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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2517
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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1.  ゴーストバスターズ/フローズン・サマー 《ネタバレ》 
 なんか見ててあんまり面白くなくて、でも『ゴーストバスターズ』って1作目からずっと女性版以外あんまり面白くないよねー、って。   前作同様、フィービーが魅力的なキャラなんだけど、今回何がイヤだったかって大人たちがみんな良識人ぶった存在で、映画自体がそれを肯定してる感じなのがもうつまんない。フィービーの若さゆえの未熟さがダメなのよねー、って感じの映画で、いや彼女に謝らせるなや、みたいな。親たちも旧バスターズもみーんなつまんない存在。幽霊の友達だけが面白かったのにそれをネガティブな要素にしてるものだから救いがないわ、って。   ゴーストバスターズ的に特に新ネタがあるって感じでもなくて相変わらずのネタで引っ張ってる状態(スライマーにマシュマロマン、図書館での1作目の再現ネタなんか寒いわ、フローズンムービーだわ)、ボスキャラ最弱じゃね?みたいな状態で(復活から退場まで随分とアッサリだわよ)なんか1つのネタで延々引っ張ってますって出涸らし感ハンパないわ。  音楽もエルマー・バーンスタインをリスペクトし過ぎちゃってるし、なんかもう全然違うコトできないのかしらねぇ? 女性版の続きが見たいわねぇ。
[映画館(字幕)] 4点(2024-04-08 15:55:49)
2.  ゴジラ-1.0 《ネタバレ》 
 『ユア・ストーリー』で山崎貴監督許さん!状態なのだけど、それはそれとして『シン・ゴジラ』よりずっと楽しませて頂いたわ。モブ以外は政治家と役人と自衛隊員だけな『シン・ゴジラ』よりも民間人視点で怪獣を描いたこちらの方が好み、それはもう子供の頃から一貫した嗜好だしね。まあ主役は特攻隊の生き残りの復員兵だけれども。   今回のゴジラは基本『もののけ姫』よね。ゴジラは巨大生物と言うよりも化け物、妖怪、もののけ、タタリ神のような感じ。背びれを立てながら海をやってくるその顔、その目は微妙に生物感に欠けていて、大入道とかダイダラボッチみたいなイメージ。戦争を起こす人間に怒る破壊神ね。  一方で怪獣映画にしては妙にたっぷり描かれる生活描写。戦後の焼け跡のミニマムな地点から再スタートする人の営み。  それぞれに戦争を引きずるゴジラと一人の男の、戦争を終わらせるための戦い。怪獣よりも人間に寄った分、エンタメ感は不足気味かもしれないけれどレビューに毎度書いてる「怪獣と人間ドラマは水と油」って難点をそれでも両立させた怪獣映画としてこれまでで最高レベルだったと思うわ。  ドラマ部分の演技や映像の昭和感も時代を映してる感じで良かったと思うのだけどX見てると今風じゃないのが不満らしい人が多くてなかなか難しいわね。アタシには『シン・ゴジラ』のあの大量早口セリフの方がよっぽどヘンに思うのだけど。   で、ここからは難点を。山崎貴監督って節操の無さゆえの問題ってのがいつも付きまとう気がするのね。その最悪の結果が『ユア・ストーリー』ではあるのだけど。  連想される作品はいっぱい。『ジョーズ』『ターミネーター2』『ジュラシック・パーク』『インデペンデンス・デイ』『この世界の片隅に』『ファイナル・デスティネーション』『ダンケルク』。そして『すずめの戸締まり』。これは製作時期的に影響された訳ではなくて今の日本に生きる者が持つ共通の感覚から来てるのかしらね。  今回のゴジラはそれまでの自作の要素がたっぷりで(『三丁目の夕日』や『永遠の0』『アルキメデスの大戦』等々)、そこは上手くいってる面もあるけれど、でも『ヤマト』とはラストで決定的に矛盾するわよね? そういうのが彼の信用ならない部分なのよ。今回、自己犠牲を引っ張りながら最後に否定する、けれどそこまでに滅びの美学的なモノを漂わせちゃいませんか?って。日本大好き!っていうのは従来作から一貫してて、帝国主義や旧日本軍を否定するのは正しいとして、でもみんなで立ち上がってこの日本を守りましょう!みたいなナショナリズムの喚起みたいな面はアタシ的にはイヤなのね。もっと外向いていて欲しいわ。  あと多くの怪獣って歩いて移動するのだから「線」なのだけれども多くの怪獣映画が製作費やら脚本やらの問題で「点」になっていて、この映画はその怪獣映画の歴史の中でもかなりな「点」な映画で、そこが残念ね。   浜辺美波さん、以前からちょっと古風な佇まいのある、それゆえ普遍性を持った稀有な役者さんだと思っていたけれど、今回は時代設定にハマっていて彼女の魅力を生かしていたと思うわ。   でもあれこれと言いたいコトはありつつも大画面に映える骨太な、がっしりした映画を見たって感じがして満足したわ。
[映画館(邦画)] 7点(2023-11-05 10:41:20)
3.  今夜、世界からこの恋が消えても 《ネタバレ》 
