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21.  夜明けの祈り 《ネタバレ》 
終戦直後のポーランドにおいて、戦時中にソ連兵に暴行されて身ごもった修道女たちの支えとなったフランス人医師の話です。導入部分だけですでに重苦しくなってくるのですが、作品は決してそれに溺れません。情緒にも流れませんし、わざとらしい事件も起こりません。ただ地道に、とにかく修道女をなんとか助けようとする主人公の姿を追い続けます(修道院内の暗めの絶妙な照明が、それを支えています)。医学的に立ち向かえば何とかなるかと思いきや、部外者を拒む修道院の体制自体も一つの障壁だったりしますが、それも一つ一つの努力でクリアされます。その中で、最初は多勢に埋もれていたシスター・マリアが段々と立ち上がっていき目立つようになるのですが、このあたりの描写のバランス感覚も優れています。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-06-19 20:35:33)
22.  ハンナ・アーレント 《ネタバレ》 
凶悪な事件が起こったとき、人は、その犯罪者が常人には理解不能なモンスターであることを願う。もしそれが平凡などこにでもいる小市民であったならば、自分とも地続きであることになり、明日は我が身かもしれないという見たくない闇に直面せざるをえないからだ。その真理を明らかにしただけでも、アーレントの研究は、そしてこの作品は、貴重な意義がある。●終盤近くまで、アーレントは、じっと法廷を観察しているか、あるいは周囲の人たちと身近なやりとりをしているかである。わざとらしい事件は起こらない(理不尽な脅迫等はあるが、その描写も割とすっと流される)。しかしその中で主人公のスタンスは常に一貫しており、いつの間にかじわじわと意志の強さがにじみ出て、クライマックスの講演で一気に凝縮される仕掛け。見事な押し引きの呼吸、そして演出です。
[DVD(字幕)] 7点(2023-05-10 00:50:03)(良:1票)
23.  バッド・ジーニアス 危険な天才たち 《ネタバレ》 
いや、これはびっくりしました。テーマはずばり「カンニング」、その一点がどこまでもぶれない。その上で、当初はごく素朴でシンプルな日常の一幕だったのが、いつしか国際的な作戦(!)に発展していく。中盤以降などは、その辺のサスペンス映画など吹っ飛ぶほどのスリリングぶりです。あくまでも「カンニング」からずれていないにも関わらず、です。また、どこぞのベンチャー企業のプロモーションかと思うような作戦説明シーンなど、ハッタリを堂々とぶち込んでくる姿勢にも好感です。●そしてそして、やはり主演の彼女が素晴らしい。いかにもクラスに一人はいそうな、頭は良さそうだけどちょっと近寄りがたいという風貌。この子ならこういう作戦も考えつくだろうと無理なく思えるほどの自然な存在感。そして、追い詰められたときの焦った表情なんかもしっかり表現できています。
[DVD(字幕)] 7点(2023-04-12 01:04:25)(良:1票)
24.  アメイジング・ジャーニー 神の小屋より 《ネタバレ》 
家族と平和に暮らしていた父親が、ある日末娘を殺害され・・・というハードな出だし。ところが中盤から、怒濤の宗教映画に突入します。いえ、声高に教義をどうのこうの言うことはないのですが、何気ない会話の一つ一つに、何とも言えない重みがあります。ここでは、人の好い小母さんにしか見えないオクタヴィア・スペンサーが「神」というのも凄いし、軽そうな明るい兄ちゃんが実はイエス・キリストというのも面白すぎます。そして、小屋の3人組に巻き込まれていくうちに、いつしか「赦し」という壮大なテーマが突きつけられます。そして映画はそこから逃げません。まるでその壁をよじ登る主人公に同行するかのように、一歩一歩丁寧に進んでいきます。だから、そこからまとめ上げるラストにも説得力があります。●ところで、後でどうにも気になったんですが・・・主人公の幼少時、近所の小母さんらしき人から「教会に行きなさい」と勧められますが、これ、オクタヴィアでしたよね?ということは、あれも実は「神」だったということでしょうか?神は意識しなくてもいつも身近にいますよ、というメッセージでしょうか?だとすると、それを後で「あなたは、あのときの・・・」などといちいちつなげないのが凄いです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-04-06 00:50:55)
