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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2517
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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21.  グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札 《ネタバレ》 
 オープニングのスクリーンプロセス、あそこに大きな意味があるとばかり思ったんですよね。ニセモノの道を走るニセモノのドライブ。また、以降ヒッチコックがモナコの街を眺める峠やグレースが車を走らせる道など、『泥棒成金』ネタが頻出して。ところがそれらが大して意味持ってないし。グレースの人生を思えば、あのファーストカットのイメージをラストまで引っ張れば効果的だったのに・・・   冒頭にちょっと期待を抱いたけれど、中身は音痴でした。  全編やたらに説明的な音楽がうるさいですし、ここぞという時に極端なクローズアップが頻出します。まるでクローズアップの効果を盲信しているかのように。  その盲信っぷりは重要なクライマックスで多用される事でも明白。そして、それが実際にはさしたる効果を生みはしなかった事も。  映画全体をサスペンスとし、国家存亡の危機に王妃が一大勝負に出る、そのクライマックスの語りにちっとも説得力が無く、ボヤけた腰砕けの展開で終わるような感じ。  舞踏会に臨む王妃が「武装」するシーンは『ランボー』や『エイリアン2』のパロディみたいな映像なわけで、ならばそれはもっと徹底的にやるべきです。  何もかもがボンヤリした印象。   そう、ニコールの極端なアップは逆に表情の印象をボヤけさせます。ヒッチコックはキチンと明るい場所に顔を持ってくる事を避けますし、見終わってみれば、キャストに印象に残る表情が少なく、全体にモヤがかかったような映画だったと。  それは女優と王妃の間で実体の見えなかったグレース・ケリーという人を象徴しているのかと言えば、決してそうではなくて。  女優と王妃とを煌びやかに描き分けてこそ、その裏側の実体も浮かび上がってくるものなんじゃないですかねぇ。
[映画館(字幕)] 4点(2014-11-06 21:23:39)(良:2票)
22.  クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん 《ネタバレ》 
 展開読めまくりの古臭いSF設定をどう『クレしん』に編み込んでゆくのか?というのがポイントだったのですが、かなりスベり気味なプロット、ギャグの数々で隙間の多い作品になっちゃったなぁ、って感じで。   冒頭からしばしは快調。ひろしがロボとーちゃんになってしまう、それを家族が受け入れてゆくっていう、極端な非日常が日常との調和を取ろうとする流れは面白く。   でも、具体的な陰謀の姿が見え始めると、ここから設定の説明です、みたいな描写になってしまって「あーまたこのパターンか」と。敵キャラも毎度のスベり系で長々と寒い見せ場を取ってしまってますし。  っていうか、五木ひろしの『契り』の真似をするコロッケのロボがラスボスです、って、そんな古くてサブいもん延々引っ張られたらヒくわ。   また、段々原ちゃんは『暗黒タマタマ』のよねさん的ポジションですが、よねさんはいらないコに見えつつ物語に推進力を与えてたのに対して、段々原ちゃんは本当にいらなかったんじゃ?みたいな存在で残念。   評価ポイントとしては真の父権とは?という問いをロボットからの視点で描いてみせた点。だけど、そこに女性専用車両とか映画館のレディスデーとかいった生々しいモノを出してしまうと、素直に楽しめなくなってしまいます。   みさえが事あるごとにペソペソ泣き出して感動方向に持ってゆこうとしているのが見え見えだったり、『がきデカ』とか「コマネチ!」とか古いネタがやたら多かったり、ああ、やっぱり『オトナ帝国』の呪縛がいまだにベットリと染みついてるんだなぁ、ってところにイラっときてしまったのが正直なところ。   幾つかのSF作品から引用された物語と、後期『クレしん』映画にありがちな寒い敵キャラ設定部分を除くと意外と残るものは少ない映画って気がしました。
[映画館(邦画)] 5点(2014-04-24 21:06:00)
23.  クルードさんちのはじめての冒険 《ネタバレ》 
