが託す「依頼」。ただただ引き受けてくれる者が現れるのを待つことしか出来ない無力さ。  一方、農場で泥にまみれ豚を追い回すヨレヨレの農夫、回りを無邪気に走る幼い兄妹の微笑ましさ、それを鼻で笑う馬に乗り訪れる若きカウボーイ。彼は銃を手放した者を再び殺しの世界に引き戻すために現れる。  主人公のマニーは若い頃、女子供を問わずに手をかけた極悪非道のアウトローだった“らしい”。マニー本人はそう語りますが、劇中のマニーは年老いた父親でしかありません。妻に先立たれ、残った幼い子供たちを養うために精を出し、何十年も銃の代わりに家族の手を握りながら生活してきた。そんな男が再び銃を握るという。家族のために。 昔のカンを取り戻そうと射撃訓練、それを心配そうに見守る子供たち。リボルバーからショットガンに変える一連のアクションが後の布石として生きてくる。  髭を剃り、窓の向こう、木の根元に眠る者に別れを済ませ、馬に乗るのも一苦労の男が覚悟を決めて旅立っていく。  「アウトロー」における農夫がガンマンへと変わる物語が繰り返され、より突き詰められる。 イーストウッドにとってはシーゲルとレオーネに捧げた作品だそうだが、この映画には全ての西部劇に対する望郷とアンチテーゼのメッセージが入っている。 人一人を死に追いやってしまう集団心理の恐怖は「オックス・ボウ・インシデント(牛泥棒)」の流れも感じさせる。   大自然の中を旅する平和な一時。それが人間の支配する魔窟に入れば空気は一変する。   この映画の保安官が振るう正義は法の執行ではなく独裁者の暴力でしかない。 法を取り締まる者がみずから法を乱す。法を乱した犯罪者を見せしめにするために制裁を加えるのは当然ですが、いきすぎた制裁は単なる暴力となり、やがて失望へと変わる。  復讐者からの「依頼」でもある賞金首探しは、腐りきった法との戦いでもある。それを受け取ってしまった男たちに待ち受ける死、死、死。  この映画にはカッコいいカウボーイなんざ一人も出てこない。 気取った老体、銃から何十年も遠ざかっていた中年、本当は人を殺すことをためらう猟師、近眼の若造、狂った保安官…往年の西部劇に溢れていた夢と希望、活気とヒーローがこの映画にはいないのさ。彼等を彩る風景だけがその美しさを失わずにいるだけで。  人を撃てば撃つほど虚しさや罪悪感が重くのしかかり、ガンマンに憧れていた青年でさえ初めて人を撃った後に恐怖で震えてしまう。「命を奪う」ということの重さ。  「いくら古い時代に夢を追い求めても、現実はこうだ」と言わんばかりの雨粒と泥にまみれた世界。 人を殺した者は当然「自分が殺されても文句なし」という覚悟が必要だし、事情を知らない者が殺しの現場を見れば「人殺し」と罵られても仕方がない。  ただ、ラストの決戦まで“おのれ”を取り戻していくマニー。  彼が一発一発放つ弾丸は、今は亡きフロンティア精神への鎮魂か、イーストウッドなりのケジメか。密室にショットガンを突きつけながら乗り込み、“投げる”ことによって緊張が跳ね上がる瞬間!  たった1人の男を集団で嬲り者にするような連中だ。そんな奴らに、卑怯だの何だの言う権利も資格もあるものかっ!!  イーストウッドは、いつも他人のために怒る男だ。自分は殴られても殴り返さない。ただ、仲間や知人を傷つける奴は絶対許さねえ。名誉なんてクソ喰らえ、「殺る時は殺る」漢なわけよ。ガンマンではなく、一人の人間としてカッコイイ。イーストウッド主演の西部劇群を見た後だと余計に感慨深い。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 10:29:38)(良:1票)
485.  サイコ(1960) 《ネタバレ》 
オープニングのヴァイオリンのストリング!バーナード・ハーマンの神BGM、ソウル・バスの演出。ヒッチコック映画のオープニングでも1、2を争うワクワクするOPだ。 ヒロインの心理描写も良かったぜ。 ハイウェイを走らせる車。闇、土砂降りの雨の中を難しい表情で走り続ける。頭の中で色んな男の野次や考えがグルグル聞こえる。これだけで不安になる。 ただ後半の展開は何だよ?気をてらったとかそんなレベルじゃねえぞ?あれだけヒロインの心理掘り下げといて何だよ?オマケにロングが可愛いジャネットをショートカットにした挙句途中下車…「何が巨匠だふざけんな」というのが俺が「サイコ」を初めて見た時の第1印象だ。 