 三木孝浩監督3作品連続公開状態なのだけど、同時に3作品それぞれジャンルは全く異なりながら「記録と記憶の三部作」とも言える共通したテーマを持っているのね。   1本目のこの映画は事故の後遺症で眠ると記憶を無くしてしまう女子高生が毎日日記を付けて毎朝読み返すことで過去を知り日々を更新してゆく物語。失われてしまう記憶を記録で補ってゆくの。  そんな彼女に偽りの彼氏ができて、もちろん毎日知らない人からのスタートになるのだけれど、その日々の積み重ねがやがてかけがえのない記録になっていって、だけど・・・。彼の遺志に従って、彼女の親友と彼の姉は日記を改ざんして彼の存在を彼女の記録から全て消して。だけど彼女の中に残る記憶があって・・・。   原作は『50回目のファースト・キス』の設定から発展させた感は否めないの。絵を描くことで事故後の記憶が潜在的に存在しているってあたりなんか特に。毎日記憶を失ってしまうのにそれを教師と親友以外の周囲に秘密にして高校に通えてしまうという無理っぷり、毎朝記録を読む事で現実を受け入れリセット状態から毎日の生活を更新してゆく無茶っぷり、その辺は冒頭からタネ明かしをして物語上の秘密を彼氏の方だけに置く脚本でねじ伏せてる感じもあるわ。   彼女に楽しい記録だけを残すために死にゆく自分の存在の削除を依頼する、親友のために事実を偽る、弟の存在を消す、そして真実を知らされ記憶の中に存在していない彼氏の死に向き合う。それぞれの辛さが切なく胸に迫ってくる物語、でも監督お馴染みのテクニックによって魅力的なロケーションを背景に(江ノ島!湘南!水族館!花火!みたいな)光と影を駆使した、美しくキラキラしたイメージに包まれた、見終って意外なことに爽やかなラブストーリーって印象が残るの。描かれる悲劇すらも甘美なカンジね。これぞザ・三木孝浩!って映画。   福本莉子さんは『映像研には手を出すな!』みたいなぶっ飛んだ役がいい味出してるのだけど『思い、思われ、ふり、ふられ』やこの作品みたいな正統派ヒロインももちろん良いわよね。  でも今回の大きなカナメだったのは親友・泉役の古川琴音さん。二人の恋をずっと支え続けた彼女が実質的な主役みたいな感じで、泉が抱えた重圧、苦しみや痛みを見事に表現していたわ。彼女は脚本に書かれていた以上のものを表現していたと思うの。『十二人の死にたい子どもたち』でも注目したけれどこれからも期待できる役者さんね。   三木孝浩監督の青春映画が好きで毎回期待してしまうのだけど、この映画も三木監督のキラキラを堪能できる、純度の高い作品だったわ。
[映画館(邦画)] 9点(2022-09-08 16:13:56)
4.  GHOSTBOOK おばけずかん 《ネタバレ》 
 ラストのガッキーの涙、アレって2006年に製作されたタイムリープもの、2013年に製作されたラブファンタジー、2本の邦画と全く同じシチュエーションなのよね(各作品のネタバレになるのでタイトル伏せるわ)。三番煎じ。そういうとこだぞ山崎貴監督。安易にアレ好きコレ好きって反映させ過ぎなのよ。いっつも他人の借り物ってカンジが強いわ。この人、オリジナリティで勝負!ってあんまり無いわよね。   とは言え『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』で一切信用できなくなった山崎貴監督作品だけど褒められるモノは褒めるわ。勿論お金払わず貯まったポイントで見たけど。   『学校の怪談』を期待しちゃうとかなり違うかしらね。感覚としては『地獄堂霊界通信』に『くちびるに歌を』と『妖怪大戦争』(2005年版)混ぜたようなカンジかしらねぇ。『地獄堂霊界通信』、見た人ほとんどいないと思うケド。  映画は雑な作り。映画の中に存在してるハズの作品世界のルール、法則、それをちゃんと説明できてなくて、わざわざ神木くんがゴーストブックについて説明し損なう描写を入れてるのだけど、そういう問題でなく冒頭から延々と動機も目的も世界の成り立ち、カタチも語られないために前半はひたすらに空回りした混乱劇が続く状態で。  子供たちのキャラは良いけれどセリフは聴き取りづらいし演技のタイミングがぎこちないのよね。異世界に気付くのやたら遅いかと思うと馴染むのやたら早いわ。  登場するゴーストもなんだか一貫性、統一感に欠けてて古典的なモノやらオリジナルなモノやらモンスター系やらバラバラ。毎度のCGっぷりもまあ相変わらず。   ただ、それでも子供向け実写邦画として良い在り様を示していると思うの。夢と冒険、わくわくハラハラ、そしてほのかな恋。そういうのはアニメに任せておけばいいってモンじゃないでしょ? アニメは超人、天才の物語ばかりだし(それはマンガの実写化にも及んじゃってるけど)。等身大の子供の物語って必要だし、これはそこをちゃんと押さえてると思うわ。個性的な普通の子供たちが織り成す子供の世界、そこに大人のガッキーが良いアクセントになって絡んで。ガッキーはホントに魅力的ね。コミカルっていうかそこまでやっちゃう?みたいな状態だったりするケド。   なんだかんだと楽しい映画になってるので夏休みのお子様たちと親御さんにお薦めね。