 VODで2度見た後、更に3Dブルーレイを購入して見ました。   クリス・サンダースの作品は『リロ&スティッチ』『ヒックとドラゴン』そしてこれと、異質な存在を受け入れる事によって変革がもたらされ家族が新しい形に再生される事が描かれるという点で一貫しています。  古き形式や思想に拘る事なく、他者の存在を、資質を認める。それが子供の未来を拓く、と。   今回の作品は前2作のような2人だけの家族ではなく6人家族なので、一層強く家族という集合体の在り様を示しているように思います。   光と闇、前進と停滞、恐れと勇気、知力と体力、幾つもの対立構造を象徴的に散りばめ、原始人の進化を人の意識の進歩に重ねて描く、今回も奥行きを持った作品でした。   物語は『ダイナソー』『アイス・エイジ2』とよく似ていて新味がないのが残念ではあるのですが、その独特な作品世界は本当に魅力的。モノトーンの洞穴生活を追われる事で広がる密林の色彩や不思議な動物達の生態に心躍ります。   そして何よりキャラクターに吹き込まれた生命感。どう見てもヘンな顔(原始人なので)、汚れと傷と荒れのテクスチャーに彩られた肌、だけれどもそのCGの塊に流れる確かな血を感じられるのです。「皮膚感覚」という言葉を地でいくような感じ。  カワイイとは言い難いデザインのヒロインの肌の質感から確実に「オンナ」を感じられるという。  相手の匂いを嗅いで認識するという表現共々、妙なエロティシズムが感じられるのですが、そういう「ナマな生」をファミリー向けCGアニメが漂わせているっていうのが深いなぁ、と。   アニメのキャラクターに命を吹き込む力、それはどうも近年、日本よりも海外の方が優れている気がします。   3Dの効果も毎度のように見事なドリームワークス、日本の興行ではジブリとピクサーとが安心ブランドとして定着していますが、ドリームワークスアニメーションの実力はそれらを大きく上回ってきていると思います。
[ブルーレイ(吹替)] 9点(2014-01-20 22:59:21)
24.  くもりときどきミートボール2 フード・アニマル誕生の秘密 《ネタバレ》 
 前作の独自センスに遙かに及びません。   前作のラストシーンからそのまま始まるという展開にはワクワクさせられましたが、明らかな『ジュラシック・パーク』と『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク』からの引用が生む既視感が映画をとても凡庸なものにしてしまっています。  オリジナリティは失われ、定型フォーマット状態の物語が進んでゆくばかり。   更に大きな問題は作品内でのフードアニマルという存在の成立の仕方。  フードアニマルそのものは一部が前作のクライマックスシーンに登場しているので、そこから話が広がったのはいいのですが、フードアニマルの扱いが動物愛護方向に向いてしまっているので、前作後半の飽食批判が歪んだ形となってここに至ってしまったように見えてしまい。  歪んだテクノロジーによって生み出され続ける生命という問題からは目を逸らし、そのテクノロジーを独占しようとする悪役の駆逐と歪んだ生命との安易な共存オチで、果たしてそれでいいのか?という疑問だらけのままの幕で。  そこから更なる続編に繋げようとでもいうのでしょうか?(だとして「守られなければならないステキなフードアニマル」を持て余すのは目に見えていますが)   別の角度から見ると、これは大企業から搾取される才能、その才能が生み出したものを大企業から守ろうとする話であったりするわけで、つまりフードアニマルというのはクリエイティビティの象徴であったりするのかもしれません。悪の親玉がスティーブ・ジョブズ似なソニー作品、と考えると、なんだかイヤな臭いを感じてしまったりもして、手前味噌的な何かを表現したかったり?なんて思ってしまうのは下衆の勘繰りってヤツでしょうかねぇ?
[映画館(吹替)] 6点(2014-01-14 22:24:14)
25.  グランド・イリュージョン 《ネタバレ》 