この作品を見直したのも他の作品で感動したのがキッカケだったし、そうじゃなかったら二度と再評価しようだなんて思わなかった。 まあもう1回見たらやっぱり面白かった。 でもさ、大体本作の主人公は誰だよ?現生盗んだヒロイン?それともホテルの異常な管理人か?後者が最初からメインだったら俺はこの映画に100点やるぜ。 むしろホテルの場面から始めてくれたらな~とずっと思っていた。 しかし今回はしばらく彼女のドラマが続いただろう?だから予想外の展開でビックリするのは確かだが、逆にそういう事をされる大いにガッカリしてしまうのだ俺は。 でも二重人格の異常者を演じたアンソニー・パーキンスの演技は素晴らしい。 普段は大人しい青年、だが心の中には「同居人」を匿っている。絵に隠してあった覗き穴、鳥の剥製の不気味さ、手にべったり付いた血、それに殺人の時のえぐさも凄いね。 一撃じゃなく、何回も裂くようにナイフを突き立てる。 有名なシャワーシーンだが、イマイチ迫力にかける。音楽でごまかしてんだろ。 ヒッチコックの演出かと思ったら、ソウル・バスの演出だった。それでも無残に見開いた瞳は怖い。 二度目の「ナイフ」は迫力があったぜ。ソウル・バスの演出はシャワーシーンよりも階段の場面を評価したい。 終盤のヒロインの夫や姉が殺人鬼の謎を探っていく時の緊迫感。 女の服をまとった「同居人」が怖いこと怖いこと。 ノーマンの肉体を支配したのは「同居人」だった。 愛情、嫉妬、憎悪、狂気・・・最後の笑みはノーマンか「同居人」か。 殺される側の恐怖、殺す側の狂気…沼底から引き上げられる車が印象的なラストだった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 10:17:28)
486.  死の谷 《ネタバレ》 
ラオール・ウォルシュが描く西部劇の傑作の一つ。  ウォルシュ監督の「ハイ・シェラ」を西部劇としてより洗練させてリメイクした。  現代的な様相、何処か虚無的な雰囲気、ファムファタール(悪女)の誕生・・・フィルム・ノワールとしても面白い西部劇だ。   ガンファイトは物足りないと感じる時もあるが、冒頭から脱獄、駅馬車の襲撃など要所要所でアクションが程よく入り人間ドラマもかなり面白いのでダレが無い。  ラストの警備隊の追撃や二人の最期はガンファイトとしても素晴らしい&壮絶なシーンを見せてくれた。   本編は白人とインディの哀しき運命を描くストーリーだが、この映画は「生」と「死」が強調されている。 白黒の画面だからこそそれを色濃く感じられる。  主人公は犯罪を犯した“罪人”であったが、一度牢獄から出て「カタギの人間」としてやり直そうとした。  旅を続ける傍ら様々な事件に巻き込まれ、インディアンの混血の娘に惹かれる。  二人は次第に強い絆で結ばれていく。  祝福する者は誰もいない教会での結婚式・・・社会からはみ出した者同士にしか解らない痛みと温もり。 しかし運命は主人公を元の犯罪者という逃れられない「死」へと追い込んでいく。  一度犯罪を犯せばその烙印を一生背負う。  一度人を殺せばもっと重い烙印を背負い続ける。  そんな事を言われているような胸に響く映画だった。   この映画は90分だが、「たった90分」と思うほど時間が早く感じられる。  もう30分この二人のやり取りが見たいくらい切なくなってしまう幕切れだった。  握った手・・・二人は一緒にあの場所へ行けたのだろうか・・・。 「暗黒街の弾痕」といい、「ボニー&クライド/俺たちに明日はない」といい、どうしてこんなにも切ない映画が多いのか。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 10:10:01)(良:2票)
487.  L.A.コンフィデンシャル 《ネタバレ》 
