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くなくなさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 56
性別 女性
年齢 55歳

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21.  太陽がいっぱい 《ネタバレ》 
南イタリアの明るい青い海と空、輝く太陽に白いヨット、なのに、そこでは陰惨な殺人事件。犯人の動機は劣等感、羨望、妬み、金・・・はっきり言って醜いです。それなのに、この犯人が美しく見えてしまうのは、クレマン監督の上品な演出とカメラワーク、そしてなんといっても、アラン・ドロンの魅力でしょう。彼演じるトムの野心ギラギラの暗い目や、狡猾で抜け目ない行動、それでいて、ヤバいと感じたときとかの臆病な反応にハラハラし、引き込まれてしまいます。印象的な場面は数ありますが、まず、最初の方でトムがフィリップの服を着て、楽しそうに鏡に話しかけてキスするシーンです。これは同性愛ともナルシストとも取れる意味深な場面で、その後、彼はそれを裏付けるように、フィリップのものをすべて奪うという行動に出ます。だから、絶頂から一瞬で転落するラストを観た時も、一瞬でも至福の時を過ごせて満足だったんじゃないかと思いました。 あと印象的なのは、トムがナポリの魚市場で試食をしながら歩くシーンと、フレディを殺した後、足元を映す演出。そして殺人の後、トムが食べ物を卑しくがっつくシーン。彼は船の上でフィリップとマルジュのラブシーンを見ている時も食べていますが、ここはあのナイフを使って食べていて、かなり怖いです。このシーンはうっとりしたラフォレの目が女神のイラストのように綺麗ですが、彼女は映画全体を通して、困惑したような、怒りを含めた強い目をしていることが多く、印象的でした。トムを全く疑わないのは馬鹿かもしれませんが(^^;)。フィリップ役のモーリス・ロネも、ただの金持ちのどら息子から一歩抜け出た演技で、サディストっぽいところが良かったです。ただ、ドロンとロネがアメリカ人という設定は無理ありまくりですね。サスペンスとしてもぬるい部分が多いですが、もともと警察側から見た場面がほとんどない、アラン・ドロンのための映画です。ここはただ彼の美しさに酔いましょう。
[DVD(字幕)] 8点(2009-03-12 22:54:00)
22.  旅情(1955) 《ネタバレ》 
ベニスは綺麗だなあ。ヘップバーンは演技上手いなあ。イタリア男はミもフタもない言い方の口説きするなあ。と、感心して観ていました。浮気や不倫をあそこまで堂々と健康的に演説されたら、反論するエネルギーが勿体なく感じてしまう。息子も父は貴女に夢中なんて、さらっと言うし、マウロも将来有望そうだし、ベニスという町がそうさせるのか、大方のイタリア男性がそうなのか知りませんけど、ともかくこの映画のおかげでゴンドラとラビオリのイメージが180℃変わりました(苦笑)。 ところで、日本ではヘップバーンといったらオードリーですが、アメリカじゃキャサリンだそうです。確かに美人じゃないけど、日本人の私にも解るほどの流暢な英語の発音、寂しい時の演技、足の組み方やブラッツィと踊っているときの指先や表情、この時ヘップバーン48歳だったそうですが、彼女が可愛く見えてしまったほど、べらぼうに上手いです。一方のロッサノ・ブラッツィは39歳、ヘップバーンの脚線美を見る目がいやらしくて(すみません。)、はまり役でした。手に出来なかったクチナシや1つだけのゴブレットに象徴される、実を結ばない恋に共感するか、一歩引いてしまうかは観る人次第ですけど、スパッとした別れの言葉のタイミングの見事さと潔さには、引き込まれてしまうと思います。そして、ベニスの美しい映像とありきたりのメロドラマがこれだけマッチして、名画になった例はまずありません。ただ、やっぱりこの映画は、ちょっと年を経て、年代の差を実感するような年齢になったらお薦めします。ああ、この映画の味をわかる年になったんだなあ。と寂しさが混じった感慨の心ひとしおになれます。まあ、無理にとは言いませんが(笑)。
[DVD(字幕)] 9点(2009-03-09 13:07:50)(良:1票)