 事前の知識が殆ど無い状態だったので、どういう映画なのか知らず、映画を見ている間も何が起こるのか、どういう展開をするのか、全く先が読めないまま翻弄され続け。一切ダレる事なく、次から次へと転がってゆく意外な展開を楽しませて頂きました。   マジックを素材にして、マジックに騙され翻弄されてゆく人々の姿を通して、観客は映画のマジックに騙され翻弄されてゆくという入れ子細工構造だったりします。   見終わってみるとツッコミどころはいっぱいありそうな気がしますが(実は事前に、あるいは他で事が起きている最中に行動を起こしたのでした、って解説してみせるけど、じゃあ、その後始末はどうしたの? バレないようにするにはあのまま放置ってわけにはいかないでしょ?)、モーガン・フリーマンの生き様みたいに、そこにあんまりこだわっちゃうのは不粋ってモンでしょうね。  明らかにVFXで、実際のマジックではそれって表現できないでしょ?みたいな演出もありましたけど。   日本にもマジシャンから転じて種明かしをネタにしているような輩も居りますが、そういう不粋で悪趣味なヤツの鼻を明かしてみせるところ、スカッとしました。モーガン・フリーマンに比べると、マイケル・ケインはちょっと可哀想かな。   最終目的のアレがファンタジーしちゃってて、意味がなんかよく判りませんでしたけど、多分大して意味はないのでしょうね。4人にとってはそこに到達する事自体に意味があったんじゃないかな。   主役級の存在なのに最後までつかみどころのない4人がひたすらカッコいい、中身なんて無に等しいけど、それで十分な見世物映画って感じでした。
[映画館(字幕)] 7点(2013-11-14 21:45:20)(良:2票)
26.  クロニクル 《ネタバレ》 
 超能力が題材になっているのですが、SF映画というよりはよく出来た青春映画って感じです。   男3人組がバカをやらかす前半は『グローイング・アップ』や『ポーキーズ』なんかの学園ものの系譜に入りそうで(スカートめくりもありますしね)、だけど中盤以降のシリアスな展開は破滅型の青春を描いた痛い物語。そうそう、これぞ超辛口な『超能力学園Z』・・・と言ったら台無しですか。   主人公の辿る道が自業自得なのが痛いんですよね。根暗で内向的な主人公がリア充な従兄と優等生と仲良くなって、でも2人と対比して浮かび上がるのは卑屈な、常識や社会性の欠如した人間性。  特殊な能力を持った3人の、その力の認識の違いがそれを示します。面白半分に人を殺しかける主人公と、すかさず人命救助に動く優等生。主人公は自分がしでかした事に対して行動せず傍観し、責任の大きさすらも感じていない様子。もうこの時点で人間性の違いがハッキリ出ています。  元々はあの荒んだ家庭環境に問題があったのかもしれません。ですがその後の自己を決して省みず、他者に対して壁を作り孤立し牙を剥く、それはもう彼自身の問題。   有頂天から一転、転落の途を辿る事になるのが童貞喪失失敗エピソードだっていうのが本当に痛い、痛いヤツで身につまされます。   自滅していった主人公の生と死を見つめて自分の道を歩み出すいとこの姿こそが、この映画の本質なのかもしれません。  超能力シーンはワリとチャチなのはご愛嬌(ぶらーんって吊ってまーすって状態ですしね)。   超能力という特異な素材を用いて普遍的な青春の苦悩や挫折や成長を描いた秀作でした。
[映画館(字幕)] 7点(2013-10-16 22:00:48)
27.  くちづけ(2013) 《ネタバレ》 
 『芸能人格付けチェック』で監督が「一流映画監督」として扱われた際、twitterが「堤幸彦が一流?」ってツッコミで埋まる状況に大ウケ。本当、この人の映画にお金と時間を使う事にはかなり抵抗が。  で、不安たっぷりな状態で臨んだら、いきなり題材的に共通する『フォレスト・ガンプ』のあからさまなパクリで「大丈夫か?この映画」って。  先に結論を言えば、よく泣ける映画で、だけど泣ける映画=いい映画なのか?っていうとそうではなく。   泣かせるのは役者です。特に貫地谷しほりの演技はもはや力技。  彼女以外にも、障害者を演じた面々や、橋本愛、田畑智子、みんな泣かせにかかってきます。竹中直人は相変わらずクサいですが。  こちらはまんまと泣かされ、でも演出と脚本は疑問だらけ。  堤演出はやっぱり雑です。移動し過ぎなカメラは、それが動く事によって生まれる意味を消失させていますし(あのシーンをデ・パルマの如くグルグル回す事は悪趣味にすら思えます)、毎度のハイテンション演技は障害者と健常者の描き分けを曖昧にします。それが意図的であったとしても、あまりに不自然としか思えません。  脚本はブツ切れ気味で、唐突に泣き出す、激高する、笑い出す、と繋がり無く感情がボタボタと単発でこぼれ出しているような感じで、それも意図的であったとしても・・・   でも、最大の問題は最終的に納得も共感もできなかった事。  原作の通りであるなら、それは映画独自の問題ではないですが。  最後にいっぽんの取った選択、あれは親の愛よりも最悪のエゴ、無責任な自己完結が勝っているんじゃないかと。  現実にあった事件を元にしたというあの選択を通して、社会のシステム、風潮に対し問題提起をしているのでしょう。でも最近話題になった乙武さんの件のように、不備や悪意といった負の要素のみを抽出したところで未来は開かれません。  一人で障害者の親の介護をしてきた私の経験から言うと、映画に出てくる南ちゃんのようにあからさまな悪意を示す人間はリアルには滅多に存在しません(ネット上には溢れかえっていても)。色々な問題があるとは言え、絶望しかない訳ではありません。人を信じる事によって支えられる生がある、そこを信じなかったいっぽんの身勝手さゆえ、泣けるけれども腹立たしい映画だった、というのが感想。   こういう映画にはもっと未来を指し示して欲しいです。
