Menu
 > レビュワー
 > あにやん‍🌈 さんの口コミ一覧。8ページ目
あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2524
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768
>> カレンダー表示
>> 通常表示
141.  メリー・ポピンズ リターンズ 《ネタバレ》 
 今から55年前に作られた作品の、見事なまでの正統な続編ね。あまりにガチガチにイメージを継承しているので、保守的に過ぎるんじゃない?とも思うのだけれども、それだけ前作を大切にしているというディズニーの姿勢の表れなのでしょう。同じディズニーでも過去をブチ壊しまくった『シュガー・ラッシュ:オンライン』とはあらゆる意味で対照的な作品ね。   イメージの継承の姿が最も如実に表れていたのがミュージックホールでのシーン。手描きアニメとの合成なのだけど、そのアニメの線がハンドトレスでもデジタルスキャンでもなく、マシントレスの線のタッチなの。今の技術だったらデジタルでキレイキレイなラインで表現できるのだけれど、そこをあえて擦れたザラついた線で表現してるの。トレスマシンを使ったアニメは省力化の表れって感じでいい印象がないのだけれども(国産のアニメも70年代以降、デジタル化されるまでの間、ずっと、あのザラついた線で描かれていたわけで、例外は『サザエさん』と『シリウスの伝説』くらい?)、その線に泣かされる事になるなんて思ってもみなかったわ。  映像表現そのものはもちろん今のテクノロジーが駆使されているのだけれど、ガチガチのデジタル臭には走らず、アナログ的なスキをいっぱい作ってる状態。   オープニングタイトルからエンドロールまで、いかに『メリー・ポピンズ』であるか、というのに拘った作品。音楽はクラシカル、ミュージカルナンバー一曲一曲はたっぷり時間を取って。今の判りやすいミュージカル映画のスタイル(歌と踊りがそのまま物語の進行に直結してる)ではない、旧来からのミュージカル(歌と踊りが独立した見せ場)の姿なのよね。  ナンバーは前作ほどのインパクトには欠けるように思うのだけれども、それはまだこれから、後年価値が決まってゆくものなのかもしれないわ。普遍性を持った映画として作られているのだから。   あくまで前作を愛してる人のための続編として作られていて、きっと前作と続けて見ても違和感は少ないわ。エミリー・ブラントはジュリー・アンドリュースとはかなりイメージが違うけれども、表情豊かじゃダメな難しい役のメリー・ポピンズを上手く演じているし。   懐かしきディズニー映画の匂いに溢れていて、でも、それが今の若い人達には通用しないとしたら、それは淋しいことね。できれば前作とセットで見て頂きたいものね。
[映画館(字幕)] 8点(2019-02-05 22:40:31)(良:2票)
142.  あなたの旅立ち、綴ります 《ネタバレ》 
 映画は大きく世代の異なる3人の女性を配する事で生を、そして死を対比してるのね。自分を生きること、死を意識して生を全うすること。それまでに生きた、そしてこれから生きる時間の違いが、それぞれの立場の生き方を示してゆくの。その、長く生きたシャーリー・マクレーンの示す道(彼女本人の昔から今に至る写真を見せる事で現実の彼女ともオーバーラップしていて)の眩しさが胸に迫るわ。   物語は予告編から予想されるものから遠ざかることはなくて。こんな映画?ってイメージした通りで、でもその感じが心地良かったり。やっぱり魅力的なキャストに彩られているからこそ、楽しめる映画で。   アマンダ・サイフリッドが好きなんだけど、このところ、も少し仕事を選んだ方がいいんじゃない?って感じで(『荒野はつらいよ』とか『ラヴレース』とか『テッド2』とか)、コレ!って作品に恵まれてない気がしてたのよね(個人的には『ジュリエットからの手紙』が好き)。  でも、この作品は彼女の魅力がいっぱい出てたと思うわ。最初こそ、ちょっと反抗的な態度でアレ?って思うんでだけど、すぐに表情豊かな彼女の魅力が溢れてきて。   そして、それ以上に堂々の存在感を示していたのがシャーリー・マクレーン。今から30年以上前の作品で既に孫のいる役を演じていたのに、いまだあんなにアクティブに動きまわって映画をグイグイ引っ張ってみせるんだから凄い女優。   自分の死を見つめるっていう主題から、逆に受け手は自分の生き方を考える機会になる、そんな映画。
