721. プライド 栄光への絆
やたら暗く汚い画面、躍動感ブツ切りの編集、ゆらゆら揺れてどこを撮りたいのか分からないカメラと、スポーツというものをわざとおとしめて撮っているとしか思えない画面には怒りすら感じます。「エニイ・ギブン・サンデー」の撮り方もかなりひどかったけど、この作品はそれ以上です。また、選手たちの誰がどういう想いでアメフットをしているのかという描写も、ほとんどありませんでした。突然かかって懐かしかったポイズンの"Nothin' But A Good Time"に2点。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2009-07-18 00:06:20) |
722. キング・アーサー(2004)
アーサー王伝説をあえて題材にとりつつ、やってることは普通の時代物とほとんど変わらない。壮大な対象に挑んでその壁の前でこけてしまった感じ。クライブ・オーウェンが最初から最後までニコラス・ケイジに見えてしまうのも気になった。この人にこの作品の主役は合わなかったのでは?キーラ・ナイトレイの見せ場がほとんどないのも、何とももったいない。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-07-14 03:06:10) |
723. プライドと偏見
特にどうということもない会話が延々と積み重ねられているだけという印象しか残りませんでした。それっぽく作ってはあっても、登場人物の行動がすべて予定調和的で、どこでどのように生きているのかが表現されていないのです。あと、この種の作品で、俳優陣が全然綺麗に/格好良く撮られていないのは、大いにまずいのではないか? [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-07-11 14:30:13) |
724. プルーフ・オブ・マイ・ライフ
最初から最後まで、グウィネスがああだこうだああだこうだと言っているばかりなので、見ていて疲れる(それだけで作品一本持たせてしまう執念は、ある意味凄いとはいえるが)。そもそも、主人公が迷走する理由が父の死以外に見当たらないので、出発点の段階であまり説得力がないのです。あと、数学そのもののディテールや専門用語は省かないでほしかった。たとえ見ている側に意味が分からなくても。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-07-08 01:56:03) |
725. 愛を読むひと
《ネタバレ》 前半部分だけでも、年上のお姉さんと少年の一夏の想い出的ロマンスとして十分成り立っているし、そこだけで作品にすることも可能なボリュームがあるのですが、「その後」「さらにその後」までしっかりと一つの世界にしてくれているのが嬉しいではないですか。同じ監督・脚本の「めぐりあう時間たち」同様、余韻と間を大切にする演出と、一つ一つの言葉に意味を込めている脚本が、それを支えています。また、各シーンを的確に彩っている照明のセンスも印象的で、特に、最後のファインズとレナ・オリンの対面の場面の希望に満ちた明るさは、物語自体はアンハッピーエンドであるにもかかわらず、未来への拡がりを感じさせてくれます。 [映画館(字幕)] 7点(2009-07-06 00:09:14)(良:1票) |
726. オペラ座の怪人(2004)
映像も編集も未整理でごちゃごちゃしている部分がないわけではないのだが、この作品に一本の筋を通しているのは、エミー・ロッサムの存在感。画面に登場するだけで、その場の空気をまとめてしまうほどの吸引力があります(ケイト・ウィンスレットの若い頃を思い出しました)。逆に、ファントムは普通の人っぽすぎ。もうちょっと不気味に毒々しくいってほしかった。●再見して+1点。いやもう、この歌、美術、そして音響のゴージャスっぷりは、やはり見事です。 [映画館(字幕)] 7点(2009-06-27 00:51:34)《更新》 |
727. プロデューサーズ(2005)
もう、最初から最後までやたら騒がしくて、うるさくて、落ち着きがなくて・・・作品世界自体がほとんど受け付けられませんでした。音楽表現を大きく導入するからこそ、押しと引きの呼吸はきちんと備えておいてほしいものです。それに、設定からしてもっと単純に笑えるかと思ったのに、コメディとしても今ひとつでした。色彩感覚はカラフルで楽しかったので4点。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-06-27 00:18:54) |