[映画館(邦画)] 6点(2022-07-24 19:00:42)(良:1票)
5.  ゴーストバスターズ/アフターライフ 《ネタバレ》 
 『ゴーストバスターズ』は全部リアルタイムで見てきてるのだけれど、好きなのは黒歴史扱いされてそうな2016年版だけなのよね。1作目は笑えないコメディとちょぼちょぼなスペクタクルって印象しかないわ。  でも今回の映画はとってもワクワクしたし感動したのね。1作目のことを大切にして、1作目への愛に溢れていて。1作目から37年を経た時の重さがリアルに伝わってきて、自分が生きた年月と重なって実感を伴って感慨深くて。  1作目のあのクルマ、あのガジェットの数々、懐かしい日々、還らない人・・・。音楽もエルマー・バーンスタインが創造した世界にきっちりとオマージュを捧げていて。深い深いノスタルジーと感傷の世界へと誘われていったわ。   でもちょっと待った。この映画自体、なんか新しいコトしてる?   出てくるモノは1作目で創造されたモノばっかり。登場人物たちは1作目のガジェットを使うだけだし、敵は1作目のゴーザ、門の神、鍵の神、緑の大食いのアイツとマシュマロマン。1作目のネタばかりで構成されちゃってるのよね。  オリジナルなのはドラマ部分くらいなのだけれど、それも1作目のキャラクターから発展させたものだし、1作目のオマージュばかりに忙しくてこの映画独自の魅力はなんだかとても頼りないモノになっちゃってるのね。せっかく主人公の女の子は魅力的なのに、彼女と彼女をめぐる人々のドラマはスカスカ、お母さんもお兄ちゃんも先生も仲間もあまりちゃんと活躍できてはいなくて、クライマックスの肝心なところはやっぱり大々的ノスタルジー!って状態。   これ、1作目が存在しなければ一切何も成立しない映画なの。せめて次世代へのバトンタッチをきっちりちゃんとしておくべきなのだけどラストシーンもあんなでしょ? 懐かしさに感動した、感傷的になった、でもそれだけでいいのかしら?   映画もアンタも共にトシ取ったし、みんなで一緒に棺桶にGO!みたいな感覚になっちゃったわよ。
[映画館(字幕)] 6点(2022-03-17 15:05:52)
6.  ゴジラvsコング 《ネタバレ》 
 最近の国産ゴジラ、『シン・ゴジラ』といい『アニゴジ』といい『ゴジラSP』といい、なーんかピンと来ないのよね。どれもゴジラ(怪獣)をダシにして描きたい事(押し並べてスノッブなナカミ)を披露するばかり、みたいな。ゴジラ(怪獣)を他のモノに置き換えたって全然構わない程度の扱い。   大体、これまでレビューで何度も何度も何度も書いてきてるけれど、怪獣と人間ドラマは水と油の関係、どっちも両立させようなんてのは無理なのよね。人間ドラマ描いてる間は怪獣をどっかにただ置いておくしかないし(海の中とか怪我して休んでますとかのんびり移動してまーす、みたいな)、怪獣が暴れてる間は人間は為す術なく右往左往して逃げ回るしかなくて。そしてそれでも無理して両立させようとすると超能力で怪獣と繋がってますとか、科学者や兵隊さんなのでいちいち怪獣の前に出ちゃいますとか、こじつけるような設定、展開をさせるしかないのよね。   で、前置きが長くなったけれど今回の映画はかなり割り切ってるのね。あくまで怪獣が主役。人間はドラマなんて抱えてなくて、ただ怪獣を動かすお膳立てをするためだけに登場するの。  もう人間達、かなりいい加減だわ。なんでも判ってるかのような科学者が何人も登場してはしたり顔で解説してくれたりして(あの陰謀論者はだからそこら辺を皮肉ってもいる存在ね)。昭和ゴジラや昭和ガメラの科学者みたいなモノよ。悪役は悪い事してます、って判り易さだしね。毎回悲壮感漂わせてる父ちゃんは今回ただ出てくるだけ。観客から「お前何してん?」ってツッコまれるだけの役。  その上トンデモ科学みたいなのも色々登場して。轟天やスーパーXなみに「それ、どう見ても飛ばないわよ?」みたいなスーパーメカ出てくるし、アレはVSキングギドラと機龍のハイブリッドみたいだし。  更になんかメカの中に入ったら動き出しちゃって悪の秘密基地に到着しちゃうとか、システム止めるにはコレがいちばんとか、あんた達、昭和ガメラのお坊っちゃん達なの? 悪の組織、セキュリティガバガバ?   一方でゴジラとコングはココロ持ってて感情剥き出しで、ふきだしポワンと出して「やっつけろ」「りょうかい」とか会話しだしてもおかしくないくらいだわ。   だからね、今回の映画は昭和、平成、ミレニアムのゴジラにぐーっと寄ってるカンジなのね。前作から続くレジェンダリーチャンピオンまつり感は更に強まったの。とにかく怪獣がどつきあいしてナンボ。でっかい生き物が大スクリーンいっぱいに暴れて壊してみせればそれで十分、それ以外に何が必要?みたいな。アタシの中にある怪獣映画って、そういうモノだし。  街並が怪獣の足で破壊されて、カメラがぐーっと上を向くとビルの間に巨大な怪獣の姿があるって、もう「コレコレ!コレが見たかったの!!」って。斜に構えた映像じゃなくて、日本から絶えて久しい、真正面から怪獣を捉えた怪獣の映画。2021年の技術で表現された昔ながらの怪獣映画。   「バカで結構」こそが『ゴジラVSコング』の矜持、誇りなんじゃないかしら?