[映画館(邦画)] 5点(2013-05-27 20:06:43)(良:2票)
28.  クロユリ団地 《ネタバレ》 
 見終わって思い浮かんだのは『巨人の星』。   前半は、というか後半に霊媒師が出てくるまでは意外に魅せてくれる映画で。  どこか不自然な家族、不自然な日常。それがある事件をきっかけに徐々に真実が見えてくる。失われた人、止まった時間、崩れてゆく日常、耐え難い孤独、そして、そこからなんとか時間を動かしてゆこうとする気持ち。  サイコホラー、サイコサスペンスの様相を呈しつつ、近作の『ももへの手紙』『ファミリー・ツリー』『虹色ほたる』『幸せへのキセキ』に連なるテーマを抱えた、そんな映画。  壊れそうな、繊細に揺らぐ役を前田敦子が好演しております。   で、そんなテーマやメッセージやドラマや切なさや哀しさが置かれたちゃぶ台を「てーい!」とばかりにひっくり返して台無しにする「Jホラー」と言う名の星一徹。  クライマックスで「全部もう無しだ。何故ならこれはJホラーだからな。恐怖がドーン!とやってきて終了するのがセオリーだからな。」って激しく暴力的で無神経な終わり方で何もかもすっ飛んでしまって。   結果的にホラー映画だけどホラーが激しくジャマっていう困った映画でした。これじゃ明子、いや敦子姉ちゃんが可哀想だ。
[映画館(邦画)] 5点(2013-05-22 22:56:55)
29.  クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!! 《ネタバレ》 
 私はもつ焼き屋なのでB級グルメど真ん中、世界A級グルメ機構にさっさと排除されちゃいそうです。   さて、このところの『クレしん』に顕著だった、最初に世界設定ありき、テーマありきでキャラを縛ってしまう描き方から一転、今回は設定などごくシンプル、簡潔に済ませ、余計な感動エピソードだの家族愛だのも大幅に削ぎ落とし(元々『オトナ』と『戦国』は『クレしん』の中のイレギュラーなのに、以降はそれを意識し過ぎた感があって)、ひたすらカスカベ防衛隊の活躍に絞ってタイトにまとまった作品。  その、無駄なく疾走してゆく面白さは『暗黒タマタマ』以来かも。   焼きそばを食べる事が目的で物語が動いてゆく点では『ヤキニクロード』に近い気もしますが、アレが焼肉だけでは物語を引っ張れていなかったのと対照的に、今回はあくまで焼きそばが物語を引っ張っています。  今回はカスカベ防衛隊がメインで、ひろしとみさえすら活躍の場が殆ど無く、他のレギュラーはほぼ排除されているという状況。  そして、物語は5歳児である彼らに不釣り合いな無理を強いていません。地球の運命だとか、人類の未来だとか、そういうの無し。ただ5歳児なりの苦悩(お腹が減った、ママに会いたい、友達とうまくいかない)で笑いとドラマを作ってゆくのです。  その分、スケールはシリーズの中でも最小レベルですが、映画用に無理して大きくなった『クレしん』ではなく、等身大のカスカベ防衛隊メンバーの魅力が存分に発揮されていました。   また、毎度「その歌は必要なのか?」って疑問に思う劇中で歌うシーンは、今回、削るのではなくて逆にクライマックスの重要な部分に大切な要素として組み込むという、その痛快さ。   でも、何と言っても良かったのは「登場人物全員幸せ」っていうラストを迎えた事ですね。エンディングで語られるあの幸せな感じ、あれで「ああ良かった、いいモン見た」って心から満足できた感じがしました。今年の『クレしん』は当たり。
[映画館(邦画)] 8点(2013-04-23 23:22:21)
30.  クラウド アトラス 《ネタバレ》 