23.  刑事コロンボ/死者の身代金<TVM> 《ネタバレ》 
コロンボシリーズ第2話、今回の犯人はおそらく、どん底から法曹界を這い上ってきた女弁護士レスリー。前回と同様、中々の強者です。しかし、この犯人が憎らしいのは、眉一つ動かさずに夫を撃った最初だけです。やがて留学先から、夫の連れ子マーガレットが敵意むき出しで帰ってきた時点で分かる気がしてしまいました。いつものように話をはぐらかすコロンボに対して、レスリーは犯人+大人の対応、マーガレットは「私は真面目なんですよ!」・・・アメリカ人でもジョークが通じないタイプはいるんだなあと感心してしまいましたが、こんな2人が合うわけがない。なんにせよ、女同士のバトルはコロンボと違ってドロドロで直情的、なかなか見応えがありました・・・ていうか、怖い!子供(発育はいいですが)とはいえ、よくもまあ娘を殺す気にならなかったものです。しかし、このバトルを裏から糸引いて、漁夫の利とばかりに犯人を掠め取った警部が1番怖いです。それでいて、ビリヤードが上手いなあと思っていたら、手玉まで落とすあのとぼけた味がたまりません。ルートビア(吹き替えだとグレープジュース)や3ドル50セントのオチもよかったし。それにしても、空港のゲートを楽しそうに通ったマーガレットはレスリー逮捕の知らせを嬉々として受け取ったんでしょうね。どうか、あまりコチコチの嫌~な大人にならないでね。
[DVD(吹替)] 6点(2009-01-27 12:51:27)
24.  キートンのセブン・チャンス 《ネタバレ》 
これはもの凄いです。こうすれば面白いだろうというアイディアを全体に散りばめて、ぎゅーっと潰さずに凝縮して、たったの1時間弱にした感じの映画です。前半は「セブン・チャンス」のタイトル通りで、シャイで無表情でイケメンには程遠いキートンが、たったの半日で花嫁をゲットしなくてはならない話がメインです。知り合いの女性たち(当然7人)にフラれると、彼はあのストーン・フェイスで目に入る女性なら(中に若き日のジーン・アーサーがいるそうですが。)運転中の女性だろうが、髪カット中の女性だろうが、片っ端から声をかけ始め、ずんずん加速していきます。教会から話は反転、今度は「セブン・チャンス」を通り越して、増殖するインスタント花嫁集団(布を頭に被っただけ)から逃げまくって、走りまくって、転げ落ちる「run,run,roll down」の後半に突入します。ここからはキートンの大本領発揮、とにかく体を張った芸に唖然とするのみです。スタントは自分だけで、特撮はフィルムの早回しくらい。ギア調節できる加速っぷり、フットボール試合場でのジャンプ力、崖からのダイブ、有名な岩と転げ落ちるシーン、息も切らさず(少なくともそう見えます。)高速で走る姿はオリンピック選手どころか、ターミネーターも顔負けです。おそらく怪我をしても、あのストーン・フェイスでおくびにも出さず、最後まで芸を貫き通したと思われます。グレイト!
[DVD(字幕)] 9点(2009-01-22 19:34:29)(良:1票)
25.  禁じられた遊び(1952) 《ネタバレ》 
これはなかなかすごい恋愛映画ですね。パリジェンヌ、ポレットに憧れる田舎の貧しい少年ミシェル。彼女に十字架を貢ぎまくる彼の姿は一途過ぎて悲しいです。教会で2人が見つめ合うシーンがありますけど、相手は子供なのに(子供だから?)とても綺麗で思わずドキッとした人は多いと思います。 この映画でポレットは死んだ母親の頬を不思議そうに撫でた後、痙攣を起こした犬だけを抱いて、歩き出してしまいます。母親と同じ柄のお揃いの服を着ていることからも、仲のいい親子だったことは明白で、ここからポレットは現実を受け入れられず、非現実の世界に入ったと思われます。グリム童話のように森を彷徨い、ミシェルと出会ってドレ一家に置いてもらった夜、彼女はうなされ、悲鳴を上げて目を覚まします。翌日からポレットは「村長」のいる水車小屋でミシェルと墓を作り、十字架をかけ、祈りを捧げる作業に没頭します。その後、彼女はうなされません。子供なりに犬の墓作りから彼女が必死に喪の儀式に取り組んでいることが分かります。でも肉親の死は犬の葬儀だけで収まるわけもなく、エスカレートしていきます。