[映画館(字幕)] 8点(2021-07-03 17:48:36)(良:4票)
7.  幸福路のチー 《ネタバレ》 
 アニメーションのレベルは日本と比べるべくもない状態ではあるのだけれど、でもそれが全く欠点ではない、独自の個性と色とが濃密な空気となってスクリーンから伝わってくる感じで、その台湾という世界の匂いを堪能したわ。特に背景画の街並からは遠い記憶にある懐かしい匂いが漂ってきそうで。   祖母の葬儀にアメリカから台湾に帰省した女性が、生まれ育った街を通して回顧する少女時代の物語。台湾版『おもひでぽろぽろ』みたいな形容をされたりもするけれど、こちらは背景に台湾という国(あえて「国」という表現を使うわね)が辿った歴史の流れがあって、社会や時代との具体的な接点が描かれていて、そこを生きた、そして生きる人の生がシンプルな絵柄のアニメーションから生々しく伝わってくるのね。  生活ぶりや国民性が興味深く見られて、そんな世界からの普遍的なテーマである女性の自立の難しさ、子供の頃の理想と大人の現実のギャップという等身大の人の姿が描かれて、主人公の存在がとても身近に思えるの。空想の中に登場する王子様達のイメージも含めてね。   個人的には過去シーンで子供達が揃って歌う『ガッチャマン』の歌に自分との意外な接点が感じられてほっこりできたわ。あちらでも昔、放送されてたのね。   主人公の選択には決して幸せなハッピーエンドな世界が待っている訳ではない、父母が辿った以上に大変な未来があるのかもしれないけれど、それでも重ねられてゆく人の生を肯定し祝福する、そんな映画ね。
[映画館(字幕)] 8点(2021-04-07 14:05:49)(良:1票)
8.  ゴジラ キング・オブ・モンスターズ 《ネタバレ》 
 ベースが明らかに『三大怪獣 地球最大の決戦』と『怪獣大戦争』でチャンピオンまつり世代歓喜ワールド、だけど初代原理主義もしくはシン・ゴジラ原理主義の人には向いてなさそうよね、コレ。アタシは怪獣映画なんてテーマだのメッセージだのメタファーだのなんてさして重要じゃなくて、怪獣が出てきてドタバタ暴れてナンボだと思ってるんで、まあまあ面白かったわ。   ただ、人間側のドラマは前作に引き続き退屈。怪獣と人間のドラマは水と油、って何度も書いてきてるけれど、今回も混ぜようと無理してて、でも全然なのよね。いちいち怪獣に近づき過ぎだっての。潰されても仕方ないわよ?みたいな状態になってんの、っていうか実際にそうなっちゃうあの人はアレで良かったのかしら? それなりに名前のある役者さんのあの退場っぷり、『ディープブルー』のサミュエル思い出しちゃったわよ。   悪役の中二病全開な怪獣復活テロの理由とか、核の扱い雑過ぎで被曝しまくりでしょ!って状態とか、怪獣による被害描かれなさ過ぎとか、まあ、ツッコミどころだらけで、だけど良くも悪くもそういういい加減さもまた怪獣映画らしい、っちゃらしいのよね。   地球の守護神的な描き方は平成ガメラみたいだし、傷付いて海の底で休んでるところに潜水艇で助けに行っちゃうあたりは昭和ガメラの世界だしで、ガメラファンも満足?   でもやっぱり今の技術で巨大な怪獣がスクリーンいっぱいに暴れてる姿を見るのは気持ちいいのよね。巨大感を意識し過ぎて見辛くなっちゃってはいるのだけど(っていうか一体何が映ってるのかわかんないカットが結構あったわ)、人の力では到底太刀打ちできない畏怖すべき怪獣って存在を迫力いっぱいで見せてくれるのは単純に嬉しいわ。  モスラの美しさ、その役割なんか、よーく判っていらっしゃる、って描き方で(予告編時点ではバトラみたいになっちゃったよー、って嘆いたケド)、それぞれの怪獣のイメージをきっちり守ってみせたレジェンダリーチャンピオンまつりだったわ。  アタシ的にはもっとくだけちゃっても良かったんじゃない?とは思ったけどね。
[映画館(字幕)] 7点(2019-06-03 21:19:39)
9.  GODZILLA 星を喰う者 《ネタバレ》 
 どんな映画でもそれなりに入るTOHOシネマズ六本木ヒルズ、今回は前作から1人減って自分も含めて観客5人ね。  毎回モンク書きまくりなシリーズも今回で完結。もちろん、いきなり名作!ってコトになるなんて思ってはいないので、ポイントでタダ見。   今回もかなりつまらなかったのだけど、でも明確なテーマを打ち出して終わらせただけマシと言える・・・のかしらねぇ。   前半に延々と禅問答が続くのはこれまでと一緒。  ゴジラがシンボリックな存在で、それは別にゴジラじゃなくても成立するでしょ?というのも一緒。  そしてゴジラがあんまり動かないのも一緒。   一応話がまとまって終わらせている点はマシ、なのかもしれないのだけど、でもそこに至る道筋がどうにも色々とイヤなカンジで。   宇宙の真理みたいな大きなモノと人間の感情っていう小さなモノとの話なわけだけど、大きなモノの意識が傲慢なのよね。その傲慢さは作者の傲慢さにも繋がっている気がして仕方ないわ。  とりあえず真理を置いておきますね、そしてその上で人間はどうあるべきかのテーマを打ち出しましょう、みたいな感じで、あなたのホンネは上から目線のあのキャラに反映されてるんじゃなくて?みたいに思ってしまって。宇宙規模の高次では広島・長崎すらも肯定されるものなのかしら?って言いたくなっちゃう。 それ、傲慢だし、頭でっかちな中二病っぽくって呆れるわ。   あと、展開から思えば双子は大人の女性としてデザインされなければならなかったわよね。未成年者の少女に見えるわけだけど、無自覚でああいうコトをさせているのだとしたら、とても気持ち悪いわ。その性癖は一生秘匿して生きてゆくべきじゃなくて? 大々的にスタッフを動員して表現するもの?  というか、その古臭い考え方そのもの(女性を田んぼや苗床として捉えているようなモノね)が気持ち悪くて。   1作目からずっと行動に納得できる点のない主人公が最終的に他人まで巻き込んで自己完結して酔ってるような映画、それは製作者の姿を映すようで、まー酷い3部作だったわ。