[映画館(字幕)] 8点(2018-09-26 22:19:26)(良:2票)
143.  プーと大人になった僕 《ネタバレ》 
 『くまのプーさん』のキャラはお馴染みだけれども、実のところ、ディズニーのアニメ映画版(短編の3本のヤツ)はそーんなには面白いと思ってなかったのね。それぞれのキャラ、ウザいし。マシントレスのラインが汚いと思ったし。  私にとってはディズニーリゾートで買うキャラクターグッズの方がメインで作品としては別に、みたいなポジションだったわ。   『プーと大人になった僕』のクリストファー・ロビンは常識的でつまんない大人で、ちょっとスピルバーグの『フック』を思い出したり。  それにしても、前半、ディズニー映画にしては陰鬱で暗過ぎない?って心配になっちゃって。コレって子供が見て楽しい映画かなぁ?みたいな。  何と言ってもプーさんがひたすら可哀想なの。何年もずっと離れていたクリストファー・ロビンとやっと出会えたのに、クリストファー・ロビンがひたすらつれない状態で、プーさん、それでも健気で、もー泣けてくるわ。  ちなみにプーさん、アニメ版とはかなり印象が違うわ。ウザさが少なめ。でもいちばん違うのはまゆ毛が無い事。無い方が可愛いわね。あとピグレットもアニメ版より可愛かったかな。ティガーやイーヨーはあんなモン。   で、そこからじわじわと氷が溶けるように広がってゆくモノに、見ているこちらもどんどん心が満たされてゆく感じで。  心の中に甦ってくる、忘れてたキモチ、それが大切だと教えてくれる映画。ほら、プーさんに限らず、幼い頃に大事に思っていた物事ってあるじゃない。大人になるって、それらを忘れたり棄てたりする事、って思っちゃうけれど、でも、それが本当に正しいの?ってね。  だから、これは大人に響く映画だし、プーさんで育った人には更に響く映画だと思うわ。   思ったよりも小さな(ごく狭い範囲の個人的、私的な雰囲気の)映画だったけれど、『くまのプーさん』の世界を大切に大切に描いていて、詩的で叙情的で、じんわりとしみる映画ね。
[映画館(字幕)] 8点(2018-09-19 21:26:28)(良:1票)
144.  オーシャンズ8 《ネタバレ》 
 ケイト・ブランシェット姐様が最高過ぎるので8点。以上。   だけだと、アレなんで(それだけで十分だと思うんだけどね)、あと蛇足。   『オーシャンズ11』があんまりだったんで、『12』も『13』もマトモに見てないって状態で(BSCSでやってるのを見たような見てないような)、なのでコレもあんまり期待はできないわ、ってカンジだったのだけど、一方でブランシェット姐様をはじめ、サンドラとかアンとかヘレナとか、もうイイ女優いっぱい出てるってのはどうしたって魅かれないワケにはいかなくって。   だけどソダーバーグだしねぇ・・・って何よ、今回ソダーバーグいいじゃん!って思ったらさ、エンドロール見て初めてコレ、ソダーバーグ監督作品じゃないって知ったわ。    中身ナシみたいな映画なんだけど、女優が魅力的で、なんかゴージャスな映像です、ってそれだけで十分だったりするワケじゃん。  スリルとかサスペンスとかがほとんど無くて、計画はサクサク進んで、アクシデントはほんの少しだけ。クライマックスで一応二転三転するんだけど、あくまでプラス方向にしか転がさないんで、なんていうか、呑気な映画。  でも、そのストレスフリーっぷりはなかなか得難いモノな気もして。あえてストレスを排除して、かつ面白さを作るって、意外と難しいんじゃない? それが出来てる映画なのね。   で、なんと言ってもケイト姐様ね。これまでのカッコいいケイト姐様ナンバーワンだった『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』のスパルコ大佐を超えて、この映画のルーはカッコいいケイト姐様更新。まるでヅカの男役トップみたい。サンドラとのコンビっぷりがハマってて、これなら『オーシャンズ9』を期待しちゃえるわ。早よ次。
[映画館(字幕)] 8点(2018-08-13 21:11:10)
145.  レディ・バード 《ネタバレ》 