 個人、集落、組織、コミュニティ、そんな「個」と他の「個」とを隔てるもの、繋ぐもの。   隔てるものの象徴として繰り返し描かれるのはドアや窓、壁、部屋、門。それを破って侵入してこようとするものの存在や、逆にそれを破る事で事態を打破しようとする行為、隔てるものは「個」を守るものであり、孤独や無知の象徴であり。   一方、繋ぐものの象徴は橋やロープ、そして船や車、飛行機等の様々な乗り物。外に広がって他者との繋がりを志向する意識。自由や正義を獲得しようとする意志。更に橋からの落下のイメージや事故の描写が、その意志を妨げるものとして時代をまたいで反復されて。   めまぐるしく変わりながら点描されてゆく時代と人。「個」としての無数の点はやがて枝を伸ばして広がり、他の点との繋がりを示し、円を構成し、他に形成された円と交わり、やがてその全体が世界を構成してゆく・・・。6つの時代の6つの円が時を超えて交わり『クラウド アトラス』という作品を(そして曲を)作り上げている訳ですね。   1つ1つのエピソードや美術的なイメージはどうも凡庸な感じが無きにしもあらずではあります。エピソードの繋がりも必ずしも必然を感じさせるものではなかったりしますし。また、特殊メイクは無理矢理過ぎて「それはないわ」と思ってしまうものも多数。  ですが反復されるイメージによって段々と世界が形を成してゆく感じはとても面白く、興味深く楽しめる映画でした。
[映画館(字幕)] 8点(2013-04-06 14:52:08)(良:3票)
31.  グッモーエビアン! 《ネタバレ》 
 スチルとかムービーとか、とにかくカメラをいじってる人ならば判ると思うのですが、動画にしろ静止画にしろ地平線に対して基本的に画は水平でなければなりません。ちょっとでも傾くとたちまち不安定な、人に不安感を与える画になってしまいます。  そして、その水平を維持するっていうのが意外と大変で。   この映画で映像は頻繁に傾き、それは登場人物、特に中学生のヒロインの揺れ動く心を表しているようであり、家族関係というものの維持の意外な難しさを表しているようであって。そこは上手いな、って思ったのですが。   理想的な家族像などというものは実は存在なんてしていなくて、家族の数だけ理想と現実とがあって、そんな中で大人も子供も意識しながらその関係を維持してゆく・・・  というようなものをキチンと伝えられていれば良い映画だったのですが、脚本が雑なんですよね。  ヒロインのコがあまりに唐突にコロリと機嫌を変えてしまいキチンと流れが生じていないために情緒不安定というかちょっと病気?風な感じに見えてしまっていて、ヤグよりもよっぽど周囲を振り回してるよねぇ、みたいな。  彼女の中で気持ちが整理できずにこぼれ出てくる状態なのは判るけれども、それを表現する方まで整理できていないままなのは違うでしょう、と。   彼女のリアクション以外にも自転車事故後の会えなかった友人に対するフォローの仕方や、母親自らの抱く家族の中での内面的な立ち位置の曖昧さ、小池栄子のつまらない残念な使い方などにいちいち疑問が生じました。  最後などは「ロックだから」という酷く投げ槍なオチを押し付けられた感じがして(あのステージシーンに何らかの説得力があったのかと言うと甚だ疑問で)全体的には雑な印象の映画でした。   にしても役者は良くて、特に中学生コンビは本当に瑞々しい感じがして将来が楽しみな存在です。
[映画館(邦画)] 6点(2013-01-06 14:38:04)
32.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス 《ネタバレ》 
明確な「悪」の存在は無く、選択を迫られるのは目先の小さな安定か、或いは人類の未来の平和か。大宇宙に永劫続いてゆく営みと個との関係性について、和による均衡と我による秩序の崩壊について観念的に描かれた作品。神の前で思想に対抗する実存の具体化を試みるシュールな映像の数々。そんなモンが『クレヨンしんちゃん』である必然性が、果たしてあるのやら無いのやら。作品としては、その意外なテーマの奥行きを楽しめ、更に惑星ひまわりのテーマパーク然とした美術世界を楽しめもしますが、とにかく大きな問題が『クレヨンしんちゃん』として楽しめるところに至るまでに、異様に時間がかかるという点。『クレしん』映画としては異例な111分という長尺な上に、最初の45分は物語がほとんど具体的に動かず、ひたすら設定と状況の説明に費やされ、しかも最大の問題はその間、しんのすけが全く動かないという事。動けないのでも存在しないのでもなく、ただ、能動的に動こうとしない、これは『クレヨンしんちゃん』としてのアイデンティティの否定にもなりかねないのではないかと。予め提示された約束の存在へと向かう物語のために、しんのすけが動き出すのをひたすら待つという状態は、やはり『クレヨンしんちゃん』としてはツラいものがあると思うのですよね。