1. アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
映像の進化に圧倒される。ナヴィ族たちと実写の人間との違和感が全くなくなっている。ストーリー展開には強引なところが見受けられるが、展開が1作目より速く、飽きない演出がなされている。「アビス」「タイタニック」に続いて、キャメロン監督の海に対するリスペクトも含まれていて、好印象の作品だった。 [映画館(字幕)] 8点(2023-03-11 23:09:48) |
2. フェイブルマンズ
魅力的な画面に乏しい。ミシェル・ウィリアムズ、ポール・ダノの両親役の演技はすばらしいものの、単調な展開と冗長な退屈感には抗えず、期待感とは裏腹な残念な印象が濃かった。 [映画館(字幕)] 5点(2023-03-11 23:02:14) |
3. エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
肩透かし感が強い。ストーリーがあるようでない。映画的興奮も、ヴィジュアルの美しさも何もない。 [映画館(字幕)] 3点(2023-03-11 22:54:52) |
4. 2人のローマ教皇
《ネタバレ》 引退を決意するローマ教皇と、それを継ぐ新たなローマ教皇が交流する物語。考え方のまったく異なる2人が、次第に理解し合えるようになる過程が丁寧に描かれる。テーマはとても地味で、会話劇が中心の物語なのに、全く飽きることなく楽しめた。主人公を演じる2人の名演はもちろんのこと、教会や園庭の色彩を捉えた画作りに、実映像を交えた場面展開の鋭さなど、フェルナンド・メイレレスの巧さが光る。良作。 [インターネット(字幕)] 8点(2022-02-23 20:50:23) |
5. ザ・テキサス・レンジャーズ(2019)
《ネタバレ》 年老いた2人の元テキサス・レンジャーが、殺しを続けるボニー&クライドを追う物語。しかし、本作の主題は追跡劇にはない。時代の変化に取り残されたかのような2人の男の人生を語りながら、かつて多くの人を殺してきた重荷と、犯罪者を人気者に仕立て上げる世間との乖離というジレンマに抗う姿が描かれる。ケビン・コスナーがハマり役で、彼の作品群の中では、かつて共演したクリント・イーストウッドの名作「許されざる者」のような位置づけになるのではないだろうか。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-02-23 20:41:50) |
6. ウエスト・サイド・ストーリー(2021)
《ネタバレ》 楽しめました。旧作との一番の違いは、空間の拡がりです。歌とダンスが街中で繰り広げられ、スクリーンいっぱいに溢れるカメラワークに圧倒されました。曲や構成は旧作と同じながら、新たな感動を得られました。今作は、男性よりも女性が主役という仕上がりになっているのも時代の変化でしょうか。リタ・モレノ、アリアナ・デボーズ、レイチェル・ゼグラーの3人の登場人物が、3世代のつながりのような関係になっているのも良かったです。 [映画館(字幕)] 8点(2022-02-23 20:33:38) |
7. この茫漠たる荒野で
《ネタバレ》 南北戦争で心に傷を負い、旅をしながらニュースの読み聞かせをしている主人公が一人の少女に出会う。少女もまた、家族を2度失う辛い過去を背負っている。話は王道で、2人が旅をする過程で困難を乗り越えて、心を通わせていく。荒野の美しさや西部劇の魅力が詰まっていて、トム・ハンクスの存在感も効いている。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-01-28 14:54:09) |
8. ザ・ファイブ・ブラッズ
《ネタバレ》 先の読めないストーリーで一気に見せられた。アメリカの黒人にとって、ベトナム戦争とは何だったのか。金塊と死んだ仲間の遺骨を探しに行く展開から、ベトナム戦争が社会や人々に残した闇が浮かび上がってくる。それでいて、作品自体は暗くない。登場人物たちの目的は中盤で達成してしまうのだが、その後からがこの映画の真の見どころになる。デルロイ・リンド演じるPTSDを抱えた父親と、他の仲間たちが離れていく分岐点がせつない。画面比の変化や、リンドの独白、リー独特の人の動きを中央に置いた長回しなど、映像の魅力も盛りだくさん。「ブラック・クランズマン」では浮いていると感じた実映像の挿入も、本作では気にならなかった。全体に圧倒的なパワーがみなぎる良作でした。 [インターネット(字幕)] 8点(2022-01-28 14:49:42) |
9. ドント・ルック・アップ
《ネタバレ》 オールスターキャストの社会風刺デザスター映画。如何に現代の人々がSNSやテレビの無知なエンタメ情報に頼りきっていて、権力や政治の本音の側面や、直面の社会問題に関心を向けることができていないかがシニカルに描かれる。この映画で唯一まともなのが、鼻ピアスで一見不良風なジェニファー・ローレンスなのが、おもしろい。対して、いかにも堅物的な学者のディカプリオは周りにすぐに流されてしまう。どれだけ人が外見に惑わされているのかが風刺される。編集の妙もあって飽きることなく楽しめるが、全編通してコメディで終わってしまうのが惜しい。社会への問題提起とすれば、もう少し現実的な画もあって良かったのかなと思う。 [映画館(字幕)] 7点(2021-12-31 21:14:52) |
10. THE GUILTY ギルティ(2018)
室内劇。主人公の巧さがあって、飽きることなく見れる。電話越しの事件と、主人公が抱えている問題とはなんなのかという真相が同時並行で明らかになっていく。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-11-06 22:16:44) |
11. ジョジョ・ラビット