 重要に思えるエピソードも、そうでなさそうなエピソードも、みんな等価値であるかのようにハイスピードでどんどん流れていって、思い出したのは『勝手にしやがれ』の出だし部分ね。最近だと『15時17分、パリ行き』とか。  そうしてテンポよく描かれてゆくレディ・バードの日常コラージュが、やがて彼女の生きる世界の輪郭を浮かび上がらせて。短い時間で彼女という人間に寄り添い、親しみを抱ける存在に思えてくる、愛らしい映画。   裕福とは言えない家庭、ギクシャクした母親との関係、学校でも色々あって、でもいいことがないわけでもなくて、そんな彼女の日常は、彼女にとっては悩みやストレスだらけだけど、傍から見たら大切な、かけがえのない日々。  彼女を包み込む世界の優しさは、彼女が暮らす、そして彼女が嫌うサクラメントの街に象徴されているようで、彼女が目指す(テロのあった)NYや、中東での戦闘のニュースは、外側の、厳しい現実の世界。  サクラメントは特に街を愛するお母さんの存在を映していて、そこからの旅立ちは彼女の望んだ、でも厳しい独り立ちを示すようで。   楽しかったり、イタかったり、つらかったり、いっぱいの共感がたった94分の中に凝縮されていて、そしてこれからも続いてゆくであろう彼女の日々に、本当はもう少し見守り続けたい、って思わないワケにはいかなかったわ。   シアーシャはなんだか若い頃のジャッキー・アール・ヘイリーに似てきた気がしないでもないけれど・・・(『がんばれ!ベアーズ特訓中』参照のこと)。
[映画館(字幕)] 8点(2018-07-25 21:03:36)(良:1票)
146.  ジュラシック・ワールド/炎の王国 《ネタバレ》 
 「科学を悪用し神を騙った人間が、その手で甦らせた恐竜によって罰を与えられる」っていう、マイケル・クライトンの原作から続く『ジュラシック・パーク』のテーマが、ここまできたって考えると、映画としての成長を感じられたりするのね。だって、今回は映画の心が恐竜側に移ってるから。   恐竜達が火山の噴火によって安住の地を追われる事から始まる受難の物語は啓示的。  抑圧、隷属、そして売買と人間の歴史の中で繰り返されてきた愚行を経て、最後は解放へと至るのだけれども、それを手助けしてゆく善の側のように見えた人間達が、でも最終的には彼らとの共存を望まないワケ。自分達とは別モノとして彼らの絶滅もやむなしと判断しちゃう。  そして、その意志に背いて最終的に彼らを解放する女神は恐竜達と同様に驕った人間の手によって生まれた存在。  これまで従順な存在として人を護ってきた闘士のブルーちゃんは、最終的に支配からの解放を選択する。前作のラストシーンを繰り返すようでいて、でも、全く逆の意味を持ってるの。支配する側の許しを得て去ってゆく前作と、支配する側の意志に背いて去ってゆく今作と。  ブルーちゃんに感情移入して見てきた人間からすれば、このラストはハンパでも、投げっぱなしでも、もにょるものでもない、最高のラストシーン、ラストカットなワケね。   前作は進化した映像以外に見るところはあまりなかった感じがしたけど、でも、今作に繋がる芽を仕込んであったのだとしたら(ラプトル四姉妹の存在ね)、少し見直したかな。  あと、絵的なセンスがだらーっとしていた前作に比べて格段に良かったのね。後半の恐竜館のホラーっぷりなんかはおんなじような絵が多かったシリーズの中では特異な面白さで。   ラプトル界のアイドル、ブルーちゃんと、貫録のレクシー姐さん、悠々自適のモササウルスさんの魅力はもちろん、頭突き恐竜スティギモロクちゃんのいいキャラっぷりや、埠頭のブラキオサウルスの悲しさ、人工的な能力が表出しまくり化け物状態インドラプトルの悲哀等々、モブまで含めて恐竜の個性を強調しまくった今作、アタシにとってコレは今までとは別物(ついでにこれまでビスタサイズを通してきたのに今回シネスコサイズになったのもね)。
[映画館(字幕)] 8点(2018-07-15 09:25:41)(良:2票)
147.  ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 《ネタバレ》 