最後に優しかったドレ一家に見放され、ミシェルと引き離された駅の雑踏の中で、ポレットは唐突に非現実の世界から現実に引き戻されます。両親の死後、初めて「ママ・・・」と涙ぐむのです。こうなると、ああ、やっぱりこれは反戦映画なんだと思います。ミシェルはポレットのネックレスと秘密を100年預かってくれと梟に渡しました。墓穴に落ちても喧嘩をやめない、隣人同士の滑稽で醜い争い。あっさりとミシェルとの約束を破った大人たちの狡さや、子供たちの無邪気で残酷な処世術。そして、いまだに止まない戦争。叡智の象徴の梟の目に、これらはどう映るのか。梟はただ静かに黙って見ているだけです。きっと今も。
[DVD(字幕)] 9点(2009-01-07 22:03:32)(良:2票)
26.  サンセット大通り 《ネタバレ》 
よくもまあ、こんなもの凄い映画を作ったもんです。役柄に酷似した俳優を、情け容赦なく使うワイルダー監督も凄いですが、引き受けた上に、世紀の名演を見せた俳優たちはもっと凄いです。中でも圧倒的なのはグロリア・スワンソンの眼、表情、仕草、1度見たら忘れられません。そして、変質的なシュトロハイムがぴったり彼女に追走して、怪奇で、それでいてリアリティのある世界を作り上げました。ホールデン演じるジョーは2人の女の気持ちを、どちらも本人に言われるまで、全く気付かなかった野暮天だけあって、身の危険に鈍感すぎました。まず、チンパンジーの葬儀から始まる、こんな呪いの屋敷に足を踏み入れてはいけません。重症の夢遊病者は起こす以前に見てはいけません。とはいえ、経済的に追い込まれた状態でこんな屋敷に迷い込んだら、少しの間だけと、プライドを売り渡さずにいられるかどうか・・・。ずぶずぶとノーマにはまってしまったジョーが最後(最初?)に撃たれてしまうのは、必然的な展開ですが、凄いのはその後のマックスです。ノーマの罪を隠したり庇ったりするどころか、ノーマの映画出演と自分でノーマの映画を撮る、一石二鳥の夢を叶えるために利用してしまうとは・・・。人生最後の、一瞬だけの夢のために。ところで、「サムソンとデリラ」の撮影シーンはデミル監督だけでなく、ガートルード・アスターやジュリア・フェイとかがいて、本当にワイルダー監督は映画が好きなんだという思いは伝わってきました。ただ、この主人公たちのように、どこか屈折した思いではありますが。
[DVD(字幕)] 9点(2008-12-31 23:59:58)
27.  トップ・ハット 《ネタバレ》 
この「トップ・ハット」は「カイロの紫のバラ」に出てくることで有名ですね。是非ミア・ファローと一緒にアステアとロジャースの「チーク・トゥ・チーク(頬よせて)」にうっとりしましょう。フレッド・アステアはものすごいイケメンでも長身でもないのに、とても格好いいです。普段着もパジャマも燕尾服じゃないのかと思わせる品の良さ。そして彼のダンスはジーン・ケリーと違い、見せ所の多いアクロバティックなダンスじゃなくて、分かる人にはたまらない玄人向けのダンスです。映画の中で恋するアステアは何を言ってもジョークで返してきて、足にも口にも翼がついているみたいです。ロジャースは美しい淑女という感じではないけれど、気品があって可愛らしく、アステアについていけるタップとダンスの技術に感服しました。歌もいいし、とにかく洗練されています。 ストーリーはよくある勘違いネタで、特にあまりにも強引なオチは苦笑ものですが、そこまで注文するのは贅沢でしょう。ただ、アステアはダンスの方は完ぺき主義で、納得いくまで何十回も撮り直したそうですが、脚本の方はどうでもよかったんでしょうね。でも、倦怠期のハードウィック夫妻や、ちょっと暑苦しいデザイナーのベディーニ氏は見ていてなかなか楽しかったです。リドのシーンはいかにもイタリアでのロケではなく、スタジオのセットで撮った感じですが、考えずに楽しんだほうがお得です。参考までに、あの「ベニスに死す」と同じ場所だと考えると面白いかもしれません。
[DVD(字幕)] 8点(2008-12-26 18:10:37)(良:1票)
28.  天空の城ラピュタ 《ネタバレ》 