「新しいフィルム・ノワールの傑作」と聞いて飛びついたが、まさかこんなキャラ映画だとは思わなんだ。 うーん、ヒロインに魅力が感じられない。元ネタの一つとされるフリッツ・ラングの「ビッグ・ヒート/復讐は俺に任せろ」を見れば一目瞭然だ。この映画のヒロインに「ビッグ・ヒート」のグロリア・グレアムのようなファム・ファタールとしての魅力は皆無。女がほとんど出ないフレンチ・ノワールならともかく、こう女ばかり出てくるのに女に魅力が無いだなんて致命的だぜ。フィルム・ノワールとしては0点。でも、普通の犯罪映画として見れば充分すぎるほど良い映画だと思う。 でも登場人物が多すぎんだよ!誰が誰だが解んねえよ!!整理するか大量に間引く(ログアウトさせる)かどっちかにしろや!!! 余計な奴が多すぎる。モブでいいだろあんなの・・・エドにバドにバズっざけんなゴラアアアッ!!!!・・・・・・・・なんて思いながら楽しんで見てしまおう。 姿形は似ていようとも、奴らの見せる表情と魂はまったく違う。 かつてフィルム・ノワールの祖となった偉大なる作品「暗黒街の顔役」やフィルム・ノワール「三つ数えろ」においてもそれは言える。 同じようなスーツに身を包んだ悪党ども、 「偽善」を吐くゴミ野郎どもを次々から次へと地獄に送りまくる最高の“悪”アンチ・ヒーローたち、 記憶に焼き付ける間もなく忘れ去られ散っていく人々の残像。それは群像劇として一瞬の輝きを帯び、とても魅力的に思えてくる。 次から次へとスリリングな展開が続くハラハラドキドキなストーリー。 生と死は光と闇。ケビンの壮絶な生き様と死に様は正に光と闇だ。  ただ、話が余りに複雑すぎる。これはもう一度見ないと真の面白さは味わえないだろう。みれば見るほど病み付きになるタイプだとは思うが。 それに「フィルム・ノワール」ってほど曖昧な感じはしない。でも、俺にはかなり面白かった。「パルプ・フィクション」みたいな映画が好きな人にはオススメ。 
[DVD(字幕)] 8点(2014-01-29 23:17:47)
488.  ブリット 《ネタバレ》 
冒頭のバシッと決まったファーストシーン、 マックィーンと犯人の壮絶なカーチェイス、 ラストの銃撃。 正に名のとおり「ブリット」な映画。  それ以外は極普通の刑事ドラマという印象 ちょっと退屈に感じてしまうシーンも多かった。  それほどマックィーンのスタント抜きのアクションが凄すぎた。  中盤のカーアクションなんか凄いぜ。ウォルター・ヒルの演出もあって凄いのなんのって! 「めまい」や「恐怖の報酬」みたいにジリジリ迫る緊張も良いが、スピーディーな破壊力を見せ付けるカーチェイスはやっぱりカッコイイ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-29 18:32:15)
489.  スカーフェイス 《ネタバレ》 
再見。ハワード・ホークスの傑作「スカーフェイス(暗黒街の顔役)」のリメイク。 個人的に「アンタッチャブル」の方が密度と展開が速くて好きなのだが、本作は90分の高密度が3時間に引き延ばされて…いやブライアン・デ・パルマとオリバー・ストーンのヴァイオレンスと流血とセックスとF●ckの雨あられが叩き込まれ膨れ上がる。  ホークス版を飾ったポール・ムニのように、狂気を爆発させたジェームズ・キャグニーのように、死に全力疾走するハンフリー・ボガートのように本作のアル・パチーノは殺しの世界に染まり、野望のためにのし上がり破滅へと向かう。  女優にしてもホークス版がサイレント時代の名残りからかアイシャドウが濃すぎてちょっと不気味だったのに対し、コッチは女優レベルがハリウッド黄金期にまで回復した80年代。70年代のパルマだったらもっとエラの出た女優を使ったかも知れない。  カストロ議長、キューバの青い海、船、希望を求めてたどりつくアメリカ。 だらだらとした取り調べ、顔の疵(スカーフェイス)、手の刺青、人々が詰め込まれるバス、背景がスクリーン・プロセスなのもホークス版へのオマージュ故か。 高速道路の下に拡がるテント、殺しへの誘い。標的、収容所での暴動、騒動に乗じての暗殺、扉の向こうに待つ死。  悪友との下積み、憧れ、妬み、喧嘩腰で依頼を引き受けるやり取り、胸元の拳銃、マリファナ。エプロンを投げるのは仕事をやめることを告げるため。 かったるい会話は相手を油断させ銃を突きつけるチャンスを作るため、背後から近づく者、拳銃程度じゃビビらない、ビーチでナンパ、TVの中も大事件、こっちはチェーンソーで修羅場(あの「ファントム・オブ・パラダイス」でムチャクチャやってた男がバラバラにされる様子を映さない!)、血の雨、意地。 砕け散るガラスとともに飛び交う弾丸とブッ殺し合い、「ざまあ見ろ」。  ナイフが拳銃に、アロハシャツがスーツに代わっていく出世。 エレベーターから現れる美女、パーティー会場、兄弟や親子のような関係…それが簡単に壊れてしまうののがギャングの世界。 差別意識、葉巻、踊りながら口説き、友と語り合う「世界のすべて」を手に入れる野望。