これがオリジナルキャラによるアニメであるならば楽しめたのかもしれませんが。後半になって面白い、楽しいと思えるのはやはり野原一家が野原一家らしく動いているシーンな訳で、ところが具体的な悪の存在が無いがゆえに、野原一家の大義が果たして作品世界に対して正しいと言えるのか否かすら曖昧になってしまうという。前半の動かないしんのすけを含め、まるで今という時代に『クレヨンしんちゃん』という作品の存在意義を懸命に模索しているような状態にも思え、それはあまりに内向きに過ぎるような気がしました。決して子供には楽しめない、子供には判らないとは言いませんが、映画20周年記念作品という節目に、なんだか重いモノを背負っちゃってる感じがしてシリーズを通しても異質な違和感がつきまとう映画でした。
[映画館(邦画)] 5点(2012-04-15 14:26:31)(良:2票)
33.  グリーン・ランタン 《ネタバレ》 
3D料金のシネコンによる価格差はなんなんでしょうねぇ? 近場だとそもそも上映してないか、高い料金取るところばっかりだったので、見にいくのやめようかとも思ってたんですけど、マチネで割安なところがあったのでやっぱり見る事に。今時珍しくなってきたXpanDだったんで、重いメガネONメガネでズレまくって見辛くて仕方なかったですが。んで、肝心の内容。フツー。つーか物語は面白くないです。ヒーローものとしてベタ。責任が伴うとか言っちゃって、ヒーロー誕生と悪役誕生が同じような時期で、ごくごく近い存在でって、『スパイダーマン』か?っちゅーの、みたいな。色々とどこかで見たような設定、展開で、その上、主人公とヒロインが揃っていいトシで。なんつーか、おばさんヒロインって見ててツラいわ(個人的にグウィネスとブランシェット除く)。でも、一方でビジュアル的には結構楽しい部分もあって。飛行シーンは気持ち良く、思った事を実体化させて戦うっていう設定は視覚的に面白く、クライマックスは大々的なカタストロフって感じで。宇宙規模のドーン!ってスペクタクルな映像を見るのは、やっぱり爽快です。3Dの効果が、飛行シーンとエンドクレジット限定でイイ、っていうのはもうお馴染みなガッカリさ加減でしたけど(コレで料金を通常より300~900円上げちゃうっていうんだから、なんつーかラクな商売してるよねぇ)。色々とデザインのバリエーションがあって楽しげだけど肝心なところでは助けてくれないランタンのお仲間達に肩透かしくらいつつも(せっかく語られてきた協力して助けようって意識が肝心なところで発揮されないって、脚本家が観客の気持ち判ってないなぁ)、スケールの大きなホラ話って点で楽しめました。まあ、見た事そのものを忘れてしまいそうな凡庸さではありましたが。
[映画館(字幕)] 6点(2011-09-13 22:26:34)(良:1票)
34.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦 《ネタバレ》 
震災の影響なのか、毎年家族連れで賑わう休日、日劇の『クレしん』が今年はガラガラ。子供達の笑い声が聴こえない鑑賞は淋しい限り。さて、下ネタを物語の核に据えた点で、今回の『クレしん』は挑戦的、挑発的。安易な感動路線に走らず、ナンセンスっぷりを前面に押し出しての疾走で、なかなかの快作に仕上がりました。難点は散見されます。今年もカスカベ防衛隊と野原一家の活躍具合が微妙ですし、演出に不自然な間があってリズムが崩れている箇所がチラホラ(トロロの洪水を食らう二人の警備員の、『シャイニング』パロディなタメを作るカットバックはテンポ悪くするだけで不要でしょ)。それに上映時間が『クレしん』にしては長い事が、何らかの必然を持っているとは思えず、単にちょっと間延びした印象。クライマックスの反撃への移行や追っかけっこはもっとタイトにできたのではないかと思います。悪の動機が徹底的に弱いのは『温泉』同様って事で別に『クレしん』として特に問題がある訳ではありませんが。でも、レモンをしんのすけとは全く異なる存在からしんのすけと同体レベルにまで近付けてゆく物語は、ヒロインにそこまでやらせるか!ってナンセンスの極みながら感動的であったりもして、行くところまで行ってしまった今回は、まー良くやった、と。全国PTAの皆々様に『クレしん』のアイデンティティを改めて誇示してみました、って感じで。比類なき放屁映画として映画史に名を刻みそうな特異っぷりが、今回の『クレしん』のポイント。ちょっと大人しめだったこのところの『クレしん』映画の中でも異臭・・・でなくて異彩を放つ一本となりました。
[映画館(邦画)] 7点(2011-04-17 18:46:32)
