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タケノコさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 575
性別 男性
年齢 50歳
自己紹介 管理人さま、レビュアーのみなさま、いつもお世話になっております。

タケノコと申します。

みなさまのレビューをとても楽しみにしています。
( まるで映画のように、感動し、笑い、ときに泣きます )

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61.  フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 《ネタバレ》 
パステルカラーを色調としたポップな色合いと、子供目線を意識した終始ローアングルのカメラが印象的。安モーテルでそれは苦しい生活なんですが、子供たちがそう感じてないこと (むしろ楽しそう) が救いかな。そして、ありがちな虐待や育児放棄のお話でもありません。ママがちょっとぶっ飛んではいますが、娘を大切にするよい母親とは思います。トピックとしては、W・デフォーが珍しく普通のよいヤツで、なんか貴重な映画を観たというか、それだけで得した気分です (笑) そして映画の忘れられない花火、また一つ増えました。本作の子供たちは、その想像力とアイデアによって毎日を夢と冒険の世界にします。贅沢や裕福な暮らしを知らないということは、子どもの想像力にとってはよいことなのかも。最後、ディズニー・ワールドに向かって走り出す子供たち。いざ、金と利権にまみれた虚像の夢と冒険の世界へ。私にはこの瞬間、この子たちにかかっていた魔法が解けて、もう二度と手にすることはできないかけがえのないものが一つ、失われたような気がしました。
[映画館(字幕)] 7点(2019-01-08 21:25:47)
62.  ヘレディタリー 継承 《ネタバレ》 
これはヤバい、本当に怖い、、。さらに嬉しいことに、平日レイトショー、ガラガラの映画館で貸し切り状態だ (泣) 個人的には好みであるクラシックなオカルトホラーの雰囲気があり、心理的にじわじわとくる恐怖、総毛立つ怖さを久しぶりに実感しました。監督の演出しだいで陳腐になるか大化けするかのジャンルと思っていますが、僕は (古き良き名作と同様に) 後者に転んだように思う。 伝統的にみて「家」 が怖いのは常套だし、実はストーリーはありがちです。だから本作は母親 (T・コレット) の演技力につきる、と思う。僕が本作で最高の恐怖を感じたのは、チャーリーに憑依された彼女の顔、声、そのしぐさです。そして、家族で食事中に取り乱した彼女の表情。 ホラー映画の良し悪しは主演女優の演技力にかかっている、と言っても過言ではありません。エクソシストのE・バースティン、オーメンのL・レミック、シャイニングのS・デュバルしかり。 ホラー映画の歴史は、(ただでさえ) 怖い顔した女優たちの絶叫演技が支えてきた歴史。T・コレットは見事に受け継ぎました。ホラー映画史を彩る名女優たちの神髄を余すところなく、文字通り "継承" したと言えよう・・!!
[映画館(字幕)] 8点(2018-12-05 18:10:27)(良:4票)
63.  ソーシャル・ネットワーク 《ネタバレ》 
主人公、マーク・ザッカーバーグ。かのハーバード大屈指の天才であり、やがてネットビジネスの寵児となる者。しかし、その人間性は「問題アリ」で、個人的には絶対に関わりたくないタイプ。でもこうして客観的に見ているだけなら楽しく退屈させない人間なので、映画のキャラクターとしては最高かも。 Facebook創設の歴史は確かに興味深い。しかし、この映画には実はもう一つのテーマがあります。本作は、百の屁理屈を並べる凡人たちよりも、金のなる木に群がる凡人たちよりも、(何かを初めに) 創作した者こそが最も偉大、、という、古今東西、あらゆる分野における「創作者」たちへのリスペクトである、と思っています。もちろん、Ⅾ・フィンチャー監督ご自身による、「幾多の映画評論家よりも "映画監督" こそが偉大である」というメッセージが暗に込められています。 世界中のユーザに異性と出会う機会を与え、Facebookを通じて多くのカップルも誕生したと思います。その創設者自身が目の前にいる意中の女性を落とせないとは、笑っちゃいけないけど皮肉なお話でした。しかし、ネットビジネスにおける偉大な人物、それが実は恋に彷徨う等身大の一人の若者だった、、彼に愛着がわくような締め方には "人間愛" があってよかった。 個人的には、過去と現在を延々と繰り返す手法は苦手なこと、そしてこういった映画は公開当時、つまりFacebook全盛期に観てナンボでしょう、という思いはあります。 以下余談。 出演した俳優たち、ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、そして、ルーニー・マーラですか。当時はそこまで有名ではなかった認識ですが、特に本作以降、役者として大成したように思います。今改めて、Ⅾ・フィンチャーの役者を見る「慧眼」は素晴らしいとしか言いようがありません。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2018-11-28 23:00:32)(良:2票)
64.  ボヘミアン・ラプソディ
レビュー覗いている暇があったら、今すぐ映画館へ行け! 傑作。最高。QUEEN知っていようがいまいが、あまり関係ない。音楽が好きなら絶対に観ろ。そして泣け。 そして観た後に、自分が誰なのか、お前も自分で決めてみろ!!