舌を出すナンパ講義大失敗、子供もドン引き、ドイツもコイツもマリファナ漬け、突然の接吻、不意打ちに弱い人々。  家族への挨拶、嘘、怒る理由、優しさ、一瞬滲み出る狂気。 電話、交渉人の交代、ヘリから吊り下ろす絞首刑、正直者、信用、ビジネス、疑心暗鬼、忠告、二人っきりで告白、妹への欲情・視線、警察とビジネスの先に映るもの、トイレ、平手打ち、ギスギスした関係・敵だらけ、机の下の獲物…を見せつけておいてそのタイミングで妹の話にするなよ気が散る。ことが終わって後でいいでしょうと。 銃撃戦と車の疾走…何だ追手が車で追いかけマシンガンの鉛玉ブチ込んだりとかはしないのか。  救援要請相手はパッキン巨乳と夜の戯れ中(ナイスおっぱい)。 電話、報復、見苦しい命乞い。  「暗黒街の顔役」がそうであったように、ビジネスとして殺しに打ち込む内はすべてが上手くいく。だが、マリファナと汚職にまみれた世界で仁義だの私情だの持ち出した時点で歯車が噛みあわなくなっていく。  増えていく札束と白い粉、幸せそうな結婚式を行う瞬間だけがキラキラと輝く。おっかない野生の虎は「獰猛な獣を手なずけてやったぞ」、伸し上がってやったぞという成り上がり根性の現れか。泡風呂に浸かってハングリーもクソもあるかw  恥さらしに仕掛ける罠、コンプレックス、欲情、車の追跡とこだわりが招く破滅、裏切り。  逆効果のサプライズ、嫉妬、力が抜け粉まみれの机に顔をうずめる。 監視カメラも見るやつがいなきゃガバガバ警備、侵入者たち、手際よく襲い掛かる報復の波、仕事人の一撃。特注のマシンガンでブッ殺しまくり叫びまくりプールにダイブして血の噴水!!  世界はあなたのもです。 殺し屋「お、おうそうだな」 ホークス&ベン・ヘクト「(゚Д゚)」
[DVD(字幕)] 8点(2014-01-28 21:36:04)
490.  壮烈第七騎兵隊 《ネタバレ》 
ラオール・ウォルシュ節爆発の傑作西部劇だった。   やっぱり「死の谷」とか「追跡」が好きな俺にとって、娯楽に全力疾走したウォルシュ映画はあんまり好きじゃない。   でもそんな事いったらジョン・フォードの「荒野の決闘」なんか、史実無視でよくもあれだけゆったりとした恋愛?ドラマにしちゃったもんだし(後の「タイタニック」はもっと酷い)、   あのグリフィスの「国民の創生」だって、ドラマの掘り下げとアクションは最高だったけど黒人差別の描写が一方的すぎて大いにマイナスだった。  リンカンを描くならリンカンが戦う理由となった黒人への多面的な描写も必要なのにな。  まあ歴史的考証は黒人描写以外100点に近いけどな。  それは「タイタニック」にも言える(かも)。   本作「壮烈第七騎兵隊」はタイトル通りのアクション重視の娯楽大作。  アクションは流石に目を見張るシーンが多い。  馬の躍動感が異常。   南北戦争の雄「カスター将軍」と第七騎兵隊の壮絶な散り様をダイナミックに描く。  カスター将軍の文字通り壮烈な人間模様、軍人としての調練と恋、組織汚職との孤独な戦い。   待ち受けるインディアンの大群、死を前にして覚悟を決めた男の雄姿・・・前半あれだけフザケきった悪ガキのエロール・フリンが一角の大将として成長した姿には心打たれる。  後の「独眼竜正宗」である。   甘い青春に富んだ単純なストーリーが、軍人となった男の孤独なドラマに変わっていく様・・・やっぱウォルシュ映画は良いなあ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:52:02)
491.  つばさ 《ネタバレ》 
ウィリアム・A・ウェルマンの傑作。  第一次世界大戦を舞台にしたストーリー。  物語は二人の男の友情と青春から始まる。  幼なじみと楽しく過ごすジャック、家族と過ごすデイヴィッド、ジャックに想いを募らせるメアリー、デイヴィッドに惹かれるシルヴィア。  メアリの想いもそっちのけでシルヴィアにのぼせるジャック。同じくシルヴィアに惹かれるデイヴィッド。  登場人物の掘り下げが実に丁寧で良い。  訓練、基地での一時の平穏、コメディタッチのやりとり、そこに突然訪れる仲間の死。  酒場で酒に酔うジャックだが、酒に溺れるよりも戦闘機に乗っている時の方がよっぽど戦争に酔っている。  それでも敵の大型機をコンビプレーで撃墜するジャックとデイヴィッドの友情が頼もしい。その友情の強さが後の悲劇へと繋がる・・・。  