[映画館(邦画)] 3点(2018-11-16 19:48:27)
10.  コーヒーが冷めないうちに 《ネタバレ》 
 このところ、映画を見てはモンクばっかり言ってるヤツ、みたいになっちゃっててねぇ。  この映画こそ、面白かった感動した泣いた楽しかったってポジティブなワードで溢れてくれたらいいのだけどねぇ・・・   役者さんは皆さん、良かったです。  映像もキレイでした。  以上、ポジティブな表現ができるのはそれくらい。   「4回泣けます」ってこの映画のキャッチフレーズだけど、一度も泣けねーですよ。  タイムトラベルモノってことで、この物語独自のルールがあるのだけど、そのルールがあまりに多過ぎて、もうフツーの感覚な部分が少なくなっちゃってるのね。しかも、そのルールは矛盾や疑問がいっぱい。物語を都合よく運ぶためのルールによって固められた世界。  そういうものだと割り切れ、って点が多過ぎて、ドラマがどうこう言う以前の問題という感じ。  「過去は変えられない」って事は過去に介入できない、つまり飛んでる間のみで完結すると思うじゃん、平行世界の泡のような時間だって。ところがそこからモノを持ってきたり、そこに居た人間の記憶が更新されたりしちゃうわけ。それ、過去変更可能じゃね?  しかも最後のエピソードは起源消失してるし。未来って名前を付けた元の人間が存在しないわよね?   4回泣けます、というのは描かれる4つのエピソードそれぞれのことを指しているのでしょうけど、まず最初のエピソードは軽くて、これ泣けるの?という感じ。  次の2つのエピソードはそれなりにドラマティックだけど、肝心のルールが逆にジャマをしてしまってるっていう。  そして、もっとも重要な最後のエピソードは、ルールによる仕掛けがメインになってしまっていて、そこに色々な疑問が生じてしまうので、映画がこちらを置いて一方的に酔っているような感じ。大仰な音楽がそれに輪をかけて、アタシ一体何を見せられてるの?みたいな。   タイムトラベルものって色々あるけど、これは独自ルールをあまりに大量に盛り込みすぎて、シンプルな感動を疎外しまくっちゃったように思うわ。雰囲気だけでSFとか作るもんじゃないわね。  ホラまたモンクばっかり。
[映画館(邦画)] 4点(2018-11-01 19:45:47)(良:1票)
11.  恋は雨上がりのように 《ネタバレ》 
 実のところ、コレって(作品を作る側の)おっさん目線で作られた映画よね。鼻に付く、おっさんの自虐的なギャグが散りばめられ、おっさんの夢とか願望とか救われたいキモチとか、そういうのが加齢臭の如く、じわじわと滲み出ていて。安心安定の大泉洋だからこそ、それでも成立しちゃうわけだけれども。  おっさんのアンチ的ポジションに濱田マリを配するあたりも嫌味を最小限に抑えてる感じで、まあ、おっさんのファンタジーですわね。   一方、ヒロインの青春映画としては、挫折と、そこから一歩未来へと踏み出す勇気がまっすぐに描かれていていいカンジです。彼女を取り巻く環境(母との関係や、親友やライバルの存在や)も大切な要素として機能していて。   でも結局、小松菜奈が総て。その表情(基本は仏頂面)と、そのしなやかな立ち居振る舞いと。 彼女の所作、1つ1つが美しくて、だから冒頭で駆けるシーンはマンガ的に作り過ぎな感じで残念ね。そんな加工は不要でしょう。  女優、小松菜奈の美がキッチリと収められているという点で、大変重要な作品。   彼女が動いている、或いは止まっている事で意味が生じる映画。そして、それだけで十分なのでしょう。
[映画館(邦画)] 7点(2018-06-28 22:08:22)
12.  GODZILLA 決戦機動増殖都市 《ネタバレ》 
 同時期に『レディ・プレイヤー1』『パシフィック・リム:アップ・ライジング』『ランペイジ 巨獣大乱闘』と怪獣リスペクトなハリウッド映画が次々公開されている中、本家の看板をぶら下げてるコレは一体何をやっているのやら。   基本は前作と一緒。ゴジラをダシに、設定世界のおたく的披露に終始する映画。前半というか、大部分が大量のセリフによる設定の説明、クライマックス部分にアクションあります、と。しかし、今回メカゴジラが登場するわけですが、これもおたく的ヒネリを効かせてみました、って状態で、その設定を面白がれるのって虚淵玄ファンくらいのモンでしょ、っていう。そんなメカゴジラを見せられて楽しいか?と。『レディ・プレイヤー1』のメカゴジラのサービス精神の欠片もないわ。  