728. レスラー
《ネタバレ》 この作品で主演がミッキー・ロークってだけで、もう見えてくるものがあるじゃないですか。いうまでもなくこの主人公は彼の人生そのまんまです。もっとも、こっちの主人公の方は、わずかに見えてきた新たな光もあっさり失い、負け犬人生のすべてを抱えてリングに戻っていきます。それをどこか暖かい眼差しで見つめている制作者の作り方も良い(一番の感動ポイントは、バトル中にこっそり主人公に声をかけるアヤットラー)。それに対抗すべく自らの肉体をさらけ出して見せたマリサ・トメイも立派。唯一の難点は、エヴァン・レイチェル・ウッドとロークの演技があまり合っていないこと。 [映画館(字幕)] 8点(2009-06-21 22:01:42) |
729. アレックス
逆回転構成は、事件後と事件前との対比の強調という点においてある程度成功していると思うが、そのような凝った構成を採る割に中身自体がなさすぎだと思う。時間軸通りにやれば40分で終わる話ではないか? [DVD(字幕)] 5点(2009-06-09 02:01:44) |
730. 海辺の家
あらすじからほとんど予想できる内容だし、終盤へ向けての展開も実に予定調和的。しかし、最大の問題は、家建築のディテールをほとんど省いているところだと思う。この作品全体を象徴しているのはいうまでもなく家なのだが、その家自体がさしたる挫折も曲折もなく順当にあっという間にできてしまっているから、ますます物語そのものまでが予定調和に見えてしまうのです。 [DVD(字幕)] 5点(2009-05-30 04:35:23)(良:1票) |
731. 家の鍵
描写の対象としては興味深いところなのだが、ほとんど最後まで同じようなトーンで同じようなシーンを繰り返しているので、そんなに心には入ってこない。主人公はどこでどのように変わったんでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-05-29 01:52:42) |
732. あるスキャンダルの覚え書き
《ネタバレ》 人格造形的な部分のどろどろに比べ、作品全体の作りはイギリスらしくあっさり風味なのだが、ケイト・ブランシェットの凜とした美しさは実に強烈。彼女の出演作でも、美人強調度(?)においてはトップに位置するのではないだろうか。これではどんな男子学生でもクラクラしてしまいます。私にとってはむしろそっちがメインであって、後半のジュディ・デンチとのガチンコ対決は割とどうでもよかったりする。 [DVD(字幕)] 6点(2009-05-29 01:50:48) |
733. ダ・ヴィンチ・コード
専門用語の応酬はなかなか心地よいし、別に全部の意味が見ている方に分からなくてもよいと思うのだが、その割に筋立てが単純すぎる。逆に、宗教性をウリにするのであれば、そこをもっと徹底してほしいところでした。その辺が中途半端なので、例えばオドレイ・トトゥの役柄なんてのはまったく生きていません。というか、ハンクスの後をくっついているだけですね。 [DVD(字幕)] 5点(2009-05-22 02:56:42) |
734. ある公爵夫人の生涯
《ネタバレ》 愛のない夫との生活と、公爵夫人の立場の奥に秘められた本当の愛情というところがテーマなのでしょうが、それにしては突っ込みが何とも浅すぎる。この内容であれば、社会的立場も周囲の視線も全部はね返すようなギラギラするほどの強い衝動がその底に流れていなければならないはずなのですが、主人公の言動にその辺の描写はあまりされていません。また、夫の対応の方にも面白みがなく、単なるつまらない夫になりかけてしまっています。なので、最後に家に戻ったときでも「えっそれだけ?」という感じ。全部のシーンを華麗に彩った美術関係と衣装関係の執念は素晴らしい。視覚的にはとても楽しいです。 [映画館(字幕)] 5点(2009-05-11 01:45:55) |
735. グラン・トリノ