「ジャックはもう軍人なのね・・・」死にかけてまでジャックを追ってきたメアリーだが、戦いで疲れた彼の顔と「ペンダントの女性」を見て一時は身を引いていく。  一人の“弾丸”が死ねば次の“弾丸”が送られる。戦闘機乗りは「戦闘機そのもの」となって空を引き裂く弾丸と化す。  偵察任務、ドッグファイト、爆撃・・・兵士は英雄となる。多くの人間を殺傷して・・・。  ついさっきまで会話して人間が、次の瞬間には死んでいる。それが戦場だ。  メアリー(クララ・ボウ)のシーンだけどう見てもギャグです本当に。ウェイブ姿のクララ可愛いよクララ。  一瞬だけ登場するゲーリー・クーパーが忘れられない。1カットだけなのに。この頃から哀愁が尋常じゃないんだけど。  何この美味しすぎるエキストラ(チョコレートだけに)。  リアルな戦闘描写、ド迫力の空中戦、偶然が重なっておきる悲劇・・・空中戦の空間描写の凄さは「スターウォーズ」でも及ばない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:38:47)
492.  サンライズ 《ネタバレ》 
「最後の人」とか「ファウスト」とか傑作揃いのムルナウだが、やはり1本選ぶとするとこの「サンライズ」。 田舎の幸せな夫婦の中を引き裂こうとする小悪魔的な女、その誘惑に男が打ち勝って夫婦の愛を取り戻すという話だ。 ストーリーは至極単純、中身は超ドラマティック。 天使のような嫁さんジャネット・ゲイナー、筋肉的な夫ジョージ・オブライエン、それを唆す都会女のマーガレット・リビングストン。 夫婦には既に赤ん坊がいる。 だが可愛い嫁がいるにも関わらず都会女に惹かれる夫。 どんな美人でも「見飽きた」存在になれば誘惑に惹かれてしまう。男の性という奴か。 何も無い田舎・・・全てが存在するような都会の魅力が男を虜にする。 女は「私の夫になってよ。あんな女殺しちゃってさ。」恐ろしきは女の換言よりも、その言葉に支配されてしまう夫の方だ。 「吸血鬼ノスフェラトゥ」や「ジキル博士とハイド氏」の頃から恐怖演出がズバ抜けたムルナウ。 愛する女性を「邪魔者」として殺そうとする夫の狂気。 魔が差した人間ほど恐ろしいものは無い。 強烈なモンタージュ、湖面の美しさが余計に怖い。 「ミズーリ横断」や「廃墟の群盗」で常軌を逸した映像の美しさを残したウィリアム・A・ウェルマンも、ムルナウの恐ろしさに勝てる気がしない。 湖面に浮かぶボート、二人きりの「密室」・・・犬の乱入や夫自身の葛藤・・・ただこの様子を見るだけなのにまったく飽きない、見入る、見入ってしまう。  うーむ、この先もガンガン書きたい。ただこの続きを書いてしまうと全部ネタバレになってしまう。 いや本当この後の展開が「常軌を逸した」感じになっちゃうんだもの。 取り敢えずリア充爆発しろ。 いろんな意味で夫婦愛に溺れまくりっす。すごく微笑ましい。爆ぜろ。 余りに空気が変わったので笑ってしまうほど別の映画になる。 なのに何の違和感も無かった。 更にラスト20分でまた「突然変異」だ。 何なんだよこの映画・・・ムルナウ万歳。  ラストの夕陽と髪をといた「天使」の寝顔が最高に美しかった。こんなにもキレイな映画があって良いのか・・・。 真相は是非とも本編で堪能してもらいたい。
[DVD(字幕)] 10点(2014-01-25 13:32:44)(良:1票)
493.  テキサスの五人の仲間 《ネタバレ》 
「スティング」も面白かったけど、度肝を抜いたという意味ではこっちの方が好きだ。 西部劇としては珍しいギャンブルが主題の隠れた傑作。  人間ドラマだけでストーリーを盛り立てたその見事な脚本。  「泥棒貴族」の原案や「ハスラー」の脚本家シドニー・キャロルの見事な筋書き。  カードのテクニックよりも、ポーカーフェイスといったドラマで魅せる映画だ。   ファーストシーン。  ジョン・フォードの「駅馬車」を彷彿とさせるスピード感と集う賭博師たち。   ポーカーをやるためだけに仕事も生活も投げ出してやってくる賭博馬鹿の五人。   その一大ポーカーを観るために集まるギャラリー。  ギャラリーにとっても大イベント。   キャストもヘンリー・フォンダやジェイソン・ロバーズ、チャールス・ビックフォード、ジョアン・ウッドワードといった豪華な顔ぶれ。  とにかく登場人物がどれも魅力的。   ラストの超どんでん返しは「騙された!」の一言。  もう一回騙されたくなる面白さがあるね。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:20:47)