そのクライマックスにしても前作と似たような絵ヅラに終始して、やってること、ほんと、前作と変わりゃしません。3部作なわけですが、1作目から作品として発展してないって、しょーもない。  主人公は相変わらず優柔不断で行き当たりばったり、ヒロインや武闘派の種族の連中の言動もまるで共感できず、キャラにちっとも魅力がないのもそのまんま。   それでも前作よりはマシな点数付いてるのは、双子のキャラが良かった(しかしちっとも物語に活かせてないわけですが)のと、前作の存在がある分、入り込み易い(つまりここから見ても訳わからない、これ1作では全く評価できない)から、それだけ。   双子と卵って要素を出しつつモスラも出さずにスカして、とりあえず色々ワザとスカしてみせるやり方を面白がってるみたいですが(バカじゃね?)、ゴジラの看板を掲げている以上、抑えるべき最低限ってものがあるんじゃないかなぁ。今回のゴジラもまた、シンボリックな存在に終始してるだけですし。   どんな映画でもそれなりに入ってる六本木ヒルズのシネコンで観客6人とか、なかなかレアな体験させてくれた訳ですが、東宝的には笑い事じゃ済まないんじゃないですかねぇ。
[映画館(邦画)] 3点(2018-05-24 23:07:41)
13.  今夜、ロマンス劇場で 《ネタバレ》 
 どうもこの映画が好きな人は攻撃的になるようで「ツッコミどころが〜しか言わない人は人生のツッコミどころ全部刺されてくたばってほしい」とかいうツイートがあったり、「ファンタジーにツッコむなんて野暮」ってわざわざクソリプ飛ばしてくる人がいたりしたので、あえてツッコミどころ中心に感想書かせて頂きます(笑)   見る前に連想された『カイロの紫のバラ』『カラー・オブ・ハート』『ローマの休日』のモロな頂きっぷりは、実のところわりと最初の方だけで、中盤はオリジナルな感じで進んでゆきます。そこがつまんないんですけど。むしろそれらの映画のリスペクトっぷりをもっとハッキリ出してくれた方がよっぽど楽しめたんじゃないかと。あまり共感できない苦悩やジレンマでグダグダしてますからね。   で、細部に対するこだわりが薄いのが気になったんですね(ここからツッコミどころ)。  まずモノクロの世界からやってきたお姫様ならば、その色の無さをもっと物語に活かしていいハズです。ところがすぐに化粧品で色を付け、以降は後半に濡れた手を拭いて下地の色が出るまで全く触れず。土砂降りの雨の中でも一切落ちないウォータープルーフっぷりは昭和35年のコスメとしてあり得るのか?っていう。雨は彼女の色を脅かす要素として当然機能すべき存在だと思うのですけど? 第一、眼球と口の中は一体どうやって色を付けたんでしょう?  それから、ヒロインは映画の中の人ですが、オリジナルの女優に対する言及がほぼ無いのが不思議。とうの昔に死んじゃった事で言及を避けてるんですけれど、昭和35年のかなり昔っていつ頃でしょ? あの映画が作られたのは昭和15年くらいだと思いますが(『エノケンの西遊記』を基準に考えて)、間隔が20年だとするとオリジナルの女優は主演後すぐに死んじゃってたとしても、かなり昔と言えるでしょうかねぇ?  主人公(そして看護師)、マトモに働いてない状態に見えるし、ヒロインは何故かシステムを理解してるし(自分が創作物である、生身の人間の温もりに触れると消える)、多くの登場人物が主人公を盛り立てるためだけに存在してる都合のいい存在だし(嫌な人間が一人もいない素晴らしい世界!と肯定的に捉えるべきですかねぇ)。   で、最終的には映画と心中するようなもので、それはヤだなぁ(笑) 映画は所詮光と影と音の幻影なので、素晴らしいモノだけど、そこだけでは生きられないモノだから、そこを大切にする以上の、その先はあって欲しい訳です。   あの映画館は自由が丘武蔵野推理劇場とか渋谷全線座とか二子劇場とかあちこち思い出したけれど、いちばん印象が近かったのはわりと最近まで存在していた三軒茶屋中央かな?   最後の最後での『タイタニック』ラストシーンっぷりは感動っていうより、ちょっと笑っちゃったわよ。
[映画館(邦画)] 5点(2018-02-17 16:58:42)(良:2票)
14.  GODZILLA 怪獣惑星 《ネタバレ》 
 物語とかドラマとか、そういうモノに興味がないらしく。  オタク系アニメに氾濫しまくってる、ひたすら設定と状況を説明する事に終始している映画。  こういう設定イイでしょ?こういうデザインかっこいいでしょ?って見せつけたいだけ。すげーつまんない。   物語はツッコミどころ満載、力が弱過ぎで。「長い年月をかけて努力して新天地を目指した人々がいきなり地球に還る事をさっさと決め、2万年経過した地球に対してただゴジラ一体だけを警戒し、テロの首謀者を隊長にする」というお馬鹿っぷりは笑うところでしょうか?   出てくる人が誰もかれもみんなつまらないのが困ったものですが、最大の問題はゴジラに全くキャラが無い、ただ存在してるだけ、って事。別にシェーしたり、木枯し紋次郎のマネしたり、育児したりしろって訳じゃないですけど、アレは別にラドンでもアンギラスでもジラースでもダイゴロウでもメガロでもプルガサリでも成立しますよね? ゴジラがゴジラである、ゴジラ映画としてのアイデンティティがこの1作では見当たりません。   これってゴジラを見せたくないゴジラ映画?