[映画館(字幕)] 9点(2018-11-15 21:50:52)(良:2票)
65.  女と男の観覧車 《ネタバレ》 
はい、だいたいこういうお話ってわかっていました。だってアレン監督ですから(笑) 今回、最大の見どころは美しい大観覧車です。そして、懐かしいコニー・アイランドのビーチ。その最高にロマンチックなロケーションで、どうでもいいような、男と女のラブゲーム。お互いの尻を追いかけては、回り続ける女たち男たち。そのお姿はちっともロマンチックじゃありません。ホント、笑っちゃう。でもなぜだろう? 喜劇的でありながら、恋する者たちはみな美しくて。 (もちろんヴィットリオ・ストラーロによる映像美の力もあるだろう) それにしてもK・ウィンスレットよ、肉食系熟女の役が板についてきましたね。そしてアレン監督、一向に衰えませんね。何はともあれ、また次回も恋愛至上主義、期待してお待ちしております。
[映画館(字幕)] 6点(2018-10-27 23:52:50)
66.  バトル・オブ・ザ・セクシーズ 《ネタバレ》 
予告編の、フライパンやコスプレ姿でテニスをするボビー・リッグス (S・カレル) の姿から、勝手にコメディ映画と思っていましたが、全然違いました。これは女性軽視や同性愛というデリケートなテーマを取り扱った、実に大真面目なドラマでした。 ビリー・ジーン・キング (E・ストーン) については、テニスプレーヤーとしての彼女よりは、同性愛に目覚めていく一人の女性、そこに力を入れて描いていた感じ。特に彼女がマリリンと接する場面は、実に官能的に撮られていたように思う。 また、本作はもう一人の主役と言えるだろう、ボビー・リッグスが面白い。彼はテニスプレーヤーである以前に、誰よりも目立ちたがり屋で生来のエンターテイナーであり、実に映画向けなキャラクター、と言える。そして、本心が読めないというか、、ちょっと得体の知れないところがある。何となくですが、彼はゴリゴリの差別主義者を装っているだけで、群衆やマスコミを煽って注目させ、「テニス」という競技の知名度向上のために汚れ役を買って出た、と私は思っています。 1973年、バトル・オブ・ザ・セクシーズ (性差を超えた戦い) 。 もともと、身体的・体力的に異なる男女の試合結果など競技としては然したる意味はありません。だからこれは、スポーツという「力」を借りた、人類みな平等、という宣言です。 もちろん、女性として、やがては同性愛者として発言力 (影響力) を持つ偉大なテニスプレーヤーに、大きな使命感を与えた試合としてみるなら、これは決してテニスやスポーツという枠だけにはとどまらない、歴史上でも特に重要な戦い、と言えるでしょう。
[映画館(字幕)] 7点(2018-07-22 00:01:22)
67.  ヤング・アダルト・ニューヨーク 《ネタバレ》 
軽いコメディ映画だろう、と思っていたらそうではなかった (笑) 序盤は新旧二組のカップルを軸に展開して、いかにもウディアレン監督が撮りそうなお話。しかし、、まさかね、こんな中年残酷物語だったとは・・(泣) 本作はA・ドライバーが癖のある面白い役どころで、いいヤツと思いきや、しだいに本性 (ダークサイド) を現していきます。はたして彼は敵なのか? 味方なのか? 彼が持つ二面性はそのまま、SW新シリーズのカイロ・レンへと続いていくのであった・・(それは嘘です) 確か、そのジェイミーにハメられたジョシュが彼のやらせを暴くために、同級生の証言を撮影して回る場面がありましたね? 撮影して、その後どうなったんだろう? この思わせぶりな面白い展開が、その後ストーリーに絡んでこないとはちょっと残念な気がしました。私にとって本作最大のトピックは、80年代~90年代に大活躍した (超) 名脇役のC・グローディン。久しぶりの映画出演ですよね。まだまだ健在なお姿は嬉しかったなあ。
[DVD(字幕)] 6点(2018-03-21 22:27:00)
68.  Re:LIFE リライフ 《ネタバレ》 