面白いといえば、面白いんだけど、私はどうもシータの性格が完璧すぎて違和感を感じました。ドーラおばさんも結局いい人すぎだし、ムスカは恥ずかしいくらい悪役にはまりこみすぎです。そして最後、都合よくみんな助かって、お宝までゲット・・・ハッピーエンドになりすぎです。・・・要するに完成度が高いんじゃなくて、全体的に出来すぎなんです。
[地上波(邦画)] 6点(2008-12-17 23:52:54)(良:1票)
29.  荒野の決闘 《ネタバレ》 
墓場や酒場が先に建ち、教会や学校が建設中の未完成の町。一般市民と無法者、賭博師や娼婦が微妙なバランスで共存する。西部劇は大概こんな設定なので、映画としては分かりやすく、娯楽性の高いジャンルですが、この映画はその大筋を崩さずに、芸術の域に達した稀有な作品です。特にいいのは主役のワイアット・アープ役、ヘンリー・フォンダです。ただ、西部劇の王道のヒーロー、ジョン・ウェインと違って渋いです。寡黙であまり感情を出さず、友人になったドクに対しても、打ち解けた感じを見せないものの、ひそかに尊敬し、身体を心配します。町の治安にも銃をあまり使わず、けっして暴君にならない。 そんないぶし銀のような彼が、淑女のクレメンタインに一目惚れして、いきなり可愛くなっちゃいます。いきなり服装を気にして散髪したり、ダンスの申し込みをするのに、ええい言うぞと帽子を投げたり、まるで幼稚園の保母さんに恋した男の子のようです。青空の下のダンスは、足運びがもう最高でした。  もう一人のヒロイン、チワワは一人の男を想いながらも、他の男を受け入れざるをえない弱い女性です。私にはワイアットに毒づく姿が、ドクの言葉とは逆に弱々しく見えました。そして、家族だけの世界で世間から孤立した父親役を演じたウォルター・ブレナンもまたいぶし銀のような名演でした。クライマックスの決闘シーンは、邦題が「静かなる決闘」でも良かったんじゃないかと思うくらい静かです。台詞も少ないし、音楽もない。モノクロなのに青く見える空、決闘の小道具にもなった土煙りが素晴らしい描写です。助太刀に来た3人中2人に身内の問題だからと、銃から弾を抜くところが実直なアープらしいです。 ところで、原題と主題歌にまでなったヒロインの女性がクレジットの4番目というのも、けっこう珍しい映画じゃないでしょうか。まあ、オーマイダーリン、チワワには出来ないでしょうが(笑)。
[DVD(字幕)] 10点(2008-12-17 23:47:41)(良:1票)
30.  第三の男 《ネタバレ》 
この映画を知らない人でも、実はハリーは・・・。という筋を知っている人は多いんじゃないでしょうか。そして主演:オーソン・ウェルズ、アリダ・ヴァリ、ジョセフ・コットンという順番で、ガイドブックとかに載っているのを見た人も多いんじゃないでしょうか。・・・でも、主役はどう観てもコットンなんですが・・・これはものすごく損な役回りですねぇ。やることなすこと言うこと全部裏目に出るし、女にはフラれ、警察では相手にされず、猫にはスルーされるし、オウムには噛みつかれるし、子供と野次馬には犯人扱い。そして、出演時間がトータルでも20分足らず(ロングショット込み)のウェルズに美味しいところ全部持っていかれるし・・・。じゃコットンの演技がダメかというと、とんでもない、名演技だし。要するにこの役は、大根だとバカだし、名演しても損、結局どう演じても割に合わないんですね。ホリー本人もアンナに「なぜ私達はいつもかみ合わず口論ばかりなんだろう?」と言っていましたが、それはホリーが無傷の戦勝国のアメリカ人で、ここが他国に蹂躙され、統治されたウィーンだからでしょう。酒場に入ってきた警官に毒づくような、分かりやすい西部劇のガンマンはここではただ間抜けなだけ。抜け目ないハリーは上手く対応できましたが、気が付いたら、観覧車からの点を見ることもできない地下水道で逃げ回っている皮肉。彼はむしろ無意識に、自分を裏返した性格のホリーを死刑執行人に選んだんだと思います。 それにしても、映像の美しい映画です。斜めのアングルと際立った影の使い方、壊れかけた荘厳な石作りの建物。ふとアップになる名もない人物の1人1人までが力強く、あの風船売りのおじいさんに至っては、私にはファンタジーに見えます。チターの弦がふるえる様すら美しいモノクロの映像美。完璧を追求した結果か、面白味に今ひとつ欠けるのは否めませんが、後から味が出てきます。素晴らしいです。