35.  グリーン・ホーネット 《ネタバレ》 
古い古い原作ながら、お金持ちの社長がヒーローとか、偉大だった父親との確執とか、ヒーローものとしてのネタ的にはかなり出遅れてやってきたシロモノのようにも感じます。だけど、社長がバカと言うか単細胞的な人間であるがゆえに、グダグダとつまらない苦悩をしたりせず、「悪」と「正義」という単純なワードに突き動かされてゆくような感じで。最近の、嗜虐趣味を露悪的に披露しながら絶対的な正義も英雄もないと叫んでみせる、却って幼稚(中二病的?)じゃない?ってアメコミヒーローものが幅を効かせてウンザリしている中で、久しぶりにヒーローにスッキリさせて頂きました。「悪いヤツは悪い!正義は勝つ!」それがヒーローにはなれない現実の中でヒーローものに求められるごくごく当たり前のカタチじゃないかなぁ。「正義」に目覚めるエピソードが足らない、動機が弱い気はしましたが、金持ちだけどダサい主人公が、強いけどちょっとオタクな中国人の力を借りてヒーローとなってゆく姿は、様々なヒーローものの主人公の中でも親しみをもって見られました。ラストのキャメロン・ディアズとのドタバタもヒーローものとしてカッコ良くオチてないあたりがイイ感じで。映像的には3Dの効果はアクションシーンの一部とエンドクレジット以外はイマイチでしたが、マルチ画面になって、次々増えるフレームの3D感がバラバラになってゆくって趣向は挑発的でワクワクしました。それにしてもカトーはかつてブルース・リーが演じた『グリーン・ホーネット』のカトーに、『ピンクパンサー』シリーズのカトー(ケイトー)が激しく混じっちゃってる状態でしたが、あれ、絶対ワザとですよね。ご主人様と部屋の中で大乱闘って。
[映画館(字幕)] 7点(2011-01-23 16:00:08)(良:1票)
36.  グリーン・ゾーン 《ネタバレ》 
なんでしょう、このハンパな映画。イラク戦争開戦に至った大量破壊兵器の有無について、その真相にキチンと迫るワケではなくって事実とフィクションがごた混ぜ状態、何故か一政府高官が悪でCIAが正義というスタンス。ブッシュの責任やアメリカ国家の責任についてはハッキリとは言及できておりません。また、カメラワークがほぼ全編わざとらしい手ブレしまくり映像で、きちんと被写体が捉えられていないために、役者の表情が判らず、登場人物のキモチがちっとも伝わってきません。ミラーが何故真実を暴きたいと思ったのか、その突き動かされてゆく理由というのがブレブレの向こう側から見えてこないんですよね。特にクライマックスの追う者、追われる者のシーンではカメラがブレまくる上にカット割が細かく、映像が繋がっていないために、ギャグでやってるのか?って失笑レベルの世界になってしまっていて。手ブレ映像、もう流行遅れなんでやめて下さい、と切に願います。結局のところ、社会派としては斬り込み足らず、アクションサスペンスとしては映像も展開も不明瞭。ひたすらハンパな映画。ですが、アメリカが起こしたイラク戦争が正しいものだったのか、今のイラクの混乱の責任がどこにあるのか、それをきっちり批判的な視点で描いているという点については評価できると思います。グリーン・ゾーン=安全地帯の内側から損得だけで世界を動かし、人々を不幸にする連中が存在しているって事を描いただけでも、よくやったと言えるでしょう。世の中にはイラク戦争が正義の戦争だって思ってる人だってまだまだいるのでしょうしね。
[映画館(字幕)] 5点(2010-05-14 14:13:31)(良:2票)
37.  クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁 《ネタバレ》 
二つの時代をまたぐ謎、二つの時代それぞれを生きるキャラクター達。動きまくる作画に世界観をハッキリ打ち出す美術、綿密な音響デザイン。前半は、これまでの『クレしん』映画の中でもかなり高い位置に存在するんじゃないか?って感じでした。残念ながら後半で脚本も演出も作画もガタガタと。これまでのレビューで、シリーズここ数作、起承転結の転がすっぽり抜けてるって書いておりましたが、今回は起承転転結になっちゃってるんですね。結婚式からジェットコースターまで、山場が分散してしまって、キャラクターがちゃんと動いてません。棒立ち状態キャラ続出。ボーちゃん登場、ひまわり登場、ネネちゃんとマサオくん登場、見せ場いっぱいなのに、気分はそのたび盛り上がろうとするのに、それが大した意味を持たないままに流れてしまうという。そしてタイムトラベルもの、世代ものに必要なケリがちゃんと付かないままに終わってしまうのが大変に残念で(風間くんには特にちゃんとケリを付けて貰いたかったです)。最後の最後に誰の力でもなく未来が変わり、パラレル化する理由も明確ではなく、なんとなく感覚で伝えようとしているのかもしれませんが、ちょっと投げやりな感じがします。結婚式からコースターまでを整理して、その分、もっと「未来と過去の邂逅」を細かく描いていたら良かったんですけどね。惜しいなぁ。それでも、アンチユートピアの世界を舞台に、未来に希望を抱くキャラ達の熱い物語、この数年の『クレしん』映画の中で最もワクワク面白く見られた作品でした。