[映画館(邦画)] 1点(2017-12-03 20:16:49)
15.  心が叫びたがってるんだ。(2017) 《ネタバレ》 
 実写化に伴ってアニメの記号的表現こそ抑えられましたが、でも基本は全く同じ。ベタ移植って感じで、もう少し違いがあっていいんじゃないかと思いました。  映画を見ながら忘れていた物語をどんどんと思い出して先追いしてゆく、そこには新しい作品を見ているって感覚が極端に欠如していて。実写になったがゆえの魅力って、秩父の風景以外あまり感じられませんでした。役者さんがアニメのキャラに負けてるとは思いませんが、キャラをトレースしているように思えてしまって、もっと独自の個性が出せたんじゃない?と。撮り方やライティングのせいか、マイナス方向の個性がたまに出てしまってる事はありましたが。   また、忠実であるがゆえにアニメ版の欠点をそのまま引きずってる箇所もあって。クライマックスのミュージカルと坂上&成瀬のドラマとがあまり上手くシンクロしていないとか、その時の坂上&成瀬がラブホで停滞し過ぎていてタイミング的にどう考えても舞台に間に合わないだろ、とか。坂上&仁藤の気持ちってアニメ版でもあんなに唐突だったっけ?とか。   あと、アニメの記号的表現は抑えられた代わりに、青春映画の記号的表現があるっていう。チャイム鳴ってるのにのんびり登校してくる生徒達。青春映画のチャイムって学校の記号的表現に過ぎないんですよね。  それから成瀬がスカートをぎゅって掴む表現は『近キョリ恋愛』のヒロインと一緒。監督の引き出しの中身が見え始めたかな?   で、今回もアニメ版同様、それでもテーマ的な良さがあって、だから決して悪くはないんです。言葉によって傷つき(実は傷付けたのではなくて)閉ざされたヒロインの解放の物語は間違っちゃいないんです。それがもう少し洗練されていれば・・・二度目の映像化なのですから、その機会はあったと思うのですけどねぇ。
[映画館(邦画)] 6点(2017-07-23 19:18:54)(良:1票)
16.  ゴースト・イン・ザ・シェル 《ネタバレ》 
 スカーレット・ヨハンソンがキレイに撮れている映画で、その点では良かったと思います。   でも、映画は『よいこのこうかくきどうたい』みたいな判りやすさで、そういうシンプルな映画が果たして『攻殻機動隊』として正しいあり方なのかどうか。押井守のビジュアルはリスペクトしていても、その精神に対してはどれだけリスペクトできているのかいなぁ?と、少々疑問に思ってしまいます。  世界の全てを親切に説明してくれて、明確にテーマも語られるので(そしてそれはこれまでの『攻殻機動隊』とはズレていて、古めかしさすら感じるテーマで)、想像や思考を巡らす余地はありません。ラストまで快適に運んでくれる『攻殻機動隊』、その時点で矛盾してしまっているような気がして仕方ありません。ハリウッド製だから仕方ないと諦めるべき事なのでしょうかねぇ。   そこそこなバジェットのワリに安っぽい映像に見えるのは、CGが主に背景を描く事にばかり使われていて、ライブと背景とがしっかり融合したアクション場面自体は乏しいからでしょうか。未来の世界の中に存在しているって感覚は薄かった気がして、でもこの題材ならばそここそは大切だったんじゃないかと。1995年当時のアニメの再現では、2017年の画にはならないですよね。1982年の『ブレードランナー』でも1995年の『GOHST IN THE SHELL』でもない、2017年なりのSFの画の構築が全然足らない気がしました。
[映画館(字幕)] 5点(2017-04-13 21:31:16)
17.  恋妻家宮本 《ネタバレ》 
 役者がとても良くて、登場人物ひとりひとりに気持ちを乗せる事ができて。特にドンが良かったなぁ。ドンの抱えた哀しみが響いて。   でも残念ながら、映画としてはあまり褒められない状態で。映像と脚本と音楽とが、全部説明口調というか解説風というか。面白味を狙っているつもりが全部説明になっちゃってる映像なんかは、あー、やっちゃったねぇ、ってモノがたっぷり。  完全な一人称映像で始まりながら、次のカットでその存在が消滅しちゃうという冒頭からして間違っちゃってるのですが(いや、あのファーストカットこそは映画の「入口」で観客を迎えてるって言いたいんでしょうけれど)、問題はたとえば映像とモノローグと文字と音楽とが全て同じ事を語るという、そのハイパーおせっかい表現法。本来、無言の演技だけで構成して表現できるであろう事柄に気持ちを表すモノローグを入れ、更にそのモノローグを具体的に表す文字を画面上に登場させ、音楽も気持ちを語るという。そこまでしなければ理解してくれない誰かを対象に映画を作らなければならないと思うのは、強迫観念みたいなものなのでしょうかねぇ。  状況によって変化するライティングとか特定のセリフにかかるエコーとか、お節介、やり過ぎ感がハンパないです。  対象として想定される観客のレベルを下げる事によって作品のレベルまで下がっちゃうと思うのですが。   阿部寛と天海祐希のコンビは眺めているだけで十分絵になっちゃうわけで、そんなに色々と盛ってあげなくちゃいけない存在ではありませんよね。「語らなきゃ想いは伝わらない」ってお話ではあるのだけど、それは映画そのものの物理的現象とイコールって訳ではない筈です。   でも、天海祐希が停電した駅の待合室でお弁当を食べるシーンを見て、かつて邦画に食事シーンが多い事に苦言を呈していた人がいた事を思い出しましたが、食事シーンこそは邦画の大きな魅力の一つなんじゃないかな、と思いました。このところ『エミアビのはじまりとはじまり』『この世界の片隅に』『サバイバルファミリー』そしてこれと、邦画の印象的な食事シーンに出会う事が多いな、って。
[映画館(邦画)] 6点(2017-02-19 21:57:46)
18.  コウノトリ大作戦! 《ネタバレ》 