 昔からスピルバーグが大好きだった訳ですが、最近のスピルバーグはちょっとピンと来なくて『戦火の馬』とか『ブリッジ・オブ・スパイ』とか『BFG』とか、いいのだけれども、でもスピルバーグならばもっとできたんじゃ?って思う事しきり、って感じでした。   この作品も冒頭から続く説明的なモンタージュとか、場面転換時の音楽の繋がり方とか、やたら古めかしいスタイルで、スピルバーグももうトシだしねぇ、なんて思いながら見ておりました。ですが、見ているうちにどんどん面白くなってぐいぐい映画に惹きこまれて。下手に重厚なドラマって形にせず、簡潔にどんどんと話を進めてゆくスタイルが良かったと思います。スピルバーグは人間ドラマ系を撮ると途端に歯切れが悪くなって上映時間が長くなるって印象ですが、これは当てはまりませんでした。早撮りの相棒ヤヌス・カミンスキーの(雑な)カメラも今回はプラスに働いたって感じですか。   トム・ハンクスとメリル・ストリープって人によっては地雷ですよね。でも私はそんなに悪いイメージを持っていないので、この作品での2人の役作りを楽しみました。いつもの善人然としたトムとは違うトム、いつもの個性的なメリルとは違うメリル。   過去の実話を元に娯楽映画に仕立て上げ、なおかつ今の時代に直結するテーマに、まだまだスピルバーグが現役である事を実感しました。今の日本の状況にも符合しまくりな内容、政治家もマスコミも役人も、そして有権者もこの映画が示す道に真面目に向き合う必要がありますね。
[映画館(字幕)] 8点(2018-04-10 20:21:40)
148.  リメンバー・ミー(2017) 《ネタバレ》 
 映画なんて絶対的なモノじゃなくて、受け手それぞれの人生があって、それぞれが受ける印象に違いがあるのは当たり前の事で。   創造性に色々とひっかかりどころがない訳じゃないですが(ピクサー作品が安易に陥りがちな悪役を設定し、それを倒す事で物語を解決に導くとか、音楽を禁じられた主人公が死者の国に行っちゃうメキシカンなCGアニメ映画って事で『ブック・オブ・ライフ』とネタがカブりまくりとか、『ズートピア』や『ベイマックス』を連想させる背景美術とか)、大変に映像のクオリティが高い作品で、歌も英語版、吹替版共にとても心地良く、目と耳で楽しむだけでも十分な映画でした。   でも、最終的に「家族がいちばん」と家族と血族に収束してゆく主題に、DV親父を最期まで介護しなければならなかった不条理さ、邪魔こそすれ、介護を人任せにし続けたクセに父が他界した途端にイニシアチブを取りにくる妹達や、私に1000万円の借りがありながらそれを無かった事にして踏み倒せると思っている叔父や、祖父の遺産を独り占めしてみせた叔母なんて存在を抱えた私としては「それって誰に対しても絶対的なモノってワケではないよね・・・」としか言い様がないのでした。  だから私は疑似家族や家族が再構築される話の方が魅かれるわけで、この映画のテーマは古風というか前時代的かな。家族や血族なんて、棄ててもいいものなら棄てたっていいんですよ。誰にでもそれが本当に大事なものとは限りません。
[映画館(字幕)] 8点(2018-04-10 18:49:54)(良:1票)
149.  猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) 《ネタバレ》 
 前2作はワリと微妙に感じてたんですよね。結局お猿さんだよね?っていう。それは前シリーズやティム・バートンのアレも一緒で。お猿さんは宇宙人でも怪人でもなくてお猿さんで。   でも、今回は今までよりも点数高いです。迫害されるお猿さんの1作目、内輪モメなお猿さんの2作目から、今作は明確に人間との対立という形になって。お猿さんが特定の民族の象徴ではなく、人類の選択すべき道を示していて、このお話はここまで辿り着きました、という到達点が明確になっています。  破壊と殺戮に囚われた人類と、それに抗うシーザーは旧き人の形を示し、天使に導かれて安息の地を目指すお猿さん達はあるべき人の形を示しています。それは黙示録的で、神話的で。そして選民意識や民族主義に走り排他的な流れに走っている現代の世界情勢に対する啓示のようでもあって、だからこれは今この時代に作られた事に意味がある、その時代を映す鏡として至極正しい映画だと思います。  存続の危機に陥ってなお対立をやめない人類に対して襲いかかる天罰的状況、そこに意識を向けるべきなのです。   天使ポジションのノヴァの色がモノトーンの作品世界の中で希望を示すコントラストとなっていて、美しい絵を創り出しています。彼女が画面に登場するカットは宗教画的ですらあるのでした。
[映画館(字幕)] 8点(2017-11-05 18:24:48)
150.  ブレードランナー 2049 《ネタバレ》 