《ネタバレ》 物語が起こる範囲はとても狭い。ほとんどは隣り合う2軒の家のどちらかで、あとは教会とか近所の路上がちらほらあるくらい。それにも関わらず2時間近くをじっくりと見せ切ってしまう描写の奥深さに感服。ところで、ここで敵役として出てくる不良団は、まったくの中途半端なチンピラ崩れであり、過去のイーストウッドのヒーロー映画なら開始後10分で消される程度の存在である。しかし、本作の主人公はそれにすらあっさり返り討ちにあってしまい、最後には一世一代の決心をせざるをえないことになる。自らの俳優上の役柄をすら相対化し、それに決着をつけようとするイーストウッドの壮絶な視点を感じる。のみならず、そこにアメリカという国家に対する決着まで凝縮してしまった、この人ならではの不敵極まりない作品。 [映画館(字幕)] 8点(2009-05-07 03:07:00) |
736. スタンドアップ
《ネタバレ》 せっかくの興味深い素材なのに、何とも描写が表層的で、流れを追っただけで終わってしまっています。特に、法廷シーンの描写不足は致命的で、どっちがどういう訴訟準備や立証を行ったことによってあの劇的な結果につながったのかということがまったく伝わってきません。その程度のことで勝つような内容だったの?とさえ思ってしまいます。また、名手クリス・メンゲスとも思えないような不安定なカメラワークもマイナスだし、徹底的に現実に立脚することを求められているこの作品内容に、幻想性を主要な要素とするグスターボ・サンタオラヤの音楽は合っていないと思う。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-05-02 02:56:41) |
737. スラムドッグ$ミリオネア
《ネタバレ》 作品の本質は、最後まで突き抜ける一直線のラブストーリー。スラムもクイズも、それを導くための手法にすぎない。その視座が明確に定まっているからこそ、作中に出てくるすべてを飲み込んで、爽快なパワーが輝いている。●再見して思わず泣きそうになったのは、実は、エンディングテーマ中にところどころ挿入される、子供時代の二人が無邪気に踊るカット。現在の大人の二人と、心の中身は同じであるところがミソ。一緒になれて本当に良かったね。 [映画館(字幕)] 8点(2009-04-30 04:17:06)(良:1票) |
738. 10日間で男を上手にフル方法
最初の設定だけで制作者がすっかり満足してしまったような感じ。それ以外のことが何も描かれてないですからね。ケイト・ハドソンの個性のなさもマイナス。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2009-04-25 10:12:10) |
739. 宇宙戦争(2005)
《ネタバレ》 スピルバーグ作品とは思えないくらい、変に安っぽくて暗い感じの映像にびっくり。ダコタ・ファニングのブ○○クな成長ぶりにもびっくり。これではパニックの先に何も生み出しません、ということが予想できてしまうわけですが、とにかく描写として目新しい部分が何もなく、怖がることも感動することもなく終わってしまいました。車が群衆に囲まれるシーンで、あれだけのネタであそこまで引っ張る根性には感心したので、そこに3点。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2009-04-14 03:07:56) |
740. ダークナイト(2008)
《ネタバレ》 ヒース・レジャーのジョーカーが作品のイメージを何倍も強烈なものにしていることはいうまでもない。ただ冷酷で残忍なだけではなくて、その中に常に「人の心を操作する」という明確なコンセプト(?)が存在する。そして確かに、彼の手法は、手法としては成功している、というか、「そうされたらそうなっちゃうよなあ」というところを的確に突いてきている。しかし、彼を破ったのは、警察でもなければバットマンでもなく、顔も見えない向こうの船の人々を信じる「人の心」であった。そこで彼は自らの敗北を悟る(おお、これはあのメフィラス星人と同じパターンではないか。道理で彼が格好良く見えるはずだ)。人心の良識が復活すればバットマンは社会に必要がない。だから、主人公は最後に甘んじて悪役を引き受け、その決断に説得力が出る。単にキャラクターの造形に頼ることなく、そこまで突っ込んだ世界を作品として作りあげたというところを評価したい。 [映画館(字幕)] 8点(2009-04-02 04:52:53)(良:2票) |