 設定とか美術デザインとか人間側のドラマとか、いいところはいっぱいあるのに肝心の主人公のコウノトリに魅力が薄くて、となると映画全体の進行そのものがシンドくなってくるという。   主人公の思考と行動が理解できないんですよね。一貫性が無く、その場その場でどんどんブレていっちゃう。スラップスティックな線を狙っているんでしょうけれど、彼が物語の導き役である以上、そこに共感を得られるようにしてくれないとどんどんと取っ散らかった映画になっていっちゃう。  基本的には自己保身のための行動で、途中からは赤ちゃんを届ける使命感に変化してゆく、のですが、その明確な変化がドタバタの中に隠れて見えてきません。っていうか、先を急ぐ旅なのにフロートにわざと穴を開けて停滞させたのは、あれ、なんのためだったんでしょ? ちゃんと見てなかったのかなぁ。ひと休みするため?   一方で赤ちゃんを待つ一家の物語の方は家族の愛が描かれていてなかなか良かったのですが、これもそれまで子供を顧みない両親がコロリと子供寄りになる展開が唐突で、そこも取っ散らかり印象の一因かな。   あと、コウノトリ以外の鳥も色々と描かれながら、あまり活躍しない、伏線→伏線回収だけで真ん中がなかったりする存在がいたりして、ドタバタもいいけれど、もう少し腰を据えて落ち着いて描いて欲しい感じがしました。特にチリチリ赤毛のヒロインの個性、そのドラマをもっと落ち着いてみていたかったかな。ここはどうも扱いが軽すぎな気が。  切り捨ててしまうには色々と惜しい作品ではありますが。   でも、考えてみればこれって『モンスターズ・インク』とほぼ同じオハナシよね・・・
[映画館(吹替)] 5点(2016-11-04 22:18:37)
19.  この世界の片隅に(2016) 《ネタバレ》 
 東京国際映画祭で鑑賞。   原作がマンガというフォーマットを最大限に活かした名作だったので、アニメ化には大きな不安を抱いていました。原作は絵の表現がそのまま主人公すずの描く絵と内面の心理描写とに反映され、すずの一人称的世界を構築していたのに対して、アニメは共同作業による三人称世界ですから、原作をそのまま置換する事はできない訳で。後半のある時点からの大きな変化を描く重要な部分を映像で表現するのは無理、その代わりをどうするのか?と。  結論から言えば、完璧ではないけれど、アニメならではの表現を模索していて、それなりに上手くいっていたように思います。少なくとも同じ作者の『夕凪の街 桜の国』の無惨な映画化に比べれば、原作に過剰な思い入れのあるファンでも納得のゆく作品に仕上がっていました。   基本は原作に忠実で、原作の絵柄を丁寧に再現し更に細やかにアニメートさせ、エピソードを上手くすくっています。  精密に描かれた戦中の広島と呉の世界に、声と動きを与えられたすずが生きていて、彼女が巻き起こす笑いが楽しく、それがゆえの後半の痛みも厳しく。  手の描写にこだわるのは原作からすれば当然と言えるのですが、その当然の事をきちんとできているかどうかが重要なわけで。これはとてもきちんと真面目に作られています。   リンのエピソードがかなり割愛されてしまっているのはとても残念なのですが、そこを描くとPGー12指定の映画になりそうな気もしないではなく、仕方ないのかな。  鬼いちゃんと座敷わらしのエピソードはもう少しハッキリと浮かび上がらせて欲しかったですし、ラストの邂逅も淡々とさりげなさ過ぎな気もします。  ですが、魅力的な存在感を放つすずを通してあの時代を暮らした人々の生が輝き、現在に繋がるこの国の人の営みを実感させてくれて見事です。   誠実な作りのアニメ映画、これもまた日本のアニメの力を示しています。どうか多くの人に見て貰いたいです。
[試写会(邦画)] 9点(2016-10-31 23:11:59)(良:3票)
20.  高慢と偏見とゾンビ 《ネタバレ》 
 私はよく「もしも小津作品にゾンビが出たら」とか夢想したりするんですが、コレはそういうノリを本当に形にしちゃった小説を更に映画にしちゃったような作品で。   ジェーン・オースティン作品と言えば19世紀の貴族階級の人々が惚れたハレたする、キラキラした恋愛模様を描いたオトメな世界、そこにゾンビを置いたらどんな面白さになっちゃうんだろう、って感じですが、どうもハンパに妥協しちゃった映画という感じで、もうひと捻り足らない状態のように思いました。  ジェーン・オースティンの映画化作品としては『いつか晴れた日に』『Emma』『プライドと偏見』がありますが、それらにあったオトメな色合い、イギリスの陽光、緑、田園風景、空、人々の優美さ、そういう成分が足らないんですよね。代わりにB級映画の安いノリがジワジワと侵蝕しちゃっているような風味で、それはガッカリだなぁ、と。一方でゾンビものとしてはごくごく控えめな描写で。あの美しい風景の中に恐ろしくおぞましいゾンビが置かれたとしたら、そのコントラストはどれだけ異様でステキな事でしょう、と期待したんですけどねぇ。  ヒロイン姉妹が中国で修業した武術の達人であるという設定も、あまり面白い画にできていない感じ。そこはジェーン・オースティン風味とハッキリ区切った武侠映画ノリで見せて欲しかったのですが、作っている人々にあーんまりそういう部分での拘りが無いらしく、ジェーン・オースティン、ゾンビ、中国武術、ついでに日本の剣術がコントラストを描く事なく雑多に置かれている状態でした。ジェーン・オースティン好きでホラー好きでアクション好きな人材なんていうのを求めるっていうのは贅沢なハナシなんでしょうかねぇ。   役者は良かったと思います。リリー・ジェームズとサム・ライリーの整った顔立ちはジェーン・オースティンワールドに相応しく、でも、だからこそそれを活かしきれていない脚本や演出が残念でした。  それでもジェーン・オースティン世界がどういうモノなのかを知っていればこそ楽しめるノリは随所にありはしましたが。パロディ映画としての域から出ておらず、そのもう一段上を目指す視点が欠けていたんじゃないか、そんな気がしてなりませんでした。
[映画館(字幕)] 6点(2016-09-30 20:24:26)
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