25.  ワレサ 連帯の男 《ネタバレ》 
ポーランドの解放と民主化の中心人物、レフ・ワレサの伝記作品です。何かすごく派手な演出があるわけではなく、どちらかといえば地道に淡々と進行するのですが、その中でも、一貫してぶれないワレサの意志の強さはびしびし伝わってきます。これは、ワイダ監督の演出の腕もさることながら、やはり主演俳優の役作りの丁寧さを讃えるべきでしょう。一方で、若い頃には官憲に抵抗できずサインをして釈放される描写もあったりして、決して超人ではなかったことも伝わってきます。ソ連の圧政を跳ね返して民族の独立を保った歴史を後世に残すという点でも、意義ある作品です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-03-29 20:59:26)
26.  赤い闇 スターリンの冷たい大地で 《ネタバレ》 
ロシアの国家的蛮行は世界史上多々存在しますが、この作品のテーマはあのホロドモールです。その時点で十分な価値と意義があります。ただし、ウクライナでの描写は意外に尺が短く、むしろ「何も知らなかった一記者が、実際に現地に至るまでの過程」と、「それを報道しようとしても誰も相手にしない状況」の方にウェイトが置かれています。しかし、そうであるからこそ、自分たちとも地続きであることも実感させてくれます。また、ウクライナ部分の時間は短いとはいえ、あの「肉のシーン」や子供たちの歌、さらに何気なく当たり前に展開されている飢餓光景など、胸の奥にずしりと残るほどの重みが凝縮されています。
[DVD(字幕)] 7点(2023-01-19 00:54:51)
27.  ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 《ネタバレ》 
いや、これは、実に巧い。視点を成人後に置いて、少女時代を回想扱いにすることにより、それが「古き良き時代」であったことが明確に示されている。その中でも、みんなが知っている「エイミーの氷落ち」とか「メグの舞踏会」とか「ジョーの髪切り」などのポイントを要領よくまとめて、一つの「物語中物語」を構成している。最後は何と、ジョーとオルコットが一体化するメタ構成という荒技。実は映画を見ている我々だって、ジョーとフレデリックのハッピーエンドを期待するわけで、観客もジョーの作品の読者としてしっかり取り込まれる仕掛けなのである。●シアーシャ・ローナンの演技力は知っていましたが、ここまで順当に成長するとはね~。表情とか動作とかの技術を超えた「存在」の次元でジョーが完成しています。この時点でまだ25歳なのか・・・。そして、要所要所でストリープやローラ・ダーンを挿入して、さらに重みを加える隙のなさ。●難点は、過去と現在の行き来が分かりにくい部分が多いこと。ここはもうちょっと抑えめにできたはず。それと、現在パートのエイミーが、ときどきキャシー・ベイツに見えてしまうこと。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-11-16 00:39:22)
28.  おろかもの 《ネタバレ》 
結婚を前にした兄が浮気していて、妹がその浮気相手と対峙する、というスタート。しかし、物語はその枠組を外れない一方で、この四者間の心理の綾をフルに使いこなしています(結局、「婚約者間」でも「兄妹間」でもその話題は正面から出ない。この奥床しさと、それがもたらす奥の深さ)。また、人物造形の作り込みと、それを把握した役者の繊細な演技が作品を的確に支えています。兄はいかにもな遊び人風ではないし、逆に誰にでも優しいのがこの事態を招いている。婚約者は地味なんだけど、何に対しても動じないし、むしろ一番先を正確に読んでいる。浮気相手は、おっとり系ながら、切り返しは鋭いし、一方で漠然とした不安も抱えている。そして主人公の妹は、それらの個性を正しく受けて、見る側の誘導役として機能しています。また、演出面でも、中盤のここぞという場面での長回し数回にも目を奪われましたが、クライマックス、花嫁のスッとした僅かな移動ですべてを表現する腕!これには唸りました。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-10-11 01:33:04)
29.  パラサイト 半地下の家族 《ネタバレ》 