494.  スティング 《ネタバレ》 
「テキサスの五人の仲間」が最高のどんでん返しならば、「スティング」は最高の計画通り。 騙される愉しみではなく、騙していく愉しみがスティングの魅力だ。 ユーモアたっぷりの犯罪映画。 ロイ・ヒルは「明日に向って撃て!」の方が好きだが、「スティング」もまた大いに楽しませてくれる傑作! 脚本の完成度で言えば「テキサスの五人の仲間」の方が上だが、純粋な満腹度で言えばやはり後年の「スティング」を俺は選ぶ。今回再見してみて一番印象が変わったのは、ポール・ニューマンの相棒を務めたアイリーン・ブレナンもとびきりの美人てほどじゃないけど場数を踏んだ女傑という雰囲気を前回見た時よりも強く感じた。キャサリン・ロスとはまた違った魅力を再発見できたのが嬉しい。 冒頭の見事な「詐欺」、一瞬のすり替え、ドライな殺し合い・・・動きで魅せる事にこだわったロイ・ヒルの粋な演出。 物語は1930年代のシカゴを舞台に、詐欺や賭博で生活を立てるフッカーの波乱に富んだ生活と復讐の物語。 各章ごとに区切る事でより盛り上がるストーリー展開、初っ端から金を騙しとるフッカーたち、その瞬間から全てのからくりが動き出す伏線のオンパレード。 賭博師・警官・マフィアの三つ巴、殺し屋、詐欺師、ボディーガードの三連装! 警官に殴られてもタダでは金をやらないフッカー。 警官・マフィアとの三つ巴の逃走劇は命のやり取りを楽しんでいるようにしか見えない。正に生きるか死ぬかの大博打。  フッカーを追うスナイダーの執着ぶり。 ここまで来ると「ルパン三世」に出てくる銭形警部のような愛着が湧いてくる。ある意味一番幸せな男だ。 ゴンドーフの詐欺師振りも凄い。相手がヤクザだろうが何だろうが度胸一番、酒は飲んでも飲まれずキッチリ大仕事。古女房ビリーとのコンビが面白い。 さあ今回最大の被害者となるドネガン。いやいやコイツは受けて当然の仕打ちよ。 命を取られた人間が一番の犠牲者なんだから。 なーに財布の50万$やら100万$なんざ軽い軽い(精神的に廃人になるだろうけど)。  ラストの締めも最高のエンディングだった。 「やっぱりそうなったか!待ってました、予想通りの最高の終わり方!」  本作は「騙される」のを期待して見る映画じゃない。 主人公たちがいかに仇を「騙して」金を巻き上げるかを見守る作品なのよ。主人公と仇の温度差をな。 そんな最高の映画です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:18:37)(良:2票)
495.  アンタッチャブル 《ネタバレ》 
ハワード・ホークスの「暗黒街の顔役(SCAR FACE)」の復活を予感させたパルマの傑作。同時にショーン・コネリーにとっても「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」や「王になろうとした男」に並ぶ最高傑作! 豪華なキャスト、オープニングから血が騒ぐエンニオ・モリコーネの神BGM、うごめく影と「The Untouchables(触れられざる者)」の文字。 アル・カポネがふんぞり返り髭剃りをするシーンから映画は始まる。記者の質問に対して「暴力はいけない」などとほざき、裏で部下に“見せしめ”として酒場に置き土産させて吹き飛ばすような男だ。 禁酒法時代、法権力を弄び警察すらギャングに手を出さずグルになる奴まで出て腐敗しきっていた時代。 そんな時代にある男たちが立ち上がり、巨悪へと挑む。エリオット・ネスの孤独な奮闘と空回り、それに応えるジム・マローンの男気と頭脳、凄腕の新人ジョージ・ストーン、殺る時は殺る簿記係のオスカー・ウォーレスも加わり4人、いや騎兵隊さながらのレンジャーたちの協力などもあり徐々にアル・カポネに迫る。彼等を突き動かすのはカポネに殺された少女の、酒場の、人々の声なき哀しみ、そして怒り。 そんな警察とギャングの死闘の巻き添えを喰らって死ぬ市民はもっと不幸です。 「戦艦ポチョムキン」をオマージュした駅での銃撃戦は正にそんな場面。 ネスとマローンが橋の上で出会うシーンからしてカッコ良い。素早く警棒をポケットに突きつけ腕を押さえるシーン。もしマローンがギャングの仲間だったら、ネスは懐に手を入れた瞬間に殺されていた。 