[DVD(字幕)] 10点(2008-12-10 12:18:01)(良:4票)
31.  モロッコ 《ネタバレ》 
スタンバーグ監督はディートリッヒの女神のように崇拝していたのでしょうか。とにかく彼女を中心に、彼女が美しく見えるよう、細心の注意を払って映画を作っています。年代物なので、画像は悪いですが、何も凝らないシンプルなモノクロ画面が美しく、燕尾服とトップ・ハット、煙草の煙りに100万$の足、ハスキーな歌声、そして女性とのキスまで、とにかくサービス満点。でも、この監督は相当の職人です。趣味に走りすぎず、彼女のプロモーション・ムービー一歩手前で止めて、ちゃんとした恋愛映画を作っています。トーキー初期らしく音も大事に撮っていて、特に真珠がバラけるところが秀逸です。それでも、相手役がミス・キャストだと駄作になったでしょうが、よかったことに、相手役は上品な金持ち紳士を演じたら右に出る者はいないアドルフ・マンジューと若き日のゲイリー・クーパー。クーパーはちょっと2人に押され気味ですが、それでも格好いいですね。 はっきりいって、この映画は主役3人の存在感だけで成り立っています。話自体には全くヒネったところはないし、その後の2人に未来はないでしょうが、アミーとトムが交わす2本指の挨拶、鏡に書いたルージュの伝言、砂漠に脱ぎ捨てたハイヒールと、これでもかというくらいに小道具の使い方とポーズが決まっていて、映画が格好よければそれでいいんだという、有無を言わせない強引な説得力が伝わってきました。はい、砂は熱くないですか?なんて野暮は言わずに、格好よかったとだけ言いましょう。あと、蛇足ですが、アミーの持っていた2体のお人形がなんか妙に味があってよかったです。
[DVD(字幕)] 8点(2008-12-02 22:21:37)(良:1票)
32.  刑事コロンボ/殺人処方箋<TVM> 《ネタバレ》 
コロンボ警部は初登場から極悪人ですね(笑)。まだ若くてパリッとした風采も手伝って、フレミング先生の言う狡賢い妖精どころか悪賢い妖魔と化しています。先生の帰宅時、すぐには姿を見せず、隣室で観察。堂々とゆっくりと退路を断つように後ろに回りこみ、第一声。「フレミング先生」・・・フレミング先生はこの時、後ろから取り憑かれました。人間離れした五感で(電話だから聴覚かな。いや、シックス・センス?)共犯者らしい人物まで探り当て、彼女が来る時間を狙って、診療所にペンを返しに行く。もちろん、この時点で彼女も取り憑かれました。警部お得意の厚かましくも細かい気がかり攻撃。先生があまり動揺せず、尻尾を出さないので、気の毒な共犯者にターゲット変更。脅しが効かないと分かると、じわじわと長期戦の構え・・・観れば観るほど酷い奴です。なのに何故、こんなにも警部は小気味良いんでしょうか?そして、何故私はこんなにコロンボ警部が大好きなんでしょうか?? ところで、警部と共犯者ジョーンさんとの撮影所での対決シーンは1度、英語音声で見ることをお勧めします。脅しの警部にピーター・フォークの肉声が重なると、ほとんど極悪非道な悪代官です(笑)。
[DVD(吹替)] 7点(2008-11-26 11:56:58)(良:2票)
33.  モダン・タイムス 《ネタバレ》 
チャップリン映画の転回点、もしくは分岐点の映画だと思います。まず、チャップリンのトレードマークである、山高帽とドタ靴、窮屈な上着にステッキ姿は、この映画で完全に姿を消します。そして、サイレントを頑なに守り続けたチャップリンは、この映画でとうとう声を出すのです。1930年代、映画が急激に変わっていくのに対応できず、多くの映画人が去る中で、それでも10年ほど健闘してきたチャップリンが初めて作ったトーキーは、トーキーに屈するどころか、正面から闘いを挑んだ意欲作です。トーキーの象徴の機械を相手に、無声のまま痛快なバトルを繰り広げ、最後にどこの言葉でもない(インチキスペイン語っぽいけど)歌と、おなじみのパントマイムでトーキーデビューを果たしたのです。そして、映画の中身はボードビル出身の芸人、チャップリンの至芸が散りばめられていて飽きさせません。ローラースケートはメチャ上手いし、建てたんじゃなく、見つけた(!)壊れまくりのボロ家もいいし、川へのダイビングは見ているこっちがイタタタ・・・。チェスター・コンクリン演じる親方とのコントはもっと見たかったくらい。あと、カフェのロースト・ダックのおじさんは、気の毒で笑わせてもらいました。料理を落とさずに、ホールを回り続ける芸も秀逸。ヒロイン役のポーレット・ゴダードは野性的な強い目が、印象的でした。そしてラスト、山高帽のチャップリンが遠くなっていく姿に、元気を分けてもらい、淋しさを感じました。この2人はこの先、何があっても、笑い飛ばして歩いていってほしいし、きっとそうするんだろうと思いました。