ソン・ガンホ兄貴は確かに画面の中で存在感を示しながら、導入部では思ったほど前に出てこない。代わりに、息子と娘が的確な芝居で引っ張っていき、ガンホはそれを悠然と見守るという趣。4人が次々に入っていくくだりでは、安直な驚かせ方をさせることもなく、逆に家族4人の安定感と、そしてそれを受ける富豪家族側の天然演技で進めていくという的確な演出。中盤メインの、豪邸リビングでの4人の語らいを経て(このじっくりとした長さも良い)、一気に話は別の展開へ。あとはラストまでは騎虎の勢いです。そのラスト、ガンホの凶行の理由をいちいち説明しないのも冴えてます。それには「匂い」がキーワードになっていますが、私は、その前に夫婦のソファHを延々聞かされた(であろう)ことが影響しているように思えてなりません。双方が意図しない状況であったとはいえ、主人公にとっては、最も惨めであり、かつ、彼我の絶望的な格差を直接認識しうる場面ですから。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-08-28 01:07:33)(良:1票)
30.  Be With You 〜いま、会いにゆきます 《ネタバレ》 
オリジナルとほとんど同じなのですが、もともと確固とした枠組みがあり、しかもそれ自体が物語のキーポイントをなしているので、むしろいじりようがなく、結局こういうのはそれでいいのです。しかも、このようなしっとりとしたストレートな(そして身近で家庭的な)ラブロマンスは、むしろ韓国映画の得意とするところでもあるので、違和感はありません。加えて、ソン・イェジンの、2000年代とまったく変わることのない落ち着いた美しさにも驚きです。そして、オリジナルより明らかに優れているのは、あちらで雰囲気ぶち壊しだった最低なエンディングテーマが、こちらにはないということです。余韻までがきちんと作品を成しています。よって、総合的には、こちらのリメイクの方がむしろ上です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-07-26 01:25:43)
31.  ジョジョ・ラビット 《ネタバレ》 
「マイティ・ソー」シリーズを「バトルロイヤル」において異次元のレベルに高める豪腕ぶりを見せつけたワイティティ監督が、その演出力と調整力をいかんなく発揮した作品。ナチス・ドイツをコメディチックに描くという難題に挑戦しながら、すべてをぎりぎりのラインで成立させ、かつ面白く見せるという結果を達成している。主人公の少年はヒトラーに心酔しているのだが、それもどこかアホらしさを漂わせているし、笑わせる場面の挿入具合も見事で、かといってシリアスな描写も忘れてはいない。そしてそれらが一体となって完成されている。一方で、キャプテンは(ユダヤ人と同じく弾圧の対象だった)同性愛者の象徴なのだろうし、そもそも主人公自体も(これも弾圧の対象だった)障害者の象徴なのだろう。そして終わってみれば、少年の初恋、そして好きな子とのダンスこそが、戦争よりも何よりも最も重要なテーマだった、という着地点。当初は、ナチス信奉少年がユダヤ人少女とのやりとりや交流を経て変わっていって・・・というだけのありきたりな展開を想像していたのですが(それはそれであるのだが、そこに依拠しているのではなく、むしろ作品構築の上での当然の前提となっている)、制作側の意識は遙かに上を行っていました。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-07-24 20:31:09)(良:2票)
32.  存在のない子供たち 《ネタバレ》 
無戸籍や無登録の問題を対象としているのかな、と漠然と予想していたが、全然違っていた。「子が親を訴える」という衝撃の導入部すら、それはつかみにすぎず、そこに依拠した作品ではまったくなかった。提示されているのはずばり、「歓迎されない生誕」であり、「存在を全否定された子供たち」である(その本質を捉えた邦題はまさに秀逸)。日常生活の中で当たり前に「出て行けクソガキ」と罵られ、お前なんかいらない扱いをされる。それはもちろんレバノンだけの問題ではないし、だからこそテーマとしての普遍性を有している。視点はあくまで少年視点であり、むしろ淡々と醒めているが、そこで言われている中身は実に重い。●それと、ヨナス役の赤ちゃん、一つ一つの仕草まできちんとその場に必要な「演技」をしていてびっくりしたんだけど、どうやったらああできるんだろう?