 記憶の映画でした。   思い出という、その曖昧な存在に拘って生きる事の悲しさ、そしてその甘美さ。総ての人がそうであるように。  登場する多くの過去の記憶(エルヴィスやモンロー、シナトラも)と共に、前作の存在もまた過去の記憶であり、この映画もまた過去の記憶になってゆくという(映画という存在自体が光と影と音が創る幻でしかなくて)、人の記憶についての入れ子細工映画。  印象的な映像の数々(前作に比べてもハンパない寂寥感に包まれています)が、やがて遠い過去の記憶の中のオリのように残ってゆくのだとしたら、それでこの映画は成功という事でしょう。前作がそうであったように。   もう十何年も見ていない前作を復習してから見ようと思っていたのですが、忙しさに結局見られないままに今日を迎えてしまいました。でもそれで良かったのかも。過去の記憶であるからこそ、その間にある時間を実感できましたし。   前作に直結するイメージを持ちつつ、『未知との遭遇』に対するオマージュがそこかしこに見られたのが個人的に嬉しかったです。冒頭、土煙の中に現れる人影や、闇の中のスピナーの回転(もちろんダグラス・トランブルへのオマージュにも直結しております)、坊主頭の子供達に囲まれ、支えられる主人公。『メッセージ』といい、この人はスピルバーグが好きなんだろうなぁ。
[映画館(字幕)] 8点(2017-10-30 22:25:47)(良:2票)
151.  ワンダーウーマン 《ネタバレ》 
 ガル・ガドットはかつてイスラエルで兵役に就き、イスラエルのガザ侵攻をツイッターで肯定したのでこの映画を評価すべきではない、というジャーナリストの文章がネット上に存在しておりますが、果たしてそれが正しい事なのかどうか、映画ファンならお分かりですね。このジャーナリストが言っている事はつまり「そんな女の作った料理など食えるか!」であり、それは十分に差別的発言です。演者のイデオロギーがどうであれ、作品は別のものとして語られるべきであり(この映画がイスラエルを讃えるイデオロギーに塗れた映画でもない限り)、リアルと創作とを同一フィールド上で混同してしまう事の愚かさは子供でも判ります。   一方、ジェームズ・キャメロン監督はこの作品が映画におけるフェミニズムを後退させてしまったと批判しましたが、そもそもジェームズ・キャメロン作品におけるフェミニズムとは『エイリアン2』のリプリー、バスケスや『T2』のサラ・コナーを見れば明らかなように「男こそが上位に存在するものであり、女はそれと同等に扱われていい」と主張しています。彼女達は見事な「男っぷり」を見せます。彼の映画に女性の本来的な上位性を見出す事はできません。   この映画を、そういうジャーナリストや似非フェミニズムのオモチャにさせてはいけません。スクリーンに映し出されたガル・ガドットのワンダーウーマンは優美である、それだけが、そしてそれこそが真理なのであり、私はただそれを支持する、それだけの事です。
[映画館(字幕)] 8点(2017-08-29 19:52:45)(良:4票)
152.  ベイビー・ドライバー 《ネタバレ》 
 映画を見終わって、ヒロインは絶対にリリー・ジェームズじゃなきゃダメな映画だったんだなぁ、と思いました。だってBABYが夢想して最後には実現するあの映像、アレは「かぼちゃの馬車に乗ったシンデレラが迎えにくる」姿なワケで、だからシンデレラ女優な彼女以外に一体誰があの役を演じられるの?って。  この映画は(主にダメな)男が夢見る世界がたっぷり詰まったおとぎ話。(主にダメな)男の妄想をそのまま映画にしてみました、みたいな。   スバルWRXを自在に操る冒頭、幾らなんでも(都合の良さも含めて)ありゃ無理だ、ってレベルのドライブテクニック、でも妄想の世界ですからアリなんです。  BABYの過去も寡黙さも仕事っぷりも現在も恋も襲いかかる危機も未来も、全部妄想ゆえにキレイに整ってリズムを刻みます。映像も効果音もピッタリと音楽とシンクロしてカーアクションもガンアクションもミュージカルとなってピタッとキマってゆきます。ひたすらキモチイイで作られた映画。あ、ちなみに(主にダメな)妄想家にとって(たとえ妄想であっても)(リアルでは非力な)自分がマッチョってのはあり得ないですね。マッチョは駆逐すべき敵ですね。リア充も敵ですね。無神経なヤツも自信家も敵ですね。  一見、『ドライヴ』みたいな犯罪映画なワケですが、あくまで人として真っ当なところに落としどころを持ってゆくあたりまでキッチリ、教訓もタップリなおとぎ話。「いつかお姫様が」な映画なのでした。   邦題は『シン・デボラ』の方が良かったかも(それはない)。   ちなみに最近のシンデレラ女優はもう一人、アナ・ケンドリックがおりますが、彼女がヒロインだと絶対お姉さんと弟みたいに見えちゃいますね。