「新鮮なリンゴ」を収穫する仲間集め、罵り合いの面接、マローンの殴り込み、西部劇を思わせる橋の上でのガンファイトと“死体蹴り”尋問、法廷と建物内における最終闘争・・・マッチで気付く仇、ネスが文字通り“落とし前”を付けるシーンはスッとする。その直前まで指で迷い、眼が泳ぎ葛藤を表す。撃鉄を戻す瞬間に伝わる悔しさ、殺し屋がネスに殺意を戻させる“一言”。裁判長が折れ弁護士すら裏切る瞬間は何度見ても最高。 警察側に暗殺者が迫る瞬間の戦慄。カポネからマローンへの“鎮魂歌(レクイエム)”。 駅での死闘は誰も母親を助けない、助けに入ったネスが犯人に気を取られ危うく赤子を殺しかける緊張。 ネスとカポネが正面から罵りあう姿は何処か憎めない。だってデ・ニーロのブチ切れ振りが凄いんだもん。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:15:37)(良:1票)
496.  赤い河 《ネタバレ》 
「リオ・ブラボー」がガンファイトなら、「赤い河」は人間ドラマの傑作。  牛、牛、牛。 見渡す限りの牛の大河。  西部劇というよりは、西部開拓時代に生きた人間たちの生き様を色濃く描ききった歴史ドラマ。 カウボーイは何故銃を持って戦ったのか?それは牧場を武装した他者から守るため。  アメリカに渡った開拓者たちは、そこに元々居住していたインディアンを押し流すように町や農場を作った。  生き残ったインディアンたちは当然報復してくる。  こちらも武装しなければ殺される・・・家族を守るため、新大陸で生き残るためカウボーイは誕生した。  開拓者たちは「侵略者」である前に「移住者」でしかなかった。  ヨーロッパで絶望し、夢と希望を抱いて命懸けでアメリカに渡ってきた。  弱肉強食の大自然・・・殺るか殺られるかの厳しき世界に。    8分目におけるコマンチの夜襲、牛の大群を追い立てるカウボーイたちの迫力、思わぬ仲間割れなど見所も豊富。  後半の山場であるコマンチに包囲された馬車隊の救出劇!   ダメなオッサンすぎて逆にカッコいいジョン・ウェイン、後半の主人公モンゴメリー・クリフトの男気、ウェインとは「リオ・ブラボー」でも名コンビだったウォルター・ブレナン爺さん、ジョアン・ミレーがエロイ等々登場人物も魅力的。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:10:14)(良:2票)
497.  泥棒成金
ヒッチコックファンには不評な本作ですが、「ヒッチコックの作品」として見なければ普通に面白い作品だと思うのですけど。「シャレード」が好きな私にはヒッチコックのコメディタッチや「めまい」を思い出す凄いカーチェイス等かなり楽しめました。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 12:57:46)
498.  情婦 《ネタバレ》 
アガサ・クリスティーよりもパトリシア・ハイスミスの方が面白いと思う俺は正直クリスティーの映画化作品はどれもハズレばかりという印象。 だが、ワイルダーのこの「検察側の証人」はクリスティーの傑作短編群にも引けを取らない、数ある映像化(ドラマは除く)の中で唯一と言っていい傑作! 俺個人はワイルダーといえば「深夜の告白」や「アパートの鍵貸します」だけど、この作品も一気に引き込まれるし何よりチャールズ・ロートンとエルザ・ランチェスターといった面々のやり取りがとにかく楽しくて面白い。 ワイルダーの映画って狙いすぎててイマイチ笑えないのだけど、この作品は冒頭から笑いっ放しだった。 裁判の幕が上がるようなオープニング、そこに向う役者を揃える様に一人ずつ登場人物が姿を現す。 老練な弁護士ウィルフリッド、それを何かと心配する看護婦のミス・プリムソル、ウィルフリッドを助けるブローガンムーア、殺人の疑いをかけられるレナード、そして謎の女であるクリスチーネ。 ウィルフリッドとプリムソルが夫婦喧嘩(チャールズ・ロートンとエルザ・ランチェスターは何度も共演するガチの夫婦)をしながら車で事務所に向う場面。二人が喋るだけで楽しくなってくる。階段のリフトを見て子供のような表情を見せるロートンが面白い。このリフトのやり取りだけでも見ていて飽きない。 ところどころ伏線としか思えないセリフばかり。 何?マッチがない?君は悪い奴だ、え?ライターはある?君は良い奴だよ・・・都合良いなあ本当。 