[DVD(字幕)] 7点(2022-06-12 00:13:00)
33.  バスルーム 裸の2日間 《ネタバレ》 
これは実に楽しい作品でした。初老のコラムニストと女子大生が全裸でバスルームに閉じ込められ、さあどうなる、という初期設定。さぞやポルノまがいの展開が、と思いきや、二人とも(主としてオッサンの方が)延々と喋り続けます。半分くらいはまあ真面目そうな、残りの半分はどうでもいい話です。その間ずっと全裸です。それがかえってエロチックさを強めていますし、「肝心な場面」の価値を高めています。あと、その閉じ込められるに至るまでの前フリも、オッサンのエロジジイぶりがあまりにも真剣に堂々としていて、もしかしてこのオッサンは正しいことを言っているのではないかという錯覚にとらわれそうです。導入として十分です。また、すべてが終わった後の数分間も、日常に戻った「はっとした感じ」に満ちていて、それまでのぶっ飛び空間を美しく回想させる(!)パワーがあります。まさかこんなに筋の通った作品とは予想しませんでした。
[DVD(字幕)] 7点(2022-02-26 00:56:25)
34.  キャプテン・マーベル 《ネタバレ》 
いやもう、これはブリー・ラーソンです。よくぞこのアクション・ヒロインに、この演技派の彼女を当てようと考えたものです。そして主人公の設定は、ひたすら攻撃!攻撃!攻撃!です。あれこれ大義に悩んだりとか、普段は私生活のことを考えたりとかしていません。それをブリーが演じるからこそインパクトがありますし、だからこそクライマックスのヒロイン全完成シーンでは、エレン・リプリーばりの格好良さと神々しさがあります。ゲストでアネット・ベニングやジュード・ロウといった巧者も登場しますが、それすら存在感が霞んでいます(アネットが共演者からあれほど押されるのって、珍しいのでは?)。●一方で「記憶たどりサスペンス」としての風味もあり、これもこれで面白い。寒々とした記憶内容と、それが暖かい友人の家庭で解き明かされるギャップ。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-02-18 01:17:38)
35.  マイティ・ソー/バトルロイヤル 《ネタバレ》 
このシリーズの場合、悪役を誰が演じるかという楽しみもあって、ハリウッドの名だたるスターが嬉々として極悪非道な(または低俗下劣な)敵キャラを演じていたりするんだけど、本作は何とケイト・ブランシェット!!いやもうこれだけですべてOK、成功約束みたいなものです。はたして、最初に現れた数分間だけで、もうこれはとんでもなく強い、ソーでもロキでもみんなが集まっても歯が立たん、ということが瞬時に分かってしまうわけです。しかも彼女の場合、台詞回しからして、もしかするとアスガルド訛りというのが世の中には本当に存在するのか、と思わせるほどの個性とパワーを発揮しているのです。●で、実は、そこからクライマックスに至るまでは、びっくりするほどそのヘラの出番が少ない。グランドマスターだの異星脱出だのというつなぎにすぎない場面がやたら長い(これはこれで面白かったけど)。いや、分かります。あのヘラをまともなペースで出していったら、一人で全部持って行ってしまいますし、そもそも正義のヒーローが勝てない流れという、あってはならない展開になってしまいます。見る側に鬱的絶望感があふれてしまいます。●ソー対ハルクという、アベンジャーズ肉体武闘派同士の対決もナイスオプション。ドクター・ストレンジの入口オマケスパイスもいい感じ。逆に、ナタリーとステランを出さなかったのも正解。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-01-26 01:24:47)(良:1票)
36.  シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ 《ネタバレ》 
いや、これはもう、空港の6対6ですよ。このシーンを撮りたいがために、そこから逆算してストーリーを構築しているようなものです。逆にここから後はただのオマケです。しかもわざわざ、ちゃんと6人ずついますよということを強調するために、それぞれが横一列に並んで、まるでGメン75のごとくその横一列のまま前進するのです。ここだけでこの作品はOKです。ウルトラシリーズでいえば、エースキラーとかヒッポリト星人、ムルロアとかババルウ星人という名前を聞いただけで心のときめきを感じる方々であれば、このシーンの贅沢な価値を存分に味わえるはずです。●で、シリーズ全体を見て改めて分かったのは、ソーやハルクの不在にもきちんと意味があるということ。ホークアイやアントマンの帰趨についても、後々にしっかりつながっていること。そして、キャップとトニーの対立軸という全体の再構成によって、シリーズのステージを一段も二段も上げており、これがあったからこそ「インフィニティ・ウォー」や「エンドゲーム」が可能になったということ。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2021-12-22 21:54:16)(良:1票)
37.  ホテル・ムンバイ 《ネタバレ》 