映画脚本家であったかつての栄光を忘れられず人生を迷走中・・といった中年男の物語。良くも悪くも、「H・グラント」というブランドイメージ通りの映画です。一度でいいから殺人犯、ヘンタイ、サイコパス、等々を演じる彼を見てみたいものですが、、まあ本人がやらんでしょう。また「セッション」鑑賞済であれば、J・K・シモンズはキャラのギャップに笑えます。そして、本作は中年男の再生といった主題のテーマより、映画脚本家志望の学生たち、つまり "映画オタク" たちの掛け合いを楽しむべき映画。こだわりの強い映画好き同士が交流して他人の好みを否定する、というのは私も心当たりがある光景で、実にニヤニヤしながら観ておりました。特に面白いのは、「101匹わんちゃんもレザボア・ドッグスもどっちも好きじゃだめ?」という女の子の台詞。1回目の鑑賞では、正反対のジャンルがとっさに出たな、、という感想。そして2回目の鑑賞で気づいた。どっちも犬じゃん!って (笑) しれっとうまいこと言いやがるぜ、この娘ったら! でもそんな彼女たちのおかげで、長年スルーしていたダーティ・ダンシングを観るよい機会になりました。・・こんなにいい映画だったとは (泣) 教室内や雨が降っている場面が多いので、最後の場面、忘れたころに顔を出した晴れ間の何と眩しいこと。もう若くはないが、人生まだまだこれから、、ですかね。前向きな気持ちになれる、とてもよい映画でした。
[DVD(字幕)] 7点(2018-03-19 22:48:44)(良:1票)
69.  シェイプ・オブ・ウォーター 《ネタバレ》 
ファンタジーであり極めてシンプルなラブストーリーであると思う。そして映画愛と呼ぶべきオブラートにくるんではいますが、根本的にはホラーと思いました。もちろん、聾者の女性とゲイと黒人とロシア人と(半魚人のような)異形の者が力を合わせて、一匹の怪物と戦う物語です。最後、二人が海中に漂うラストシーンはあまりにも美しくて、涙が出ました。 愛し合う二人しか存在しない世界。そこは、差別、偏見、俗物といった概念が存在すらしない、遠い遠いアダムとイヴの楽園を思い出す。だから見方によっては、腐敗したこの世界(地上)にサヨウナラ、といった物語でしたね。こういった普遍的な娯楽映画がアカデミー賞作品賞とは素直に喜ばしいこと。でも、昔みたいなクラシックな(男と女の)恋愛ドラマ、アカデミー賞でまた見たいです。
[映画館(字幕)] 7点(2018-03-11 23:23:36)
70.  15時17分、パリ行き 《ネタバレ》 
この映画で一番の偉業は掲題の出来事ではなく、役者経験なしの男たちがこの年齢にしてC・イーストウッド監督の映画で (主演!) デビューを成し遂げたこと。異論は認める。そしてイーストウッドは、役者の技量なんて監督の手腕でどうにでもなる、と言っている。これも、異論は認める。
[映画館(字幕)] 7点(2018-03-05 18:45:27)
71.  ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ 《ネタバレ》 
とにかく、驚くほどユーモラスで軽快なタッチです。実はかなりシリアスなテーマなんですけどね。重たいテーマもきっと料理の仕方なんでしょう、あの9・11を笑いのネタにする気概に拍手。ラブストーリーとしては王道で目新しさはありませんが、大金かけて大コケの映画が多い中で、改めてこういう映画っていいなぁとしみじみ思いました。たぶん、人種違えど愛し合った"本人同士"が結ばれるのはそう難しくないと思います。むしろ難関はその先にあるもの、つまり本作のテーマは、相手の家族や二人の関係に偏見の目を向ける人たちといかに良好なコミュニケーション (人間関係) を築けるか、にあると思いました。だからこそ、クメイルとエミリーの両親たちとの関係に時間を割いているのもご理解いただけると思います。物語の展開としては、どんでん返しに値する驚きはありませんが、最後に映画に仕掛けられた "秘密" (サプライズ) に驚くお話しですかね。 (予備知識なく鑑賞してよかったです) 欲を言えば、せっかくパキスタン人が主人公なので、彼らの国の文化 (料理など) をもっと観たかったかな。個人的にはエミリーの両親、すべりまくりのお父さん (笑) とキュートなホリーハンターお母さん、この二人がかなりツボでした。好きだったなぁ。
[映画館(字幕)] 6点(2018-03-05 15:35:49)(良:1票)
72.  スリー・ビルボード 《ネタバレ》 
一つのレイプ殺人をトリガーにして、とどまることを知らない不幸の連鎖。全く先が読めないという展開も含めて、コーエン兄弟の映画を彷彿させます。そして、「ファーゴ」以来、久しぶりに存在感のある (ありすぎる笑) フランシス・マクドーマンドでした。 本作の「ビルボード」は、コミュニケーション不全の社会のメタファーと思います。一方通行で煽るのではなく、初めからミルドレッドと署長が対話をしていれば、ディクソンとレッドが対話をしていれば、レイプ殺人一つだけで不幸は済んだ話。そもそも、母と娘が口論ではなく対話をしていれば、娘が暗い夜道を一人歩いて街に向かう愚行も回避できたかもしれない。怒りや憎しみは何も生まない、というよりは "対話" (コミュニケーション) 不足が生んだ悲劇のお話と思う。 また本作の広告用ビルボードの使い方は、匿名で個人に向けてメッセージを発信する、といった共通点から、ネットの投稿や掲示板を思い出します。時に相手 (個人) を一方的に誹謗中傷しているのに、書いた本人に罪の意識がない、という点もよく似ています。本作のテーマは決してネット社会の風刺ではありませんが、裏テーマとして含みがあるように少なからず感じました。 観応えはありますが、救いがない、着地点がもやっとしている、ミルドレッドやディクソンの行為に全く共感できない、以上からこの点数です。
[映画館(字幕)] 6点(2018-02-05 17:06:56)(良:2票)
73.  ほとりの朔子 《ネタバレ》 
2週間をおばさんの家で過ごした、朔子のひと夏の物語。これは表向きは陽気な話を装っているが、見た目ほど愉快な映画ではないと思う。一線を越えそうで越えない、男と女。青春と性の境界線。原発の立ち入り禁止区域の境界線。映画からは、理性と狂気の狭間でかろうじて踏みとどまっているような、ピリピリとした(異様な)空気を随所に感じる。夏らしい色鮮やかな彼女の姿は、ひと夏の間、水辺のほとりでオスを誘引して光る、メス蛍の求愛行動を思い出す。蛍の寿命は短くて、生きても2週間とか。一度越えたら二度と戻れない、生と死の境界線。そして2週間の短い夏が終わり、朔子は帰って逝きました、とさ。
[DVD(邦画)] 7点(2017-12-28 23:28:51)
74.  オリエント急行殺人事件(2017) 《ネタバレ》 
A・クリスティの原作は既読、過去の映画版は未鑑賞です。今回、結末を知りながら鑑賞したのは、多くの方たちと同様、稀にみる豪華出演者たちに惹かれたからです。その映画はまるで、豪華キャストによるお芝居(舞台劇)をスクリーンで観ているようでした。でも"列車内"からロケーションがほとんど動かない上に、乗客たちは素性を知られないよう"芝居"をしているので、設定上そうなって当然か(笑) とりわけ印象的だったクライマックスの場面、これは原作にはなかったように記憶しています。暗いトンネルの中から、光射す方を望む12人。見据えるその先に立つポワロは、罪人たちを暗い淵から更生に導く救世主のようにも見えます。これはまさに映画ならではの演出だったように思う。でもさ、せっかくその映画じゃない?暗い顔した人物たちばかりじゃなくて、オリエント急行の車窓から覗く美しい風景、豪華料理のフルコース、もっと観たかったなあ。(登場人物が多すぎるから仕方ないんでしょうけど)
[映画館(字幕)] 6点(2017-12-23 00:02:38)
75.  女神の見えざる手 《ネタバレ》 
これはとても観応えのある脚本でした。登場人物たちの洪水のようなセリフの応酬に圧倒されて、あっという間の2時間が過ぎてゆきました。エリザベス・スローンという女は強烈だった。彼女は頭脳を武器に国の巨悪と戦う、まさにワンダー " キャリア " ウーマン。その人間性や手段はともかくとして、私は彼女を羨望の眼差しで観ていたことを白状しよう。1つだけ気になった点があります。それは彼女の過去や生い立ちが一切語られていないこと。だからその信念の源は不透明だが、実はエズメのように銃にまつわる壮絶な過去を背負っていたのではないか、と思うことにします。映画としては、やはり原題通り天才ロビイストである彼女を堪能するべきで、必ずしも銃社会の問題に固執した物語ではないと思いました。 (クライマックスでは銃うんぬんはどうでもよくなってるし) そして、観終えてみれば納得の邦題も秀逸だったように思う。それは人間たちをチェスの駒のように自在に操った彼女の見えざる手であり、彼女が張り巡らせた壮大な罠でもある。でも実は彼女自身を導いて突き動かし続けた力こそ、" 女神の見えざる手 " かもしれません。
[映画館(字幕)] 8点(2017-12-07 22:12:17)(良:1票)
76.  KUBO/クボ 二本の弦の秘密
雰囲気はまさに「まんが日本昔ばなし」なんです。あの世界観を、ハリウッドの新進気鋭のストップモーションアニメ監督が現代風に演出していて、なんかこう、観ているあいだ不思議な感覚でしたね。クボ・サル・クワガタが三人パーティを組んで、村を草原を山をてくてく歩き、やがて舟で大海原へ。僕は勝手にドラクエⅡを思い出したりもしたのですが (笑) 闇の姉妹の造形は不気味な美しさにぞくぞくしますが、骸骨の場面だけはどうしてもティム・バートン風になります。と、ここまで書いてみて、つまり雰囲気は極上ですが、新鮮な " 個性 " は乏しいのかなと。道具のディテールには相当拘っていて、折り紙のザラザラした感じ、クワガタが纏う甲冑の質感、クボの刀や兜の光沢は惚れ惚れするほど。また、外国の監督にありがちなピント外れな日本の描写もほとんどありません。監督 (制作スタッフ) のみなさまは、日本古来の風景はもとより、習慣や文化まで深く探求されているようで、これは嬉しい限りでした。なお私は字幕で観たのですが、この世界観なら英語よりも日本語吹替の方がいいかもしれません。 (日本の風景にサムライたち、これが英語というのがちょっと違和感でした)
[映画館(字幕)] 7点(2017-11-27 17:35:56)
77.  パターソン 《ネタバレ》 
アダム・ドライバーがパターソンの街でバス・ドライバーのパターソンって (笑) 遊び心がすぎるぞ、J・ジャームッシュ。 かつての彼の映画は、ビリビリとした個性を放っていて近寄りがたい空気があったものだが・・。今作はずっと優しく温かくて、監督ご自身が丸みを増したかのような印象を受けました。 家と通勤路、バスからの風景、BAR、滝を望む公園。陽光、行き交う人たち、色づく街路樹。さりげない日常の反復のようでいて、毎日違う顔を魅せる、いつもの風景。大きなドラマはないが、一画一画がとても洗練されていて、まるで写真集のページをめくっていくような味わい深い映画でした。 一つ、インパクトのある台詞があります。「詩の翻訳はレインコートを着てシャワーを浴びるようなもの」 これは、音や韻が持つ響きも含めて "オリジナル" を愛せよ、と解釈したい。 そして本当の個性とは、個性的なことではなく変わらないこと。 一見すると変化しているように見えて、変わらないその本質は、J・ジャームッシュのスタイルそのものです。
[映画館(字幕)] 7点(2017-10-10 00:20:37)(良:1票)
78.  ザ・ワイルド 《ネタバレ》 
大自然のサバイバル映画としては、かなり上質のものかと。また、人食い熊による動物パニックものとしても、他のB級「グリズリー」映画よりはよほど観応えがあります。 とは言え、結局のところ本作は人間 (の描き方) に魅力があるからこそ、面白い。墜落、巨大迷宮のようなアラスカの大森林、襲いかかる人食い熊、、あらゆる困難に動じることなく、知恵と勇気をもって挑む大富豪チャールズ (A・ホプキンス) の姿は神々しさすら感じます。そして、彼とロバート (A・ボールドウィン) との関係性は本作最大の肝と言えるでしょう。映画全体に漂う、隙あらばチャールズを殺ってやろう、という彼の殺意。遭難した後も生き残るために協力しながらも、彼の奥底には潜んでいます。この殺意がとても張りつめた緊張感を生んでいて、本作を単なるサバイバル映画でない、より一層重厚なドラマにしているように思えます。 結末はロバートにすれば因果応報としか言いようがなく、チャールズはそんな彼にもまさに山のように大きな心で接しました。大自然の風景も美しくて、人としても色々と学ぶことの多い映画でした、、 ってケチのつけどころがなく意外と名作かも?
[DVD(字幕)] 7点(2017-10-04 22:31:33)(良:1票)
79.  ドリーム 《ネタバレ》 
冒頭における三人の愉快なやり取りから察するように、黒人差別をテーマにしながらも、そこまでの重苦しさはなく軽快なタッチで描かれています。(さじ加減は数年前の「ヘルプ 心がつなぐストーリー」に近い感じ) 三人の職場における差別や苦境はしっかりと描きつつ、でも私生活では三人揃って明るく笑い飛ばすという、映画全体のバランス(明暗の緩急)に長けていたように思います。なお私は数学音痴なので、ロケット軌道計算や着水地点解析の難易度がどれほどかは想像もつきませんが、キャサリンが数学の地球代表であるすごさは伝わってきました(笑) 脇役も総じてよかったですが、特にK・コスナーは絶品でした。90年頃の全盛期からキャリア低迷もありましたが、その苦労と経験がいい感じでにじみ出ていて、むしろ昔よりいい役者になったように思います。(今の彼で主演映画が観てみたい、と心から思いました) 有人宇宙飛行「マーキュリー計画」という大きな歴史。その歴史の主役はロケットでもコンピュータでもなく、"人間たち"であり、男も女も白人も黒人も(ポジションも)関係なく、担った全員が主役であったことを実感します。同じ題材を取り扱った「ライトスタッフ」と比べても面白いかもしれません。興味深いのは題材は同じでも全く別の映画になっていて、人間を軸にその姿を変える映画の無限の可能性を感じました。誠実に丁寧に作られた、本当に胸のすく映画でした。しばらくはいい夢が見れそうです。
[映画館(字幕)] 8点(2017-10-01 18:51:37)
80.  エクソシスト 《ネタバレ》 
ホラー映画の金字塔といった大きな期待と先入観を持って観ると、時代も古いので少々物足りないかもしれない。だからジャンルとしては、オカルトという題材をモチーフにした、人間ドラマ(ヒューマンドラマ)と考えた方がいいだろう。そうこれは、悪魔に取り憑かれた少女と稀有な悲劇に遭遇したその母親の物語。そして何より、その命を懸けて悪魔と対峙した、崇高な二人の神父たちの物語。これは悪魔と遭遇し、立ち向かうことを余儀なくされた、人間たちの至高のドラマなのである。本作はE・バースティンとメリン神父を演じた名優M・フォン・シドーの名演はもちろんだが、こんな"紙一重"のお話が傑作に化けたのは、W・フリードキン監督の演出力による貢献がとても大きい。映画のイメージでもある、メリン神父が長い旅路の果てに屋敷にたどり着き、悪魔の住む家を見上げたあの場面。これはわずか一瞬だが、ホラー映画史を象徴する絵として記憶に残る名場面と思う。余談だが、本作の公開から40年以上、M・フォン・シドーはまだ存命で今もほとんど変わらぬ風貌である。この現実の方がある意味で最も怖い。 (悪魔に憑かれたのは実はこの人だったか?)
[DVD(字幕)] 9点(2017-09-26 22:21:51)(笑:1票)
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