[映画館(邦画)] 7点(2010-04-22 14:50:35)
38.  クヒオ大佐 《ネタバレ》 
結婚詐欺師を題材にした軽妙なコメディ映画を期待したら、これがまあ重い重い。淋しくて哀しくて弱い人々ばかりが出てくる映画で、それがもうそのまま直球で淋しくて哀しくて弱いです、って描かれ方をしているワケで見ていてツラくて仕方ねーです。みんな人間的に何らかの変化をしてゆくのかと思えば、ずっとそのままだし(事態の変化はありますけど)。松雪泰子はこの映画のカナメを最後の方でセリフにして喋っちゃうし。あのセリフにあった事、ただ目の前のあなたが好きだってところを核に、人間に惚れてっちゃう女達を面白哀しく描けていれば良かったと思うのですが、クヒオが掴みどころがなさ過ぎなキャラであったがゆえに、魅力の本質にまるで迫れなかった恨みが残ります。キャッチフレーズの「女達よ、なぜ騙される?」の答えに到達できてなかったじゃん、と。「なぜ」のまんまを映画化しただけみたいな。クヒオのキャラは創造できた、でも終盤の回想を持ってしても人間クヒオの創造には至らなかったように感じました。
[映画館(邦画)] 5点(2009-10-15 20:34:31)
39.  くもりときどきミートボール 《ネタバレ》 
意外な面白さでした。水を食べ物に変える発明をした科学者のドタバタ話、荒唐無稽な、かなりムリな設定の上に立っている物語ではあるのですが、空から食べ物が降ってきたらいいな、っていう子供心をくすぐるような夢のある映像と、飽食の先にある恐怖とがきっちりと表現されていて。ゼリーでできたお城や、アイスクリームが降り積もった街のワクワクする感じのビジュアルの一方で、パスタの竜巻、空から次々に襲いかかる巨大食物、クズとして積み上げられた残飯の山の決壊シーン等、後半は凄まじいディザスターワールドとなっていて、パニック映画ファンの私も大満足の逸品。3Dの立体感も、他の3Dアニメよりも飛び出し方向が強調されている感じで3Dを楽しめる作りになっています。父親との確執がいまひとつキレイに流れていない(ジミな釣具屋とダメな発明と、それぞれを最終的にちゃんとケリを付けて肯定しきってません)のと、最終的に北半球全域、『デイ・アフター・トゥモロー』クラスの大災害をもたらした事に対する反省がゼロ、っていうのがひっかかってしまいましたが(あと、食物アレルギーに対する無神経な描写も)、夢があってスケールの大きなファンタジーとして存分に楽しませて頂きました。
[映画館(吹替)] 8点(2009-10-15 19:29:34)(良:1票)
40.  空気人形 《ネタバレ》 
映画の価値って、見た時の状況やタイミングにも大きく左右されますね。私は東京に生まれ暮らして。この夏、自分的なキーとなったスポットはお台場と東京タワー、ついでに水上バス。これを見たのが豊洲で。そして今の半分ボケた父親との孤独な介護生活。どれだけこの映画にシンパシーを抱く事になったやら。不完全な器としての体に心が宿ることで、お互いに足りないものを補い、新たな創造に繋がってゆく、それが生命。そして、都市の、人の中に暮らしながら自分の存在をハッキリと確認できない、足りないものを抱えたままに過ぎてゆく人々の孤独が空気人形ペ・ドゥナに集約されてゆきます。心を持つ事の切なさ、つらさ、そして素晴らしさが、彼女の「透明な存在感」によって心に染み入るほどに繊細に織り成されてゆきます。象徴的に描かれてゆくフェイクたち。だけど、フェイクと本物は何を以ってそこに価値の差が存在しているのかを問いかけてきます。美も醜も生も死も自分のものとして演じられる唯一無二なペ・ドゥナという存在があればこそ成立した映画。また、彼女自身が作品として成立している映画でもありました。これまでのどの出演作よりもペ・ドゥナの映画で、そしてペ・ドゥナが映画で。
[映画館(邦画)] 9点(2009-09-26 22:31:06)(良:1票)
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