[DVD(字幕)] 9点(2008-11-19 22:37:02)(良:2票)
34.  道(1954) 《ネタバレ》 
この主役2人の関係は日本人から見ると共依存に見えかねないかも知れませんが、相手が2000年もの歴史を持つキリスト教徒の国民(カトリックは本拠国)だと考えると、そうはいえないと思います。ジェルソミーナが祭りの十字架の前でひざまずくシーンが象徴するように、信仰心が深いジェルソミーナやキ印に対し、ザンパノは解りやすい実利主義で、最重要は体を痛めつける芸で飯のタネを稼ぐこと。不器用すぎる彼の行動は、ジェルソミーナを喜ばすことはあってもつかの間で、大体において悲しませるばかり。そして、キ印の悲劇の後は急転落。精神を病んだ彼女を持て余す彼は、とても強い人物に見えません。最後、ザンパノの強さの象徴だったオート三輪車はどこにも見当たらず、若さも力にも翳りが出た彼は、孤独を知ることで救われるのでしょうか。それが「役に立った」ということなら、キリスト教の神の愛は辛いというか、残酷な愛情だと思いました。 それにしても、演技とカメラワークが素晴らしい映画です。特にキ印が引きずられるときのマシーナの目だけの演技、ジェルソミーナからゆっくりと遠ざかって彼女を置き去りにする場面が凄かったです。火が好きな彼女が白い彫像のような姿で「火が消える。」と言った時、彼女の死はなんとなく予感しましたが、それでもラスト10分の展開、そしてクインの浜辺での慟哭シーンは引き込まれました。未亡人に修道女など脇役もいいし、なんといっても、ベイスハートが代表作といったら、即「道」と出る名演ぶりです。あと蛇足ですが、現代人から見て2人の演じるアヒルの喜劇はあまり面白くないのがご愛嬌でした。
[DVD(字幕)] 9点(2008-11-11 23:58:36)
35.  グランド・ホテル 《ネタバレ》 
当時の豪華スター競演の話題性で、鳴り物入りで公開されたみたいですが、どうも今一つの感がぬぐえません。そもそも、おばあちゃん以前の時代の映画ですから、説明映像とかがないと、スターはガルボとクロフォードとジョン・バリモアの3人だけだと思っちゃいますよ。え、あの無能な社長もスターなの?って感じで。それともうひとつ、今一つに感じる理由は、スターに遠慮して、ガルボとクロフォードが直接競演しなかった結果、話の掘り下げが浅くなってしまったことです。ドラマとしてはいっそ、スターなんか使わない方が5人の主役を絡めてもっと面白い展開に出来たと思います。でもそれだと、看板のオールスター・キャストが消えちゃいますから、難しいところですね。 ただ、この映画が後の時代に与えた影響は大きいです。グランド・ホテルは今やシティ・ホテルと化して、世界中に散らばっているし、映画としても、オールスター・キャストと「グランド・ホテル形式」を確立した雛型ムービーになってます。ここまでになったのは、話題だけの薄っぺらな駄作にならずに、見せ場や構成を考えて、全体を品良くまとめたからだと思います。俳優はスター性は関係なく、バリモア兄弟とクロフォードがなかなかの好演でした。脇役のスゼットやシノヴィッツがいい味で、あとはやっぱり出て来るだけで、空気が一変してしまうグレタ・ガルボの美しさが特筆ものでしょう。ただ演技は少々オーバーアクションですが。
[DVD(字幕)] 6点(2008-11-05 21:40:09)
36.  ブリキの太鼓
この映画の鑑賞後、オスカルのイメージが「ベルバラ」のオスカル様から太鼓のオスカル君に一変いたしました。ところで、この不条理な世界、あの叫び方、何かに似てるなぁ・・・と思ってたら、やっと思い出しました。あれだ、楳図かずお氏だ。