やっと退院しかたかと思えば山ほど来る依頼に口うるさい看護婦。葉巻もロクに吸えない、杖に仕込んでまで吸おうとするヘビースモーカー。 そんな彼を動かしたのはその葉巻だった。ポケットの葉巻を見て飛びつくウィルフリッド。葉巻目当ての依頼承諾がとんでもない事件に発展していく。その葉巻を「あ、そうだった」と思い出したかのように返すウィルフリッド。嫁にバレたらマズい。 モノクルの“光”で心理分析、法廷でもウィルフリッドの薬で経過時間を表現したりと単なるセリフ劇に終わらせず一切退屈させてもらえない面白さ。 レナードとクリスチーネの過去も面白い。コ-ヒー1杯飲むためにキスを繰り返す“楽しい取引”、タバコとガム、ベッドにダイブで天井崩壊、ディートリッヒの生脚。 ダメ男を助けるための大芝居、そんな尽くす女を裏切るかのような二重三重の大どんでん返し。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-22 00:26:30)(良:1票)
499.  裏窓(1954) 《ネタバレ》 
個人的にヒッチコックで一番好き&最高傑作。 人によっては「サイコ」や「北北西に進路を取れ」といったアクションに比べると退屈する人もいるかも知れないが、俺はジェームズ・スチュワートが覗く窓で様々な“事件”が起こってくれるので一切退屈しなかった。 地味に様々な窓のドラマが進んでいくのが面白い。冒頭の写真と壊れたカメラだけでスチュワートが何者なのか“語る”演出も素晴らしい。 観客にとってはいきなりジミーと口づけを交わすグレース・ケリーの存在も事件です。 「君は誰だ」という一言はジミーにとっては冗談のつもり、観客にとっては一瞬ドキリとさせるセリフ。 あれだけ開放的という事はそれだけあの界隈で事件がなく平和だったという事だろう。ベランダで夫婦仲良く寝ている人間までいますし。 そこで後半に“事件”が人知れず、いや唯一目撃してしまう恐怖。 ヒッチコック映画で人や動物が死ぬのは最早お約束です。 劇中で窓を覗くスチュワートは、退屈を紛らわすように音に耳を傾け、窓を覗きまくる。住民もそれを“許容”するように窓を開け続ける。 コレが「北北西に進路を取れ」だとあのヘリがスチュワートに襲い掛かります(嘘) 後半の窓におけるやり取り。最愛の人が独りで犯人の下に潜り込むスリル、犯人が戻ってくるまでの緊張、それに怪我で何もしてやれないもどかしさ、穏やかな演奏に掻き消される悲痛な叫び。 それを見て逃げようと思えば逃げられたスチュワートもあえて逃げず、犯人との“一騎打ち”を選ぶ!記者として、男としての意地。犯人も警察が来たにも関わらず臆せずに目と目が合ったジミーの元に向う。 音、光、影が織り成す緊張、窓際での攻防、住民の動きをあえて早回しにする事でより緊張を高める。 片脚と引き換えに掛け替えの無いものをより深めたラストも良い。
[DVD(字幕)] 10点(2014-01-22 00:24:04)(良:1票)
500.  疑惑の影(1943) 《ネタバレ》 
ファーストシーンが面白い。  ホテルで眠っていたある男。  起き上り、しばらくしてコップを投げ割る。  何かに苛立っているようだ。  そこから逃げるように外に出る男。後ろから男を追う二人の影・・・最初にこの男が「訳有り」という事を印象付ける見事な出だしだった。    そこから別の画面は家に移る。  その家こそ男が叔父として関係を持っていた家なのだ。  ヒロインは叔父に憧れを持った少女。  叔父も彼女に少し気があるようだが、叔父は何かを隠している様子だ。何処か影があるような・・・。  そして叔父を追う謎の男二人。   日常に潜む奇妙な光景や人間の狂気を描くヒッチコックだが、今回は登場人物の心理描写が徹底している。  羨望の眼差しが疑惑に変わる瞬間、叔父の狂気の影の一面を覗かせる瞬間、追手二人の真相を知る瞬間・・・階段が印象的だった。  シンプルでよく出来たストーリーだが、やはり何かもうひと押し欲しくなる。  ヒッチコックは既に「レベッカ」「海外特派員」「知りすぎていた男」を観てきたが、ラストの列車での“対決”に前者ほどのインパクトは感じられなかった。  それでもよくまとまった締めくくり。  普通によく出来た秀作。
[DVD(字幕)] 8点(2014-01-22 00:21:50)
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