[映画館(字幕)] 8点(2017-08-24 16:47:09)
153.  カーズ クロスロード 《ネタバレ》 
 マックイーンは最後に何故トレードマークの赤い色を捨てたのでしょうか?  若くて未来ある、だけども性格の悪いストームのボディは青い部分もある、けれど黒いです。まだ若いけれど挫折して夢を諦めた状態のクルーズのボディは黄色いです。もう若くはなく、レーサーとしての寿命を認識せざるを得ないマックイーンの色は赤いです。つまり、今回の作品に関してはそのボディカラーが信号の色を示してたりしない?って。1作目の段階で赤いマックイーンですから、今作に対してしか通用しない考え方ですが。  もう少し細かく見ると、クルーズは黄色一色が、途中で黄色に黒のペイント、次に黄色にオレンジ~赤のペイントとなり、そして最後には黄色にブルーのロゴ。マックイーンは赤いボディに黄色のロゴが、一度は剥がされ剥き出しの素の色になり、元に戻ってハデになって泥を被って元に戻って、最後はブルーのボディにブルーのロゴ。その塗装の変化が立場や心情、意識の変化を示しているようにも思えます。ブルーは未来を予感させる色、黄色は惑いの色、そして赤は限界を感じる色、そんな感じなのかな?みたいな。   そんな今作はある程度歳を重ねた人、挫折を経験した人、人生に迷った人に染みるようなお話で、だから日本でのシリアスな大人向けっぽいCMも、あながち間違いでもないのかな、と。これまでの『カーズ』はあまり好きになれなかったのですが(マックイーンもメーターもウザくて)、今回はシンパシーを感じる部分が多く楽しめました。ああいうシンプルなデザインのキャラがドラマを演じる事の無理がある感は1作目同様にあったと思います。もっとテンポアップした方がいいんじゃないかって。でも、情感溢れるシーンはキャラとのバランスに違和感を抱きつつも味わいを感じて。  ピクサーの子供向け枠の限界にぶち当たってる状態はここに極まれり、って感じではありますが。   あと、松岡茉優は蒼井優に匹敵する声優殺しでした。
[映画館(吹替)] 8点(2017-07-25 22:05:35)
154.  マンチェスター・バイ・ザ・シー 《ネタバレ》 
 映画が始まった時点で主人公は既に終わってるんですよね。もうロクでもない状態でしかなくて。この映画が描くのは、主人公が何故終わってしまったのか、であって、これは救済の物語でも再生の物語でもありません。   短い映像とバラバラな時間軸がモザイク状に散りばめてあって、徐々に主人公の世界が明確になってゆく、そのドラマは辛く、切なく、そして、でも、決して彼が癒されたり救済されたりが許されたりする訳でもない事もまたハッキリとしてゆきます。失われた者に対するその責任はあまりに重く、生易しい赦しなど存在しようがないのですから。  彼は兄の遺志によって甥との関係を通して人間性を取り戻しそうにも見えますし、元妻の言葉によって救済されたようにも見えます。ですが映画の最後に至っても結局は映画の冒頭と同じように酒場で他人に殴りかかるような生き方しかできない、彼がもう終わっている事がハッキリしただけのこと。何処にも彼の居場所なんて、ありはしません。彼の辛い思い出の地であるマンチェスターは、そしてその地の人は、その気候と同様に彼に冷たい存在でしかありません。   エンドロールの美しい風景の、だけど主人公を拒む限りない淋しさが染みる映画でした。
[映画館(字幕)] 8点(2017-06-27 19:55:15)
155.  20センチュリー・ウーマン 《ネタバレ》 