テロリストについては、背景も目的も説明一切なし。作戦らしい作戦もなし。単純に、目の前で動くものをひたすら撃っていくだけ。奪われたものを取り返すとかもっともらしいことを言いつつ、どう見ても関係なさそうな老人や従業員まで当たり前に撃っていく。だからこそ、終わらない恐怖感が迫ってくる。●従業員や客側には、救世主もいなければ技術も武器もない。ただ隠れ、様子を窺い、隙を見て移動し、可能なら逃げる、というだけ。そこがさらに生々しさを感じさせるし、それゆえに「諦めないこと」の重要性を普遍性をもって伝えている。「ひたすらテレビを見守るしかない主人公の妻」にすら、その立ち位置が考えられている。●そして周到なのがそれらを支える脚本であり、導入部では、様々な登場人物を一気に手際よくストーリーに組み込み、またその後も出し入れのタイミングが絶妙で、作品を一気に最後まで見せ切ることに成功している。またよく考えられているのは、客側の代表を、そこはかとなく鼻持ちならない存在に描写していることで、そうであるからこそ、「そういう客でも守る」従業員の職業理念の崇高さが際立っている。●そして、実は一番強烈だったのは、すべてが終わってまだ現場では騒ぎが続いている中、誰からも構われず誰も構わず、いつものようにスクーターで帰っていく主人公の姿なのです。
[DVD(字幕)] 7点(2021-11-18 01:35:41)(良:1票)
38.  キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー 《ネタバレ》 
前作とは見違えるほどの内容の良さ。キャプテンは常に正義の味方、しかも声高ではなく静かな正義。これぞヒーロー。悪役ウィンター・ソルジャーの問答無用の強さと冷酷さも、敵として合格。裏ボスロバート・レッドフォードも、キャスティングとして上手く重しになっています。そしてこういう作品では脇役も重要なのですが、その辺の端役的存在からするりと出てくるファルコンも格好良さ十分。よってこの作品は、ヒーローものとしての骨格がきちんと存在するので、CGだの何だのも装飾として楽しめるのです。●再見して、一つ一つのシーンがいかに丁寧に撮られているかが改めて分かりました。例えば、ファルコンの初登場シーン。キャップとナターシャが敵を突き落とした直後の一瞬の隙を突いて、それまで「気のいい同僚」というだけだったサムが、翼を広げてバーン!と登場する。この視覚的インパクト。そして、敵を屋上に放り出して自らも着地、見得を切るサムのアップ。「よっ!待ってました!」と声がかかりそうです。あるいは、ウィンター・ソルジャーにしても、前半は「何か怖くて強い奴がいそう」というくらいの存在だったのが、橋のシーンで一気に全開。車の屋根に爪を突き立て、振り落とされれば今度は道路に爪を立てて反撃する。「(略)」と声がかかりそうです。脇役や悪役にしてこの丁重な扱い。ルッソ兄弟はこの後、「シビル・ウォー」を経て、「インフィニティ・ウォー」「エンドゲーム」というシリーズ最重要作を任されますが、制作側のこの正確な人選判断にも唸らされます。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2021-11-08 00:33:20)(良:1票)
39.  ジョーカー 《ネタバレ》 
もうこれは、ホアキン・フェニックスの演技と役作りに尽きる。シナリオ上のアラとか突っ込みどころも、彼の存在がすべて吹き飛ばす。それくらいのパワーとテンションが、皮膚一枚の下にじっと封じ込められている。しかも、ジョーカーという役はすでにヒース・レジャーという映画史に残る伝説が目の前に存在しているわけで、それに対して別アプローチから堂々と挑んでいった心意気も賞賛したい。そうそう、フランセス・コンロイの地味な怪演も、ホアキンの存在を裏から支えることに貢献している。●ふと振り返ってみると、この作品、すべてのシーンが彼から見た描写(彼がいない/見てないシーンは存在しない)ということでいいんだっけ?よく考えられてますねえ。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2021-09-06 01:24:42)
40.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 《ネタバレ》 
ディカプリオとブラピ。25年くらい前だったら失神者続出だったであろうこの取り合わせも、もうすでにいい感じのオッサン2人組になっています(というか、メイクも意識してそうしてる感じ)。もうこの時点で掴みはOK。あとはやっぱり今回も健在なタラちゃんのダラダラ節に、160分間心地よく身を任せるだけです。ブラピが牧場を訪れるシーンなんて、普通の監督だったら5分で終わってます。あと、タラちゃんの過去作を見ていたら、ラストがこうなるのは逆に予想できてしまいますね。でも、自分の出演作(と客の反応)を見て喜ぶシャロンのシーンが象徴しているように、やっぱりこれは「祈り」でしょう。●もっともらしく出てきたアル・パチーノの出番があれだけとは・・・。●いやそれよりも何よりも、一番びっくりしたのはダコタ・ファニング!ええっ、あの役だったの?
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2021-09-05 01:45:32)(良:1票)
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