[DVD(字幕)] 7点(2008-10-21 22:41:04)
37.  赤ちゃん教育 《ネタバレ》 
この映画の主役の彼は、車を何度もぶつけられて、置き引き犯にされ、上着を破られ、鳥の羽根まみれにされ、豹を押し付けられ、自動車泥棒にされ、服を奪われ、犬に研究に使う骨を持って行かれ、結婚式をキャンセルさせられ、斜面から滑り落ち、川でずぶ濡れにされ・・・エンディングまでいったい何回厄災を被ったのか?どうしてここまでされて、彼女を好きになれるのか?相手はあの短時間に女1人で豹を捕まえて、警察署まで引っ張ってきた最凶娘です。グラントもこれは仕事だからと考えて演技していたものと思われます。そういえば、逆にグラントがストーカーとなって、復縁を迫る映画もありました。この時代には、こんなストーリーのスクリューボール・コメディが流行ったこともすごいです。これは映画だからという暗示をかければ、どんな無茶苦茶なストーリー展開もありなんでしょう。役者魂恐るべし。でなければ、貴方はMです。・・・2人の演技の上手さより、こんなことを考えてしまいました。
[DVD(字幕)] 6点(2008-08-23 20:31:26)
38.  スタンド・バイ・ミー 《ネタバレ》 
ゲロ汚~い。メガネ君ヤバ~い。それ以外は良かったな、なかなかの佳作です。
[ビデオ(字幕)] 6点(2008-08-23 17:27:32)
39.  天と地と
映画館で観たなあ。でもレビュー見るまで存在すら忘れていたこの映画。私は映画は結構細かく観る方(あくまで自分的には)なんですが、これほど何っっっにも(!)話の一片すら覚えてない映画はまだありません。唯一覚えているのは、赤と黒がただドドドドドドドと無意味に長~く走り回っていたことと映画館の客の「え、何これ。」って感じのどよめき。で、私も再び「え、何これ。」です。こんなに有名どころの役者が出ていたの?あ、女性もいたのか。桜吹雪?そういえば、何かの下に姉ちゃんが1人いたような・・・。テーマソング?小室哲哉?・・・ダメだ、覚えてないや。えーと確か、金だけは掛かったんだろうなと、ただ画面をボーっと眺めてたっけ。終始、客席がざわついていたからなんとか寝ないで済んだような気がする。監督誰だっけ?角川春樹?名前は知ってるなぁ、作家だっけ?違うか・・・まあどうでもいいや。強く思ったのは映画館出る時、出来ればお金返してほしいと思ったことだけ。騎馬戦に金払ったのね・・・ちぇっ。1点!
[映画館(邦画)] 1点(2008-05-22 00:55:55)
40.  波止場(1954) 《ネタバレ》 
周りの労働者達やその家族達の、テリーへの態度の豹変振りに最初びっくりしたんですけど、すぐ気が付きました。他の仕事も労働組合もハローワークも何もないんですよね。ギャングのボスの機嫌を損ねて、クビになれば家族ごと即座に路頭に迷うか、テリーの兄のように消されてしまう。再就職は現在の日本のワーキングプアより難しい。とくれば、とりあえず、非難の捌け口は張本人のボスではなく、テリーに行きます。でも彼の決断も迷った末のもので、本当は正しいということが解っているから、テリーの喧嘩を通して、とうとう怒りが噴出しました。仕事を失うわけにはいかない、仕事をくれる以上、ボスをやっつけるわけにもいかない、でももう彼の言いなりはごめんだ。確かに今ではありえない労働条件だけど、そんなに古いかなあ?むしろ、本当にやりたい仕事に就けないとか、ギリギリの給料でやって行かなくてはいけないとか、違うと思っても上司だから強く言えないとか、現在に通じるところは少し形を変えただけでいくらでもあると思います。むしろ違和感があるのは神父ですけど、日本とアメリカの宗教観が違いすぎる以上、指摘してもしょうがない。家族と自分のために働き続けることが彼らの戦い、ラストのテリーがフラフラになりながら、仕事に入るところ、彼に従うように労働者達が仕事場に入るシーン、私は凄いと思いました。それに、この頃のマーロン・ブラントって純心な役すら似合ってたんですね。年取るにしたがって品がなくなっていくのが残念でした。
[ビデオ(字幕)] 9点(2006-07-27 01:22:43)
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