 1人の少年と世代の違う3人の女性と1人のおっさんが、コミュニケーションを通してアタマと肉体とのバランスを学び、折り合いを付けて生きてゆく物語。そこには沢山の対話があって、皮膚感覚があって、生の摩擦や対立があって、和解や妥協や不一致があって、生の痛みや苦しみがあって。   ユーモラスに描かれた、ここに生きている人々の、不器用ながらも自分の生をカタチにしてゆこうとする姿は魅力的で愛おしさすら覚えます。アビーが自分の身の周りの物を写真に収めてゆく姿はインスタグラムやツイッターのメディアツイートなどに通じ、自分という個を掴もうとし、他者にアピールする事で存在確認をしようとする感覚自体はカタチを変えながらも昔も今も変わらない事を示していますね。   この映画、まるでネット無き時代の人々の生き様を、ネットによってコミュニケーションのカタチがすっかり変わってしまった世界から見つめ、人のあるべき形を想うようで。単なるノスタルジーではなく、今のアタマばかりが肥大化した、極端に偏った知識や思想を持った人を憂えているようで。  最近ツイッターで女性の生理についての極端に無知なツイートが話題になり、それがこの映画の中のエピソードにピッタリと符号していて、とてもタイムリーだなぁ、と。ネットは全てなんでも判るようでありながら、知らない事はとことん知らないで済んでしまう世界な訳で。でも本当はリアルでのコミュニケーションから微妙なニュアンスと共に知る事もいっぱいある訳で。   複数の人間のモノローグがあって、死者のモノローグもあるけれど、それは創作上の禁則とはちょっと違って、時間を超越している状態で、登場人物達が自らを客観視、俯瞰してゆく構造が面白く、映像も色々な仕掛けを施して印象的。自動車が登場すると物語が動く(冒頭からして炎上する自動車で)、みたいな仕組みもあって、散りばめられた様々な要素で楽しめ、考えさせられ、感じる映画でした。
[映画館(字幕)] 8点(2017-06-11 22:30:18)
156.  LOGAN ローガン 《ネタバレ》 
 一体世界はどうなっちゃったの? これまでのX-MENの戦いの意味はなんだったの?っていうのはあるんですけど、でもメタものによくあるような、逆にふざけた感じになっちゃう血と暴力ではなくて、真正面から堂々と血と暴力によって英雄とは何かを描いた作品でした。   暴力の世界に足を踏み入れ、血で手を汚した人間がそこから逃れる事はできない、ならばどう生き、どう死ぬのか。その葛藤、足掻きがローガンもしくはウルヴァリンという孤独なキャラクターを通して描かれます。  主人公が特殊な能力を持ったアメコミキャラである事を除けば実は定番な物語ではあるのですが、自分の過去を象徴する少女ローラ(人間性を獲得する以前の存在)と、自分の化け物としての姿を象徴するX-24(人間性を獲得しなかった結果としての存在)によって、深い物語になっていると思います。自分の影としてのX-24が優しき人々もチャールズも殺してゆく、ならばローラが光となるべく希望を託す、そのために残されたわずかな生命を燃やして英雄となるローガン。地球の危機とか、悪の支配とかではなくて、一人の男の生きざまだけに収束してゆく物語。ヒュー・ジャックマンのウルヴァリンの集大成。   ただ、そんなローガンが命を賭してローラ達に与えられた希望が、不服従のための逃避であったのは今この時代の要求だと考えると心は重く。もちろんトランプ政権が成立する以前に製作されていた筈ですが、映画のスタートからラストシーンまで、そこに確かな未来への希望を見出すのが困難なのは、やはり暗い気持ちにならざるを得ないのでした。
[映画館(字幕)] 8点(2017-06-06 21:00:20)(良:1票)
157.  ムーンライト 《ネタバレ》 
 有色人種に対する差別や貧困など、わざわざ事細かに描く必要は無く。LGBTに対する差別にしたってそう。だってこれは本当は普通の恋愛映画なのですから。それが普通ではないと見なされる、普通として捉えられない限り、この世界は不幸なのです。   終始受動的な主人公の秘めた思慕、本来大切なのはそこだけ。
[映画館(字幕)] 8点(2017-04-12 22:43:54)(良:2票)
158.  スター・トレック/BEYOND 《ネタバレ》 