《ネタバレ》 戦争の残酷さを描きながら、子供の視点を軸としたファンタジーにもっていくのがおもしろい。空想やロマンスを取り入れて、明るさと暗さをうまく織り交ぜながら、過酷な時代の中で少年が成長していく様を温かくみつめる。絶対的だと信じていた世界が少しずつ崩れていく中で、少年の心がどう変化していくのか。ラストの落とし方をどうするのがが気になったが、最高でした。 [インターネット(字幕)] 9点(2021-11-06 22:08:37) |
12. 最後の決闘裁判
《ネタバレ》 監督リドリー・スコットの歴史劇でこの題材を描く必要があったのか、という印象。最後の決闘がもっとも見ごたえがあるため、その前に3者からの視点を描く「羅生門」調のストーリーが冗長に感じてしまった。マルグリットを主人公にした人間ドラマに徹する方がわかりやすかったのではないか、と思ってしまう。ベン・アフレックが時代劇に合わな過ぎる違和感もあり。 [映画館(字幕)] 5点(2021-11-06 21:59:16) |
13. 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
《ネタバレ》 ラミ・マレック演じるサフィンの行動には辻褄の合わない部分や背景がかなりあるものの、ダニエル・クレイグ演じるボンドの存在感に引っ張られてそこまで気にならない。ボンドカーの活躍やスタイリッシュなアクション、少々荒唐無稽なところも、これまでのボンド映画の魅力を引き継ぐ。ダイエル・クレイグ版のボンドは全ての作品でストーリーがつながっているため、予習がないと1作品としてのおもしろさが下がってしまうのが難点か。 [映画館(字幕)] 7点(2021-11-06 21:46:30) |
14. バイス
《ネタバレ》 ディック・チェイニーの伝記映画のようでそうではない。権力をもつ者がどうのし上がるのか、そして、周囲の人間をどう利用して権力を振りかざすのかをシニカルに描く。実際の登場人物や政治背景が元になっているためシリアスになりやすいところを、コメディタッチで一気に魅せる。ブッシュ息子の大統領誕生から9.11、イラク戦争に至る背景と、当時の米国の変遷をある程度知っていないと理解しづらいところがある。オリバー・ストーンの「ブッシュ」と比べてみるのもおもしろいと思います。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-11-06 21:36:27) |
15. ファイティング・ダディ 怒りの除雪車
《ネタバレ》 雪の情景にフィルム・ノワールの世界を被せたような、異質なクライムドラマ。ステラン・スカルスガルドの渋さもはまっていて、楽しめた。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-01-16 22:51:47) |
16. 記者たち 衝撃と畏怖の真実
《ネタバレ》 映画としては薄い仕上がり。俳優陣は豪華なのに、キャラクター設定が曖昧。実写を織り交ぜる演出も浮いていて、効果的とはいえない。 [インターネット(字幕)] 5点(2021-01-16 22:48:54) |
17. Mank マンク
《ネタバレ》 過去最高のアメリカ映画No. 1に君臨し続ける『市民ケーン』。ハーマン・マンキーウィッツ(マンク)はいかにしてその脚本を書き上げたのか、映画のモデルとなったウィリアム・ハーストとの関係を振り返る回想シーンと並行して描かれる。自分にとって『市民ケーン』は、あまりに有名な作品のため一度は鑑賞したが、ほとんど印象には残っていない。『市民ケーン』がアメリカ映画史においてどういう位置づけにあるかくらいは知っておかないと完全に置いてけぼりになるが、その程度の知識であっても、フィンチャーの巧みな語り口でとても楽しめる。マンクを演じたゲイリー・オールドマンは、全編出ずっぱり。才能があり、信念を貫くも、ユーモアとだらしなさの融合した憎めない役がはまっている。特殊メイクで誰だかわからないチャーチルより、マンクの方がオスカーに相応しい。 [映画館(字幕)] 8点(2020-12-02 21:39:32)(良:1票) |
18. ロープ 戦場の生命線
《ネタバレ》 予想を超える秀作。映画としての面白さと、戦争・紛争に対する皮肉がうまく合わさっている。ストーリーがうまく運び過ぎるきらいがあるものの、ベル・トロとティム・ロビンスの相性のいい掛け合い(最高!!)を中心に、キャラクター造形の巧さで突き進む。ラストの映画的な終わり方も秀逸。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-09-27 23:13:20)(良:1票) |
19. ペイン・アンド・グローリー
《ネタバレ》 アルモドバルの感性の目覚めを描く。母親への想い、同性に対する性への目覚め、器用した俳優(だれ??)への贖罪。淡々としていながら、ドラマとしての見応えは十分あるものの、アルモドバルらしい奇をてらう表現はない。バンデラスの枯れた様相が適役。80年代以降のアルモドバル映画が好きな人は、見て損のない作品。 [映画館(字幕)] 7点(2020-09-27 23:08:40) |
20. 魂のゆくえ
《ネタバレ》 宗教的要素に環境問題が織り交ざっている。主人公の一人称で淡々と物語は進むものの、抑制の裏に葛藤と苛立ち、苦悩を体現したイーサン・ホークにのめり込んで飽きません。主題はなんでしょう。結局は、まじめに神につかえて生きたものの、子供も家族も失い、さらには自分も死に対面する。そんなさまざまなしがらみを疎みながらも、どうしようもできないジレンマではなかったかと思います。その鬱憤を晴らそうとするとも、叶えられず終わります。強い権力、世の中の流れ、そして運命には誰しも抗うことができないという現実が突きつけられます。しかし、エンディングはハッピーエンドです。あまりに唐突なラスト、これは幻想なのだと思いつつ、映画はそういうものだという感動も与えてくれました。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-04-23 21:15:18) |