 『スター・トレック』の魅力はキャラクターにあると思っているので、完全なキャラものと化した今回はかなり楽しく見られました。不時着によってクルーを分断する事によって幾つものコンビを作り、それぞれの道中を通してキャラの魅力を見せる、っていう作りはファンサービスになっていると思います。映画の展開はかなり慌ただしいですが。   ツッコミどころはいっぱいあって、あれだけの戦力(エンタープライズ号を短時間のうちに破壊してしまうような)があれば、別に細菌兵器に頼らなくてもアレだけでヨークタウン制圧できちゃうんじゃね?とか、あんなデカい戦艦を視覚だけで隠しておけないだろ(敵側もその存在を知ってるハズですし)とか、異星人女性キャラ3人のデザインが似過ぎとか、微弱な放射線でも素肌に密着してちゃマズいだろとか・・・   でもノリの良さっていうのか、押しの強さというのか、エンタープライズのクルー達の獅子奮迅っぷりで見せ場を連ねてぐいぐいと映画を推進してゆくパワーが心地良いです。   それからエンタープライズや宇宙ステーションを舐めるようにぐりぐり動くカメラワークを3Dで見るのも気持ち良くて。これまで150本くらい3D映画見てきて、すっかり3D慣れしちゃって効果が薄く感じられるようになってましたが、この映画の立体感は久しぶりに3D見た!って感じがして。エンタープライズをフェティッシュなくらいに撫でまわすが如く撮る、っていうのはロバート・ワイズの映画版第一作目を思い出したりもして。ただ、上下左右がグルグルする系3Dなので、3D酔いしやすい人にはヤバいレベル、つーかエンドロールは3D慣れしてても酔います。   ご贔屓マイケル・ジアッキノの音楽は作品によって好不調の波がハッキリしてる感じですが今回は好調な方でしたし。   でもアントンはやっぱり悲しかったですね。ラストの「亡きクルーに」の次のカットに映るアントン。『ターミネーター4』の舞台挨拶の時に場内グルリと回ってハイタッチしてくれたアントン。もっともっとあの笑顔をスクリーンに刻んで欲しかったです。
[映画館(字幕)] 8点(2016-11-06 21:03:48)
159.  ボーダーライン(2015) 《ネタバレ》 
 狂言回しポジションのヒロインの言動がいちいち甘ちゃん過ぎてイラッとしたのですが、最後まで見るとその感覚こそ恐ろしい事なんだと悟るという。   映画の進行上、ヒロインはクライマックス前にお役御免となって画面から姿を消し、以後デルトロの独擅場となります。その彼の取った行動、その深い深い闇こそが麻薬社会の現実で、そんな現実に立ち向かえるのは決して正常な健全な精神ではないというもう1つの現実。狂気に対抗し得るのは狂気でしかなく、狂気に頼らざるを得ない正義はもはや正義として成り立たない、そこにあるのは闇と闇の戦いでしかないという絶望感。   『コール・オブ・デューティー モダン・ウォーフェア』シリーズを思わせる画面は現在の兵器のテクノロジーを示し、直接死体を映す映像とは別に今の時代のリアルな恐ろしさを寒々しく表現しています。  効果音がそのまま重苦しい映画のBGMになっていて、一方でBGMも終始不安感を煽り、なので一部で効果音をBGMがジャマしてるように感じる箇所があって、BGMをもう少し抑えて欲しかった感もありました。   綺麗事を決して許さない、出口の見えない果てしない闇の重さを心の底に残す映画でした。
[映画館(字幕)] 8点(2016-11-02 22:51:39)
160.  アングリーバード 《ネタバレ》 
 中盤までは結構シンドい感じ。大してカサの無い単純な物語を、キャラのドタバタエピソードで埋めてゆくという状態なのですが、これがあんまり笑えるものではなくて。美術デザインが色々と凝っていて、飛べない鳥達が暮らす世界を見るのは楽しいものの、物語の進行が遅くてちょっとダレ気味。   でもこれが後半、反撃の物語になると途端に激しく弾んだ映画になって。飛翔と落下と破壊、その快感、3Dの効果も手伝って非常にエキサイティングなクライマックスを迎えます。前半のドタバタ描写も、この部分の各キャラの個性分けされた見せ場のためだったのかと思うと納得。   映画鑑賞後に元となったスマホゲーをプレイしてみたのですが、なるほど、シンプルなゲームのシステムをよくもまあ上手く映画化したもんだと。ゲームに親しんでから見ていたとしたら、徐々にそこに向かってゆく展開に焦らされた上で最高に盛り上がるクライマックスを迎えられたかと思うと、ちょっと残念な気もしますが、逆に何も知らないで見て、そのぶっ飛んだ展開に「なんじゃこりゃ!」って驚きを持って見られたので、それはそれで。どちらでも吉。   点数はかなり甘い気もしますが、クライマックスの異様なテンションにすっかりやられて見終わった時の満足感がハンパ無かったので。
[映画館(吹替)] 8点(2016-10-06 22:54:21)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS